JP3091111B2 - ヘッドレスト用表皮の製造方法 - Google Patents

ヘッドレスト用表皮の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両等のシートバック
上端に取着されるヘッドレスト用表皮の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車等のシートバック上端には、乗員
の頭部を保護し快適さが得られるようヘッドレストが取
付けられている。こうしたヘッドレストは、クッション
性に富んだヘッドレスト基体をファブリック表皮やブロ
ー成形,スラッシュ成形による皮膜状表皮で包着してい
る。ここで、上記ブロー成形,スラッシュ成形による表
皮を用いたヘッドレストは、例えば、次のようにして造
られてきた。まず、ブロー成形,スラッシュ成形で、ヘ
ッドレスト基体を包着可能な皮膜状表皮を造る。次い
で、この表皮にインサートが挿入できる大きさのスリッ
トをカッターナイフ等で切開してヘッドレスト用表皮と
する。その後、上記スリットからインサートを表皮内に
挿入,セットし、更に、これらを発泡型にセット後、表
皮内に発泡原料を注入して、発泡成形によりヘッドレス
ト基体,インサート,表皮が一体化したヘッドレストを
造るのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、スラッシュ
成形等でできた皮膜状表皮に、インサート挿入用のスリ
ットをカッター等で切開するのは、手作業で個人差があ
り、切り過ぎ等の不具合が出易かった。また、カットし
た部位が曲がることもあり、見栄えを悪くした。特に、
表皮は軟質塩化ビニル樹脂が使用されることが多く、更
に、中空の袋状表皮であることから作業者のバラツキが
出易かった。一方、インサート挿入用スリットを有した
ヘッドレスト用表皮の従来技術として、特公昭63−5
5954号公報などがあるが、そのスリット形成は必ず
しも楽ではなかった。
【0004】本発明は上記問題点を解決するもので、イ
ンサート挿入用スリット、更には、インサート挿着用円
孔をもカッター等を使用せずとも手作業で簡単に設けら
れるようにしたヘッドレスト用表皮の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本第一発明の要旨は、ス
ラッシュ成形による中空のヘッドレスト用表皮を製造す
る方法において、キャビティ面から型内に向けて立板を
固設し、さらに該立板の両サイドに、先端面の中央部が
湾曲状に窪む円柱体を固着した成形型を使用して、プラ
スチック原料を該成形型に投入し、次いで、該成形型を
回転又は揺動させながら加熱後、冷却し、キャビティ面
に沿わせた皮膜体を造った後、前記立板が形成した凹溝
部と共に該円柱体が形成する皮膜体部分を拡開又は突き
押しして、該凹溝部の溝底にインサート挿入用スリット
及びインサート挿着用円孔を設けるようにしたヘッドレ
スト用表皮の製造方法にある。ここで、「揺動」には振
動も含む。「両サイド」には両端の他、両端寄りも含
む。
【0006】本第二発明のヘッドレスト用表皮の製造方
法は、第一発明で、立板が前記円柱体を越えて両サイド
方向に延設され、更にその両端部に円柱状小突起を固設
した成形型を使用して、前記皮膜体を造った後、前記凹
溝部と共に該円柱体が形成する皮膜体部分を拡開又は突
き押しして、インサート挿入用スリット及びインサート
挿着用円孔を設けるようにしたことを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明のヘッドレスト用表皮の製造方法によれ
ば、スラッシュ成形でキャビティ面に皮膜体を成形する
と、立板に厚みがないので、その先端縁部分のみプラス
チック原料の乗りが悪く、その皮膜体部分は薄くなる。
斯る皮膜体を得た後、前記立板が形成した凹溝部を拡開
又は突き押しすると、皮膜体の薄くなった凹溝部の溝底
が開口してインサート挿入用スリットができる。そし
て、立板の両サイドに、先端面の中央部が湾曲状に窪む
円柱体を固着した成形型を使用すると、立板上縁及び円
柱体の上面周縁に係る皮膜体部分が薄くなるので、そこ
を拡開又は突き押しすることで、簡単にインサート挿入
用スリット及びインサート挿着用円孔を設けることがで
きる。第二発明のヘッドレスト用表皮の製造方法のよう
な小突起を固設した成形型を使用すると、凹溝部の拡開
時に、インサート挿入用スリットの端縁を越えて切り裂
かれるのを小突起の形成する小孔が防止する。
