JP3336256B2 - レーザ光によるガスの分光分析方法 - Google Patents

レーザ光によるガスの分光分析方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源として半導体
レーザ光を使用して被測定ガスの吸収スペクトルを測定
し、そのスペクトルから被測定ガス中の測定対象物を同
定したり、存在比、濃度を高精度・高感度に分析する方
法に関するものである。特に被測定ガスが主成分ガス中
の不純物の吸収スペクトルと主成分ガスの吸収スペクト
ルとが同じ波長域に存在する場合、主成分ガスの吸収ス
ペクトルの干渉吸収に邪魔されて不純物の吸収スペクト
ルが採取し難い不純物を、高感度、高精度に分析するの
に好適な分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガス中の微量不純物を分析する方法の一
つとして、測定精度、測定感度がよいということで、光
源に半導体レーザを用いて、被測定ガスの吸光度を測定
する分光分析方法が広く一般に使用されている。ところ
が、図6のアンモニア(NH3)と水分(H2O)の吸収
スペクトル図に図示する如く、多原子分子のアンモニア
(NH3)[他にシラン(SiH4)も同様]を主成分と
するガス中の測定対象物が水分(H2O)の分析のよう
に、測定対象物と主成分ガスとの吸収スペクトルが重な
る被測定ガスの場合には、ppb(1/109)レベル
の極微量の測定対象物を高感度、高精度で分析すること
は極めて困難である。
【0003】そこで、出願人は、被測定ガスとして測定
対象物例えば水等の不純物を含有する主成分ガスよりな
る被測定ガスを測定するため、図7にデユアルセル方式
の分光分析装置の一例の系統略図を図示する如く、被測
定ガスGを導入したサンプルセル52と、測定対象物を
含有しない主成分ガスでなるガスをキャンセルガスCと
して導入するキャンセルセル53を設けたデユアルセル
方式を使用した分光分析方法と装置を開発し、特願平9
ー91158号で特許出願した。
【0004】この方法によると、図7において、レーザ
光源51からのレーザ光Lをビームスプリッタ54でL
1とL2に分岐して光学特性を同一条件に調整した上、分
岐光L1をサンプルセル52、分岐光L2をキャンセルセ
ル53に投射しそれぞれの透過光L1t、L2tのスペクト
ルを検出器55、56で検出し、該器で光電変換した信
号をそれぞれロックイン増幅器57、58で2次微分ス
ペクトル2fを取り出し、これをAD変換器59、60
でそれぞれデジタル化し、その信号をコンピュータ61
に導入する。そして、該コンピュータ61で、記憶蓄積
せしめた演算式等の情報データによりこれら入力信号を
処理して被測定ガスGの吸収スペクトルからキャンセル
ガスCの吸収スペクトルを差し引いて、被測定ガスG中
の測定対象物(不純物)mの吸収スペクトルを算出する
ものである。そして、これにより高感度、かつ高精度に
該種被測定ガスG中の不純物を分析することを可能とし
たものである。なお、図中符号51aは半導体レーザ光
の駆動部であり、62はコンピュータ61に接続してい
るデイスプレイ、63は被測定ガス導入系、そして64
は主成分ガスよりなるキャンセルガス導入系である。
【0005】しかしながら、この方法では、被測定ガス
用のサンプルセル52と主成分ガスよりなるキャンセル
ガス用のキャンセルセル53との2つのセルは、同一の
構成仕様諸元を有することが必要であったり、その他構
成する2つの光学系統が同一条件で運転操作することが
必要であったりするため、付属配管等種々さまざまの器
具、部品が必要となり、これを充足した装置を組立構成
する価格が嵩む不都合が生じる。
【0006】そこで、サンプルセル及びキャンセルセル
のような同一仕様諸元を有する2つのセル、及び運転操
作条件が同一な2つの光学系統を有する分光分析(デユ
アルセル方式)を用いずに、1つのセルで、被測定ガス
Gを導入し測定するサンプルセルとし、またキャンセル
ガスに切り換え導入しこれを測定するキャンセルセルと
して、それぞれに共用する単一セル方式でなるコンパク
トな装置構成で、しかも高感度、高精度の分析測定が可
能な分析方法の開発出現が望まれている。
【0007】しかしながら、ここで被測定ガスとキャン
セルガスとでの吸収スペクトルを得るために単一セル方
