JP3325837B2 - ダム用クレーンの制御方法 - Google Patents

ダム用クレーンの制御方法

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JP3325837B2
JP3325837B2 JP19430098A JP19430098A JP3325837B2 JP 3325837 B2 JP3325837 B2 JP 3325837B2 JP 19430098 A JP19430098 A JP 19430098A JP 19430098 A JP19430098 A JP 19430098A JP 3325837 B2 JP3325837 B2 JP 3325837B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ワイヤにより吊
り下げられたバケットを運搬するダム用クレーンの制御
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ダム工事のコンクリート運搬
手段として軌索式のケーブルクレーンが用いられてい
る。このケーブルクレーンは、一方の岸に固定された2
つの軌索ポスト間に張設された軌索と、上記軌索上を移
動する走行トロリーと、上記走行トロリーと対岸に固定
された主索ポストとの間に張設された主索と、上記主索
上を移動する横行トロリーと、上記横行トロリーに吊索
を介して吊り下げられたバケットとを備えている。上記
ケーブルクレーンでは、バッチャープラントで混練され
た生コンクリートをバンカー線上を走行するトランスフ
ァーカーにより運搬して、バンカー線近傍のバケットに
トランスファーカー内から生コンクリートが移される。
【0003】上記ケーブルクレーンでは、走行トロリー
の移動速度,横行トロリーの移動速度および吊索の巻上
げ/巻降ろし速度を経過時間毎に定めた運転パターンに
従って、バンカー線近傍の運搬開始位置からダムの堤体
上のコンクリート打設位置までバケットを運搬する。こ
の場合、走行トロリーを軌索上を走行させて所定の位置
に移動させ、その後、運搬開始位置から横行トロリーを
主索上を走行させて、コンクリート打設位置上に横行ト
ロリーを移動させる。このとき、上記横行トロリーの移
動に合わせて、バケットを吊り下げている吊索の巻上げ
/巻降ろしを行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ケーブ
ルクレーンでは、安全のために、バケットができるだけ
振れないように横行トロリーを走行させて、目的位置上
で吊索により吊り下げられたバケットが振れないように
すると共に、工期,コストの点から横行トロリーの走行
を速くする必要がある。このため、上記横行トロリーの
走行および吊索の巻上げ/巻降ろしの操作に熟練を要す
るという問題がある。
【0005】また、上述のようなコンクリートの打設に
は、ケーブルクレーンの操作者のみならず、そのケーブ
ルクレーンの動きに従属する作業者(コンクリート混練
プラント側と目的位置側)が必要であるため、操作者の
熟練の程度により定まるケーブルクレーンのサイクルタ
イムの長短が工期,コストに大きく影響し、特に上述の
ダム工事では1日に大量の生コンクリートを打設するの
で、サイクルタイムを短縮することが重要となる。
【0006】そこで、この発明の目的は、熟練した操作
者でなくとも、吊荷をできるだけ振れないように安全に
かつ速やかに運搬できるダム用クレーンの制御方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1のダム用クレーンの制御方法は、ダム工事
のコンクリート運搬手段であるダム用クレーンの制御方
法において、バケットをワイヤで吊り下げながら運搬開
始位置から目的位置に運搬するときに、上記ワイヤの上
支点の横行および上記ワイヤの巻上げを、上記運搬開始
位置から目的位置 までの区間に亘って、加速、等速、減
速の順で夫々行うダム用クレーンの制御方法であって、
上記ワイヤの等速時の巻上げ速度を仮定する工程と、上
記ワイヤの等速時の巻上げ速度と全巻上げ長さに基づい
て、上記ワイヤの巻上げ速度を経過時間毎に定めた上記
ワイヤの巻上げ速度パターンを求めると共に、上記運搬
開始位置から目的位置に到達する時間を求める工程と、
上記ワイヤの巻上げ速度パターンに基づいて、上記ワイ
ヤの上支点の横行の加速開始時の上記ワイヤの吊り長さ
に基づく上記バケットの振り子運動の周期と上記ワイヤ
