大型クレーン車では、公道走行時に重量制限の規制から、旋回台やブームや起伏シリンダ等を車両から取外して別送することがある。又、大型クレーン車の旋回台には、主巻ウインチと補巻ウインチが搭載されているとともに、該両ウインチのドラムにはそれぞれ所定長さのワイヤーロープが巻回されている。
ところで、大型クレーン車の中には、旋回台部分の重量が30〜40トン程度の大重量のものがある。又、このような大重量の旋回台に搭載されている各ウインチのドラムには、1本につき約2.5トン程度の重量をもったワイヤーロープがそれぞれ巻回されているが、該両ワイヤーロープ(2本)の合計重量は約5トンになる。
そして、このような大重量(例えば30〜40トン程度)の旋回台を車両から分離して運搬車で別送しようとすると、旋回台積み込み運搬車の総重量が公道の重量規制値をオーバーすることがある。
そこで、上記のように旋回台積み込み運搬車の重量が公道の重量制限値をオーバーする場合は、旋回台に搭載している両ウインチに巻回されている両ワイヤーロープをそれぞれ仮巻きドラムに巻替えて、両ワイヤーロープを旋回台とは別に運搬することで旋回台部分の重量を軽減し、それによって旋回台積み込み運搬車を公道走行に必要な許容重量値以下まで軽量化させることができる。尚、上記仮巻きドラムは、動力駆動式の巻取機に乗せ替え自在にセットされるもので、セット状態では動力(モータ)によって巻取り及び繰出しの両方向に回転駆動されるものである。
ところで、クレーンのウインチドラムに巻回しているワイヤーロープを仮巻きドラムに巻取る場合は、ウインチドラムから繰出される時間当たりのワイヤーロープ繰出量(繰出スピード)と仮巻きドラムに巻取られる時間当たりのワイヤーロープ巻取量(巻取スピード)とを同調させながら、しかも仮巻きドラムに対してワイヤーロープを所定の張力を持たせた状態で巻取らせる必要がある。即ち、仮巻きドラム側へのワイヤーロープ巻取り時に、ウインチドラムからのワイヤーロープ繰出量が仮巻きドラムによるワイヤーロープ巻取量より多い場合は、ワイヤーロープの張力が弛むことにより該ワイヤーロープが仮巻きドラムに乱巻きされてしまい、逆にウインチドラムからのワイヤーロープ繰出量が仮巻きドラムによるワイヤーロープ巻取量より少ない場合は、ワイヤーロープが過度に緊張することにより該ワイヤーロープが仮巻きドラムに対して過度に強く巻取られてしまう(上層のワイヤーロープが下層のワイヤーロープ間に強く食い込んで巻き解きにくくなる)。又、上記ワイヤーロープ繰出量と上記ワイヤーロープ巻取量とが均等であっても、仮巻きドラムに巻取られるワイヤーロープに張力が不足していると、該ワイヤーロープが仮巻きドラムに乱巻きされてしまうことがある。
従来から、ドラムにワイヤーロープを巻込む際に、ワイヤーロープが乱巻状態にならないように張力を付与して巻込むための装置として、特開平8−40693号公報(特許文献1)や特開平9−255287号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
上記各公知例に開示された装置は、ワイヤーロープを仮巻きドラムからクレーンのウインチドラムに巻取る際に使用するもので、本願とはワイヤーロープの巻取方向が逆の技術である。そして、この各公知例のものは、ウインチドラムと仮巻きドラムとの間に、ブレーキ装置によって回転抵抗力を付与したドラムにワイヤーロープを複数回巻掛けてウインチドラムに巻取られるワイヤーロープに強い張力(引込み抵抗力)を付与する張力付与装置を介在させ、ウインチドラムに巻取られるワイヤーロープに大きな張力を付与しながら巻込むことで、クレーン作業時に吊荷の大きな張力がワイヤーロープに作用しても下層のワイヤーロープ間に上層のワイヤーロープが食い込まないよう整然と巻取るようにしたものである。
