JP3357246B2 - 内燃機関の吸排気弁駆動制御装置 - Google Patents

内燃機関の吸排気弁駆動制御装置

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JP3357246B2
JP3357246B2 JP19016896A JP19016896A JP3357246B2 JP 3357246 B2 JP3357246 B2 JP 3357246B2 JP 19016896 A JP19016896 A JP 19016896A JP 19016896 A JP19016896 A JP 19016896A JP 3357246 B2 JP3357246 B2 JP 3357246B2
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誠之助 原
吉彦 山田
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株式会社日立ユニシアオートモティブ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の運転状
態に応じて吸気・排気弁の開閉時期を可変制御する吸排
気弁駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の吸排気弁駆動制御装置と
しては種々提供されており、その一つとして本出願人が
先に出願した特開平5−20217号に記載されたもの
がある。
【0003】図8〜図9に基づいて概略を説明すれば、
この吸排気弁駆動制御装置は、多気筒機関のクランク軸
からスプロケットを介して回転力が伝達される駆動軸1
と、該駆動軸1の外周側に同軸上に相対回転自在に設け
られたカムシャフト2と、各気筒毎に分割された該カム
シャフト2の分割端部間に設けられた制御機構3とを備
えている。前記各カムシャフト2は、夫々外周に1気筒
当たり2つの吸気弁4,4をバルブリフター4a,4a
を介してバルブスプリング5のばね力に抗して開作動さ
せる2個のカム6,6を一体に有していると共に、シリ
ンダヘッド7上の一対のカム軸受8,9によって回転自
在に支持されている。
【0004】前記制御機構3は、図8に示すように各カ
ムシャフト2の一端部に一体に設けられた円環状の第1
フランジ部10と、駆動軸1の所定外周位置に連結ピン
11によりスリーブ12aを介して固定されて、前記第
1フランジ部10に対向する円環状の第2フランジ部1
2と、両フランジ部10,12間に介装されて駆動軸1
の軸心Xから略径方向へ揺動自在に設けられた略円環状
のディスクハウジング14と、該ディスクハウジング1
4の内周に有する大径な支持孔内にプレーンベアリング
13を介して回転自在に保持された環状ディスク16と
を備えている。また、前記ディスクハウジング14は、
直径方向の一端部がシリンダヘッド7の上端部に機関前
後方向に沿って延設された支軸15によって回転自在に
支持されていると共に、他端部が駆動機構により揺動す
るようになっている。更に、第1,第2フランジ部1
0,12の外周部には、互いに180°位置に細長い係
合溝17,18が半径方向に沿って形成されている一
方、環状ディスク16の両側面には、互いに反対方向に
突出して前記各係合溝17,18に係合するピン19
a,19bが突設されている。
【0005】そして、例えば機関の高回転時には、ディ
スクハウジング14が揺動せずに、環状ディスク16の
中心が駆動軸1の軸心Xに合致する一方、機関の低回転
時には、駆動機構20によりディスクハウジング14が
支軸15を支点として揺動し、環状ディスク16を駆動
軸1の軸心Xに対して偏心動させる。
【0006】即ち、例えば機関高回転時には、ディスク
16の中心が駆動軸1の軸心Xに合致して、駆動軸1と
カムシャフト2との回転位相差が生じない。したがっ
て、駆動軸1の回転に伴い制御機構3を介してカムシャ
フト2が駆動軸1と同期回転し、カム6,6による弁の
作動角が大きくなり、開弁時期が早くなる共に、閉弁時
期が遅くなるため、吸気慣性力を利用した吸気充填効率
が向上する。
【0007】一方、低回転域では、駆動機構によりディ
スクハウジング14を介してディスク16の中心が駆動
軸1の軸心Xから偏心可能に制御されるため、各ピン1
9a,19bが各係合溝17,18の内周面に沿って径
