JP3536614B2 - 転がり軸受用潤滑剤の評価方法 - Google Patents
転がり軸受用潤滑剤の評価方法Info
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Description
る潤滑剤の転がり疲れ寿命への効果の優劣を評価する方
法に関する。
複雑であり、詳細には解明されていないのが現状であ
る。例えば、潤滑剤中の添加剤と転がり疲れ寿命との関
係は不明であり、結局、潤滑剤と転がり疲れ寿命との関
係は、実際に破損するまでの長時間寿命試験を行なわな
ければ得ることができない。
問題点に着目してなされたものであり、転がり軸受を破
損するまでの長時間の寿命試験に供することなく、転が
り軸受用の潤滑剤の転がり寿命への影響を短時間で調
べ、それによって潤滑剤の評価を行なう方法を提供する
ことを目的とする。
に、本発明は、実質的に水素ガスを含有しない雰囲気の
焼入れ炉内で、転がり軸受の構成部材を焼入れ処理する
工程、焼入れ処理後の転がり軸受の構成部材のうち、軌
道輪や転動体となる部材における水素濃度を測定して、
第1の水素濃度を得る工程、前記焼入れ処理後の転がり
軸受けの構成部材を組み合わせてなる転がり軸受を、被
評価物である潤滑剤を用いて回転試験に供する工程、お
よび、回転試験後の転がり軸受の前記部材における水素
濃度を測定して、第2の水素濃度を得る工程を具備し、
前記転がり軸受の前記部材における第2の水素濃度と第
1の水素濃度との差により水素濃度増分を求め、その水
素濃度増分によって、前記潤滑剤の転がり寿命への有害
度を判定する方法を提供する。前記焼き入れ処理工程
は、真空中、窒素ガス中、または空気中で行なわれるこ
とが好ましい。 また、前記水素濃度の測定は、昇温脱離
法により行なわれることが好ましい。
転がり軸受用潤滑剤の評価方法において、転がり軸受の
構成部材を焼入れ処理する、実質的に水素ガスを含有し
ない雰囲気とは、例えば、真空中、N2 ガス中、および
空気中などが挙げられる。また、焼入れ処理の条件は、
840℃で30分間保持した後、直ちに60℃の油中に
浸漬する等、適宜決定することができる。なお、焼入れ
処理後、160〜200℃で1〜2時間保持する低温焼
き戻しを選択的に実施する。
濃度分析に供される。それらの水素濃度分析を行なって
第1の水素濃度を得る。水素分析には、前記部材から採
取した試験片を一定の昇温速度で徐々に加熱し、放出さ
れる水素を各温度ごとに分析する方法(昇温脱離法、Th
ermal Desorption Spectrometry(TDS))を用いることが
できる。
は、まず、水素ガス漏出速度が既知の標準ボンベからの
水素ガスを分析部に導入して、水素ガスイオン(H2
+ )強度を測定する。得られたイオン強度の1単位が、
何g/secの水素ガス漏出速度に対応するか(換算係
数K)を計算し、各温度ごとに水素ガスイオン(H
2 +)強度Iを測定する。
素濃度は、前述の水素ガスイオン(H2 + )強度Iおよ
び換算係数Kを用いて、それぞれ下記数式(1)および
(2)で与えられる。
ン(H2 + )強度Iの測定間隔(sec)である。な
お、測定される水素ガスイオン強度Iは、若干のノイズ
強度Bを含むので、測定中のIの最小値をBとみなし、
(I−B)を改めてIと置き直して、前述の式(1)、
(2)の計算を行なう。
受は、評価したい潤滑剤を用いて回転試験に供する。回
転試験の条件は、回転速度n=3900rpm、基本動
定格荷重Cに対する荷重Pの比(P/C)=0.7等、
適宜決定することができるが、例えば、13650Nの
加重を試験軸受6206(深溝玉軸受)に負荷しつつ、
3900rpmの回転速度で内輪を回転させる。
0.1倍から10倍の時間等、適宜決定することができ
るが、240時間程度以下であることが好ましい。回転
試験後の転がり軸受の前記部材の水素濃度を前述と同様
の手法で測定して、第2の水素濃度を得る。なお、静止
輪については、最大応力負荷位置近傍の水素濃度を測定
する必要がある。
度と第1の水素濃度との差により、前記部材における水
素濃度の増分を求め、得られた水素濃度増分により潤滑
剤の寿命効果を評価する。なお、試験温度や試験時間等
にもよるが、80℃以下の試験温度で定格疲れ寿命(L
10cal )まで回転試験した際に、軸受の前記部材におけ
る水素濃度の増分が0.02ppm以下であれば、その
潤滑剤中の水素原子は安定であり、軸受材料を水素脆化
させないということができる。
て本発明を成すに至ったものである。転がり軸受は、使
用中に潤滑剤から水素原子を吸収すると、水素脆化して
破損する。ここでの水素源は、潤滑剤中に含まれる多量
の水素原子、または潤滑剤水分中の水素原子である。潤
滑剤の水素原子の安定度、すなわち、軸受の鋼材料中へ
の水素原子の引き渡しずらさは、潤滑剤の組成や温度に
依存するようであるが、不明な点が多く、また測定方法
も得られていないので定量が困難である。なお、水素脆
化による軸受の破損形態は、主に剥離である。
は、軸受表面の酸化を防止する目的でRXガス等の吸熱
型炉気中で行なわれるので、この焼入れ処理中に、炉気
中に含まれる水素ガスとの反応によって軸受中に水素原
子が吸収される。ここで吸収された水素原子は、転がり
軸受の水素脆化には寄与しないものの、昇温脱離法も含
