JP3143512B2 - メラニン生成抑制剤及びその製造方法 - Google Patents

メラニン生成抑制剤及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チロシナーゼ活性阻害
作用を有し、皮膚の美肌効果、シミ・ソバカスなどの防
止効果に優れたタキオシドを有効成分とするメラニン生
成抑制剤及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】皮膚のシミ・ソバカス、肌荒れの原因と
しては不明な点も多いが、メラニン生成等による色素沈
着もその要因の1つとして挙げられている。美肌効果,
シミ・ソバカスの防止効果、肌荒れ防止効果を有する物
質としては、コウジ酸,アルブチン等が既に知られてお
り(特公昭56−18569号公報、特開昭60−56
912号公報)、様々な美白化粧料やシミ・ソバカス防
止を目的とする医薬部外品の基剤として適用されてい
る。又古くから黒糖及びその抽出物の美肌効果について
もよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、その効果が
従来知られていなかったタキオシドを有効成分とするメ
ラニン生成抑制剤及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明にかかわるメラニ
ン生成抑制剤は下記構造式(1)で示されるタキオシド
(3−メトキシ−4ハイドロキシフェニル−β−D−グ
ルコース)を有効成分とするものである。
【式1】
【0005】本発明にかかわるメラニン生成抑制剤(以
下剤という)の有効成分であるタキオシドは植物中に配
糖体として見い出されており(phytochemistry, 26, 28
11,1987)、一般的な化学合成法によっても得られるも
のであるが、廃糖蜜を水に溶解し合成吸着剤と接触させ
た後、液相と分離した合成吸着剤を20〜30重量%濃
度のアルコールで洗浄し、次いで80〜85重量%濃度
のアルコールで洗浄して該アルコール溶液として分離す
ることにより容易に製造することができる。
【0006】以下剤の製造方法について詳述する。まず
廃糖蜜を水に溶解して希釈し、遠心分離又は瀘過により
夾雑物を除いた後、合成吸着剤と接触させて廃糖蜜中の
糖分及び極性物質以外の着色物質をはじめとする非極性
物質を吸着させた後水洗して糖分を洗い流し、20〜3
0重量%濃度のアルコールを適量、例えば担体(合成吸
着剤)量の5倍流して20〜30重量%アルコール溶離
画分を除く。更に80〜85重量%濃度のアルコールを
適量、例えば担体量の5倍量流し、タキオシドを含む画
分を溶離させ回収する。最終的には、80〜85重量%
濃度アルコール溶離液を減圧下で蒸発乾固することによ
り粉末状の剤が回収される。
【0007】最初に使用するアルコール濃度を20〜3
0重量%とする理由は、20重量%未満では不純物の除
去が不十分で、一方30重量%を越えると有効成分であ
るタキオシドの溶離量が多くなり収率が低下するからで
ある。
【0008】次いで使用するアルコール濃度を80〜8
5重量%とする理由は、80重量%未満では有効成分で
あるタキオシドの溶離量が少なく収率が低下し、一方8
5重量%を越えるとタキオシド以外の成分も溶離して純
度が低下するからである。
【0009】合成吸着剤としては表面が非極性の合成吸
着剤を用いる。表面が非極性の合成吸着剤としては、ス
チレンとジビニルベンゼンとから重合された多孔性ポリ
マーが例示され、XADタイプ(ローム・アンド・ハー
ス社製),HPタイプ(三菱化成社製)などがある。好
ましくはHPタイプのHP−20がよい。
【0010】上記合成吸着剤の使用例としては、合成吸
着剤をカラムに充填しカラム方式で通液するとか、被処
理液に合成吸着剤を加え撹拌して接触させ吸着後瀘別す
るとかすればよい。表面が非極性の合成吸着剤には液中
の無機イオンは吸着されず、非極性の糖蜜色素その他の
有機物が吸着される。吸着剤に付着する糖分を水洗して
除いた後、含水アルコールによる前記2段階抽出により
吸着剤から剤を溶離させる。アルコールとしてはエタノ
ールのほか、メタノールを用いても良い。
【0011】使用済の吸着剤は95重量%濃度以上のア
ルコール又は50重量%濃度アセトンにて残留吸着物を
溶離させることにより吸着剤を再生して再利用できる。
用いる原料としては廃糖蜜の外、粗糖、黒糖を用いても
良い。
【0012】本発明に示されるタキオキシドを有効成分
とする剤は美白化粧料やシミ・ソバカス防止の為の医薬
部外品の基剤として適用しうる。皮膚の着色原因となる
