JP3147315B2 - 熱液晶ポリエステルおよびそれからなる成形品 - Google Patents

熱液晶ポリエステルおよびそれからなる成形品

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JP3147315B2 JP19695991A JP19695991A JP3147315B2 JP 3147315 B2 JP3147315 B2 JP 3147315B2 JP 19695991 A JP19695991 A JP 19695991A JP 19695991 A JP19695991 A JP 19695991A JP 3147315 B2 JP3147315 B2 JP 3147315B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形性の改良された光学
的に異方性の溶融相を形成する共重合ポリエステル、お
よびそれからなる酸素バリヤー性に優れた成形品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、とりわけポリエチレンテ
レフタレート(以下PETと略称することがある)は、
衛生性、保香性、加工性等の優れた性質を有しているた
めに、醤油、ソース等の調味料、ジュース、コーラ、ラ
ムネ等のソフトドリンク、生ビール、化粧品、医薬品な
どの容器として広く利用されている。さらに上記のよう
な性能に加えて、ガラスよりも軽量であること、適度の
耐圧力性、ガスバリヤー性を有することから、今後ガラ
ス瓶の代替としての一層の伸長が期待されている。しか
しながら、ガラス瓶代替として最も市場が大きいと予想
されるラガービール、ワイン等ではシェルフライフが長
くなること、また炭酸飲料等では容器の小型化により内
容量当たりの容器の表面積が増大することから、外部か
らの酸素の侵入や炭酸ガスの散逸をさらに減少させるた
めに容器のガスバリヤー性の向上が強く要望されてい
る。PET自体のガスバリヤー性の改良については、す
でにかなりのハイレベルにあること、また容器成形性能
や耐圧力性等の機械的性質を損なうことなく改良する必
要があることから、その実現はきわめて困難である。従
来PET容器のガスバリヤー性を改良する方法は種々提
案されている。例えば、容器の内外層にポリ塩化ビニリ
デン等をコーティングする方法や、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物等を用いて2層〜5層の多層構造と
する方法(特開昭56−77143号公報)等が提案さ
れているが、これらの方法は従来のポリエステルの成形
設備にさらにコーティングや多層容器とするための設備
が必要となり工業上不利であるばかりでなく、異種のポ
リマーを用いるために多層容器の場合には層間剥離を起
こしやすい点、さらには使用済みの容器の回収再利用や
焼却等についても不都合な点を有している。またあらか
じめポリエステルとナイロン等の異種ポリマーをブレン
ドしたものから容器を製造する方法も提案されている
(特公昭53−33618号公報、特開昭56−648
39号公報)。この場合、既存の設備で容器の製造は可
能であるが、容器の物性低下を伴うことと、回収再利用
の点から不利である。
【0003】一方、光学的に異方性の溶融相を形成する
いわゆるサーモトロピック液晶ポリマーをガスバリヤー
材として用いる方法も近年提案されている(特開昭61
−192762号公報、特開昭62−119265号公
報、特開昭62−187033号公報、特開昭64−4
5242号公報、特開平1−288421号公報)。ま
た、Polym.Prepr.(Am.Chem.So
c.,Div.Polym.Chem.),30
(1),3−4(1989)には、40モル%のポリエ
チレンテレフタレートと60モル%の4−アセトキシ安
息香酸とから製造されるサーモトロピック液晶ポリマー
より得られる溶融押出しフイルムの35℃での酸素ガス
透過量は36ml・20μ m/m↑2・day・atm
であることが報告されている。
【0004】なお、特公昭56−18016号公報に
は、式−OC−R↓1−CO−O−R↓2−O−(ここで
R↓1は炭素数4〜20の脂環族2価ラジカル、炭素数
1〜40の脂肪族2価ラジカル、または少なくとも3個
の炭素原子で隔てられたカルボニル結合をもつ炭素数6
〜16の芳香族2価ラジカルを、R↓2は炭素数2〜4
0の脂肪族2価ラジカル、炭素数4〜20の脂環族2価
ラジカル、炭素数6〜20の芳香族2価ラジカルまたは
分子量200〜8000のポリ(アルキレンオキシド)
2価ラジカルを示す)で表される繰り返し単位を有する
ポリエステルとアシルオキシ芳香族カルボン酸とを反応
させることによる共重合ポリエステルの製造方法が開示
されているが、アシルオキシ芳香族カルボン酸として
は、具体的にはアシルオキシ安息香酸類が例示されてい
るのみである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提
案されているサーモトロピック液晶ポリマーを酸素バリ
ヤー用の成形体として用いる場合には多くの問題点があ
る。すなわち、第一の問題点としては、従来提案されて
いるサーモトロピック液晶ポリマーから得られる成形品
は概して結晶化度が高く、力学的物性の異方性が大であ
り、伸度が小であり実質的には延伸が不可能である点で
ある。従って、このようなポリマーから酸素バリヤー用
の各種の成形体、例えば、フイルム、シート、ボトル、
カップ、トレイ、袋等に成形加工することは非常に困難
である。
【0006】そのため、特開昭62−187033号公
報では熱(サーモトロピック)液晶ポリエステルからな
る層と少なくともその片面にポリエチレンテレフタレー
ト成分を含有するポリエステルからなる層を有する積層
延伸成形品が提案されている。該公報中には(光学的に
異方性を形成しない)ポリエステルからなる層と熱液晶
ポリエステルからなる層の厚み比は、積層延伸成形品の
全厚みに対してポリエステル層が50〜98%、熱液晶
ポリエステル層が2〜50%、好ましくは5〜20%で
あることが開示されており、熱液晶ポリエステル層が5
0%以上である場合には、ポリエステル単独で延伸した
