JP3487748B2 - 医薬品容器・医療用器具の封止器具及びキャップ付き栓体 - Google Patents

医薬品容器・医療用器具の封止器具及びキャップ付き栓体

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JP3487748B2
JP3487748B2 JP33520397A JP33520397A JP3487748B2 JP 3487748 B2 JP3487748 B2 JP 3487748B2 JP 33520397 A JP33520397 A JP 33520397A JP 33520397 A JP33520397 A JP 33520397A JP 3487748 B2 JP3487748 B2 JP 3487748B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬品容器、医療用
器具(以下、単に「容器」と総称する場合もある)の開
口部を簡単な作業工程で密封性高く封止できるキャップ
付き栓体に関する。また本発明は、前記容器とキャップ
付き栓体の組合せからなる封止器具であって、医薬品等
を容器内に充填し製剤する工程が簡便であり経済性の高
い封止器具に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品容器の封止に関しては日本薬局方
に、環境変化や運搬時の振動その他の外的要因によっ
て、その密封状態が変化しない封止器具の使用が定めら
れており、具体的にはゴム栓又はゴム板で容器開口部を
封止し、更に外側からアルミニウム板を包み被せてアル
ミキャップを施している。
【0003】近年、上記アルミニウム板に変えて合成樹
脂、又は可撓性を有する素材を保護助材として用いる技
術が提案され実用化が図られている。例えば特開昭56
−64961号公報、実開昭63−180556号公
報、特開平6−312758号公報、特開平7−165
252号公報(キャップの内面に栓を嵌着するようにし
たバイアル容器)、特開平7−330007号公報(断
面楕円形状又は三角形状の脚付きゴム栓体の外周部が反
転可能なスカートを形成し、完全打栓後には該スカート
を開口部外周に被せ栓体を固着する)、特開平7−33
0008号公報、特開平8−34466号公報、特開平
8−276952号公報等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した公報各号に提
案される技術は、いずれも封止器具としての密封性等は
充分であるが、構造が複雑であるため、製造工程が長く
コストが高くつくという経済上の問題がある。また、従
来の封止器具を用いた製剤工程も簡便なものであるとは
言い難い。本発明の課題は、簡単な構造で封止具自体の
製造コストが低減されたキャップ付き栓体の提供、及び
該キャップ付き栓体と容器の組合せからなる封止具であ
って、真空蒸発、凍結乾燥等及び完全打栓工程が簡単に
行えることにより製剤コストも低減できて、総合的に薬
品価格を低減できる医薬品用容器又は医療器具の封止具
の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段
として本発明は、 [1]1)天板と該天板下面に突出する円筒状の栓脚からな
り、該栓脚の下端から天板側に向かう切り欠き及び該栓
脚外周面に突起を有し、前記突起が被封止体の開口部上
縁に係止して半打栓状態を保持するときに前記切り欠き
の前記開口部上縁より上になる部分が前記開口部内部と
外部とを連通する通気路を形成できるようにされた栓
体、及び2)天面及び該天面周縁から下垂する筒状のスカ
ートを有し完全打栓状態において前記栓体及び前記開口
部を内包して前記被封止体外周に密着係止するようにさ
れた合成樹脂製のキャップ、からなり、前記栓体は前記
天板の少なくとも上面全面において前記キャップ内面と
一体化しており、前記一体化の強度は人間の手で当該キ
ャップ付き栓体を開口部から引き出しても栓体とキャッ
プが分離しないような接着力を有する強度であることを
特徴とする医薬品容器・医療用器具のキャップ付き栓
体、 [2]前記一体化は前記天板表面とキャップ内面の間に合
成樹脂製フィルム層を設けて融着一体化されたものであ
ることを特徴とする上記[1] 記載のキャップ付き栓体、 [3]前記一体化は前記キャップ内面に前記栓体の前記天
板を嵌着したことによることを特徴とする上記[1] 記載
