JP3203846B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

積層体の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱軟化性シート成形体
を低密度成形体上に積層した積層体の製造方法に関し、
更に詳しくはダッシュインシュレーター、フロアインシ
ュレーター等の自動車内装材、各種遮音材、吸音材、ク
ッション材などの用途に好適に用いられる積層体を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱軟化
性シート成形体を繊維集合体等の低密度成形体上に積層
した積層体を製造する場合、従来は、予め熱軟化性シー
トを真空成形法、圧空プレス法又はプレス成形法によっ
て所望の形状に成形し、この熱軟化性シート成形体と低
密度成形体とを熱軟化性シートを成形した金型とは別の
金型中で接着する方法(特開平2−95838号公報)
などが採用されている。
【0003】しかしながら、上記積層体の製造方法は、
熱軟化性シートを成形する工程と、これを低密度成形体
に接着する工程との2工程を必要とし、このため、生産
効率が低いものである。また、熱軟化性シート成形体と
低密度成形体との接着は、金型中でこれらに外部から圧
力を加えることによってなされるものであるが、繊維集
合体等の低密度成形体は、上記圧力によって容易に変形
するので、上記金型を用いた接着の際に低密度成形体が
局部的に過剰加圧される場合がある。このため、低密度
成形体の局部過剰加圧された部分が他の部分よりも高密
度となって防音性能などが劣るものとなり、また型くず
れなどが発生するという問題がある。
【0004】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
熱軟化性シートの成形と熱軟化性シート成形体と低密度
成形体の接着とを工業的に有利に行うことができる積層
体の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するため、第1発明として、低密度成形体上に熱軟化
性シート成形体を接着、積層してなる積層体を製造する
に当り、上記低密度成形体を下金型のキャビティに配置
し、この低密度成形体上面に接着剤又は粘着剤を塗布す
る一方、上記低密度成形体上面に係合し、内部と連通す
る吸引孔が形成された下面を有する真空成形型の該下面
に熱軟化性シートを供給し、これを加熱すると共に、真
空成形型の内部を真空吸引することにより上記吸引孔を
介してこの熱軟化性シートを吸引して、該シートを上記
真空成形型の下面に対応した形状に成形し、次いで上記
低密度成形体上面にこの熱軟化性シート成形体を押圧、
接着することを特徴とする積層体の製造方法を提供す
る。
【0006】また、第2発明として、低密度成形体上に
熱軟化性シート成形体を接着、積層してなる積層体を製
造するに当り、上記低密度成形体を上方からの押圧力に
抗して弾性変形可能なクッション体を具備した下金型の
キャビティに配置し、この低密度成形体上面に接着剤又
は粘着剤を塗布し、この低密度成形体上面に該上面と係
合する形状に成形された熱軟化性シート成形体を押圧、
接着することを特徴とする積層体の製造方法を提供す
る。
【0007】更に、第3発明として、低密度成形体上に
熱軟化性シート成形体を接着、積層してなる積層体を製
造するに当り、上記低密度成形体を上方からの押圧力に
抗して弾性変形可能なクッション体を具備した下金型の
キャビティに配置し、この低密度成形体上面に接着剤又
は粘着剤を塗布する一方、上記低密度成形体上面に係合
し、内部と連通する吸引孔が形成された下面を有する真
空成形型の該下面に熱軟化性シートを供給し、これを加
熱すると共に、真空成形型の内部を真空吸引することに
より上記吸引孔を介してこの熱軟化性シートを吸引し
て、該シートを上記真空成形型の下面に対応した形状に
成形し、次いで上記低密度成形体上面にこの熱軟化性シ
ート成形体を押圧、接着することを特徴とする積層体の
製造方法を提供する。
【0008】
【作用】本発明の第1発明によれば、このように熱軟化
性シートを成形する工程と、これを低密度成形体に接着
する工程とを一工程で行うことができるので生産効率が
高まり、また、第2発明によれば、熱軟化性シート成形
体の低密度成形体に対する加圧がクッション体の弾性作
