JP3545948B2 - サーマルヘッド及びサーマルヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明はワードプロセッサやファクシミリ等のプリンタ機構として組み込まれるサーマルヘッド、並びにサーマルヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワードプロセッサ等のプリンタ機構として組み込まれるサーマルヘッドは、グレーズ層を有した基板の上面に、複数の発熱抵抗体と、これら発熱抵抗体への通電を制御するドライバーICと、該ドライバーICや前記発熱抵抗体に外部からの電力や印画信号等を供給する複数の導電層とを取着させた構造を有しており、前記ドライバーICの駆動に伴い、前記導電層を介して発熱抵抗体に所定の電力を印加し、発熱抵抗体を印画信号に基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該発熱した熱を感熱記録媒体に伝導させ、感熱記録媒体に所定の印画を形成することによってサーマルヘッドとして機能する。
【0003】
尚、前記グレーズ層は、その上に被着・形成される発熱抵抗体の発する熱を内部で蓄積及び放散してサーマルヘッドの熱応答特性を良好に維持するためのものであり、例えばSiO2 やAl2 O3 ,CaO,BaO,Ba2 O3 ,ZnO等を含むガラスにより形成されていた。
【0004】
また上記サーマルヘッドは、導電層の一部表面にNi(ニッケル)やAu(金)等から成るメッキ層を有している。これらのメッキ層は、ドライバーICの端子やフレキシブル印刷配線板の配線を導電層に半田接合させる際、導電層側の半田濡れ性を良好となすためのものであり、これによってドライバーICの端子やフレキシブル印刷配線板の配線を導電層に対して強固に接続させておくようにしている。尚、前記メッキ層は、導電層等が被着されている基板の表面をフォトリソグラフィー技術にて窓開けしたフォトレジストで被覆した上、従来周知の無電界メッキ(化学メッキ)法を採用し、Ni,Au等を前記フォトレジストの窓内に露出させた導電層の表面に析出させることにより形成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近時の高精彩印画の要請に応えるべく発熱抵抗体を600dpi以上の線密度で高密度に配列させたサーマルヘッドが求められており、その実現のために発熱抵抗体や導電層,メッキ層等を高密度にパターニングする試みがなされている。
【0006】
しかしながら、サーマルヘッドパターンの高密度化に伴って隣合う導電層間の距離が5〜50μmと狭くなってくると、各々の導電層上に前述の無電界メッキ法等によってメッキ層を形成しようとする際にメッキ液中に含まれている還元剤の還元作用によってNi,Au等が過度に析出し、複数の導電層上にわたってメッキ層同士が連なった状態で形成される。その場合、フォトレジストを基板より良好に剥離させることが困難になるとともに、隣接する導電層同士が前述した連なったメッキ層を介して電気的に短絡するという欠点を有していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、鉛成分を1.0〜20.0重量%含有するガラスから成るグレーズ層を有した基板の表面に発熱抵抗体及び導電層を被着させるとともに該導電層の少なくとも一部表面にニッケル及び/又は金から成るメッキ層を被着させてなるサーマルヘッドの製造方法であって、前記メッキ層は、前記導電層及びグレーズ層の一部を露出させた状態で該露出部をメッキ液に浸漬させることにより形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明のサーマルヘッドは、上述のサーマルヘッドの製造方法によって製作されたサーマルヘッドにおいて、メッキ層中に鉛成分が0.001〜0.01ppm含有されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一形態にかかるサーマルヘッドの平面図、図2は図1のX−X線断面図であり、1は基板、2はグレーズ層、3は発熱抵抗体、4は導電層、5はメッキ層である。
【0010】
前記基板1はアルミナセラミックス等の電気絶縁性材料により矩形状をなすように形成され、その上面でグレーズ層2や発熱抵抗体3,導電層4,ドライバーIC6などを支持するための支持母材として機能する。
【0011】
