JP3361016B2 - 超電導部材及びその製造方法 - Google Patents
超電導部材及びその製造方法Info
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- JP3361016B2 JP3361016B2 JP25408096A JP25408096A JP3361016B2 JP 3361016 B2 JP3361016 B2 JP 3361016B2 JP 25408096 A JP25408096 A JP 25408096A JP 25408096 A JP25408096 A JP 25408096A JP 3361016 B2 JP3361016 B2 JP 3361016B2
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E40/00—Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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- Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化物超電導体上に
酸化物膜を積層した超電導部材及びその製造方法に関す
る。
酸化物膜を積層した超電導部材及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体が発見されて以来、冷却
コストが安いことから、電力機器ばかりでなく、マイク
ロエレクトロニクス、あるいは高周波機器など広い分野
での応用が試みられている。しかし酸化物超電導体は酸
に溶け易い、水が付着すると超電導特性が劣化するとい
う欠点がある。特にY系超電導体はこの欠点が顕著であ
り、数日間大気中に露出させておくだけで、臨界電流密
度Jcは半分になってしまう。この欠点を解決するため
に超電導体の表面を耐環境性に優れた材料で被覆するこ
とが考えられている。耐環境性に優れた材料を酸化物超
電導体表面に成膜するためには、一般に真空中で基板温
度を高くしなければならない。しかしながら真空中で基
板温度が高い条件下では、超電導体の結晶中に含まれる
酸素が抜け易く、臨界温度Tcや臨界電流密度Jcが低
下するという問題がある。例えばY系超電導体上に保護
膜としてMgO,YSZ,Al2O 3等の結晶化した膜を積層した場
合、積層する前は臨界温度Tcが87Kであったのにも
関わらず積層後は80Kまで低下し、臨界電流密度Jc
も1 ×106 A/cm 2から1 ×104 A/cm 2にまで低下した。
コストが安いことから、電力機器ばかりでなく、マイク
ロエレクトロニクス、あるいは高周波機器など広い分野
での応用が試みられている。しかし酸化物超電導体は酸
に溶け易い、水が付着すると超電導特性が劣化するとい
う欠点がある。特にY系超電導体はこの欠点が顕著であ
り、数日間大気中に露出させておくだけで、臨界電流密
度Jcは半分になってしまう。この欠点を解決するため
に超電導体の表面を耐環境性に優れた材料で被覆するこ
とが考えられている。耐環境性に優れた材料を酸化物超
電導体表面に成膜するためには、一般に真空中で基板温
度を高くしなければならない。しかしながら真空中で基
板温度が高い条件下では、超電導体の結晶中に含まれる
酸素が抜け易く、臨界温度Tcや臨界電流密度Jcが低
下するという問題がある。例えばY系超電導体上に保護
膜としてMgO,YSZ,Al2O 3等の結晶化した膜を積層した場
合、積層する前は臨界温度Tcが87Kであったのにも
関わらず積層後は80Kまで低下し、臨界電流密度Jc
も1 ×106 A/cm 2から1 ×104 A/cm 2にまで低下した。
【0003】そこで例えばアモルファスのSiO 2,SiC,Si
3N 4など低温で成膜できる保護膜を用いることも行わ
れているが、これらの膜はヒートショックにより剥がれ
易く長期間に渡り効果発揮するものではない。またギガ
ヘルツ帯の高周波機器に応用する素子を作成するため
に、超電導体表面に誘電体を積層する場合にも同様に臨
界温度Tcや臨界電流密度Jcが低下するという問題が
起こる。
3N 4など低温で成膜できる保護膜を用いることも行わ
れているが、これらの膜はヒートショックにより剥がれ
易く長期間に渡り効果発揮するものではない。またギガ
ヘルツ帯の高周波機器に応用する素子を作成するため
に、超電導体表面に誘電体を積層する場合にも同様に臨
界温度Tcや臨界電流密度Jcが低下するという問題が
起こる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように酸化物
超電導体表面に保護膜や誘電体を成膜すると、臨界温度
Tcや臨界電流密度Jcが低下するという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、耐環境性
に優れ高い臨界温度と臨界電流密度を有する超電導部材
とその製造方法を提供することを目的とする。
超電導体表面に保護膜や誘電体を成膜すると、臨界温度
Tcや臨界電流密度Jcが低下するという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、耐環境性
に優れ高い臨界温度と臨界電流密度を有する超電導部材
とその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【0006】また、本発明は、酸化物超電導体と、前記
酸化物超電導体上に形成され、複数の価数をとり得る元
素を含有し、化学量論組成からずれている酸化物膜とを
具備することを特徴とする超電導部材を提供する。
酸化物超電導体上に形成され、複数の価数をとり得る元
素を含有し、化学量論組成からずれている酸化物膜とを
具備することを特徴とする超電導部材を提供する。
【0007】
【0008】
【0009】また、本発明は、酸化物超電導体と、前記
酸化物超電導体上の一部に形成され、複数の価数をとり
得る元素を含有し、化学量論組成からずれている酸化物
膜とを具備し、前記酸化物膜が形成された領域の前記酸
化物超電導体の臨界温度及び臨界電流密度の少なくとも
一方が大きいことを特徴とする超電導部材を提供する。
酸化物超電導体上の一部に形成され、複数の価数をとり
得る元素を含有し、化学量論組成からずれている酸化物
膜とを具備し、前記酸化物膜が形成された領域の前記酸
化物超電導体の臨界温度及び臨界電流密度の少なくとも
一方が大きいことを特徴とする超電導部材を提供する。
【0010】また、本発明は、基板と、前記基板上に形
成に形成された酸化物超電導体と、前記酸化物超電導体
上の一部に形成され、500オングストローム以上の膜
厚で、複数の価数をとり得る元素を含有する酸化物膜と
を具備し、前記酸化物膜が形成された領域の前記酸化物
超電導体の臨界温度及び臨界電流密度の少なくとも一方
が大きく、前記酸化物超電導体の臨界温度及び臨界電流
密度の少なくともいずれか一方が小さい領域に電力の入
力及び出力の少なくとも一方を行なうことを特徴とする
超電導部材を提供する。
成に形成された酸化物超電導体と、前記酸化物超電導体
上の一部に形成され、500オングストローム以上の膜