用により均等に行われるので、低密度成形体の上側と下
側の形状が異なる場合でも、それぞれの形状を損なうこ
となく均一に圧力をかけることができ、低密度成形体に
部分的な過剰加圧が可及的に解消されて、低密度成形体
のある部分が他の部分よりも高密度となることがなく、
均一に低密度状態を保つことができ、かつ型くずれする
こともないので、所望の形状の積層体を簡単かつ確実に
製造し得る。それ故、本発明による積層体は遮音材など
として好適に用いられるものである。
【0009】特に、本発明の第3発明によれば、かかる
積層体を一層工業的有利に製造し得る。
【0010】
【実施例】本発明の積層体の製造方法は、低密度成形体
に押圧を加えながら低密度成形体と熱軟化性シート成形
体とを接着剤又は粘着剤を用いて積層するものである
が、本発明に用いられる低密度成形体は、軟質の平均見
かけ密度が0.04〜0.15g/cm3を有するもの
が好ましく、平均見かけ密度がこの範囲にあれば、その
素材は特に制限されるものではないが、繊維系分布が3
0デニール以下でカット長が10〜100mmの短繊維
に結合剤を混入したものが好適に用いられる。
【0011】上記繊維の種類は、無機系繊維、有機系繊
維、天然繊維、合成繊維の如何を問わないが、実用的に
はポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ
アミド、レーヨン、ビニロン、アクリル、ポリウレタ
ン、アセテート、キュプラ、セルロース、綿、羊毛、麻
などが用いられる。これらは1種を単独で又は2種以上
を混合して用いてもよい。
【0012】また、上記結合剤としては繊維素材の融点
よりも低融点のパウダーや繊維が好ましく使用され、一
般的には、熱可塑性のポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、EVA
(エチレンビニル酢酸共重合物)、ポリウレタンなどの
樹脂、歴青質のパウダーや繊維が用いられる。また、フ
ェノール樹脂のような熱硬化性の樹脂も用いられる。更
に、結合剤としては鞘芯型やサイドバイサイド型と呼ば
れる複合型の繊維形状のものも用いられる。結合剤は1
種を単独で用いても2種以上を組み合わせてもよい。こ
れら結合剤の配合割合は、通常、繊維素材の5〜40重
量%、特に5〜20重量%とすることが好ましい。
【0013】なお、このような低密度成形体は、例えば
特開平2−95838号公報記載の方法などによって製
造することができる。
【0014】一方、熱軟化性シートとしては、熱軟化性
を有するものであれば特に限定されるものではないが、
性能、コスト、成形の容易さなどの点から遮音性を有す
る熱可塑性樹脂シートが好ましく用いられ、更に、炭酸
カルシウムのような無機質充填剤を配合し、密度を高め
た熱可塑性樹脂シートを用いた場合、遮音性能が一層向
上する。熱可塑性シートとして具体的にはポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのシートを用い
ることができるが、性能、生産性の点からポリ塩化ビニ
ルが好適に用いられる。これら熱軟化性シートの密度は
性能の面から1.2g/cm3以上、特に1.5〜2.
5g/cm3とすることが好ましい。熱軟化性シートと
してポリ塩化ビニルシートを用いる場合、成形の容易性
の点から100〜150℃に加熱して用いることが好ま
しい。
【0015】上記低密度成形体と熱軟化性シートとを接
着させるための接着剤、粘着剤は特に限定されるもので
はなく、また、接着方法は、点接着、線接着又は面接着
のいずれの方法を用いてもよいが、熱軟化性シートと低
密度成形体とを全面接着させる場合はアクリル系エマル
ジョン型のものが好適に用いられる。また、接着する際
には60〜80℃で5〜20秒間、数十〜数百グラム/
cm2の圧力をかけることが好ましい。
【0016】次に、本発明により積層体を製造する場合
の一例を図1に従って説明すると、図中1は受台と一体
となった下金型であり、この下金型1のキャビティ2上
面には、このキャビティ2上面(後述する低密度成形体
5下面)と同一形状のエアバッグ3からなるクッション
体4が配設されている。このエアバッグ3は、内部に空
気を導入し、かつ内部の空気を排出するための空気口
(図示せず)を介してコンプレッサー等の空気導入・排
出装置(図示せず)と連結され、空気の導入により上記
キャビティ上面(低密度成形体5下面)と同一形状に膨