前記基板1は、例えばアルミナセラミックスから成る場合、Al2 O3 ,SiO2 ,MgO等のセラミック原料粉末に適当な有機溶媒、有機溶剤を添加・混合して泥漿状に成すとともに、これを従来周知のドクターブレード法等を採用することによってセラミックグリーンシートを得、しかる後、前記セラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施して所定の矩形状となし、これを高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
【0012】
そして前記基板1には、その上面全体にわたりグレーズ層2が被着される。
【0013】
前記グレーズ層2は、熱伝導率が1.0×10−3〜5.0×10−3cal/cm・sec・℃の範囲内に調整されているガラスから成り、該グレーズ層2はその上に被着される発熱抵抗体3の発する熱を内部で蓄積及び放散することによりサーマルヘッドの熱応答特性を良好に維持する作用を為す。
【0014】
かかるグレーズ層2は、例えば、SiO2 を50重量%、Al2 O3 を6重量%、CaOを12重量%、BaOを25重量%、PbOを5重量%含有するガラスにより形成される。
【0015】
また前記グレーズ層2はその内部にPb(鉛)成分を1.0〜20.0重量%含有している。このPb成分が全て酸化物の形態(PbO)でグレーズ層2中に含まれている場合は、グレーズ層2中のPbO含有率は1.1〜21.5重量%の範囲内に設定されることとなる。
【0016】
このようなPb成分は、後述するメッキ層5を従来周知の無電界メッキ法等によってグレーズ層2上の導電層表面に被着させる際、その一部が鉛イオン(Pb2 +)となってメッキ液中に染み出し、いわゆる触媒毒としての作用を為す。そのため、メッキ液中に含まれる次亜リン酸ナトリウム等による還元作用はメッキ液中に染み出した濃度5〜20ppm程度の鉛イオンによって良好に抑制されるようになり、隣合う導電層4,4間の距離が5〜50μmと狭い場合であっても、メッキ層5を形成する金属の析出を適度に抑えることで、各々の導電層4上にメッキ層5を独立して被着させることができるようになる。
【0017】
ここで前記グレーズ層2のPb成分の含有量が1.0重量%よりも小さくなると、メッキ層5を無電界メッキ法により形成する際、メッキ液中に染み出す鉛イオンの量が不十分となってメッキ層5を形成する金属の析出を十分なレベルまで抑制することができなくなってメッキ層が複数の導電層4上にわたり連なった状態で形成される恐れがあり、またグレーズ層2のPb成分の含有量が20.0重量%を超えると、逆に抑制作用が強くなりすぎてメッキ層5を形成する金属が析出しにくくなる恐れがある。従ってグレーズ層2におけるPb成分の含有量は1.0〜20.0重量%の範囲内に設定しておく必要がある。
【0018】
そしてこのようなグレーズ層2上には複数の発熱抵抗体3と複数の導電層4とが所定パターンに被着され、更に導電層4の一部表面、具体的には後述するドライバーIC6の端子6aが半田接合される部位とフレキシブル印刷配線板8の配線9が半田接合される部位にはメッキ層5が被着・形成される。
【0019】
前記複数の発熱抵抗体3は基板1の長手方向に沿って例えば600dpiの線密度で直線状に配列されており、該発熱抵抗体3はその各々がTaN系抵抗材料やTaSiO系抵抗材料,TiSiO系抵抗材料等によって形成されているため、導電層4を介して電力が印加されるとジュール発熱を起こし、感熱紙等の感熱記録媒体に印画を形成するのに必要な温度(200〜300℃)となる。
【0020】
また前記導電層4はAl(アルミニウム)やCu(銅)などの金属から成り、グレーズ層2が被着されている基板1の上面全体にわたって所定パターンをなすように被着・形成される。この導電層4は、発熱抵抗体3や後述するドライバーIC6に外部からの電力や印画信号等を供給する給電配線もしくは信号供給配線としての作用を為す。
【0021】
尚、前記発熱抵抗体3及び導電層4は従来周知の薄膜手法、具体的にはスパッタリング法やフォトリソグラフィー技術,エッチング技術等を採用することによってグレーズ層2の上面に所定厚み、所定パターンに被着・形成される。
【0022】
また前記導電層4上のメッキ層5はNi(ニッケル)及び/又はAu(金)から成るメッキ層5が被着される。
【0023】
前記メッキ層5は、本形態においてはNiメッキ層5aとAuメッキ層5bの2層構造を有しており、後述するドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9を導電層4に半田接合させる際に導電層4側の半田濡れ性を良好となし、ドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9を導電層4に対して強固に接続させる作用を為す。
