JP3227689B2 - 抗好中球細胞質抗体の測定方法 - Google Patents

抗好中球細胞質抗体の測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗好中球細胞質抗体の
測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】抗好中球細胞質抗体(以下、ANCAと
いう)は蛍光抗体間接法(以下、IIF法という)によ
り検討され、その染色パターンから、細胞質が染色され
る(Cytoplasmic)-ANCA(以下、C−ANCAとい
う)と、核周辺が染色される(Perinuclear)-ANCA
(以下、P−ANCAという)の2つに分けられる。近
年、難治性の腎疾患であるウェゲナー肉芽腫症でC−A
NCAを測定することが早期診断に極めて有力になった
ことから、C−ANCAの測定が注目されるようになっ
た。しかしながらIIF法によるC−ANCAの測定は
手技および蛍光パターンの解釈にかなりの経験と熟練を
要するため日常の臨床検査には適さなかった。
【0003】その後、ヒト好中球のα顆粒でC−ANC
Aの対応抗原が同定されたことから、免疫学的作用を利
用した酵素免疫測定法(EIA法)による試薬が市販さ
れ、簡便かつ短時間でC−ANCAが測定されるように
なった。これは、合成樹脂製プレート等の表面に、ヒト
好中球から精製したC−ANCA抗原をコーティングさ
せ、乾燥状態にしたものに検体を入れ、発色剤を加えて
その吸光度を測定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、C−A
NCA抗原はヒト好中球のα顆粒から精製するため、他
の物質が混在しうる可能性がある。ヒト好中球のα顆粒
中には、C−ANCA抗原以外に、ミエロペルオキシダ
ーゼ(以下、MPOという)、エラスターゼ、ラクトフ
ェリン、カテプシンGなどがあり、これらがC−ANC
A抗原と共存している。前述の共存抗原は検体中に存在
する抗ミエロペルオキシダーゼ抗体(以下、MPO−A
NCAという)などのC−ANCA以外の抗体と抗原抗
体反応を起こし、C−ANCA以外の物質を測定してし
まうという欠点がある。例えば、C−ANCAとMPO
−ANCAはその臨床的意義が異なるため、MPO−A
NCAよる非特異反応をC−ANCAとして測定するこ
とは診断を混乱させ問題であった。本発明はこの問題を
解決することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、抗原抗体反応
において抗好中球細胞質抗体の抗原と共存するミエロペ
ルオキシダーゼ抗原による非特異反応を抑制することを
特徴とする抗好中球細胞質抗体の測定方法である。本発
明において抗原抗体反応とは、検体中の抗好中球細胞質
抗体(C−ANCA)と試薬中のC−ANCA抗原の反
応をいう。また、本発明において抗好中球細胞質抗体の
測定方法としては、上記抗原抗体反応を利用したサンド
イッチ免疫測定法などがある。
【0006】また本発明は、抗原抗体反応において抗好
中球細胞質抗体の抗原と共存するミエロペルオキシダー
ゼ抗原をヒト以外の動物由来抗ヒト好中球ミエロペルオ
キシダーゼ抗血清で特異的に抑制することを特徴とする
抗好中球細胞質抗体の測定方法である。
【0007】動物由来抗ヒト好中球MPO抗血清は、ヒ
ト以外の免疫動物にMPO抗原を免疫し、この抗血清を
精製しIgG分画を得る。免疫動物は、ヒト以外なら使
用可能であるが、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブ
タ、ウマ等が望ましい。つまり、用いる抗血清(Ig
G) は、2次抗体である抗ヒトIgG抗体と交差反応を
しないもので、同じ免疫動物由来のものを使用すること
が望ましい。又、未精製抗血清自体を用いてもよいが、
この時抗血清内に非特異反応の原因となりうる物質が存
在する場合、それを除去する必要がある。
【0008】この動物由来抗ヒト好中球MPO抗血清
は、検体とC−ANCA抗原の反応前又は反応時に添加
するが、反応前に添加した方が抑制効果は大きい。
【0009】C−ANCA抗原は不溶性担体に直接固相
化されても、別途加えてもよい。不溶性担体はガラス、
アガロース、デキストラン、セルロース、ポリアクリル
アミド、ポリスチレン、ホモポリペプチド、ラテック
ス、ポリカボーネート、ポリプロピレン、アミノアルキ
ルシリカガラス、シリコンゴム等が使用され、その表面
に共有結合法、イオン結合法、物理的吸着等によりC−
ANCA抗原を付着させた後乾燥させて固相化されてい
る。
【0010】
【作用】上述のように、試薬中のC−ANCA抗原に動
物由来抗ヒトMPO抗血清のIgG分画を添加すること
で、あらかじめC−ANCA抗原と共存するMPO抗原
による非特異反応が抑制されるので、該MPO抗原によ
り検体中のMPO−ANCAをC−ANCAとして測定
することなく、正確なC−ANCA値を測定することが
可能になる。
【0011】
【実施例】〔実施例1〕 正常ヒト好中球由来のC−ANCA抗原をヌンク社製の
マイクロプレート(96ウェル)に固定させたものを用
意した。リン酸緩衝液(pH7.3)を用いて抗ヒト好
中球MPOウサギ抗血清IgG分画(アテンズリサーチ
社製)を表1に示す各濃度に調整した。該分画液を20
0μl/ウェルずつマイクロプレートに分注し、25℃で
60分間インキュベーションした。その後該分画液を除
去し、Tween20を含むリン酸緩衝液(pH7.
