JP3000700B2 - 発泡樹脂層を有する成形品の製造方法および装置 - Google Patents

発泡樹脂層を有する成形品の製造方法および装置

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素文 石渡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は中空部を有する成形品に
発泡性液状樹脂原料を注入して発泡させるようにした発
泡樹脂層を有する成形品の製造方法および装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】車両用の合成樹脂成形品、例えばエアス
ポイラには、軽量化のため中空部を有する成形品が用い
られ、その強度を上げるために中空部に発泡樹脂層を形
成したものがある。
【0003】図6はエアスポイラを示し、(a)は平面
図、(b)は正面図、(c)はそのA−A断面図であ
る。図において、1は合成樹脂により長尺状に成形され
た成形品で、内部に形成された中空部2に発泡樹脂層3
が形成されている。成形品1はエアスポイラとして用い
られるものであり、両端および中央部に形成された脚部
4、5、6に、車体7への固着面8が形成され、それぞ
れ固着用の開口部9を有する。また成形品1の外表面1
0の反対側の中央部には、ストップランプ等の作動部品
を取付けるための作動部品取付部11が形成され、その
付近には作動部品に接続する電線等の線状部材12を挿
通するための挿通孔13が設けられている。
【0004】従来の発泡樹脂層を有する成形品の製造方
法は、成形品1の内部に形成した中空部2に発泡性液状
樹脂原料を注入して発泡させ、発泡樹脂層3を形成して
いる。このような従来の方法では、発泡による容積増加
により樹脂原料が中空部2の全体に行きわたるものと考
えていた。
【0005】しかし複雑な形状の成形品の場合、あるい
は粘度の高い樹脂原料の場合には、中空部2内に空気や
発生ガス等が残留しやすく、中空部2全体に均一に発泡
樹脂層3を形成することに困難を伴った。このため、中
空部2内で発泡の状況が局部的に変化すると、外表面1
0の形状に影響を及ぼして、外表面10が局部的に変形
することがある。エアスポイラの場合、車体7のトラン
クパネル上あるいはルーフパネル上に取付けられるの
で、人の手で外表面10をたたいたりすると、部分的に
外表面10の剛性が小さいものでは外表面10が振動し
て、通常は好ましくない音を発生する。さらに外表面1
0に人が手をついて負荷がかかりやすいが、外表面10
の内側に発泡樹脂層3が形成されていないと成形品1の
強度が増大せず、変形しやすいなどの問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
品の外表面部内側のほぼ全体に発泡樹脂層を形成するこ
とができ、強度を大きくすることが可能な発泡樹脂層を
有する成形品の製造方法および装置を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は次の発泡樹脂層
を有する成形品の製造方法および装置である。 (1)中空部を有する成形品に、成形品の外表面部内側
を覆うに十分な量の発泡性液状樹脂原料を注入する工程
と、成形品の外表面部を下にした状態で、成形品を揺動
させて、外表面部内側のほぼ全域に発泡性液状樹脂原料
を行きわたらせる工程と、発泡性液状樹脂原料を発泡さ
せて、少なくとも成形品の外表面部内側のほぼ全域に発
泡樹脂層を形成する工程とからなることを特徴とする発
泡樹脂層を有する成形品の製造方法。 (2)成形品の中空部に挿入された線状部材を発泡樹脂
層で固着するようにした上記(1)記載の方法。
【0008】(3)中空部を有する成形品を位置決めす
る位置決め装置と、位置決めされた成形品を外表面側を
下にして保持し、かつ移動および揺動可能なハンドを有
するマニピュレータと、成形品に発泡性液状樹脂原料を
注入する注入装置と、前記位置決め装置により位置決め
された成形品をハンドで保持させ、注入装置から成形品
に発泡性液状樹脂原料を注入し、さらに成形品を揺動さ
せるようにマニピュレータおよび注入装置を制御する制
御装置とを有することを特徴とする発泡樹脂層を有する
成形品の製造装置。
【0009】本発明において、発泡性液状樹脂原料と
は、発泡性を有し、発泡により発泡樹脂層を形成するも
のであり、発泡剤を含有する液状樹脂、あるいはウレタ
ン樹脂の場合のように、反応により発泡樹脂層を形成す
る樹脂原料などが含まれる。発泡の方法は加熱あるいは
空気中の酸素または水分等との反応などにより行われ
る。
【0010】発泡性液状樹脂原料としては、次のような
ものが適している。すなわち主剤としてポリエステル系
ポリオール、硬化剤として黄変型イソシアネート、発泡
剤として水を用い、発泡倍率5〜20倍のものである。
このような発泡性樹脂原料の粘度は流動性の観点から、
特別な力を作用させなくても自重で流動可能な500c
Ps以下、特に200cPs以下が好ましい。
【0011】上記発泡性液状樹脂原料の反応は次の通り
である。 RNCO+R′OH→RNHCOOR′ (1) の反応により、ウレタン結合が形成する。 RNCO+H2O→RNHCOOH (2) の反応により、水との反応による中間生成物(カルバミ