【0024】
尚、前記メッキ層5は従来周知の無電界メッキ(化学メッキ)法を採用することによって被着・形成される。具体的には、まず導電層4等が被着されている基板1の表面に従来周知のロールコート法等によってフォトレジストを塗布するとともに該フォトレジストの所定部位、具体的にはドライバーIC6の端子6aが半田接合される部位とフレキシブル印刷配線板の配線が半田接合される部位とこれらの部位の近傍のグレーズ層2とが露出されるようにして従来周知のフォトリソグラフィー技術によって窓開けを行い、しかる後、これを所定のメッキ液中に所定時間浸漬して前記フォトレジストの窓内に露出する導電層4の表面にNi及びAuを順次、析出させることによりNiメッキ層5a及びAuメッキ層5bから成る2層構造のメッキ層5が形成される。
【0025】
このとき、前記メッキ液中にはグレーズ層2中に含まれるPb成分が染み出してイオンの状態で存在しており(Pb2 +濃度:5〜20ppm)、該鉛イオンが前述した如くNiやAuの析出を適度に抑制するように作用することから、隣合う導電層4,4間の距離が5〜50μmと狭い場合であっても、その上のメッキ層5が複数の導電層4上にわたり連なって形成されることはなく、各々の導電層4上に独立してメッキ層5を形成することができる。従ってメッキ層5を高密度にパターニングすることが可能となり、発熱抵抗体3を600dpi以上の線密度で高密度に配列させた高精彩印画用サーマルヘッドの生産性が飛躍的に向上する。
【0026】
また前記メッキ層5を前述のようにして形成する場合、メッキ層5中にはメッキ液中の鉛成分が僅かに混入することとなり、その結果、メッキ層5における鉛成分の含有量は0.001 〜0.01ppmとなる。この場合、メッキ層5の膜質がきめ細かくなってメッキ層表面が平滑化されることとなり、該メッキ層5を介して導電層4にドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9を半田接合させる際に両者間の界面抵抗を極めて小さく抑えることができるようになる。
【0027】
そしてこのようなメッキ層5を表面に有する導電層4には、ドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9が半田7を介して接続される。
【0028】
前記ドライバーIC6は、外部より供給される印画信号等に基づいて発熱抵抗体3のジュール発熱を制御する作用を為し、従来周知のフェースダウンボンディング法、即ち、ドライバーIC6の下面に設けた複数の端子6aがメッキ層5に対向するようにしてドライバーIC6を基板1上に載置させた上、前記端子6aとその直下の導電層4とを半田接合させることによって基板1上に搭載される。
【0029】
また前記フレキシブル印刷配線板8は、プリンタ本体からの電力や印画信号等をサーマルヘッドに供給するためのものであり、フレキシブル印刷配線板8の配線9を導電層4に半田7を介して対面させ、この状態で半田7を加熱・溶融させることにより基板1に電気的・機械的に接続される。
【0030】
かくして上述した本発明のサーマルヘッドは、ドライバーIC6の駆動に伴い発熱抵抗体3に導電層4を介して所定の電力を印加し、発熱抵抗体3を印画信号に基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該発熱した熱を感熱紙等の感熱記録媒体に伝導させ、感熱記録媒体に所定の印画を形成することによってサーマルヘッドとして機能する。
【0031】
尚、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0032】
例えば上述の形態においてはグレーズ層2を基板1の上面全体にわたって被着させるようにしたが、これに代えて図3に示す如く、グレーズ層2’を発熱抵抗体3の近傍とメッキ層5が設けられるドライバーIC6の搭載部やフレキシブル印刷配線板8の接続部にのみ部分的に被着させるようにしても構わない。
【0033】
また上述の形態においてはメッキ層5をNiメッキ層5aとAuメッキ層5bの2層構造になしたが、これに代えてメッキ層をNiメッキ層もしくはAuメッキ層のいずれか一方よりなる単層構造としても良いし、Niメッキ層5aと導電層3との間にZnメッキ層を介在させてメッキ層を3層構造としても良い。
【0034】
更に上述の形態において導電層4とメッキ層5との間に両者間の密着力を向上させるためにPd(パラジウム)層を介在させておいても構わない。この場合、前記Pd層は従来周知のスパッタリング法等によって0.05〜0.2μmの厚みをもって介在される。
