JP3479112B2 - ニオブ酸リチウム単結晶基板の処理方法及び電気光学品の製造方法 - Google Patents

ニオブ酸リチウム単結晶基板の処理方法及び電気光学品の製造方法

Info

Publication number
JP3479112B2
JP3479112B2 JP05717294A JP5717294A JP3479112B2 JP 3479112 B2 JP3479112 B2 JP 3479112B2 JP 05717294 A JP05717294 A JP 05717294A JP 5717294 A JP5717294 A JP 5717294A JP 3479112 B2 JP3479112 B2 JP 3479112B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
melt
electro
crystal substrate
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05717294A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07267783A (ja
Inventor
竜生 川口
美能留 今枝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP05717294A priority Critical patent/JP3479112B2/ja
Publication of JPH07267783A publication Critical patent/JPH07267783A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3479112B2 publication Critical patent/JP3479112B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気光学単結晶基板の
処理方法及び電気光学品の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ニオブ酸リチウム(LiNbO3 ) 単結
晶、タンタル酸リチウム(LiTaO3 )単結晶が、オ
プトエレクトロニクス用材料として期待されている。ニ
オブ酸リチウム単結晶等からなる基板の上に、液相エピ
タキシャル法によってニオブ酸リチウム薄膜を得ること
が知られている。例えば、「Appl. Phys.Letters 」 Vo
l.26 No.1 (1975)の第8〜10頁の記載によれば、タ
ンタル酸リチウム単結晶基板上に液相エピタキシャル法
によってニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成している。
「Mat. Res. Bull」 Vol.10(1975) の第1373〜1
377頁の記載によれば、ニオブ酸リチウム単結晶基板
上に液相エピタキシャル法によってニオブ酸リチウム単
結晶薄膜を形成している。「J. Appl. Phys.」 Vo
l.70, No.5,( 1991 )の第2536〜2541頁によ
れば、酸化マグネシウムをドープしたニオブ酸リチウム
単結晶基板上に、液相エピタキシャル法によってニオブ
酸リチウム単結晶薄膜を形成している。
【0003】液相エピタキシャル法における成膜方法を
説明する。図5は、液相エピタキシャル法における溶融
体の温度スケジュールを模式的に示すグラフであり、図
6は、例えばLiNbO3 ─LiVO3 擬二元系の溶解
度曲線を示すグラフである。まず、例えばニオブ酸リチ
ウム(溶質)とLiVO3 (溶融媒体)とを仕込んで混
合する。この溶融体の仕込み組成に対応する飽和温度を
0 とする。この溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも
高温T1 で保持し、ニオブ酸リチウムとLiVO3 とを
均一に溶融させる。図5において、「A」が、この溶融
状態に対応する。次いで、溶融体の温度を、飽和温度T
0 よりも低い温度T4 まで冷却して溶融体を過冷却状態
とする。図5において、「C」が、この過冷却状態に対
応する。過冷却状態の溶融体に対して、基板を接触させ
る。
【0004】また、こうした単結晶の結晶性は、X線ロ
ッキングカーブの半値幅によって評価することができ