メラニン生成の作用機構は次のようなものと推定されて
いる。アミノ酸であるチロシンが酵素チロシナーゼの作
用によりドーパを経てドーパキノンとなり、これが酵素
又は非酵素的に酸化重合されてメラニン生成にいたる。
従って反応の第1段階であるチロシナーゼの作用を阻害
又は抑制することによりメラニン生成を抑制しうるもの
と考えられる。既にその効果を応用した例としてコウジ
酸、アルブチンが知られている。
【0013】タキオシドは、試験例1に示すようにチロ
シナーゼ活性阻害効果を有することからメラニン生成抑
制効果を有することは明らかである。従ってタキオシド
を有効成分とする本発明の剤も同様な効果を有すること
は明らかである。
【0014】本剤は様々な美白化粧料やシミ・ソバカス
防止を目的とする医薬部外品に配合して使用することが
できる。本剤の配合量は任意に選択されるが、試験例3
の結果に基づいて述べるならば、一般的に0.1〜30
重量%,好ましくは 1.0〜10重量%である。また
本剤は他の保湿剤、増粘剤、防腐剤、香料、水、アルコ
ール剤、キレート剤、PH調整剤と共に適宜配合しう
る。
【0015】以下、実施例及び試験例を示して本発明を
説明する。
【0016】
【実施例1】国産原料廃糖蜜(沖縄産)500gを水に
溶解して固形分濃度を20重量%とし、3,000rp
mで15分間遠心分離し夾雑物を除いて清澄液とした。
次いで合成吸着材(ダイヤイオンHP−20)100g
を水400mlに分散させて充填した内径4cmのカラ
ムに前記清澄液を1.4ml/分の速度で流下させ吸着
させた。次にカラムに水を流下させ糖分がなくなるまで
水洗脱糖した後、担体(合成吸着材)の5倍量の20重
量%エタノールを1.2ml/分で流下させ20重量%
エタノール溶離画分を吸着剤より溶離させた。次に担体
の5倍量の80重量%エタノールを1.2ml/分で流
下させ、80重量%エタノール溶離画分を吸着剤より溶
離させた。80重量%エタノール溶離液を50℃以下で
減圧濃縮乾固し、残留物を真空加熱乾燥後粉末状の剤1
9.9gを得た。この粉末状剤中のタキオシド含有量は
50重量%であった。
【0017】
【精製試験】実施例1で得られた剤600mgを99.
5重量%濃度エタノールに溶解し、不溶解部を除去し5
0℃以下で減圧濃縮乾固後、クロロホルム−エタノール
(10:1v/v)に溶解させ溶解部と不溶部に分け
た。溶解部を減圧濃縮乾固後、シリカゲル(和光C−6
0)200mlをアセトニトリル−水(9:1v/v)
を用いて充填した径3cmのカラムでアセトニトリル−
水(9:1v/v)を展開溶媒としてタキオシドを含む
画分を採取し、脱溶媒後、微黄色の粉末90mgを得
た。これを再度シリカゲル(和光C−60)10mlを
充填したミニカラムを用いて同様にして精製し、脱溶媒
後白色粉末結晶50mgを得た。薄層クロマトグラフィ
ー(プレート;キーゼルゲル60F254:メルク社,
展開相;クロロホルム−メタノール(9:1v/v),
発色剤;バニリン−H2SO4 )の結果、Rf値0.1に桃
赤色の単一スポットを認めた。このものの融点は212
〜213℃であり、質量スペクトル、 1H及び13C−核
磁気共鳴スペクトル(NMR)及び旋光度の測定結果も
文献値(和漢医薬誌,7,168〜172,1990)
と一致しており、このものがタキオシドであることを確
認した。
【0018】
【実施例2】20重量%濃度エタノールの代りに30重
量%濃度のエタノールを用いた以外は実施例1と同様の
操作を行って粉末状の剤22.0gを得た。この粉末状
剤中のタキオシド含有量は55重量%であった。
【0019】
【比較例1】20重量%濃度エタノールの代りに40重
量%濃度のエタノールを用いた以外は実施例1と同様の
操作を行って粉末状の剤8.0gを得た。この粉末状剤
中のタキオシド含有量は6重量%であった。
【0020】
【比較例2】20重量%濃度エタノールの代りに60重
量%濃度のエタノールを用いた以外は実施例1と同様の
操作を行って粉末状の剤5.0gを得た。この粉末状剤
中のタキオシド含有量は4重量%であった。
【0021】
【試験例1】実施例1で得られた剤及び精製試験で得ら
れたタキオシド粉末を用いてメラニン生成抑制の指標と
してチロシナーゼ活性阻害試験を実施した。比較の為ア
ルブチン(和光純薬)を同時に試験した。チロシナーゼ
活性阻害試験はチロシンを基質として以下に示す手順で
行った。 1.試料;実施例1で得られた剤(タキオシド含有量5
0重量%)、精製試験で得られたタキオシド粉末及びア
ルブチンの0.043重量%,0.43重量%及び4.