【0035】
また更に上述の形態において発熱抵抗体3等をSi3 N4 (窒化珪素)やガラス等から成る耐磨耗層で被覆しておけば発熱抵抗体3等を感熱記録媒体の摺接による磨耗から保護することができ、またドライバーIC6やその周辺をエポキシ樹脂やシリコン樹脂等で被覆しておけばドライバーIC6が大気中に含まれている水分等の接触により腐食するのを有効に防止することができ、いずれの場合においてもサーマルヘッドの信頼性向上に大きく寄与することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、グレーズ層が鉛成分を1.0〜20.0重量%含有するガラスにより形成され、このグレーズ層上にメッキ層を被着させる際、グレーズ層に含有させた鉛成分の一部をメッキ液中に染み出させたことから、鉛成分を触媒毒として作用させることによりニッケルや金の析出を適度に抑制することができる。従って、隣合う導電層間の距離が5〜50μmと狭い場合であっても、各々の導電層上に独立してメッキ層を形成することができるようになり、これによってメッキ層を高密度にパターニングすることが可能となる。
【0037】
また本発明によれば鉛成分が0.001〜0.01ppm含有されたメッキ層は膜質がきめ細かで、表面が平滑化されている。従って前記メッキ層を介して導電層にドライバーICの端子やフレキシブル印刷配線板の配線を半田接合させる際に両者間の界面抵抗を極めて小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態に係るサーマルヘッドの製造方法により製作されたサーマルヘッドの平面図である。
【図2】図1のサーマルヘッドのX−X線断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態にかかるサーマルヘッドの製造方法により製作されたサーマルヘッドの断面図である。
本発明はワードプロセッサやファクシミリ等のプリンタ機構として組み込まれるサーマルヘッド、並びにサーマルヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワードプロセッサ等のプリンタ機構として組み込まれるサーマルヘッドは、グレーズ層を有した基板の上面に、複数の発熱抵抗体と、これら発熱抵抗体への通電を制御するドライバーICと、該ドライバーICや前記発熱抵抗体に外部からの電力や印画信号等を供給する複数の導電層とを取着させた構造を有しており、前記ドライバーICの駆動に伴い、前記導電層を介して発熱抵抗体に所定の電力を印加し、発熱抵抗体を印画信号に基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該発熱した熱を感熱記録媒体に伝導させ、感熱記録媒体に所定の印画を形成することによってサーマルヘッドとして機能する。
【0003】
尚、前記グレーズ層は、その上に被着・形成される発熱抵抗体の発する熱を内部で蓄積及び放散してサーマルヘッドの熱応答特性を良好に維持するためのものであり、例えばSiO2 やAl2 O3 ,CaO,BaO,Ba2 O3 ,ZnO等を含むガラスにより形成されていた。
【0004】
また上記サーマルヘッドは、導電層の一部表面にNi(ニッケル)やAu(金)等から成るメッキ層を有している。これらのメッキ層は、ドライバーICの端子やフレキシブル印刷配線板の配線を導電層に半田接合させる際、導電層側の半田濡れ性を良好となすためのものであり、これによってドライバーICの端子やフレキシブル印刷配線板の配線を導電層に対して強固に接続させておくようにしている。尚、前記メッキ層は、導電層等が被着されている基板の表面をフォトリソグラフィー技術にて窓開けしたフォトレジストで被覆した上、従来周知の無電界メッキ(化学メッキ)法を採用し、Ni,Au等を前記フォトレジストの窓内に露出させた導電層の表面に析出させることにより形成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近時の高精彩印画の要請に応えるべく発熱抵抗体を600dpi以上の線密度で高密度に配列させたサーマルヘッドが求められており、その実現のために発熱抵抗体や導電層,メッキ層等を高密度にパターニングする試みがなされている。
【0006】