厚で、複数の価数をとり得る元素を含有する酸化物膜と
を具備し、前記酸化物膜が形成された領域の前記酸化物
超電導体の臨界温度及び臨界電流密度の少なくとも一方
が大きく、前記酸化物超電導体の臨界温度及び臨界電流
密度の少なくともいずれか一方が小さい領域に電力の入
力及び出力の少なくとも一方を行なうことを特徴とする
超電導部材を提供する。
【0011】また、本発明は、複数の価数をとり得る元
素を含有する固体原料を用意する工程と、酸化物超電導
体を500℃以上800℃以下に加熱する工程と、0.01
Torr 以上2 Torr以下の酸素分圧下で、ピークフルーエ
ンスの10%以上50%以下のフルーエンスを有する領
域が全照射面積の10%以上70%以下であるパルスレ
ーザーを前記固体原料に照射し、前記酸化物超電導体上
に酸化物膜を積層する工程とを具備することを特徴とす
る超電導部材の製造方法を提供する。
素を含有する固体原料を用意する工程と、酸化物超電導
体を500℃以上800℃以下に加熱する工程と、0.01
Torr 以上2 Torr以下の酸素分圧下で、ピークフルーエ
ンスの10%以上50%以下のフルーエンスを有する領
域が全照射面積の10%以上70%以下であるパルスレ
ーザーを前記固体原料に照射し、前記酸化物超電導体上
に酸化物膜を積層する工程とを具備することを特徴とす
る超電導部材の製造方法を提供する。
【0012】また、本発明は、前記固体原料は、前記複
数の価数をとり得る元素と、この複数の価数をとり得る
元素と結合する元素を少なくとも有し、前記元素のうち
蒸気圧の低い元素が化学量論組成より少なくてもよい。
ここで複数の価数をとり得る元素と結合する元素は、複
数の価数をとり得る元素でもいいし、そうでなくてもよ
い。またこれら2種の元素以外の元素を含有してもよ
い。
数の価数をとり得る元素と、この複数の価数をとり得る
元素と結合する元素を少なくとも有し、前記元素のうち
蒸気圧の低い元素が化学量論組成より少なくてもよい。
ここで複数の価数をとり得る元素と結合する元素は、複
数の価数をとり得る元素でもいいし、そうでなくてもよ
い。またこれら2種の元素以外の元素を含有してもよ
い。
【0013】さらに、本発明は、複数の価数をとり得る
元素を含有する固体原料を用意する工程と、表面に酸化
物超電導体が形成された基板を500℃以上800℃以
下に加熱する工程と、0.01 Torr 以上2 Torr以下の酸素
分圧下で、ピークフルーエンスの10%以上50%以下
のフルーエンスを有する領域が全照射面積の10%以上
70%以下であるパルスレーザーを前記固体原料に照射
し、前記酸化物超電導体上に酸化物膜を積層する工程
と、前記酸化物膜を積層する工程の後、前記基板の裏面
に酸化物超電導体を積層する工程とを具備することを特
徴とする超電導部材の製造方法を提供する。
元素を含有する固体原料を用意する工程と、表面に酸化
物超電導体が形成された基板を500℃以上800℃以
下に加熱する工程と、0.01 Torr 以上2 Torr以下の酸素
分圧下で、ピークフルーエンスの10%以上50%以下
のフルーエンスを有する領域が全照射面積の10%以上
70%以下であるパルスレーザーを前記固体原料に照射
し、前記酸化物超電導体上に酸化物膜を積層する工程
と、前記酸化物膜を積層する工程の後、前記基板の裏面
に酸化物超電導体を積層する工程とを具備することを特
徴とする超電導部材の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは、酸化物超電導体上
に、成膜の際に複数の価数をとり得るとともに酸素と結
合しやすい元素を含む酸化物膜を積層すると、酸化物超
電導体の臨界温度Tcと臨界電流密度Jcが低下しない
或いは低下の度合いが低くなる現象を発見した。例えば
Tiのように三価と四価をとり得る元素からなる材料の薄
膜を酸化雰囲気中で酸化物超電導体上に積層すると、5
00℃以上の高温で行なう表面被覆のプロセス中におい
て起こりやすい酸化物超電導体からの酸素の脱離を防ぐ
ことができ、臨界温度Tcが低下せず場合によっては向
上する現象を見出した。複数の価数をとり得る元素を含
む酸化物材料としてSrTiO 3、YSZ 等の複合酸化物があ
る。これらの膜を真空プロセスで作製した場合にも同様
に臨界温度Tcや臨界電流密度Jcが低下しない効果を
確認した。
に、成膜の際に複数の価数をとり得るとともに酸素と結
合しやすい元素を含む酸化物膜を積層すると、酸化物超
電導体の臨界温度Tcと臨界電流密度Jcが低下しない
或いは低下の度合いが低くなる現象を発見した。例えば
Tiのように三価と四価をとり得る元素からなる材料の薄
膜を酸化雰囲気中で酸化物超電導体上に積層すると、5
00℃以上の高温で行なう表面被覆のプロセス中におい
て起こりやすい酸化物超電導体からの酸素の脱離を防ぐ
ことができ、臨界温度Tcが低下せず場合によっては向
上する現象を見出した。複数の価数をとり得る元素を含
む酸化物材料としてSrTiO 3、YSZ 等の複合酸化物があ
る。これらの膜を真空プロセスで作製した場合にも同様
に臨界温度Tcや臨界電流密度Jcが低下しない効果を
確認した。
【0015】YSZ の場合、Yの量が少ない方がTcの低
下が少ない。従ってYの量は0モル%よりも多く、1モ
ル%以下好ましくは0.2 モル%以下が望ましい。またSr
TiO 3では、化学量論組成からずらしTiを多くするとよ
り、Tcの低下を少なくすることができる。
下が少ない。従ってYの量は0モル%よりも多く、1モ
ル%以下好ましくは0.2 モル%以下が望ましい。またSr
TiO 3では、化学量論組成からずらしTiを多くするとよ
り、Tcの低下を少なくすることができる。
【0016】Ti/Sr 比で1.01以上では被覆によりTcの
向上が見られた。この場合電気的特性に変化が生じるの
で、高周波機器の誘電体膜に応用しようとするにはずれ
があまり大きいと誘電率が低下し誘電損失が大きくなる
ので好ましくない。またTi/Sr が3を超えた場合には耐
環境性は向上しない。以下にTiとSrの比に対する誘電率
の変化を示す。
向上が見られた。この場合電気的特性に変化が生じるの
で、高周波機器の誘電体膜に応用しようとするにはずれ
があまり大きいと誘電率が低下し誘電損失が大きくなる
ので好ましくない。またTi/Sr が3を超えた場合には耐
環境性は向上しない。以下にTiとSrの比に対する誘電率
の変化を示す。
【0017】
【表1】
【0018】実用には誘電率の低下は多くとも30%以
下好ましくは20%以下が望まれこの結果より膜中に含
まれるTiはSrの1.5 倍以下好ましくは1.1 倍以下である
ことが判る。
下好ましくは20%以下が望まれこの結果より膜中に含
まれるTiはSrの1.5 倍以下好ましくは1.1 倍以下である
ことが判る。
【0019】またこの材料においてはSrを多くすると緻
密な膜となるためか、耐環境性が向上する現象も見出し
た。30℃湿度85%の環境下において1ヶ月間常電導
状態で焼損しない程度の電流を通電する加速試験を行な
った結果、SrとTiの比が1.01以上の膜で覆った試料のJ
c(77K、0T)の低下は10%以下であった。また
比が1.05以上の膜で覆った試料のJcの低下は5%以下
であった。ただし誘電率の低下を考慮するとこの比は1.
