JP2973997B2 - 電圧駆動形半導体素子の駆動回路 - Google Patents

電圧駆動形半導体素子の駆動回路

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清明 笹川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IGBT,パワー
MOSFETなどの電圧駆動形半導体素子の駆動回路に
関し、特に、インバータなどの電力変換装置において、
短絡事故などによって生じる過電流から、これらの素子
を保護する過電流保護機能を有する駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】前記のごとき電力変換装置では、運転中
の過電流故障の中で、素子破壊につながる故障として負
荷短絡や地絡がある。電圧駆動形半導体素子としてIG
BTを例にとり、電力変換装置における短絡事故時の模
擬回路と、素子の電圧、電流波形を図2、図3に示す。
【0003】短絡期間中は、IGBT2にはほぼ直流回
路電圧が印加された状態で短絡電流が流れる。図中1は
直流電源、3は配線インダクタンスを示す。
【0004】この短絡電流は直流定格電流の5〜6倍
(高耐圧の素子では10倍程度) にも達する。従って、短
絡期間中に素子に印加される瞬時電力は極めて大きく、
短絡検知後、所定の時間(10μsec 程度)内にゲートを
オフすることにより過電流をしゃ断する必要がある。
【0005】過電流保護機能を持つ駆動回路の従来例を
図4に示す。4は主スイッチング素子としてのIGB
T、5は信号絶縁用フォトカプラ、6および7はそれぞ
れオンゲート電圧印加用電圧源とオフゲート電圧印加用
電圧源であり、これら電圧源6,7には、フォトカプラ
5によりトランジスタ8を介して与えられる信号により
該フォトカプラ5と相補的に動作する1対のトランジス
タ9,10が接続されている。これら出力段トランジスタ
9,10のエミッタ同士は抵抗11を介してIGBT4のベ
ースに、また電圧源6,7の接続中点はIGBT4のエ
ミッタに接続されて駆動部が構成される。
【0006】また、トランジスタ14、ツェナーダイオー
ド13、ダイオード15、及び抵抗17により、IGBT4の
コレクタ端子の電圧を監視し、かつこの電圧が所定の値
を越えたことを検出する過電流検知部が構成される。さ
らに、この過電流検知部の前段にはコンデンサ16により
遅延回路が形成される。
【0007】まず、通常の動作を説明する。フォトカプ
ラ5がオンすると、トランジスタ8がオフし、この結
果、トランジスタ9がオン、トランジスタ10がオフとな
って、IGBT4のゲート・エミッタ間には抵抗11を介
してオンゲート電圧V1 が印加される。
【0008】この際、トランジスタ8はオフとなること
から、抵抗12、ツェナーダイオード13を介してトランジ
スタ14にベース電流が流れようとするが、抵抗17を設け
ることによってトランジスタ14が動作するタイミングを
遅らせている。IGBT4のゲート・エミッタ間にオン
ゲート電圧が与えられると、このIGBT4はオンしそ
のコレクタ・エミッタ間電圧はオン電圧(VCE(ON)とす
る) まで低下する。従って、 VZD1 +VBE >V2 +VCE(ON)+VF VZD1 :ツェナーダイオード13のしきい電圧 VBE :トランジスタ14のベース・エミッタ間電圧 VF :ダイオード15の順方向電圧 となるように部品を選定して置くことにより、IGBT
4のオン状態ではトランジスタ14をオフに保っている。
【0009】次に、フォトカプラ5がオフになると、ト
ランジスタ8がオンし、これにより、トランジスタ9が
オフ、トランジスタ10がオンとなって、IGBT4のゲ
ート・エミッタ間には抵抗11を介してオフゲート電圧が
印加されIGBT4はオフとなる。このとき、トランジ
スタ8のオンによりコンデンサ16の電荷を放電してター
ンオン動作に備えている。
【0010】さて、IGBT4のオン期間中に、短絡事
故が発生した場合には、コレクタ・エミッタ間電圧の増
大に伴い、 VZD1 +VBE <V2 +VCE(ON)+VF となり、トランジスタ14が導通し、IGBT4のゲート
・エミッタ間にオフゲート電圧を印加してIGBT4を
オフし、過電流をしゃ断する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記図4に示す従来の
駆動回路の過電流保護動作では、トランジスタ14の導通
と同時にIGBT4のゲートにはオフゲート電圧が印加
されることから過電流をしゃ断する際の電流の減少率
(−di/dt)が大きく、このため、IGBT4には
配線のインダクタンスに誘起した電圧(ls・di/d
t)と直流回路電圧の和の電圧である過大な電圧が加わ
る危険性がある。
【0012】また、コンデンサ16で構成される遅延回路
があることから、過電流の検知に時間遅れを生じ、短絡
発生から過電流のしゃ断までの間に素子で消費されるエ
ネルギーが必要以上に大きくなるという問題があった。
【0013】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、過電流しゃ断時の飛躍電圧を抑制するとともに、素