ン酸)が生成する。 RNHCOOH→RNH2+CO2 (3) の反応により、炭酸ガスを放出してアミンに変わり発泡
する。 RNH2+RNCO→RNHCOHNR (4) の反応により、アミンはNCOと反応して、尿素結合が
形成される。上記反応により架橋するが、ウレタン結合
形成速度と発泡速度を調整し、発泡層を形成する。
【0012】
【作用】本発明の発泡樹脂層を有する成形品の製造方法
においては、中空部を有する成形品に、成形品の外表面
部内側を覆うに十分な量の発泡性液状樹脂原料を注入
し、成形品の外表面部を下にした状態で、成形品を揺動
させて、外表面部内側のほぼ全域に発泡性液状樹脂原料
を行きわたらせるとともに、発泡性液状樹脂原料を発泡
させて、少なくとも成形品の外表面部内側のほぼ全域に
発泡樹脂層を形成する。この場合、成形品の中空部に線
状部材を挿入した状態で発泡を行い、かつ中空部全体に
わたって発泡させるときには、中空部に挿入された線状
部材を発泡樹脂層で固着することができる。
【0013】本発明の発泡樹脂層を有する成形品の製造
装置においては、中空部を有する成形品を位置決め装置
により位置決めし、制御装置によりマニピュレータを制
御して、前記の位置決めされた成形品を外表面側を下に
してマニピュレータのハンドで保持し、その後ハンドで
保持した成形品を注入装置の位置に移動させ、あるいは
注入装置を成形品側に移動させて発泡性液状樹脂原料を
注入し、さらに成形品を揺動させて成形品の外表面内側
のほぼ全域に発泡性液状樹脂原料を行きわたらせた状態
で発泡させ、発泡樹脂層を形成する。
【0014】こうして製造された成形品は、中空部に発
泡樹脂層が形成され、特に外表面部内側にはほぼ完全に
発泡樹脂層が形成され、強度が大きくなる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。図1は実施例の製造装置を示す平面図、図2はその
B−B断面図、図3はC−C断面図、図4はD−D断面
図である。
【0016】図において、20は多関節形ロボットなど
のマニピュレータで、成形品1を保持するハンド21が
アーム22を介して移動および揺動可能に取付けられて
いる。ハンド21の先端部には吸盤23が取付けられ、
成形品1の外表面10を下にした状態で、吸引パイプ2
4により吸引して保持するようになっている。マニピュ
レータ20のハンド21は第1ステーションIから第2
ステーションII、第3ステーションIIIに矢印R、S方
向に移動し、また矢印T、U方向に揺動するように制御
装置25で制御されている。
【0017】26は第1ステーションIに設けられた位
置決め装置で、位置決め載置台27と、その両側に配置
された位置決めバー28とからなる。29は第2ステー
ションIIに配置された注入装置で、注入ノズル30が前
進後退して、成形品1の開口部9に発泡性液状樹脂原料
31を注入するように、制御装置25で制御されてい
る。
【0018】上記の製造装置による製造方法は、まず図
1に示すように、位置決め装置26の位置決め載置台2
7上に、中空部2を有する成形品1を、外表面10を下
にして載置し、先端を位置決めバー28に当接させて位
置決めする。この状態で制御装置25のプログラムによ
り、図2に示すように、マニピュレータ20のハンド2
1が第1ステーションIに伸びて、吸盤23を成形品1
の外表面10に当て、吸引パイプ24から吸引して成形
品1を保持する。
【0019】次に制御装置25からの指令により、マニ
ピュレータ20のハンド21は成形品1を保持したまま
上方向に移動した後、R方向に回転して第2ステーショ
ンIIに移動する。ここで図3、図4に示すように、注入
装置29から注入ノズル30が前進して成形品1の開口
部9に挿入され、中空部2に成形品1との付着性を有す
る発泡性液状樹脂原料31が注入される。このとき成形
品1の外表面10の内側を覆うに十分の量の成形品1と
の付着性を有する発泡性液状樹脂原料31が注入され
る。
【0020】注入終了後制御装置25の指示により、注
入ノズル30が後退し、ハンド21が作動して成形品1
を図3の矢印T方向および図4の矢印U方向に揺動さ
せ、外表面10の内側のほぼ全域に発泡性液状樹脂原料
31を行きわたらせるとともに付着させる。この間発泡
性液状樹脂原料31は水分と反応して発泡し、発泡樹脂
層3が形成されるが、必要により加熱等を行ってもよ
い。
【0021】制御装置25に組まれた成形品1の揺動モ
ード(態様)としては、揺動の角度、時間、速度、方向
などのパラメータを適宜組合せるが、これらのパラメー
タは成形品1の大きさ、形状あるいは発泡性液状樹脂原
料の粘度などによって大きく異なる。これらのパラメー
タはコンピュータによる事前のシミュレーションによっ
てほぼ決定できるので、多種類の成形品を製造するとき
には、複数の揺動モードをあらかじめ作成して制御装置
25に記憶させておき、製造すべき成形品1に対応した
モードを選択して作動させるようにすることができる。
また、ハンド21に連結して液状物検出用のセンサーを
成形品1の端末部分に配置してこのセンサーが液状物が
到達したことを検出するまで揺動を続けるようにプログ
ラムを組んでおいてもよい。
【0022】その後ハンド21は成形品1を保持したま