め現在の水素分析法では前述したような潤滑剤に起因す
る水素の濃度と焼入れ時に吸収された水素の濃度とを、
分離、測定することはできない。
使用中の潤滑剤に起因した水素吸収量を定量するには、
実質的に水素原子を含有しない鋼材より構成される転が
り軸受を使用することが必要であることを見出した。本
発明においては、実質的に水素ガスを含有しない雰囲気
の焼入れ炉、例えば真空の焼入れ炉で、転がり軸受の構
成部材に焼入れ処理を施しているので、この工程での軸
受への水素吸収を極力低減することができた。すなわ
ち、焼入れ工程での水素吸収量は、ほとんど無視できる
程度であるので、水素濃度のノイズを0とみなし得る状
態の軸受が得られる。
潤滑剤を用いて回転試験に供した後の軸受に存在する水
素原子は、実質的に潤滑剤に起因したものであると判断
することができる。したがって、回転試験後の軸受の所
定位置における水素濃度を測定すれば、その潤滑剤中の
水素原子の安定度、すなわち、潤滑剤の軸受材料(鋼)
を水素脆化させない特性の強さを表わす、潤滑剤の転が
り疲れ寿命効果を定量することができる。
の工程で軸受に吸収される水素濃度を著しく低減してい
るので、回転試験中に潤滑剤から吸収される水素の濃度
を高い精度で測定することができた。したがって、軸受
が破損するまでの長時間の寿命試験を行なうことなく、
短時間で潤滑剤の寿命を評価することが可能となった。
例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明
はこれらの例に限定されるものではない。まず、軸受鋼
2種(SUJ2)で作製された外輪、内輪、および鋼球
を用意して、内外輪は真空中で約840℃で0.5時間
保持後、焼入れ処理を施し、一方、鋼球は窒素雰囲気中
で約820℃で0.3時間保持後、焼入れ処理を施し
た。さらに、いずれも焼入れ処理後に大気雰囲気中で低
温焼き戻し(160℃、2時間)を実施した。
水素濃度を上述したような手法により分析して、得られ
た水素濃度放出曲線を図1のグラフに示す。なお、放出
される水素の分析には、四重極質量分析計(日本真空技
術(株)製MSQ−150A)を用い、試験片の昇温速
度は3℃/min、水素ガスイオン(H2 + )強度Iの
測定間隔は20秒とした。
した外輪、内輪および転動体で構成された17mm、外径
φ47mm、幅14mmの接触ゴムシール付き深溝玉軸受
(プラスチック保持器付き)に、被評価物としての潤滑
剤を2.3g封入し、NSK Technical Journal,No.656,
pp.1〜14, 1993に記載の台上に設置されたエンジンのオ
ルタネーターのプーリー側軸受として100時間の回転
試験を行なった。本回転試験においては、内輪を回転側
軌道輪とし、外輪を非回転側軌道輪とした。
される加重は1890N(試験軸受の基本動定格荷重は
13500N)とし、内輪の回転速度は、2000rp
mから14000rpmの間で繰返し変動させた。20
00rpmから14000rpmへの加速に要する時
間、および14000rpmから2000rpmへの減
速に要する時間は、いずれも30秒とした。本試験軸受
の定格疲れ寿命(L10cal)は、 L10cal=(13500/1890)3 ×106 /(8000×60) =759時間 である。ここで、潤滑剤としては、下記表1に示すよう
なグリースαとβとの2種類を用いた。
では破損しなかったが、破損するまでの長時間の寿命試
験を実施すれば、外輪の最大応力負荷位置近くの軌道面
に破損(剥離)が生じる。したがって、本実施例では、
外輪の水素濃度変化のみについて説明するが、内輪や転
動体には実質的に水素濃度増加はないことを確認した。
近傍を切り取り、上述と同様の条件で水素濃度分析を行
なった。図2には、グリースαを用いて回転試験を実施
した後における外輪負荷圏の水素濃度分析時の水素濃度
放出曲線を示し、図3には、グリースβを用いて回転試
験を実施した後における外輪負荷圏の水素濃度分析時の
水素濃度放出曲線を示す。
の水素濃度放出曲線について、図1に示した回転試験前
の外輪の水素濃度放出曲線とを比較して説明する。図1
に示すように、焼入れ処理後、回転試験前の軸受の外輪
の水素濃度分析時の水素放出曲線にはピークが存在せ
ず、真空中で焼入れ処理を施したことによって軸受に水
素がほとんど吸収されていないことがわかる。これに対
し、グリースαを使用して100時間の回転試験を施し
た後には、図2に示すように、外輪負荷圏の水素濃度分
析時の水素放出曲線に明確なピークが存在する。これ
は、回転試験中にグリースαより外輪負荷圏に水素原子
が吸収されたことを示している。
用し、100時間の回転試験を実施した後の軸受の外輪
負荷圏の水素濃度分析時の水素放出曲線には、ピークは
存在しない。これは、回転試験中に、グリースβから外
輪負荷圏には水素原子は吸収されなかったことを示して
いる。
いて150℃から350℃までを積分して、水素濃度を
算出したところ、それぞれ0.01ppm、0.06p
pm、および0.01ppmと得られた。この結果から
も、グリースαを使用した場合には、外輪負荷圏に水素
が吸収されたことがわかる。
の軸受について、前述と同様の回転試験条件で破損する
まで、寿命試験を行なった。ただし、定格疲れ寿命の時