のキャップ付き栓体、 [4]前記一体化は接合によることを特徴とする上記[1]
記載のキャップ付き栓体、 [5]前記栓体がイソプレンゴム、イソプレン−イソブチ
レン共重合体、イソプレン−イソブチレン共重合体のハ
ロゲン化物、イソプレン−イソブチレンと第三成分との
共重合ゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン第三成分との共重合体、
天然ゴム、ウレタンゴム、熱可塑性エラストマーから選
ばれる1以上を主成分とする組成物からなることを特徴
とする上記[1] ないし[4] のいずれかに記載のキャップ
付き栓体、 [6]前記キャップがASTM−D2117による融点が
100〜500℃の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成
物からなることを特徴とする上記[1] ないし[5] のいず
れかに記載のキャップ付き栓体、 [7]前記栓脚の切り欠きの最大深さをK、該栓脚の長さ
をL、該栓脚下端からスカート下端及び外周面突起の位
置をそれぞれm,nとし、切り欠きの半打栓状態で通路
を形成する部分の長さをJとすると、上記J,K,L,
m及びnが、K=n+J 及び L>K>m>n(但し
K≒mであってよい)の関係を満足することを特徴とす
る上記[1] ないし[6] のいずれかに記載のキャップ付き
栓体、及び [8]前記Lが7〜22mm、前記Kが4〜11mmであ
り、前記nが3〜10mmであることを特徴とする上記
[7] 記載のキャップ付き栓体を提供する。
【0006】 さらに本発明は、 [9]筒状の開口部を有する医薬品容器又は医療用器具と
前記開口部を封止するキャップ付き栓体からなる封止具
であって、前記キャップ付き栓体は1)天板と該天板下面
に突出する円筒状の栓脚からなり、該栓脚の下端から天
板側に向かう切り欠き及び該栓脚外周面に突起を有し、
前記突起が被封止体の開口部上縁に係止して半打栓状態
を保持するときに前記切り欠きの前記開口部上縁より上
になる部分が前記開口部内部と外部とを連通する通気路
を形成できるようにされた栓体、及び2)天面及び該天面
周縁から下垂する筒状のスカートを有してなり完全打栓
状態において前記栓体及び前記開口部を内包して覆うよ
うにされた合成樹脂製のキャップ、からなり、前記栓体
は前記天板の少なくとも上面全面において前記キャップ
内面と一体化したものであり、前記一体化の強度は人間
の手で当該キャップ付き栓体を開口部から引き出しても
栓体とキャップが分離しないような接着力を有する強度
であり、完全打栓により前記栓脚及び天板下面が前記開
口部内面及び上縁に密着して前記開口部を密封すると同
時に前記スカートが前記開口部の外周面に密着係止でき
るようにしたことを特徴とする医薬品容器又は医療用器
具の封止具、 [10] 前記開口部上縁内周に環状突起を設け、かつ前記
栓脚と前記天板の境界部分の該栓脚基部外周に環状切り
欠きを設けたことにより、完全打栓状態において該環状
突起と該環状切り欠きが嵌合密着係止できるようにした
ことを特徴とする上記[9] 記載の封止器具、 [11] 前記スカートが下端部内周に断面鉤爪状突起を有
し、完全打栓状態において該鉤爪状突起が前記開口部外
周の鍔状突起下面に係止することにより密着係止できる
ようにしたことを特徴とする上記[9] 又は[10]記載の封
止器具、及び [12] 前記スカートが内周面に環状突
起を有し、完全打栓状態において該環状突起が前記開口
部外周の環状凹溝に嵌合することにより密着係止できる
ようにしたことを特徴とする上記[9] 又は[10]記載の封
止器具、を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の特徴を図1及び図2によ
り説明する。図1は本発明の一具体例の概略断面図であ
り、医薬品2を充填した容器3の開口部4をキャップ付
き栓体1で封止した状態を示している。本発明の特徴は
切り欠き10が設けられた栓脚9を有する栓体7の天板
8の少なくとも上面全面と、キャップ14の内面が密着
した状態で一体化していることである。図1の例では天
板8表面に積層した合成樹脂フィルム層18と合成樹脂
製のキャップ14の天面15内面とが融着により一体化
している。さらに前記一体化は接着剤を用いた接合によ
ってもよいし、また天板表面全体がキャップ内面に密着
した状態で嵌着されることによってもよい。
