JP3353944B2 - 光学部品の反射防止膜およびこの反射防止膜を形成した光学部品 - Google Patents
光学部品の反射防止膜およびこの反射防止膜を形成した光学部品Info
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Description
れる反射防止膜およびこの反射防止膜を形成した光学部
品に関する。
の光学部品に素材として樹脂製部品を用いる頻度が高く
なっている。樹脂製光学部品には、ガラス製光学部品に
比較して複雑形状化,低コスト化および軽量化を図る事
ができ、複雑な形状の光学部品の形成などではガラス製
のものよりも加工し易いという利点も有している。
は、ガラスや金属に比して耐磨耗性・耐擦傷性が劣るた
めに何らかの表面処理を施さなければならない。特に樹
脂を光学部品として用いるためには、光学ガラスの場合
と同様に光学薄膜を形成する必要がある。また、CCD
等の光学デバイス上や、あるいはこれにガラスなどを接
合した光学部品に反射防止膜を設けるという要求も近年
増加しつつあり、この場合も任意の表面に反射防止膜を
形成する必要がある。
は、主に反射防止膜に関するものが多く提案されてお
り、例えば特開昭62−191801号公報に開示され
ているような反射防止膜が知られている。これは、空気
側から樹脂製基板側へ順にSiO2,ZrO 2 +TiO
2 ,ZrO2,SiOまたはSiO2という4層構成か
らなるものである。
充分な反射防止膜効果を得るためには、低屈折率物質と
高屈折率物質とを交互に組み合わせた構成とする必要が
あり、高屈折率物質としては、前記従来技術にみられる
TiO2 やZrO2 が用いられる場合が多い。しかしな
がら、TiO2 やZrO2 等は融点が高く、通常のガラ
ス基板上に反射防止膜を形成する場合と同じ装置のセッ
ティング方法では、蒸発源からの輻射熱の影響でプラス
チック基板が加熱され、基板の表面がダメージを受けて
膜の密着性が劣化したり、あるいは、光学部品にとって
最も重要である面精度を劣化させる恐れがある。これ
は、特に熱に弱いアクリル樹脂(PMMA)を基板に用
いた場合に顕著である。
距離を長くしたり、蒸発源と基板との間に遮蔽板を設け
て蒸発源からの輻射熱の影響を少なくする方法が考えら
れる。しかし、上記方法はいずれも成膜装置の大幅な改
造が必要となり、従来のガラス基板上への反射防止膜を
形成するための装置をそのまま使用することができない
という不具合がある。また、前記方法では、必然的に蒸
着時間が長くなり、生産性の点でも好ましくない。
えばCCD等の光学部品あるいはそれとガラスなどを接
合したもの等の場合にも同様である。すなわち、CCD
などの半導体デバイスでは高い熱によってデバイスそれ
自体が破壊される恐れがある。また、接合品では接合部
の強度が劣化したり剥がれてしまったりする恐れがある
ため、蒸発源からの輻射熱の影響の少ない成膜が要求さ
れる。
用いることができれば前述の問題点を解決することがで
きる。このような材料としてMoO3 およびWO3 を挙
げることができる。MoO3 およびWO3 は従来、光学
薄膜用材料としてはほとんど注目されていなかった材料
であるが、完全に酸化した状態であれば光の吸収もな
く、屈折率は1.85〜2.1程度(成膜条件によって
変化する)である。従って、MoO3 およびWO3 を高
屈折率物質として使用し、広帯域の反射防止膜を形成す
ることが可能である。ところが、MoO3 やWO3 を用
いた反射防止膜を長期間高湿度下に放置すると密着性が
やや劣化するという問題が生じることがあった。
であり、樹脂製基板やCCD等の光学デバイスあるいは
それとガラスなどを接合したものを光学部品の基板とし
ても、密着性が高く、基板の面積度を劣化させず、また
基板へ熱によるダメージを与えること無く従来の装置を
用いて容易に成膜することができ、生産性も良く、耐久
性、特に耐湿性の優れた反射防止膜およびこの反射防止
膜を形成した光学部品を提供することを目的とする。
係る反射防止膜は、光学部品の基板上に形成されるSi
の酸化物層と、前記Siの酸化物層上に形成されたMo
O3およびWO3の少なくとも一方を含む層と、前記層
の最上面に形成された撥水効果を有する最表層と、有す
るものである。また、第2の発明に係る光学部品は、基
板上に反射防止膜を形成した光学部品において、前記基
板上に形成されたSiの酸化物層と、前記Siの酸化物