の上支点の横行の加速終了時の上記ワイヤの吊り長さに
基づく上記バケットの振り子運動の周期との平均値の略
整数倍の時間となるように、上記ワイヤの上支点の横行
の加速時間を定めると共に、上記ワイヤの巻上げ速度パ
ターンに基づいて、上記ワイヤの上支点の横行の減速開
始時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケットの振
り子運動の周期と上記ワイヤの上支点の横行の減速終了
時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケットの振り
子運動の周期との平均値の略整数倍の時間となるよう
に、上記ワイヤの上支点の横行の減速時間を定める工程
と、上記運搬開始位置から目的位置に到達する時間と、
上記ワイヤの上支点の横行の加速時間および減速時間
と、上記運搬開始位置から目的位置までの上記ワイヤの
上支点の全横行距離に基づいて、上記ワイヤの上支点の
横行の等速時の移動速度を求めると共に、上記ワイヤの
上支点の横行の移動速度を経過時間毎に定めた上記ワイ
ヤの上支点の横行の移動速度パターンを求める工程とを
有し、上記4つの工程を用いて、上記ワイヤの等速時の
巻上げ速度および上記ワイヤの上支点の横行の等速時の
移動速度が、上記ワイヤの巻上げ手段および上記ワイヤ
の上支点の横行の移動手段の能力の限界内で最大となる
ように、上記ワイヤの巻上げ速度パターンおよび上記ワ
イヤの上支点の横行の移動速度パターンを決定し、この
決定された上記ワイヤの巻上げ速度パターンおよび上記
ワイヤの上支点の横行の移動速度パターンに基づいてク
レーンを動作させることを特徴としている。
【0008】上記請求項1のダム用クレーンの制御方法
によれば、運搬開始位置から目的位置まで迅速かつ安全
バケットを運搬できる。上記加速区間において、上記
ワイヤの上支点とバケットとが静止している状態からワ
イヤの上支点を水平方向に加 速しながら移動させると、
バケットはそのワイヤの吊り長さに基づく周期で振り子
運動を始める。この加速区間で、上記ワイヤの巻上げを
行うと、ワイヤの吊り長さが変化して、バケットの振り
子運動の周期が変化する。しかし、上記加速区間の開始
時のワイヤの吊り長さに基づく振り子運動の周期と、加
速区間の終了時のワイヤの吊り長さに基づく振り子運動
の周期との平均値の略整数倍の時間の間、ワイヤの上支
点を加速しながら移動させ、加速終了後は等速で移動さ
せると、加速区間の終了時にバケットが振り子運動の略
最下点となって、上記等速区間ではワイヤの上支点とバ
ケットとが同一方向に等速で移動する。したがって、上
記ワイヤの上支点を加速しながら移動させた後、ワイヤ
の上支点とバケットとが等速で移動するので、等速区間
でバケットが振れることなく、熟練した操作者なしに安
全にバケットを運搬できる。また、上記加速区間でワイ
ヤを巻上げて、吊り長さを短くした場合は、移動途中の
障害物を避けることができると共に、吊り長さが一定の
場合に比べて、バケットの振り子運動の周期の平均値が
短くなるので、加速しながら移動するときの時間を短縮
できる。また、上記等速区間のワイヤの上支点とバケッ
トとが等速で移動している状態から、上記減速区間でワ
イヤの上支点を略水平方向に減速しながら移動させる
と、バケットはそのワイヤの吊り長さに基づく周期で振
り子運動を始める。この減速区間で、上記ワイヤの巻上
げを行うと、ワイヤの吊り長さが変化して、バケットの
振り子運動の周期が変化する。しかし、上記減速区間の
開始時のワイヤの吊り長さに基づく振り子運動の周期
と、減速区間の終了時のワイヤの吊り長さに基づく振り
子運動の周期との平均値の略整数倍の時間の間、ワイヤ
の上支点を減速しながら移動させると、バケットの振り
子運動が略最下点であるときにワイヤの上支点とバケッ
トとが停止する。したがって、上記バケットが振れるこ
となく、上記目的位置にバケットを確実に静止させるこ
とができる。
【0009】また、請求項2のダム用クレーンの制御方
法は、ダム工事のコンクリート運搬手段であるダム用ク
レーンの制御方法において、バケットをワイヤで吊り下
げながら運搬開始位置から目的位置に運搬するときに、
上記ワイヤの上支点の横行および上記ワイヤの巻降ろし
を、上記運搬開始位置から目的位置までの区間に亘っ
て、加速、等速、減速の順で夫々行うダム用クレーンの
制御方法であって、上記ワイヤの等速時の巻降ろし速度
を仮定する工程と、上記ワイヤの等速時の巻降ろし速度