【0008】図2は、図1の封止器具を用いた製剤工程
において、容器3内に充填した医薬品原料薬液を除菌状
態で濃縮乾燥又は凍結真空乾燥(以下、濃縮又は凍結真
空乾燥という)に付している状態を示す概略断面図であ
る。栓体7の栓脚9の先端側から突起11直下までを容
器3の開口部4内に嵌挿し、該突起11を開口部4の上
縁に係止することにより、栓体7を半打栓状態に保持し
ている。このとき、切り欠き10の最深部13は開口部
4上縁より上に位置するように設計してあるので、該切
り欠き10が容器内外を連通する通気路を形成し、原料
薬液からの蒸気2′は容器3内から外部へ排気される。
医薬品が完全に乾燥した後、当該濃縮・乾燥機槽又は凍
結真空乾燥機付槽内において直ちにキャップ付き栓体1
を打栓器等により白抜き矢印方向に押圧すると、栓脚9
全体が開口部4内に嵌挿され、図1に示されるように天
板8下面が開口部4上縁に密着して開口部4を完全に封
止するとともに、キャップ14は開口部4の外周(図2
では環状鍔5)に係合固着して開口部4と栓体7を内包
して両者を一体に固定できる。このように、本発明のキ
ャップ付き栓体又は封止具によれば、滅菌環境下の濃縮
・乾燥機槽又は凍結真空乾燥機付槽内において、乾燥後
直ちに簡単な操作(ワンアクション)で完全な密封封止
及び固定ができる。
【0009】本発明の栓体材料としてはこの種分野の公
知技術に従い、圧縮歪が小さく耐熱性を有する弾性体を
用いる。この理由は、本発明品には常温での高い密封性
のみならず、高圧蒸気殺菌(温度125〜140℃)又
は熱風殺菌(温度170〜180℃)等の過酷な環境に
も微細変形もなく耐えうる特性が要求されるためであ
る。例えば、特公昭60−57870号公報、特公昭6
1−40257号公報、特公平1−55666号公報、
特公平5−43740号公報、特公平5−72829号
公報、特公平6−22584号公報、特許第25777
62号公報、特開平8−112342号公報等の記載の
ものが挙げられる。より具体的には、イソプレンゴム、
イソプレン−イソブチレン共重合体、イソプレン−イソ
ブチレン共重合体のハロゲン化物、イソプレン−イソブ
チレンに第三成分との共重合ゴム、ブタジエンゴム、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−
第三成分共重合体、天然ゴム、ウレタンゴム、熱可塑性
エラストマーから選ばれる1以上を主成分とする組成物
が挙げられ、合成樹脂,1996年 5月号「プラスチックの
高剛性、高強度化」、日本ゴム協会誌,1996 年 4月号
「ゴムの架橋」、繊維学会誌FIBER, 1996年 2月号
「繊維素材」、工業材料, 1995年11月号「複合材料活用
事例集」、プラスチック, 1995年10月号「高機能性を発
現するフィラー活用技術」、同, 1994年11月号「製品高
度化のプラスチック配合剤」、強化プラスチック, 1993
年10月号「副資材」等の文献に記載される公知技術を利
用することができる。
【0010】本発明のキャップ材質としては、ASTM
−D2117による測定方法で融点が100〜500℃
の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物を用いる。こ
の理由は、射出成形により容易に成形できること、及び
前記した栓体表面にラミネートし易いからである。具体
的には、例えばポリアセタール(POM)、ポリアミド
(PA)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテル・
エーテルケトン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ
プロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリフェニレン
エーテル(PPE)または変性ポリフェニレンエーテ
ル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルペンテン
(PMP)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(P
E)、ポリブチレンフタレート、ポリサルフォン(P
S)、ポリエーテルサルフォン(PES)、超高分子量
ポリエチレン、環状オレフィン系化合物または架橋多環
式炭化水素を重合体成分とする共重合体等から選ばれる
1以上からなる合成樹脂またはその組成物が挙げられ