場合に比べて延伸させにくいと記載されている。一方、
力学物性の異方性の小なる成形品を与えるサーモトロピ
ック液晶ポリマーに関する提案もなされている。例え
ば、特開昭60−28428号公報には、テレフタロイ
ル基、1,3−ジオキシフェニレン基および2−置換−
1,4−ジオキシフェニレン基からなるサーモトロピッ
ク液晶ポリエステルが提案されている。このように、イ
ソ骨格、および置換基の導入により、サーモトロピック
液晶ポリマーの成形性が向上し、必ずしも充分ではない
が、各種の成形体を製造することは容易となる方向では
ある。
【0007】また、従来提案されているサーモトロピッ
ク液晶ポリマーを酸素バリヤー用の成形体として用いる
場合に生じうる第二の問題点としては、サーモトロピッ
ク液晶ポリマーから得られる成形品の中には、酸素バリ
ヤー性が必ずしも充分に高いとは言い難いものも含まれ
ていることである。例えば前述したPolym.Pre
pr.(Am.Chem.Soc.,Div.Poly
m.Chem.),30(1),3−4(1989)に
記載された40モル%のポリエチレンテレフタレートと
60モル%の4−アセトキシ安息香酸とから製造される
サーモトロピック液晶ポリマーから得られるフイルムの
酸素ガス透過量は、36ml・20μm/m↑2・da
y・atmであることが報告されているように、該ポリ
マーは必ずしも高性能の酸素バリヤー材とは言えないレ
ベルである。また本発明者等の検討によると、前述の特
開昭60−28428号公報に記載されたサーモトロピ
ック液晶ポリエステルから得られるフイルムの酸素バリ
ヤー性も、必ずしも高いレベルではないことが判明し
た。
【0008】また、特開昭62−68813号公報に
は、p−アセトキシ安息香酸と6−アセトキシ−2−ナ
フトエ酸とのアセトキシ芳香族カルボン酸混合物をポリ
エチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレ
ートと反応させることにより得られる共重合ポリエステ
ルが開示されており、アセトキシ芳香族カルボン酸とし
てp−アセトキシ安息香酸のみを用いた場合に較べて曲
げ強度、曲げ弾性率、および熱変形温度が改善されると
記載されている。しかしながら、かかる公報には、該共
重合ポリエステルからなる包装材料も容器も記載されて
おらず、しかも、該共重合ポリエステルが優れたガスバ
リヤー性、成形性(延伸性)、低温流動性などの優れた
特性を有するか否かについてさえも何ら開示されていな
い。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような状況に鑑み、
本発明者等は、従来の熱液晶ポリマーが達成し得ない優
れた成形性を有し、かつ成形品において高度なガスバリ
ヤー性を備えた熱液晶ポリマーおよびそれからなる成形
品を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成す
るに至った。
【0010】すなわち本発明は、第一に新規な熱液晶ポ
リエステルを提供するものであり、それは、実質的に下
記化5
【0011】
【化5】
【0012】で示される構成単位(1)、下記化6
【0013】
【化6】
【0014】で示される構成単位(2)、下記化7
【0015】
【化7】
【0016】で示される構成単位(3)および下記化8
【0017】
【化8】
【0018】で示される構成単位(4)からなり、構成
単位(1)と構成単位(2)を実質的に等しいモル数で
含み、構成単位(1)および構成単位(2)の合計量が
15〜90モル%、構成単位(3)および構成単位
(4)の合計量が10〜85モル%であり、構成単位
(3)および構成単位(4)の合計量に対する構成単位
(3)の割合が10モル%以上である熱液晶ポリエステ
ルである。
【0019】本発明は、第二に、改善されたガスバリヤ
ー性、とりわけ高度の酸素バリヤー性を有する成形品を
提供するものであり、その成形品は本発明の新規な熱液
晶ポリエステルからなる成形品である。尚、本明細書に
おいて用いられる用語「成形品」とは主として飲食品、
医薬品等の包装用途に適する成形物品を意味する。この
ような成形物品は本発明の熱液晶ポリエステルを成形し
て得られるシート;フイルム;ボトル、トレイ、カッ
プ、袋等の有底容器などを含む。
【0020】以下本発明を詳細に説明する。本発明の熱
液晶ポリエステルの構成単位(1)は、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、あるいはそのエステル形成性誘導体
によって導入されるような2,6−ナフタレンジカルボ
ニル基である。構成単位(1)の一部、好ましくは構成
単位(1)の20モル%以下は、他のジカルボン酸また
はそのエステル形成性誘導体によって導入されうる構成
単位に置き換えられていてもよい。他のジカルボン酸と
しては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。また得
られるポリエステルが溶融成形可能である範囲内の量で
あれば、構成単位(1)の一部をトリメリット酸、トリ
メシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸または
そのエステル形成性誘導体によって導入されうる構成単
位に置き換えることも可能である。
【0021】また、本発明の熱液晶ポリエステルにおけ
る構成単位(2)とは、エチレングリコールにより導入
されるようなエチレンジオキシ基であるが、その一部、
好ましくは構成単位(2)の20モル%以下は、他のグ
リコールにより導入されうる構成単位に置き換えられて
いてもよい。エチレングリコール以外のグリコールとし
ては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
o−、m−またはp−キシリレングリコールなどが挙げ
られる。また得られるポリエステルが溶融成形可能であ
る範囲内の量であれば、構成単位(2)の一部を、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロ
パン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールによ
り導入されうる構成単位に置き換えることも可能であ
る。
【0022】本発明の熱液晶ポリエステルにおける構成
単位(1)および(2)は、通常は、主たる出発物質と
して2,6−ナフタレンジカルボン酸、またはそのエス
テル形成性誘導体とエチレングリコールを用いる反応に
よって得られるポリエチレンナフタレート系のポリエス
テルを原料のひとつとして用いることによって本発明の
熱液晶ポリエステルの分子中に導入される。
【0023】本発明の熱液晶ポリエステルの製造におい
て用いるポリエチレンナフタレート系のポリエステル
は、従来ポリエチレンナフタレートの製造に際して提案
されている方法で製造することができる。例えば、ジカ
ルボン酸とグリコールとをエステル化反応したあと重縮
合する方法、ジカルボン酸エステルとグリコールとをエ
ステル交換したあと重縮合する方法等によって得られ
る。その際、エステル化触媒、エステル交換触媒、重縮
合触媒、安定剤等を使用することが好ましい結果を与え
る場合があるが、これらの触媒、安定剤等としては、ポ
リエステル、特にポリエチレンナフタレートの製造にお
いて使用しうる触媒、安定剤等として知られているもの
を用いることができる。例えば、これらの反応を促進す
る触媒としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、亜鉛、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウ
ム、チタン、アンチモン等の金属化合物が、また安定剤
としてはリン酸、リン酸エステル類、亜リン酸、亜リン
酸エステル類などのリン化合物を例示することができ
る。さらに、必要に応じて他の添加剤(着色剤、紫外線
吸収剤、光安定化剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進
剤等)を添加することもできる。
【0024】本発明の熱液晶ポリエステルを製造する際
に原料ポリエステルとして用いるポリエチレンナフタレ
ート系ポリエステルの重合度に関しては、特に規定はな
いが、フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶媒
中、30℃で測定した極限粘度が0.01〜1.5dl
/gのものを用いることが望ましい。
【0025】構成単位(1)および構成単位(2)は、
それらの合計量において熱液晶ポリエステル中、15〜
90モル%の範囲内、好ましくは25〜85モル%の範
囲内、より好ましくは30〜80モル%の範囲内で存在
する。
【0026】本発明の熱液晶ポリエステルにおける構成
単位(3)および構成単位(4)は、それぞれ、6−ヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性
誘導体により導入されるような6−オキシ−2−ナフト
イル基およびp−ヒドロキシ安息香酸もしくはそのエス
テル形成性誘導体により導入されるような4−オキシベ
ンゾイル基である。構成単位(3)および構成単位
(4)の一部、好ましくはそれらを合わせたものの10
モル%以下は、他のヒドロキシ芳香族カルボン酸または
そのエステル形成性誘導体によって導入されうる構成単
位に置き換えられていてもよい。6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸およびp−ヒドロキシ安息香酸以外のヒドロ
キシ芳香族カルボン酸としては、例えば、m−ヒドロキ
シ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−クロロ安息香酸、4
−ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸、4−ヒドロ
キシ−3−メチル安息香酸、7−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸、4−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、5−ヒドロ
キシ−1−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0027】また、本発明の熱液晶ポリエステルにおい
て、構成単位(3)および構成単位(4)の含有量の合
計は、10〜85モル%の範囲が適当であり、好ましく
は15〜75モル%であり、より好ましくは20〜70
モル%である。構成単位(3)および構成単位(4)の
含有量の合計が85モル%を越えると、溶融重合が困難
となること、成形性が著しく損なわれることなどの不都
合が生じ、10モル%未満であると、得られるポリエス
テルは熱液晶を形成せず、ガスバリヤー性が大きく低下
するので好ましくない。
【0028】また、構成単位(3)および構成単位
(4)の合計量に対する構成単位(3)の量の割合が1
0モル%以上であることが必要であり、このことによ
り、酸素ガスバリヤー性に極めて優れた成形品を与える
ポリエステルが得られる。
【0029】本発明の熱液晶ポリエステルにおける構成
単位(3)および構成単位(4)は、通常対応するアシ
ルオキシカルボン酸を原料として用いることによりポリ
マー分子中に導入される。アシルオキシカルボン酸とし
ては、対応するヒドロキシカルボン酸と無水酢酸との反
応によって得られるようなアセトキシカルボン酸が好ま
しい。
【0030】本発明の熱液晶ポリエステルは溶融相にお
いて液晶を形成する(光学的異方性を示す)性質を有す
る。溶融相におけるこのような光学的異方性の確認は、
当業者によく知られているように、加熱装置を備えた偏
光顕微鏡を用いて、直光ニコル下で試料の薄片、好まし
くは5〜20μm程度の薄片をカバーグラス間にはさみ
一定の昇温速度下で観察し、一定温度以上で光を透過す
ることを見ることにより行ない得る。尚、本観察におい
ては高温度下でカバーグラス間にはさんだ試料に軽く圧
力を加えるか、あるいはカバーグラスをずり動かすこと
によってより確実に偏光の透過を観察し得る。本観察に
おいて偏光の透過し始める温度が、光学的に異方性の溶
融相への転移温度である。溶融成形の容易さの点から、