子の消費エネルギーを低減して過電流から素子を確実に
保護できる電圧駆動形半導体素子の駆動回路を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、少なくとも信号絶縁用フォトカプラと相補的
に動作する1対の出力トランジスタを構成要素とする駆
動部と、駆動信号がある場合に電圧駆動形半導体素子の
入力側主端子の電圧を監視し、この電圧が所定の値を越
えたことを検出する検出手段と、電圧駆動形半導体素子
のゲートに電圧を印加し、前記検出手段が動作している
間、時間の経過に伴い、電圧駆動形半導体素子がオフす
るのに必要な逆バイアス電圧まで徐々に降下させる可変
電圧源と、前記可変電圧源と出力トランジスタのベース
端子間にこのベース端子側がアノードとなるように接続
されたダイオードと、前記検出手段が前記所定の値を越
えたことを検出した時に導通するトランジスタのコレク
タ端子と、信号絶縁用フォトカプラのコレクタ端子との
間に前記トランジスタ側を順方向に接続されたダイオー
ドとを備えたことを要旨とするものである。
【0015】本発明によれば、過電流検知後、半導体素
子のゲート・エミッタ間電圧は時間の経過と共に徐々に
減少する。半導体素子に流れる短絡電流ICPの値は、図
5に示すようにゲート・エミッタ間に印加される電圧V
GEに依存することから、ゲート・エミッタ間電圧の減少
に対応して短絡電流も減少する。従って、過電流をしゃ
断する際の−di/dtを小さな値に抑制できる。ま
た、ゲート・エミッタ間電圧が素子のしきい電圧より大
きければ、半導体素子は導通状態となることから、過電
流検知部のトランジスタの導通後、ゲート・エミッタ間
電圧がしきい電圧に等しくなるまでの時間を半導体素子
のターンオン時間以上に設定しておくことにより、従来
回路に必要であった遅延回路は不要となり、従って、過
電流発生時にも遅れなく保護動作が可能となり、素子が
消費するエネルギーを低減できる。
【0016】さらに、前記作用に加えて、過電流検知部
が動作している間は、オフ信号が信号絶縁用フォトカプ
ラに入力されても、ゲート・オフ動作をさせずに可変電
圧源の動作を優先して行うので、過電流保護動作が継続
して行われることになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。第1図は本発明の電圧駆動形
半導体素子の駆動回路の実施形態を示す回路図で、前記
従来例を示す図4と同一構成要素には同一参照符号を付
したものである。
【0018】すなわち、主スイッチング素子としてのI
GBT4に対し、信号絶縁用フォトカプラ5と、このフ
ォトカプラ5に対しトランジスタ8を介して相補的に動
作する1対のトランジスタ9,10及びこれに直列接続す
るオンゲート電圧印加用電圧源6、オフゲート電圧印加
用電圧源7と、抵抗11とで駆動部が形成される点は前記
従来例と同じである。
【0019】本発明では前記従来回路でのダイオード1
5、ツェナーダイオード13、抵抗17及びトランジスタ14
からなり、IGBT4のコレクタ端子側の電圧を監視
し、この電圧が所定の値を越えたことを検出する過電流
検知部を、前記駆動部の出力段トランジスタ9 ,10のベ
ースに接続された抵抗18とコンデンサ20での可変電源か
らなる電圧制限回路に接続した。
【0020】該コンデンサ20は抵抗19を介して正側端子
に接続され、また、このコンデンサ20と抵抗19との接続
中点はダイオード21を介して出力段トランジスタ9,10
のベースに接続され、その場合のダイオード21はトラン
ジスタ9,10側がアノードとなる。
【0021】一方、トランジスタ8のベースにトランジ
スタ23のベースが接続され、このトランジスタ23のコレ
クタは、前記過電流検知部のツェナーダイオード13とダ
イオード15の接続中点及び、抵抗22を介して正側端子に
接続され、エミッタは負側端子に接続されることにより
IGBT4のオン期間を検知し、これを過電流検知部に
伝える回路を構成した。また、信号絶縁用フォトカプラ
5のコレクタ端子とトランジスタ14のコレクタ端子との
間にトランジスタ側を順方向にダイオード24を接続し
た。
【0022】次に、動作について説明する。コンデンサ
20は最初抵抗19を介して電圧源6,7により充電され、
コンデンサ20の両端電圧はV1 +V2 となる。コンデン
サ20の正側端子とトランジスタ9,10のベースとの間に
は、図示のように、ダイオード21がこのベース端子側が
アノードとなるように接続されていることから、通常の
動作にはほとんど影響を及ぼさない。
【0023】過電流を検知した場合、トランジスタ14が
導通する。これに伴い、コンデンサ20の電荷は抵抗18を
介して放電される。そして、コンデンサ20の両端電圧と
V2の差の電圧がダイオード21、トランジスタ9を介し
て出力される。
【0024】抵抗12,18,19の抵抗値をR1 ,R2 ,R3
とすればR1 ,R3 >R2 と選定しておくことにより、
VGEをIGBT4がオフするのに必要な低いレベルまで
電圧を下げることができる。これは電圧源7がIGBT
4のエミッタに接続されていることから、ゲート─エミ