る。また、栓体を構成する熱可塑性エラストマーに有機
系補強剤又は無機系補強剤を配合した熱可塑性樹脂を用
いると、非常に高硬度で高強度のキャップとなる。
【0011】本発明の容器の材質は、ガラスやプラスチ
ック等、この種分野において公知のものを用いることが
できる。
【0012】図2のものを代表例として本発明を更に詳
しく説明する。栓脚7の下端先端を結ぶA−A′破線を
基準線とし、この基準線からの天面下面までの距離を栓
脚の長さLとし、また該基準線から切り欠きの最深部1
3までの距離をK,栓脚外周面の突起11の下面までの
距離をn、スカート14の下端までの距離をm、さらに
Kとnの差をJとすると、J,K,L,m及びnは、 K=n+J かつ L>K>m>n (但しK≒mであってよい) の関係を満足するように設計する。これにより、栓脚9
の先端側をある程度まで開口部4内に圧入した状態で栓
体1を開口部4上縁に安定に係止する(半打栓状態にす
る)ことができ、図示のJの部分が、容器内と外気を連
通する通気路を形成する。具体的には例えば開口部内径
が6〜25mmのものに適用する本発明の栓体において
は、Lを7〜22mm、Kを4〜11mm及びnを3〜
10mmにすることが、半打栓状態を安定に確保し、し
かもJ部分が気体の流路として充分な流路面積を確保す
る上で好ましい。
【0013】本発明において、栓脚9の切り欠き10の
数は1個又は2個以上のいずれでもよいが、密封性及び
半打栓状態での安定性を考慮すると通常は1個のみ設け
るか、又は栓脚の外周において対称の位置に2個設け
る。上記の切り欠き10及び突起11を設けない状態の
栓脚9全体を略円筒形状とみなすと、この略円筒形の外
径を、開口部4内径の102〜110%に設計すること
が、開口部4と栓体9の密着性の点で好ましい。また、
半打栓状態に係止するための突起11以外に、開口部4
の形状に対応して嵌合、係止できるような突起又は凹部
を栓脚9に設けることは非常に好ましい実施の態様であ
る。
【0014】本発明に係るキャップ1は、半打栓状態で
切欠き10が形成する通気路を遮ることのないスカート
16を有し、しかも完全打栓状態ではスカート16の下
端部分で開口部4外周に密着係止して、栓体7が開口部
4を封止する状態を安定に維持できるようにする。該係
止手段として具体的には、図1及び図2の例のように開
口部4の環状鍔5の外周にスカート16が密に固着する
ようにキャップの形状や材質を選択すること、スカート
下端の内周面に沿って断面鉤爪状突起を設けること、あ
るいはスカート内周面に嵌合係止用の環状突起を設ける
こと等が挙げられる。
【0015】本発明において、栓体の天板の少なくとも
上面全面とキャップ内面を一体化する場合、図2に示す
ように天板上面のみをキャップ内面(天面下面)と一体
化する、あるいは後述する図3の概略断面図に示すよう
に天板上面全面及び天板側面を連続してキャップ内面
(天面下面及びスカート内面)に一体化する、のどちら
であってもよい。その一体化の強度は、人間の手でキャ
ップ付き栓体を開口部から引き出しても、栓体とキャッ
プが分離しないような接着力を必要とする。具体的には
接着力(または融着力)で3〜3.5kgf/cmとす
ることが好ましい。この理由は上記範囲未満では封止器
具を使用中に2つに分離する恐れがあるためであり、ま
た上記範囲を越える接合強度は本発明の使用においては
要求されないからである。
【0016】本発明に用いる一体化手段としては融着、
嵌着及び接合(接着)が挙げられるが、栓体の天板の上
面又は天板の上面及び天板の周囲に合成樹脂フィルムを
積層しておいて、キャップ内面と融着することが特に好
ましい実施態様として挙げられる。フィルムの厚さは上
記の接着( 融着) 力が得られる厚さであればよく、通常
2mm程度までである。具体的には、上記したような栓
体材料栓体金型内に射出して成形する際に、栓体天板表
面に合成樹脂フィルムを公知技術に従い積層する。たキ
ャップ金型内に得られた積層栓体を固定しておき、ここ
に熱可塑性合成樹脂又はその組成物等のキャップ材料を
射出成形することにより該合成樹脂フィルム層を介して
栓体とキャップが一体化した本発明品が得られる。特に
好ましくは、栓体の天板表面にキャップ材質と同類の熱
可塑性樹脂又は樹脂組成物、あるいは栓体材質とキャッ
プ材質との中間的な特性を有するの熱可塑性合成樹脂
(組成物)からなるフィルムを積層することが挙げら