この転移温度は350℃以下、より好ましくは300℃
以下であることが望ましい。
【0031】本発明の熱液晶ポリエステルの光学的に異
方性の溶融相への転移温度は、従来提案されている熱液
晶ポリエステルとは異なり、示差走査熱量計により決定
することは難しい。すなわち、あとの実施例から明らか
なように、本発明のポリエステルを示差走査熱量計によ
り測定した場合には、組成によっては明確な吸熱ピーク
が観測されない場合があり、例え吸熱ピークが観測され
る場合にも、該ピークは必ずしも、結晶から液晶への転
移に基づくものではない。ポリエステル中、構成単位
(3)および構成単位(4)の割合が増加するにしたが
って吸熱ピークが小となり、構成単位(3)および構成
単位(4)の割合の合計が35モル%以上では吸熱ピー
クが観測されなくなることが多い。
【0032】本発明の熱液晶ポリエステルの製造は、例
えば先ずポリエチレンナフタレート系ポリエステルを6
−アシルオキシ−2−ナフトエ酸およびp−アシルオキ
シ安息香酸でアシドリシスすることによってポリエステ
ルフラグメントを調製し、引き続いてこのポリエステル
フラグメントの重合度を上昇させることによって目的と
する熱液晶ポリエステルを調製する方法で行なわれる。
第一段階のアシドリシスは、通常、窒素、アルゴン、二
酸化炭素のような不活性ガス雰囲気下250〜300℃
で行なわれる。6−アシルオキシ−2−ナフトエ酸およ
びp−アシルオキシ安息香酸としては、通常は6−アセ
トキシ−2−ナフトエ酸およびp−アセトキシ安息香酸
をそれぞれ用いることが望ましい。
【0033】原料化合物として6−アシルオキシ−2−
ナフトエ酸およびp−アシルオキシ安息香酸の代わり
に、対応するヒドロキシカルボン酸(6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸およびp−ヒドロキシ安息香酸)をそれ
ぞれ用いることもできる。その場合には、該ヒドロキシ
カルボン酸と低級脂肪族酸無水物、好ましくは無水酢酸
を反応させ、実質的にすべてのヒドロキシル基をアシル
オキシ基、好ましくはアセトキシ基に変換(アシル化)
したのちに生成した対応するアシルエステルを単離する
ことなく所定の原料ポリエステルと反応させることによ
り本発明の熱液晶ポリエステルが製造される。この場
合、原料ポリエステルは、6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のアシル化反応の前
後の任意の時期に系に加えることができる。この6−ヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸およびp−ヒドロキシ安息香
酸のアシル化反応段階では、6−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸の含有量が多い組成の場合、反応の進行に伴って
生成する6−アシルオキシ−2−ナフトエ酸が系内に析
出して攪拌が困難になり、その結果、重合を円滑に進行
させることが難しくなることがあるので、それを未然に
防止するために、目的とするアシル化反応に悪影響を及
ぼさず、かつ100〜200℃程度の沸点を有する溶
媒、特に好ましくは酢酸を系内に存在させておくことが
望ましい。
【0034】6−アシルオキシ−2−ナフトエ酸および
p−アシルオキシ安息香酸と原料ポリエステルとのアシ
ドリシス反応の段階で生成する低級脂肪族酸は理論留出
量の大半が系外に出る。次いで系中に残存するアシドリ
シス反応の生成物を減圧下250〜350℃でさらに脱
低級脂肪族酸させて、所望の物品を成形するのに好適
な、好ましくは0.1dl/g以上の対数粘度にまで重
合度を増大させる。この場合、重合温度は、反応速度の
点から270℃以上、また生成ポリエステルの分解を抑
制する点から350℃以下の温度であることが好ましい
が、特に好ましくは270〜320℃である。この重合
段階においては減圧度を徐々に高め、最終的に1mmHg以
下、好ましくは0.5mmHg以下にすることが望ましい。
またさらに分子量を高める方法として、 業界周知の固相
重合法等を用いることも可能である。
【0035】本発明の熱液晶ポリエステルの、ペンタフ
ルオロフェノール中、60℃で測定した対数粘度は、得
られる成形品の力学強度の点から、0.1dl/g以
上、好ましくは0.3dl/g以上、より好ましくは
0.5dl/g以上であることが望ましい。また、対数
粘度に臨界的な上限値はないが、溶融重合の容易さ、成
形性等の点から3.0dl/g以下、好ましくは2.0
dl/g以下であることが望ましい。
【0036】尚、本発明の熱液晶ポリエステルの構成単
位(1)、(2)、(3)および(4)の組成比に関し
ては、ポリマーを適当な溶媒に溶解させ、該溶液のNM
Rスペクトルを測定することにより決定され、通常、仕
込み原料組成比と実質的に同一の組成を有するポリマー
が得られる。
【0037】本発明の熱液晶ポリエステルは、従来公知
の熱液晶ポリマーと異なり、溶融状態から急冷して得ら
れる成形品の結晶化度が極めて低く、通常の場合にはX
線回折により求められる結晶化度は20%以下である。
ポリエステル中の構成単位(3)および構成単位(4)
の割合が増加するにしたがって結晶化度が低下する。そ
のため本発明の熱液晶ポリエステルから得られるフイル
ム形態などの成形品は、従来提案されている熱液晶ポリ
エステルとは異なり、一軸方向および二軸方向の熱延伸
が可能であり、多くの場合2×2倍以上または3×3倍
以上の同時、あるいは逐次の二軸延伸が可能である。し
かも、本発明の熱液晶ポリエステルからなる成形品は優
れたガスバリヤー性を有している。これらの際立った特
性は、ヒドロキシ芳香族カルボン酸成分としてp−ヒド
ロキシ安息香酸、あるいはそのエステル形成性誘導体の
みを用いた熱液晶ポリエステルではまったく発現せず、
また、ヒドロキシ芳香族カルボン酸成分として2種のヒ
ドロキシ安息香酸、あるいはそのエステル形成性誘導体
のみを用いた熱液晶ポリエステルでもまったく発現しな
い。
【0038】本発明の熱液晶ポリエステルは、熱延伸が
可能であることから特にシートやフイルムなどの成形品
の製造に適している。また、ダイレクトブローと呼ばれ