ところが、上記公知例(特許文献1や特許文献2)に開示されたワイヤーロープ張力負荷装置(制御ドラム)は、ウインチドラムに巻取られるワイヤーロープの張力を制動装置で調整(強く)するものであるが、ウインチドラムの巻取量(巻取スピード)の変化に伴って変化するワイヤーロープの張力変化を確認することができない。そして、ウインチドラムに巻取られるワイヤーロープの張力変化を確認できないと、該ウインチドラムに巻取られるワイヤーロープが乱巻されたり(張力が異常に弱い場合)下層のワイヤーロープ間に食い込んだり(張力が異常に強い場合)することがある。
又、上記公知例(特許文献1や特許文献2)のワイヤーロープ張力負荷装置は、ワイヤーロープを仮巻きドラムからウインチドラムに巻取る際に適用するものであって、本考案で行うワイヤーロープをウインチドラムから仮巻きドラムに巻取るものではない。
そこで、本考案は、上記公知例のものとワイヤーロープの巻取方向が逆(繰出側がウインチドラムで巻取側が仮巻きドラム)であって、繰出側となるウインチドラムからのワイヤーロープ繰出量と巻取側となる仮巻きドラムへのワイヤーロープ巻取量との異同を外部から目視により認知し得るようにしたワイヤーロープ巻取装置を提供することを目的としてなされたものである。
本考案は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本考案は、クレーンのウインチドラムに巻回しているワイヤーロープを仮巻きドラムに巻取る際のワイヤーロープ巻取装置を対象にしたものである。
ところで、上記「背景技術」の項でも説明した通り、大型クレーン車では、公道を走行させる際の重量制限の規制によってブームや旋回台を車両から取外して別送する必要があるが、その一環として別送される旋回台の重量をさらに軽減させるために、旋回台上のウインチドラムに巻回されているワイヤーロープを仮巻きドラムに巻取ることが行われている。そして、本考案のワイヤーロープ巻取装置は、ワイヤーロープをウインチドラム側から仮巻きドラム側へ巻替える際に使用するものである。
本考案のワイヤーロープ巻取装置は、上記ウインチドラムから繰出したワイヤーロープを上記仮巻きドラムに巻取らせる動力駆動式の巻取機と、上記ウインチドラムから繰出したワイヤーロープを案内支持する前後2つの固定シーブと、上記両固定シーブ間に張設されたワイヤーロープをU字状に掛け回して上記ウインチドラムから繰出されるワイヤーロープの繰出量と上記仮巻きドラムに巻取られるワイヤーロープの巻取量の差で高さ方向の位置が変化する移動シーブとで構成したものである。
上記移動シーブは、上記前後2つの固定シーブ間に張設されるワイヤーロープをU字状に掛け回すことで宙吊り状態で支持されるとともに、該移動シーブは、その宙吊り状態でワイヤーロープに適度の張力(ワイヤーロープを仮巻きドラムに整然と巻取り得る張力)を発生させ得る重量(例えば150Kg程度の重量)を有している。又、移動シーブを宙吊り状態(正常状態)で上下動できる範囲は、特に限定するものでないが例えば1〜1.5メートル程度確保しておくことが好ましい。
本考案のワイヤーロープ巻取装置は、車両上に旋回台及びブームが搭載された状態のクレーン車におけるブーム先端部より前方の地上に設置して使用されるものであって、クレーン車のウインチドラムに巻回されているワイヤーロープの先端側をブーム先端部のシーブを介して下方に垂れ下げ、そのワイヤーロープ先端側を、一方(前側)の固定シーブの上面側と、移動シーブの下面側と、他方(後側)の固定シーブの上面側に順次掛け回した後、そのワイヤーロープ先端部を仮巻きドラムにセット(固定)すれば、ワイヤーロープ巻取りのための前準備が完了する。
