JP3549334B2 - ゴルフクラブのトウダウン量測定方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ウッドゴルフクラブ,アイアンゴルフクラブにおけるゴルフクラブのトウダウン量測定方法に係わり、更に詳しくはティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動、即ち、ゴルフクラブをスウィングした時に、クラブヘッドがプレーヤー側に引き寄せられる現象,所謂,トウダウン現象が生じる時に、そのトウダウン量を自動的に測定する測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ウッドゴルフクラブ,アイアンゴルフクラブのゴルフクラブをスウィングした時に、クラブヘッドがプレーヤー側に引き寄せられる現象,所謂,トウダウン現象が生じることが知られている。
このトウダウン現象は、例えば、図4に示すように、クラブヘッド1の重心位置Gが、クラブシャフト2の軸線XーXから一般に30mm〜50mm(ウッドゴルフクラブヘッドの場合)程度離れているので、ゴルフクラブをスウィングした時に、クラブヘッド1にかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフト2が図4の一点鎖線に示すように撓んでクラブヘッド1がプレーヤー側(図の矢印方法)に引き寄せようとする力から生ずるものである。
【0003】
その結果、実際にティーアップしたゴルフボールQの中心に対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心P(一般にスイートスポット)の位置は、アドレス位置よりプレーヤー側に所定距離L(一般に5mm〜30mm程度)ずれることになり、ティーアップしたゴルフボールQの中心に対して、クラブヘッド1のフェース面3のトウ側3aが位置して打球することになる。
【0004】
このため、ゴルフボールQの弾き出す方向が定まらず、プレーヤーが狙った目標方向に飛ばなかったり、また不安定となる現象が生じていた。
また、上記のトウダウン現象により、ゴルフボールQを打球する位置が外れた場合には、クラブヘッド1の最大の反発特性が得られず、飛距離を損なう確率も増大すると言う問題があった。
【0005】
例えば、本願発明者等が実際に、新規に設計したゴルフクラブを評価するため、スウィングロボットのアームにゴルフクラブを装着し、アドレス時にゴルフボールQをクラブヘッド1のフェース面3の中心Pに位置合わせしてスウィングすると、殆どゴルフボールQは真っ直ぐに飛ばないことが多いことが判った。
そこで、本願発明者等は、上記のような現象を解決すべく、種々の検討や実験を行った結果、ゴルフボールQが真っ直ぐに飛ばない原因の一つとして、上述したトウダウン現象であることの知見を得た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、ゴルフボールQの方向性は別として、トウダウン現象を抑える手段として、概念的に単にスウィングスピードが速い場合には、硬めのシャフトにして、トウダウン量を抑えると言う考えもあるが、然し、この方法の場合では、シャフトの硬さのみでトウダウン量をコントロールすると精度が悪く、限界があった。
【0007】
本願発明者等は、上記のようなトウダウン量の種々の問題に鑑み、トウダウン量を解析してみたところ、図4及び下記のような式で、解析的にトウダウン量(δ)を求めることが出来ることが判った。
但し、ここでは簡素化のために、r’=rとすると、
トウダウン量(δ)=(rme/2EI)v2 となる。 ここで、
e:クラブシャフト2の軸線XーXからクラブヘッド1の重心位置Gまでの距離
r:クラブの長さ
m:クラブヘッドの質量
EI:シャフト等価曲げ剛性、である。
【0008】
然し、上記の式において、シャフトの曲げ剛性(EI)は、シャフト全長にわたる剛性分布の積分値を用いるのが良いが、ここではゴルフ業界で用いられる周知の3点曲げによる全体剛性を用いたため、実際のトウダウン量(δ)の絶対値とは誤差が生じることが懸念されるため、実際のトウダウン量(δ)を正確に、かつ直接的に測定する必要が生じた。
【0009】
トウダウン量(δ)を直接的に求める方法としては、例えば、クラブヘッドのフェース面にスプレー等でマーキングを塗布し、ゴルフクラブをロボットアームに装着する。そして、ゴルフクラブのアドレス時、ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせしてスウィングし、フェース面に付いたゴルフボールの痕跡と、ゴルフクラブのアドレス時の位置とのズレ、即ち、移動距離がトウダウン量となり、この距離を測定する。
【0010】
然しながら、ゴルファーがスウィングする場合には、アドレス位置が不安定で、しかもスウィング軌道も一定になり難いため、正確なトウダウン量を得ることは難しい。
また、その他の方法としては、図5に示すように、クラブシャフト2に歪みゲージ4を所定の間隔で複数箇所(4ヵ所)取付け、クラブシャフト2の撓み量からクラブヘッドのトウダウン量を求めることも考えられるが、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや、クラブシャフト2に歪みゲージ4を貼付けること自体の違和感、更にはクラブシャフト2の曲げ剛性等に影響を与え、その結果、安定したスウィングによる試験が再現でき難いと言う問題があった。
【0011】