と全巻降ろし長さに基づいて、上記ワイヤの巻降ろし速
度を経過時間毎に定めた上記ワイヤの巻降ろし速度パタ
ーンを求めると共に、上記運搬開始位置から目的位置に
到達する時間を求める工程と、上記ワイヤの巻降ろし速
度パターンに基づいて、上記ワイヤの上支点の横行の加
速開始時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケット
の振り子運動の周期と上記ワイヤの上支点の横行の加速
終了時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケットの
振り子運動の周期との平均値の略整数倍の時間となるよ
うに、上記ワイヤの上支点の横行の加速時間を定めると
共に、上記ワイヤの巻降ろし速度パターンに基づいて、
上記ワイヤの上支点の横行の減速開始時の上記ワイヤの
吊り長さに基づく上記バケットの振り子運動の周期と上
記ワイヤの上支点の横行の減速終了時の上記ワイヤの吊
り長さに基づく上記バケットの振り子運動の周期との平
均値の略整数倍の時間となるように、上記ワイヤの上支
点の横行の減速時間を定める工程と、上記運搬開始位置
から目的位置に到達する時間と、上記ワイヤの上支点の
横行の加速時間および減速時間と、上記運搬開始位置か
ら目的位置までの上記ワイヤの上支点の全横行距離に基
づいて、上記ワイヤの上支点の横行の等速時の移動速度
を求めると共に、上記ワイヤの上支点の横行の移動速度
を経過時間毎に定めた上記ワイヤの上支点の横行の移動
速度パターンを求める工程とを有し、上記4つの工程を
用いて、上記ワイヤの等速時の巻降ろし速度および上記
ワイヤの上支点の横行の等速時の移動速度が、上記ワイ
ヤの巻降ろし手段および上記ワイヤの上支点の横行の移
動手段の能力の限界内で最大となるように、上記ワイヤ
の巻降ろし速度パターンおよび上記ワイヤの上支点の横
行の移動速度パターンを決定し、この決定された上記ワ
イヤの巻降ろし速度パターンおよび上記ワイヤの上支点
の横行の移動速度パターンに基づいてクレーンを動作さ
せることを特徴としている。
【0010】上記請求項2のダム用クレーンの制御方法
によれば、運搬開始位置から目的位置まで迅速かつ安全
にバケットを運搬できる。上記加速区間において、上記
ワイヤの上支点とバケットとが静止している状態からワ
イヤの上支点を水平方向に加 速しながら移動させると、
バケットはそのワイヤの吊り長さに基づく周期で振り子
運動を始める。この加速区間で、上記ワイヤの巻降ろし
を行うと、ワイヤの吊り長さが変化して、バケットの振
り子運動の周期が変化する。しかし、上記加速区間の開
始時のワイヤの吊り長さに基づく振り子運動の周期と、
加速区間の終了時のワイヤの吊り長さに基づく振り子運
動の周期との平均値の略整数倍の時間の間、ワイヤの上
支点を加速しながら移動させ、加速終了後は等速で移動
させると、加速区間の終了時にバケットが振り子運動の
略最下点となって、上記等速区間ではワイヤの上支点と
バケットとが同一方向に等速で移動する。したがって、
上記ワイヤの上支点を加速しながら移動させた後、ワイ
ヤの上支点とバケットとが等速で移動するので、等速区
間でバケットが振れることなく、熟練した操作者なしに
安全にバケットを運搬できる。また、上記等速区間のワ
イヤの上支点とバケットとが等速で移動している状態か
ら、上記減速区間でワイヤの上支点を略水平方向に減速
しながら移動させると、バケットはそのワイヤの吊り長
さに基づく周期で振り子運動を始める。この減速区間
で、上記ワイヤの巻降ろしを行うと、ワイヤの吊り長さ
が変化して、バケットの振り子運動の周期が変化する。
しかし、上記減速区間の開始時のワイヤの吊り長さに基
づく振り子運動の周期と、減速区間の終了時のワイヤの
吊り長さに基づく振り子運動の周期との平均値の略整数
倍の時間の間、ワイヤの上支点を減速しながら移動させ
ると、バケットの振り子運動が略最下点であるときにワ
イヤの上支点とバケットとが停止する。したがって、上
記バケットが振れることなく、上記目的位置にバケット
を確実に静止させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明のダム用クレーン
の制御方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0012】図1はこの発明の実施の一形態のダム用
レーンの制御方法が用いられるケーブルクレーンおよび