2)で洗浄した。次に、各々のウェルに検体としてリン
酸緩衝液(pH7.3)で75倍に希釈したC−ANC
A含有ヒト血清またはMPO−ANCA含有ヒト血清を
200μl/ウェルずつ加え、25℃で60分間インキュ
ベーション後、Tween20を含むリン酸緩衝液(p
H7.2)で洗浄を行った。さらにリン酸緩衝液(pH
7.3)で調整したオリオン社製のアルカリホスファタ
ーゼ標識抗ヒトIgG抗体を200μl/ウェルずつ分注
し、25℃で60分間インキュベーションした。その後
反応液を除去し、Tween20を含むリン酸緩衝液
(pH7.2)で洗浄後、ジエタノール−アミン−HC
l緩衝液(pH9.7)で調整したシグマ社製のp−ニ
トロフェニルリン酸二ナトリウムを発色剤として200
μl/ウェルずつ加え、0分と60分との吸光度差を測定
した。吸光度の測定は、コロナ社製、タイプMTP12
0のマイクロプレートリーダーを用い、405nmの波
長で測定した。この結果を表1に示す。ここで表中の測
定値OD(Optical Dencity)は吸光度
差を表す。
【0012】尚、抗ヒト好中球MPOウサギ抗血清Ig
G分画の濃度は抗体価(μg antigen/ml)で規定する。
抗体価とは抗体活性値のことであり、1mlの抗血清中で
反応する抗原量を示している。今回使用した抗血清は、
ヒト好中球から精製したMPO抗原を免疫動物に免疫さ
せたものである。この抗血清とヒト好中球から精製した
MPO抗原(分子量:150,000) で抗原抗体反応を行い、
反応により沈降した抗原量を求め、これを抗体価とし
た。
【0013】
【表1】
【0014】これより、抗ヒト好中球MPOウサギ抗血
清IgG分画の添加は、C−ANCA含有ヒト血清の測
定値には何ら影響を与えることなく、MPO−ANCA
含有ヒト血清の測定値のみを低下させている。これは抗
ヒト好中球MPOウサギ抗血清IgG分画がウェル上で
C−ANCA抗原と共存するMPO抗原とあらかじめ反
応し、検体中のMPO−ANCAとC−ANCAと共存
するMPO抗原が反応することを抑制していることを示
す。また、この抗ヒト好中球MPOウサギ抗血清IgG
分画の有効濃度は、上表からも明らかなように1mlのウ
サギ抗血清に対し0.49μg のMPO抗原と反応する
抗体価以上でその効果を示している。
【0015】〔比較例1〕 実施例で非特異反応抑制剤として添加した抗ヒト好中球
MPOウサギ抗血清のIgG分画の分注を除き、従来の
C−ANCA測定試薬で、C−ANCA含有ヒト血清、
MPO−ANCA含有ヒト血清および健常人の血清を検
体として、実施例と同様な手順で測定した。その結果を
表2に示す。
【0016】
【表2】
【0017】この結果から、健常人血清の測定値より平
均値+2×SD(標準偏差)を正常値とすると、正常値
は(0.009+2 ×0.00028 =0.00956)であるから、C−A
NCA含有ヒト血清およびMPO−ANCA含有ヒト血
清は正常値との間に明らかに差がある。これは、C−A
NCA抗原を固相化させたウェルに対して、MPO−A
NCAが反応していることから、C−ANCA抗原と共
存するMPO抗原と反応が起こっていると言える。
【0018】〔比較例2〕 実施例で添加した抗ヒト好中球MPOウサギ抗血清のI
gG分画の代わりに一般的に使用される非特異反応抑制
剤として、オルガノン社製の牛血清アルブミン(BS
A)をC−ANCA測定試薬に加えた。そして実施例と
同様に検体としてC−ANCA含有ヒト血清およびMP
O−ANCA含有ヒト血清を用いて、測定を行った。そ
の結果を表3に示す。
【0019】
【表3】
【0020】一般的な非特異反応抑制剤であるBSAを
用いた実験結果は、添加量に関係なくMPO−ANCA
含有ヒト血清測定値がほぼ同じ値を示すことから、BS
AではMPO抗原を特異的に抑制する効果がないことが
分かる。
【0021】
【発明の効果】本発明の測定方法を採用すれば、C−A
NCA抗原の活性を失活させることなくC−ANCA抗
原中の非特異反応を抑制できる。つまり、C−ANCA
抗原と共存するMPO抗原だけを特異的に抑制し、目的
とするC−ANCAの正確な測定が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 国際公開92/2819(WO,A1) Australian and Ne w Zealand J.MEd.,V ol.21,No.4(1991)p.433− 437 J.Immun.Methods,V ol.127,No.1(1990)p.139− 146 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗原抗体反応において抗好中球細胞質抗
    体の抗原と共存するミエロペルオキシダーゼ抗原をヒト
    以外の動物由来抗ヒト好中球ミエロペルオキシダーゼ抗
    血清で特異的に抑制することを特徴とする抗好中球細胞
    質抗体の測定方法。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Australian and New Zealand J.MEd.,Vol.21,No.4(1991)p.433−437
J.Immun.Methods,Vol.127,No.1(1990)p.139−146

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