る押出し吹き込み成形やインジェクションブロー成形、
二軸延伸ブロー成形などにより中空成形体を得ることも
できる。
【0039】さらに、本発明で用いる熱液晶ポリエステ
ルは、他のポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミ
ド樹脂等と積層することも可能であり、共押出し、ドラ
イラミネーション、サンドイッチラミネーションなどに
よりフイルム状、シート状、チューブ状などの積層体と
し、さらに射出成形、ブロー成形、二軸延伸ブロー成
形、真空成形、圧縮成形などによりカップ状、ボトル状
などの積層体の容器とすることができる。
【0040】本発明の熱液晶ポリエステルから得られる
成形体は、酸素バリヤー性に優れており、ポリエチレン
テレフタレートの20〜400倍以上の性能を有してお
り、しかもその優れた酸素バリヤー性の湿度依存性は極
めて小さい。例えば、本発明の熱液晶ポリエステルを急
冷して得られるフイルムは、通常、20℃で測定した酸
素透過量が20ml・20μm/m↑2・day・at
m以下である。酸素バリヤー性は成形品に対して熱処理
を施すことにより更に向上する場合がある。
【0041】このように、本発明の熱液晶ポリエステル
は従来の熱液晶ポリマーと比較して飛躍的に改善された
成形性を有しており、延伸も可能であるとともに成形品
の酸素バリヤー性にも極めて優れていることから、酸素
バリヤー性の要求される各種包装材料、容器として好適
に用いられる。従ってその用途は多岐にわたり、例え
ば、食品、医薬品、化粧品、繊維製品、工業薬品等の分
野における気体遮断性包装材料に用いることが出来る。
本発明の熱液晶ポリエステルからなる容器(包装材料を
含む)においては、その壁面の20℃で測定された酸素
透過量は通常20ml・20μm/m↑2・day・a
tm以下である。
【0042】さらに、本発明の熱液晶ポリエステルは、
繊維、コーティング剤等として利用することができ、ま
た従来の熱液晶ポリマーとは特異的に異なる低温流動性
を利用して、接着剤、塗料等として用いることも可能で
ある。
【0043】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。本実施例中の物性値の測定は次の方法に従った。
【0044】1)対数粘度(η↓inh ) ペンタフルオロフェノール溶媒を用いて0.1g/dl
の濃度で60℃で測定した。
【0045】η↓inh=[ln(t↓1/t↓0)]/c
【0046】[式中、η↓inhは対数粘度(dl/g)
を表し、t↓0は溶媒の流下時間(秒)を表し、t↓1は
試料溶液での流下時間(秒)を表し、cは溶液中の試料
の濃度(0.1g/dl)を表す。]
【0047】2)熱分析 示差走査熱量計(DSC;メトラー社製、TA−300
0型)を用いて、溶融状態から急冷した試料に対し、1
0℃/分の昇温速度にて融点(Tm)およびガラス転移
点(Tg)を測定した。
【0048】3)酸素透過量(PO↓2) ガス透過率測定装置(MODERN CONTOROL
S社製 OX−TRAN10/50A)を使用して20
℃、相対湿度65%の条件下で、熱プレスフイルム、延
伸フイルムまたはPETとの積層延伸フイルムについて
測定した。単位はml・20μm/・m↑2・day・
atmである。
【0049】4)延伸性 温度260〜290℃で厚さ約100μmの熱プレスフ
イルムを作製し、このフイルムを柴山科学器械製作所二
軸延伸装置を用いて100〜240℃の温度で3×3倍
の二軸延伸に付した。尚、延伸性の評価に関しては、厚
みむらの少ない均一な二軸延伸フイルムが得られたもの
を「良好」、延伸性が全く認められず、フイルムが破断
したものを「延伸不可」と評価した。
【0050】5)ポリマー組成 得られたポリマーをトリフルオロ酢酸溶液とし、500
MHz ↑1H−NMR(日本電子製、JNM GX−
500型)にて測定した。尚、本測定の結果、実施例お
よび比較例でそれぞれ得られた熱液晶ポリエステルの各
構成単位の組成は、いずれの場合も仕込み原料組成と分
析精度内で一致していることが確認された。
【0051】実施例1 フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶媒を用い
て30℃で測定した極限粘度が0.65dl/gのポリ
エチレンナフタレート975g(4.0モル)、6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸1150g(5.0モル)、
およびp−アセトキシ安息香酸180g(1.0モル)
を、攪拌機、蒸留塔および窒素ガス吹き込み口を備えた
内容積8lの反応器に仕込み、反応系内を3回窒素置換
したのち窒素気流下290℃にて1時間攪拌加熱し、そ
の後徐々に系内を減圧にして約30mmHgで約2時間反応
させた。本操作の結果、理論留出酢酸量の約90%が留
出した。次いで反応系内の真空度をさらに上昇させ、1
mmHg以下で5時間反応させたのち生成ポリエステルを取
り出した。
【0052】得られたポリマーをトリフルオロ酢酸に溶
解させ↑1H−NMRスペクトルを測定した結果、本ポ
リマーの構成単位比は、[構成単位(1)+構成単位
(2)]/[構成単位(3)+構成単位(4)]のモル
比で57/43であることが判明した。これは仕込みの
原料組成比と実質的に同一である。得られたポリマーの
微小片をリンカム(Linkam)社製、顕微鏡用加熱
装置TH−600内で窒素雰囲気下、10℃/分の速度
で昇温し、偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したところ、
160℃付近から光を透過し始め、その後昇温に伴って
透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで昇温し
ても光学的に異方性の溶融相を形成したままであった。
また、本ポリマーを溶融状態から急冷した試料を10℃
/分の昇温速度でDSCで分析した結果、86℃にガラ
ス転移点が観測された以外、吸熱ピークはまったく観測
されなかった。さらに本ポリマーを溶融状態から急冷し
た試料の結晶化度をX線広角散乱で測定した結果、該試
料の結晶化度は10%であった。次に本ポリマーから、