層上に形成されたMoO3およびWO3の少なくとも一
方を含む層と、前記層の最上面に形成された撥水効果を
有する最表層と、を有するものである。
ート、アモルファスポリオレフィン,CR−39および
エネルギー硬化型樹脂等の合成樹脂や、CCD等の高温
にさらされないことが要求される光学デバイスや光学部
材、あるいはこれらにガラスなどを接合したもの等の光
学部品を構成するものを含む。また、膜の形成には真空
蒸着法やスパッタリング法などのPVD法を用いること
ができる。
源からの輻射熱を低く抑えることができるため、熱によ
るダメージを光学部品の基板に与えることがない。そし
て、最表層に撥水効果を有する層を設けているために、
反射防止膜の内部に水分が供給されにくくなり、反射防
止膜を構成する1つの層としてMoO3やWo3を用い
た場合の弱点である耐湿性を大幅に向上させることがで
きる。撥水効果を有する層の材料やその形成方法として
は、十分な撥水効果および耐久性があるものであれば特
に限定するものではない。また、層の厚さは光学膜の機
能を担う程度に厚くしても良いし、光学的に影響を及ぼ
さない程度のものでも良い。
である。本実施例では、以下の表1に示すような構成で
反射防止膜を構成した。すなわち、屈折率n=1.49
のアクリル樹脂(PMMA)からなるプラスチック基板
の表面に、SiO2 とWO3 とを交互に5層積層し、さ
らにその上に撥水処理層を光学的に影響の無い厚さで設
けたものである。
蒸着装置を用いて形成した。10は真空チャンバで、真
空チャンバ10内の下方位置には抵抗加熱蒸発源11お
よび電子銃蒸発源12がそれぞれ配設されている。13
は抵抗加熱蒸発源11に取り付けた抵抗加熱用溶融ボー
トで、14は電子銃蒸発源のハースである。真空チャン
バ10内の上方位置には、基板1を取付可能とした軸中
心に回転自在の回転ドーム15が配設されている。
れた真空排気管である。蒸発源から基板までの距離は約
520mmである。以上の説明からわかるように、本装
置は、従来のガラス基板上に反射防止膜を形成する装置
と何ら異なる点は無い。図1の装置を用いて表1の構成
の反射防止膜を形成する方法を以下に示す。
し、真空チャンバ10の中をオイルディフュージョンポ
ンプ(図示省略)を用いて3×10-6Torrまで排気
する。SiO2 層はSiO2 を顆粒状にしたものをハー
ス14に入れて電子銃により加熱して形成した。また、
WO3 層はWO3 に少量の(5wt%)Al2 O3 を添
加してペレット状に成形したものを電子銃により加熱し
て蒸発させ、酸素ガスを1×10-5Torrまで導入し
ながら形成した。
大幅に蒸気圧が低いために、膜中にはAl2 O3 は存在
しない。しかし、Al2 O3 を添加したことで、ペレッ
トの割れを防止して帯電を少なくし、またスプラッシュ
を防止する効果が得られる。最表面の撥水処理層は、フ
ッ素系シリコーンオイルを含浸させた多孔質物資を抵抗
加熱用溶融ボート13に入れて加熱することにより、含
浸させたオイル成分のみを蒸発させたものである。その
膜厚は光学的膜厚ndで3nm程度であり、光学特性に
は全く影響を及ぼさない程度ではあるが、水の濡れ角は
97°であり、十分な撥水効果を有している。
射率は可視域全域で1%以下であり、十分な特性を有し
ていた。また、セロハンテープを用いた密着性試験にて
も膜が剥離することはなく、十分な密着性を有している
ことが確認された。さらに、温度45℃,湿度95%の
環境に300時間放置した後に膜の密着性や光学特性を
調べたが、放置前と比較して変化は無く、十分な耐湿性
を有していることが確認された。
以外は本実施例と同様の膜構成のサンプルを形成し、こ
れを温度45℃,湿度95%の環境に300時間放置し
た後にテープテストを行ったところ、剥離してしまっ
た。
反射防止膜を構成した。すなわち、屈折率n=1.49
のアクリル樹脂からなるプラスチック基板の表面に、S
iO2 とMoO3 とを交互に5層積層し、さらにその上
に撥水処理層を光学的に影響の無い厚さで設けたもので
ある。
水処理層は前記実施例1と同様の手法にて成膜した。ま
た、MoO3 層は顆粒状のMoO3 をボート13に入
れ、酸素ガスを1×10-4Torrまで導入しながら形
成した。本実施例の反射防止膜も前記実施例1と同様に
十分な光学特性および耐湿性を有していた。
構成とした。基板としてポリカーボネート(PC)を用