式を用いて分光分析をする場合に問題になるのは、この
方式の測定では、デユアル方式の如き同時にこれらの吸
収スペクトを採取するのではなく、これらのガスを単一
セルに適宜切り換えて導入して別個に採取するので、被
測定ガスの吸収スペクトルから主成分ガスでなるキャン
セルガスの吸収スペクトルを差し引くときに、これらの
吸収スペクトル波長を正確に重ね合わせることが困難で
あることである。
【0008】これは、単一セル内に被測定ガスとキャン
セルガスとを切り換えて導入して、それに合わせて別個
に半導体レーザを発振させるので、その間での極微小の
素子温度の変化でも、その発振波長が変化する性質を持
っていることによるものである。そして、被測定ガスの
吸収スペクトルの測定から、キャンセルガスの吸収スペ
クトルの測定までの間に、周囲温度の変化等の環境の変
化や制御装置の実際的な制御可能な分解能の制限によっ
て、半導体レーザの発振波長の変動を生じせしめること
によるものである。
【0009】このようなことより、単一セル方式を用い
た該種被測定ガスの分光分析の測定では、被測定ガスと
主成分ガスでなるキャンセルガスの吸収スペクトルの波
長を正確に重ね合わせることが困難であるため、これら
2つの吸収スペクトルの引き算が正確に行えず、被測定
ガス中の測定対象物(不純物)を高感度、高精度に分析
することは困難であった。これを解決するために、水分
の吸収スペクトルに合わせて、半導体レーザの波長をロ
ックする方法が知られているが、この方法も2つの同じ
セルを用いるデユアルセル方式での同時に2つの吸収ス
ペクトルを引き算する分析方法ほどの測定精度を得るこ
とはできていない。
【0010】しかしながら、この吸収スペクトルの波長
の基準として水の吸収スペクトルの波長を用いること
は、通常の単一セル方式を用いたガスの分析でも、使用
されている。即ち、この方法は、水の吸収スペクトルの
吸収波長を基準波長値として、[半導体レーザーの発振
駆動電流(mA)]ー[波長(nm)]を目盛り付けし
て、これに基づいて、測定毎にこの基準波長値を基準に
して波長を走査せしめて、半導体レーザを上記したと同
じ発振駆動電流で発振させて測定対象物の吸収スペクト
ルを測定しても、同じ波長位置に再現性よくその駆動電
流に相当するスペクトル波長が得られず、半導体レーザ
の周辺の環境、例えば外気温度等の差異により、現出す
るスペクトル波長位置にいささかのずれが生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
この水の吸収スペクトルの波長を基準波長値として、
[半導体レーザーの発振駆動電流(mA)]ー[波長
(nm)]を目盛り付けして、これに基づいて、測定毎
に基準波長値を整合せしめて半導体レーザを発振させ
て、被測定ガスとキャンセルガスとでの吸収スペクトル
を得るために単一セル方式を用いて分光分析をする方法
を採用しても、同一発振駆動電流でスペクトルグラフに
ずれが生じて、被測定ガスの吸収スペクトルから主成分
ガスでなるキャンセルガスの吸収スペクトルを差し引く
ときに、これらの吸収スペクトルを正確に重ね合わせる
ことが困難である。そのため精度の高い分析を行うこと
ができないのが実情であった。
【0012】そこで、本発明は上記現状に鑑み、同一仕
様諸元を有する2つのセル(サンプルセルとキャンセル
セル)でなる高価で精度の高い構成部品を必要とするデ
ユアル方式を用いないで、サンプルセルとキャンセルセ
ルとを共用して、装置構成がコンパクトで簡単な単一セ
ル方式により、吸収スペクトル波長が同じ波長域に存在
する主成分ガスと測定対象物(不純物)とよりなる被測
定ガス中の前記測定対象物を、高感度、高精度で分析測
定することができる分析方法を提供することを本発明の
課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のレーザ光による
分光分析方法は、レーザ光を第1の光と第2の光に分岐
し、第1のレーザ光を被測定ガスを導入したサンプルセ
ルに投射しその透過光のスペクトル強度を測定する第1
の系統と、第2のレーザ光を既知の吸収スペクトルを有
する成分を含有する参照ガスを導入したリファレンスセ
ルに投射しその透過光のスペクトル強度を測定する第2
の系統よりなり、第1の系統で得られた被測定ガスのス
ペクトルを第2の系統で得られた参照ガスの吸収スペク
