JP3141961B2 - 易剥離性塗料用プライマー - Google Patents

易剥離性塗料用プライマー

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JP3141961B2
JP3141961B2 JP04169907A JP16990792A JP3141961B2 JP 3141961 B2 JP3141961 B2 JP 3141961B2 JP 04169907 A JP04169907 A JP 04169907A JP 16990792 A JP16990792 A JP 16990792A JP 3141961 B2 JP3141961 B2 JP 3141961B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含フッ素共重合樹脂を
含有する易剥離性塗料用プライマー及びそのプライマー
に含有させる含フッ素共重合樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車、その他車輛や航空機及び
それらを構成する部品等の金属製物体、塗装又は磨き処
理した金属板、並びに金属、ガラス、各種プラスチック
等の成形物等は、その取扱い、輸送、保管、貯蔵等にお
いて、物体の面がその物体同士あるいは他のものと接触
するなどして傷が付いたり、空気中の塵埃、煤煙、金属
粉、油滴、潮風、光等により汚染、変色、劣化等が生じ
たりすることがある。例えば、物体の面が金属(特に鉄
系)の場合には、雨水、空気中の水分、酸素、硫黄化合
物等の作用によって錆等を生じ易く、著しい品質や商品
価値の低下が発生し、一度発生した錆等の除去には、多
大の労力と費用を要する。そこで、予め物体の面を保
護、遮蔽しておくことにより上記の問題を回避すべく、
物体の面の一時的な保護、遮蔽を目的に、更に、場合に
よっては彩色をも目的に加えて、これまで有機溶剤型、
水性の樹脂エマルジョン型など多くの易剥離性塗料の利
用がなされてきた。
【0003】しかしながら、易剥離性塗料を用いて物体
の面に設けた塗膜は、長期間物体から取除かずそのまま
にしておいたり、塗膜をもうけた物体を屋外放置したり
すると、易剥離性が低下して、剥離抵抗が大きくなり、
塗膜の剥離に際して塗膜が破断したり、一部が破れて物
体の面に剥離されずに残るというような剥離作業性の大
巾な低下をきたすという問題がある。
【0004】上記の問題は、保護、遮蔽、彩色などをし
ようとする物体(以下、基体という)の面が、粗面であ
ったり、面の全体あるいは一部が角部、隅部、凹凸部、
曲面部を有していたり、又は面の材質が塗膜と親和性を
有していたりする場合、特に大きな問題となる。このよ
うな問題を解決するため、基体の面に、予めプライマー
の塗膜を設けて易剥離性を付与しておき、その上に易剥
離性塗料の塗膜をもうけることが考えられる。
【0005】一方、プライマーとして、例えば特開昭6
2−149784号公報には、炭素数4〜21のパーフ
ルオロアルキル基を有する化合物を90未満〜80重量
%含む共重合体を、水に分散又は有機溶剤に溶解した液
状のエポキシ樹脂用付着防止剤組成物が開示されてい
る。
【0006】しかしながら、この液状組成物をプライマ
ーとして用いて、基体の面にそのプライマーの塗膜をも
うけようとしても、例えば基体が紡績糸よりなる織布の
ような粗面に対しては、塗布した組成物が大小さまざま
な液滴状になってしまい、また基体が車輛類、航空機類
等が有するような大きな面、傾斜のある面などに対して
は、液状の組成物がはじかれて付着しない部分が発生す
るなど、いずれにおいても基体の所望する面全体に欠損
部のないほぼ均一なプライマーの塗膜を形成することが
できない。
【0007】また、この組成物に含有する共重合体は、
フッ素系溶剤に溶解するが、一般的な有機溶剤には溶解
しにくいという欠点もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な従
来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的
は、易剥離性塗料を用いて塗膜をもうけた基体を厳しい
条件下、例えば屋外に長期間放置したのちであっても塗
膜が自然剥離を起さず、かつその塗膜を剥離抵抗少な
く、塗膜の破断や破れのない連続した膜として容易に剥
離することができるよう、易剥離性塗料で塗膜をもうけ