そして、この状態で、同期してウインチドラムをワイヤーロープ繰出駆動させる一方、仮巻きドラムをワイヤーロープ巻取駆動させるが、このワイヤーロープ巻取装置の作動形態及び機能については、後述する実施例で詳しく説明する。
本考案のワイヤーロープ巻取装置によれば、ワイヤーロープを仮巻きドラムに巻取る作業中に、上記移動シーブが前後両固定シーブ間で宙吊り状態に維持されているか否かを外部から目視することで、ワイヤーロープが適正な張力を維持した状態で巻取られているかどうかを認知できる一方、該移動シーブが上下移動しているか否かを外部から目視することで、ウインチドラムからのワイヤーロープ繰出量と仮巻きドラムへのワイヤーロープ巻取量とが均等であるか否かを認知することができる。
従って、上記ワイヤーロープ繰出量と上記ワイヤーロープ巻取量との異同を、簡単な構成(両固定シーブ間に移動シーブを宙吊り状態で支持させる構成)で且つ確実に認知する(移動シーブの状態を目視する)ことができるという効果がある。
尚、移動シーブへの目視で上記ワイヤーロープ繰出量と上記ワイヤーロープ巻取量とに差があると認知したときには、例えば仮巻きドラムの巻取スピードを調整することによって、ワイヤーロープ繰出量とワイヤーロープ巻取量を均等(ほぼ均等)にできるので、簡単に正常運転に復帰させることができる。
以下、図1〜図3を参照して本願実施例のワイヤーロープ巻取装置を説明すると、この実施例のワイヤーロープ巻取装置は、図1に示すように大型クレーン車のウインチ(補巻ウインチ4及び主巻ウインチ5)から繰出される各ワイヤーロープ40(又は50)を地上に設置した巻取機3の仮巻きドラム31に巻取る際に使用するものである。
図1に示す大型クレーン車は、車両10上に旋回台11を設置している一方、該旋回台11に伸縮及び起伏自在なブーム12を設けている。ブーム12は起伏シリンダ13で起伏せしめられる。
ところで、大型クレーン車では、上記「背景技術」や「考案が解決しようとする課題」の項でも説明した通り、公道を走行させる際の重量制限の規制によってブーム12や旋回台11を車両10から取外して別送する必要があり、その一環として別送される旋回台11の重量をさらに軽減させるために、旋回台11上のウインチ(補巻ウインチ4と主巻ウインチ5)に巻回されているワイヤーロープ(補巻ワイヤーロープ40,主巻ワイヤーロープ50)をそれぞれ巻取機3の仮巻きドラム31に巻取ることが行われている。そして、本願のワイヤーロープ巻取装置は、ワイヤーロープ(40又は50)をウインチ(4又は5)側から仮巻きドラム31側へ巻替える際に使用する。尚、この実施例では、補巻ウインチ4のドラム4aに巻回されているワイヤーロープ40を仮巻きドラム31に巻取る場合を主体にして説明するが、以下の説明では、補巻ウインチを単にウインチ4といい、補巻ウインチドラムを単にウインチドラム4aということがある。
本願実施例のワイヤーロープ巻取装置は、ウインチドラム4aから繰出したワイヤーロープ40を仮巻きドラム31に巻取らせる動力駆動式の巻取機3と、それぞれ後述する前後2つの固定シーブ21,22及び移動シーブ23を有した巻取補助機2とで構成されている。
上記巻取機3は、図1及び図2に示すように、基台30上に、仮巻きドラム31と該仮巻きドラム31を回転駆動する減速機33付きのモータ32と各種の操作を行う制御ボックス34とを搭載して構成されている。制御ボックス34には、モータ回転方向の切換やモータ回転量を調整し得る各種操作ボタンが設けられている。
上記巻取補助機2は、図1〜図3に示すように、所定高さ(例えば2メートル強の高さ)を有した基台20と、該基台20の上部の前後2位置に設けた2つの固定シーブ21,22と、該両固定シーブ21,22間に張設されるワイヤーロープ40aをU字状に掛け回して宙吊り状態で支持される移動シーブ23とを有している。