いていることと、最表層の撥水処理層以外は、前記実施
例1と同様である。
て形成した。第1層から第5層までを前記実施例1と同
様の手法により形成した後、基板をチャンバから取り出
し、0.06重量%に希釈した透明フッ素樹脂をスピン
ナーを用いて光学的膜厚で10nm形成する。さらに、
その後、基板を80℃で1時間加熱することにより、個
々で存在したモノマーが結合し、強固な非晶質ポリマー
層が形成される。この層は、水との濡れ角が92°であ
り十分な撥水効果を有する。
射率は可視域全域で1%以下であり、十分な特性を有し
ていた。また、セロハンテープを用いた密着性試験にて
も膜が剥離することはなく、十分な密着性を有している
ことが確認された。さらに、温度45℃,湿度95%の
環境に300時間放置した後に膜の密着性や光学特性を
調べたが、放置前と比較して変化は無く、十分な耐湿性
を有していることが確認された。
構成とした。すなわち、屈折率n=1.53のアモルフ
ァスポリオレフィン樹脂からなるプラスチック基板上に
SiO2 およびWO3 を交互に4層積層し、さらにその
上に撥水処理層を光学的膜厚ndで130nmになるよ
うに設けたものである。
施例1と同様の手法にて成膜した。また、WO3 層は顆
粒状のWO3 をボート13に入れ、酸素ガスを5×10
-5Torrまで導入しながら形成した。
て形成した。第1層から第4層までを形成した後、基板
をチャンバから取り出し、0.1重量%に希釈した透明
フッ素樹脂をディッピング法により光学的膜厚で130
nm形成する。その後、基板を90℃で1時間加熱する
ことにより、個々で存在したモノマーが結合をし、強固
な非晶質ポリマー層が形成される。この層は、水との濡
れ角が96°であり十分な撥水効果を有する。
射率は可視域全域で1%以下であり、十分な特性を有し
ていた。また、セロハンテープを用いた密着性試験にて
も膜が剥離することはなく、十分な密着性を有している
ことが確認された。さらに、温度45℃,湿度95%の
環境に300時間放置した後に膜の密着性や光学特性を
調べたが、放置前と比較して変化は無く、十分な耐湿性
を有していることが確認された。
である。本実施例では、以下の表5に示すような膜構成
とした。すなわち、非球面形状を付与した屈折率n=
1.52のUV硬化樹脂をガラス基板上に一体で形成し
た上に、SiO,SiO2 およびWO3 を合計で6層積
層し、さらにその上に撥水処理層を光学的に影響の無い
程度の膜厚で設けたものである。
3 層は前記実施例1と同様の手法にて成膜した。最表層
の撥水処理層は、次のような方法にて形成した。第1層
から第6層までを形成した後、基板を図1の装置のチャ
ンバから取り出し、図2の装置のチャンバに移す。20
は真空チャンバで、この真空チャンバ20の内部にはプ
ラズマ発生用の電極21,22およびガス導入口23が
配設されている。24は不図示の真空ポンプに接続され
た真空排気管である。
空チャンバ20内を1×10-3Torr以下になるまで
排気する。続いて、あらかじめガス状にされたフッ素系
シリコーンをガス導入口23から導入し、電極21,2
2間に高周波を印加してプラズマを発生させる。この操
作により、個々で存在したモノマーが結合をし、最表層
に2〜3nm程度の膜厚の強固な非晶質ポリマー層が形
成される。この層は、水との濡れ角が90°であり十分
な撥水効果を有する。
射率は可視域全域で1%以下であり、十分な特性を有し
ていた。また、セロハンテープを用いた密着性試験にて
も膜が剥離することはなく、十分な密着性を有している
ことが確認された。さらに、温度45℃,湿度95%の
環境に300時間放置した後に膜の密着性や光学特性を
調べたが、放置前と比較して変化は無く、十分な耐湿性
を有していることが確認された。
異なった方法にて成膜した例を示す。成膜装置として
は、市販のマグネトロンスパッタリング装置をそのまま
使用した。真空槽の中をターボモレキュラーポンプを用
いて5×10-5Torrまで排気した後、真空槽内へ5
×10-3Torrの圧力になるまでアルゴンおよび酸素
の混合ガスを導入し、WO3 ,SiO2 をそれぞれマグ
ネトロンスパッタリング法にて成膜して5層の反射防止
膜を形成した。
により形成した。本実施例の反射防止膜も前記実施例1
と同様に十分な光学特性および耐湿性を有していた。
を接合した物品(光学部品)のガラス上に、前記実施例
1と同様の膜構成および手法にて反射防止膜を形成し