ようとする基体の面に予め塗布して下塗層をもうけるた
めのプライマー、及びそのプライマーに含有させる共重
合樹脂の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
の結果、特定の単量体を共重合する方法により得られる
特定組成の共重合樹脂を含有させたプライマーが上記の
目的を達成するものであるとの知見を得て本発明を完成
するに至った。
【0010】即ち、本発明の第1の発明は、(a)フル
オロアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタ
クリル酸エステル単位が10〜65重量%、(b)ポリ
アルキレングリコールアクリレートまたはポリアルキレ
ングリコールメタクリレート単位が5〜40重量%、
(c)塩化ビニルおよび/または塩化ビニリデン単位が
30〜85重量%からなる、数平均分子量が1万〜10
万の含フッ素共重合樹脂を含有することを特徴とする易
剥離性塗料用プライマーである。
【0011】また、本発明の第2の発明は、(a)フル
オロアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタ
クリル酸エステル、(b)ポリアルキレングリコールア
クリレートまたはポリアルキレングリコールメタクリレ
ート両成分各々の使用量の3〜50重量%と、使用する
(c)塩化ビニルおよび/または塩化ビニリデンの全量
を含有する系で重合を開始し、(a)、(b)各成分各
々の残量を重合開始後に該重合系へ添加して重合するこ
とを特徴とする上記易剥離性塗料用プライマーに含有さ
せる含フッ素共重合樹脂の製造方法である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
第1の発明である易剥離性塗料用プライマー(以下、プ
ライマーという)は、易剥離性塗料を用いて塗装しよう
とする基体の面に、予めプライマーを塗布してプライマ
ー塗膜をもうけ、次いでそのプライマー塗膜の面に易剥
離性塗料を塗布して易剥離性塗料塗膜をもうけることに
より、易剥離性塗料塗膜の剥離性を向上させるために用
いられる。
【0013】本発明のプライマーは、含フッ素共重合樹
脂(以下、含フッ素樹脂という。)を含有し、通常更に
媒体として有機溶剤、水などを任意の割合で含有する。
プライマーが含有する含フッ素樹脂は、(a)フルオロ
アルキル基を有するアクリル酸エステル又はメタクリル
酸エステル〔以下、メタを付したものとメタを付さない
ものの両方を(メタ)を付して表す〕単位を10〜65
重量%、好ましくは20〜55重量%含有する。この
(a)単位を含有する割合が10重量%未満ではプライ
マー塗膜に易剥離性塗料塗膜の剥離抵抗を低下させる効
果を充分付与することができず、また65重量%を越え
ると均一なプライマー層が得られず、更に樹脂の一般的
な有機溶剤に対する溶解性が低下する。
【0014】また、含フッ素樹脂は、(b)ポリアルキ
レングリコール(メタ)クリレート単位を5〜40重量
%、好ましくは10〜30重量%含有する。この(b)
単位を含有する割合が5重量%未満ではプライマー塗膜
の柔軟性が低く、有機溶剤に溶解しにくく、また剥離抵
抗が高くなる場合があり、40重量%を越えるとプライ
マーの乾燥が遅く、塗膜がべたつくことがあり、またそ
の塗膜上に有機溶剤を含有する易剥離性塗料を塗布した
場合、その有機溶剤によりプライマー塗膜が溶解してし
まい、剥離抵抗を低下させる効果が阻害される。
【0015】更に、含フッ素樹脂は、(c)塩化ビニル
及び/又は塩化ビニリデン単位を30〜85重量%、好
ましくは40〜60重量%含有する。この(c)単位が
30重量%未満では、プライマー塗膜上に有機溶剤を含
有する易剥離性塗料を塗布した場合、その有機溶剤によ
りプライマー塗膜が溶解してしまい、剥離抵抗を低下さ
せる効果が阻害される。また、この単位が85重量%を
越えると含フッ素樹脂の有機溶剤に対する溶解性が低下
したり、塗膜が硬くなったりする。
【0016】本発明のプライマーが含有する含フッ素樹
脂の数平均分子量(GPCにより測定した値をポリスチ
レン換算する方法による)は、1万〜10万であり、好
ましくは3万〜8万である。この数平均分子量が1万未
満ではプライマー塗膜の強度が低下して、その上にもう
けた易剥離性塗料の塗膜を剥離する際に充分な易剥離性
能が得られない。また、10万を越えるとプライマーの
粘度が高くなり、プライマーの塗布作業性を低下させ