方向に摺動し、一方側ピン19aが駆動軸1の軸心Xに
接近する場合は、他方側ピン19bは軸心Xから離れる
関係になる。したがって、この場合は、ディスク16
は、駆動軸1に対して角速度が大きくなり、ディスク1
6に対し、カムシャフト2の角速度も大きくなる。この
ため、カムシャフト2は、駆動軸1に対して2重に増速
された状態になる。
【0008】したがって、駆動軸1とカムシャフト2の
回転位相差が変化し、カムシャフト2の角速度が相対的
に大きい場合は、駆動軸1に対する回転位相は両者1,
2が等速になるまで進み、やがてカムシャフト2の角速
度が相対的に小さくなると、回転位相は両者1,2が等
速になるまで遅れる。
【0009】そして、回転位相差の最小,最大点の途中
に同位相点が存在し、回転位相の変化では、弁の作動角
が同位相点よりも前の開弁時期が遅れ、同位相点より後
の閉弁時期が進み、全体に小さく制御される。したがっ
て、吸排気弁のバルブオーバラップが小さくなり、燃焼
室の残留ガスが減少し、安定した燃焼により燃費の向上
が図れる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の装置にあっては、前述のようにディスクハウジング
14は、一端部がシリンダヘッド7の上端部に設けられ
た支軸15によって支持され、ここを揺動支点として揺
動するようになっている。したがって、支軸15を必ず
設けなければならないため、部品点数の増加と大型化が
余儀なくされる。
【0011】しかも、支軸15は、カムシャフト2のカ
ム軸受8,9とは一切拘わりなく、独立した形でシリン
ダヘッド7上に別個の支持機構により支持されているた
め、さらに大型化が助長され、装置のシリンダヘッド7
上への大きな取付スペースが要求されて、機関への搭載
性が悪化する。
【0012】また、ディスクハウジング14の一端部を
支軸15で支持しているため、駆動軸1の軸心Xに対す
る環状ディスク16の中心位置決め精度が出しにくい。
この結果、所望のバルブタイミング制御が得られないば
かりか、各気筒毎にバルブタイミングのばらつきが生
じ、気筒間の出力ばらつきにより機関の作動の不安定化
を招く惧れがある。
【0013】さらに、前述のように駆動軸1の回転力
は、各ピン19a,19b及び各フランジ10,12を
介してカムシャフト2に伝達されるようになっているた
め、各ピン19a,19bに作用する反力は環状ディス
ク16を経てディスクハウジング14に伝達される。そ
して、このディスクハウジング14は、図9に示すよう
に支軸15と駆動機構20によってその外周ボス部であ
る両端部14a,14bの2個所のみが支持され、また
比較的薄肉のリング状に形成されている。このため、カ
ム6がバルブリフター4aを押し下げる時(吸気バルブ
4の開時)に発生する大きな荷重が、例えば図9の矢印
で示すように環状ディスク16及び両ピン19a,19
bを介して左上方への反作用として伝達されると、ディ
スクハウジング14が2点鎖線で示すように上方へ変形
し易くなり、これによって、環状ディスク16の中心Y
も上方へ僅かに変位し易くなる。したがって、駆動軸1
の回転力がカムシャフト2に正確に伝達されなくなり、
この結果、所期のバルブタイミングが得られなくなるお
それがある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の実
情に鑑みて案出されたもので、請求項1の発明は、機関
により回転駆動する駆動軸と、該駆動軸の外周に相対回
転自在に設けられて、外周に吸,排気弁を開作動させる
カムを一体に有する各気筒毎に分割されたカムシャフト
と、該各カムシャフトの一端部に固定された第1フラン
ジ部と、駆動軸の所定部位に固定されて、前記第1フラ
ンジ部と対向する第2フランジ部と、該両フランジ部間
に配置されたほぼ円環状のディスクハウジングと、該デ
ィスクハウジングの内周に偏心カムリングを介して回転
自在に支持されて、ディスクハウジングの回動に伴い中
心が駆動軸の軸心に対して偏心動可能な環状ディスク
と、該環状ディスクと前記各フランジ部との間に介装さ
れて、環状ディスクのほぼ径方向へ係合溝を介して摺動
可能なピンと、前記ディスクハウジングを伝達機構を介
して回動制御する駆動機構とを備えた吸排気弁駆動制御
装置において、前記ディスクハウジングを前記両フラン
ジ部の外周面で回転自在に支持すると共に、前記両フラ