張し得るもので、この上に低密度成形体5が載置されて
いる。
【0017】6は、上記低密度成形体5上面に係合し得
る形状を有し、多数の吸引孔7が穿設された下板8を有
する中空体9からなり、熱軟化性シート10をこの下板
7と同一形状に成形するための真空成形型で、該中空体
9には、その吸引口10を介して真空ポンプ等の空気吸
引装置(図示せず)が連結され、この空気吸引装置の作
動により中空体9内の空気が吸引されるようになってい
る。
【0018】この装置を用いて積層体を製造する場合
は、図1(B)に示すように、真空成形型6の下側に熱
軟化性シート11を供給し、空気吸引装置を作動させて
真空成形型6内の空気を吸引し、上記吸引孔7を介して
熱軟化性シート11を吸引し、これによってシート11
を下板8と同一形状に真空成形する。この場合、シート
11は予め加熱しておくか、又は型6の下板8を適宜手
段で加熱し、これによりこの下板8に接触するシート1
1を加熱し、シート11を所定の形状に成形、維持す
る。
【0019】一方、下金型1のキャビティ2上に配設さ
れたクッション体4(エアバッグ3)上に低密度成形体
5を載置すると共に、その上面に接着剤又は粘着剤12
を塗布する。
【0020】次いで、図1(C)に示すように、上記真
空成形型6の下板8(低密度成形体5の上面)と同一形
状に真空成形された熱軟化性シート成形体11’を上記
吸引を維持したまま低密度成形体5上面に係合、押圧す
る。これと同時に、又はこれより前に空気導入・排出装
置を作動させてエアバッグ3内に空気を導入し、エアバ
ッグ3を膨張させる(このとき、エアバッグ3の空気圧
は0.1〜1kgf/cm2 とすることが好ましい)。
【0021】これにより、エアバッグ3のクッション作
用で熱軟化性シート成形体11’による低密度成形体5
への押圧力が均等化し、局部的な過剰加圧が解消される
ので、低密度成形体5が局部的過剰加圧による高密度化
を生じることなく、表面(上面)の形状を保った状態で
低密度成形体5に熱軟化性シート成形体11’が接着さ
れるものである。
【0022】図2は、本発明の他の方法を説明するもの
で、この例にあっては、下金型1を低密度成形体1の下
面形状と同形状の板状に形成すると共に、この下金型1
の下側に所定間隔を存して受台1’を配設し、かつ下金
型1の下面に多数の支持脚13の上端を固着し、これら
支持脚13を受台1’の上壁に上下方向移動可能に貫通
させ、これら支持脚13にそれぞれ下金型1と受台1’
上壁との間に存してコイルバネ14を巻装したもので、
クッション体4をこのようにコイルバネ14にて形成し
たものであり、この装置は熱軟化性シート成形体11’
による低密度成形体5への押圧力により、コイルバネ1
4が縮小し、そのクッション作用で押圧力が均等化さ
れ、局部過剰加圧が解消されるものである。この場合、
コイルバネの反力は数百グラムとすることが好ましい。
なお、その他の構成及び作用効果は、図1の場合と同様
であるため、同一部品に同一の参照符号を付し、その説
明を省略する。
【0023】本発明において、クッション体は、上記実
施例ではエアバッグやコイルバネを用いたが、他のエア
クッション機構、機械的クッション機構でもよく、低密
度成形体の局部加圧による高密度化を引き起こさず、表
面の形状を保ち得るものであれば特に限定されるもので
はない。
【0024】また、上記実施例では、熱軟化性シートを
真空成形し、これとそのまま低密度成形体にクッション
体のクッション作用を利用しつつ押圧、接着するように
したが、かかる方法において、予め別の金型で成形した
熱軟化性シート成形体を用い、これをクッション体のク
ッション作用を利用して低密度成形体に押圧してもよ
い。また、必要により、かかるクッション体の配設を省
略し、真空成形した熱軟化性シートをそのまま低密度成
形体に接着し、熱軟化性シートの成形とこれと低密度成
形体との接着を一工程で行うことにより、短時間で加工
でき、このため製品コストを大幅に低減することができ
るものである。
【0025】次に、実験例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0026】[実験例1]6〜8デニールで平均長さ4
0mmのポリエステル繊維に、4デニールで平均長さ5
0mmの低融点ポリエステル繊維を上記ポリエステル繊
維の20重量%混合したものを成形し、見かけ密度0.