ダム工事現場の全体概要図である。このケーブルクレー
ンは、図1に示すように、左岸に固定された軌索ポスト
1,2間に張設された軌索3と、上記軌索3上を移動す
る走行トロリー4と、上記走行トロリー4と右岸に固定
された主索ポスト5との間に張設された主索6と、上記
主索6上を移動するワイヤの上支点としての横行トロリ
ー7と、上記横行トロリー7にワイヤとしての吊索8を
介して吊り下げられたバケット9とを備えている。上記
バッチャープラント13で混練された生コンクリートの
運搬用トランスファーカー12がバンカー線11を走行
する。
【0013】また、図2は上記ケーブルクレーンのバケ
ットの運搬経路の側面図を示しており、バンカー線11
上の運搬開始位置P1から目的位置(コンクリート打設
位置)P2までバケット9を運搬する。
【0014】上記ケーブルクレーンは、図1に示す走行
トロリー4の移動速度,横行トロリー7の移動速度およ
び吊索8の巻上げ/巻降ろし速度を経過時間毎に定めた
運転パターンに従って制御する。そうして、生コンクリ
ートを運搬するバケット9をバンカー線11近傍の図2
に示す運搬開始位置P1から目的位置P2まで運搬し
て、コンクリートを打設した後、バケット9を次の運搬
開始位置まで戻す。次の運搬において打設位置が大きく
変わる場合、走行トロリー3を軌索3に沿って移動させ
て、主索6が次の打設位置上になるようにした後、バン
カー線11近傍の運搬開始位置から次の打設位置までバ
ケット9を運搬して、コンクリートを打設した後、バケ
ット9を次の運搬開始位置まで戻す。このようにして、
上記バケット9を運搬開始位置から目的位置まで繰り返
し運搬することによって、堤体10上のコンクリート打
設領域に大量のコンクリートを打設する。
【0015】また、図3(A)は上記ケーブルクレーンの
運搬動作時の横行トロリー7の速度を示す図であり、図
3(B)は吊索8の巻降ろし速度を示す図である。図3
(A),(B)では、上記バケット9は、運搬開始位置から目
的位置まで障害物20(図2に示す)に当たらないで運搬
される場合を示している。上記走行トロリー3が所定の
位置に移動した後、図3(A)に示すように、加速区間TA
と等速区間TBおよび減速区間TCで横行トロリー7の走
行および吊索8の巻上げ/巻降ろしの制御を行う。本
来、横行トロリー7の移動手段および吊索8の巻上げ/
巻降ろし手段の能力が無限大であるならば、等速区間を
設けずに、加速および減速区間だけで動作を行う方が所
要時間は短くなる。しかし、各移動手段(モータ等)の能
力には限界があるため、このような等速区間を設けた速
度パターンにならざるを得ないのである。
【0016】まず、上記加速区間TAでは、図1に示す
バッチャープラント13よりバンカー線11に沿って運
搬されたトランスファーカー12内の生コンクリートを
バケット9に移し換えた後、バケット9を地切り高さ
(数m)まで吊り上げる。そして、運搬開始位置にバケッ
ト9を停止させた状態から、横行トロリー7を略一定の
加速度で加速しながら走行させると共に、モータ(図示
せず)により吊索8の巻降ろし速度を徐々に上げながら
吊索8を巻降ろし、加速区間TAの途中で略一定の巻降
ろし速度で吊索8を巻降ろす。
【0017】次に、上記等速区間TBでは、加速区間TA
の終了時の速度で横行トロリー7とバケット9とを等速
に移動させる。
【0018】そして、次の減速区間TCでは、等速区間
Bの速度から横行トロリー7を略一定の加速度で減速
しながら走行させると共に、この区間ではモータ(図示
せず)により吊索8を等速区間TBと同じ巻降ろし速度で
巻降ろし、減速区間TCの途中で徐々に速度を下げなが
ら吊索8を巻降ろして停止させる。
【0019】上記ケーブルクレーンにおいて、加速区間
Aから等速区間TBに移るとき、バケット9が振り子運
動の略最下点で横行トロリー7とバケット9とを等速で
同一方向に移動させて、バケット9が振れないようにす
る。
【0020】以下、上記バケット9が等速区間TBで振
れない原理について詳細に説明する。
【0021】上記バケット9の振り子運動の周期Tは、 T=2π(L/g)1/2 ………………(式1) L:横行トロリー7からバケット9までの吊り長さ g:重力加速度 で表される。また、上記振り子運動の角速度ωは、 ω=(g/L)1/2 ……………………(式2) で表され、横行トロリー7の速度vおよびバケット9の
振り子運動の絶対速度(横行トロリー7の走行方向の速