る。例えば、「J. Cryst. Growth.」 132 (1993) の
第48〜60頁の記載によれば、酸化マグネシウムをド
ープしたニオブ酸リチウム単結晶基板を使用し、この基
板と同程度に小さい半値幅をもつニオブ酸リチウム単結
晶薄膜を作製している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在は、LiNbO3
単結晶等の基板は、引き上げ法によって形成されてい
る。しかし、従来は、こうした単結晶基板の上に、この
単結晶基板よりも結晶性の良い単結晶膜を形成すること
はできなかった。この結果、この単結晶膜の方に、光導
波路基板、SHGデバイス等を作成した場合に、光導波
路の耐光損傷特性が劣っており、光導波路において導波
できる光のエネルギーのしきい値が低かった。このた
め、従来は、引き上げ法によって作成された基板を機械
加工して、光導波路基板として使用しており、液相エピ
タキシャル法による単結晶膜は、こうした製品の材料と
して有効に使用されておらず、解決が待望されていた。
【0006】本発明の課題は、引き上げ法等によって製
造された電気光学単結晶基板の結晶性を向上させる方法
を提供することである。更に本発明の課題は、こうした
電気光学単結晶基板の結晶性を向上させることにより、
この基板の上に、結晶性の良い単結晶膜を形成できるよ
うにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気光学単
結晶基板の処理方法は、電気光学単結晶基板の少なくと
も加工面を、溶質と溶融媒体とを含む平衡状態の溶融体
に対して接触させることにより、この加工面の結晶性を
改質することを特徴とする。
【0008】また、本発明は、電気光学単結晶基板と電
気光学単結晶膜とを有する電気光学品を製造する方法で
あって、電気光学単結晶基板の少なくとも加工面を、溶
質と溶融媒体とを含む平衡状態の溶融体に対して接触さ
せることにより、この加工面の結晶性を改質し、次いで
溶融体の液相を過冷却状態にすることによって加工面側
に前記電気光学単結晶膜を形成することを特徴とする方
法に係るものである。
【0009】
【作用】本発明者は、特に光学グレードの電気光学単結
晶基板の上に、この単結晶基板よりも結晶性の良い単結
晶膜を形成することが困難な理由について、検討した。
この結果、次の原因を発見するに至った。
【0010】即ち、一般に光導波路等に使用される電気
光学単結晶基板を製造するには、まず略円柱形状のブー
ルを引き上げ法によって作成する。この際には、電気光
学単結晶はいわゆる調和溶融組成である。次に、このブ
ールを研削加工して円柱形状とし、この円柱形状のブー
ルを、その軸方向と垂直に切断して円盤形状のウエハー
を作成する。このウエハーの表面を精密に研磨加工した
後、この加工面上に電気光学単結晶膜を液相エピタキシ
ャル法によって形成する。
【0011】しかし、図2(a)に模式的に示すよう
に、上記した切断及び研磨加工の際に、電気光学単結晶
基板2の表面2aに、応力による歪や結晶格子の乱れが
導入されることが多い。そのような状態になると、次に
光導波路等のデバイスを作製したとき、デバイスの特性
にばらつきが発生し、不良品の原因となり、歩留りの低
下の原因となるわけである。
【0012】更に、本発明者は、このようにして表面に
ダメージが導入された電気光学単結晶基板を改質するた
め、研究を進めていたが、その過程で、以下のような方
法を開発した。
【0013】即ち、図1に模式的に示すように、液相エ
ピタキシャル法において通常使用される溶融体4を、ル
ツボ3内において、まず飽和温度以下に冷却した状態で
長時間保持し、固相5を析出させた。この状態では、溶
融体4は完全に固相5と液相1との平衡状態であるの
で、電気光学単結晶基板2を溶融体4に接触させても、
当然膜は成長しないし、見かけ上はなにも起こらない。
【0014】ところが、図2(b)に模式的に示すよう
に、この電気光学単結晶基板7を溶融体4から取り出
し、加工表面7a側を分析してみると、処理前に比べて
加工面7aのダメージが改善され、その結晶性が向上し
ていることが判明した。
【0015】この理由は明らかではない。しかし、溶融
体が固液平衡状態となっていることから、おそらく基板
表面2a付近ではミクロ的な分子の入れ替え、再配列が
起こっており、この過程で、基板表面2a近傍の結晶性
が改善されたのではないかと推定される。