しかしながら、サーマルヘッドパターンの高密度化に伴って隣合う導電層間の距離が5〜50μmと狭くなってくると、各々の導電層上に前述の無電界メッキ法等によってメッキ層を形成しようとする際にメッキ液中に含まれている還元剤の還元作用によってNi,Au等が過度に析出し、複数の導電層上にわたってメッキ層同士が連なった状態で形成される。その場合、フォトレジストを基板より良好に剥離させることが困難になるとともに、隣接する導電層同士が前述した連なったメッキ層を介して電気的に短絡するという欠点を有していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、鉛成分を1.0〜20.0重量%含有するガラスから成るグレーズ層を有した基板の表面に発熱抵抗体及び導電層を被着させるとともに該導電層の少なくとも一部表面にニッケル及び/又は金から成るメッキ層を被着させてなるサーマルヘッドの製造方法であって、前記メッキ層は、前記導電層及びグレーズ層の一部を露出させた状態で該露出部をメッキ液に浸漬させることにより形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明のサーマルヘッドは、上述のサーマルヘッドの製造方法によって製作されたサーマルヘッドにおいて、メッキ層中に鉛成分が0.001〜0.01ppm含有されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一形態にかかるサーマルヘッドの平面図、図2は図1のX−X線断面図であり、1は基板、2はグレーズ層、3は発熱抵抗体、4は導電層、5はメッキ層である。
【0010】
前記基板1はアルミナセラミックス等の電気絶縁性材料により矩形状をなすように形成され、その上面でグレーズ層2や発熱抵抗体3,導電層4,ドライバーIC6などを支持するための支持母材として機能する。
【0011】
前記基板1は、例えばアルミナセラミックスから成る場合、Al2 O3 ,SiO2 ,MgO等のセラミック原料粉末に適当な有機溶媒、有機溶剤を添加・混合して泥漿状に成すとともに、これを従来周知のドクターブレード法等を採用することによってセラミックグリーンシートを得、しかる後、前記セラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施して所定の矩形状となし、これを高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
【0012】
そして前記基板1には、その上面全体にわたりグレーズ層2が被着される。
【0013】
前記グレーズ層2は、熱伝導率が1.0×10−3〜5.0×10−3cal/cm・sec・℃の範囲内に調整されているガラスから成り、該グレーズ層2はその上に被着される発熱抵抗体3の発する熱を内部で蓄積及び放散することによりサーマルヘッドの熱応答特性を良好に維持する作用を為す。
【0014】
かかるグレーズ層2は、例えば、SiO2 を50重量%、Al2 O3 を6重量%、CaOを12重量%、BaOを25重量%、PbOを5重量%含有するガラスにより形成される。
【0015】
また前記グレーズ層2はその内部にPb(鉛)成分を1.0〜20.0重量%含有している。このPb成分が全て酸化物の形態(PbO)でグレーズ層2中に含まれている場合は、グレーズ層2中のPbO含有率は1.1〜21.5重量%の範囲内に設定されることとなる。
【0016】
このようなPb成分は、後述するメッキ層5を従来周知の無電界メッキ法等によってグレーズ層2上の導電層表面に被着させる際、その一部が鉛イオン(Pb2 +)となってメッキ液中に染み出し、いわゆる触媒毒としての作用を為す。そのため、メッキ液中に含まれる次亜リン酸ナトリウム等による還元作用はメッキ液中に染み出した濃度5〜20ppm程度の鉛イオンによって良好に抑制されるようになり、隣合う導電層4,4間の距離が5〜50μmと狭い場合であっても、メッキ層5を形成する金属の析出を適度に抑えることで、各々の導電層4上にメッキ層5を独立して被着させることができるようになる。
【0017】
ここで前記グレーズ層2のPb成分の含有量が1.0重量%よりも小さくなると、メッキ層5を無電界メッキ法により形成する際、メッキ液中に染み出す鉛イオンの量が不十分となってメッキ層5を形成する金属の析出を十分なレベルまで抑制することができなくなってメッキ層が複数の導電層4上にわたり連なった状態で形成される恐れがあり、またグレーズ層2のPb成分の含有量が20.0重量%を超えると、逆に抑制作用が強くなりすぎてメッキ層5を形成する金属が析出しにくくなる恐れがある。従ってグレーズ層2におけるPb成分の含有量は1.0〜20.0重量%の範囲内に設定しておく必要がある。
【0018】