度成分)Vは、 v=αt ………………………………(式3) V=αt−δωsinωt ………………(式4) t:時間 α:加速度 ω:角速度 δ:α/ω2 で表される。上記式3,式4より横行トロリー7の速度
vとバケット9の振り子運動の走行方向の絶対速度Vが
等しくなる条件は、 sinωt=0 ……………………………(式5) である。
【0022】また、上記横行トロリー7に対する相対変
位yは、 y=∫vdt−∫Vdt =∫(αt−αt+δωsinωt)dt =−δcosωt+C …………………(式6) となり、時間t=0のとき相対変位y=0であるから、
C=1となる。したがって、(式6)は、 y=−δcosωt+1 ………………(式7) で表される。
【0023】したがって、上記式5,式7より、横行ト
ロリー7の速度vとバケット9の振り子運動の絶対速度
Vが等しく、かつ、横行トロリー7とバケット9との相
対変位yがゼロになる時間tは、バケット9の振り子運
動の周期の整数倍である。つまり、加速区間TAの開始
からバケット9の振り子運動のn周期(n=1,2,…)後
に横行トロリー7の速度が一定になるように、横行トロ
リー7の速度を制御することによって、横行トロリー7
の速度vとバケット9の振り子運動の絶対速度Vとが等
しくなるように加速すれば、バケット9は横行トロリー
7に対して相対的に振れないことになる。この場合、上
記バケット9の振り子運動の1周期の間、横行トロリー
7を加速しながら走行させ、加速区間TAの終了時の横
行トロリー7の速度を最大速度にすることによって、サ
イクルタイムが最も短くなる。
【0024】また、等速区間TBから減速区間TCに移っ
て、バケット9が目的位置に停止したときにバケット9
が振れないようにする場合、上述の加速区間TAから等
速区間TBに移るときの逆の動作とする。
【0025】次に、横行トロリー7の移動速度パターン
と吊索8の巻降ろし速度パターンの決定方法を、以下に
説明する。
【0026】図4は上記横行トロリーの移動速度パター
ンと吊索の巻降ろし速度パターンについて説明するため
の図であり、その座標系は、巻上げを(正)、巻降ろしを
(負)、横行トロリーの右側への走行を(正)、横行トロリ
ーの左側への走行を(負)としている。
【0027】巻降ろし(巻上げ)速度が最大速度に到達す
る時間を式8に示す(加速度は一定)。 TV=(VR/VRMAX)TENV ………(式8) TV : 巻降ろし(巻上げ)速度に達する時間 VR : 巻降ろし(巻上げ)速度 VRMAX : 最大巻降ろし(巻上げ)速度 TENV : 最大巻降ろし(巻上げ)速度に達する時間
【0028】また、横行トロリーの加速・減速時間中に
振り子の長さが変化することから、加速時間TACC,減速
時間TDECを式9,式10により定義する。 TACC=(2π(LBANK/g)1/2+2π((LBANK−LBA)/g)1/2)/2 …………………………(式9) TDEC=(2π(LCONC/g)1/2+2π((LCONC+LCD)/g)1/2)/2 ………………………(式10) LBANK: バンカー線上での振り子の長さ LCONK: コンクリート打設ポイント上での振り子の長
さ LBA : 加速時間の巻上げ・巻降ろし長さ LCD : 減速時間の巻上げ・巻降ろし長さ
【0029】上述の運行パターンの条件より、横行・巻
降ろし(巻上げ)速度を次のように求める。まず、加速・
減速時間に巻降ろし(巻上げ)の吊索の長さを式11,式
12に示す。 LBA=(TVR)/2+(TACC−TV)VR =TACCR−(TVR)/2 ………………………………………(式11) LCD=(TVR)/2+(TDEC−TV)VR =TDECR−(TVR)/2 ………………………………………(式12) LBA : 加速時間に巻き降ろす吊索の長さ LCD : 減速時間に巻き降ろす吊索の長さ
【0030】また、全横行距離LOHおよび全巻降ろし長
さLDOを式13,式14に示す。 LOH=(TACCH)/2+(TDECH)/2+(TT−TACC−TDEC)VH =TTH−(TACCH)/2−(TDECH)/2 ……………(式13) LDO=TVR+(TT−2TV)VR =TTR−TVR ………………………………(式14) TT : 目的の場所に到達する時間
【0031】上記式14を変形して目的の場所に到達す
る時間を求めると、式15になる。これを式13に代入
し、横行速度VHと巻降ろし(巻上げ)速度VRの関係を求