【0016】本発明者は、更に、図3に模式的に示すよ
うに、未飽和状態の溶融体6に対しても、電気光学単結
晶基板2の加工面2aを接触させ、次いで基板を溶融体
6から取り出し、加工表面を分析してみた。この結果、
図4(a)に示すように、やはり処理前に比べて基板8
の加工面8aのダメージが改善され、その結晶性が向上
していることが判明した。
【0017】従って、電気光学単結晶基板2の少なくと
も加工面2aを、平衡状態の溶融体に対して接触させる
ことにより、この加工面2aの結晶性を改質できるもの
と考えられる。
【0018】更に、本発明者は、電気光学単結晶基板2
の少なくとも加工面2aを、溶質と溶融媒体とを含む固
液平衡状態の溶融体4に対して接触させることにより、
この加工面2aの結晶性を改質し、次いで溶融体4の液
相1を過冷却状態にすることによって、結晶性が改質さ
れた加工面7a側に電気光学単結晶膜を形成して見た。
この結果、従来は作成不可能であった、電気光学単結晶
基板よりもX線ロッキングカーブの半値幅が小さい単結
晶膜を形成することに成功した。
【0019】また、本発明者は、電気光学単結晶基板2
の少なくとも加工面2aを、図3に模式的に示す未飽和
状態の溶融体6の液相に対して接触させることにより、
この加工面2aの結晶性を改質した後、液相6を過冷却
状態にすることによって、改質された加工面8a側に、
図4(b)に示すように、電気光学単結晶膜10を形成
して見た。この結果、従来は作成不可能であった、電気
光学単結晶基板よりもX線ロッキングカーブの半値幅が
小さい単結晶膜10を形成することに成功した。これら
の結果は、単結晶膜の結晶性が、基板表面の結晶性によ
って基本的に大きく左右されるからであろう。
【0020】本発明者は、前記方法により、単結晶基板
よりもX線ロッキングカーブの半値幅が小さい単結晶膜
を形成し、これに光導波路を形成し、その光学特性を測
定してみた。この結果、光導波路の耐光損傷特性が顕著
に向上することを確認した。この結果、本発明の電気光
学品9を、各種光学部品として利用することが可能にな
った。
【0021】ここで、X線ロッキングカーブの半値幅に
ついて説明する。単結晶基板及び単結晶膜の結晶性は、
X線ロッキングカーブの半値幅によって評価することが
できる。一般に、この半値幅が小さいほど、単結晶の結
晶性が良好であると判断できる。この値そのものは、X
線測定装置において使用する基準結晶等によって変動す
るので、絶対値を特定することはできない。
【0022】しかし、液相エピタキシャル法により作製
される単結晶薄膜の結晶性は、単結晶基板の結晶性の影
響を強く受ける。従って、作製した単結晶膜の結晶性の
優劣を判断するには、使用した基板のX線ロッキングカ
ーブの半値幅を基準にしなければならない。特に、光学
グレードの単結晶基板は、現在引き上げ法によって作成
されているので、単結晶膜のX線ロッキングカーブの半
値幅が、光学グレードの単結晶基板のそれよりも小さい
ことが好ましい。
【0023】電気光学単結晶基板の少なくとも加工面
を、未飽和状態の溶融体の液相に対して接触させること
により、この加工面の結晶性を改質した後、液相を過冷
却状態にすることによって加工面側に電気光学単結晶膜
を形成した場合には、更に次の作用がある。
【0024】本発明者の研究によれば、液相エピタキシ
ャル法においては、成膜を繰り返すうちに析出成分の減
少により溶融体の組成が変化し、膜成長速度あるいは膜
特性が変化するという問題がある。しかし、加工面を、
未飽和状態の溶融体の液相に対して接触させると、電気
光学単結晶基板から溶質が溶融体中へと溶出する。この
溶融体の飽和温度をT0 とし、溶融体の温度を、T0
りもΔTだけ高いT1 とすると、この溶融体は、ΔTに
相当するだけ未飽和の状態であり、基板を浸漬すると、
ΔTに相当する所定量だけ、溶質が溶出する。
【0025】しかし、所定量だけ基板が溶解した後、溶
融体の温度を、飽和温度T0 以下まで下げ、溶融体を過
冷却状態とすると、溶融体中へとメルトバックした量と
同量の単結晶膜が成長する。即ち、未飽和状態では、基
板からの溶質のメルトバックにより、溶融体の濃度が上
昇するが、次の膜成長の段階では、メルトバックした量
と同量の溶質が、基板の方に付着し、単結晶膜がホモエ
ピタキシャル成長する。従って、溶融体の組成は、成膜
の前後において変化しない。
【0026】この結果、液相エピタキシャル法による成