トルと照合して、被測定ガスのスペクトルを同定して被
測定ガス中の測定対象物を分析する方法であって、主成
分ガスに測定対象物が含有する被測定ガスの吸収スペク
トルと、測定対象物が含まれない主成分ガスよりなるキ
ャンセルガスの吸収スペクトルを、それぞれ参照ガスの
吸収スペクトルと同時に採取し、被測定ガスとキャンセ
ルガスのそれぞれの吸収スペクトル波長を、参照ガスの
少なくとも2本の吸収スペクトル線を基準として確定
し、波長確定した被測定ガスの吸収スペクトルからキャ
ンセルガスの吸収スペクトルを差し引いて、被測定ガス
中の測定対象物の吸収スペクトルを得ることを特徴とす
る。本発明の分光分析方法では、前記参照ガスの既知の
少なくとも2本の基準となる吸収スペクトルを、被測定
ガスの吸収スペクトル測定時とキャンセルガスの吸収ス
ペクトル測定時とで基準吸収スペクトル線の現出位置が
整合するよう校正することができる。参照ガスは、少な
くとも2本の基準となる既知の吸収スペクトル線が被測
定ガスの吸収スペクトルの近傍に存在するとともに、被
測定ガス中の測定対象物の吸収スペクトルのピークを挟
むように長短波長の両側に吸収スペクトル線が存在する
成分を含有するガスであることが好ましい。本発明で
は、参照ガスの成分が臭化水素であり、該臭化水素のH
79 BrとH 81 Brの既知の吸収スペクトル波長が基準とな
る方法をとることができる
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。本発明のレーザ光によるガスの分光分析方法は図
1に図示する半導体レーザ分光分析装置により行うもの
である。即ち、図1は半導体レーザ分光分析装置の一例
を示す系統略図であり、分光分析に適した波長帯のレー
ザ光を発振する半導体レーザ光源1は、レーザ駆動部2
により駆動される。該レーザ駆動部2は、適切な所望す
るレーザ光を発振させるため、レーザ素子温度を適切に
制御するための温度コントローラー2a、レーザ素子に
電流を供給しこれを駆動させるためのレーザダイオード
(LDという)駆動器2b、及び周波数変調法に基づい
て、レーザの発振周波数変調させるための周波数変調手
段としてのファンクションジェネレータ2cとからなっ
ている。なお、これらを適正に制御運転するよう後述す
るようコンピュータ9に接続されている。
【0015】そして、前記レーザ駆動部2での温度コン
トローラ2aによりレーザ素子の動作温度を調整し、L
D駆動器2bによりレーザ素子への注入電流(直流電
流)を連続的に変化させることによりレーザ素子の発振
波長を連続的に変化させ、そしてファンクションジェネ
レータ2cによって周波数変調法に基づく変調信号(交
流成分)をLD駆動器2bに導入して、レーザ素子への
注入電流にこの変調信号を重畳させて、レーザ素子から
発振されるレーザ光に直接周波数変調をかけている。
【0016】このように駆動部2により発振されて、所
望する適切な波長帯域のスペクトルを発光する半導体レ
ーザ光源1としては、周波数変調可能な常温で連続発振
し得るInGaAsP、InGaAs、GaInAsSb、AlI
nS、AlInAs、AlGaSbの半導体レーザ素子が適
用する波長帯域に応じて適宜選択して好適に使用するこ
とができる。なお、使用し得る半導体レーザ素子として
は、勿論これらのみに限定されるものでなく、分析に適
した波長帯のレーザ光を発振し得る適宜の波長可変型半
導体レーザ素子を用いることができる。
【0017】このようにして発振する半導体レーザ光源
1のレーザ光L0は集光レンズ3で集光された後、ビー
ムスプリッター4で第1のレーザ光LSと第2のレーザ
光LRと2つに分割される。なお、ビームスプリッター
4の前の光路に、該ビームスプリッター4等による反射
光が再注入されて不安定なレーザ光とならないよう、ア
イソレータ(反射戻り光除去器)5を設けておくとよ
い。そして第1のレーザ光LSは、主成分ガスMに測定
対象物(不純物)mが含有している被測定ガスGと主成
分ガスMでなるキャンセルガスCが適宜切り換えて導入
されるサンプルセル6へ投射され、そして該サンプルセ
ル6を透過してきたサンプルセル透過光LStを光検出器
7で受光し、GeフォトダイオードやInGaAsフォトダ
イオードの如きセンサーで光電変換する。その出力信号
をロックイン増幅器8に導入し、該ロックイン増幅器8