ンジ部の少なくともいずれか一方の外周面とディスクハ
ウジングの内周面との間に、前記フランジ部とディスク
ハウジングに対して摺動自在なリテーナリングを介装
し、かつ該リテーナリングの自由回動を規制する規制手
段を設けたことを特徴としている。
【0015】請求項2記載の発明は、前記リテーナリン
グを、ディスクハウジングの内周面と両フランジ部の両
外周面との間に介装したことを特徴としている。
【0016】請求項3記載の発明は、前記規制手段は、
リテーナリングに一体に設けられたほぼU字形の規制片
が、前記駆動機構の制御シャフトに係止してリテーナリ
ングの回転を規制することを特徴としている。
【0017】請求項4記載の発明は、前記リテーナリン
グを低摩擦係数材で形成したことを特徴としている。
【0018】請求項5記載の発明は、前記リテーナリン
グを含油性の焼結合金材で形成したことを特徴としてい
る。
【0019】
【発明の実施の形態】図1〜図3は本発明に係る吸排気
弁駆動制御装置を多気筒内燃機関の吸気側に適用した第
1実施例を示し、図中21は機関のクランク軸からスプ
ロケットを介して回転力が伝達される駆動軸、22は該
駆動軸21の外周に相対回転可能に配置され、かつ駆動
軸21の中心Xと同軸上に設けられた複数のカムシャフ
トであって、前記駆動軸21は、機関前後方向に延設さ
れていると共に、内部軸線方向に外部から潤滑油を導入
する油供給通路21aが形成されている。
【0020】前記カムシャフト22は、長手方向の所定
位置で各気筒毎に軸直角方向から分割されており、内部
軸方向に形成された挿通孔22a内に駆動軸21が挿通
している一方、シリンダヘッド7上端部に有するカム軸
受24に回転自在に支持されている。また、図2に示す
ように外周の所定位置に1気筒当たり2つの吸気弁23
を図外のバルブスプリングのばね力に抗してバルブリフ
ター25を介して開作動させる2つのカム26が一体に
設けられている。
【0021】前記カム軸受24は、図1,図2に示すよ
うに、シリンダヘッド7の上面に形成されたカム受面上
に跨設されたメインブラケット27と、該メインブラケ
ット27の上面に設けられたサブブラケット28と、両
ブラケット27,28の両端部を共締め固定する左右一
対のカムボルト29,30とを備えている。また、前記
メインブラケット27の上面中央に円弧状の軸受面27
aが形成されている一方、サブブラケット28の下面中
央に前記軸受面27aと共働して後述する制御シャフト
44を軸受けする円弧状の軸受面28aが形成されてい
る。
【0022】また、各カムシャフト22の一方側の分割
端部には、第1フランジ部31が一体に設けられてお
り、この第1フランジ部31の外周部に、U字形の第1
係合溝32が径方向に沿って形成されている。さらに、
この第1フランジ部31と所定の隙間をもって対向する
位置に、駆動軸21に連結された第2フランジ部33が
設けられている。この第2フランジ部33は、外径が第
1フランジ部31の外径と同一に設定されていると共
に、内周部に駆動軸21の所定外周面に嵌合したスリー
ブ33aを一体に有し、該スリーブ33aに径方向から
挿通された連結ピン34とによって駆動軸21に連結さ
れている。また、第2フランジ部33の外周部つまり第
1フランジ部31の第1係合溝32と対角線方向の反対
位置にU字形の第2係合溝35が径方向に沿って形成さ
れている。そして、前記第1係合溝32と第2係合溝3
5には、後述する環状ディスク39の保持孔41,42
に保持された第1,第2ピン36,37の先端部が摺動
自在に係合している。また、両フランジ部31,33の
外周面31a,31cの各外周縁には、環状の突起部3
1b,33bが設けられている。
【0023】さらに、前記第1フランジ部31と第2フ
ランジ33の外周側に円環状のディスクハウジング38
が配置されていると共に、両フランジ部31,33の間
には、環状ディスク39がサンドイッチ状に介装されて
いる。
【0024】前記ディスクハウジング38は、図1及び
図2に示すように、その巾寸法が第1,第2フランジ部
31,33と環状ディスク39と各巾寸法全体を合わせ
た巾よりも若干小さく設定され、巾方向の中心位置に、
内周面38aが偏心カムリング状に周方向に沿って形成
されていると共に、外周面の巾方向の中央位置に伝達機
構の一部を構成する平歯車40が周方向に沿って一体に
設けられている。
【0025】また、このディスクハウジング38の両側