この発明は、かかる従来の課題に着目して案出されたもので、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラや光学的検出手段を用いることで、クラブヘッドのフェース面やクラブシャフトに、測定手段を塗布したり、貼付けることなくトウダウン量を測定出来、従って、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るゴルフクラブのトウダウン量測定方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッドの移動距離を測定するトウダウン量測定方法であって、前記ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせした位置と、ゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッドのフェース面中心の移動距離とをスウィングの前方に設置されたテレビカメラで撮像し、この撮像した画像を演算処理装置に入力して画像処理すると共に、比較演算することにより、前記クラブヘッドの移動距離を自動的に測定することを要旨とするものである。
【0013】
また、この発明は、ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッドの移動距離を測定するトウダウン量測定方法であって、
予め、クラブヘッドの打球位置の前後部に、投光部と受光部とから成る光学的検出手段を配設し、前記ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせした位置で、光学的検出手段の投光部からフェース面に水平光を照射し、その時の遮光量を検出して演算処理装置に入力すると共に、この位置を基準位置として設定し、次いで光学的検出手段の投光部から光を照射している状態で、ゴルフクラブをスウィングした時の前記基準位置の遮光量と同一になった時の位置を検出し、この検出値を演算処理装置に入力して、基準位置との距離を比較演算することにより、基準位置からゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッドの移動距離を自動的に測定することを要旨とするものである。
【0014】
なお、前記光学的検出手段にレーザービームを用いてクラブヘッドの移動距離を自動的に測定することも可能である。
この発明は上記のように構成され、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラによりゴルフクラブのスウィング時を撮像して画像を処理し演算処理装置によりトウダウン量を演算して自動的に求めることにより、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るものである。
【0015】
また、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、光学的検出手段で、クラブヘッドのアドレス時と、スウィング時とのクラブヘッドのフェース面の遮光量を検出し、その検出した値を演算処理装置によりトウダウン量を演算して自動的に求めることにより、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
なお、従来例と同一構成要素は、同一符号を付して説明は省略する。
図1は、この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第1実施形態を示す概略構成図を示し、Qはティーアップしたゴルフボール、1はウッドゴルフクラブのクラブヘッド、2はクラブシャフト、5はクラブヘッド1をスウィングする前方に設置されたテレビカメラ(CCDカメラ)、6はテレビカメラ5に接続された演算処理装置で、マイクロコンピュータにより画像処理されるもので、また7はトウダウン量(δ)を表示する表示装置を示している。
【0017】
この発明の第1実施形態は、上記テレビカメラ5を用いてトウダウン量測定する方法であり、その測定方法を具体的に説明する。
トウダウン量の測定とは、上記図4を参照して詳述したように、ティーアップしたゴルフボールQの中心に対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pを位置合わせする。
【0018】
次いでゴルフクラブをスウィングした時、クラブヘッド1にかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフト2が二点鎖線に示すように撓んで、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pが、ゴルフボールQの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッド1の移動距離L、即ち、トウダウン量(δ)を測定するものである。
【0019】
即ち、前記ティーアップしたゴルフボールQの中心Pに対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pを位置合わせした位置(アドレス位置)と、ゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッド1のフェース面3の中心Pの移動距離Lとを前記テレビカメラ5で撮像し、この撮像した画像を演算処理装置6に入力して画像処理すると共に、比較演算することにより、前記クラブヘッドの移動距離L、即ち、トウダウン量(δ)を自動的に測定することが出来るものである。
【0020】
次に、図2及び図3は、この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第2実施形態を示す概念図と、測定方法の説明図であって、この実施形態は、上記第1実施形態のテレビカメラ5(CCDカメラ)の代わりに、光学的検出手段8を用いてトウダウン量(δ)を自動的に測定する方法である。