る。
【0017】本発明のプライマーが含有する含フッ素樹
脂は、所望により前記(a)、(b)及び(c)単位に
加えて、これらの単位の合計量に対して10重量%以下
の他の単量体単位を構成単位として含有していてもよ
い。上記の他の単量体単位を導入するために用いる単量
体としては、例えば弗化ビニル、弗化ビニリデン、(メ
タ)クリル酸アルキルエステル類、脂肪酸ビニルエステ
ル類、アルキルビニルエーテル類、一塩基性又は多塩基
性の重合性不飽和カルボン酸類、重合性不飽和ジカルボ
ン酸無水物などが挙げられる。
【0018】本発明のプライマーは、通常、媒体として
1種又は2種以上の有機溶剤、水あるいはこれらの両方
を含有する。一般的な有機溶剤としては、ケトン類(ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブ
チルなど)、芳香族類(トルエン、キシレンなど)が挙
げられるが、フッ素系溶剤(メタキシレンヘキサフルオ
ライド、トリクロルトリフルオロエタン、テトラクロル
ジフルオロエタンなど)を単独又はその他の有機溶剤と
組合せて使用することもできる。有機溶剤の中では、ア
セトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチルが
好ましい。
【0019】プライマーが媒体を含有する割合は、プラ
イマーに所望する特性、例えば塗装性、塗膜の形成性、
乾燥性などに応じて任意に選択されるが、プライマー中
の含フッ素樹脂100重量部に対して、通常200〜9
00重量部程度である。
【0020】本発明のプライマーには、その効果を阻害
しない範囲で、添加剤として、例えば染料、顔料、充填
剤、タレ防止剤、流動性改良剤、安定剤類(酸化防止
剤、紫外線吸収剤など)、消泡剤、分散剤、防錆剤、界
面活性剤、帯電防止剤、防虫剤、殺菌剤、防カビ剤、可
塑剤などの各種物質を含有させることができ、その量は
含フッ素樹脂100重量部に対して10重量部以下程度
である。
【0021】本発明のプライマーは、例えば含フッ素樹
脂を含有する溶液ないしエマルジョンなどの分散液に、
所望により各種物質を添加して得られる。
【0022】プライマーを基体に塗布してプライマーの
塗膜をもうけるには、基体の形状、大きさ、材質、所望
する塗膜の厚さ、使用するプライマーの性状などに応じ
て任意の方法、例えば浸漬、刷毛塗り、スプレー、ロー
ラー塗りなどの方法により、易剥離性塗料の塗膜をもう
けようとする基体の一部の面又は全面に対し、1回又は
2回以上くり返して塗布することにより行なうことがで
きる。塗布したプライマーの乾燥は任意の方法でよく、
熱処理を兼ねて加熱乾燥してもよい。
【0023】プライマーを基体の面に塗布する量は、基
体の面の性状、形状、材質などにより異なるが、乾燥重
量基準で通常3〜150g/m2 程度である。
【0024】本発明のプライマーを用いて基体の面にも
うけた塗膜の上に塗布する易剥離性塗料は任意のものを
用いることができ、代表的なものとして例えばポリビニ
ルアセタール系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂、
酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−エチレン系樹脂、(メ
タ)クリル酸アルキルエステル系樹脂、ポリビニルアル
コール系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合系樹脂ある
いはエラストマーなどを主たる造膜成分とする溶液型、
分散液型などの易剥離性塗料がある。中でも、アルコー
ル含有溶液型、水分散液型あるいは水溶液型の易剥離性
塗料を用いてもうけた塗膜の剥離性の向上に大きな効果
を有し、特にポリビニルアセタール系樹脂を主たる造膜
成分とするアルコール含有溶液型易剥離性塗料を用いる
場合に好適である。
【0025】本発明のプライマーを物体の面に塗布して
その塗膜をもうけることにより、物体の面に易剥離性の
みならず、防汚性、撥水性、滑性などの性質を付与する
ことができる。
【0026】次に、第2の発明である第1の発明のプラ
イマーに含有させる含フッ素樹脂の製造方法につき説明
する。本発明の含フッ素樹脂の製造方法は、前記の単量
体(a)、(b)、(c)及び重合開始剤を含有する系
で単量体を重合する前記の方法であって、重合は、例え