めると、式16になる。 TT=(LDO+TVR)/VR …………………………………(式15) VH=LOH/((LDO+TVR)/VR−TACC/2−TDEC/2) ………(式16)
【0032】そして、上記式9より、 TACC=(2π(LBANK/g)1/2+2π((LBANK−LBA)/g)1/2)/2 =π(LBANK/g)1/2+π((LBANK−LBA)/g)1/2ACC 2=π2(LBANK/g−2(LBANK/g)1/2((LBANK−LBA)/g)1/2 +(LBANK−LBA)/g) =−π2(LBA/g) +2π(LBANK/g)1/2(π(LBANK/g)1/2+π((LBANK−LBA)/g)1/2) =−π2(LBA/g)+2π(LBANK/g)1/2ACC ∴ TACC 2−2πTACC(LBANK/g)1/2+π2(LBA/g)=0 上記式に式11を代入すると、 TACC 2−(2π(LBANK/g)1/2−(π2/g)VR)TACC+(π2/g)TVR/2=0 TACC=(2π(LBANK/g)1/2−(π2/g)VR)/2 +((2π(LBANK/g)1/2−(π2/g)VR)2+2(π2/g)TVR)1/2/2 ……………(式17) よって、LBANK,TV,およびVRが定まれば、TACCが求
まる。
【0033】また、上記式10より、 TDEC 2−2πTDEC(LCONC/g)1/2−(π2/g)LCD=0 TDEC 2−(2π(LCONC/g)1/2+(π2/g)VR)TDEC+(π2/g)TVR/2=0 TDEC=(2π(LCONC/g)1/2−(π2/g)VR)/2 +((2π(LCONC/g)1/2−(π2/g)VR)2+2(π2/g)TVR)1/2/2 ……………(式18) よって、LCONC,TV,およびVRが定まれば、TDECが求
まる。
【0034】したがって、加速・減速時間は、巻降ろし
(巻上げ)速度の関数となる。巻降ろし(巻上げ)速度を仮
定すると、式16より横行速度が求まり、これらの最大
値を求めると、最適な横行・巻降ろし(巻上げ)速度が求
まることになる。
【0035】また、上記バケット9の運搬途中に障害物
がある場合、図5(A),(B)に示すように、加速区間TA
等速区間TBおよび減速区間TCで横行トロリー7の走行
および吊索8の巻上げ/巻降ろしの制御を行う。すなわ
ち、図5(A)に示す加速区間TAと等速区間TBの途中ま
での間に巻上げを行い、図5(A)に示す等速区間TB内の
上記巻上げを終了してから所定時間後から減速区間TC
の間に巻降ろしを行うのである。
【0036】このように、上記等速区間TBでバケット
9が振れないようにすると共に、吊索8の巻上げまたは
巻降ろしの動作を加速区間TA,等速区間TBおよび減速
区間TCのうちの等速区間TBを含む少なくとも2つの区
間にわたって行うことによって、バケット9の運搬経路
の様々な障害物などを避けながら、運搬開始位置から目
的位置まで迅速かつ安全にバケット9を運搬することが
できる。
【0037】また、上記加速区間TAにおいて、加速開
始時の吊索8の吊り長さに基づく振り子運動の周期と、
加速終了時の吊索8の吊り長さに基づく振り子運動の周
期との平均値の略整数倍の時間の間、横行トロリー7を
加速しながら移動させた後、横行トロリー7とバケット
9とが等速で移動するので、等速区間TBでバケット9
が振れることなく、安全にバケット9を運搬することが
できる。また、上記加速区間TAで吊索8を巻上げて、
吊り長さを短くした場合は、等速区間TBで移動させて
いる途中の障害物を避けることができると共に、吊り長
さが一定の場合に比べて、バケット9の振り子運動の周
期の平均値が短くなるので、加速しながら移動するとき
の時間を短縮することができる。
【0038】また、上記加速区間TAでは、横行トロリ
ー7を略一定の加速度で加速しながら走行させるので、
ケーブルクレーンの運搬能力に応じて横行トロリー7の
加速区間TAの加速度と等速区間TBの速度とを容易に決
定することができる。
【0039】また、上記減速区間TCにおいて、減速開
始時の吊索8の吊り長さに基づく振り子運動の周期と、
減速終了時の吊索8の吊り長さに基づく振り子運動の周
期との平均値の略整数倍の時間の間、横行トロリー7を
減速しながら移動させると、吊荷の振り子運動が略最下
点であるときに横行トロリー7と吊荷とが停止するの
で、バケット9が振れることなく、目的位置にバケット
9を確実に静止させることができる。
【0040】また、上記減速区間TCでは、横行トロリ
ー7を略一定の加速度で減速しながら走行させるので、