3重量%水溶液。 2.基質溶液;チロシン(和光純薬)3mgを水10m
lに溶解した。 3.酵素溶液;チロシナーゼ(3870u/mg:シグ
マ社)3mgをMC−バッファーに溶解して20mlと
した。 4.測定;基質溶液3ml及びMC−バッファー3ml
を試験管に採取し、各試料及び比較用試料液2.7ml
を加えた後、37℃で10分間放置した。これにチロシ
ナーゼ溶液0.3mlを加え 475nmの吸光度を測
定し、15分間37℃に保温し反応させた後 同様に吸
光度を測定した。同時に試料の代りに水を用いて空試験
を行った。阻害率を式2により求めた。
【式2】 ここで A ;試料を添加した場合の吸光度(反応前) A′;試料を添加した場合の吸光度(反応後) a ;空試験の吸光度(反応前) a′;空試験の吸光度(反応後) である。結果を表1に示す。
【表1】
【0022】その結果、表1に示したように、精製試験
により得られたタキオシドの純品はもとより、実施例1
で得られた剤はチロシナーゼ活性阻害効果を有すること
が明らかであり、メラニン生成抑制効果を有する。
【0023】
【試験例2】実施例1,2及び比較例1,2の80重量
%エタノール溶出画分の高速液体クロマトグラフィー
(カラム;Deverosil ODS−5,12φ×235m/
m,移動相;メタノール−水(7:3v/v),流速;
2ml/分,検出;UV285nm)によるタキオシド
含有量の測定結果及び濃度0.13重量%水溶液のチロ
シナーゼ活性阻害の測定結果を表2に示した。
【表2】
【0024】その結果、表2に示したように、有効成分
であるタキオシドを多量に含みチロシナーゼ活性阻害の
高い剤は実施例1,2に示した方法によるものであっ
た。
【0025】
【試験例3】色黒、シミ、ソバカスに悩む被験者30人
をパネルとし、1群15名とし、実施例1で得た剤を含
む化粧水(A)と含まない対照化粧水(B)を表3に示
した処方により作成し、3ケ月間連用させた場合の美白
効果を試験した。その結果、表3に示したように、本発
明の剤を含む化粧水(A)の方が対照化粧水(B)と比
較して明らかに有効であった。
【表3】
【0026】
【発明の効果】安価な廃糖蜜を原料としてメラニン生成
抑制剤が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C12N 9/99 C12N 9/99 (56)参考文献 特開 平3−145424(JP,A) 特開 昭62−89608(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/48 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タキオシドを有効成分とするメラニン生
    成抑制剤。
  2. 【請求項2】 廃糖蜜を水に溶解し合成吸着剤と接触さ
    せた後、液相と分離した合成吸着剤を20〜30重量%
    濃度のアルコールで洗浄し、次いで80〜85重量%濃
    度のアルコールで洗浄して該アルコール溶液として分離
    することを特徴とするタキオシドを有効成分とするメラ
    ニン生成抑制剤の製造方法。
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