JP3147924B2 - フィルム製膜用ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法 - Google Patents

フィルム製膜用ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶液が異常流動及びゲ
ル化を示さず、それから製造されるフイルム等の成型物
はフィッシュアイを生じることなく又、膜厚が均一であ
る等性能の優れた物性を発揮することができるフイルム
製膜用のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PVA系樹脂はその水溶性、接着
性を利用して種々の分野、例えば接着剤、フイルム、シ
ートなどの成形物の他、分散剤、繊維用糊材等の用途の
分野に広く用いられている。そのうち有用な用途の一つ
であるフイルム分野においては繊維製品包装用材、食品
包装用材、電子材料包装用等の包装フイルムや偏光フイ
ルム等様々な用途に多様されており、要求されるフイル
ムの性能は年々厳しくなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】PVA系樹脂フイルム
の性能は、PVA系樹脂水溶液の性質に大きく左右され
る。該水溶液の性質は、一般的にPVA系樹脂の種類、
重合度、ケン化度、濃度により決定されると言われる。
しかしながら、実際にはこれらのファクターにより明確
にできない特異的な現象、例えば異常流動やゲル化が存
在しており、これらの現象はフイルムの成形時において
フィッシュアイや膜厚不均一を生じさせる原因となる等
フイルムに悪影響を与える。特に高重合度のPVA系樹
脂を用いた際の影響が大きく、問題は深刻化しており解
決策が強く望まれている。従って、高重合度のPVA系
樹脂を用いても異常流動やゲル化等の特異的現象が生じ
ないPVA系樹脂水溶液からは優れた性能を有するPV
A系樹脂フイルムを製造することができ、フイルムの工
業的利用範囲が拡大することになり、かかる水溶液の調
製は産業上極めて有用であると言わざるを得ない。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者はかかる
課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、平均重合度1
000以上のポリビニルアルコール系樹脂の固形分濃度
が8〜35重量%となる水溶液を、撹拌しながら一旦
5℃までの温度に保持した後、更に温度110℃以上で
水に加圧溶解するフィルム製膜用PVA系樹脂水溶液の
製造方法がかかる目的に合致することを見出し本発明を
完成するに至った。かかる特定の方法で製造されるPV
A系樹脂水溶液は、製膜時にフィッシュアイや膜厚不均
一を生じさせるような恐れは全くなく、かかる物性の特
徴は水溶液の挙動、即ち特定剪断速度での異常流動の有
無と関連して説明される。
【0005】つまり、測定温度を一定にして、例えば
ーケ粘度計(HAAKE 社製)により剪断速度の上昇
に伴い剪断応力の変化を測定していくと、ある剪断速度
から剪断応力の流動曲線振幅が急に上下運動を示し始め
る。この現象がPVA系樹脂水溶液中で異常流動が起こ
っている状態である。異常流動の起因は明らかではない
が、かかる水溶液の使用は前記で述べた如くフイルムを
製造するに当たり、製造工程中にPVA系樹脂水溶液中
で異常流動が発生して水溶液のゲル化をひき起こし、フ
ィッシュアイや膜厚不均一を生じさせる原因となること
は明らかであり、PVA系樹脂フイルムの製品価値を極
めて低下させている。
【0006】ところが、上記製造方法により、平均重合
度1000以上のPVA系樹脂を95℃の水に固形分濃
度が8〜35重量%となる様に溶解した水溶液(以下、
この溶液を標準溶液と述べる)のハーケ粘度計による異
常流動が起こり始める剪断速度に対して、異常流動が起
こり始める剪断速度が1.2倍以上であるPVA系樹脂
水溶液が得られ、製造工程中において異常流動が極めて
起こりにくく、常に優れた性能を有するPVA系樹脂フ
イルムを供給出来ることが判明した。
【0007】但し、ハーケ粘度計による流動曲線(剪断
速度−剪断応力の関係)の測定条件は次の通りである。