5 以下、好ましくは1.1 以下であることが望まれる。Ti
/Sr 比と誘電率の関係を以下の表に示す。
密な膜となるためか、耐環境性が向上する現象も見出し
た。30℃湿度85%の環境下において1ヶ月間常電導
状態で焼損しない程度の電流を通電する加速試験を行な
った結果、SrとTiの比が1.01以上の膜で覆った試料のJ
c(77K、0T)の低下は10%以下であった。また
比が1.05以上の膜で覆った試料のJcの低下は5%以下
であった。ただし誘電率の低下を考慮するとこの比は1.
5 以下、好ましくは1.1 以下であることが望まれる。Ti
/Sr 比と誘電率の関係を以下の表に示す。
【0020】
【表2】
【0021】更に酸化物材料が複数の価数をとり得る複
数の元素で構成されている場合には、化学量論組成から
ずれていればどちらの元素が多くともTcを低下させな
い効果がある。ただし多くの酸素と結合しやすい元素の
多いほうが効果は大きいという実験結果が得られてい
る。
数の元素で構成されている場合には、化学量論組成から
ずれていればどちらの元素が多くともTcを低下させな
い効果がある。ただし多くの酸素と結合しやすい元素の
多いほうが効果は大きいという実験結果が得られてい
る。
【0022】ところで複合酸化物における化学量論組成
からのずれは、酸素を除く原子の合計に対する化学量論
比からのずれで表せる。例えばTi/Sr 比が1.1 のチタン
酸ストロンチウムの場合TiとSrの合計が2になるように
表すとTi:Sr=1.05:0.95 となる。したがってTi/(Ti+S
r) =0.525 となり化学量論比 0.5からのずれは5%と
なる。この表し方によれば好適な化学量論組成からのず
れは25%以下好ましくは5%以下となる。一方、この
ような膜はスパッタリング、MBE、CVD、レーザー
蒸着などの方法により作製することができるが、超電導
特性の劣化を引き起こしにくい方法としては成膜時の酸
素雰囲気が高いCVDとレーザー蒸着が適している。更
に成長温度が低く廃ガス処理設備が不要という点でレー
ザー蒸着が最も適している。レーザー蒸着はターゲット
と呼ばれる固体原料に波長の短いパルスレーザーを照射
して蒸発させる方法である。蒸発粒子の運動エネルギー
が非常に大きいため、通常の物理蒸着とはくらべものに
ならない高い酸素雰囲気中で緻密な膜を作製することが
できる。この時使用するレーザーに照射面におけるフル
ーエンスに照射面積の10%以上70%以下の面積でピ
ークフルーエンスに対して10%以上50%以下のフル
ーエンス領域があるように分布を持たせると、化学量論
組成の固体材料を用いた場合、化学量論組成よりTiが多
い膜が得られる。その原理を以下に示す。
からのずれは、酸素を除く原子の合計に対する化学量論
比からのずれで表せる。例えばTi/Sr 比が1.1 のチタン
酸ストロンチウムの場合TiとSrの合計が2になるように
表すとTi:Sr=1.05:0.95 となる。したがってTi/(Ti+S
r) =0.525 となり化学量論比 0.5からのずれは5%と
なる。この表し方によれば好適な化学量論組成からのず
れは25%以下好ましくは5%以下となる。一方、この
ような膜はスパッタリング、MBE、CVD、レーザー
蒸着などの方法により作製することができるが、超電導
特性の劣化を引き起こしにくい方法としては成膜時の酸
素雰囲気が高いCVDとレーザー蒸着が適している。更
に成長温度が低く廃ガス処理設備が不要という点でレー
ザー蒸着が最も適している。レーザー蒸着はターゲット
と呼ばれる固体原料に波長の短いパルスレーザーを照射
して蒸発させる方法である。蒸発粒子の運動エネルギー
が非常に大きいため、通常の物理蒸着とはくらべものに
ならない高い酸素雰囲気中で緻密な膜を作製することが
できる。この時使用するレーザーに照射面におけるフル
ーエンスに照射面積の10%以上70%以下の面積でピ
ークフルーエンスに対して10%以上50%以下のフル
ーエンス領域があるように分布を持たせると、化学量論
組成の固体材料を用いた場合、化学量論組成よりTiが多
い膜が得られる。その原理を以下に示す。
【0023】エキシマレーザーのように波長の短いレー
ザーを固体物質に照射するとその物質の結合に関与して
いる電子が励起され、たたき出されるため結合が切れ
る。この時構成元素の多くはイオンとなる。その後、そ
れらは互いに反発し固体表面から飛び出すことで蒸発が
起こる。また蒸発が起こっている付近ではこれらのイオ
ンおよび電子が高密度に存在するプラズマが形成され、
かなりの反応熱が生じる。ただしこのような現象はある
一定値以上のフルーエンスをもつレーザーが照射された
場合に起こる。それ以下のフルーエンスのレーザーが照
射された場合には、結合が切れ構造が破壊されても部分
的で密度が低いと蒸発にまでは至らない。しかし照射さ
れた物質の蒸気圧が高い場合には熱的に蒸発しやすい状
態になる。蒸気圧の異なる複数の元素から成る膜を作製
する場合、ターゲットに照射したレーザーのフルーエン
スに、しきい値以上の領域とそれ以下の領域を合わせ持