た。本実施例の反射防止膜も前記実施例1と同様に十分
な光学特性および耐湿性を有していた。CCDや接合面
に熱がかかることがなく、基板へのダメージは全く無か
った。
部品の反射防止膜によれば、基板上へPVD法(物理的
蒸着法)により形成されたMoO3あるいはWO3の少
なくともいずれか一方を含む物質からなる層を少なくと
も一層含み、最表層に撥水効果を有する層を設けた構成
とすることにより、従来の成膜装置に何ら改造を加える
ことなく蒸発源からの輻射熱を低く抑えることができ、
基板の熱ダメージによる膜の密着性劣化や面精度の劣
化,接合品の接着強度劣化あるいはデバイスとしての性
能の劣化等が生じることがなく、かつ生産性も良い。さ
らに、反射防止膜の内部に水分が供給されにくくなり、
MoO3やWO3を用いた場合の弱点である耐湿性を大
幅に向上させることができる。また、本発明に係る反射
防止膜を形成した光学部品によれば、基板と膜との密着
性劣化+面精度の劣化、接合品の場合の接合面での接着
強度劣化あるいは、デバイスの場合の性能劣化が生じる
ことがなく、かつ生産性も良くすることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 光学部品の基板上に形成されるSiの酸
化物層と、 前記Siの酸化物層上に形成されたMoO3およびWO
3の少なくとも一方を含む層と、 前記層の最上面に形成された撥水効果を有する最表層
と、 有することを特徴とする光学部品の反射防止膜。 - 【請求項2】 基板上に反射防止膜を形成した光学部品
において、 前記基板上に形成されたSiの酸化物層と、 前記Siの酸化物層上に形成されたMoO3およびWO
3の少なくとも一方を含む層と、 前記層の最上面に形成された撥水効果を有する最表層
と、 を有することを特徴とする光学部品。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11381793A JP3353944B2 (ja) | 1993-04-16 | 1993-04-16 | 光学部品の反射防止膜およびこの反射防止膜を形成した光学部品 |
| US08/831,064 US5825549A (en) | 1993-01-29 | 1997-04-01 | Optical thin film for optical element |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11381793A JP3353944B2 (ja) | 1993-04-16 | 1993-04-16 | 光学部品の反射防止膜およびこの反射防止膜を形成した光学部品 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06300901A JPH06300901A (ja) | 1994-10-28 |
| JP3353944B2 true JP3353944B2 (ja) | 2002-12-09 |
Family
ID=14621795
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11381793A Expired - Fee Related JP3353944B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-04-16 | 光学部品の反射防止膜およびこの反射防止膜を形成した光学部品 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3353944B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001021701A (ja) * | 1999-07-09 | 2001-01-26 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 帯電防止・反射防止膜付き透明フィルム |
-
1993
- 1993-04-16 JP JP11381793A patent/JP3353944B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH06300901A (ja) | 1994-10-28 |
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