ハーケ粘度計はコントロールユニットRV20型、測定
頭M5、スピードプログラマーPG242、センサーシ
ステムSV型の組合せとし、測定温度50℃、最低剪断
速度(0.0445sec-1)から最高剪断速度(44
5sec-1)まで直線的に剪断速度を上昇させ、このと
きの最低剪断速度から最高剪断速度に至るまでの時間を
1時間とする。PVA系樹脂を調整するに当たっては、
標準溶液と同一のPVA系樹脂を用いて同一濃度とし、
又、測定温度及び測定時間も標準溶液の測定条件と一致
させる。
【0008】以下、PVA系樹脂水溶液について詳述す
る。本発明に用いられるPVA系樹脂はポリ酢酸ビニル
をケン化して得られたものであって、平均重合度100
0以上、好ましくは3000以上、ケン化度80モル%
以上、好ましくは95モル%以上が用いられる。平均重
合度が1000未満及びケン化度が80モル%未満のも
のを用いた場合、110℃以上で溶解したPVA系樹脂
水溶液と常法により溶解したPVA系樹脂水溶液とは、
異常流動及びゲル化の発生においてあまり差が生じない
ため本発明においては適当でない。
【0009】かくの如きPVA系樹脂は、110℃以
上、好ましくは130〜140℃で固形分濃度が8〜3
5重量%となる様に水に溶解せしめる。PVA系樹脂を
110℃未満で溶解したPVA系樹脂水溶液は異常流動
及びゲル化を防ぐことは出来ず不適当である。又、固形
分濃度が規定範囲を越えるとフイルムの成型性の面から
不利であり好ましくない。
【0010】溶解方法としては、適量のPVA系樹脂を
激しい撹拌のもと室温の水に供給した後、水浴中で温度
を約95℃に上昇させ更に、高圧クッカー装置を用いて
相対湿度90〜100%RH、好ましくは100%R
H、圧力0.5〜4.0kg/cm、好ましくは1.
0〜2.0kg/cm、温度110℃、好ましくは1
30〜140℃以上にして0.1〜3時間で水に溶解せ
しめ目的物であるPVA系樹脂水溶液を得る。
【0011】かくして得られたPVA系樹脂水溶液は、
好ましくは調製後5時間以内に流延して製膜するかある
いは押出製膜法を用いてフイルム製型する等任意の方法
が採用されうるが、工業的にはフイルムの持つ美麗さ、
透明さ、柔軟性の点から前者が有利である。フイルム製
型するに当たり該PVA系樹脂水溶液にエチレングリコ
ール、プロピレングリコールなとの可塑剤や着色料、香
料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤等の添加剤
を必要に応じ、特性を失わない範囲で適宜配合しても差
し支えない。
【0012】
【作 用】本発明は、異常流動及びゲル化を示さないP
VA系樹脂水溶液を提供することによりフィッシュアイ
がなく、膜厚が均一である等性能の優れたPVA系樹脂
フイルムが製造でき、フイルムの工業的利用範囲が拡大
して産業上有利である。
【0013】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。標準溶液の調製及びハーケ粘度計による剪断速度の
測定 (A)平均重合度1200、ケン化度99モル%のPV
A系樹脂25重量部を激しく撹拌しながら室温の水に供
給した後、水浴中で95℃に温度を上昇させ固形分濃度
が25重量%の水溶液とした。 (B)平均重合度5600、ケン化度90モル%のPV
A系樹脂8重量部を激しく撹拌しながら室温の水に供給
した後、水浴中で95℃に温度を上昇させ固形分濃度が
8重量%の水溶液とした。 (C)平均重合度3400、ケン化度85モル%のPV
A系樹脂16重量部を激しく撹拌しながら室温の水に供
給した後、水浴中で95℃に温度を上昇させ固形分濃度
が16重量%の水溶液とした。
【0014】前記(A)、(B)、(C)の水溶液を下
記で示す如き測定条件(以下で行う実験は総て同一条件
とする)でハーケ粘度計を用いて異常流動が起こり始め
る剪断速度を測定した。 ハーケ粘度計 コントロールユニット RV20 測定ヘッド M5 スピードプログラマー PG242 センサーシステム SV リンダー 内部 半径10.1mm、 高さ19.6mm 外部 半径11.55mm 測定温度 50℃ 剪断速度 0.0445〜445sec-1 測定時間 1時間 結果は、(A)203-1、(B)28-1、(C)62-1