部38b,38cの内周面が一対のリテーナリング5
0,51を介して両フランジ部31,33の外周面31
a,33aに回転自在に支持されている。即ち、この両
側部38b,38cは、内径が両フランジ部31,33
の外径寸法より若干大きく設定されて、内周面が両フラ
ンジ部31,33の外周面に回転摺動自在に支持されて
いる。
【0026】また、前記偏心カムリング38aは、図2
に示すように肉厚巾が円周方向に変化し、図示のように
最上端部側が最大厚肉部38dに設定されて、ここから
下端部側へ漸次薄肉に設定されている。また、このディ
スクハウジング38は、後述する駆動機構43によって
回転制御されている。
【0027】前記左右一対のリテーナリング50,51
は、図1〜図3に示すように夫々含油性の焼結合金材
(例えば鉄−炭素系のSBF材)で円環状に形成され、
横断面ほぼL字形に折曲されていると共に、内周面の外
端縁に前記両フランジ部31,33の突起部31b,3
3bに摺動自在に嵌合保持される環状の第1嵌合溝50
a,51aが形成されていると共に、外周面の内端縁に
ディスクハウジング38の両側部38b,38cを摺動
自在に嵌合保持する環状の第2嵌合溝50b,51bが
形成されている。また、リテーナリング50,51の外
周面上端には、該リテーナリング50,51の自由な回
転を規制する規制手段の一部を構成する規制片52,5
3が一体に突設されている。すなわち、この各規制片5
2,53は、図1及び図2に示すように、ほぼ二股状に
切欠形成されて、上部に後述する制御シャフト44に下
方から係合するほぼ矩形状の切欠溝52a,53aが形
成されている。この切欠溝52a,53aは、対向内面
間の巾が制御シャフト44の外径よりも若干大きく設定
されて、遊嵌状態に係合している。したがって、制御シ
ャフト44の自由な回転を阻害せずにリテーナリング5
0,51の自由な回転を規制できるようになっている。
【0028】前記環状ディスク39は、略ドーナツ板状
を呈し、中央に駆動軸21が挿通される比較的大径な挿
通孔39aが形成されて該駆動軸21と挿通孔39a間
に隙間Sが形成されていると共に、外周面39bが前記
ディスクハウジング38の偏心カムリング状の内周面3
8aに回転自在に支持されている。また、前記第1係合
溝32と第2係合溝35とに対応した両端面位置に、図
1にも示すように前記第1,第2ピン36,37の基端
部を回転自在に保持する保持孔41,42が夫々軸方向
に貫通形成されている。また、前記第1,第2係合溝3
2,35は各内端部が前記隙間Sに連通しており、この
隙間Sは、油溜まり部として機能し、駆動軸21の周壁
に半径方向に形成された油孔21bを介して駆動軸21
内の油供給通路21aと連通している。
【0029】前記駆動機構43は、図1に示すようにカ
ムシャフト22の上方位置に平行に設けられた前記制御
シャフト44と、該制御シャフト44の一端部に設けら
れた電磁アクチュエータたるステッピングモータ45と
から構成されている。
【0030】前記制御シャフト44は、外径が比較的小
径に形成され、機関前後方向へ延設されていると共に、
カム軸受24,24に対応した大径部位44a,44a
が前記両軸受面27a,28a間で軸受けされている。
また、両大径部位44a,44a間に、前記ディスクハ
ウジング38の平歯車40に噛合して回転力を伝達する
伝達機構の一部を構成する筒状の歯車部46が一体に設
けられている。
【0031】前記ステッピングモータ45は、コントロ
ーラ47によって回転駆動され、このコントローラ47
は、クランク角センサやエアーフローメータ等の各種セ
ンサによって機関回転数及び機関の負荷等を検出してス
テッピングモータ45に制御信号を出力するようになっ
ている。
【0032】以下、本実施例の作用について説明する。
まず、機関低回転時には、かかる運転状態を検出したコ
ントローラ47からの制御信号によりステッピングモー
タ45が一方向へ回転して制御シャフト44を同方向へ
回転させる。これにより、ディスクハウジング38は、
歯車部46と平歯車40を介して両フランジ部31,3
3に支持されながら回転して、偏心カムリング状の内周
面38aの厚肉部38dが最上端位置する位置に回転保
持されるため、環状ディスク39はその中心Yが駆動軸
21の軸心Xから垂直下方向位置に偏心移動する。した
がって、第1フランジ部31の第1係合溝32と第1ピ