つように分布を持たせると、フルーエンスの低いレーザ
ーが照射された領域からは蒸気圧の高い元素だけが、し
きい値以上のレーザー光が作りだしたプラズマの熱によ
り蒸発する。従ってターゲット上に蒸気圧の低い元素が
残り表面での組成にずれが生じている領域が照射したレ
ーザーのフルーエンス分布に応じて形成される。成膜中
にターゲットを回転させていると、このようにして形成
された組成ずれした領域に、しきい値以上のフルーエン
スを持つレーザーが再度照射されるため膜の組成をずら
すことができるのである。このようにして蒸気圧の低い
元素をターゲット組成よりも多く膜中に含ませることが
できる。一方フルーエンスが均一で、しきい値以上のレ
ーザーをターゲットに照射する場合はターゲットの組成
と同じ組成の膜が得られる。従って化学量論組成からず
れた膜を得ようとする場合には、ターゲット組成も化学
量論組成からずらす必要がある。通常ターゲットは10
00℃程度の高温で焼結して作製するが材料によっては
異相が析出し、それがレーザーの1パルス当たりの照射
面積と比較して無視できない大きさに成長しているとパ
ルスごとに蒸発組成が変わることがあるので、好ましく
ない。本発明による作製方法によればターゲット組成を
変えることなく、レーザーのフルーエンス分布を制御す
ることで、所望の組成の膜を得ることができるので好ま
しい。以下にレーザーのフルーエンスと照射面積の膜組
成、比誘電率及び下層の酸化物超電導体の臨界温度に及
ぼす影響を示す。
ザーを固体物質に照射するとその物質の結合に関与して
いる電子が励起され、たたき出されるため結合が切れ
る。この時構成元素の多くはイオンとなる。その後、そ
れらは互いに反発し固体表面から飛び出すことで蒸発が
起こる。また蒸発が起こっている付近ではこれらのイオ
ンおよび電子が高密度に存在するプラズマが形成され、
かなりの反応熱が生じる。ただしこのような現象はある
一定値以上のフルーエンスをもつレーザーが照射された
場合に起こる。それ以下のフルーエンスのレーザーが照
射された場合には、結合が切れ構造が破壊されても部分
的で密度が低いと蒸発にまでは至らない。しかし照射さ
れた物質の蒸気圧が高い場合には熱的に蒸発しやすい状
態になる。蒸気圧の異なる複数の元素から成る膜を作製
する場合、ターゲットに照射したレーザーのフルーエン
スに、しきい値以上の領域とそれ以下の領域を合わせ持
つように分布を持たせると、フルーエンスの低いレーザ
ーが照射された領域からは蒸気圧の高い元素だけが、し
きい値以上のレーザー光が作りだしたプラズマの熱によ
り蒸発する。従ってターゲット上に蒸気圧の低い元素が
残り表面での組成にずれが生じている領域が照射したレ
ーザーのフルーエンス分布に応じて形成される。成膜中
にターゲットを回転させていると、このようにして形成
された組成ずれした領域に、しきい値以上のフルーエン
スを持つレーザーが再度照射されるため膜の組成をずら
すことができるのである。このようにして蒸気圧の低い
元素をターゲット組成よりも多く膜中に含ませることが
できる。一方フルーエンスが均一で、しきい値以上のレ
ーザーをターゲットに照射する場合はターゲットの組成
と同じ組成の膜が得られる。従って化学量論組成からず
れた膜を得ようとする場合には、ターゲット組成も化学
量論組成からずらす必要がある。通常ターゲットは10
00℃程度の高温で焼結して作製するが材料によっては
異相が析出し、それがレーザーの1パルス当たりの照射
面積と比較して無視できない大きさに成長しているとパ
ルスごとに蒸発組成が変わることがあるので、好ましく
ない。本発明による作製方法によればターゲット組成を
変えることなく、レーザーのフルーエンス分布を制御す
ることで、所望の組成の膜を得ることができるので好ま
しい。以下にレーザーのフルーエンスと照射面積の膜組
成、比誘電率及び下層の酸化物超電導体の臨界温度に及
ぼす影響を示す。
【0024】
【表3】
【0025】この結果よりフルーエンスがピーク値の1
0%以上50%以下である領域が照射面積の10%以上
70%以下の面積である時に得られるSrTiO 3膜をYB
CO膜上に積層した場合に高い臨界温度が得られること
が分かる。これらの膜はTi/Sr 比で表すと少なくとも1.
01以上1.10以下となり、化学量論組成からのずれで表す
と0.5 %以上5%以下の範囲でTiが多い膜ということに
なる。この範囲以外の条件で作製した場合にはいずれか
の特性に向上が見られないか生産性に問題が有る。例え
ばフルーエンスがピークの0.2 以下の領域の面積が上記
範囲を超えている場合には効果が少なく成膜速度が遅く
なり生産性が低下するので好ましくない。また低フルー
エンスの領域の面積が狭い場合には効果が少なく超電導
体のTcの低下を抑制する効果はあるが向上はしない。
0%以上50%以下である領域が照射面積の10%以上
70%以下の面積である時に得られるSrTiO 3膜をYB
CO膜上に積層した場合に高い臨界温度が得られること
が分かる。これらの膜はTi/Sr 比で表すと少なくとも1.