膜を、同一の溶融体を使用して多数回繰り返して実施し
ても、単結晶膜の成長速度あるいは膜特性が劣化、変化
することはない。
【0027】
【実施例】本発明においては、電気光学単結晶基板から
溶融体へと向かって、溶出する過程が存在しているの
で、電気光学単結晶基板と、溶融体の溶質とは同一であ
ることが好ましく、従って、電気光学単結晶基板と電気
光学単結晶膜とは,同一の物質によって形成することが
好ましい。
【0028】電気光学単結晶としては、ニオブ酸リチウ
ム(LiNbO3 )単結晶、タンタル酸リチウム(Li
TaO3 )単結晶、LiNbx Ta1-x 3 単結晶(0
<x<1)が好ましい。
【0029】現在のところ、電気光学単結晶基板は、引
き上げ法によって製造されており、ニオブ酸リチウム単
結晶基板については、結晶性の良い光学グレードの単結
晶基板が得られている。しかし、現在の段階では、引き
上げ法により製造されるタンタル酸リチウム単結晶基板
は、ニオブ酸リチウム単結晶基板に比べて結晶性が悪
い。もともと結晶性が悪いタンタル酸リチウム単結晶基
板の上に、単結晶膜を形成しても、光学グレードのニオ
ブ酸リチウム単結晶基板上に作製した膜よりも優れた結
晶性を持つ単結晶膜を得るのは、困難である。
【0030】この理由から、現段階では、光学グレード
のニオブ酸リチウム単結晶を基板として使用することが
好ましい。ただし、この問題は、引き上げ法による製造
技術の問題であるので、将来ニオブ酸リチウム単結晶基
板と同等の結晶性を持つ、光学グレードのタンタル酸リ
チウム単結晶基板が開発されれば、これを基板として好
ましく使用することができる。
【0031】溶質がニオブ酸リチウム、タンタル酸リチ
ウム及びLiNbx Ta 1-x 3 からなる群より選ばれ
た1種以上の溶質である場合には、溶融媒体をLiVO
3 とLiBO2 とからなる群より選ばれた1種以上の溶
融媒体とすることが好ましい。この溶質と溶融媒体との
組み合わせを採用した場合には、溶融体の仕込み組成
は、溶質10mol%─溶媒90mol%〜溶質60m
ol%─溶媒40mol%とすることが好ましい。
【0032】溶質の割合が10mol%よりも小さい場
合には、例えば図6に示すように、溶質─溶融媒体の擬
二元系の相図において、液相線の傾きが急になりすぎ、
膜成長による溶融体の濃度変化が大きくなり、成膜条件
を安定して保つのが困難になる。溶質の割合が60mo
l%よりも大きい場合には、飽和温度が高くなるため、
成膜温度が高くなりすぎて結晶性の良い単結晶膜を作製
するのが困難になる。
【0033】本発明の一つの態様では、電気光学単結晶
基板2の少なくとも加工面2aを、溶質と溶融媒体とを
含む固液平衡状態の溶融体4に対して接触させることに
より、この加工面2aの結晶性を改質し、次いで溶融体
4の液相1を過冷却状態にすることによって、結晶性が
改質された加工面7a側に電気光学単結晶膜を形成す
る。
【0034】この態様においては、好ましくは、まず、
溶質と溶融媒体とを、ルツボ3内に仕込んで混合する。
この溶融体の飽和温度は、溶融体における溶質の濃度、
即ち、仕込み組成に対応して、一定値に定まる。この飽
和温度は、例えば図6に示すような液相線から算出する
ことができる。
【0035】まず、この溶融体の温度を、飽和温度より
も高温で保持し、溶質と溶融媒体とを均一に溶融させ
る。次いで、溶融体の温度を、飽和温度よりも低い固相
析出温度まで冷却する。この状態では、溶融体は、最初
は過冷却状態となるが、この温度で十分に長い時間保持
すると、図1に模式的に示すように、溶融体から固相5
が析出し、溶融体が、液相1と固相5とに分離する。こ
の固相5は、主としてルツボ3の壁面に沿って析出す
る。
【0036】この時点で、前記したように、本発明に従
って、電気光学単結晶基板の加工面を液相1に接触さ
せ、改質する。次いで、更に溶融体4の温度を下げて液
相1を過冷却状態にする。過冷却状態の液相1に対し
て、基板2を接触させ、単結晶膜をエピタキシャル成長
させる。
【0037】本態様においては、固相と液相が安定的に
共存している状態(図1の状態)を出発点とし、この状
態から温度を下げることによって、液相を過冷却状態と
している。このように、固相5と液相1とが共存してい
る状態では、系全体の飽和温度を越えない限り、液相1
における溶質の濃度は、固相析出温度における飽和濃度
に保たれる。
【0038】例えば、溶融体4における溶質の濃度が低