ば溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合など任意の
方式で行なうことができるが、溶液重合又は乳化重合が
好ましい。
【0027】本発明の製造方法は、原料として、(a)
フルオロアルキル基を有する(メタ)クリル酸エステル
単量体10〜65重量部、(b)ポリアルキレングリコ
ール(メタ)クリレート単量体5〜40重量部、(c)
塩化ビニルおよび/または塩化ビニリデン単量体30〜
90重量部を用いて、使用する(c)成分の全量と
(a)、(b)両成分各々の使用量の3〜50重量%を
含有する系で重合を開始し、(a)、(b)各成分各々
の残量を重合開始後に該重合系へ添加する方法である
が、上記の(a)、(b)各成分各々の残量を重合開始
後の重合系へ連続して、又は複数回に分割して添加する
ことが好ましい。
【0028】尚、本明細書においては、重合開始剤を含
有する系に、単量体(a)、(b)各々の使用量の3〜
50重量%及び使用する単量体(c)の全量を添加終了
し、かつ重合系の内液温が所望する温度に達した時点を
もって重合開始とする。
【0029】本発明で使用する単量体(a)は、フルオ
ロアルキル基を有する(メタ)クリル酸エステルであっ
て、下記一般式(I)で表される単量体を包含する。
【0030】
【化1】一般式(I) 但し、式中、Rは水素原子又はメチル基を、またXは下
記〜の基(m及びnはいずれも1〜11の整数を示
す)をそれぞれ表す。
【0031】
【化2】 −(CH2m −Cn2n+1 −(CH2m −O−(CF22 −O−Cn
2n+1 −(CH2m −(CF22n−H −(CH2m −O−CF(CF32 −CH(CF32 −CF(CF32 −(CH2m −CFH−CF3
【0032】上記単量体(a)の好ましい例としては、
2,2,2−トリフロロエチル(メタ)アクリレート、
2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリ
レート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチル
(メタ)アクリレート、パーフロロオクチル(メタ)ア
クリレートなどが挙げられる。単量体(a)は、1種又
は2種以上を組合せて用いることができる。
【0033】本発明で用いる単量体(b)は、ポリアル
キレングリコール(メタ)クリレートであって、この単
量体(b)のポリアルキレングリコール部分は、オキシ
エチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン
単位、オキシテトラメチレン単位などのオキシアルキレ
ン単位の1種又は2種以上を2個以上有するものが用い
られる。単量体(b)の例としては、ポリエチレングリ
コール(メタ)クリレート、ポリプロピレングリコール
(メタ)クリレート、ポリエチレングリコール・プロピ
レングリコール(メタ)クリレート、ポリエチレングリ
コール・テトラメチレングリコール(メタ)クリレート
などが挙げられ、中でもポリプロピレングリコール(メ
タ)クリレート、ポリエチレングリコール・プロピレン
グリコール(メタ)クリレートが好ましい。
【0034】単量体(b)は、オキシアルキレン単位の
炭素数2〜6個、ポリアルキレングリコール部分におけ
るオキシアルキレン単位の平均繰返し数、3〜20のも
のが通常使用される。また、単量体(b)は、1種又は
2種以上を組合せて用いることができる。
【0035】単量体(c)としては、塩化ビニル、塩化
ビニリデンを各々単独又は両方が使用される。
【0036】本発明の製造方法においては、単量体
(a)、(b)及び(c)に加えて、所望によりこれら
の単量体と共重合可能な他の単量体を1種又は2種以上
重合系に共存させて重合することができる。
【0037】上記の共重合可能な他の単量体を重合系に
共存させるには、使用するその全量を重合開始前又は重
合開始後に重合系に添加する方法、使用する量の一部の
量を重合開始前に重合系に添加し、次いでその残量を重
合開始後の重合系に添加する方法など任意の方法により
行なうことができる。上記のラジカル共重合可能な他の
単量体の使用量は、任意の量であってよいが、通常単量
体(a)、(b)及び(c)の合計使用量の10重量%
以下程度である。
【0038】重合反応に使用する重合開始剤は、任意の
ものを1種又は2種以上組合せて使用でき、例えばパー
オキシエステル、ジアシルパーオキサイドなどの有機過
