JP3016284B2 - 試料液を自動的に前処理する方法およびその装置 - Google Patents

試料液を自動的に前処理する方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料液の前処理方法お
よびその装置に関し、詳細にはバイオアッセイに用いら
れる蛋白質、糖、核酸を含む試料液を自動的に前処理す
るための方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液体クロマトグラフィーを使用した天然
物、生理活性物質などの分離、精製については、試料液
の脱塩、濃縮あるいは塩置換等の前処理を行うのが一般
的である。従来かかる試料液の前処理における脱塩、塩
置換等の工程は各々独立して実施されており、かかる各
々の工程は常にオペレータが介在しなければならなかっ
た。
【0003】
【この発明が解決しようとする課題】このため、従来の
試料液の前処理のための操作は極めて煩雑であり、近年
のバイオテクノロジーの発展に伴い多用される液体クロ
マトグラフィーのための試料液の前処理を人手を介さず
迅速に行なうことができなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためなされたものであり、本発明の第一の態様に
よれば、容器から指定成分を含む所定量の試料液を送液
して濾過膜を通過させることにより、試料液の脱塩また
は濃縮を行ない上記容器へ戻し、この脱塩または濃縮の
完了した試料液に必要に応じて適当量の別の溶液を注入
することにより、塩置換を行ない、所望の脱塩率、濃縮
率または塩置換率が得られるまで上記工程を自動的に繰
り返すことにより、試料液を自動的に前処理する。
【0005】また、本発明の第二の態様によれば、試料
液を収容するための容器と、容器内の試料液の量を計量
するための手段と、試料液中の所定成分を除去するため
の限外濾過手段と、試料液を上記容器から上記限外濾過
手段を通過させ、容器へ戻すための送液手段と、濾過後
の試料液の物体を測定するための手段と、必要に応じて
容器内に適当量の別の溶液を注入するための手段と、あ
らかじめ設定された脱塩率、濃縮率または塩置換率が得
られるまで、送液および濾過を続け、必要に応じて容器
内に別の溶液を加えるための制御手段とから成る試料液
を自動的に前処理するための装置が提供される。
【0006】
【作用】本発明によれば、容器内の試料液は送液手段、
例えばポンプにより所定成分、例えば所定の塩を含む溶
媒が除去され、再度容器へ戻される。このとき濾過後の
試料液の脱塩率および/または濃縮が測定される。容器
へは、必要に応じて別の塩を含む溶液が注入され、その
設定された脱塩率、濃縮率または塩置換率が得られるま
で、連続的に上記の一連の工程が繰り返される。
【0007】
【実施例】以下添付図面を参照して本発明について説明
する。
【0008】図1には、本発明に係る試料液を自動的に
前処理するための装置を含む、自動サンプリング濾過シ
ステムおよびこれと結合される液体クロマトグラフィー
システムが図示されている。自動サンプリング濾過シス
テムは、液体クロマトグラフィーシステム1により分離
された試料を取り出すためのフラクションユニット2
と、上記フラクションユニット2により取り出された試
料液を濾過膜に通過させることにより脱塩、濃縮または
必要に応じて塩置換を行なう前処理ユニット3と、前記
前処理ユニット3により処理された試料液を液体クロマ
トグラフィーへ導入するための自動サンプリングユニッ
ト4とからなる。
【0009】容器31内に収容された蛋白質、糖、核酸
等を含む試料液は、ポンプ32により後述するサンプリ
ングユニット41内の切換バルブ19を通して液体クロ