01以上1.10以下となり、化学量論組成からのずれで表す
と0.5 %以上5%以下の範囲でTiが多い膜ということに
なる。この範囲以外の条件で作製した場合にはいずれか
の特性に向上が見られないか生産性に問題が有る。例え
ばフルーエンスがピークの0.2 以下の領域の面積が上記
範囲を超えている場合には効果が少なく成膜速度が遅く
なり生産性が低下するので好ましくない。また低フルー
エンスの領域の面積が狭い場合には効果が少なく超電導
体のTcの低下を抑制する効果はあるが向上はしない。
【0026】酸化物超電導体表面上に、酸化チタン或い
は化学量論組成より複数の価数をとり得る元素であるS
r,Ti,Ba,Pb,Zrの中から選ばれる少なくとも二種類以上
の元素からなる酸化物材料を超電導体上に積層し、この
膜上に化学量論組成或いはそれに近い組成のSrTiO 3,Ba
TiO3,PZTなどの誘電体を積層することで誘電率の低下が
少なく超電導体のTcの低下を抑制することができる。
酸化物超電導体表面上に積層される膜は、少なくとも10
0A以上好ましくは500A以上が必要でこれ以下では効果が
少ない。上限は5000A 以下好ましくは2000A 以下である
ことが望ましい。一方この膜上に積層される誘電体膜の
厚さは素子のキャパシタンスによって決定される。
は化学量論組成より複数の価数をとり得る元素であるS
r,Ti,Ba,Pb,Zrの中から選ばれる少なくとも二種類以上
の元素からなる酸化物材料を超電導体上に積層し、この
膜上に化学量論組成或いはそれに近い組成のSrTiO 3,Ba
TiO3,PZTなどの誘電体を積層することで誘電率の低下が
少なく超電導体のTcの低下を抑制することができる。
酸化物超電導体表面上に積層される膜は、少なくとも10
0A以上好ましくは500A以上が必要でこれ以下では効果が
少ない。上限は5000A 以下好ましくは2000A 以下である
ことが望ましい。一方この膜上に積層される誘電体膜の
厚さは素子のキャパシタンスによって決定される。
【0027】化学量論組成あるいはそれに近い組成のSr
TiO 3,BaTiO3,PZTなどの誘電体膜を得るには所望の膜組
成よりも蒸気圧の低い元素が少ない組成のターゲット
に、フルーエンスがピーク値の10%以上50%以下で
ある領域が照射面積の10%以上70%以下の面積で合
わせ持つパルスレーザーを照射することで作製できる。
TiO 3,BaTiO3,PZTなどの誘電体膜を得るには所望の膜組
成よりも蒸気圧の低い元素が少ない組成のターゲット
に、フルーエンスがピーク値の10%以上50%以下で
ある領域が照射面積の10%以上70%以下の面積で合
わせ持つパルスレーザーを照射することで作製できる。
【0028】また高周波機器に応用する場合基板の両面
に積層した超電導体の片面をフォトリソグラフィーを用
いて所定の形状に加工し、その上に誘電体膜を積層する
こともあるが、両面に成膜してある試料を加工するのは
レジストの塗布、剥離などの工程において取扱いがしに
くく、加工時に傷をつけ歩留まりを低下させるという不
具合がある。しかし本発明によれば基板の片面だけに成
膜した超電導体を加工したのち上述したような酸化物材
料あるいは誘電体を積層し、その後裏面に超電導体を成
膜しても加工した超電導体の特性は劣化しないので生産
性及び歩留まりを向上させることができる。更に裏面の
超電導体上に上述したような酸化物材料を積層すると耐
環境性に優れ好ましい。また超電導体上に酸化物膜が積
層されている領域の面積は積層されていない領域の面積
よりも広いことが必要で少なくとも2倍以上好ましくは
10倍以上が望まれる。これより少なくなるとJcの高
い領域が狭くなり、素子に流せる電流が少なくなるので
好ましくない。
に積層した超電導体の片面をフォトリソグラフィーを用
いて所定の形状に加工し、その上に誘電体膜を積層する
こともあるが、両面に成膜してある試料を加工するのは
レジストの塗布、剥離などの工程において取扱いがしに
くく、加工時に傷をつけ歩留まりを低下させるという不
具合がある。しかし本発明によれば基板の片面だけに成
膜した超電導体を加工したのち上述したような酸化物材
料あるいは誘電体を積層し、その後裏面に超電導体を成
膜しても加工した超電導体の特性は劣化しないので生産
性及び歩留まりを向上させることができる。更に裏面の
超電導体上に上述したような酸化物材料を積層すると耐
環境性に優れ好ましい。また超電導体上に酸化物膜が積
層されている領域の面積は積層されていない領域の面積
よりも広いことが必要で少なくとも2倍以上好ましくは
10倍以上が望まれる。これより少なくなるとJcの高
い領域が狭くなり、素子に流せる電流が少なくなるので
好ましくない。
【0029】尚本発明に用いられる酸化物超電導体はY
BCOに限らず、Bi系及びTl系などでもよい。以下に本
発明の実施例を説明する。
BCOに限らず、Bi系及びTl系などでもよい。以下に本
発明の実施例を説明する。
【0030】(実施例1)図1に示すような減圧に保ち
得る容器1内の上方にSrTiO 3単結晶基板2を取り付
け、所望の温度までヒーター3により加熱する。その
後、容器1内に100SCCMの一定流量で酸素を導入
しつつ排気ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 T
orr から1.0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる
固体原料であるターゲット6に平均のフルーエンスが1.
0 J/cm2以上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ
基板上に1.0 μmの厚さのY系超電導体膜を作製する。
図2に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いて
Y系超電導体膜4を加工した後、再度成膜容器内に取り
付け500℃から800℃の範囲になるように加熱す
る。このとき試料の温度が400℃を越えたら酸素を導
入するほうが加工した超電導体から酸素が脱離しないの
で望ましい。また圧力も超電導体を成膜する時と同じか
あるいはそれ以上にするとよい。
得る容器1内の上方にSrTiO 3単結晶基板2を取り付
け、所望の温度までヒーター3により加熱する。その
後、容器1内に100SCCMの一定流量で酸素を導入
しつつ排気ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 T
orr から1.0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる
固体原料であるターゲット6に平均のフルーエンスが1.
0 J/cm2以上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ
基板上に1.0 μmの厚さのY系超電導体膜を作製する。
図2に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いて
Y系超電導体膜4を加工した後、再度成膜容器内に取り
付け500℃から800℃の範囲になるように加熱す
る。このとき試料の温度が400℃を越えたら酸素を導
入するほうが加工した超電導体から酸素が脱離しないの
で望ましい。また圧力も超電導体を成膜する時と同じか
あるいはそれ以上にするとよい。
【0031】次にTiの酸化物からなる焼結体ターゲット
に平均のフルーエンスが0.6 J/cm2以上のレーザーを照
射して5000A の酸化チタン膜5を積層した。この試料の
Tcは91KでありY系超電導体本来の値に近く、被覆
の工程において劣化のないことが確認された。
に平均のフルーエンスが0.6 J/cm2以上のレーザーを照
射して5000A の酸化チタン膜5を積層した。この試料の
Tcは91KでありY系超電導体本来の値に近く、被覆
の工程において劣化のないことが確認された。
【0032】(実施例2)図1に示すように、減圧に保
ち得る容器1内の上方にSrTiO 3単結晶基板2を取り付
け、所望の温度までヒーター3により加熱する。その
後、容器1内に100SCCMの一定流量で酸素を導入
しつつ排気ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 T
orr から1.0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる
固体原料であるターゲット6に平均のフルーエンスが1.