では前記光検出器7よりの信号を処理して二次微分信号
のみを出力し、該出力信号はコンピュータ9に導入され
る。符号10はコンピュータに蓄積されたデータを映像
せしめるデイスプレイである。
【0018】又、前記ビームスプリッター4で2分割さ
れた他方第2のレーザ光LRは、既知の吸収スペクトル
波長を有する照合成分を含有している参照ガスRが導入
されているリファレンスセル16に投射される。そし
て、該リファレンスセル16を透過してきたリファレン
スセル透過光LRtを光検出器17で受光し、Geフォト
ダイオードやInGaAsフォトダイオードの如き光セン
サーで光電変換し、その出力信号をロックイン増幅器1
8に導入する。該ロックイン増幅器18では前記光検出
器17のよりの信号を処理して二次微分信号のみを出力
し、該出力信号はコンピュータ9に導入される。なお、
コンピュータ9には半導体レーザー光を常に適切に発振
するようなデータが記憶蓄積されていて、適宜運転状態
に応じてレーザ駆動部2に制御、運転信号を送信し、半
導体レーザー光源1を常に適切に発光するようにしてい
る。
【0019】このようにして、図1の装置では、半導体
レーザ光源1の発振駆動電流をレーザ駆動部2で連続的
に変化することにより、半導体レーザの発振波長を連続
的に変化走査させ、被測定ガスGとキャンセルガスCが
切り換えて導入されるサンプルセル6を透過してきたサ
ンプルセル透過光LStのスペクトルを光検出7で検出
し、光電変換され、その出力をロックイン増幅器8で処
理して二次微分信号が導出される。そして該信号はコン
ピュータ9に導入される。
【0020】同時に、同様にして前記半導体レーザ光源
1の発振駆動電流をレーザ駆動部2で連続的に変化する
ことにより、連続的に変化走査させた波長の半導体レー
ザ光を、既知の吸収スペクトル波長を有する参照ガスR
が導入されているリファレンスセル16に投射され、こ
れを透過してきたリファレンスセル透過光LRtのスペク
トルが光検出器17で光電変換され、ロックイン増幅器
18で処理されて、二次微分信号のみを選択的に導出し
て、これをコンピュータ9に導入するようになってい
る。そしてコンピュータ9に記憶蓄積されたデータは、
適宜デイスプレー10により映像現出することができ
る。
【0021】又、前記サンプルセル6には、被測定ガス
(主成分ガスM+測定対象物m)G及び精製された主成
分ガスMよりなるキャンセルガスCを適宜選択して所定
圧力に導入し得るようなガス供給設備20が連設されて
いる。そしてこのガス供給設備20には、被測定ガス充
填容器21、キャンセルガス充填容器22、パージ用ガ
ス充填容器23等のガス源がマスフローコントローラー
の如き流量調整弁24を介してサンプルセル6に連設さ
れているガス導入系25と、セル6内を洗浄排気したり
圧力調整するため真空計26を配して真空ポンプ27が
流量調整弁28を介してサンプルセル6に連設するガス
排気系29とが配設されている。そして該サンプルセル
6は中空円筒状をなし、その両端に設けられた窓はブリ
ュスター角に調整されている。
【0022】又、リファレンスセル16には、測定対象
物mを確定するための吸収スペクトル波長位置を同定し
たり、被測定ガスGの吸収スペクトルからキャンセルガ
スCである主成分ガスMの吸収スペクトルを差し引く時
の、波長位置の位置決めの基準となる基準波長用とし
て、既知の吸収スペクトル波長を有する照合参照ガスR
が所定圧力、所定濃度で充填されている。この参照ガス
Rとしては、被測定ガスの吸収スペクトル波長が存在す
る波長帯域に既知の吸収スペクトル線が少なくとも2本
存在するガスであることが好ましい。例えば臭化水素ガ
スや水が好適に使用し得る。
【0023】このようにして、コンピュータ9には、被
測定試料ガスGが導入されている時のサンプルセル6を
透過してきた透過光LStGの吸収スペクトルと、キャン
セルガスCが導入されている時のサンプルセル6を透過
してきた透過光LStCの吸収スペクトルとのそれぞれの
スペクトルの採取と同時に、それぞれ既知の吸収スペク
トルを有する参照ガスRが導入されているリファレンス
セル16を透過してきた透過光LRtの既知の吸収スペク
トルが採取されて導入される。そして、該コンピュータ
9で、被測定ガスGの吸収スペクトルと参照ガスRの少
なくとも2本の既知の基準スペクトル、又キャンセルガ