【0008】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳述する。 (1)実施例1 図1〜図9は、本発明に係るヘッドレスト用表皮(以
下、「表皮」という。)の製造方法の一実施例を示す。
図1は表皮の成形型の斜視図、図2は図1の縦断面図、
図3は立板周りの拡大斜視図、図4は図1の成形型で皮
膜体を成形した断面図、図5は皮膜体の斜視図、図6は
図4における円柱体,立板周りの拡大図、図7,図8は
インサート挿入用スリット,インサート挿着用円孔を形
成する状態変化を示す断面図、図9は表皮にインサート
を挿着した斜視図である。
【0009】表皮1は、キャビティ面2aでヘッドレス
ト外形を形づくる成形型2により皮膜体3を成形した
後、この皮膜体3の凹溝部31を拡開してインサート挿
入用スリット11,インサート挿着用円孔12を設けて
出来上ったものである。
【0010】まず、成形型2について説明する。成形型
2は、クッション枕となるヘッドレスト基体を包み込む
中空表皮1の一つ前段階にある皮膜体3を製造するスラ
ッシュ成形型(電鋳型)で、基体21と蓋体22とから
なる(図1)。基体21と蓋体22は、閉型によってヘ
ッドレストの外形と同一形状のキャビティ面2aを内面
に有し、端部に閉型時のシール機能を高めるスカート部
211a,221aのあるフランジ211,221を有
するものである。
【0011】蓋体22には、キャビティ面2aに型内に
向けて立板222を起立状態で固設している。立板22
2は高さhが5mm〜10mm程度で、立板の長さはヘ
ッドレスト用インサートを挿入し易い長さとしている
(図3)。立板222の板厚Wは0.2mm〜2.0m
mで、更に好ましくは、0.5mm〜1.0mmであ
る。立板222の板厚Wはその厚みが大きくなると、立
板先端縁にも厚みのある皮膜体3が出来てしまいインサ
ート挿入用スリット11の形成が困難になるにとどまら
ず、スリットの開口が開き過ぎになるからである。一
方、立板222の板厚が小さくなると、立板がスラッシ
ュ成形時に撓むからである。尚、立板222は所定厚さ
を有してその先端縁を鋭角状に尖らせてもよい。立板2
22の両サイド寄りには、立板222が横切る状態で、
円柱体223が設けられている(図3)。この円柱体2
23も起立状態にあり、その高さは立板の高さより高く
している。円柱体223の上面は、図4に示すように湾
曲状に窪ませている。立板222の両端には、円柱状小
突起224が立板222に一体的に設けられる。小突起
224の高さは立板222と同じで、また、円柱体22
3と同様、小突起224の上面も湾曲状に窪ませてい
る。
【0012】次に、上記成形型2を使用し、スラッシュ
成形でヘッドレスト用表皮1を造る方法について説明す
る。まず、塩化ビニル樹脂ペーストや粉状ポリエチレン
等の流動性のよいプラスチック原料を成形型2の基体2
1内に投入し、蓋体22で成形型2を閉じる。次いで、
成形型2を回転又は揺動させながら加熱炉内に入れ、成
形型2を加熱する。プラスチック原料は、成形型2の回
転,揺動によって、キャビティ面2aに沿って流動し、
また、加熱によって溶融状態となりキャビティ面2a上
に略均一に付着する。その際、立板222,円柱体22
3,小突起224周りにもプラスチック原料は付着する
が、立板222の上縁は先鋭化状態にあるのでプラスチ
ック原料の乗りが少なく、その部分だけ薄い溶融皮膜と
なる(図6の(イ))。立板222は型内に向けて起立
状態にあることから、先端ほど加熱による熱の伝わり方
や回転,揺動下でプラスチック原料を保持する力も弱
く、先端に向って溶融皮膜層は薄くなる。一方、円柱体
223の上面は湾曲状でその周縁が尖った状態になって
いるので、そこが放熱し易く、また、プラスチック原料
が滞まろうとしても流れ落ち、乗りが少ないために、溶
融皮膜が薄くなる(図6の(ロ))。小突起224も円
柱体223と略同じような形状にあり、小突起の上面周
縁の溶融皮膜は薄い。
【0013】その後、成形型2を冷却してキャビティ面
2aに付着していた溶融状のプラスチック層を硬化さ
せ、脱型により皮膜体3を得る。この皮膜体3は、図5
のような中空形状で、立板222に付着した溶融皮膜は
舌片14となり、凹溝部31をつくる。ここで、前述の
立板222上縁や円柱体223,小突起224の上面周
縁の溶融皮膜に係る皮膜体部分3a,3b,3cは薄肉
化している(図4,図6)。これらの皮膜体部分3a,
3b,3cは、僅かの力で開口する切り離し線を形成し