田端機械製小型射出成形機(TK14−1AP型)を用
いて、シリンダー温度280℃、射出圧力800kg/cm
↑2、金型温度30℃で75×15×2mmの大きさの試
験片を作製した。得られた試験片をJIS K7203
に準じた方法により、曲げ強度および曲げ弾性率を測定
したところ、次に示す結果が得られた(いずれも樹脂の
流動方向)。
【0053】曲げ強度:2254kg/cm↑2
【0054】曲げ弾性率:13.3×10↑4kg/cm↑2
【0055】次に、本ポリマーを280℃で溶融熱プレ
スしたのち水冷式冷却プレスで急冷することにより得ら
れた厚み約100μmのフイルムの酸素透過量を、MO
DERN CONTOROLS社製ガス透過率測定装置
OX−TRAN10/50Aを使用して20℃、相対
湿度65%の条件下で測定した結果、酸素透過量は1.
2ml・20μm/m↑2・day・atmであった。
さらに同様にして得られた厚み約100μmの熱プレス
フイルムを、柴山科学器械製作所製二軸延伸装置を用い
て150℃で3×3倍の同時二軸延伸に付した結果、厚
み約10μmの均一なフイルムが得られた。
【0056】尚、本ポリマーの対数粘度、DSC分析結
果、プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×
3倍同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0057】実施例2 実施例1において、ポリエチレンナフタレート/6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸/p−アセトキシ安息香酸の
モル比を40/30/30にした以外は実施例1と同様
にしてポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で
用いた装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したと
ころ、150℃付近から光を透過し始め、その後昇温に
伴って透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで
昇温しても光学的に異方性の溶融相を形成したままであ
つた。また、本ポリマーを実施例1と同様にしてDSC
で分析した結果、81℃にガラス転移点が観測された以
外、吸熱ピークはまったく観測されなかった。さらに本
ポリマーの結晶化度を実施例1と同様にして測定した結
果、結晶化度は11%であった。次に実施例1と同様の
条件で射出成形を行ない、曲げ強度および曲げ弾性率を
測定したところ、次に示す結果が得られた(いずれも樹
脂の流動方向)。
【0058】曲げ強度:2134kg/cm↑2
【0059】曲げ弾性率:12.7×10↑4kg/cm↑2
【0060】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0061】実施例3 実施例1において、ポリエチレンナフタレート/6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸/p−アセトキシ安息香酸の
モル比を40/10/50にした以外は実施例1と同様
にしてポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で
用いた装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したと
ころ、140℃付近から光を透過し始め、その後昇温に
伴って透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで
昇温しても光学的に異方性の溶融相を形成したままであ
った。また、本ポリマーを実施例1と同様にしてDSC
で分析した結果、75℃にガラス転移点が観測された以
外、吸熱ピークはまったく観測されなかった。さらに本
ポリマーの結晶化度を実施例1と同様にして測定した結
果、結晶化度は12%であった。次に実施例1と同様の
条件で射出成形を行ない、曲げ強度および曲げ弾性率を
測定したところ、次に示す結果が得られた(いずれも樹
脂の流動方向)。
【0062】曲げ強度:2055kg/cm↑2
【0063】曲げ弾性率:12.3×10↑4kg/cm↑2
【0064】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0065】実施例4 実施例1において、ポリエチレンナフタレート/6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸/p−アセトキシ安息香酸の
モル比を30/60/10にした以外は実施例1と同様
にしてポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で
用いた装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したと
ころ、160℃付近から光を透過し始め、その後昇温に
伴って透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで
昇温しても光学的に異方性の溶融相を形成したままであ
った。また、本ポリマーを実施例1と同様にしてDSC
で分析した結果、89℃にガラス転移点が観測された以
外、吸熱ピークはまったく観測されなかった。さらに本
ポリマーの結晶化度を実施例1と同様にして測定した結
果、結晶化度は8%であった。
【0066】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0067】実施例5 実施例1において、ポリエチレンナフタレート/6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸/p−アセトキシ安息香酸の
モル比を30/35/35にした以外は実施例1と同様
にしてポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で
用いた装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したと