スCの吸収スペクトルと参照ガスRの少なくとも2本の
既知の基準スペクトルとでそれぞれの照合比較され、こ
の既知の吸収スペクトルの現出波長により被測定ガスG
中の測定対象物の吸収スペクトルの波長が同定されると
ともに、被測定ガスGの吸収スペクトルからキャンセル
ガスCの吸収スペクトルを差し引く演算を行い、被測定
ガスG中の測定対象物(不純物)mの真の吸収スペクト
ルの強度を演算しその存在比、濃度等を演算し算出する
ものである。
【0024】
【実施例】次ぎに、本発明によって、主成分ガスM+測
定対象物(不純物)mでなる被測定ガスG中の測定対象
物(不純物)mの分析方法について、アンモニア(NH
3)を主成分ガスMとして該ガス中の微量水分を不純物
mとして分析測定する例を例示してして説明する。使用
した分光分析装置は図1に図示した装置を使用し、該分
光分析装置の仕様諸元及び運転操作条件は、以下の通り
である。
【0025】[分光分析装置の仕様諸元及び運転操作条
件] ●半導体レーザ光源1は、2000nm(1980〜2
000nm)波長帯の分布帰還型(DFB)レーザを使
用し、レーザの注入電流に4kHzの正弦波(sin
波)を加え直接変調を行った。 ●サンプルセル6はステンレス鋼製のものを、又リファ
レンスセル16はガラス製のものを、それぞれ使用し
た。サンプルセル6の光路長さは50cmでブリュスタ
ー角を有し、リファレンスセル16の光路長さは10c
mで同様にブリュスター角を有する。 ●光検出器7、17ともにGeフォトダイオードを使用
する。
【0026】●被測定ガスGは、測定対象物(不純物)
mとして極微量の水(H2O)を含有しているアンモニ
ア(NH3)を主成分ガスMとしたもので、サンプルセ
ル6内に圧力50Torr.、流量400sccmになるよう、
ガス供給設備20により制御してて導入した。 ●キャンセルガスCとして、前記主成分ガスMであるN
3ガスを精製器などを用いて適宜精製処理して、不純
物を除去した純NH3ガスとなして、これを前記被測定
ガスGと同一条件で、サンプルセル6内に導入した。 ●参照ガスRとして、臭化水素(HBr)を用いて、こ
れの既知の吸収スペクトルの基準波長として、H79Br
(1982.9nm)、H81Br(1983.2nm)
を使用するようにした。
【0027】上記条件のもとに以下の操作を行い測定を
した。 (1)被測定ガスG(NH3+H2O)の吸収スペクトル
採取。サンプルセル6に被測定ガスG(NH3+H2O)
を導入し、半導体レーザ光源1からのレーザ光L0を分
岐した第1のレーザ光LSを投射して、該サンプルセル
6を透過した透過光LStGの吸収スペクトルを光検出器
7で検出するとともに、同時に分岐した第2のレーザ光
Rを、前記被測定ガスG(NH3+H2O)の吸収スペ
クトルと同一波長帯域に少なくとも2本の既知に吸収ス
ペクトルが存在するガスを含有する参照ガスR(HB
r)が所定の状態で充填されているレファレンスセル1
6に投射し、該リファレンスセル16を透過してくる透
過光LRtの吸収スペクトルを光検出器17で検出する。
【0028】そして、光検出器7及び光検出器17で検
出された被測定ガスG(NH3+H2O)と参照ガスR
(HBr)の透過光LStGとLRtの信号は、それぞれロッ
クイン増幅器8、18に導入されて、2次微分吸収スペ
クトルに処理され、ついでコンピュータ9に導入され
る。該コンピュータ9では参照ガスR(HBr)の吸収
スペクトルと被測定ガスG(NH3+H2O)の吸収スペ
クトルとが照合され、参照ガスR(HBr)の既知の少
なくとも2本の吸収スペクトルから、被測定ガスG(N
3+H2O)の吸収スペクトルの波長が演算、同定され
てコンピュータに記憶蓄積される。ここで採取された被
測定ガスG(NH3+H2O)と参照ガスR(HBr)と
の吸収スペクトルとを併記されたスペクトル図を図2に
示す。
【0029】(2)キャンセルガスC[主成分ガスM
(NH3)]の吸収スペクトル採取。次ぎに、サンプル
セル6内を、先に充填してあった被測定ガスG(NH3
+H2O)を排出し、高純度窒素ガス等のパージガスを
流し、ついで真空排気処理する等の所定のパージ処理し
た後に、該セル6内に被測定ガスG(NH3+H2O)の
組成の主成分をなす主成分ガスM(NH3)よりなるキ
ャンセルガスCとして導入する。そして前記(1)項の
時と同様に、第1のレーザ光LSをこのサンプルセル6