そしてこのようなグレーズ層2上には複数の発熱抵抗体3と複数の導電層4とが所定パターンに被着され、更に導電層4の一部表面、具体的には後述するドライバーIC6の端子6aが半田接合される部位とフレキシブル印刷配線板8の配線9が半田接合される部位にはメッキ層5が被着・形成される。
【0019】
前記複数の発熱抵抗体3は基板1の長手方向に沿って例えば600dpiの線密度で直線状に配列されており、該発熱抵抗体3はその各々がTaN系抵抗材料やTaSiO系抵抗材料,TiSiO系抵抗材料等によって形成されているため、導電層4を介して電力が印加されるとジュール発熱を起こし、感熱紙等の感熱記録媒体に印画を形成するのに必要な温度(200〜300℃)となる。
【0020】
また前記導電層4はAl(アルミニウム)やCu(銅)などの金属から成り、グレーズ層2が被着されている基板1の上面全体にわたって所定パターンをなすように被着・形成される。この導電層4は、発熱抵抗体3や後述するドライバーIC6に外部からの電力や印画信号等を供給する給電配線もしくは信号供給配線としての作用を為す。
【0021】
尚、前記発熱抵抗体3及び導電層4は従来周知の薄膜手法、具体的にはスパッタリング法やフォトリソグラフィー技術,エッチング技術等を採用することによってグレーズ層2の上面に所定厚み、所定パターンに被着・形成される。
【0022】
また前記導電層4上のメッキ層5はNi(ニッケル)及び/又はAu(金)から成るメッキ層5が被着される。
【0023】
前記メッキ層5は、本形態においてはNiメッキ層5aとAuメッキ層5bの2層構造を有しており、後述するドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9を導電層4に半田接合させる際に導電層4側の半田濡れ性を良好となし、ドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9を導電層4に対して強固に接続させる作用を為す。
【0024】
尚、前記メッキ層5は従来周知の無電界メッキ(化学メッキ)法を採用することによって被着・形成される。具体的には、まず導電層4等が被着されている基板1の表面に従来周知のロールコート法等によってフォトレジストを塗布するとともに該フォトレジストの所定部位、具体的にはドライバーIC6の端子6aが半田接合される部位とフレキシブル印刷配線板の配線が半田接合される部位とこれらの部位の近傍のグレーズ層2とが露出されるようにして従来周知のフォトリソグラフィー技術によって窓開けを行い、しかる後、これを所定のメッキ液中に所定時間浸漬して前記フォトレジストの窓内に露出する導電層4の表面にNi及びAuを順次、析出させることによりNiメッキ層5a及びAuメッキ層5bから成る2層構造のメッキ層5が形成される。
【0025】
このとき、前記メッキ液中にはグレーズ層2中に含まれるPb成分が染み出してイオンの状態で存在しており(Pb2 +濃度:5〜20ppm)、該鉛イオンが前述した如くNiやAuの析出を適度に抑制するように作用することから、隣合う導電層4,4間の距離が5〜50μmと狭い場合であっても、その上のメッキ層5が複数の導電層4上にわたり連なって形成されることはなく、各々の導電層4上に独立してメッキ層5を形成することができる。従ってメッキ層5を高密度にパターニングすることが可能となり、発熱抵抗体3を600dpi以上の線密度で高密度に配列させた高精彩印画用サーマルヘッドの生産性が飛躍的に向上する。
【0026】
また前記メッキ層5を前述のようにして形成する場合、メッキ層5中にはメッキ液中の鉛成分が僅かに混入することとなり、その結果、メッキ層5における鉛成分の含有量は0.001 〜0.01ppmとなる。この場合、メッキ層5の膜質がきめ細かくなってメッキ層表面が平滑化されることとなり、該メッキ層5を介して導電層4にドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9を半田接合させる際に両者間の界面抵抗を極めて小さく抑えることができるようになる。
【0027】
そしてこのようなメッキ層5を表面に有する導電層4には、ドライバーIC6の端子6aやフレキシブル印刷配線板8の配線9が半田7を介して接続される。
【0028】
前記ドライバーIC6は、外部より供給される印画信号等に基づいて発熱抵抗体3のジュール発熱を制御する作用を為し、従来周知のフェースダウンボンディング法、即ち、ドライバーIC6の下面に設けた複数の端子6aがメッキ層5に対向するようにしてドライバーIC6を基板1上に載置させた上、前記端子6aとその直下の導電層4とを半田接合させることによって基板1上に搭載される。
【0029】