酸化物、2,2´アゾビスイソブチロニトリル、2,2
´−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2´−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)などのアゾ化合物、過硫酸カリ、過
硫酸ソーダ、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの無
機過酸化物などが挙げられる。
【0039】重合反応において、必要に応じて使用する
媒体は、重合方式に基いて有機溶剤、水などから1種又
は2種以上が通常選択される。上記有機溶剤としては、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族
類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの
アルコール類などが例示され、中でもアセトン、メチル
エチルケトン、トルエン、酢酸エチルなどが好ましい。
【0040】また、乳化重合、懸濁重合においては、乳
化分散安定剤として、各種界面活性剤、高分子物質(部
分ケン化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アル
キルセルロース類など)などの公知の物質が通常適宜選
択の上用いられる。重合条件については特に制限はない
が、重合温度は、30〜80℃が好ましい範囲である。
【0041】得られる共重合樹脂の平均分子量は、所望
により重合系への連鎖移動剤(メルカプタン類、メルカ
プトアルコール類などの硫黄原子を含む化合物、四塩化
炭素、トリクロロエチレン、四臭化炭素などのハロゲン
化合物、アルデヒド化合物など)の添加や、重合系に用
いる溶剤、重合系の溶剤の含有割合、重合温度及び重合
方式の選択などの手段により調節することができる。
【0042】重合装置としては、例えば塩化ビニル系樹
脂の製造に用いられるものが使用でき、加圧状態にある
重合系へ単量体、重合開始剤、媒体などを添加する場合
は、高圧ポンプなどを用いて添加することができる。
【0043】重合により得られた含フッ素樹脂は、所望
により未反応単量体の除去、析出、脱液、洗浄、瀘過、
乾燥などを経て分離された樹脂として得ることができ
る。また、溶液重合又は乳化重合で得た溶液状又はエマ
ルジョン状の樹脂は、所望により、未重合単量体、特に
塩化ビニルを除去し、かつ前記の各種添加剤をそれに添
加配合して、それぞれ溶液状又はエマルジョン状のプラ
イマーを得ることができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により説明
する。尚、以下、「%」及び「部」はいずれも重量基準
である。
【0045】実施例1 内部の酸素を窒素置換により除去した容量5リットルの
撹拌機付ステンレス製オートクレーブに、パーフロロオ
クチルメタクリレート7部、ポリプロピレングリコール
モノメタクリレート(オキシプロピレン単位の繰返し数
12)2部、酢酸エチル32部、トルエン32部、ベン
ゾイルパーオキサイド0.5部及び塩化ビニル60部を
仕込み、撹拌下、温度65℃で重合を開始した。
【0046】重合開始以降17時間かけて、パーフロロ
オクチルメタクリレート28部、ポリプロピレングリコ
ールモノメタクリレート8部、酢酸エチル18部及びト
ルエン18部を、重合系に連続して添加しながら25時
間、65℃で重合を行なった。得られた反応液の不揮発
分濃度は約50%であった。この反応液に、酢酸エチル
とトルエンの等重量混合物を添加して得た不揮発分濃度
20%の含フッ素樹脂液の粘度(B型粘度計使用、25
℃)は、150cpsであった。
【0047】得られた共重合樹脂の組成(NMRにより
測定)は、パーフロロオクチルメタクリレート単位35
%、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート単位
10%、塩化ビニル単位55%であった。また、その含
フッ素樹脂の数平均分子量(GPC法による)は、45
000であった。次いで、上記で得た含フッ素樹脂を2
0%含有する液を易剥離性塗料用プライマーとして用い
て、評価試験を行なった。結果を表3に示す。
【0048】実施例2〜16 重合条件を表1及び2のように変えた以外は実施例1と
同様にして、表1及び2に示す性状の含フッ素樹脂の2