0 J/cm2以上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ
基板2上に1.0 μmの厚さのを作製する。
ち得る容器1内の上方にSrTiO 3単結晶基板2を取り付
け、所望の温度までヒーター3により加熱する。その
後、容器1内に100SCCMの一定流量で酸素を導入
しつつ排気ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 T
orr から1.0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる
固体原料であるターゲット6に平均のフルーエンスが1.
0 J/cm2以上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ
基板2上に1.0 μmの厚さのを作製する。
【0033】次に図2に示すようにフォトリソグラフィ
ー技術を用いてY系超電導体膜4を加工した後、再度成
膜容器1内に取り付け500℃から800℃の範囲にな
るように加熱する。このとき試料の温度が400℃を越
えたら酸素を導入するほうが加工した超電導体から酸素
が脱離しないので望ましい。また圧力も超電導体を成膜
する時と同じかあるいはそれ以上にするとよい。
ー技術を用いてY系超電導体膜4を加工した後、再度成
膜容器1内に取り付け500℃から800℃の範囲にな
るように加熱する。このとき試料の温度が400℃を越
えたら酸素を導入するほうが加工した超電導体から酸素
が脱離しないので望ましい。また圧力も超電導体を成膜
する時と同じかあるいはそれ以上にするとよい。
【0034】次にSr,Ti の酸化物からなる焼結体ターゲ
ット6に照射面積の66%の面積で1.0 J/cm2のピーク
フルーエンスに対して40%のフルーエンス領域がある
レーザーを照射して5000A のTiが化学量論組成より多い
SrTiO 3膜を積層した。この試料のTcは91Kであり
Y系超電導体本来の値に近く、被覆の工程において劣化
のないことが確認された。
ット6に照射面積の66%の面積で1.0 J/cm2のピーク
フルーエンスに対して40%のフルーエンス領域がある
レーザーを照射して5000A のTiが化学量論組成より多い
SrTiO 3膜を積層した。この試料のTcは91Kであり
Y系超電導体本来の値に近く、被覆の工程において劣化
のないことが確認された。
【0035】(実施例3)図1に示すように、減圧に保
ち得る容器1内の上方に巾10mmの主として銀からな
るテープを長手方向で移動可能なように取り付け、所望
の温度までヒーター3により加熱する。その後、容器1
内に100SCCMの一定流量で酸素を導入しつつ排気
ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 Torr から1.
0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる固体原料で
あるターゲット6に平均のフルーエンスが1.0 J/cm2以
上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ一定速度
(1cm/分)で移動している基板2上に1.0 μmの厚
さのY系超電導体膜を作製する。
ち得る容器1内の上方に巾10mmの主として銀からな
るテープを長手方向で移動可能なように取り付け、所望
の温度までヒーター3により加熱する。その後、容器1
内に100SCCMの一定流量で酸素を導入しつつ排気
ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 Torr から1.
0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる固体原料で
あるターゲット6に平均のフルーエンスが1.0 J/cm2以
上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ一定速度
(1cm/分)で移動している基板2上に1.0 μmの厚
さのY系超電導体膜を作製する。
【0036】その後同じ容器内にてSr,Ti の酸化物から
なる焼結体ターゲット6に照射面積の66%の面積で1.
0 J/cm2のピークフルーエンスに対して40%のフルー
エンス領域があるレーザーを照射して5000A のTiが化学
量論組成より多いSrTiO 3膜を続けて積層した。この試
料のTcは91KでありY系超電導体本来の値に近く、
被覆の工程において劣化のないことが確認された。この
試料を超電導線として電力機器に応用したところ長期間
に渡って良好な特性を示した。
なる焼結体ターゲット6に照射面積の66%の面積で1.
0 J/cm2のピークフルーエンスに対して40%のフルー
エンス領域があるレーザーを照射して5000A のTiが化学
量論組成より多いSrTiO 3膜を続けて積層した。この試
料のTcは91KでありY系超電導体本来の値に近く、
被覆の工程において劣化のないことが確認された。この
試料を超電導線として電力機器に応用したところ長期間
に渡って良好な特性を示した。
【0037】(実施例4)図1に示すように、減圧に保
ち得る容器1内の上方にLaAlO 3単結晶基板2を取り付
け、所望の温度までヒーター3により加熱する。その
後、容器1内に100SCCMの一定流量で酸素を導入
しつつ排気ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 T
orr から1.0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる
固体原料であるターゲット6に平均のフルーエンスが1.
0 J/cm2以上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ
基板2上に1.0 μmの厚さのY系超電導体膜4を作製す
る。この膜を図3に示すようなパターンにフォトリソグ
ラフィー技術を用いて加工した後、再度成膜容器1内に
取り付け500℃から800℃の範囲になるように加熱
する。このとき試料の温度が400℃を越えたら酸素を
導入するほうが加工した超電導体から酸素が脱離しない
ので望ましく、圧力も超電導体を成膜する時と同じかあ
るいはそれ以上にするとよい。
ち得る容器1内の上方にLaAlO 3単結晶基板2を取り付
け、所望の温度までヒーター3により加熱する。その
後、容器1内に100SCCMの一定流量で酸素を導入
しつつ排気ポンプ7の排気速度を調節して圧力を0.01 T
orr から1.0 Torrの範囲に保ちながらY,Ba,Cu からなる
固体原料であるターゲット6に平均のフルーエンスが1.