マトグラフ30へ送られ、ここで所定成分が分解された
後、成分検出器7およびキャピラリーチューブ6を通し
てフラクションユニット2へ取り出される。
【0010】このフラクションユニット2は、電磁弁5
からなり、キャピラリーチューブ6を通過した試料液を
ターンテーブル9上の試料カップ8に導く。前記処理が
不要な場合には、装置外へ排出される。
【0011】ターンテーブル9上には複数の試料カップ
8が配置されており、資料液が導入された試料カップ8
は、前処理ユニット3のポートに移動するようになって
いる。 本発明に係る前処理ユニット3は、試料カップ
8と、このカップ8内の試料の重量を測定するための重
量天秤20と、試料カップ8から膜モジュール11へ送
液するためのチューブポンプ10と、膜モジュール11
の下流側に直列に接続された抵抗管12と、膜モジュー
ル11通過後の試料液内のイオンを測定するためのイオ
ンモニタ13と、試料液の伝導度を測定するための伝導
度モニタ14と、そして、置換液を試料カップ8に導入
するための置換液導入ポンプ15とからなる。
【0012】初期重量を重量天秤20により測定された
試料カップ8の試料は、チューブポンプ10により、連
続して膜モジュール11にて限外ろ過され、脱塩または
濃縮された後、抵抗管12、イオンモニタ13及び伝導
度モニタ14を通って試料カップ8へ戻される。ろ過後
の試料液は再度重量測定され、イオンモニタ13及び伝
導度モニタ14の出力等に基づき、脱塩率または濃縮率
が測定され、予め設定された脱塩率または濃縮率が得ら
れるまで上記の一連の工程が繰り返される。塩置換が必
要な場合には、置換液導入ポンプ15により置換液が試
料カップ8に導入され、ろ過により除去された塩と置換
され、所望の置換率が得られるまでろ過による濃縮及び
置換が繰り返される。
【0013】こうして前処理の完了した試料カップ8内
の試料液が、ターンテーブル9の回転により、サンプリ
ングユニット4のポートでサンプリングされる。
【0014】サンプリングユニット4は、切換バルブ1
9と、試料保持チューブ18と、試料カップ8から試料
液を吸引するためのシリンジポンプ16とからなる。切
換バルブ19が図中の実線位置にあり、ポンプ16が吸
引を開始すると、カップ8内の前処理された試料液は、
エア検知器17を介してバルブ19、試料保持ループ1
8及びバルブ19を介してポンプ16に吸引される。次
にバルブ19が図中の点線位置になると、ポンプ32と
保持ループ18と液体クロマトグラフィー30が直列に
接続され、保持ループ18内に保持されていた前処理済
みの液料が液体クロマトグラフィー30へ送られ、更に
所定成分の分離、精製を行うようになっている。
【0015】本発明者は、本発明に係る前処理ユニッ
ト、フラクションユニット(FC)、サンプリングユニ
ット(AS)を有する本出願人により製造されたシステ
ムと液体クロマトグラフィシステムを組み合わせたシス
テムを下記のように構成し、蛋白質の精製を行った。
【0016】実験例1 イオン交換とゲル濾過の2種類のカラムを組み合わせ
て、α−アミラーゼの精製を行った。
【0017】(使用装置) コントローラ:SC−8010(液体クロマトグラフィ
ー制御)(東ソー社製) 検出器:UV−8010 ポンプ:CCPM バルブ:MV−8011、MV−8010 2台 AS、FC、濃縮脱塩:バイオアシスト カラム:DEAE−トヨパールパック650S(2.2
×20cm) TSKgelG3000SW Glass (2×30
cm) 活性部位測定用FC:FC−8010 上記装置を図2のように組み合わせて、α−アミラーゼ
の精製を行った。
【0018】(精製工程)粗α−アミラーゼの30mg
/mlを含む20mMトリス−塩酸緩衝溶液(pH8.