ン36並びに第2係合溝35と第2ピン37との摺動位
置が駆動軸21の1回転毎に径方向へ往復移動し、環状
ディスク39の角速度が変化する。
【0033】即ち、第1ピン36が第1係合溝32内を
摺動して駆動軸Zの中心Xに接近し、第2ピン37が第
2係合溝35内を摺動して中心Xから離れると、環状デ
ィスク39は駆動軸21に対して角速度が大きくなり、
カムシャフト22の角速度も大きくなり、両者21,2
2の角速比(wc/wd)は図4Aの破線で示す特性と
なる(上記作用は図4Aの※印点を示す)。したがっ
て、カムシャフト22は、駆動軸21に対して2重に増
速された状態になる。
【0034】この結果、カムシャフト22及びカム26
と駆動軸21との回転位相差は、図4Bの破線に示すよ
うに変化する。したがって、吸気弁23は、そのバルブ
リフト特性が図4Cの破線で示すように弁作動角(弁開
期間)が小さくなり、開弁時期が遅く、閉弁時期が十分
に早くなる。このため、排気弁とのバルブオーバラップ
が小さくなって燃焼が改善され、燃費の向上等が図れ
る。
【0035】一方、機関低回転域から高回転域に移行し
た場合は、その運転状態を検出したコントローラ47か
らステッピングモータ45に制御信号が出力されて、制
御シャフト44が例えばさらに同方向へ180°回転す
る。したがって、ディスクハウジング38は、図1,図
3に示すように偏心カムリング38aの厚肉部38dが
最下端となる位置に回転保持される。このため、環状デ
ィスク39は、図示のようにその中心Yが駆動軸21の
軸心Xから垂直上方向位置に偏心移動する。したがっ
て、第2係合溝35と第2ピン37並びに第1係合溝3
2と第1ピン36との摺動位置が前述と同じく、駆動軸
21の回転毎に環状ディスクの径方向へ往復移動し、環
状ディスク39の角速度が変化する。
【0036】そして、環状ディスク39の角速度の変化
に伴い駆動軸21に対するカムシャフト22の角速度が
低回転時とは逆に小さくなり、両者21,22の角速度
比が図4Aの実線で示す特性となる(図4Aの☆印の点
となる)。したがって、カムシャフト22は、駆動軸2
1に対して2重に減速された状態になり、両者21,2
2の回転位相は、図4Bの実線で示すように変化し、低
回転時とは略対称形の変化特性となる。このため、吸気
弁23は、バルブリフト特性が図4Cの実線で示すよう
にバルブリフトは一定のまま、弁作動角(弁開期間)が
大きくなり、低回転時に比較して開弁時期が早くなり、
閉弁時期が遅くなる。このため、慣性吸気を利用した吸
気充填効率が向上し、出力トルクの向上が図れる。
【0037】また、本実施例では、ディスクハウジング
38を、従来のように支軸によって支持するのではな
く、リテーナリング50,51を介して両フランジ部3
1,33の外周面で支持するようにしたため、支軸やこ
の支軸を支持する支持機構が不要となり、この分、部品
点数の削減が図れると共に、装置全体のコンパクト化が
図れる。
【0038】さらに、駆動軸21の回転に伴い、両ピン
36,37を介して環状ディスク39に作用する荷重は
ディスクハウジング38で受けることになるが、該ディ
スクハウジング38は、両側部38b,38cが前述の
ようにリテーナリング50,51を介して両フランジ部
31,33の外周面で支持されているため、図5に示す
ように該荷重Cは両フランジ部31,33に作用する。
そして、該両フランジ部31,33では、各ピン36,
37から駆動軸21に作用する荷重を打ち消しあうよう
に作用する。すなわち、図5を参照してディスクハウジ
ング38に作用する荷重をみると、a+b=cとなる。
aはフランジ33からピン37および環状ディスク39
が受ける荷重であり、(bはフランジ31からピン36
および環状ディスク39が受ける荷重である。さらに、
これらa,bの反力a1,b1がそれぞれ各フランジ3
3,31を介して駆動軸に作用する。)したがって、駆
動軸に作用するa1+b1の荷重は、cの荷重で相殺す
ることができる。
【0039】このため、駆動軸21には、曲げ荷重が作
用しないので、該駆動軸21の曲がりによるバルブタイ
ミングのずれの発生を防止できる。また、駆動軸21の
曲がりは該駆動軸21の内周面で支持されるカムシャフ
ト22の支持剛性を低下させ、吸気バルブ23の不整運
動を招き易いが、前述のように駆動軸21の曲がりが防
止されることにより、かかる不整運動の発生も防止でき