ころ、150℃付近から光を透過し始め、その後昇温に
伴って透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで
昇温しても光学的に異方性の溶融相を形成したままであ
った。また、本ポリマーを実施例1と同様にしてDSC
で分析した結果、80℃にガラス転移点が観測された以
外、吸熱ピークはまったく観測されなかった。さらに本
ポリマーの結晶化度を実施例1と同様にして測定した結
果、結晶化度は10%であった。
【0068】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0069】実施例6 実施例1において、ポリエチレンナフタレート/6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸/p−アセトキシ安息香酸の
モル比を30/10/60にした以外は実施例1と同様
にしてポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で
用いた装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したと
ころ、150℃付近から光を透過し始め、その後昇温に
伴って透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで
昇温しても光学的に異方性の溶融相を形成したままであ
った。また、本ポリマーを実施例1と同様にしてDSC
で分析した結果、72℃にガラス転移点が観測された以
外、吸熱ピークはまったく観測されなかった。さらに本
ポリマーの結晶化度を実施例1と同様にして測定した結
果、結晶化度は14%であった。
【0070】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0071】実施例7 6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1316g(7.0モ
ル)、p−ヒドロキシ安息香酸138g(1.0モ
ル)、無水酢酸918g(9.0モル)、フェノール/
テトラクロロエタン等重量混合溶媒を用いて30℃で測
定した極限粘度が0.65dl/gのポリエチレンナフ
タレート484g(2.0モル)、および反応溶媒とし
ての酢酸960g(16.0モル)を、攪拌機、蒸留塔
および窒素ガス吹き込み口を備えた内容積8lの反応器
に仕込み、反応系内を3回窒素置換したのち窒素気流
下、還流条件下で約2時間攪拌加熱した。その後、約3
時間かけて290℃まで昇温した後、徐々に系内を減圧
にして約30mmHgで約2時間反応させた結果、理論留出
量の約95%の酢酸および無水酢酸が留出した。次に反
応系内の真空度をさらに上昇させ、1mmHg以下で1時間
反応させたのち生成ポリエステルを取り出した。
【0072】本ポリマーを、実施例1で用いた装置によ
り偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したところ、160℃
付近から光を透過し始め、その後昇温に伴って透過光量
はさらに増大し、最終的に350℃まで昇温しても光学
的に異方性の溶融相を形成したままであった。また、本
ポリマーを実施例1と同様にしてDSCで分析した結
果、96℃にガラス転移点が観測された以外、吸熱ピー
クはまったく観測されなかった。さらに本ポリマーの結
晶化度を実施例1と同様にして測定した結果、結晶化度
は7%であった。
【0073】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0074】実施例8 実施例7において、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸5
64g(3.0モル)、p−ヒドロキシ安息香酸138
g(1.0モル)、無水酢酸490g(4.8モル)、
酢酸480g(8.0モル)およびポリエチレンナフタ
レート1452g(6.0モル)を反応器に仕込んだこ
と以外は実施例7と同様にしてポリエステルを得た。本
ポリマーを、実施例1で用いた装置により偏光顕微鏡直
交ニコル下で観察したところ、250℃付近から光を透
過し始め、その後昇温に伴って透過光量はさらに増大
し、最終的に350℃まで昇温しても光学的に異方性の
溶融相を形成したままであった。また、本ポリマーを実
施例1と同様にしてDSCで分析した結果、78℃にガ
ラス転移点、252℃に吸熱ピークが観測された。
【0075】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0076】実施例9 実施例7において、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸3
76g(2.0モル)、p−ヒドロキシ安息香酸138
g(1.0モル)、無水酢酸367g(3.6モル)、
酢酸360g(6.0モル)およびポリエチレンナフタ
レート1694g(7.0モル)を反応器に仕込んだこ
と以外は実施例7と同様にしてポリエステルを得た。本
ポリマーを、実施例1で用いた装置により偏光顕微鏡直
交ニコル下で観察したところ、255℃付近から光を透
過し始め、その後昇温に伴って透過光量はさらに増大
し、最終的に350℃まで昇温しても光学的に異方性の
溶融相を形成したままであった。また、本ポリマーを実
施例1と同様にしてDSCで分析した結果122℃にガ
ラス転移点、256℃に吸熱ピークが観測された。
【0077】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】比較例1 実施例1において6−アセトキシ−2−ナフトエ酸の代
わりにp−アセトキシ安息香酸を用いた、すなわちアセ
トキシ芳香族カルボン酸成分(6.0モル)をすべてp
−アセトキシ安息香酸にした以外は実施例1と同様にし
てポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で用い
た装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したとこ
ろ、255℃付近から光を透過し始め、その後昇温に伴