ケーブルクレーンの運搬能力に応じて横行トロリー7の
加速区間TAの加速度と減速区間TCの速度とを容易に決
定して、バケット9を目標位置に確実に停止させること
ができる。
【0041】また、上記等速区間TBで横行トロリー7
とバケット9とを略水平方向に等速に移動させるとき、
クレーンの最大速度で移動させることによって、サイク
ルタイムをさらに短縮することができる。
【0042】上記実施の形態では、ダム工事におけるコ
ンクリート運搬手段としてのケーブルクレーンの制御方
法について説明したが、タワークレーン等にこの発明を
適用してもよい。なお、この発明をタワークレーンに適
用する場合は、タワークレーンのブームの旋回に伴って
吊荷が移動する周方向について、加速区間,等速区間お
よび減速区間を設ける。
【0043】また、上記実施の形態では、加速区間TA
と等速区間TBおよび減速区間TCで吊索8の巻上げ/巻
降ろしの制御を行ったが、クレーンの形態や吊荷の運搬
経路等に応じて、加速区間と等速区間の2つの区間や、
等速区間と減速区間TCの2つの区間でワイヤの巻上げ
または巻降ろしの動作を行ってもよいし、等速区間のみ
でワイヤの巻上げまたは巻降ろしの動作を行ってもよ
い。
【0044】
【発明の効果】以上より明らかなように、本発明のダム
クレーンの制御方法によれば、運搬開始位置から目的
位置まで迅速かつ安全にバケットを運搬することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の実施の一形態のダム用クレ
ーンの制御方法が用いられたケーブルクレーンおよびダ
ム工事現場の全体概要図である。
【図2】 図2は上記ケーブルクレーンのバケットの運
搬経路を示す側面図である。
【図3】 図3(A)は上記ケーブルクレーンの運搬動作
時の横行トロリーの速度を示す図であり、図3(B)は吊
索の巻降ろし速度を示す図である。
【図4】 図4は上記横行トロリーの移動速度パターン
と吊索の巻降ろし速度パターンについて説明するための
図である。
【図5】 図5(A)は障害物がある場合の上記ケーブル
クレーンの運搬動作時の横行トロリーの速度を示す図で
あり、図5(B)は吊索の巻上げ/巻降ろし速度を示す図
である。
【符号の説明】
1,2…軌索ポスト、3…軌索、4…走行トロリー、5
…主索ポスト、6…主索、7…横行トロリー、8…吊
索、9…バケット、10…堤体、11…バンカー線、1
2…トランスファーカー、13…バッチャープラント。
フロントページの続き (72)発明者 石井 敏之 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番 2号 株式会社奥村組内 (56)参考文献 特開 平9−278359(JP,A) 特開 平2−129707(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66C 13/22 B66C 21/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダム工事のコンクリート運搬手段である
    ダム用クレーンの制御方法において、バケットをワイヤ
    で吊り下げながら運搬開始位置から目的位置に運搬する
    ときに、上記ワイヤの上支点の横行および上記ワイヤの
    巻上げを、上記運搬開始位置から目的位置までの区間に
    亘って、加速、等速、減速の順で夫々行うダム用クレー
    ンの制御方法であって、 上記ワイヤの等速時の巻上げ速度を仮定する工程と、 上記ワイヤの等速時の巻上げ速度と全巻上げ長さに基づ
    いて、上記ワイヤの巻上げ速度を経過時間毎に定めた上
    記ワイヤの巻上げ速度パターンを求めると共に、上記運
    搬開始位置から目的位置に到達する時間を求める工程
    と、 上記ワイヤの巻上げ速度パターンに基づいて、上記ワイ
    ヤの上支点の横行の加速開始時の上記ワイヤの吊り長さ
    に基づく上記バケットの振り子運動の周期と上記ワイヤ
    の上支点の横行の加速終了時の上記ワイヤの吊り長さに
    基づく上記バケットの振り子運動の周期との平均値の略
    整数倍の時間となるように、上記ワイヤの上支点の横行
    の加速時間を定めると共に、上記ワイヤの巻上げ速度パ
    ターンに基づいて、上記ワイヤの上支点の横行の減速開
    始時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケットの振