ま第3ステーションIIIに移動して、吸引の解除により
成形品1を搬出し、さらに第1ステーションIに戻って
同じ操作を繰り返す。
【0023】なお、外表面10の内側のほぼ全域に発泡
性液状樹脂原料31を行きわたらせて付着させた後、反
応が進行して発泡性液状樹脂原料31の粘度が増し、も
はや自重によって流動しなくなったら、発泡樹脂層3の
形成完了を待つまでもなく、ハンド21を第3ステーシ
ョンIIIに移動させて成形品1を搬出し、この状態で発
泡をさらに進行させてもよい。
【0024】こうして製造された成形品1は、外表面の
内側には完全に発泡樹脂層3が形成され、強度が大きく
なる。また成形品1の中空部2に挿通孔13を通して線
状部材12を挿通させた状態で中空部2のほぼ全体に発
泡樹脂層3を形成すると、中空部2に挿入された線状部
材12を発泡樹脂層3で固着することができる。
【0025】図5は他の実施例におけるハンドの先端部
を示す正面図である。この実施例では、ハンド21の先
端部に、取付部材32によりブラケット33が取付けら
れ、このブラケット33の両端部に吸盤23および吸引
パイプ24がそれぞれ2個設けられており、2個の吸盤
23により、長尺の成形品1を安定して保持するように
なっている。
【0026】なお、上記実施例では、マニピュレータの
ハンドは成形品を下から保持するようにしたが、成形品
の形状や重量などによっては上から吊したり、あるいは
側面から保持するようにしてもよい。また成形品1を第
1ステーションIに位置決めした状態で注入装置のノズ
ルを成形品に向けて移動させ、注入するようにしてもよ
い。さらに成形品としてはエアスポイラに限らず、内部
に中空部を有するバンパー、トリムモールディングなど
の他の成形品にも適用可能である。そして発泡性液状樹
脂原料としては、前記例示のものに限らず、他のもので
もよい。
【0027】
【発明の効果】以上の通り、本発明の発泡樹脂層を有す
る成形品の製造方法によれば、成形品の中空部に発泡性
液状樹脂原料を注入して、外表面部を下にした状態で揺
動するようにしたので、外表面部の内側のほぼ全域に発
泡樹脂層を形成して、変形や好ましくない音の発生を抑
制し、成形品の強度を大きくすることができる。
【0028】本発明の発泡樹脂層を有する成形品の製造
装置においては、マニピュレータのハンドにより成形品
を保持して、発泡性液状樹脂原料の注入と揺動、発泡を
行うようにしたので、簡単な操作で確実に樹脂原料を成
形品の外表面部の内側のほぼ全域に行きわたらせること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の製造装置の平面図。
【図2】図1のB−B断面図。
【図3】図1のC−C断面図。
【図4】図1のD−D断面図。
【図5】他の実施例のハンドの先端部の正面図。
【図6】成形品を示し、(a)は平面図、(b)は正面
図、(c)は(b)のA−A断面図。
【符号の説明】
1 成形品 2 中空部 3 発泡樹脂層 9 開口部 10 外表面 20 マニピュレータ 21 ハンド 23 吸盤 24 吸引パイプ 25 制御装置 26 位置決め装置 27 位置決め載置台 28 位置決めバー 29 注入装置 30 注入ノズル 31 発泡性液状樹脂原料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−223411(JP,A) 特開 昭50−27865(JP,A) 特開 昭49−52265(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 39/00 - 39/44

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空部を有する成形品に、成形品の外表
    面部内側を覆うに十分な量の発泡性液状樹脂原料を注入
    する工程と、成形品の外表面部を下にした状態で、成形
    品を揺動させて、外表面部内側のほぼ全域に発泡性液状
    樹脂原料を行きわたらせる工程と、発泡性液状樹脂原料
    を発泡させて、少なくとも成形品の外表面部内側のほぼ
    全域に発泡樹脂層を形成する工程とからなることを特徴
    とする発泡樹脂層を有する成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 成形品の中空部に挿入された線状部材を
    発泡樹脂層で固着するようにした請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 中空部を有する成形品を位置決めする位
    置決め装置と、位置決めされた成形品を外表面側を下に
    して保持し、かつ移動および揺動可能なハンドを有する
    マニピュレータと、成形品に発泡性液状樹脂原料を注入
    する注入装置と、前記位置決め装置により位置決めされ
    た成形品をハンドで保持させ、注入装置から成形品に発
    泡性液状樹脂原料を注入し、さらに成形品を揺動させる
    ようにマニピュレータおよび注入装置を制御する制御装
    置とを有することを特徴とする発泡樹脂層を有する成形
    品の製造装置。
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