JP3490201B2 - MnNiBi合金磁性粉末 - Google Patents

MnNiBi合金磁性粉末

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は室温で容易に消去
されることのない情報記録用携帯カ−ド等に用いられる
MnNiBi合金磁性粉末に関し、さらに詳しくは、特
に、酸性雰囲気の腐食環境下において、安定で分解しに
くい前記のMnNiBi合金磁性粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】MnBi合金磁性粉末を記録素子として
使用する磁気記録媒体は、一旦記録すると室温では容易
に書き換えができないという特徴を有し、特に、デ−タ
が誤って消去されたり、故意に書き換えらるなどの事故
や犯罪が多発しているクレジットカ−ド、プリペイドカ
−ドなどにおいて、事故や不正使用を防止できるものと
して注目されている。(特公昭52−46801号、特
公昭54−19244号、特公昭54−33725号、
特公昭57−38962号、特公昭57−38963
号、特公昭59−31764号)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この種の磁
気記録媒体の記録素子として使用されるMnBi合金磁
性粉末は、腐食環境下において分解しやすいという欠点
を有し、磁気テ−プに使用される場合は、リ−ルに巻か
れた状態で、使用、保管されるため、磁性層が腐食ガス
等にさらされることが少なくあまり問題とならないが、
情報記録用携帯カ−ドに使用される場合は、磁性層が露
出し、人体に直接触れる頻度が高いため、人体から発す
る塩分、水分、炭酸ガス、アンモニア等により腐食され
やすく、腐食環境下における分解を未然に防止すること
が問題となる。
【0004】そこで、このようなMnBi合金磁性粉末
の腐食を防止するため、MnBi合金磁性粉末の腐食の
原因となる特定の化学成分をMnBi合金磁性粉末とと
もに使用する結合剤樹脂から除外したり、また腐食を助
長する水分や炭酸ガスなどが磁性層中に侵入するのを防
止したり、MnBi合金磁性粉末の粒子表面に保護層を
設けたりすることが行われているが、これらの方法で
は、未だ、充分に腐食環境下における分解を未然に防止
することができない。
【0005】この発明は、かかる現状に鑑み種々検討を
行った結果なされたもので、MnBi合金磁性粉末に第
3の元素としてNiを添加することにより、この種の合
金磁性粉末の腐食を充分に防止し、特に、酸性雰囲気の
腐食環境下において、安定で分解しにくいMnNiBi
合金磁性粉末を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明のMnNiBi
合金磁性粉末は、六方晶MnBi合金磁性粉末のMnの
位置にNiをMnとNiとの合計量に対して2〜10原
子%置換して存在するようにしている。
【0007】また、MnNiBi合金磁性粉末の平均粒
子径を0.5〜5μmとし、20℃における保磁力を40
00〜18000エルステッドとなるようにしている。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明のMnNiBi合金磁性
粉末は、六方晶MnBi合金磁性粉末のMnの位置にN
iをMnとNiとの合計量に対して2〜10原子%置換
して存在させているため、六方晶構造を乱すことなく、
Mnの位置にその一部が置換されて存在する第3の元素
としてのNiが、詳しいメカニズムについては不明であ
るが、電気化学的に結晶構造を安定化させる作用をし
て、腐食環境下における分解が未然に防止され、特に、
酸性雰囲気の腐食環境下において安定となり、分解が未
然に防止される。
【0009】このような六方晶MnBi合金磁性粉末の
Mnの位置に置換されて存在するNiの量は、MnとN
iとの合計量に対して2原子%より少ないと、酸性雰囲
気の腐食環境下における耐食性が充分に向上されず、1
0原子%より多くすると結晶構造が乱れ、磁気特性が著
しく低下して磁気記録媒体用として適さなくなるため、
2〜10原子%の範囲内にするのが好ましい。
【0010】また、この種の六方晶MnBi合金磁性粉
末のMnの位置にNiを置換して存在させたMnNiB
i合金磁性粉末は、平均粒子径が0.5μmより小さい
と、微細な粉末粒子の割合が増大するため耐食性の低下
が増大し、また、5μmより大きいと、磁気記録媒体の
表面平滑性の低下による出力の低下が著しいため、平均
粒子径は0.5〜5μmの範囲内であることが好ましく、
さらに、保磁力は4000エルステッドより小さいと、
不正使用防止の効果が小さく、18000エルステッド
より大きいと、記録電流特性を確保することが困難とな
るため、保磁力は4000〜18000エルステッドの
範囲内であることが好ましい。
【0011】このようなMnNiBi合金磁性粉末は、
図1の液体窒素温度から室温における保磁力の温度依存
性のグラフに示すように、MnBi合金磁性粉末と同じ
性質を有し、室温では保磁力が10000エルステッド
と高いが、温度が下がると低下して、−100℃以下で
は1000エルステッド以下と低くなり、この性質を利