る。
【0040】さらにまた、両フランジ部31,33の支
持によりディスクハウジング38の変形も抑制できるの
で、環状ディスク39の中心Yの位置ずれも防止でき、
この点からもハウジングのずれが防止できる。
【0041】しかも、ディスクハウジング38は、リテ
ーナリング50,51を介して第1フランジ部31と駆
動軸21の第2フランジ部33に回転自在に支持され
て、この内周側で環状ディスク39を回転自在に支持す
るようにしているため、駆動軸21の軸心Xに対する環
状ディスク39の回転中心の位置精度が出し易くなる。
【0042】また、前述のように、ディスクハウジング
38を、両リテーナリング50,51によって摺動自在
に保持することにより、環状ディスク39の回転に伴う
ディスクハウジング38の連れ回りが抑制され、これに
よって制御シャフト44の駆動負荷を低減できる。
【0043】すなわち、前述のように駆動軸21の回転
力は、第2ピン37及び環状ディスク39に伝達され
て、該環状ディスク39から第1ピン36を介してカム
シャフト22に伝達されるが、このとき環状ディスク3
9の回転力によってこれを摺動自在に支持するディスク
ハウジング38が摺動摩擦抵抗により連れ回りを起こし
易い。特に、この連れ回りは、機関の起動時あるいは低
回転時などで両者38,39間の摺動部に油膜が形成さ
れにくい条件下で摺動摩擦抵抗が大きくなったときに生
じ易い。そして、ディスクハウジング38に連れ回りが
起きると、平歯車40に噛み合っている歯車部46を介
して制御シャフト44は連れ回り方向とは反対(一方)
方向の回転力を受ける。このため、ステッピングモータ
45によって制御シャフト44を他方向に回転させよう
とした際には、ステッピングモータ45に駆動負荷が掛
かって駆動力が不足し、バルブタイミングの制御応答性
が低下するおそれがある。
【0044】しかし、本実施例によれば、ディスクハウ
ジング38の両側部38b,38cとリテーナリング5
0,51の外周面との間に摺動摩擦抵抗が生じており、
この摺動摩擦抵抗によってディスクハウジング38の連
れ回りを抑制することができる。つまり、リテーナリン
グ50,51が規制手段によって自由回転が規制されて
いるため、この外周面に摺動自在に支持されるディスク
ハウジング38は、かかる摺動摩擦抵抗によって連れ回
りが抑制されるのである。したがって、ディスクハウジ
ング38から制御シャフト44に対する連れ回りに伴う
一方向への回転力の伝達が抑制され、したがってステッ
ピングモータ45の駆動負荷を軽減でき、この結果、バ
ルブタイミング制御応答性の向上が図れると共に、ステ
ッピングモータ45のコンパクト化が図れる。
【0045】さらに、制御シャフト44は、カムシャフ
ト22のカム軸受24を利用し、つまりカム軸受24の
メインブラケット27とサブブラケット28の各軸受面
27a,28a間で軸支するようにしたため、別個に設
ける必要がなくなり、この点でも部品点数の削減が図れ
る。
【0046】また、駆動軸21に、カムシャフト22,
ピン36,37,環状ディスク39,ディスクハウジン
グ38などが一体的に組み付けられたカムシャフトアッ
センブリの上から制御シャフト44を順に組み付けるこ
とができ、組立作業能率が向上する。
【0047】また、制御シャフト44は、ディスクハウ
ジング38を回動させるトルクを伝達できればよいた
め、細径化でき、これによりサブブラケット28の高さ
を十分に低くすることが可能になる。
【0048】また、油供給通路21aから通孔21bを
介して隙間S内に供給された潤滑油は、各ピン36,3
7や環状ディスク39の外周面及び各フランジ部31,
33及びリテーナリング50,51の内外周面等の各摺
動部に供給される。したがって、各摺動部の潤滑性能が
向上し、摩耗の発生を防止できる。また、各フランジ部
31,33とディスクハウジング38のフリクションが
低減でき、カムシャフト22全体の駆動損失を低減でき
る。特に、本実施例では、図1に示すようにリテーナリ
ング50,51によって両係合溝32,35の開口端が
閉塞された形になるため、該係合溝32,35内での潤
滑油の貯留性が良好になる。したがって、各ピン36,
37の潤滑性能が向上し、駆動軸21からカムシャフト
22への回転力伝達性が良好となる。
【0049】また、リテーナリング50,51を含油性
の焼結合金材で形成したため、例えば機関の潤滑油が供