下したときには、固相析出温度において、固相5の量が
その分減少し、溶質の濃度が増加したときには、固相5
の量がその分増加する。従って、液相1の温度と濃度と
は、常に一定に保持される。そして、成膜温度も一定値
に設定するので、固相析出温度と成膜温度との差(過冷
却度)も一定に保持され、過冷却状態が正確に制御され
る。
【0039】本態様によれば、前記したように、一定品
質の単結晶膜を再現性良く作成できるというだけでな
く、単結晶膜の結晶性自体が一層顕著に向上する。この
理由は明らかではないが、おそらく、以下の理由による
と思われる。
【0040】従来の液相エピタキシャル法では、溶融体
に基板を接触させるときには、溶融体全体が均一な液相
である。従って、基板が溶融体に接触した瞬間に、基板
の表面において、液相全体の中で初めて固相の析出が起
こる。このため、単結晶膜の成長が開始するためには、
比較的大きな核形成エネルギーが必要であると推定でき
る。従って基板と膜との界面において膜の成長が開始さ
れる時に、核形成エネルギーが大きいために、この界面
において膜の結晶性が乱れ、その上に析出する膜の結晶
性が、この結晶性の乱れを反映するものと思われる。
【0041】一方、本態様においては、図1に示すよう
に、電気光学単結晶基板2が溶融体4に接触する前に、
あらかじめ溶融体4中に固相5が共存している。この状
態では、もともと固相5と液相4の界面では、微視的に
見れば溶融と析出とが起こっている。従って、あらたに
基板2を溶融体4に接触させても、スムーズに膜成長が
開始され、結晶性に優れた単結晶膜が作製できると考え
られる。
【0042】更に、具体的な実験結果について述べる。 (実験1)図1及び図2を使用して説明した方法を実施
した。20mol%LiNbO3(溶質)─80mol
%LiVO3 (溶融媒体)からなる溶融体を使用した。
この溶融体の飽和温度は、およそ955°Cであった。
この溶融体を1000°C〜1300°Cで保持して、
完全に均一に溶解させ、次いで、900°Cまで冷却
し、24時間以上保持した。この間に、過飽和分のLi
NbO3 は、固相5として析出し、液相部分1は完全な
飽和状態になった。
【0043】この溶融体の温度を900°Cとし、Zカ
ットした厚さ1mmの光学グレードのニオブ酸リチウム
単結晶基板2を、液相1中に浸漬した。次いで、ニオブ
酸リチウム単結晶基板7を引き上げ、その加工面7aの
X線ロッキングカーブの半値幅を測定した。
【0044】X線ロッキングカーブの半値幅の測定は、
二結晶法により、(0012)面の反射を用いて行った。
入射X線としてはCuKα1を使用し、モノクロメータ
としては、GaAs単結晶の(422)面を用いた。本
発明者が使用した光学グレードのニオブ酸リチウム単結
晶基板のX線ロッキングカーブの半値幅は、いずれも
6.8〜6.9〔arc sec 〕であった。
【0045】浸漬時間と、基板の加工面近傍のX線ロッ
キングカーブの半値幅との関係を、表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1からわかるように、液相1へのニオブ
酸リチウム単結晶基板2の浸漬を実施しなかった場合に
は、前記半値幅が6.9arc secであるが、これ
を固液平衡状態の液相1内へと浸漬して処理すると、前
記半値幅が顕著に減少しており、結晶性が改善している
ことがわかる。
【0048】特に、基板2の加工面2aと、液相との接
触時間は、1分間以上とすることが好ましく、5分間以
上とすることが更に好ましい。また、5分間を越える範
囲で、この浸漬時間を増加させても、前記半値幅の減少
は見られない。従って、実用的には、20分間以内とす
ることが好ましい。
【0049】(実験2)図3及び図4を使用して説明し
た方法によって、基板を改質した。20mol%LiN
bO3 ─80mol%LiVO3 からなる溶融体を使用
した。この溶融体の飽和温度は、およそ955°Cであ
った。この溶融体を1000°C〜1300°Cで保持
して、完全に均一に溶解させ、次いで、960°Cまで
冷却し、24時間以上保持し、充分に安定させた。
【0050】Zカットした厚さ1mmの光学グレードの
ニオブ酸リチウム単結晶基板2を、液相6中に浸漬し
た。次いで、ニオブ酸リチウム単結晶基板7を引き上
げ、その加工面7a近傍のX線ロッキングカーブの半値
幅を測定した。浸漬時間と、基板の加工面近傍のX線ロ