また前記フレキシブル印刷配線板8は、プリンタ本体からの電力や印画信号等をサーマルヘッドに供給するためのものであり、フレキシブル印刷配線板8の配線9を導電層4に半田7を介して対面させ、この状態で半田7を加熱・溶融させることにより基板1に電気的・機械的に接続される。
【0030】
かくして上述した本発明のサーマルヘッドは、ドライバーIC6の駆動に伴い発熱抵抗体3に導電層4を介して所定の電力を印加し、発熱抵抗体3を印画信号に基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該発熱した熱を感熱紙等の感熱記録媒体に伝導させ、感熱記録媒体に所定の印画を形成することによってサーマルヘッドとして機能する。
【0031】
尚、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0032】
例えば上述の形態においてはグレーズ層2を基板1の上面全体にわたって被着させるようにしたが、これに代えて図3に示す如く、グレーズ層2’を発熱抵抗体3の近傍とメッキ層5が設けられるドライバーIC6の搭載部やフレキシブル印刷配線板8の接続部にのみ部分的に被着させるようにしても構わない。
【0033】
また上述の形態においてはメッキ層5をNiメッキ層5aとAuメッキ層5bの2層構造になしたが、これに代えてメッキ層をNiメッキ層もしくはAuメッキ層のいずれか一方よりなる単層構造としても良いし、Niメッキ層5aと導電層3との間にZnメッキ層を介在させてメッキ層を3層構造としても良い。
【0034】
更に上述の形態において導電層4とメッキ層5との間に両者間の密着力を向上させるためにPd(パラジウム)層を介在させておいても構わない。この場合、前記Pd層は従来周知のスパッタリング法等によって0.05〜0.2μmの厚みをもって介在される。
【0035】
また更に上述の形態において発熱抵抗体3等をSi3 N4 (窒化珪素)やガラス等から成る耐磨耗層で被覆しておけば発熱抵抗体3等を感熱記録媒体の摺接による磨耗から保護することができ、またドライバーIC6やその周辺をエポキシ樹脂やシリコン樹脂等で被覆しておけばドライバーIC6が大気中に含まれている水分等の接触により腐食するのを有効に防止することができ、いずれの場合においてもサーマルヘッドの信頼性向上に大きく寄与することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、グレーズ層が鉛成分を1.0〜20.0重量%含有するガラスにより形成され、このグレーズ層上にメッキ層を被着させる際、グレーズ層に含有させた鉛成分の一部をメッキ液中に染み出させたことから、鉛成分を触媒毒として作用させることによりニッケルや金の析出を適度に抑制することができる。従って、隣合う導電層間の距離が5〜50μmと狭い場合であっても、各々の導電層上に独立してメッキ層を形成することができるようになり、これによってメッキ層を高密度にパターニングすることが可能となる。
【0037】
また本発明によれば鉛成分が0.001〜0.01ppm含有されたメッキ層は膜質がきめ細かで、表面が平滑化されている。従って前記メッキ層を介して導電層にドライバーICの端子やフレキシブル印刷配線板の配線を半田接合させる際に両者間の界面抵抗を極めて小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態に係るサーマルヘッドの製造方法により製作されたサーマルヘッドの平面図である。
【図2】図1のサーマルヘッドのX−X線断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態にかかるサーマルヘッドの製造方法により製作されたサーマルヘッドの断面図である。
Claims (2)
- 鉛成分を1.0〜20.0重量%含有するガラスから成るグレーズ層を有した基板の表面に発熱抵抗体及び導電層を被着させるとともに該導電層の少なくとも一部表面にニッケル及び/又は金から成るメッキ層を被着させてなるサーマルヘッドの製造方法であって、
前記メッキ層は、前記導電層及びグレーズ層の一部を露出させた状態で該露出部をメッキ液に浸漬させることにより形成されることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。 - 請求項1の製造方法によって製作されたサーマルヘッドにおいて、メッキ層中に鉛成分が0.001〜0.01ppm含有されていることを特徴とするサーマルヘッド。
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