即ち、この第2実施形態では、予め、クラブヘッド1の打球位置の前後部に、投光部9a(光センサー)と受光部9b(光センサー)とをゴルフクラブをスウィングした時に邪魔にならない位置に平行に立設する。
【0021】
そして、前記ティーアップしたゴルフボールQの中心Pに対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pを位置合わせした位置(アドレス位置)で、図3に示すように、光学的検出手段8の投光部9aからフェース面3に水平光を照射し、その時の遮光量Z(図3において斜線部で示す)を検出して演算処理装置6に入力して、この位置を基準位置として設定する。
【0022】
次いで、光学的検出手段8の投光部9aから光を照射している状態で、ゴルフクラブをスウィングした時の前記基準位置の遮光量Xと同一になった時の位置を検出し、この検出値を演算処理装置6に入力して、基準位置との距離を比較演算することにより、基準位置からゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッド1の移動距離を自動的に測定するものである。
【0023】
なお、前記光学的検出手段8にレーザービームを用いてクラブヘッドの移動距離を自動的に測定することも可能である。
以上のように、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラ5(CCDカメラ)や、光学的検出手段8によりゴルフクラブのスウィング時を光学的に検出して、演算処理装置6によりクラブヘッドの移動距離L、即ち、トウダウン量(δ)を演算して自動的に求めることにより、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るものである。
【0024】
次に、この発明の実施例を説明すると、実験方法としては、パネラーA(トップアマチュア)と、パネラーB(一般のアマチュア)との2人にスウィングしてもらい、それぞれパネラーA,Bについて、テレビカメラ5(CCDカメラ)によりトウダウン量を測定した場合を実施例1,光学的検出手段8で測定した場合を実施例2,ショットマーカー法(フェース面にマーカを塗布してトウダウン量を測定する方法)を比較例1,図5に示すように、シャフトに歪みゲージを取付けてトウダウン量を測定する方法を比較例2の4通りについて実験を行った。
【0025】
また、使用したゴルフクラブは、2人ともウッドゴルフクラブの1番(ドライバー)で、各方法を50回スウィングを繰返し、その時のトウダウン量の平均値を標準偏差により求めた。
【0026】
【0027】
【0028】
〔実験結果〕
▲1▼.上記、実験結果からも明らかなように、σn−1 (標準偏差)が比較例1,2とも、1.7〜2.3mm対して、実施例1,2は、0.7〜0.9mmでバラツキが小さく、精度の良いデータが、パネラーA,Bとも得られた。
因みに、AVE(mm)(平均値)の絶対値は、パネラーAの方が大きくでており、これは、パネラーAの方がスウィングスピード(ヘッドスピード)が速かったためである。
▲2▼.歪みゲージ法は、ワイヤレス歪みゲージをシャフトに4ヵ所貼付けて、シャフトの撓み量からクラブヘッドのトウダウン量を求めたが、フィーリング欄でパネラーA,B両者とも×印を付した。これは、クラブシャフトに歪みゲージを貼付けること自体違和感を生じ、その結果、安定したスウィングによる試験が再現でき難いことが推測される。
▲3▼.ショットマーカー法は、ゴルフボールの打球痕跡をスケールで計測する誤差も大きいが、フェース面に白色のマーカーを塗ることによる違和感が出てしまった。特に、パネラーAは、フィーリングも×印となった。
【0029】
なお、上記の実施形態では、ウッドゴルフクラブヘッドのトウダウン量の測定方法について説明したが、アイアンゴルフクラブについても適用出来ることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
この発明は、上記のようにゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラ(CCDカメラ)や、光学的検出手段によりゴルフクラブのスウィング時を光学的に検出して、演算処理装置によりクラブヘッドの移動距離、即ち、トウダウン量を演算して自動的に求めることにより、クラブヘッドのフェース面やクラブシャフトに、測定手段を塗布したり、貼付けることなくトウダウン量を自動的に測定出来、従って、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来る効果がある。
【0031】
また、この結果、ゴルファーのヘッドスピード,スウィングに合ったトウダウン量のゴルフクラブを選択するだけで、違和感なくスウィングでき、適性なトウダウン量が得られ、クラブフェース面上の前後位置の常に一定箇所、即ち、一定の重心位置(スイートスポット)でボールを打球でき、左右に振れない安定したショットを得ることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第2実施形態を示す概念図である。
【図3】第2実施形態のトウダウン量の測定方法の説明図である。
【図4】一般のゴルフクラブにおけるトウダウン量の説明図である。
【図5】クラブシャフトに歪みゲージを取付けて測定する従来の歪みゲージ測定法の説明図である。
【符号の説明】
1 ウッドゴルフクラブのクラブヘッド 2 クラブシャフト
3 フェース面 3a クラブヘッドのトウ側
4 歪みゲージ
5 テレビカメラ(CCDカメラ) 6 演算処理装置
7 表示装置 8 光学的検出手段
9a 投光部(光センサー) 9b 受光部(光センサー)