用することにより、低温では容易に消磁でき、消磁後
は、室温で容易に着磁できる。
【0012】また、図2はMnNiBi合金磁性粉末を
用いた磁気記録媒体の初期磁化曲線を示したもので、こ
の図からも明らかなように、MnBi合金磁性粉末と同
じ性質を有し、2000エルステッド程度の低い磁界で
容易に磁化することができる。また、この磁気記録媒体
は、一度磁化すると14000エルステッド程度の高い
保磁力を示すようになり、その後のデ−タの消去や書き
換えがほとんど不可能になる。
【0013】しかして、このMnNiBi合金磁性粉末
を用いた磁気記録媒体は、予め−100℃以下で消去し
てから室温で通常の方法で記録し、次いで安定化処理を
施すことにより記録信号を容易に消去できなくするとい
う記録再生方法に使用され、再記録が極めて困難なた
め、故意の改ざんがほとんど不可能となり、最近社会問
題となっているデ−タ改ざんによるカ−ドの不正使用な
どを防止することができる。
【0014】このようなMnNiBi合金磁性粉末は、
予めMnとNiをア−ク炉、高周波溶解炉等により合金
インゴットとし、これとBiとを粉末冶金法により合金
とし、粉砕することによりつくられ、この他、Mn,N
i,Biの三元合金をア−ク炉、高周波溶解炉、溶融急
冷法等により作製し、これを粉砕することによってもつ
くられる。
【0015】たとえば、粉末冶金法でMnNiBiイン
ゴットを作製するときは、まず、ア−ク炉を用いてMn
とNiの合金を作製する。このときMnは予め酸等によ
り表面をエッチングし、表面の酸化物を除去しておくの
が好ましい。また、溶解時の電流値としては、その溶解
量にもよるが、100Aから300Aが好ましく、充分
に溶解させることが必要であるが電流値が高すぎるとM
nの蒸気圧が上昇し、組成が仕込み値に比べて変化する
ので好ましくない。
【0016】このようにして得られたMnNi合金は、
次いで、酸化を防ぎながら機械的に100〜300メッ
シュにまで粉砕し、これと同じく100〜300メッシ
ュのBi粉とを不活性雰囲気中にて充分混合する。Mn
NiとBiの比率は、モル比で50:50から55:4
5であることが好ましく、原料とするBi粉としては、
あらかじめ粉砕してあるものを用いてもよいし、フレ−
クあるいはショット等の塊を粉砕により微粉化して用い
てもよい。また、焼結反応により合成する場合には、原
料の表面性に大きく反応が左右されるため、原料表面の
酸化被膜を除去しておくことが好ましく、このためあら
かじめ酸等により表面をエッチングしたり、溶剤により
脱脂するなど、粉末冶金法で行われている表面処理を施
しておくことが好ましい。なお、混合は自動乳鉢、ボ−
ルミル等任意の手段により行うことができる。
【0017】混合が終わった原料は、加圧プレスを用い
て成型体とされ、これにより焼結反応が促進され、均一
なMnNiBiインゴットが作製される。このときの加
圧としては、1〜8t/cm2 とするのが好ましく、加
圧力が低ければMnNiBiインゴットの均一性が得ら
れず、高すぎる場合には、加圧装置が高価となる割りに
MnNiBiインゴットの特性が向上しない。
【0018】得られた成型体は、ガラス容器あるいは金
属容器に密封され、容器内は真空あるいは不活性ガス雰
囲気として熱処理中の酸化が防止されて、電気炉に入れ
られ、260〜270℃で2〜15日間熱処理が行われ
る。この熱処理の温度が低いと熱処理に時間がかかり、
また、得られるMnNiBiインゴットの磁化量も低く
なる。反対に熱処理温度が高すぎると、Biが融解し、
均一なMnNiBiインゴットが得られなくなる。
【0019】このようにして作製されたMnNiBiイ
ンゴットは、取り出されて自動乳鉢により不活性ガス雰
囲気中で粗粉砕され、粒子サイズを100〜500μm
とした後、ボ−ルミル、遊星ボ−ルミル等を用いた湿式
粉砕、あるいはジエットミル等の乾式粉砕により微粒子
化される。元々、MnNiBiは六方晶構造を有するた
め、薄片状に劈開する性質を示し、このため高いエネル
ギ−をかけて粉砕する必要はない。湿式粉砕の場合の液
体としては、トルエン等の水分を含まない溶剤を用い、
乾式粉砕の場合は不活性ガス雰囲気にして行われる。粉
砕後の平均粒子サイズは約0.05〜3μmであり、粉砕
条件によりコントロ−ルできる。粒子サイズが0.05μ
mより小さいと、最終的に得られる磁性粉末が充分な磁
気特性を示さなくなり、3μmを越えると、最終的に得
られる磁性粉末を用いた磁気記録媒体の表面平滑性が低
下し、充分な記録が行えない。粉砕後、酸素を微量含む
不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、表面に安定
な酸化被膜を形成することが好ましい。
【0020】以上の工程により飽和磁化が20emu/
g以上あり、保磁力が3000〜10000エルステッ
ドのMnNiBi磁性粉末が得られる。
【0021】
【実施例】次に、この発明の実施例について説明する。 実施例1 Mnフレ−ク(フルウチ化学社製;純度99.9%)、N
iロッド(フルウチ化学社製;純度99.9%)を用い、
このMnフレ−クを4.85重量部、Niロッドを0.11
重量部秤量して、ア−ク溶解炉(大亜真空技研社製;A