ッキングカーブの半値幅との関係を、表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2からわかるように、未飽和の溶融体6
へのニオブ酸リチウム単結晶基板2の浸漬を実施しなか
った場合には、前記半値幅が6.9arc secであ
るが、これを未飽和の溶融体6内へと浸漬して処理する
と、前記半値幅が顕著に減少しており、結晶性が改善し
ていることがわかる。
【0053】特に、基板2の加工面2aと、液相との接
触時間は、1分間以上とすることが好ましく、5分間以
上とすることが更に好ましい。また、5分間を越える範
囲で、この浸漬時間を増加させても、前記半値幅の減少
は見られない。従って、実用的には、20分間以内とす
ることが好ましい。
【0054】(実験3)図3及び図4を使用して説明し
た方法を使用して、電気光学単結晶基板に単結晶膜を形
成し、その結晶性を比較した。
【0055】20mol%LiNbO3 ─80mol%
LiVO3 からなる溶融体を使用した。この溶融体を1
000°C〜1300°Cで保持して、完全に均一に溶
解させ、次いで、960°Cまで冷却し、24時間以上
保持し、充分に安定させた。
【0056】Zカットした厚さ1mmの光学グレードの
ニオブ酸リチウム単結晶基板2を、白金製のホルダーに
よって、ーZ面が下になるように水平に保持し、20r
pmで回転させながら、降下速度1mm/分で溶融体の
液面上約5mmまで降下させ、単結晶基板2と溶融体6
の温度とが平衡となるように、単結晶基板2を充分に予
熱した。
【0057】次いで、単結晶基板2を5mm/分の降下
速度で下げ、基板2の加工面2aを、溶融体6の液表面
に接触させ、10分間保持した。次いで、溶融体6の温
度を950°Cまで下げ、溶融体を過冷却状態にし、ニ
オブ酸リチウム単結晶基板7の、改質された加工面7a
に、ニオブ酸リチウム単結晶膜をホモエピタキシャル成
長させた。
【0058】成膜終了後、単結晶基板を、100mm/
分の上昇速度で溶融体から引き離し、次いで単結晶基板
を800rpmで30秒間回転させて、基板に残った溶
融体を振り切った。その後基板を室温までゆっくり冷却
し、基板表面に残った溶融体を水洗して除去した。
【0059】この成膜工程を、表3に示す回数、繰り返
して実施した。各成膜回数ごとに、ニオブ酸リチウム単
結晶膜のX線ロッキングカーブの半値幅と、膜成長速度
と、溶融体の飽和温度とを、それぞれ測定した。
【0060】
【表3】
【0061】表3からわかるように、各成膜工程ごと
に、960°Cで一旦未飽和の溶融体6へと基板2から
溶質を溶出させ、950°Cで過冷却状態の溶融体か
ら、改質された基板7へと成膜している。しかも、96
0°Cで一旦未飽和の溶融体6へと基板2を接触させる
ことで、基板2の改質をおこなっている。従って、ニオ
ブ酸リチウム単結晶基板よりも小さい前記半値幅を有す
るニオブ酸リチウム単結晶膜を形成できると共に、成膜
回数が増加しても、ニオブ酸リチウム単結晶膜の前記半
値幅が劣化しない。
【0062】(実験4)20mol%LiNbO3 ─8
0mol%LiVO3 からなる溶融体を使用した。この
溶融体を1000°C〜1300°Cで保持して、完全
に均一に溶解させ、次いで、960°Cまで冷却し、2
4時間以上保持し、充分に安定させた。
【0063】Zカットした厚さ1mmの光学グレードの
ニオブ酸リチウム単結晶基板2を、白金製のホルダーに
よって、ーZ面が下になるように水平に保持し、20r
pmで回転させながら、降下速度1mm/分で溶融体の
液面上約5mmまで降下させ、単結晶基板2と溶融体6
の温度とが平衡となるように、単結晶基板2を充分に予
熱した。
【0064】次いで、溶融体6の温度を950°Cまで
下げ、溶融体を過冷却状態にした。次いで、単結晶基板
2を5mm/分の降下速度で下げ、基板2の加工面2a
を、溶融体6の液表面に接触させ、ニオブ酸リチウム単
結晶膜をエピタキシャル成長させた。
【0065】成膜終了後、単結晶基板を、100mm/
分の上昇速度で溶融体から引き離し、次いで単結晶基板
を800rpmで30秒間回転させて、基板に残った溶
融体を振り切った。その後基板を室温までゆっくり冷却
し、基板表面に残った溶融体を水洗して除去した。
【0066】この成膜工程を、表4に示す回数、繰り返
して実施した。各成膜回数ごとに、ニオブ酸リチウム単
結晶膜のX線ロッキングカーブの半値幅と、膜成長速度
と、溶融体の飽和温度とを、それぞれ測定した。