0 J/cm2以上のレーザー光を照射して原料を蒸発せしめ
基板2上に1.0 μmの厚さのY系超電導体膜4を作製す
る。この膜を図3に示すようなパターンにフォトリソグ
ラフィー技術を用いて加工した後、再度成膜容器1内に
取り付け500℃から800℃の範囲になるように加熱
する。このとき試料の温度が400℃を越えたら酸素を
導入するほうが加工した超電導体から酸素が脱離しない
ので望ましく、圧力も超電導体を成膜する時と同じかあ
るいはそれ以上にするとよい。
【0038】次にSr,Ti の酸化物からなる焼結体ターゲ
ット6に照射面積の66%の面積で1.0 J/cm2のピーク
フルーエンスに対して40%のフルーエンス領域がある
レーザーを照射して500AのTiが化学量論組成より10%
多いSrTiO 3膜を積層し、さらにSrが化学量論組成より
多いターゲットを用いて化学量論組成に近いSrTiO 3膜
を5000A 積層した。この試料のTcは91KでありY系
超電導体本来の値に近く、被覆の工程において劣化のな
いことが確認された。この試料をストリップライン型の
共振器として使用したところ高いQ値を示し長期間に渡
って良好な特性を示した。
ット6に照射面積の66%の面積で1.0 J/cm2のピーク
フルーエンスに対して40%のフルーエンス領域がある
レーザーを照射して500AのTiが化学量論組成より10%
多いSrTiO 3膜を積層し、さらにSrが化学量論組成より
多いターゲットを用いて化学量論組成に近いSrTiO 3膜
を5000A 積層した。この試料のTcは91KでありY系
超電導体本来の値に近く、被覆の工程において劣化のな
いことが確認された。この試料をストリップライン型の
共振器として使用したところ高いQ値を示し長期間に渡
って良好な特性を示した。
【0039】(実施例5)本実施例では、同一面内にあ
る超電導体のTc及びJcを部分的に変えて作成した。
図4に示すように、電流パスの一部にTiが化学量論組成
より多いSrTiO 3膜を積層した後全体を化学量論組成に
近いSrTiO 3膜で覆うと、Tiが化学量論組成より多いSrT
iO 3膜を積層した部分のTcが高く多くの場合Jcも高
くなる。このようにしてTcが87Kの部分と91Kの
部分を同一面内に作製し電流制限用素子として使用した
ところ動作時におけるインピーダンスの発生のしかた
も、ほどよく緩やかになり、焼損する事故が起こらなく
なった。その理由を以下に説明する。
る超電導体のTc及びJcを部分的に変えて作成した。
図4に示すように、電流パスの一部にTiが化学量論組成
より多いSrTiO 3膜を積層した後全体を化学量論組成に
近いSrTiO 3膜で覆うと、Tiが化学量論組成より多いSrT
iO 3膜を積層した部分のTcが高く多くの場合Jcも高
くなる。このようにしてTcが87Kの部分と91Kの
部分を同一面内に作製し電流制限用素子として使用した
ところ動作時におけるインピーダンスの発生のしかた
も、ほどよく緩やかになり、焼損する事故が起こらなく
なった。その理由を以下に説明する。
【0040】超電導体を用いた電流制限用素子は電源系
統に直列に挿入し、どこかで短絡事故が発生して定格電
流(臨界電流)以上の電流が流れようとした時に常電導
に転移して抵抗を発するものである。しかし酸化物超電
導体の常電導状態における抵抗は金属と比較するとかな
り大きく動作時に急激に抵抗が発生し、電源系統のイン
ピーダンスが激しく変動するという問題があり、焼損す
る事故も多発していた。しかし図4に示したように素子
の電流パスにTc及びJcの低い部分があると最初にT
cの低い領域が転移するが、この部分だけの抵抗はさほ
ど高くなく、またそこで発生した熱が廻りにひろがりク
エンチが徐々に伝搬するのでインピーダンスの発生のし
かたがほどよく緩やかになるのである。
統に直列に挿入し、どこかで短絡事故が発生して定格電
流(臨界電流)以上の電流が流れようとした時に常電導
に転移して抵抗を発するものである。しかし酸化物超電
導体の常電導状態における抵抗は金属と比較するとかな
り大きく動作時に急激に抵抗が発生し、電源系統のイン
ピーダンスが激しく変動するという問題があり、焼損す
る事故も多発していた。しかし図4に示したように素子
の電流パスにTc及びJcの低い部分があると最初にT
cの低い領域が転移するが、この部分だけの抵抗はさほ
ど高くなく、またそこで発生した熱が廻りにひろがりク
エンチが徐々に伝搬するのでインピーダンスの発生のし
かたがほどよく緩やかになるのである。
【0041】尚、Tc及びまたはJcの異なる領域を作
製するには一部分にだけSrTiO 3を積層した後真空中あ
るいは窒素、またはアルゴンなどの稀ガス雰囲気中で5
00℃以上に加熱してSrTiO 3を積層していない領域か
ら酸素を脱離させてもよい。処理温度及びまたは積層し
たSrTiO 3の組成によりTc、Jcの差を制御すること
ができる。また積層によりTcが高い領域の面積は積層
していないためにTcが低い領域の面積より広い方が良
く少なくとも2倍以上1000倍以下、好ましくは10
倍以上100倍以下が望まれる。
製するには一部分にだけSrTiO 3を積層した後真空中あ
るいは窒素、またはアルゴンなどの稀ガス雰囲気中で5
00℃以上に加熱してSrTiO 3を積層していない領域か
ら酸素を脱離させてもよい。処理温度及びまたは積層し
たSrTiO 3の組成によりTc、Jcの差を制御すること
ができる。また積層によりTcが高い領域の面積は積層
していないためにTcが低い領域の面積より広い方が良
く少なくとも2倍以上1000倍以下、好ましくは10
倍以上100倍以下が望まれる。
【0042】Tcが高い領域の面積が少ないと通電容量
が少なくなり好ましくない。また多すぎる場合には動作
時のインピーダンス発生のしかたをほどよく緩やかにす
る効果が少なくなり好ましくない。
が少なくなり好ましくない。また多すぎる場合には動作
時のインピーダンス発生のしかたをほどよく緩やかにす
る効果が少なくなり好ましくない。
【0043】以上に述べたように本発明は電流制限用素
子以外にも同一面内でTc及びまたはJcが部分的に異
なる超電導体を用いた超電導部材を作製するのに適して
いる。
子以外にも同一面内でTc及びまたはJcが部分的に異
なる超電導体を用いた超電導部材を作製するのに適して
いる。
【0044】図5は本発明による電流制御素子である。
図のようにMgO,STOなどからなる基板上にY系の
酸化物超電導材が形成されている。この酸化物超電導材
上には、STOで覆われたTcの高い領域と、STOで
覆われていないTcの低い領域が形成されている。この
STOの覆われていないTcの低い領域にはそれぞれ入
力用電流リードと出力用電流リードがハンダ等の導電性
材料により接続されている。素子全体は封止樹脂により
封止されている。
図のようにMgO,STOなどからなる基板上にY系の
酸化物超電導材が形成されている。この酸化物超電導材
上には、STOで覆われたTcの高い領域と、STOで
覆われていないTcの低い領域が形成されている。この
STOの覆われていないTcの低い領域にはそれぞれ入