れ、各部分の成形、製造、融着等の工程が容易になり、
かつ所期の融着強度を容易に得られる。
【0017】なお、本発明の栓体において栓脚等の医薬
品と接触する可能性のある部分の表面に医薬品を汚染し
ない合成樹脂、例えばフッ素系合成樹脂またはポリエチ
レン等のフィルムを積層して栓体からの溶出物等による
医薬品の汚染を防止する公知技術(例えば特許第254
5540号、特許第259542号等に提案されてい
る)を本発明に適用することは特に好ましい実施の態様
である。
【0018】本発明の封止器具内の医薬品を使用(投与
等)する際には、キャップ付き栓体を手動で開口部から
外す。また本発明の封止器具を試薬等に適用すれば、使
用時には簡単に開口部からはずし、使用後に再びキャッ
プ付き栓体を開口部に手動で嵌挿して封止する。このよ
うに手動で簡単に開封及び再封止できることも本発明の
大きな利点である。
【0019】
【実施例】本発明は医薬品容器の開口部封止、あるいは
医療器具の開口部封止のいずれにも好適なものである
が、以下、代表として医薬品容器の開口部封止に係る実
施例により具体的に説明する。但し、本発明はこれに限
定されるものではない。 〔実施例1〕図1及び図2に示す本発明の封止具を作製
した。キャップ付き栓体1は栓体7の天板8の上面全面
とキャップ14の天面15の内面が合成樹脂フィルム層
18を介して融着一体化されている。栓体7には天板8
の下面に突出して略円筒形状の栓脚9が設けられ、栓脚
9の外径の最大値は天板8の外径より小さく、封止すべ
き開口部4の内径の104.5%にしてあるので、栓体
材質の弾性により開口部4を完璧に密封できる。天板8
の下面に接する栓脚9基部はテーパが形成され、天板8
下面との境界で凹部12となっている。栓脚9には最大
位置13までの深さがKの切り欠き及び突起11が設け
られている。本実施例の材質は、栓体7:エチレン−プ
ロピレン−エチリデンノルボルネン非共役エラストマー
(エチレン75重量%、ML1+4 100℃ 90)、キ
ャップ24:プロピレン−エチレン共重合体(エチレン
15.5重量%、MFR1.2g)、合成樹脂フィム層
19:超高分子量ポリエチレンである。各部分のサイズ
は、容器口径:12.3mm、栓脚の外径:13.0m
m、L:11.7mm、n:4.5mm、K:7.2m
m、m:6.8mmである。
【0020】実施例1の封止具を用いて製剤した。薬品
原料の薬液を処方に従い混合、調製して原料薬液とした
後減菌する。キャップ付き栓体1及び容器3を洗浄、滅
菌した後、滅菌済みの原料薬液(図示を省略)を容器3
内に充填し、図2のようにキャップ付栓体1を半打栓
し、次いで容器3を濃縮・乾燥機槽又は凍結真空乾燥機
付槽に移して濃縮、乾燥を除菌状態にて行う。このとき
切り欠き10の長さJの部分が原料薬液からの蒸気2′
を外部に排出する通気路となる。スカート下端17は図
2に示すようにこの流路を遮らない形状に設計されてい
る。
【0021】医薬品2が完全に乾燥した後に、同じ槽内
で打栓機によりキャップ付栓体1を完全に打栓する。本
実施例では、(L−m)の値が、環状鍔5の幅(垂直方
向長さ)にほぼ等しくしてあり、完全打栓すると図1の
ようにスカート下端17が環状鍔5の下端とほぼ同一線
上となる。すなわち、キャップ14が環状鍔5に密着し
て被さることにより、栓体7と容器3の両者を完全封止
状態で固定できる。この完全打栓はワンアクションで可
能であるため、同じ槽内でキャップ14まで被せた製品
にすることができる。この後、直ちに包装工程に移るこ
とができる。従来のキャップ締めを同じ槽内の別工程で
する方法より装置構成及び作業が簡単であるし、またキ
ャップ締めを真空槽外で行なう方法に比べ格段に衛生性
が高い。
【0022】〔実施例2〕図3に概略断面図を示す本発
明の封止具を作製した。キャップ付き栓体31は、栓体
27の天板28の上面及び外周面が合成樹脂フィルム層
19によりキャップ24の内面と強固に接合一体化して
いる。天板28の下面に突出する概略円筒形の栓脚29
の外径の最大値は、天板28の外径よりも小さく、栓脚
29の先端側も基部もほぼ同じ外径である。栓脚29の
先端側から天板28側に向かい最深部23までの深さK
の切り欠き30が設けられている。さらに、栓脚29を
天板28側を底面とする逆有底円筒とみなすと、半打栓
状態を維持するための突起31の直下からこの逆有底円
筒形の内面を連続して合成樹脂フィルム層21で被覆し