に投射し、同時に第2のレーザ光LRを参照ガスR(H
Br)が充填されているリファレンスセル16に投射
し、それぞれの投射光が、サンプルセル6又はリファレ
ンスセル16を透過してくる透過光LStCとLRtを光検
出器7、17で検出する。
【0030】ついで、光検出器7、17よりの出力信号
はロックイン増幅器8、18で処理してそれぞれ2次微
分吸収スペクとして出力され、コンピュータ9に入力さ
れる。そして、該コンピュータ9で参照ガスR(HB
r)の吸収スペクトルとキャンセルガスC[主成分ガス
M(NH3)]の吸収スペクトルとが照合され、参照ガ
スR(HBr)の既知の少なくとも2本の吸収スペクト
ルから、キャンセルガスC[主成分ガスM(NH3)]
の吸収スペクトルの波長が演算、同定されてコンピュー
タに記憶蓄積される。ここで得られたキャンセルガスC
(NH3)と参照ガスR(HBr)との吸収スペクトルと
を併記されたスペクトル図を図3に示す。
【0031】(3)被測定ガスG(NH3+H2O)の吸
収スペクトルとキャンセルガスC[主成分ガスM(NH
3)]の吸収スペクトルを採取した時の、それぞれの参
照ガスR(HBr)の既知の吸収スペクトルが一致整合
するよう、校正する。コンピュータ9に予め記憶蓄積し
てあるデータにより、上記(1)項及び(2)項で得ら
れた、それぞれの参照ガスR(HBr)のスペクトル波
長の目盛り付けが一致整合するように校正する。この場
合図2、図3との照合で明らかなように、参照ガスR
(HBr)の2本の既知の吸収スペクトル線の波長間の
間隔が図2の波長走査間隔と図3の波長走査間隔とで
は、図2の波長走査間隔の方がより短いことより、図2
の波長走査間隔を図3の波長走査間隔と同一となるよう
校正する。校正後の被測定ガスの吸収スペクトル図を図
4に示す。これにより、これらの参照ガスR(HBr)
と照合されて同定される、先に採取された被測定ガスG
(NH3+H2O)、及びキャンセルガスCの両者の吸収
スペクトルの波長の目盛りも一致するよう整合される。
【0032】(4)被測定ガスG(NH3+H2O)の吸
収スペクトルから、キャンセルガスC[主成分ガスM
(NH3)]の吸収スペクトルを差し引き演算し、被測
定ガス中の測定対象物m(不純物H2O)の吸収スペク
トルを得る。コンピュータ9では、記憶蓄積したデータ
に基づいて、上記(3)項の校正操作で得られた、図4
の校正後の被測定ガスG(NH3+H2O)の吸収スペク
トルと図3のキャンセルガスC[主成分ガスM(N
3)]の吸収スペクトルとを、それぞれのスペクトル
図に示されている参照ガスR(HBr)の2本の既知の
吸収スペクトル線を基準波長としてそれぞれ重ね合わせ
て、[図4の被測定ガスG(NH3+H2O)の吸収スペ
クトル]より[図3のキャンセルガスC(NH3))の
吸収スペクトル]を差し引き演算操作して、測定対象物
mである不純物の水分(H2O)のみの吸収スペクトル
を得た。ここで得られた測定対象物mである不純物の水
分(H2O)のみの吸収スペクトルを図5に示す。
【0033】(5)測定対象物m(H2O)である不純
物の含有量の算出。このようにして、得られた被測定対
象物m(H2O)の吸収スペクトルの強度を測定するこ
とにより、コンピュータ9は、予め吸収スペクトルの強
度と含有量との関係を既知の含有量で目盛りづけしたデ
ータを記憶せしめておくことにより、従来の該種分析方
法での一般的通常手段と同様、極めて容易に演算して算
出することができる。
【0034】なお、上記実施例では参照ガスRとして、
既知の2本の吸収スペクトルH79Br(1982.9n
m)、H81Br(1983.2nm)を基準線として使
用する、臭化水素の例を上げて説明したが、臭化水素以
外にも、測定対象物mの吸収スペクトルの波長を挟むよ
うな位置に、既知の波長の吸収スペクトル線が現出する
ように、その位置に吸収スペクトルを表出するガスを所
定の割合に混合して使用することができる。
【0035】又、上記実施例では、アンモニアガス中の
微量水分の測定について説明したが、この方法によれ
ば、前記デユアルセル方式のような複雑な装置を使用し
たり煩雑な操作をすることなく、装置校正が簡単な単一
セル方式で、測定対象物の吸収スペクトル波長域に、こ
れを干渉する吸収スペクトルが存在するようなアンモニ
アガスの他にシラン(SiH4)を主成分とするガス中の