0%液を得た。次いで、上記で得た20%液をプライマ
ーとして用いて評価試験を行なった。結果を表3及び4
に示す。
【0049】実施例17 連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2部を重合
反応系に添加して重合を開始したこと以外は、実施例1
と同様にして、表2に併記する性状の含フッ素樹脂を含
有する重合反応液を得た。この反応液に、酢酸エチルと
トルエンの等重量混合物を添加して、不揮発分濃度20
%の液を得た。次いで、上記で得た不揮発分濃度20%
の液を易剥離性塗料用プライマーとして用いて評価試験
を行なった。結果を表4に示す。
【0050】実施例18 重合温度を40℃とし、かつベンゾイルパーオキサイド
0.5部の代りにジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート0.5部を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、表2に併記する性状の含フッ素樹脂を含有する反応
液を得た。この反応液に、酢酸エチルとトルエンの等重
量混合物を添加して、不揮発分濃度20%の液を得た。
次いで、上記で得た不揮発分濃度20%の液を易剥離性
塗料用プライマーとして用いて評価試験を行なった。結
果を表4に示す。
【0051】実施例19 内部の酸素を窒素置換により除去した容量5リットルの
撹拌機付ステンレス製オートクレーブに、メチルセルロ
ース0.6部とラウリル硫酸ソーダ0.2部を溶解含有
する脱イオン水64.8部、パーフロロオクチルメタク
リレート7部、ポリプロピレングリコールモノメタクリ
レート(オキシプロピレン単位の繰返し数12)2部、
過硫酸ソーダ0.5部及び塩化ビニル60部を仕込み、
撹拌下、温度60℃で重合を開始した。
【0052】重合開始以降17時間かけて、パーフロロ
オクチルメタクリレート28部、ポリプロピレングリコ
ールモノメタクリレート8部及び脱イオン水36部を、
重合系に連続して添加しながら25時間、65℃で重合
を行なった。得られたエマルジョンの不揮発分濃度は約
50%であった。このエマルジョンに脱イオン水を加え
て不揮発分濃度が20%となるように稀釈した。この含
フッ素樹脂エマルジョンの25℃における粘度は、20
cpsであった。
【0053】得られたエマルジョン中に含有された共重
合樹脂の組成及び数平均分子量を表2に示す。次いで、
上記で得た含フッ素樹脂を20%含有するエマルジョン
をプライマーとして用いて評価試験を行なった。結果を
表4に示す。
【0054】実施例20〜22及び比較例1〜7 重合条件を表2に示すようにしたこと以外は実施例1と
同様にして、表2に併記する性状の含フッ素樹脂を含有
する反応液を得た。この反応液に、酢酸エチルとトルエ
ンの等重量混合物を添加して、不揮発分濃度20%の液
を得た。次いで、上記で得た不揮発分濃度20%の液を
易剥離性塗料用プライマーとして用いて評価試験を行な
った。結果を表4に示す。
【0055】比較例8 プライマーを使用せずに、プライマーの評価試験方法の
iii)及びiv)項に基づく測定を行なった。結果を
表4に示す。
【0056】プライマーの評価試験方法 i)粘度(単位:cps/25℃) 25℃のプライマーの粘度をB型回転粘度計により測
定。
【0057】ii)溶液外観 プライマー(25℃)を約300mlの透明ガラス容器
に入れて、全体的なゲル化、不溶解物、凝集物などの有
無を目視観察し、いずれも無しであるものを溶液外観正
常とした。また、プライマーがエマルジョン状である場
合は、上記容器内での観察のほか、透明ガラス板に塗布
した状態での観察も併せて行なった。尚、溶液外観が正
常でないプライマーについては、他のプライマー物性の
評価試験は行なわなかった。
【0058】iii)剥離抗力(単位:g/cm) iii)−1 木綿製厚布(70×150mm、経糸16本/cm、緯
糸13本/cmの織物密度を有し、単位面積当りの重量
が約0.04g/cm2 であり、粗面を有する綿カンバ
ス)を、厚さ1mmの鋼板の上に、シワができないよう
に張って固定する。次いで、この固定された厚布上の片
面全体に、乾燥塗布量が約30〜40g/m2 となるよ
うにプライマーを刷毛塗りした後、23℃の雰囲気中で
3時間(プライマーがエマルジョンの場合は23℃で6
時間)風乾した。次いで、このプライマーの塗膜面上
に、下記組成のポリビニルブチラール樹脂(PVB)系