給されない始動時などにおいて、ディスクハウジング3
8の過大な連れ回りを抑制できる。さらに、ディスクハ
ウジング38と第1フランジ部31あるいは第2フラン
ジ部33とのフリクションに起因する始動時の駆動軸2
1起動のためのトルクを軽減できる。なぜなら、ディス
クハウジング38は、第1フランジ31に支持されてい
るため、起動時におけるカムシャフト22の回転を抑制
するので、図6に示すように第1ピン36に作用する荷
重Faが大きくなり、さらにこの第1ピン36を回転さ
せようとする第2ピン37の荷重Fbはさらに大きくな
り、この合力Ffが環状ディスク39の垂直下方向に作
用してディスクハウジング38との摩擦トルクを増加さ
せてさらに荷重Fbを大きくしてしまう。この結果、リ
テーナリング50,51と各フランジ部31,33との
間のフリクションが大きくなって起動トルクに影響を与
えるが、本実施例では各リテーナリング50,51が含
油性材となっているため、前記フリクションの増加が抑
制されて起動性が良好になるのである。尚、リテーナリ
ングは含油性の焼結公金材に限らず、摩擦係数が比較的
小さいPb−Sm−Sb系の鉛基合金(ホワイトメタ
ル)等のすべり軸受材を用いても良い。
【0050】図7は、本発明の第2実施例を示し、この
実施例は、第1フランジ部31の外周面で直接ディスク
ハウジング38の一側部38bを摺動自在に支持して、
リテーナリング51を駆動軸21側の第2フランジ部3
3とディスクハウジング38の他側部38cとの間のみ
に介装したものである。そして、この駆動軸21側にの
みリテーナリング51を介装するだけでもディスクハウ
ジング38の連れ回り抑制効果は十分に得られる。
【0051】すなわち、カム26によってバルブリフタ
ー25を押し下げようとするとき、両ピン36,37に
作用する荷重は第2フランジ部33側の第2ピン37の
方が大きくなる。なぜなら、駆動軸21からの回転力
は、環状ディスク39の軸心からほぼ垂直下方向に作用
する力Ffによるディスクハウジング38との間の摺動
摩擦抵抗と第1フランジ部31とディスクハウジング3
8との間の摺動摩擦抵抗に打ち勝って第2ピン37が環
状ディスク39を回転させることになるためである。し
たがって、ディスクハウジング38は、第2フランジ部
33でより多く支持されているが、このため、リテーナ
リング51を駆動軸21側にのみ配設することによって
ディスクハウジング38の連れ回りを効果的に抑制でき
る。
【0052】尚、第1フランジ部31側のみにリテーナ
リングを介装しただけでも、ある程度の連れ回り抑制効
果が得られることは勿論である。
【0053】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、ディスクハウジングを、従来のような支軸では
なく、少なくともいずれか一方のフランジ部によって回
転自在に支持するようにしたため、前記支軸や該支軸を
支持する支持機構が全く不要になる。したがって、部品
点数が減少し、製造作業能率の向上とコストの低廉化が
図れると共に、装置全体のコンパクト化が図れ、機関へ
の搭載性が向上する。
【0054】また、ディスクハウジングをフランジ部の
外周面で支持したため、荷重によるディスクハウジング
の変形を抑制でき、環状ディスクの中心のずれが防止で
きると共に、駆動軸の曲げ荷重の発生も防止できる。こ
の結果、バルブタイミングの制御精度の低下が防止され
る。
【0055】しかも、ディスクハウジングとフランジ部
との間に、規制手段によって自由回転が規制されたリテ
ーナリングを介装したため、環状ディスクの回転に伴う
ディスクハウジングの連れ回りが抑制されて、該ディス
クハウジングと連係する駆動機構の駆動負荷を十分に抑
制できる。この結果、駆動機構によるバルブタイミング
の制御応答性の悪化が防止されると共に、駆動機構のコ
ンパクト化が図れる。
【0056】また、リテーナリングを低摩擦係数材で形
成したため、機関始動時など潤滑油が各フランジ部等の
各摺動部に供給されない場合でも、該各フランジ部とデ
ィスクハウジングとの間の潤滑性が良好となり、駆動軸
起動のためのトルクを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す要部断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】本実施例の要部平面図。