って透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで昇
温しても光学的に異方性の溶融相を形成したままであっ
た。また、本ポリマーを実施例1と同様にしてDSCで
分析した結果、ガラス転移点は観測されず、258℃に
吸熱ピークが観測されたのみであった。さらに本ポリマ
ーの結晶化度を実施例1と同様にして測定した結果、結
晶化度は27%であった。
【0080】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表2に示す。
【0081】比較例2 比較例1においてポリエチレンナフタレートの代わり
に、フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶媒を
用いて30℃で測定した極限粘度が0.7dl/gのポ
リエチレンテレフタレート(4.0モル)を用い、重合
温度を280℃に変更した以外は比較例1と同様にして
ポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で用いた
装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察したところ、
200℃付近から光を透過し始め、その後昇温に伴って
透過光量はさらに増大し、最終的に350℃まで昇温し
ても光学的に異方性の溶融相を形成したままであった。
また、本ポリマーを実施例1と同様にしてDSCで分析
した結果、ガラス転移点は明確には観測されず、205
℃に吸熱ピークが観測されたのみであった。さらに本ポ
リマーの結晶化度を実施例1と同様にして測定した結
果、結晶化度は25%であった。次に実施例1と同様の
条件で射出成形を行ない、曲げ強度および曲げ弾性率を
測定したところ、次に示す結果が得られた(いずれも樹
脂の流動方向)。
【0082】曲げ強度:970kg/cm↑2
【0083】曲げ弾性率:8.1×10↑4kg/cm↑2
【0084】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表2に示す。
【0085】比較例3 実施例1において、ポリエチレンナフタレート/6−ア
セトキシ−2−ナフトエ酸/p−アセトキシ安息香酸の
モル比を90/5/5にしたこと以外は実施例1と同様
にしてポリエステルを得た。本ポリマーを、実施例1で
用いた装置により偏光顕微鏡直交ニコル下で観察した
が、350℃以下のいかなる温度においても光学的に異
方性の溶融相を形成しなかった。また、本ポリマーを実
施例1と同様にしてDSCで分析した結果、123℃に
ガラス転移点、260℃に吸熱ピークが観測された。
【0086】本ポリマーの対数粘度、DSC分析結果、
プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性(3×3倍
同時二軸延伸)の評価結果を表2に示す。
【0087】比較例4 実施例1で用いたポリエチレンナフタレートのDSC分
析結果、プレスフイルムの酸素透過量、および延伸性の
評価結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】実施例10〜11、比較例5〜7 実施例1あるいは実施例2で得られた熱液晶ポリマー
と、フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶媒中
30℃で測定した極限粘度が0.75dl/gのPET
樹脂とを用いて多層シートを成形した。すなわち、熱液
晶ポリマーとPET樹脂とをそれぞれ80℃、および1
50℃で一昼夜真空乾燥した後2台の押出し機により共
押出ししてPET/熱液晶ポリマー/PETの3層のシ
ートを得た。得られたシートのPET/熱液晶ポリマー
/PETの各層の厚みは280μm/20μm/200
μmであった。この積層シートを実施例1で用いた二軸
延伸装置を使用して100〜120℃で3×3倍に同時
二軸延伸して延伸フイルムを得た(実施例10、1
1)。
【0090】また比較例1あるいは比較例2の熱液晶ポ
リマーを用いて同様のPET/熱液晶ポリマー/PET
の二種三層フイルムの成形を試みたが、中間層(熱液晶
ポリマー層)の延伸ができず、いずれの場合にも良好な
フイルムを得ることができなかった(比較例5、6)。
【0091】次に、PET樹脂だけを使用して上記押出
し機の1台のみを用いて厚み約500μmの単層シート
を得た。このシートを上記の二軸延伸装置を用いて12
0℃で3×3倍に同時二軸延伸し、延伸フイルムを作製
した(比較例7)。
【0092】これらのフイルムの酸素バリヤー性能は、
前述の方法で評価した。その結果を表3に示す。
【0093】
【表3】
【0094】
【発明の効果】本発明の熱液晶ポリエステルは優れた成
形性を有しており、またそれから得られる成形品は優れ
たガスバリヤー性を有しているため、高度なガスバリヤ
ー性を必要とする各種の包装材料として有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に下記化1 【化1】 で示される構成単位(1)、下記化2 【化2】 で示される構成単位(2)、下記化3 【化3】 で示される構成単位(3)および下記化4 【化4】 で示される構成単位(4)からなり、構成単位(1)と
    構成単位(2)を実質的に等しいモル数で含み、構成単
    位(1)および構成単位(2)の合計量が15〜90モ
    ル%、構成単位(3)および構成単位(4)の合計量が
    10〜85モル%であり、構成単位(3)および構成単
    位(4)の合計量に対する構成単位(3)の量の割合が
    10モル%以上であり、かつ20℃、相対湿度65%で
    測定した酸素透過量が20ml・20μm/m 2 ・da
    y・atm以下の熱プレスフィルム を与える熱液晶ポリ
    エステル。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱液晶ポリエステルから
    なる成形品。
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