上記基台20の四隅には、それぞれ支柱20a,20a・・が立設されている。この各支柱20aの何れか(図示例では前後方向の2本)の外向き側面には、図3に拡大図示するように、移動シーブ23の高さ位置が許容位置にあるか異常位置にあるかの判別の指標となる縦長の判別部27が設けられている。この判別部27は、下部側の長範囲に表示した許容域部(例えば黄色テープを貼着したもの)27aと上部側の短範囲に表示した異常域部(同赤色テープを貼着したもの)27bとが設けられている。
上記前後2つの固定シーブ21,22は、基台20の上部における前後方向(ワイヤーロープ張設方向)に所定間隔をもった2位置に、ワイヤーロープ40をそれぞれ前後向きに掛け回し得る姿勢で取付けられている。
上記移動シーブ23は、所定重量を有したウエイト部材24の上部にシーブ25を設けたものである。この移動シーブ23の全体重量は、該移動シーブ23を前後2つの固定シーブ21,22間に張設されたワイヤーロープ40aで宙吊りに支持された状態で、仮巻きドラム31側に巻取られるワイヤーロープ40を仮巻きドラム31に整然と巻取り得る張力を発生させ得る重量(例えば150Kg程度の重量)を有している。
ウエイト部材24の下部の側面には、図3に拡大図示するように、上記基台20側の判別部27と同じ面に基準部(例えば黄色テープを貼着したもの)26を表示している。そして、該基準部26が上記判別部27(許容域部27a、異常域部27b)のどの高さ位置に対応しているかを目視することで、ワイヤーロープ巻取状態が正常か異常かを瞬時に確認できるようになっている。即ち、移動シーブ23を正常状態で上下動できる範囲は、図3に実線図示するようにウエイト部材24の下端部が地面に近接する高さ位置(図3の実線図示位置)にあるときのシーブ25の高さ位置P1から、移動シーブ23のシーブが符号25′で示す両固定シーブ21,22とほぼ同高さになる高さ位置P2までの高さ範囲Hである。そして、上記判別部27の許容域部27aの設定位置は、移動シーブ23が許容範囲(Hの高さ範囲)の下端位置P1にあるときには、ウエイト部材24の上記基準部26がP1′の高さ位置にあって許容域部27aの下端付近に位置し、移動シーブ23が許容範囲(Hの高さ範囲)の上端位置P2にあるときには、ウエイト部材の上記基準部26′がP2′の高さ位置にあって許容域部27aの上端付近に位置するように設定している。尚、移動シーブ23を宙吊り状態(正常状態)で上下動できる範囲(上記高さ範囲H)は、例えば1〜1.5メートル程度確保することが好ましい。
他方、判別部27の異常域部27bは、許容域部27aの上端から上方に若干離間させた位置に設けていている。そして、移動シーブ23のシーブが符号25″で示す異常高さ(抜け止めピン21a,22aを破損させる危険がある高さ、又はワイヤーロープ40が固定シーブから外れる高さ)まで上動したときには、ウエイト部材24の基準部が符号26″の高さ位置P3′となって該基準部26″が上記異常域部27bに対応する位置まで上動し、それを監視員Mが目視することで、移動シーブ23が異常位置まで上動していることを認知することができる。
ところで、巻取機3の仮巻きドラム31は、図2に示すように、左右方向(ドラム軸線方向)にかなりの長さの巻取胴31aを有しており、後側の固定シーブ22から仮巻きドラム31に巻取られるワイヤーロープが巻取胴31aの左右方向(ドラム軸線方向)に順次きれいに振り分けられながら整然と巻取られるようにする必要があるが、そのために、仮巻きドラム31に対するワイヤーロープの巻取位置に対応して、巻取補助機2の後側の固定シーブ22を基台20に対して平面視(図2状態)で左右方向(矢印R及びL方向)に移動し得るようにしている。