0)を2ml採取して、以下の条件でイオン交換液体ク
ロマトグラフにかけて、分取、精製を行い、回収フラク
ション量として45mlを得た。
【0019】 カラム:DEAE−トヨパール650S 溶離液:A液 20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0) B液 A液+0.5NaCl グラジェント条件: 0分→40分 B液 0%→66.7% 40分→45分 B液 100% 45分→ B液 0% 溶離液流速:5ml/分 分取部位:30分〜39分(9分間) 回収フラクション量のうちの44mlを、濃縮、塩置換
のために膜モジュールに導入して、5mlまで濃縮し、
溶離液を99%リン酸緩衝溶液(pH6.6)とした。
溶液の循環流速は10ml/分で、濃縮、塩置換時間
は、50分であった。
【0020】次いで、得られた濃縮、塩置換溶液の2m
lと1.58mlをそれぞれサイズ排除液体クロマトグ
ラフに以下の条件で導入した。
【0021】 カラム:G3000SW Glass 溶離液:50mMリン酸緩衝液(pH6.6) 溶離液流速:3ml/分 分取部位:34.5分〜39.5分(5分間) 回収フラクション量として合計30mlを得た。この内
29mlを膜モジュールに導入して、循環流速10ml
/分、濃縮時間13分で5mlまで濃縮した。
【0022】なお、液体クロマトグラフの分取部位は、
あらかじめ活性部位測定用FC−8010によりタイム
フラクションして活性部位を決めた。
【0023】以上の操作にかかった時間は、イオン交換
液体クロマトグラフ分取に50分、濃縮、塩置換に50
分、サイズ排除液体クロマトグラフ分取に50分×2の
100分、最後の濃縮に13分の合計213分であっ
た。
【0024】(精製結果)最終的にはSWカラムで分取
し、分析カラムで確認したところ90%の純度であっ
た。このときのタンパク質の量はスタート時の約20%
であった。このなかのα−アミラーゼの回収率を、活性
から求めたところ以下のようになった。
【0025】 回収率(%;比活性) ──────────────────────────────────── スタート時(原液) 100 DEAE分取フラクション 103.9 膜処理;濃縮、塩置換 77.2 SW分取フラクション 77.1 終了時(膜処理;濃縮) 67.9 実験例2 イオン交換、疎水及びゲル濾過の3種類のカラムを組み
合わせて、β−ガラクトシダーゼの精製を行った。
【0026】(使用装置) コントローラ:SC−8010 検出器:UV−8010 ポンプ:CCPM樹脂仕様 バルブ:SV−8010、MV−8011、MV−80
10 AS、FC、濃縮脱塩:バイオアシスト カラム:DEAE−トヨパールパック650S Butyl−トヨパールパック650S TSKgelG3000SW Glass 電源ユニット:PS−8010 プリンタ:PS−8010 活性部位測定用FC:FC−8010 上記装置を図3のように組み合わせて、β−ガラクトシ
ダーゼの精製を行った。
【0027】(精製工程)粗β−ガラクトシターゼの1
0mg/mlを含む20mMトリス−塩酸緩衝溶液(p
H8.0)を5ml採取して、以下の条件でイオン交換
液体クロマトグラフにかけて、分取、精製を行い、回収
フラクション量として99mlを得た。
【0028】 カラム:DEAE−トヨパール650S(22φ 200mm) 溶離液:A液 20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0) B液 A液+0.5MNaCl グラジェント条件: 0分→80分 B液 0%→66.7% 80分→90分 B液 100% 溶離液流速:3ml/分 フラクション部位:45分〜78分 回収フラクションのうちの98mlを濃縮、塩置換のた
めに膜モジュールに導入して、5.4mlまで濃縮し、
溶離液性を99%50mMリン酸緩衝溶液+2M硫酸ア
ンモニウム(pH6.6)とした。濃縮、塩置換時間は
78分であった。次いで、得られた濃縮、塩置換溶液の
4.2mlを疎水液体クロマトグラフに以下の条件で導
入した。
【0029】 カラム;Butyl−トヨパール650S(22φ 200mm) 溶離液:A 50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0) B A液+0.5MNaCl グラジェント条件: 0分→80分 B液 0%→75% 90分→100分 B液 100% 溶離液流速:3ml/分 フラクション部位:55分〜88分 回収フラクションとして99mlを得た。この内98m
lを膜モジュールに導入して、濃縮時間49分で5.3
mlまで濃縮した。