てある。これにより栓体材料中の汚染性物質が表面から
出て、容器内、医薬品等を汚染することを防止してあ
る。
【0023】本実施例2のキップ付き栓体31を用いた
製剤工程は実施例1と同様である。本実施例ではスカー
ト26の下端17の内周に断面鉤爪状突起20を有し、
完全打栓すると該断面鉤爪状突起20が開口部の外周に
設けられた対応する係止手段、例えば図1の容器3では
環状鍔5の下面(テーパ面)に食い込むことにより、栓
体27部分及びキャップ24と容器3の密着係止を確実
にすることができる。この完全打栓はワンアクションで
可能であるため、同じ槽内でキャップ14まで被せた製
品にすることができる。この後、直ちに包装工程に移る
ことができる。本実施例2の材質及び各部分のサイズは
実施例1のものとほぼ同じであり、合成樹脂フィルム層
21の材質はフッ素系樹脂である。
【0024】〔実施例3〕図4に概略断面図を示す本発
明の封止具を作製した。図4の(a) はキャップ付き栓体
51、(b) は内部に医薬品32を充填した容器33を示
す。キャップ付き栓体51は、合成樹脂フィルム層48
を介して栓体37の天板38の上面全面がキャップ44
の天面45内面と密着した状態で一体化している。栓体
37は天板38の下面に突出する略円筒形状の栓脚39
を有し、栓脚39の外径の最大値は天板38の外径より
小さい。また、本実施例3では天板38の下面に接する
栓脚基部の外径は略円筒形状とみなした栓脚39の外径
とほぼ同じである。栓脚39の先端側から天板38側に
向かう深い切欠き40が、最大位置43までの深さKで
設けられ、また栓脚39の外周には突起41が設けられ
ている。さらに、栓脚39を天板側を底面とする逆有底
円筒とみなすと、突起41の直下からこの有底円筒形の
内面を連続して合成樹脂フィルム層42で被覆し、栓体
37の材料中の汚染性物質が容器内、医薬品等を汚染す
ることを防止している。スカート46の下端47内面に
は環状突起50が設けられ、該環状突起50は容器33
の開口部34外周に設けた環状凹部36と嵌合係止でき
る形状である。
【0025】本実施例3の封止具を用いた製剤工程は、
実施例1,2とほぼ同様である。すなわち、滅菌された
容器33及びキャップ付き栓体51を予め用意してお
き、別途調製した原料薬液32を滅菌し、容器33内に
充填し、次にキャップ付き栓体51の栓脚39を開口部
34内に嵌入して、栓脚の突起41を開口部34の上縁
に係止させる。切欠き40の該突起下端位置から最大切
欠き位置43までの長さJに相当する部分が開口部34
より上に位置し、原料薬液32から蒸発する気体を容器
33外に流出させる通気路を形成する。このときK>m
>nであり、スカート46の下端47は通気路を妨げな
い。
【0026】濃縮又は真空凍結乾燥が終了した時点で同
じ乾燥槽内で除菌状態下、打栓器によりキャップ付き栓
体51を容器33内に完全に打栓すると、環状突起50
が環状凹部36に嵌合係止することにより、栓体37及
びキャップ44と容器33の密着係止を確実にしてい
る。ここで、容器33は比較的分厚い壁厚のものであ
り、開口部34の外周壁35の厚さは、キャップ44の
スカート46の厚さ相当分だけ薄く形成してある。従っ
て、完全打栓すると容器33とキャップ付き栓体51は
段差なく一本の円筒を形成することになる。本実施例の
容器及びキャップ付き栓体の組合せは、非常に少量の薬
品の製剤に適用しても、安定した半打栓状態を維持でき
る上に、小さい容器を真空槽内でそのままキャップでき
るので、工程上非常に有利、且つ衛生的である。
【0027】〔実施例4〕図5に概略図を示す本発明の
封止具を作製した。図5(a)は半打栓状態における部
分断面図であり、同(b)は(a)をB−B′で切断し
容器側から見た図である。本実施例4のキャップ付き栓
体71は、栓体57の天板58の上面全面がキャップ6
4内面と密着して一体化している状態ではあるが、合成
樹脂フィルム層は存在していない。両者は接着されてい
てもよいし、又は栓体57がキャップ64内に嵌着され
ていてもよい。また、栓脚59に設けた切り欠き60は
1個のみである。(b)に示すように栓脚59の横断面
は略U字形であり、突起61がその外周に数個設けられ
ている。m>nにしてあるため、半打栓状態で切り欠き
60が形成する蒸気52の通気路をスカート66、スカ
ート先端67が遮ることはない。濃縮又は真空凍結乾燥
等が終了した時点で、キャップ付き栓体71を完全に打