ところで、図1〜図3に示す実施例のワイヤーロープ巻取装置では、実用新案登録請求の範囲で特定している前後の固定シーブ21,22と移動シーブ23とを巻取補助機2の基台20に取付けて巻取機3とは別体の構成としているが、他の実施例では、巻取機3の基台30を前後に大きくして、上記前後の固定シーブ21,22と移動シーブ23とを巻取機3の基台30に取付けてもよい。
この実施例のワイヤーロープ巻取装置は、図1に示すように、車両10上に旋回台11及びブーム12が搭載された状態のクレーン車におけるブーム先端部12aより前方の地上に巻取補助機2と巻取機3とを設置して使用されるが、その際、図2に示すようにブーム先端部12aのシーブ14,15に対して巻取補助機2の前後の固定シーブ21,22と巻取機3の仮巻きドラム31とが平面視で同一直線上に位置するように配置する。
そして、クレーン車のウインチドラム4aから巻替えようとしているワイヤーロープ40の先端側をブーム先端部12aのシーブ14,15を介して下方に垂れ下げ、そのワイヤーロープ先端側を、巻取補助機2の前側固定シーブ21の上面側と、移動シーブ23のシーブ25の下面側と、後側固定シーブ22の上面側に順次掛け回した後、そのワイヤーロープ先端部を仮巻きドラム31にセット(固定)すれば、ワイヤーロープ巻取りのための前準備が完了する。
この状態で、同期してウインチドラム4aのワイヤーロープ繰出駆動と仮巻きドラム31のワイヤーロープ巻取駆動を行うと、ウインチドラム4aから繰出されたワイヤーロープ40が順次仮巻きドラム31に巻取られていくが、このとき移動シーブ23が両固定シーブ21,22間で宙吊りに支持されていると、該移動シーブ23の自重でワイヤーロープ40を仮巻きドラム31に整然と巻取るための適正張力に維持できる。従って、仮巻きドラム31に巻取られるワイヤーロープ40は、乱巻や食い込みのないきれいな状態で巻取られていく。尚、このとき、ワイヤーロープは、仮巻きドラム31の巻取胴31aに対して左右方向(ドラム軸線方向)にワイヤーロープ太さずつ位置ずれせさながら整然と巻取る必要があるが、そのために、ワイヤーロープの巻取位置に対応して後側の固定シーブ22を左右移動(矢印R側及びL側に移動)させるようにしている。
他方、ウインチドラム4aからのワイヤーロープ繰出量と仮巻きドラム31へのワイヤーロープ巻取量とに差が生じると、該ウインチドラム4aと仮巻きドラム31間に張設されているワイヤーロープ40の張力(緊張・弛緩状態)が変化するが、そのワイヤーロープの張力の変化は両固定シーブ21,22間に宙吊り状態で支持されている移動シーブ23の高さ位置が変動することで吸収されるので、該ワイヤーロープの張力は移動シーブ23の重量による張力に維持される。このとき、移動シーブ23の高さ位置が上方に変動すると上記ワイヤーロープ繰出量が上記ワイヤーロープ巻取量より少ないことを意味し、逆に移動シーブ23の高さ位置が下方に変動すると上記ワイヤーロープ繰出量が上記ワイヤーロープ巻取量より多いことを意味する。
ところで、移動シーブ23が上記上下許容範囲(図3の高さ範囲H)から下振れする(接地する)と、ワイヤーロープ40の張力が弱くなるので、仮巻きドラム31に巻取られるワイヤーロープ40が乱巻され易くなる一方、移動シーブ23が上下許容範囲から上振れすると、上記固定シーブ21,22に掛け回しているワイヤーロープ40の傾斜角度が変わって該固定シーブ21,22に設けている抜け止めピン21a,22aが破損したりワイヤーロープ40が固定シーブから外れることがある、というトラブルが発生する。