    り子運動の周期と上記ワイヤの上支点の横行の減速終了
    時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケットの振り
    子運動の周期との平均値の略整数倍の時間となるよう
    に、上記ワイヤの上支点の横行の減速時間を定める工程
    と、 上記運搬開始位置から目的位置に到達する時間と、上記
    ワイヤの上支点の横行の加速時間および減速時間と、上
    記運搬開始位置から目的位置までの上記ワイヤの上支点
    の全横行距離に基づいて、上記ワイヤの上支点の横行の
    等速時の移動速度を求めると共に、上記ワイヤの上支点
    の横行の移動速度を経過時間毎に定めた上記ワイヤの上
    支点の横行の移動速度パターンを求める工程とを有し、 上記4つの工程を用いて、上記ワイヤの等速時の巻上げ
    速度および上記ワイヤの上支点の横行の等速時の移動速
    度が、上記ワイヤの巻上げ手段および上記ワイ ヤの上支
    点の横行の移動手段の能力の限界内で最大となるよう
    に、上記ワイヤの巻上げ速度パターンおよび上記ワイヤ
    の上支点の横行の移動速度パターンを決定し、 この決定された上記ワイヤの巻上げ速度パターンおよび
    上記ワイヤの上支点の横行の移動速度パターンに基づい
    てクレーンを動作させることを特徴とするダム用クレー
    ンの制御方法。
  2. 【請求項2】 ダム工事のコンクリート運搬手段である
    ダム用クレーンの制御方法において、バケットをワイヤ
    で吊り下げながら運搬開始位置から目的位置に運搬する
    ときに、上記ワイヤの上支点の横行および上記ワイヤの
    巻降ろしを、上記運搬開始位置から目的位置までの区間
    に亘って、加速、等速、減速の順で夫々行うダム用クレ
    ーンの制御方法であって、 上記ワイヤの等速時の巻降ろし速度を仮定する工程と、 上記ワイヤの等速時の巻降ろし速度と全巻降ろし長さに
    基づいて、上記ワイヤの巻降ろし速度を経過時間毎に定
    めた上記ワイヤの巻降ろし速度パターンを求めると共
    に、上記運搬開始位置から目的位置に到達する時間を求
    める工程と、 上記ワイヤの巻降ろし速度パターンに基づいて、上記ワ
    イヤの上支点の横行の加速開始時の上記ワイヤの吊り長
    さに基づく上記バケットの振り子運動の周期と上記ワイ
    ヤの上支点の横行の加速終了時の上記ワイヤの吊り長さ
    に基づく上記バケットの振り子運動の周期との平均値の
    略整数倍の時間となるように、上記ワイヤの上支点の横
    行の加速時間を定めると共に、上記ワイヤの巻降ろし速
    度パターンに基づいて、上記ワイヤの上支点の横行の減
    速開始時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケット
    の振り子運動の周期と上記ワイヤの上支点の横行の減速
    終了時の上記ワイヤの吊り長さに基づく上記バケットの
    振り子運動の周期との平均値の略整数倍の時間となるよ
    うに、上記ワイヤの上支点の横行の減速時間を定める工
    程と、 上記運搬開始位置から目的位置に到達する時間と、上記
    ワイヤの上支点の横行の加速時間および減速時間と、上
    記運搬開始位置から目的位置までの上記ワイヤの上支点
    の全横行距離に基づいて、上記ワイヤの上支点の横行の
    等速時の移動速度を求めると共に、上記ワイヤの上支点
    の横行の移動速度を経過時間毎に定めた 上記ワイヤの上
    支点の横行の移動速度パターンを求める工程とを有し、 上記4つの工程を用いて、上記ワイヤの等速時の巻降ろ
    し速度および上記ワイヤの上支点の横行の等速時の移動
    速度が、上記ワイヤの巻降ろし手段および上記ワイヤの
    上支点の横行の移動手段の能力の限界内で最大となるよ
    うに、上記ワイヤの巻降ろし速度パターンおよび上記ワ
    イヤの上支点の横行の移動速度パターンを決定し、 この決定された上記ワイヤの巻降ろし速度パターンおよ
    び上記ワイヤの上支点の横行の移動速度パターンに基づ
    いてクレーンを動作させることを特徴とするダム用クレ
    ーンの制御方法。
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