間までに破損しない場合は、試験を打ち切った。試験数
は、各軸受について5個とした。寿命試験結果は、以下
の通りである。
8,184,135時間で全て外輪剥離 グリースβの軸受:全て759時間で中断(剥離なし) このように、グリースβは、転がり疲れ寿命延長におい
てグリースαより有効であることが確認されたが、試験
には多くの時間を要した。前述したように、所定の雰囲
気中で焼入れ処理を行なった軸受について、回転試験前
後の水素分析を行なえば、破損するまでの寿命試験を行
なわなくとも、グリースβがαよりも転がり疲れ寿命延
長に対し有効であることがわかる。
入れ処理を施した外輪について、前述と同様にして水素
濃度を分析し、得られた結果を図4のグラフに示す。さ
らに、こうして焼入れ処理された外輪を用いる以外は、
前述と同様の内輪および鋼球を用いて軸受を構成し、グ
リースαを用いて前述と同様の回転試験を行なった。回
転試験後の外輪の最大応力負荷圏近傍における水素濃度
を前述と同様にして分析し、水素放出曲線を図5のグラ
フに示す。
後の軸受だけでなく、前の軸受の外輪の水素放出曲線に
もピークが存在しており、RXガス雰囲気炉での焼入れ
処理において、外輪に水素が吸収されたことが明確に示
されている。また、図4および5に示した水素放出曲線
の150℃から350℃までを積分して水素濃度を算出
したところ、それぞれ0.56ppm、0.52ppm
と同程度に高い値であった。この結果から、少なくとも
グリースαを使用した場合には、外輪負荷圏に水素が吸
収されたと判定することは困難であることがわかる。
度が若干ながらも減少するのは、焼入れ処理時に吸収さ
れた水素原子が、回転試験中に軸受から放出され、この
量が潤滑剤より吸収される水素量より多いことに起因す
る。
転がり軸受を破損するまでの長時間の寿命試験に供する
ことなく、転がり軸受用の潤滑剤の寿命を短時間で調
べ、それによって潤滑剤の評価を行なう方法が提供され
る。
前における水素濃度分析時の水素放出曲線。
して100時間の回転試験を実施した後の外輪負荷圏に
おける水素濃度分析時の水素放出曲線。
して100時間の回転試験を実施した後の外輪負荷圏に
おける水素濃度分析時の水素放出曲線。
験前における水素濃度分析時の水素放出曲線。
使用して100時間回転試験を実施した後の外輪負荷圏
における水素濃度分析時の水素放出曲線。
Claims (3)
- 【請求項1】 実質的に水素ガスを含有しない雰囲気の
焼入れ炉内で、転がり軸受の構成部材を焼入れ処理する
工程、 焼入れ処理後の転がり軸受の構成部材のうち、軌道輪お
よび転動体となる部材における水素濃度を測定して、第
1の水素濃度を得る工程、 前記焼入れ処理後の転がり軸受けの構成部材を組み合わ
せてなる転がり軸受を、被評価物である潤滑剤を用いて
回転試験に供する工程、および、 回転試験後の転がり軸受の前記部材における水素濃度を
測定して、第2の水素濃度を得る工程を具備し、 前記転がり軸受の前記部材における第2の水素濃度と第
1の水素濃度との差により水素濃度増分を求め、その水
素濃度増分によって、前記潤滑剤の転がり寿命への有害
度を判定する方法。 - 【請求項2】 前記焼き入れ処理工程は、真空中、窒素
ガス中、または空気中で行なわれることを特徴とする請
求項1に記載の潤滑剤の転がり寿命への有害度を判定す
る方法。 - 【請求項3】 前記水素濃度の測定は、昇温脱離法によ
り行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載
の潤滑剤の転がり寿命への有害度を判定する方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25577897A JP3536614B2 (ja) | 1997-09-19 | 1997-09-19 | 転がり軸受用潤滑剤の評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25577897A JP3536614B2 (ja) | 1997-09-19 | 1997-09-19 | 転がり軸受用潤滑剤の評価方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1194704A JPH1194704A (ja) | 1999-04-09 |
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25577897A Expired - Fee Related JP3536614B2 (ja) | 1997-09-19 | 1997-09-19 | 転がり軸受用潤滑剤の評価方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3536614B2 (ja) |
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-
1997
- 1997-09-19 JP JP25577897A patent/JP3536614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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