Q ゴルフボール L 移動距離(トウダウン量)
P フェース面の中心
【発明の属する技術分野】
この発明は、ウッドゴルフクラブ,アイアンゴルフクラブにおけるゴルフクラブのトウダウン量測定方法に係わり、更に詳しくはティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動、即ち、ゴルフクラブをスウィングした時に、クラブヘッドがプレーヤー側に引き寄せられる現象,所謂,トウダウン現象が生じる時に、そのトウダウン量を自動的に測定する測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ウッドゴルフクラブ,アイアンゴルフクラブのゴルフクラブをスウィングした時に、クラブヘッドがプレーヤー側に引き寄せられる現象,所謂,トウダウン現象が生じることが知られている。
このトウダウン現象は、例えば、図4に示すように、クラブヘッド1の重心位置Gが、クラブシャフト2の軸線XーXから一般に30mm〜50mm(ウッドゴルフクラブヘッドの場合)程度離れているので、ゴルフクラブをスウィングした時に、クラブヘッド1にかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフト2が図4の一点鎖線に示すように撓んでクラブヘッド1がプレーヤー側(図の矢印方法)に引き寄せようとする力から生ずるものである。
【0003】
その結果、実際にティーアップしたゴルフボールQの中心に対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心P(一般にスイートスポット)の位置は、アドレス位置よりプレーヤー側に所定距離L(一般に5mm〜30mm程度)ずれることになり、ティーアップしたゴルフボールQの中心に対して、クラブヘッド1のフェース面3のトウ側3aが位置して打球することになる。
【0004】
このため、ゴルフボールQの弾き出す方向が定まらず、プレーヤーが狙った目標方向に飛ばなかったり、また不安定となる現象が生じていた。
また、上記のトウダウン現象により、ゴルフボールQを打球する位置が外れた場合には、クラブヘッド1の最大の反発特性が得られず、飛距離を損なう確率も増大すると言う問題があった。
【0005】
例えば、本願発明者等が実際に、新規に設計したゴルフクラブを評価するため、スウィングロボットのアームにゴルフクラブを装着し、アドレス時にゴルフボールQをクラブヘッド1のフェース面3の中心Pに位置合わせしてスウィングすると、殆どゴルフボールQは真っ直ぐに飛ばないことが多いことが判った。
そこで、本願発明者等は、上記のような現象を解決すべく、種々の検討や実験を行った結果、ゴルフボールQが真っ直ぐに飛ばない原因の一つとして、上述したトウダウン現象であることの知見を得た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、ゴルフボールQの方向性は別として、トウダウン現象を抑える手段として、概念的に単にスウィングスピードが速い場合には、硬めのシャフトにして、トウダウン量を抑えると言う考えもあるが、然し、この方法の場合では、シャフトの硬さのみでトウダウン量をコントロールすると精度が悪く、限界があった。
【0007】
本願発明者等は、上記のようなトウダウン量の種々の問題に鑑み、トウダウン量を解析してみたところ、図4及び下記のような式で、解析的にトウダウン量(δ)を求めることが出来ることが判った。
但し、ここでは簡素化のために、r’=rとすると、
トウダウン量(δ)=(rme/2EI)v2 となる。 ここで、
e:クラブシャフト2の軸線XーXからクラブヘッド1の重心位置Gまでの距離
r:クラブの長さ
m:クラブヘッドの質量
EI:シャフト等価曲げ剛性、である。
【0008】
然し、上記の式において、シャフトの曲げ剛性(EI)は、シャフト全長にわたる剛性分布の積分値を用いるのが良いが、ここではゴルフ業界で用いられる周知の3点曲げによる全体剛性を用いたため、実際のトウダウン量(δ)の絶対値とは誤差が生じることが懸念されるため、実際のトウダウン量(δ)を正確に、かつ直接的に測定する必要が生じた。
【0009】
トウダウン量(δ)を直接的に求める方法としては、例えば、クラブヘッドのフェース面にスプレー等でマーキングを塗布し、ゴルフクラブをロボットアームに装着する。そして、ゴルフクラブのアドレス時、ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせしてスウィングし、フェース面に付いたゴルフボールの痕跡と、ゴルフクラブのアドレス時の位置とのズレ、即ち、移動距離がトウダウン量となり、この距離を測定する。
【0010】
然しながら、ゴルファーがスウィングする場合には、アドレス位置が不安定で、しかもスウィング軌道も一定になり難いため、正確なトウダウン量を得ることは難しい。
また、その他の方法としては、図5に示すように、クラブシャフト2に歪みゲージ4を所定の間隔で複数箇所(4ヵ所)取付け、クラブシャフト2の撓み量からクラブヘッドのトウダウン量を求めることも考えられるが、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや、クラブシャフト2に歪みゲージ4を貼付けること自体の違和感、更にはクラブシャフト2の曲げ剛性等に影響を与え、その結果、安定したスウィングによる試験が再現でき難いと言う問題があった。
【0011】