08g/cm3の多孔質成形体(低密度成形体)を得
た。
【0027】一方、熱軟化性シートとして厚さ3mmで
密度1.7g/cm3のポリ塩化ビニルシートを用い、
これを145℃に加熱し、上記多孔質成形体の表面にア
クリル系エマルジョン型接着剤を塗布し、図1に示す工
程に従って積層体を得た。即ち、昇降装置により真空成
形型を下降させると共に、真空吸引を行うことによって
ポリ塩化ビニルシートの成形を行い、次いで多孔質成形
体とシート成形体とを80℃で20秒間係合させると同
時にエアーバッグに空気を注入し、多孔質成形体を押圧
しながらこれにシート成形体を接着させた。
【0028】[実験例2]実験例1と同様の多孔質成形
体、アクリル系エマルジョン型接着剤、ポリ塩化ビニル
シートを用い、図2に示した工程に従って多孔質成形体
と熱軟化性シートとの積層体を得た。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、遮音材、吸音材、クッ
ション材などとして有用な低密度成形体と熱軟化性シー
トとの積層体を全体に均質な物性を有し、例えば遮音上
偏りのない状態で、工業的有利に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明する概略断面図で、
(A)は下金型の上方に真空成形型を配置した状態、
(B)は下金型に低密度成形体を載置すると共に、真空
成形型の下側に熱軟化性シートを配置した状態、(C)
は低密度成形体と熱軟化性シート成形体とを接着した状
態を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を説明する概略断面図で、
(A),(B),(C)はそれぞれ図1(A),
(B),(C)と同状の断面図である。
【符号の説明】
1 下金型 3 エアバッグ 4 クッション体 5 低密度成形体 6 真空成形型 11 熱軟化性シート 12 接着剤 14 コイルバネ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 65/00 - 65/82 B29C 51/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低密度成形体上に熱軟化性シート成形体
    を接着、積層してなる積層体を製造するに当り、上記低
    密度成形体を下金型のキャビティに配置し、この低密度
    成形体上面に接着剤又は粘着剤を塗布する一方、上記低
    密度成形体上面に係合し、内部中空部と連通する吸引孔
    が形成された下面を有する真空成形型の該下面に熱軟化
    性シートを供給し、これを加熱すると共に、真空成形型
    の内部中空部を真空吸引することにより上記吸引孔を介
    してこの熱軟化性シートを吸引して、該シートを上記真
    空成形型の下面に対応した形状に成形し、次いで上記低
    密度成形体上面にこの熱軟化性シート成形体を押圧、接
    着することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】 低密度成形体上に熱軟化性シート成形体
    を接着、積層してなる積層体を製造するに当り、上記低
    密度成形体を上方からの押圧力に抗して弾性変形可能な
    クッション体を具備した下金型のキャビティに配置し、
    この低密度成形体上面に接着剤又は粘着剤を塗布し、こ
    の低密度成形体上面に該上面と係合する形状に成形され
    た熱軟化性シート成形体を押圧、接着することを特徴と
    する積層体の製造方法。
  3. 【請求項3】 低密度成形体上に熱軟化性シート成形体
    を接着、積層してなる積層体を製造するに当り、上記低
    密度成形体を上方からの押圧力に抗して弾性変形可能な
    クッション体を具備した下金型のキャビティに配置し、
    この低密度成形体上面に接着剤又は粘着剤を塗布する一
    方、上記低密度成形体上面に係合し、内部中空部と連通
    する吸引孔が形成された下面を有する真空成形型の該下
    面に熱軟化性シートを供給し、これを加熱すると共に、
    真空成形型の内部中空部を真空吸引することにより上記
    吸引孔を介してこの熱軟化性シートを吸引して、該シー
    トを上記真空成形型の下面に対応した形状に成形し、次
    いで上記低密度成形体上面にこの熱軟化性シート成形体
    を押圧、接着することを特徴とする積層体の製造方法。
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