より流動曲線が異常流動を示し始めた。
【0015】実施例1 標準溶液(A)と同一のPVA系樹脂25重量部を激し
く撹拌しながら、室温の水に供給した後、水浴を用いて
95℃に温度を上昇した。更に、高圧クッカー装置(タ
バイエスペック社製,TPC−410型)を用い、湿度
100%RH、圧力1.1気圧、温度120℃のもとで
1時間30分処理し固形分濃度が25重量%の水溶液を
調製した後、50℃まで冷却してハーケ粘度計により異
常流動が起こり始める剪断速度を測定すると269se
−1であった。
【0016】このPVA系樹脂水溶液を60℃にして、
キャスティングホッパー/エンドレスベルト方式により
下記条件で流延製膜した。得られたフイルムの表面状態
及び物性をまとめて表1に示す。 製膜条件 ホッパーのリップとベルト面との間隔 1.0〜1.1mm 乾燥域の熱風温度 103℃ フイルムの剥離温度 92℃ フイルムの剥離水分 6%
【0017】実施例2 標準溶液(B)と同一のPVA系樹脂8重量部を激しく
撹拌しながら、室温の水に供給した後、水浴を用いて9
5℃に温度を上昇した。更に、高圧クッカー装置(タバ
イエスペック社製,TPC−410型)を用い湿度10
0%RH、圧力1.8気圧、温度130℃のもとで1時
間30分処理し固形分濃度が8重量%の水溶液を調製し
た後、50℃まで冷却してハーケ粘度計により異常流動
が起こり始める剪断速度を測定すると36sec−1
あった。このPVA系樹脂水溶液を60℃にして、実施
例1に準じてキャスティングホッパー/エンドレスベル
ト方式により流延製膜した。得られたフイルムの表面状
態及び物性をまとめて表1に示す。
【0018】実施例3 標準溶液(C)と同一のPVA系樹脂16重量部を激し
く撹拌しながら、室温の水に供給した後、水浴を用いて
95℃に温度を上昇した。更に、高圧クッカー装置(タ
バイエスペック社製,TPC−410型)を用い湿度1
00%RH、圧力2.7気圧、温度140℃のもとで1
時間30分処理して固形分濃度が30重量%の水溶液を
調製した後、50℃まで冷却してハーケ粘度計により異
常流動が起こり始める剪断速度を測定すると83sec
−1であった。このPVA系樹脂水溶液を60℃にし
て、実施例1に準じてキャスティングホッパー/エンド
レスベルト方式により流延製膜した。得られたフイルム
の表面状態及び物性をまとめて表1に示す。
【0019】対照例 実施例1において同一のPVA系樹脂25重量部を激し
く撹拌しながら室温の水に供給した後、水浴を用いて1
00℃に温度を上昇させて固形分濃度が25重量%の水
溶液を調製した後、50℃まで冷却してハーケ粘度計に
より異常流動が起こり始める剪断速度を測定すると20
3sec−1であった。このPVA系樹脂水溶液を実施
例1に準じて流延製膜して、得られたフイルムの表面状
態及び物性をまとめて表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】(*1)フィッシュアイの数 1m×1mのフイルム中にあるフィッシュアイの数を数
え10枚についての平均値を計算した。 (*2)膜厚の偏差 1m×1mのフイルム中について任意の50カ所を選び
デジタル式膜厚計で膜厚を測定した。得られた測定値よ
り標準偏差を求めた。 (*3)(膜厚の標準偏差)/(平均膜厚)×100の
値を平面性の判定基準値とした
【0022】
【発明の効果】本発明は異常流動及びゲル化を示さない
PVA系樹脂水溶液を提供することによりフィッシュア
イがなく、膜厚が均一である等性能の優れたPVA系樹
脂フイルムが製造でき、フイルムの工業的利用範囲が拡
大して産業上有利である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均重合度1000以上のポリビニルア
    ルコール系樹脂の固形分濃度が8〜35重量%となる水
    溶液を、撹拌しながら一旦95℃までの温度に保持した
    後、更に温度110℃以上で水に加圧溶解することを特
    徴とするフィルム製膜用ポリビニルアルコール系樹脂水
    溶液の製造方法
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