【0067】
【表4】
【0068】表4からわかるように、成膜回数が1回目
の場合でも、前記した加工面の改質作用がないため、ニ
オブ酸リチウム単結晶膜の前記半値幅が、表3の場合に
比べて相対的に大きい。しかも、成膜回数が増加する
と、膜成長速度が顕著に減少し、これに伴い、単結晶膜
のX線ロッキングカーブの半値幅が一層顕著に劣化して
いる。ただし、成膜に必要な溶質の重量は少ないので、
こうした特性の低下は、過冷却状態の不安定さに起因す
るものと考えられる。
【0069】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、引
き上げ法等によって製造された電気光学単結晶基板を改
質し、その結晶性を向上させることができる。また、本
発明によれば、こうした電気光学単結晶基板の結晶性を
向上させることにより、この基板の上に、結晶性の良い
単結晶膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固液平衡状態となった溶融体4の液相1に対し
て、電気光学単結晶基板2の加工面を接触させている状
態を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)は、電気光学単結晶基板2の加工面2a
に対して歪み等が導入された状態を説明するための模式
的断面図であり、(b)は、電気光学単結晶基板7の加
工面7aが改質された状態について説明するための模式
的断面図である。
【図3】未飽和状態の溶融体6に対して、電気光学単結
晶基板2の加工面を接触させている状態を模式的に示す
断面図である。
【図4】(a)は、電気光学単結晶基板8の加工面8a
が、未飽和状態の溶融体6との接触によって改質された
状態について説明するための模式的断面図であり、
(b)は、電気光学単結晶基板8の加工面8aに膜10
が形成された状態を模式的に示す断面図である。
【図5】液相エピタキシャル法における溶融体の温度ス
ケジュールを模式的に示すグラフである。
【図6】LiNbO3 ─LiVO3 擬二元系の溶解度曲
線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 飽和状態の液相 2 電気光学単結晶基板 2
a 加工面 3 ルツボ 4 固液平衡状態の溶融
体 5 固相 6 未飽和状態の溶融体 7 飽
和状態の液相1との接触によって改質された電気光学単
結晶基板 8 未飽和状態の溶融体6との接触によっ
て改質された電気光学単結晶基板 9 電気光学品
10 電気光学単結晶膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−33034(JP,A) 特開 平3−136322(JP,A) 特開 平5−47684(JP,A) 特開 昭49−64576(JP,A) 特開 平3−69586(JP,A) 特開 平5−319992(JP,A) 特開 平6−64996(JP,A) 特開 平6−345594(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 G02B 1/02 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニオブ酸リチウム単結晶基板の少なくとも
    加工面を、溶質と溶融媒体とを含む平衡状態の溶融体に
    対して接触させることにより、この加工面の結晶性を改
    質することを特徴とする、ニオブ酸リチウム単結晶基板
    の処理方法。
  2. 【請求項2】前記溶融体が固液平衡状態であることを特
    徴とする、請求項1記載の電気光学単結晶基板の処理方
    法。
  3. 【請求項3】前記溶融体が未飽和状態の液相であること
    を特徴とする、請求項1記載の電気光学単結晶基板の処
    理方法。
  4. 【請求項4】電気光学単結晶基板と電気光学単結晶膜と
    を有する電気光学品を製造する方法であって、電気光学
    単結晶基板の少なくとも加工面を、溶質と溶融媒体とを
    含む平衡状態の溶融体に対して接触させることにより、
    この加工面の結晶性を改質し、次いで前記溶融体の液相
    を過冷却状態にすることによって前記加工面側に前記電
    気光学単結晶膜を形成し、単結晶膜のX線ロッキングカ
    ーブの半値幅が、光学グレードの単結晶基板のそれより