ッタ電圧で見ると、マイナス(逆バイアス)状態まで電
圧を下げるものである。トランジスタ23は、IGBT4
のオン期間であることを過電流検知部に知らしめる。な
お、抵抗18は定電流ダイオードでもよい。
【0025】ところで、過電流検知部が過電流を検知
し、トランジスタ14が導通し、IGBT4のゲート・エ
ミッタ間電圧が減少中でも、オフ信号が入力されると、
通常のオフ動作が働くことになる。その結果、充分に短
絡電流を減少出来ずにしゃ断することになり、しゃ断時
の電流の減少率(−di/dt)が大きくなってしま
う。そのため、素子に過大な電圧が加わるおそれがあ
る。
【0026】本発明では、信号絶縁用フォトカプラ5の
コレクタ端子とトランジスタ14のコレクタ端子とをダイ
オード24を介して接続している。
【0027】そこで、トランジスタ8または23のベース
・エミッタ間電圧VBE、トランジスタ14のコレクタ・エ
ミッタ間電圧VCE、ダイオード24の順方向電圧VF の関
係が、 VBE ≫ VCE+VF (式1) となるように部品を選定しておけば、電源6,7から抵
抗25を介して流れる電流はトランジスタ8,23のベース
に流れずに、ダイオード24を通ってトランジスタ14に流
れる。
【0028】なお、トランジスタ8は例えばシリコント
ランジスタ(25C945L)ではVBE>VCEであり、
更にダイオード24にはショットキーダイオード(SC8
02一04)のようにVF の低いものがある。これらに
よれば、 VBE(MAX) =1.0,VCE(MAX) =0.3,VF(MAX)=0.55 VDE=1.0>VCE+VF =0.85となり、前記式1
の関係が成立する。
【0029】その結果、トランジスタ8,23はオンする
ことなく過電流保護動作が行われることになる。また、
通常のオフ動作時では、トランジスタ14が導通しないの
で、トランジスタ8,23のベースに電流が流れるための
影響を及ぼさない。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように本発明の電圧駆動形半
導体素子の駆動回路は、短絡事故時などに、過電流しゃ
断時の飛躍電圧を抑制するとともに、素子の消費エネル
ギーを低減して過電流から素子を確実に保護できるもの
である。さらに、過電流検知部が動作している間は、オ
フ信号が信号絶縁用フォトカプラに入力されても、ゲー
ト・オフ動作をさせずに可変電圧源の動作を優先して行
うので、過電流保護動作が継続して行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧駆動形半導体素子の駆動回路の実
施形態を示す回路図である。
【図2】電力変換装置における短絡事故時の模擬回路図
である。
【図3】電力変換装置における短絡事故時の電圧、電流
波形図である。
【図4】従来例を示す回路図である。
【図5】短絡電流とゲート・エミッタ間電圧との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1…直流電源 2…IGBT 3…配線インダクタンス 4…IGBT 5…フォトカプラ 6…オンゲート電圧印加用電圧源 7…オフゲート電圧印加用電圧源 8,9, 10, 14, 23…トランジスタ 11, 12, 17, 18, 19, 22, 25…抵抗 13…ツェナーダイオード 15, 21,24…ダイオード 16, 20…コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−147736(JP,A) 特開 昭59−103567(JP,A) 特開 昭61−185064(JP,A) 特開 昭62−207022(JP,A) 特開 昭62−277063(JP,A) 特開 平2−50518(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03K 17/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも信号絶縁用フォトカプラと相補
    的に動作する1対の出力トランジスタを構成要素とする
    駆動部と、駆動信号がある場合に電圧駆動形半導体素子
    の入力側主端子の電圧を監視し、この電圧が所定の値を
    越えたことを検出する検出手段と、電圧駆動形半導体素
    子のゲートに電圧を印加し、前記検出手段が動作してい
    る間、時間の経過に伴い、電圧駆動形半導体素子がオフ
    するのに必要な逆バイアス電圧まで徐々に降下させる可
    変電圧源と、前記可変電圧源と出力トランジスタのベー
    ス端子間にこのベース端子側がアノードとなるように接
    続されたダイオードと、前記検出手段が前記所定の値を
    越えたことを検出した時に導通するトランジスタのコレ
    クタ端子と、信号絶縁用フォトカプラのコレクタ端子と
    の間に前記トランジスタ側を順方向に接続されたダイオ
    ードとを備えたことを特徴とする電圧駆動形半導体素子
    の駆動回路。
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