力用電流リードと出力用電流リードがハンダ等の導電性
材料により接続されている。素子全体は封止樹脂により
封止されている。
【0045】この素子では、電流の入力部分及び出力部
分以外の領域をTiが化学量論組成より多いSrTiO 3膜あ
るいは化学量論組成に近いSrTiO 3膜で覆った後に電流
リードを取付ける。このように作製した超電導部材にお
いては電流の入出力部分のTc及びまたはJcが低くな
っているため、過電流あるいは外的要因によって超電導
がクエンチしようとした場合、ここから始まる。この領
域は超電導体上に電流リードとともにハンダ等の導電性
材料で覆われているため、接触抵抗が小さければクエン
チによる発熱で焼損することがない。またJcが低いた
めに少ない電流でクエンチすることも、同様の効果をも
たらす。その後他の領域に徐々にクエンチが伝搬するの
で焼損及び放電により破壊されることがなくなる。また
電流リード部分の耐環境性を向上させるにはこの部分あ
るいは全体を樹脂等で封止するとよい。
分以外の領域をTiが化学量論組成より多いSrTiO 3膜あ
るいは化学量論組成に近いSrTiO 3膜で覆った後に電流
リードを取付ける。このように作製した超電導部材にお
いては電流の入出力部分のTc及びまたはJcが低くな
っているため、過電流あるいは外的要因によって超電導
がクエンチしようとした場合、ここから始まる。この領
域は超電導体上に電流リードとともにハンダ等の導電性
材料で覆われているため、接触抵抗が小さければクエン
チによる発熱で焼損することがない。またJcが低いた
めに少ない電流でクエンチすることも、同様の効果をも
たらす。その後他の領域に徐々にクエンチが伝搬するの
で焼損及び放電により破壊されることがなくなる。また
電流リード部分の耐環境性を向上させるにはこの部分あ
るいは全体を樹脂等で封止するとよい。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明による超電導
部材およびその作製方法は、酸化物超電導体の特性を劣
化させることなく表面を被覆する事ができ、長期間に渡
って良好な特性を示すという特徴を有する。
部材およびその作製方法は、酸化物超電導体の特性を劣
化させることなく表面を被覆する事ができ、長期間に渡
って良好な特性を示すという特徴を有する。
【図1】 レーザー蒸着装置の概略図
【図2】 本発明の超電導部材の断面図
【図3】 本発明の超電導部材の上面図及び断面図
【図4】 本発明の超電導部材の上面図及び断面図
【図5】 本発明の超電導部材の上面図及び断面図
【符号の説明】
1…蒸着容器
2…基板
3…ヒーター
4…酸化物超電導体
5…酸化物膜
6…ターゲット
7…排気ポンプ
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平1−126205(JP,A)
特開 昭64−57767(JP,A)
特開 平1−181444(JP,A)
特開 平4−137677(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01L 39/24 ZAA
C01G 1/00
C04B 35/495 ZAA
H01B 12/06 ZAA
H01L 39/02 ZAA
Claims (6)
- 【請求項1】 酸化物超電導体と、 前記酸化物超電導体上に形成され、複数の価数をとり得
る元素を含有し、化学量論組成からずれている酸化物膜
とを具備することを特徴とする超電導部材。 - 【請求項2】 酸化物超電導体と、 前記酸化物超電導体上の一部に形成され、複数の価数を
とり得る元素を含有し、化学量論組成からずれている酸
化物膜とを具備し、 前記酸化物膜が形成された領域の前記酸化物超電導体の
臨界温度及び臨界電流密度の少なくとも一方が大きいこ
とを特徴とする超電導部材。 - 【請求項3】基板と、 前記基板上に形成に形成された酸化物超電導体と、 前記酸化物超電導体上の一部に形成され、500オング
ストローム以上の膜厚で、複数の価数をとり得る元素を
含有する酸化物膜とを具備し、 前記酸化物膜が形成された領域の前記酸化物超電導体の
臨界温度及び臨界電流密度の少なくとも一方が大きく、
前記酸化物超電導体の臨界温度及び臨界電流密度の少な
くともいずれか一方が小さい領域に電力の入力及び出力
の少なくとも一方を行なうことを特徴とする超電導部
材。 - 【請求項4】 複数の価数をとり得る元素を含有する固体
原料を用意する工程と、 酸化物超電導体を500以上800以下に加熱する工程
と、 0.01Torr以上2Torr以下の酸素分圧下で、
ピークフルーエンスの10%以上50%以下のフルーエ
ンスを有する領域が全照射面積の10%以上70%以下
であるパルスレーザーを前記固体原料に照射し、前記酸
化物超電導体上に酸化物膜を積層する工程とを具備する
ことを特徴とする超電導部材の製造方法。 - 【請求項5】 前記固体原料は、前記複数の価数をとり得
る元素と、この複数の価数をとり得る元素と結合する元
素を少なくとも有し、前記元素のうち蒸気圧の低い元素
が化学量論組成より少ないことを特徴とする請求項7記
載の超電導部材の製造方法。 - 【請求項6】 複数の価数をとり得る元素を含有する固体
原料を用意する工程と、 表面に酸化物超電導体が形成された基板を500以上8
00以下に加熱する工程と、 0.01Torr以上2Torr以下の酸素分圧下で、
ピークフルーエンスの10%以上50%以下のフルーエ
ンスを有する領域が全照射面積の10%以上70%以下
であるパルスレーザーを前記固体原料に照射し、前記酸
化物超電導体上に酸化物膜を積層する工程と、 前記酸化物膜を積層する工程の後、前記基板の裏面に酸
化物超電導体を積層する工程とを具備することを特徴と
する超電導部材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25408096A JP3361016B2 (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 超電導部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25408096A JP3361016B2 (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 超電導部材及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10107334A JPH10107334A (ja) | 1998-04-24 |
| JP3361016B2 true JP3361016B2 (ja) | 2003-01-07 |
Family
ID=17259954
Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
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1996
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