水の如き微量不純物を極めて正確に測定することができ
る。更に、干渉する吸収スペクトルがない窒素、酸素、
アルゴン及びその他半導体材料ガス中の微量不純物を測
定対象物mとした被測定ガスの分析測定に活用し得るこ
とは勿論である。
【0036】
【発明の効果】本発明のレーザ光によるガスの分光分析
方法は以上の如き形態で実施され、以下に記載する如き
効果を奏する。レーザ光を分岐し、第1のレーザ光を被
測定ガスと該被測定ガスの主成分をなす主成分ガスでな
るキャンセルガスとを切り換えて導入されるサンプルセ
ルに投射し、同時に第2のレーザ光を前記被測定ガス及
びキャンセルガスの吸収スペクトル測定波長領域に少な
くとも2本の既知の波長の吸収スペクトル線を有するガ
スよりなる参照ガスを導入されるリファレンスセルに投
射して、それぞれのセルの透過光を同時に検出するよう
にしたので、被測定ガス及びキャンセルガスのそれぞれ
の吸収スペクトルに同一の参照ガスの既知の波長の吸収
スペクトル線を併記して採取することができ、被測定ガ
ス及びキャンセルガスのそれぞれの吸収スペクトル線の
波長を同一の目盛り付けに確定し得て、これらの吸収ス
ペクトル図の差異の判断を正確かつ容易になし得る。
【0037】参照ガスとして、既知の少なくとも2本の
吸収スペクトルの波長を有するガスを使用しているの
で、これら少なくとも2本の既知の吸収スペクトル線の
波長を基準にして、波長の走査駆動をすることができて
半導体レーザ光の駆動操作を的確かつ容易に行うことが
できる。又、前記少なくとも2本既知の波長の吸収スペ
クトル線を使用するようにして、これを、上記した如
く、被測定ガス及びキャンセルガスのそれぞれの吸収ス
ペクトル図に併記して採取し得ることから、被測定ガス
及びキャンセルガスのそれぞれの吸収スペクトル図の波
長を同一の目盛り付けをし得て、これらの吸収スペクト
ル図を、ずれを生じることなく整合して正確に重ね合わ
せることができる。
【0038】この結果、本発明の分光分析方法では、こ
れらの吸収スペクトルの差し引き演算操作が正確に行う
ことができて、測定対象物である微量の不純物の分析測
定が精度よく高感度で行うことができる。それ故、従来
のデユアルセル方式の如き光学特性を全く同一にした、
被測定ガス測定系と、主成分ガスよりなるキャンセルガ
スの測定系を並列して設ける装置構成が精密かつ複雑
で、運転条件の制御が厳しく高価な分析装置を使用する
ことなく、被測定ガスと、該ガスの主成分ガスでなるキ
ャンセルガスとを切り換えて導入する単一のサンプルセ
ルにより、これらガス吸収スペクトルをを個別に測定す
る、操作が簡単な単一セル方式の装置でも、十分被測定
ガス中の測定対象物である微量な不純物を極めて高精度
かつ高感度で分析測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分光分析方法に使用する半導体レー
ザ分光分析装置の一例を示す系統略図である。
【図2】 本発明の分光分析方法により得られた、被測
定ガス(アンモニアガス+水分)の吸収スペクトルと同
時採取の参照ガス(臭化水素)の既知の吸収スペクトル
を示すスペクトル図である。
【図3】 本発明の分光分析方法により得られた、キャ
ンセルガス(アンモニアガス)の吸収スペクトルと同時
採取の参照ガス(臭化水素)の既知の吸収スペクトルを
示すスペクトル図である。
【図4】 図2のスペクトル図の波長目盛りを図3のス
ペクトル図の波長目盛りに整合校正したスペクトル図で
ある。
【図5】 被測定ガス(アンモニアガス+水分)の吸収
スペクトル(図4)のスペクトル図よりキャンセルガス
(アンモニアガス)の吸収スペクトル(図3)を差し引
いた測定対象物(水分)の吸収スペクトルと参照ガス
(臭化水素)の既知の吸収スペクトルを示すスペクトル
図である。
【図6】 アンモニアNH3と水分H2Oの吸収スペクト
ル図である。
【図7】 従来のデユアルセル方式の分光分析装置の一
例を示す系統略図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザ光源、 2…レーザ駆動部、 3…集
光レンズ、4…ビームスプリッター、 5…アイソレー
タ、 6…サンプルセル、16…リファレンスセル、
7、17…光検出器、8、18…ロックイン増幅器、
9…コンピュータ、 10…デイスプレー、20…ガス