CM−01)を用いて溶解し、均一な固溶体を作製し
た。このようにして得られたMnNi合金を酸化を防ぎ
ながら機械的に粉砕し、100メッシュのふるい掛けを
した。
【0022】次いで、Biショット(フルウチ化学社
製;純度99.9%)を乳鉢を用いて粉砕し、100メッ
シュのふるい掛けをした後、このBi粉を8.7重量部、
前記のようにして得られたMnNi粉を2.8重量部秤量
し、乳鉢を用いて充分に混合した。
【0023】次に、これを加圧プレス機を用いて4t/
cm2 の圧力で直径×長さが6mm×6mmの円柱状に
成型し、この成型体をパイレックスガラス管に真空封入
し、電気炉中にて265℃で10日間熱処理して、Mn
NiBiインゴットを作製した。
【0024】次いで、得られたMnNiBiインゴット
をグロ−ボックスを使用し、不活性雰囲気中で乳鉢を用
いて粗粉砕し、さらに、遊星ボ−ルミルを用いてトルエ
ン中にて、150rpmで2時間粉砕した。トルエンを
除去した後、1000ppmの酸素を含有するN2 雰囲
気中で保持することにより安定化処理を行った。このよ
うにして得られたMnNiBi磁性粉末の平均粒径は、
約2μmであり、VSMを用いて測定した磁気特性は、
保磁力が9100エルステッド、飽和磁化が46.5em
u/g、最大印加磁界は16Kエルステッドであった。
【0025】実施例2〜3、比較例1〜6 実施例1において、MnNi合金作製時に用いるMn
量、Ni量およびMnNiBi合金作製時におけるMn
Ni粉末、Bi粉末の使用量を、それぞれ下記の表1に
示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてMn
NiBi磁性粉末を作製した。
【0026】
【0027】図3は、このようにして得られた各実施例
および比較例のMnNiBi合金磁性粉末およびMnB
i合金磁性粉末のX線回析図であり、このX線回析図か
らNiが20原子%を超えると結晶構造が乱れ、単相の
合金磁性粉末を得ることができないことがわかる。
【0028】また、各実施例および比較例で得られたM
nNiBi合金磁性粉末について、2種の条件下で腐食
テストを行った。第1の腐食条件は、1気圧、60℃,
90%の加湿環境下に1日保持し、第2の条件は、5重
量%の酢酸水溶液中に24時間保持して、それぞれ保持
後の飽和磁化を測定し、初期の飽和磁化に対する減少量
から劣化率を算出して調べた。下記表2はその結果であ
る。
【0029】
【0030】
【発明の効果】上記表2から明らかなように、Niを2
0原子%以上有する比較例2ないし6のMnNiBi合
金磁性粉末は、初期の飽和磁化が約29emu/g以下
ともともと低く、記録に適さないが、この発明で得られ
たMnNiBi合金磁性粉末(実施例1ないし3)は、
初期の飽和磁化が約40emu/g以上と高く、記録に
適している。また、この発明で得られたMnNiBi合
金磁性粉末(実施例1ないし3)は、加湿条件下におけ
る磁化減少率が、比較例1のMnBi合金磁性粉末とあ
まり変わらず、酢酸テストにおける劣化率は、比較例1
のMnBi合金磁性粉末が99.5%とほとんど磁化が消
失しているのに比べ、この発明で得られたMnNiBi
合金磁性粉末(実施例1ないし3)は、70%から90
%にとどまり、大幅に耐酢酸性が改善されている。これ
らのことから、この発明で得られるMnNiBi合金磁
性粉末は、特に、酸性雰囲気の腐食環境下において、安
定で分解しにくく、実用に適した耐食性を有し、室温で
容易に消去されることのない情報記録用携帯カ−ド等の
磁気記録媒体に適した磁性粉末であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体窒素温度から室温の範囲におけるMnNi
Bi粒子の保磁力の温度依存性を示す保磁力と絶対温度
との関係図である。
【図2】MnNiBi磁性粉末を長手方向に配向した磁
性層の初期磁化曲線図である。
【図3】各実施例および比較例で得られたMnNiBi
磁性粉末粒子のX線回析図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−49500(JP,A) 特開 昭51−50860(JP,A) 特開 昭49−68299(JP,A) 特開 平6−151136(JP,A) 特開 平6−44625(JP,A) 特開 昭50−2199(JP,A) 特開 平8−138921(JP,A) 特開 平7−102117(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/047 B22F 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六方晶MnBiのMnの位置にNiをM
    nとNiとの合計量に対して2〜10原子%置換して存
    在させたことを特徴とするMnNiBi合金磁性粉末
  2. 【請求項2】 平均粒子径が0.5〜5μmで、20℃に
    おける保磁力が4000〜18000エルステッドであ
    る請求項1記載のMnNiBi合金磁性粉末
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