【図4】本実施例におけるディスクハウジングに作用す
る荷重特性を示す説明図。
【図5】ディスクハウジングとフランジ部との間の荷重
特性を示す説明図。
【図6】Aは本実施例における駆動軸とカムシャフトの
角速度比の特性図、BはAに対応する駆動軸とカムシャ
フトの回転位相差の特性図、Cはバルブリフト特性図。
【図7】本発明の第2実施例を示す要部断面図。
【図8】従来の装置を示す要部断面図。
【図9】図8のB矢視図。
【符号の説明】
21…駆動軸 22…カムシャフト 23…吸気弁 24…カム軸受 31…第1フランジ部 33…第2フランジ部 36,37…第1,第2ピン 38…ディスクハウジング 38a…偏心カムリング 38b,38c…両側部 39…環状ディスク 40…平歯車(伝達機構) 43…駆動機構 44…制御シャフト 45…ステップモ−タ 46…歯車(伝達機構) 50,51…リテーナリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−233715(JP,A) 特開 平4−183905(JP,A) 特開 平6−264110(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 13/00 301 F01L 1/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関により回転駆動する駆動軸と、該駆
    動軸の外周に相対回転自在に設けられて、外周に吸,排
    気弁を開作動させるカムを一体に有する各気筒毎に分割
    されたカムシャフトと、該各カムシャフトの一端部に固
    定された第1フランジ部と、駆動軸の所定部位に固定さ
    れて、前記第1フランジ部と対向する第2フランジ部
    と、該両フランジ部間に配置されたほぼ円環状のディス
    クハウジングと、該ディスクハウジングの偏心カムリン
    グ状の内周に回転自在に支持されて、ディスクハウジン
    グの回動に伴い中心が駆動軸の軸心に対して偏心動可能
    な環状ディスクと、該環状ディスクと前記各フランジ部
    との間に介装されて、環状ディスクのほぼ径方向へ係合
    溝を介して摺動可能なピンと、前記ディスクハウジング
    を伝達機構を介して回動制御する駆動機構とを備えた吸
    排気弁駆動制御装置において、 前記ディスクハウジングを前記両フランジ部の外周面で
    回転自在に支持すると共に、前記両フランジ部の少なく
    ともいずれか一方の外周面とディスクハウジングの内周
    面との間に、前記フランジ部とディスクハウジングに対
    して摺動自在なリテーナリングを介装し、かつ該リテー
    ナリングの自由回動を規制する規制手段を設けたことを
    特徴とする内燃機関の吸排気弁駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記リテーナリングを、ディスクハウジ
    ングの内周面と両フランジ部の両外周面との間に介装し
    たことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の吸排気弁
    駆動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記規制手段は、リテーナリングに一体
    に設けられたほぼU字形の規制片が、前記駆動機構の制
    御シャフトに係止してリテーナリングの回転を規制する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の吸
    排気弁駆動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記リテーナリングを低摩擦係数材で形
    成したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の吸排
    気弁駆動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記リテーナリングを含油性の焼結合金
    材で形成したことを特徴とする請求項1及び4記載の内
    燃機関の吸排気弁駆動制御装置。
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