たようになっている。
【0014】次に、スラッシュ成形で得た皮膜体3の後
加工を行なう。上記スラッシュ成形で造った皮膜体3を
手に持って、図7(イ)の矢印のごとく、凹溝部31の
入口を押し広げるように拡開する。すると、皮膜体3の
厚みが小さく且つ強度的に一番弱い凹溝部31の溝底3
2(皮膜体部分3a)が線状に開口され、インサート挿
入用スリット11ができる(図7(ロ))。円柱体22
3の上面周縁が形成した皮膜体部分3bも薄く(図8
(イ))、切り離され易いことから、上記拡開動作に伴
って、その上円部33が簡単に皮膜体3から外れてイン
サート挿着用円孔12をつくる(図8(ロ))。このよ
うにして、皮膜体3はインサート挿入用スリット11,
インサート挿着用円孔12を形成することで、所望のヘ
ッドレスト用表皮1となる。
【0015】ところで、凹溝部31の両端まで切り開か
れるが、その両端には円柱状小突起224が形成した皮
膜体部分3cがある。そして、この部分の上面周縁も薄
肉部になっているために、上円部34が表皮1から簡単
に取除かれ小円孔13となる。斯る小円孔13は丸くな
っているので、拡開する力が入り過ぎても、余程のこと
がない限り凹溝部31の両端を越えて切り裂かれること
なく、小円孔13のところでスリット形成が止まるよう
になる。すなわち、小円孔13は拡開によるインサート
挿入用スリット11形成時の端の破れを食い止める役目
を担う。尚、前記インサート挿入用スリット11,イン
サート挿着用円孔12の形成は凹溝部31の口を広げる
拡開動作に依ったが、これに代え、凹溝部31の溝底3
2を突き押しして上記スリット11,円孔12,小円孔
13を形成するものであってもよい。
【0016】このようにして製造されたヘッドレスト用
表皮1は、凹溝部31の溝底32や円柱体223,小突
起224の上面周縁は非常に薄くなっているので、カッ
ター,切断機等を用いずとも、単に指で押すだけでもカ
ットできる。そして、これらのカットはスリット11,
円孔12,小円孔13に沿った薄膜部による道筋が付け
られているので、スリット,円孔,小円孔が曲ったり歪
んだりせずに開口できる。カッターでスリット,円孔を
形成する従来法に比べ、インサート挿入用スリット1
1,インサート挿着用円孔12,小円孔13を迅速且つ
精度よく設けることができる。従って、インサート挿入
用スリット11,インサート挿着用円孔12を設ける工
程を大幅に簡略化し、加工工数の低減,品質の安定維持
に貢献する。得られた表皮1は、斯るインサート挿入用
スリット11を利用して、インサート4が表皮1内にセ
ットされることになる(図9)。舌片14はインサート
の挿入時は開かれるが、インサート4が円柱体23が形
成した円筒部15内に挿着されると、スリット幅の狭い
口を封じる元の状態へと戻る。円筒部15は表皮1内に
セットされたインサート4を保持する役割を果たす。立
板222の板厚Wが小さいことは、インサート挿入用ス
リット形成をし易くするだけでなく、このスリット幅が
狭くなるために、インサート4を表皮1内に挿着後、表
皮1内に発泡原料(例えばウレタン原料)を注入し、表
皮,インサート一体の発泡成形でヘッドレストをつくる
際、スリットからの発泡原料の溢出を起こり難くしてい
る。
【0017】(2)実施例2 本実施例は、実施例1の立板222の中間位置に、図1
0のように、型内と型外とを導通させるガス抜き孔5を
形成したものである。ここでは、ガス抜き孔5をパイプ
6で形成したもので、パイプ6は立板222より型内へ
突出させて配置している。このため、成形型2の回転,
揺動時に、プラスチック原料がガス抜き口5から型外へ
飛び出すことはない。ガス抜き孔5の大きさは内径5m
mφ程度とした。
【0018】スラッシュ成形で、表皮1を造るプラスチ
ック原料に発泡剤を含む場合は、発泡してキャビティ面
2aに層状に付着する。ここで、密閉状態にある成形型
2は、加熱による型内空気の膨張によって、更に発泡ガ
スによって型内圧が増大し、成形型2の蓋体22が押し
上げられて隙間を生じることがしばしばである。その結
果、プラスチック原料がその隙間に押し出されて詰まっ
たり、キャビティ形状が本来寸法より大きくなったりす
る不具合を招く。本実施例では、加熱により膨張した型
内空気及び発泡により生じた発泡ガスは上記ガス抜き孔
5を通って成形型2外へ排出される。成形型2内の圧力
が高くなることがないので、成形型の蓋体22が押し上
げられることもない。従って、正規の形状,寸法からな
る表皮1をバリを生じることなく製造できるようにな
る。
【0019】前記ガス抜き孔5は立板222の位置から
離れたところに設けてもよい。また、ガス抜き孔5用の
上記パイプ6を用いることなく、円柱体223又は小突
起224に、型内から型外へ通じる透孔を形成してもよ
い。そうすると、上記不具合を解決でき、且つ、ガス抜
き孔5用のパイプ6跡がなくなり見栄えもよくなる。他
の構成は実施例1と同じで、同様の作用,効果を得る。
【0020】尚、本発明においては前記実施例に示すも
のに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々
変更できる。表皮1,立板222,円柱体223,小突
起234等の大きさ,形状,材質等は適宜選択できる。
【0021】
【発明の効果】以上のごとく、本発明のヘッドレスト用
表皮の製造方法は、インサート挿入用スリット及びイン
サート挿着用円孔を精度よく且つ簡単に設けられるの
で、ヘッドレストの生産性向上,品質安定維持に優れた
効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるヘッドレスト用表皮の成形型
の全体斜視図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】立板周りの部分拡大斜視図である。
【図4】図1成形型で皮膜体を成形した全体縦断面図で
ある。
【図5】皮膜体の斜視図である。
【図6】図4における円柱体周りと立板周りの部分拡大
断面図である。
【図7】インサート挿入用スリットを形成する状態変化
を示す断面図である。
【図8】インサート挿着用円孔を形成する状態変化を示
す断面図である。
【図9】表皮にインサートを挿着した部分断面斜視図で
ある。
【図10】実施例2で、立板周りの拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 表皮 11 インサート挿入用スリット 12 インサート挿着用円孔 2 成形型 2a キャビティ面 222 立板 223 円柱体 224 小突起 3 皮膜体 3b,3c 皮膜体部分 31 凹溝部 32 溝底 4 インサート W 板厚
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29C 69/00 B29C 69/00 B60N 2/48 B60N 2/48 // B29K 105:20 B29L 31:58 (56)参考文献 特開 昭57−188214(JP,A) 特開 昭63−128915(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29D 31/00 B60N 2/48 B29C 41/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラッシュ成形による中空のヘッドレス
    ト用表皮を製造する方法において、キャビティ面から型
    内に向けて立板を固設し、さらに該立板の両サイドに、
    先端面の中央部が湾曲状に窪む円柱体を固着した成形型
    を使用して、プラスチック原料を該成形型に投入し、次
    いで、該成形型を回転又は揺動させながら加熱後、冷却
    し、キャビティ面に沿わせた皮膜体を造った後、前記立
    板が形成した凹溝部と共に該円柱体が形成する皮膜体部
    分を拡開又は突き押しして、該凹溝部の溝底にインサー
    ト挿入用スリット及びインサート挿着用円孔を設けるよ
    うにしたヘッドレスト用表皮の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記立板が前記円柱体を越えて両サイド
    方向に延設され、更にその両端部に円柱状小突起を固設
    した成形型を使用して、前記皮膜体を造った後、前記凹
    溝部と共に該円柱体が形成する皮膜体部分を拡開又は突
    き押しして、インサート挿入用スリット及びインサート
    挿着用円孔を設けるようにした請求項1に記載のヘッド
    レスト用表皮の製造方法。
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JPS63128915A (ja) * 1986-11-19 1988-06-01 Inoue Mtp Co Ltd 皮膜状プラスチツク成形品の製造方法

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