そこで、この実施例のワイヤーロープ巻取装置を使用すると、ワイヤーロープ巻取作業中に、移動シーブ23の高さ位置(及び動き)を監視員Mが目視で確認することによって、上記ワイヤーロープ繰出量と上記ワイヤーロープ巻取量との異同を認知することができる。そして、もし移動シーブ23が上方又は下方に移動中であれば、監視員Mが巻取機3の制御ボックス34(スピード調整ボタン)で仮巻きドラム31の巻取スピードを調整することで、移動シーブ23の高さ位置を正常高さ範囲H内に維持させることができる。尚、移動シーブ23が正常高さ範囲内で維持されることは、上記ワイヤーロープ繰出量と上記ワイヤーロープ巻取量とがほぼ均等になることを意味し、この状態では仮巻きドラム31にワイヤーロープ40が整然と巻取られる。
上記のように、この実施例のワイヤーロープ巻取装置を使用すると、ワイヤーロープ40を仮巻きドラム31に巻取る作業中に、移動シーブ23が前後の固定シーブ21,22間で宙吊り状態に維持されているかどうか(ウエイト部材24の基準部26が基台20側の許容域部27aの範囲にあるかどうか)を監視員Mが目視することで、ワイヤーロープ40が適正な張力を維持した状態で巻取られているかどうかを認知できる一方、移動シーブ23が上下移動しているか否かを監視員Mが目視することで、ウインチドラム4aからのワイヤーロープ繰出量と仮巻きドラム31へのワイヤーロープ巻取量とが均等であるか否かを認知することができる。
そして、移動シーブ23への目視で上記ワイヤーロープ繰出量と上記ワイヤーロープ巻取量とに差があると認知したときには、制御ボックス34の調整ボタンで仮巻きドラム31の巻取スピードを調整することによって、ワイヤーロープ繰出量とワイヤーロープ巻取量をほぼ均等にできるので、簡単に正常運転に復帰させることができる。
従って、本願実施例のワイヤーロープ巻取装置を使用すると、上記ワイヤーロープ繰出量と上記ワイヤーロープ巻取量との異同を、簡単な構成で且つ確実に認知することができる。
尚、上記ワイヤーロープ繰出量とワイヤーロープ巻取量との差を調整するのに、上記実施例では巻取機3側で仮巻きドラム31の巻取スピードを調整することで行っているが、他の使用例ではクレーン車側(クレーン操作室内)でウインチドラム4aの繰出スピードを調整するようにしてもよい。
そして、上記のように、一方(補巻ウインチ4)のウインチドラム4aに巻回していたワイヤーロープ40を仮巻きドラム31に巻取った後、他方(主巻ウインチ5)のウインチドラム5aに巻回しているワイヤーロープ50を別の仮巻きドラムに巻取るが、その場合、巻取機3の基台30から巻取り済みの仮巻きドラム31を取外し、そこに空の仮巻きドラムをセットして、上記と同様に他方のワイヤーロープ50を仮巻きドラムに巻取ればよい。
このように両ワイヤーロープ40,50を各仮巻きドラム31に巻取ると、その両ワイヤーロープ40,50の合計重量分(約5トン)だけ旋回台重量が軽量になり、旋回台11を運搬車で別送する際の旋回台積み込み運搬車の総重量を軽減できる。
図4には、巻取機3側の仮巻きドラム31に巻取ったワイヤーロープ40をクレーン車側のウインチドラム4aに巻戻す場合の作業状態を示している。この図4に示すウインチドラム4a側へのワイヤーロープ巻戻し作業では、ブーム先端部12aと巻取機(この場合は繰出機となる)3との間に、ウインチドラム4aに巻戻すべきワイヤーロープ40に所定張力(整然と巻戻すための張力)を付与する張力負荷機6を介在させている。
そして、この場合は、巻取るべきワイヤーロープ40を張力負荷機6のドラムに掛け回した状態で、繰出し側の仮巻きドラム31と巻取り側のウインチドラム4aとを同期駆動させる。すると、巻取られるワイヤーロープ40に張力負荷機6で所定張力を付与しながらウインチドラム4aに巻取られることによって、該ウインチドラム4aにワイヤーロープを整然と(乱巻や食い込みのない状態で)巻取ることができる。