栓すると、スカート先端67の内周に設けた環状突起7
0が容器53の開口部54の外周の環状鍔55の下面に
嵌合係止し、開口部を密封し栓体57、キャップ64と
容器53を固着する。この完全打栓はワンアクションで
可能であるため、同じ槽内でキャップ14まで被せた製
品にすることができる。この後、直ちに包装工程に移る
ことができる。
【0028】なお、以上説明した各実施例で得られた本
発明に係る封止器具の密封性はいずれも良好であった。
【0029】
【発明の効果】本発明のキャップ付き栓体は、半打栓状
態で栓体を開口部に安定に保持することができるととも
に、完全打栓状態では開口部を完全に密封することがで
き、移動、運搬等による物理的な振動、気温の変動、環
境の変化の影響を遮断し、これらによる医薬品の変質を
防止することができる。また、栓脚表面をフッ素系樹脂
等で被覆したものは医薬品を汚染することなく長期間安
定に保存することができる。また、簡単な構造であり製
造コストも低減できる。本発明のキャップ付き栓体及び
容器からなる封止具は、小さい容器内に製剤する場合で
も濃縮乾燥又は真空凍結槽内で安定して製剤でき、しか
もこれ等の工程が終了すると同じ槽内で直ちに栓体及び
キャップを完全に打栓できる。すなわち、真空滅菌状態
下において簡単な操作(ワンアクション)で栓体のみな
らずキャップまで打栓して非常に衛生的に完全な密封封
止及び固定ができるので、生産工程の簡略化、衛生性の
向上を図れるとともに、プレフィルドタイプの製剤をよ
り安価に提供できる、産業上の利用価値の大きいもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の封止器具の医薬品製剤後の
完全打栓状態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例1の封止器具の医薬品製剤中の
半打栓状態を示す概略部分断面図である。
【図3】本発明の実施例2のキャップ付き栓体の概略断
面図である。
【図4】本発明の実施例3の封止器具の概略断面図であ
る。
【図5】本発明の実施例5の封止器具の栓体付きキャッ
プと容器の概略説明図である。
【符号の説明】
1,31,51及び71 キャップ付き栓体、 2
医薬品、 2′蒸気、3,33及び53 容器、
4,34及び54 開口部、5及び55 環状鍔、
6 環状突起、 7,27,37及び57 栓体、
8,28,38及び58 天板、 9,29,3
9及び59 栓脚、10,30,40及び60 切り欠
き、 11,31,41及び61 突起、12凹部、
13,23,43及び63 最
深部、14,24,44及び64 キャップ、 15,
25,45及び65 天面、16,26,46及び66
スカート、 17,47及び67 スカート先端、1
8,19及び48 合成樹脂フィルム層、 20 断
面鉤爪状突起、21及び42 合成樹脂フィルム層、
32 原料溶液、 52:蒸気、70 環状突起。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1)天板と該天板下面に突出する円筒状の
    栓脚からなり、該栓脚の下端から天板側に向かう切り欠
    き及び該栓脚外周面に突起を有し、前記突起が被封止体
    の開口部上縁に係止して半打栓状態を保持するときに前
    記切り欠きの前記開口部上縁より上になる部分が前記開
    口部内部と外部とを連通する通気路を形成できるように
    された栓体、及び2)天面及び該天面周縁から下垂する筒
    状のスカートを有し完全打栓状態において前記栓体及び
    前記開口部を内包して前記被封止体外周に密着係止する
    ようにされた合成樹脂製のキャップ、からなり、前記栓
    体は前記天板の少なくとも上面全面において前記キャッ
    プ内面と一体化しており、前記一体化の強度は人間の手
    で当該キャップ付き栓体を開口部から引き出しても栓体
    とキャップが分離しないような接着力を有する強度であ
    ることを特徴とする医薬品容器・医療用器具のキャップ
    付き栓体。
  2. 【請求項2】 前記一体化は前記天板表面とキャップ内
    面の間に合成樹脂製フィルム層を設けて融着一体化され
    たものであることを特徴とする請求項1記載のキャップ
    付き栓体。
  3. 【請求項3】 前記一体化は前記キャップ内面に前記栓
    体の前記天板を嵌着したことによることを特徴とする請