易剥離性塗料を、乾燥時塗膜厚が約150μmとなるよ
うに刷毛塗りし、23℃の雰囲気中に48時間放置乾燥
した。以上のようにして鋼板に固定された厚布の表面に
プライマー塗膜及びその上にPVB系易剥離性塗料塗膜
をもうけた剥離抗力測定用試料を得た。
【0059】 PVB系易剥離性塗料の組成 PVB樹脂 100部 (平均重合度 830、ビニルブチラール部分 77.7%) エタノール 330部 トリクレジルホスヘート 50部 レシチン 2.2部 酸化防止剤 1部 (チバガイギー社製、商品名 イルガノックス 1010)
【0060】iii)−2 塗料塗布48時間後の剥離
抗力(単位:g/cm) 上記iii)−1で得た試料から易剥離性塗料の塗膜を
180°剥離する際の抗力を、23℃の雰囲気下でJI
S K 1708に準拠して測定した。
【0061】iii)−3 ウエザーメーター400時
間処理後の剥離抗力(単位:g/cm) 上記iii)−1で得た試料の塗膜をもうけた面に対
し、サンシャインスーパーロングライフウエザーメータ
ー(スガ試験機社製、型番WEL−SUN−HCH)を
用いて、カーボンアーク光照射120分後、散水18分
の繰返し処理(被処理面の表面温度63℃)を400時
間行なったものを試料とした。
【0062】上記処理を行なった試料の片面にもうけら
れた易剥離性塗料の塗膜を180°剥離する際の抗力
を、23℃の雰囲気下でJIS K 1708に準拠し
て測定し、得られた値をウエザーメーター400時間処
理後の塗膜剥離抗力(g/cm)とした。
【0063】iv)剥離作業性 (イ)基体が鋼板の場合 表面脱脂処理SPCC鋼板(30×30cm)の片面全
体にプライマーを、乾燥塗布量が約30〜40g/m2
となるように刷毛塗りした後、23℃の雰囲気中で3時
間(プライマーがエマルジョンの場合は6時間)放置乾
燥する。次いで、上記で鋼板上にもうけたプライマー塗
膜の面上に前記PVB系易剥離性塗料、又は塩化ビニル
−酢酸ビニル系共重合樹脂(VC−VAC)の溶液型易
剥離性塗料〔関西ペイント社製、商品名「ストリップペ
イントグリーン」、樹脂分21%、ケトン系溶剤71.
7%、その他(可塑剤、添加剤、着色剤)7.3%〕、
又は接着剤用酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂(EV
A)の水系エマルジョン(酢酸ビニル82%、エチレン
18%、不揮発分約55%)を、刷毛塗りして、その塗
膜(乾燥厚さ約150μm)をもうけた。この鋼板を2
3℃の雰囲気中で48時間風乾した。
【0064】放置乾燥後、鋼板の各外縁から0.5cm
内側の塗膜上に各外縁と並行して鋭利な刃物により鋼板
面にまで達する線状の切れ目を入れる。次いで、各外縁
部の幅約0.5cmの塗膜を除く内側の塗膜(約29.
5×29.5cm)を、手で一気に鋼板より剥離し、剥
離作業性を後記基準に従い評価する。
【0065】(ロ)基体が厚布の場合 50×50cmの木綿製厚布(経糸16本/cm、緯糸
13本/cmの織物密度を有し、単位面積当りの重量が
約0.04g/cm2 であり、粗面を有する綿カンバ
ス)を、厚さ12mmの平板状の合板の上に、シワがで
きないように張って固定する。次いで、この固定された
厚布上の全面に、乾燥塗布量が約30〜40g/m2
なるようにプライマーを刷毛塗りした後、23℃の雰囲
気中で3時間(プライマーがエマルジョンの場合は、2
3℃で6時間)風乾した。
【0066】この厚布のプライマーを塗布した面上に、
それに密着させて長さ約60cmの4本の細い銅線を各
々が30cm×30cmのほぼ正方形を形づくるように
張る。表面に4本の銅線が密着している厚布全体の表面
を、前記(イ)で用いたと同じPVB系塗料又はVC−
VAC系塗料、又はEVAエマルジョンを、スプレー法
により2回塗装してその塗膜をもうけた。これを23℃
の雰囲気中で48時間風乾した。
【0067】放置乾燥後、銅線に沿って両側の塗膜面上
を直線定規で押えた状態で4本の銅線の片端を1本ずつ
順次塗料の塗膜面側にゆっくりと引上げていくことによ
り、銅線のあった部分の塗膜を切断して、厚布上に約3
0×30cmのほぼ正方形に切断された塗膜を得た。次
いで、各外縁部を除く内側の塗膜(約30cm×30c
m)を、手で一気に厚布より剥離し、剥離作業性を下記
基準に従い評価した。
【0068】剥離作業性の評価基準〔上記(イ)及び
(ロ)に共通〕 ◎…放置中に自然剥離しておらず、全体を連続した膜と
して大きな抵抗なく剥離できる。 ○…剥離にやや抵抗があるあるいは一部に自然剥離が認
められるものの、全体を連続した膜として剥離できる。 ×…膜が剥離できない、膜が破断してしまい全体が連続
した膜として剥離できない、膜の一部が破れて剥離され
ずに残る、あるいは放置中に塗膜面積の半分以上が自然
剥離している。
【0069】v)プライマー塗膜面のベタツキ 前記iii)−1と同様にして、プライマーを塗布し、
放置乾燥したプライマーの塗膜面を、指で触れた時の感
触を下記基準で示す。
【0070】プライマー塗膜面のベタツキの評価基準 ◎…ベタツキなく、滑る感じがする。 ○…わずかベタツキあるが、滑る感じがする。 ×…ベタツキあり。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】表1及び2の略号の説明 1.単量体 PFOMA:パーフロロオクチルメタクリレート PFOA: パーフロロオクチルアクリレート TFEMA:2,2,2−トリフロロエチルメタクリレ
ート PPGMA−1:ポリプロピレングリコールメタクリレ
ート、n=12 PPGMA−2:ポリプロピレングリコールメタクリレ
ート、n=6 PPGA:ポリプロピレングリコールアクリレート、n
=12 PEGPPGMA:ポリエチレングリコール・ポリプロ
ピレングリコールメタクリレート、n=10 オキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=7/3
(モル比) PGMA:プロピレングリコールメタクリレート、n=
【0076】2.重合開始後添加単量体の添加方法 :重合開始後17時間にわたり連続添加。 :重合開始4時間後に第1回目を添加し、以降4時間
毎に添加し、合計4回にわたり等重量ずつ分割添加。
【0077】
【発明の効果】本発明のプライマーは、その塗膜上にも
うけた易剥離性塗料塗膜の易剥離性を大幅に向上させ
る。たとえ、プライマー塗膜及び易剥離性塗料塗膜をも
うけた基体の面が粗面などの低い剥離性を示す面であっ
ても、更に塗膜をもうけたその基体を長期間厳しい条件
下に曝した後であっても、易剥離性塗料塗膜の高い剥離
作業性を示すという優れた効果を発揮する。また、本発
明の製造法により、上記プライマーに用いて優れた効果
を発揮する含フッ素共重合樹脂を容易に得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西島 昭夫 群馬県渋川市中村1135 電気化学工業株 式会社 渋川工場内 (56)参考文献 特開 昭51−2738(JP,A) 特公 昭45−432(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)フルオロアルキル基を有するアク
    リル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位が10
    〜65重量%、(b)ポリアルキレングリコールアクリ
    レートまたはポリアルキレングリコールメタクリレート
    単位が5〜40重量%、(c)塩化ビニルおよび/また
    は塩化ビニリデン単位が30〜85重量%からなる、数
    平均分子量が1万〜10万の含フッ素共重合樹脂を含有
    することを特徴とする易剥離性塗料用プライマー。
  2. 【請求項2】 (a)フルオロアルキル基を有するアク
    リル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、(b)ポ
    リアルキレングリコールアクリレートまたはポリアルキ
    レングリコールメタクリレート両成分各々の使用量の3
    〜50重量%と、使用する(c)塩化ビニルおよび/ま
    たは塩化ビニリデンの全量を含有する系で重合を開始
    し、(a)、(b)各成分各々の残量を重合開始後に該
    重合系へ添加して重合することを特徴とする請求項1記
    載の含フッ素共重合樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記(a)、(b)各成分各々の残量を
    重合開始後に連続してまたは複数回に分割して重合系に
    添加して重合する請求項2記載の含フッ素共重合樹脂の
    製造方法。
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