【0030】更に、得られた濃縮、塩置換溶液の2ml
と1.6mlをそれぞれサイズ排除液体クロマトグラフ
に以下の条件で導入した。
【0031】 カラム:TSKgelG3000SW Glass
(22φ×200mm)×2本 溶離液:50mMリン酸緩衝液+0.25MNaCl
(pH6.6) 溶離液流速:3ml/分 フラクション部位:27分〜37分 回収フラクション量として合計66mlを得た。この内
65mlを膜モジュールに導入して、濃縮時間を22分
で5.5mlまで濃縮した。
【0032】なお、液体クロマトグラフの分取部位は、
あらかじめ活性部位測定用FC−8010によりタイム
フラクションして活性部位を求めた。
【0033】以上の操作にかかった時間は、イオン交換
液体クロマトグラフ分取に90分、濃縮、塩置換に78
分、疎水液体クロマトグラフ分取に100分、濃縮に4
9分、サイズ排除液体クロマトグラフ分取に46分×2
の92分、最後の濃縮に22分の合計421分であっ
た。
【0034】(精製結果)最終的に得たタンパク質は、
スタート時の12%であった。これに対し、酵素活の回
収率は44%である。各工程における活性回収率を示
す。 回収率(%;比活性) ──────────────────────────────────── スタート時(原液) 100 DEAE分取フラクション 88.9 膜処理;濃縮、塩置換 90.5 Butyl分取フラクション 42.4* 膜処理;濃縮 65.0 SW分取フラクション 58.6 終了時(膜処理;濃縮) 43.9 *Buty1分取フラクションの活性が低いのは塩濃度
が高い試料を用いたためと思われる。その後回復してい
る。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば蛋
白質などを含む試料液の脱塩、濃縮又は塩置換を自動的
で連続的に行うことができ、操作が簡便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる試料液前処理装置を含む自動的
精製システムの構成図である。
【図2】実験例1に用いられたシステム構成図である。
【図3】実験例2に用いられたシステム構成図である。
【符号の説明】
1 液体クロマトグラフィー 2 フラクションユニット 3 前処理ユニット 4 試料サンプリングユニット 5 電磁弁 6 キャピラリーチューブ 7 検出器 8 試料カップ 9 ターンテーブル 10 ポンプ 11 膜モジュール 12 抵抗管 13 イオンモニタ 14 伝導度モニタ 15 置換液導入ポンプ 16 シリンダポンプ 17 エア検出器 18 保持ループ 19 切換バルブ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器から所定成分を含む所定量の試料液
    を送液してろ過膜を通過させることにより、試料液の脱
    塩または濃縮を行い上記容器へ戻し、所望の脱塩率また
    は濃縮率が得られるまで上記工程を自動的に繰り返すこ
    とから成る、試料液を自動的に前処理するための方法。
  2. 【請求項2】 容器から所定成分を含む所定量の試料液
    を送液してろ過膜を通過させることにより、試料液の脱
    塩または濃縮を行い上記容器へ戻し、この脱塩または濃
    縮した試料液に適当量の別の溶液を注入することにより
    塩置換を行ない、所望の脱塩率、濃縮率または塩置換率
    が得られるまで上記工程を自動的に繰り返すことから成
    る、試料液を自動的に前処理するための方法。
  3. 【請求項3】 上記試料液は蛋白質、糖、核酸を含む試
    料液である請求項1または2に記載の方法
  4. 【請求項4】 試料液を収容するための容器と、容器内
    の試料液の量を計量するための手段と、試料液中の所定
    成分を除去するための限外ろ過手段と、試料液を上記容
    器から上記限外ろ過手段を通過させ、容器へ戻すための
    液送手段と、ろ過後の試料液の物体を測定するための手
    段と、容器内に適当量の別の溶液を注入するための手段
    と、容器内に別の溶液を加えるための制御手段とから成
    り、あらかじめ設定された脱塩率、濃縮率または塩置換
    率が得られるまで、液送およびろ過を続ける試料液を自
    動的に前処理するための装置。
  5. 【請求項5】 ろ過後の試料液を測定するための手段
    は、試料液中のイオンを測定する為のモニタおよび/ま
    たは伝導率モニタとから成る請求項4に記載の装置。
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