    求項1記載のキャップ付き栓体。
  4. 【請求項4】 前記一体化は接合によることを特徴とす
    る請求項1記載のキャップ付き栓体。
  5. 【請求項5】 前記栓体がイソプレンゴム、イソプレン
    −イソブチレン共重合体、イソプレン−イソブチレン共
    重合体のハロゲン化物、イソプレン−イソブチレンと第
    三成分との共重合ゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プ
    ロピレン共重合体、エチレン−プロピレン第三成分との
    共重合体、天然ゴム、ウレタンゴム、熱可塑性エラスト
    マーから選ばれる1以上を主成分とする組成物からなる
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに
    記載のキャップ付き栓体。
  6. 【請求項6】 前記キャップがASTM−D2117に
    よる融点が100〜500℃の熱可塑性樹脂又は熱可塑
    性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1ないし
    請求項5のいずれかに記載のキャップ付き栓体。
  7. 【請求項7】 前記栓脚の切り欠きの最大深さをK、該
    栓脚の長さをL、該栓脚下端からスカート下端及び外周
    面突起の位置をそれぞれm,nとし、切り欠きの半打栓
    状態で通路を形成する部分の長さをJとすると、上記
    J,K,L,m及びnが、 K=n+J 及び L>K>m>n(但しK≒mであっ
    てよい)の関係を満足することを特徴とする請求項1な
    いし請求項6のいずれかに記載のキャップ付き栓体。
  8. 【請求項8】 前記Lが7〜22mm、前記Kが4〜1
    1mmであり、前記nが3〜10mmであることを特徴
    とする請求項7記載のキャップ付き栓体。
  9. 【請求項9】 筒状の開口部を有する医薬品容器又は医
    療用器具と前記開口部を封止するキャップ付き栓体から
    なる封止具であって、前記キャップ付き栓体は1)天板と
    該天板下面に突出する円筒状の栓脚からなり、該栓脚の
    下端から天板側に向かう切り欠き及び該栓脚外周面に突
    起を有し、前記突起が被封止体の開口部上縁に係止して
    半打栓状態を保持するときに前記切り欠きの前記開口部
    上縁より上になる部分が前記開口部内部と外部とを連通
    する通気路を形成できるようにされた栓体、及び2)天面
    及び該天面周縁から下垂する筒状のスカートを有してな
    り完全打栓状態において前記栓体及び前記開口部を内包
    して覆うようにされた合成樹脂製のキャップ、からな
    り、前記栓体は前記天板の少なくとも上面全面において
    前記キャップ内面と一体化しており、前記一体化の強度
    は人間の手で当該キャップ付き栓体を開口部から引き出
    しても栓体とキャップが分離しないような接着力を有す
    る強度であり、完全打栓により前記栓脚及び天板下面が
    前記開口部内面及び上縁に密着して前記開口部を密封す
    ると同時に前記スカートが前記開口部の外周面に密着係
    止できるようにしたことを特徴とする医薬品容器又は医
    療用器具の封止具。
  10. 【請求項10】 前記開口部上縁内周に環状突起を設
    け、かつ前記栓脚と前記天板の境界部分の該栓脚基部外
    周に環状切り欠きを設けたことにより、完全打栓状態に
    おいて該環状突起と該環状切り欠きが嵌合密着係止でき
    るようにしたことを特徴とする請求項9記載の封止器
    具。
  11. 【請求項11】 前記スカートが下端部内周に断面鉤爪
    状突起を有し、完全打栓状態において該鉤爪状突起が前
    記開口部外周の鍔状突起下面に係止することにより密着
    係止できるようにしたことを特徴とする請求項9又は請
    求項10記載の封止器具。
  12. 【請求項12】 前記スカートが内周面に環状突起を有
    し、完全打栓状態において該環状突起が前記開口部外周
    の環状凹溝に嵌合することにより密着係止できるように
    したことを特徴とする請求項9又は請求項10記載の封
    止器具。
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