供給設備、 21…被測定ガス充填容器、22…キャン
セルガス充填容器、 23…パージ用ガス充填容器、2
4…流量調整弁、 25…ガス導入系、 26…真空
計、27…真空ポンプ、 28…流量調整弁、 29…
ガス排気系、L0…レーザ光、 LS…第1のレーザ光、
R…第2のレーザ光、LSt…サンプルセルの透過
光、 LRt…リファレンスセルの透過光、LStG…被測
定ガス導入時のサンプルセルの透過光、LStC…キャン
セルガス導入時のサンプルセルの透過光、G…被測定ガ
ス、 C…キャンセルガス、 R…参照ガス
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 克昌 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−364442(JP,A) 特開 昭63−9842(JP,A) 特開 昭62−266440(JP,A) JOURNAL OF MOLECU LAR SPECTROSCOPY,V ol.167,282−287 JOURNAL OF MOLECU LAR SPECTROSCOPY,V ol.63,317−321 APPLIED OPTICS,Vo l.36,No.24,5822−5826 JOURNAL OF MOLECU LAR SPECTROSCOPY,V ol.182,309−314 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/00 - 21/61 実用ファイル(PATOLIS) 特許ファイル(PATOLIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光を第1の光と第2の光に分岐
    し、第1のレーザ光を被測定ガスを導入したサンプルセ
    ルに投射しその透過光のスペクトル強度を測定する第1
    の系統と、第2のレーザ光を既知の吸収スペクトルを有
    する成分を含有する参照ガスを導入したリファレンスセ
    ルに投射しその透過光のスペクトル強度を測定する第2
    の系統よりなり、第1の系統で得られた被測定ガスのス
    ペクトルを第2の系統で得られた参照ガスの吸収スペク
    トルと照合して、被測定ガスのスペクトルを同定して被
    測定ガス中の測定対象物を分析する方法であって、主成分ガスに測定対象物が含有する被測定ガスの吸収ス
    ペクトルと、測定対象物が含まれない主成分ガスよりな
    るキャンセルガスの吸収スペクトルを、それぞれ参照ガ
    スの吸収スペクトルと同時に採取し、被測定ガスとキャ
    ンセルガスのそれぞれの吸収スペクトル波長を、参照ガ
    スの少なくとも2本の吸収スペクトル線を基準として確
    定し、波長確定した被測定ガスの吸収スペクトルからキ
    ャンセルガスの吸収スペクトルを差し引いて、被測定ガ
    ス中の測定対象物の吸収スペクトルを得る ことを特徴と
    するレーザ光によるガスの分光分析方法。
  2. 【請求項2】 前記参照ガスの既知の少なくとも2本の
    基準となる吸収スペクトルは、被測定ガスの吸収スペク
    トル測定時とキャンセルガスの吸収スペクトル測定時と
    で基準吸収スペクトル線の現出位置が整合するよう校正
    することを特徴とする請求項記載のレーザ光によるガ
    スの分光分析方法。
  3. 【請求項3】 参照ガスは、少なくとも2本の基準とな
    る既知の吸収スペクトル線が被測定ガスの吸収スペクト
    ルの近傍に存在するとともに、被測定ガス中の測定対象
    物の吸収スペクトルのピークを挟むように長短波長の両
    側に吸収スペクトル線が存在する成分を含有するガスで
    あることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ光
    によるガスの分光分析方法。
  4. 【請求項4】 参照ガスの成分が臭化水素であり、該臭
    化水素のH79BrとH81Brの既知の吸収スペクトル波長
    を基準として用いることを特徴とする請求項1乃至請求
    のいずれか1項に記載のレーザ光によるガスの分光
    分析方法。
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