    も小さい、ことを特徴とする、電気光学品の製造方法。
JP05717294A 1994-03-28 1994-03-28 ニオブ酸リチウム単結晶基板の処理方法及び電気光学品の製造方法 Expired - Fee Related JP3479112B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05717294A JP3479112B2 (ja) 1994-03-28 1994-03-28 ニオブ酸リチウム単結晶基板の処理方法及び電気光学品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05717294A JP3479112B2 (ja) 1994-03-28 1994-03-28 ニオブ酸リチウム単結晶基板の処理方法及び電気光学品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07267783A JPH07267783A (ja) 1995-10-17
JP3479112B2 true JP3479112B2 (ja) 2003-12-15

Family

ID=13048132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05717294A Expired - Fee Related JP3479112B2 (ja) 1994-03-28 1994-03-28 ニオブ酸リチウム単結晶基板の処理方法及び電気光学品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3479112B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07267783A (ja) 1995-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3479112B2 (ja) ニオブ酸リチウム単結晶基板の処理方法及び電気光学品の製造方法
JP3479111B2 (ja) 電気光学品
JPH07311370A (ja) 電気光学品及びその製造方法
JP3447796B2 (ja) 電気光学品の製造方法
EP0547061B1 (en) M1-xNxTiAs1-aPaO5 WAVEGUIDES GROWN BY LIQUID PHASE EPITAXY
Jackson et al. Periodic regrowth during crystal growth
EP0707096B1 (en) Articles comprising a substrate made of single crystal
US4302280A (en) Growing gadolinium gallium garnet with calcium ions
JPH101391A (ja) 強誘電体光学単結晶基板品の製造方法
JP3348129B2 (ja) 電気光学品の製造方法
Maciolek et al. The growth of low dislocation density Sr1− x, Bax Nb2O6 crystals
JP4253220B2 (ja) 磁性ガーネット単結晶膜の製造方法
JP2781341B2 (ja) 酸化物単結晶膜の製造方法
JP3462258B2 (ja) 電気光学品の製造方法
JP2677205B2 (ja) β−BaB2 O4 単結晶の育成方法
JPH10152393A (ja) バルク結晶の成長方法及びバルク結晶成長用種結晶
JPH08278419A (ja) ファイバー状酸化物光学単結晶およびその製造方法
JP3010881B2 (ja) 単結晶育成方法
JPS61227991A (ja) コランダム単結剤の製造方法
JPS5827238B2 (ja) 単結晶の製造方法
JP3062603B1 (ja) 単結晶部材の作製方法
JP2922039B2 (ja) 単結晶の成長方法
JP4253221B2 (ja) 磁性ガーネット単結晶膜の製造方法
JP3419208B2 (ja) 単結晶製造方法
JPH0664996A (ja) ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030902

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees