JP3343977B2 - シリンダブロックとシリンダヘッド間のシール構造 - Google Patents

シリンダブロックとシリンダヘッド間のシール構造

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JP3343977B2 JP02945493A JP2945493A JP3343977B2 JP 3343977 B2 JP3343977 B2 JP 3343977B2 JP 02945493 A JP02945493 A JP 02945493A JP 2945493 A JP2945493 A JP 2945493A JP 3343977 B2 JP3343977 B2 JP 3343977B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関におけるシリ
ンダブロックとシリンダヘッド間のシール構造に関し、
とくにガスケットのシール機能と耐久性とを向上させた
シール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、内燃機関におけるシリンダヘッド
ガスケットとして金属部材からなるメタルガスケットが
使用されるようになっている。これに関連する先行技術
として、たとえば実開昭61−187947号公報が知
られている。
【0003】図4〜図6は、従来のメタルガスケットに
よるシール構造の一例を示している。図4において、1
はアルミニウム合金からなるシリンダブロックを示して
いる。シリンダブロック1には、鋳鉄製のシリンダライ
ナ2が圧入によって固定されている。
【0004】シリンダブロック1の上面とシリンダライ
ナ2の上面との間には、たとえば20〜40μ程度の段
差Hが生じている。この段差Hが生じるのは、シリンダ
ライナ2の鍔部2aの下面とシリンダブロック1の段差
面1aとを圧入時に完全に密着させることが難かしいた
め鍔部2aの厚さを段差の深さよりも小としてあるが、
シリンダヘッド組付け時や機関運転中等にライナーが沈
み込むからである。したがって、シリンダブロック1に
シリンダライナ2を圧入した場合は、僅かではあるが必
然的に上述の段差Hが生じる。
【0005】図5は、シリンダブロック1とシリンダヘ
ッド3との間をシールするガスケット4の配置位置を示
している。ガスケット4には、シリンダボア6に沿って
周方向に延びるとともにシリンダヘッド3側に突出する
ビード5が形成されている。
【0006】ガスケット4は、ビード5の外周側の立ち
上がり部5aがシリンダブロック1の上面とシリンダラ
イナ2の上面との間の段差部7とほぼ一致するように配
置されている。シリンダブロック1とシリンダヘッド3
とが締結された状態では、図6に示すように、ガスケッ
ト4のビード5の内周側の立ち上がり部5bがシリンダ
ライナ2と接触し、ビード5の頂部5cがシリンダヘッ
ド3と接触するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に
示すシール構造にはつぎの問題が存在する。
【0008】図6に示すように、シリンダブロック1と
シリンダヘッド3との締結時には、ガスケット4のビー
ド5の頂部5cがシリンダヘッド3によって押し下げら
れるので、ガスケット4のビード5の外周側の立ち上が
り部5aの近傍がシリンダブロック1の段差部7との当
接によって折り曲げられる。そのため、ガスケット4の
折り曲げ部4aには、ビード5を押し延ばすことによっ
て生じる応力と、段差部7の曲げによる曲げ応力の双方
が作用し、折り曲げ部4aの応力は著しく増加する。し
たがって、ガスケット4を長期にわたって使用した場合
は、折り曲げ部に亀裂が生じるおそれがあり、ガスケッ
ト4の耐久性が問題となる。
【0009】図7は、上述の実開昭61−187947
号公報に開示されたシリンダブロックとシリンダヘッド
の接合部のシール構造とほぼ同様のシール構造を示して
いる。図7において、11はアルミニウム合金製のシリ
ンダブロックを示しており、12はシリンダブロック1
1に固定された鋳鉄製のシリンダライナを示している。
シリンダブロック11とシリンダヘッド13との間に
は、ガスケット14が介装されている。
【0010】ガスケット14には、断面形状が台形状の
ビード15が形成されている。ガスケット14のビード
15は、シリンダライナ12の鍔部12aの外周面とシ
リンダブロック11の嵌合面との間に配置されている。
この状態では、ガスケット14のビード15の外周側の
立ち上がり部15aシリンダブロック11と接触し、
内周側の立ち上がり部15bはシリンダライナ12の上
面と接触する。
【0011】しかし、図7に示すシール構造にもつぎの
問題が存在する。
【0012】シリンダライナ12の鍔部12aの外周面
とシリンダブロック11の嵌合面との間には、組付上の
関係から僅かな隙間Sが存在する。ガスケット14は、
高い燃焼圧による燃焼ガスの外部への漏れを阻止するた
め、複数個所がシール部としてシリンダヘッドやシリン
ダブロックと高い面圧で接触しているが、最内周側の接
触部分には直接燃焼圧が作用するので、この部分を介し
て燃焼ガスGがビード15の内側に侵入しやすい。
【0013】燃焼ガスGがビード15の内側に漏れ出た
場合は、燃焼ガスGがシリンダライナ12とシリンダブ
ロック11の嵌合部の隙間Sに侵入する。図8の(A)
に示すように、隙間Sに侵入した燃焼ガスGは冷間時に
結露する。燃焼ガスGが結露してできた液体16は、蟻
酸や炭酸を含む酸性水であるので、図8の(B)に示す
ように、アルミニウム合金からなるシリンダブロック1
1と鋳鉄からなるシリンダライナ12との異種金属間で
電食が生じる。
【0014】電食が進行すると、シリンダヘッド13と
シリンダライナ12との段差Hが増大し、ガスケット1
4のビード15の内側に多量の燃焼ガスGが流入するよ
うになる。したがって、ガスケット14のビード15の
内側に作用する燃焼ガスGの圧力が増大し、ガスケット
14のビード15の外周側の立ち上がり部15aを介し
て燃焼ガスが外部に漏れるという問題も生じる。
【0015】本発明は、ガスケットに作用する応力を低
減させるとともに、シリンダブロックとシリンダライナ
の嵌合部への燃焼ガスの侵入を阻止することが可能なシ
ール構造を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明に係るシリンダブロックとシリンダヘッド間の
シール構造は、シリンダライナを装着したシリンダブロ
ックとシリンダヘッドとの間に、シリンダボアに沿って
周方向に延びるとともにシリンダヘッド側に突出するビ
ードを有するガスケットを介装し、該ガスケットのビー
ドの外周側の立ち上がり部を、前記シリンダブロックの
上面と前記シリンダライナの上面との間の段差部からシ
リンダボア側に離して配置するとともに、前記ガスケッ
トのビードの外周側の立ち上がり部と内周側の立ち上が
り部の両方の立ち上がり部をシリンダライナの上面に接
触させたものから成る。
【0017】
【作用】上記本発明のシリンダブロックとシリンダヘッ
ド間のシール構造においては、シリンダブロックとシリ
ンダライナとの段差部よりもシリンダボア側に離して、
ガスケットのビードの外周側の立ち上がり部を配置し
ので、ビードの押し延ばしによる応力の発生部と段差部
による曲げ応力の発生部とを互いに離すことができ、2
つの応力が重ならないようにして応力の低減をはかり、
ガスケットの耐久性を向上することができる。
【0018】ガスケットのビード全体がシリンダライナ
上に位置するので、ビードは内周側の立ち上がり部と外
周側の立ち上がり部の2個所がシリンダライナと接触す
ることになる。これにより、ビードの内周側の立ち上が
り部のみがシリンダライナと接触する従来技術に比べ
て、シール機能が向上し、内周側の立上がり部にガス漏
れが生じても外周側の立上がり部でシールするため、シ
リンダブロックとシリンダライナの嵌合部への燃焼ガス
の侵入が阻止される。したがって、シリンダブロックと
シリンダライナが異種金属で構成される場合でも、燃焼
ガスの結露によって生じる酸性水による電食の発生も防
止される。
【0019】
【実施例】以下に、本発明に係るシリンダブロックとシ
リンダヘッドとのシール構造の望ましい実施例を、図面
を参照して説明する。
【0020】図1〜図3は、本発明の一実施例を示して
いる。図1において、シリンダブロック21は、アルミ
ニウム合金から構成されている。シリンダブロック21
には、シリンダライナ22が圧入によって固定されてい
る。シリンダライナ22は、鉄系鋳物から構成されてい
る。
【0021】シリンダブロック21の上方には、アミニ
ウム合金からなるシリンダヘッド23が配置されてい
る。シリンダブロック21とシリンダヘッド23との間
には、ガスケット24が介装されている。ガスケット2
4は、一枚の薄板状のステンレスから構成されている。
ガスケット24には、シリンダボア26に沿って周方向
に延びるとともにシリンダヘッド23側に突出するビー
ド25が形成されている。ガスケット24のビード部2
5の頂部25cは、断面が円弧状に形成されている。ガ
スケット24のビード部25の外周部および内周部の立
ち上がり部25a、25bも、断面が円弧状に形成され
ている。
【0022】シリンダブロック21の上面とシリンダラ
イナ22の上面との間には、段差Hが生じている。シリ
ンダライナ22の上面は、シリンダブロック21の上面
よりも段差H分だけ低くなっている。
【0023】ガスケット24のビード25の外周側の立
ち上がり部25aは、シリンダブロック21とシリンダ
ライナ22との段差部28よりもシリンダボア26側に
配置されている(段差部28からシリンダボア26側に
離して配置されている)。ガスケット24はビード25
の全体がシリンダライナ22の鍔部上面22aに位置す
るように配置されている。ビード25の外周側の立ち上
がり部25aと内周側の立ち上がり部25bの双方がシ
リンダライナ22の鍔部上面22aと接触している。
【0024】つぎに、上記のシール構造における作用に
ついて説明する。シリンダブロック21とシリンダヘッ
ド23との締結時には、ガスケット24のビード25が
シリンダブロック21とシリンダヘッド23とによって
押圧され、図2に示す状態となる。
【0025】図2に示すように、ガスケット24のビー
ド25の外周側の立ち上がり部25aは、シリンダブロ
ック21とシリンダライナ22との段差部28よりもシ
リンダボア26側に配置されている(段差部28からシ
リンダボア26側に離して配置されている)ので、図2
の応力分布に示すように、ビード25の押し延ばしによ
る応力発生部と段差部28による曲げ応力発生部が互い
に離れ、ビード25の押し延ばしによる応力と段差部2
8による曲げ応力とが重ならなくなり、両応力の和が低
減される。
【0026】したがって、段差部28によるガスケット
24の折り曲げ部24aに応力が集中することはなくな
り、折り曲げ部24aに作用する応力が小になる。図3
に示すように、ガスケット24に作用する平均応力が疲
労限度内となると、ガスケット24の耐久性が高められ
る。図3における応力振幅は、主に燃焼圧の繰返しによ
るものであり、平均応力は主に組付けによるものであ
る。
【0027】シリンダライナ22の鍔部上面22aに
は、ガスケット24のビード25の全体が位置するの
で、ビード24の外周側の立ち上がり部25aと内周側
の立ち上がり部25bの2個所をシリンダライナ22の
鍔部上面22aに接触させることが可能となる。ビード
24とシリンダライナ22との接触が1個所である従来
技術では、燃焼圧によって燃焼ガスがビードの内周側に
入った場合に、この燃焼ガスの結露による酸性水によっ
てシリンダブロックとシリンダライナ間で電食が生じ
る。
【0028】上記は無鉛ガソリンの場合であるが、有鉛
ガソリンを用いるエンジンの場合は結露によって生じる
酸性水には塩酸も含まれることになる。軽油を燃料とす
るディーゼルエンジンの場合は、軽油に硫黄が含まれる
ので、酸性水には硫酸も含まれることになる。このよう
に、燃焼ガスの結露によって生じる酸性水は、シリンダ
ブロックとシリンダライナとの異種金属間での電食を促
進させる。
【0029】本実施例のように、ガスケット24のビー
ド25の外周側の立ち上がり部25aと内周側の立ち上
がり部25bの双方がシリンダライナ22の鍔部上面2
2aに接触する場合は、従来技術に比べてシール性が著
しく向上するので、燃焼圧による燃焼ガスがシリンダブ
ロック21とシリンダライナ22との嵌合部まで到達す
ることはなくなり、電食による摩耗も防止される。
【0030】また、ガスケット24のビード25は、ア
ルミニウム合金よりも硬度の高い鉄系鋳物からなるシリ
ンダライナ22に接触するので、ビード25との接触面
の面圧が高くてもビード25の接触によってシリンダラ
イナ22の鍔部上面22aが陥没するという問題も解消
される。
【0031】図9の(A)のようにガスケット17のビ
ード18の外周側および内周側の立ち上がり部18a、
18bが、硬度が低いアルミニウム合金からなるシリン
ダブロック19に高い面圧で接触する場合は、図9の
(B)に示すように、シリンダブロック19の接合面が
ビード18との接触によって陥没してしまう。したがっ
て、修理等によりエンジンを分解して再組付する際に
は、ガスケット17のビード18とシリンダブロック1
9の溝19aがずれることがあり、シール機能が低下す
るという問題が生じる。
【0032】上述のように、本実施例の場合には、ガス
ケット24のビード25の立ち上がり部25a、25b
はシリンダライナ22とのみ接触し、硬度の低いアルミ
ニウム合金からなるシリンダブロック21と接触しない
ので、ビード25の接触によってシリンダブロックの上
面が変形することは確実に解消され、修理等によるエン
ジンの再組付の場合でも、ビードと溝のずれによってシ
ール性が低下するという問題は解消される。
【0033】本実施例においては、ガスケット24が一
枚の薄板状のステンレスから構成されているが、ガスケ
ット24はこれに限定されるものではなく、耐熱繊維等
を薄板金属で覆うようにした一般的なガスケットの場合
にも適用可能である。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、つぎの効果が得られ
る。
【0035】(1)シリンダブロックとシリンダライナ
との段差部よりもシリンダボア側に、ガスケットのビー
ドの外周側の立ち上がり部を配置したので、ビードの押
し延ばしによる応力と段差部による曲げ応力とが重なら
なくなり、段差部によって折り曲げられる部分には応力
が集中することがなくなり、ガスケットの耐久性を高め
ることができる。
【0036】(2)ガスケットのビード全体がシリンダ
ライナ側に位置することにより、ビードの内周側の立ち
上がり部と外周側の立ち上がり部の両方がシリンダライ
ナと接触するので、ビードの内周側の立ち上がり部のみ
がシリンダライナと接触する従来技術に比べて、シール
性を向上させることができる。したがって、シリンダブ
ロックとシリンダライナとの嵌合部への燃焼ガスの侵入
が阻止され、シリンダブロックとシリンダライナが異種
金属で構成される場合でも、燃焼ガスの結露によって生
じる酸性水による電食の発生を防止することができる。
【0037】(3)ガスケットのビード全体をシリンダ
ボア側に近づけることができるので、ガスケットを従来
よりも小さくすることが可能となり、シリンダボア間の
ピッチを小とすることができるとともに、冷却通路等を
短くすることができる。したがって、エンジンを小型、
軽量化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るシリンダブロックとシ
リンダヘッドとのシール構造の要部拡大断面図である。
【図2】図1のガスケットによるシール構造におけるガ
スケットに作用する応力の分布図である。
【図3】図1のガスケットに作用する平均応力と応力振
幅との関係図である。
【図4】従来のエンジンにおけるシリンダブロックとシ
リンダライナとの位置関係を示す断面図である。
【図5】従来のエンジンにおけるガスケットの配置位置
を示す断面図である。
【図6】図5のガスケットによるシール状態を示す断面
図である。
【図7】従来のエンジンにおけるガスケットによるシー
ル構造を示す断面図である。
【図8】従来のエンジンにおける燃焼ガスによる電触の
発生状態を示す断面図である。
【図9】ガスケットを硬度の低いアルミニウム合金から
なるシリンダブロックに接触させたシール構造の断面図
である。
【符号の説明】
21 シリンダブロック 22 シリンダライナ 23 シリンダヘッド 24 ガスケット 25 ビード 25a ビードの外周側の立ち上がり部 25b ビードの内周側の立ち上がり部 25c ビードの頂部 26 シリンダボア 28 段差部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダライナを装着したシリンダブロ
    ックとシリンダヘッドとの間に、シリンダボアに沿って
    周方向に延びるとともにシリンダヘッド側に突出するビ
    ードを有するガスケットを介装し、該ガスケットのビー
    ドの外周側の立ち上がり部を、前記シリンダブロックの
    上面と前記シリンダライナの上面との間の段差部からシ
    リンダボア側に離して配置するとともに、前記ガスケッ
    トのビードの外周側の立ち上がり部と内周側の立ち上が
    り部の両方の立ち上がり部をシリンダライナの上面に接
    触させたことを特徴とするシリンダブロックとシリンダ
    ヘッド間のシール構造。
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