この発明は、かかる従来の課題に着目して案出されたもので、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラや光学的検出手段を用いることで、クラブヘッドのフェース面やクラブシャフトに、測定手段を塗布したり、貼付けることなくトウダウン量を測定出来、従って、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るゴルフクラブのトウダウン量測定方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッドの移動距離を測定するトウダウン量測定方法であって、前記ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせした位置と、ゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッドのフェース面中心の移動距離とをスウィングの前方に設置されたテレビカメラで撮像し、この撮像した画像を演算処理装置に入力して画像処理すると共に、比較演算することにより、前記クラブヘッドの移動距離を自動的に測定することを要旨とするものである。
【0013】
また、この発明は、ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッドの移動距離を測定するトウダウン量測定方法であって、
予め、クラブヘッドの打球位置の前後部に、投光部と受光部とから成る光学的検出手段を配設し、前記ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせした位置で、光学的検出手段の投光部からフェース面に水平光を照射し、その時の遮光量を検出して演算処理装置に入力すると共に、この位置を基準位置として設定し、次いで光学的検出手段の投光部から光を照射している状態で、ゴルフクラブをスウィングした時の前記基準位置の遮光量と同一になった時の位置を検出し、この検出値を演算処理装置に入力して、基準位置との距離を比較演算することにより、基準位置からゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッドの移動距離を自動的に測定することを要旨とするものである。
【0014】
なお、前記光学的検出手段にレーザービームを用いてクラブヘッドの移動距離を自動的に測定することも可能である。
この発明は上記のように構成され、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラによりゴルフクラブのスウィング時を撮像して画像を処理し演算処理装置によりトウダウン量を演算して自動的に求めることにより、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るものである。
【0015】
また、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、光学的検出手段で、クラブヘッドのアドレス時と、スウィング時とのクラブヘッドのフェース面の遮光量を検出し、その検出した値を演算処理装置によりトウダウン量を演算して自動的に求めることにより、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
なお、従来例と同一構成要素は、同一符号を付して説明は省略する。
図1は、この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第1実施形態を示す概略構成図を示し、Qはティーアップしたゴルフボール、1はウッドゴルフクラブのクラブヘッド、2はクラブシャフト、5はクラブヘッド1をスウィングする前方に設置されたテレビカメラ(CCDカメラ)、6はテレビカメラ5に接続された演算処理装置で、マイクロコンピュータにより画像処理されるもので、また7はトウダウン量(δ)を表示する表示装置を示している。
【0017】
この発明の第1実施形態は、上記テレビカメラ5を用いてトウダウン量測定する方法であり、その測定方法を具体的に説明する。
トウダウン量の測定とは、上記図4を参照して詳述したように、ティーアップしたゴルフボールQの中心に対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pを位置合わせする。
【0018】
次いでゴルフクラブをスウィングした時、クラブヘッド1にかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフト2が二点鎖線に示すように撓んで、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pが、ゴルフボールQの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッド1の移動距離L、即ち、トウダウン量(δ)を測定するものである。
【0019】
即ち、前記ティーアップしたゴルフボールQの中心Pに対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pを位置合わせした位置(アドレス位置)と、ゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッド1のフェース面3の中心Pの移動距離Lとを前記テレビカメラ5で撮像し、この撮像した画像を演算処理装置6に入力して画像処理すると共に、比較演算することにより、前記クラブヘッドの移動距離L、即ち、トウダウン量(δ)を自動的に測定することが出来るものである。
【0020】
次に、図2及び図3は、この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第2実施形態を示す概念図と、測定方法の説明図であって、この実施形態は、上記第1実施形態のテレビカメラ5(CCDカメラ)の代わりに、光学的検出手段8を用いてトウダウン量(δ)を自動的に測定する方法である。
即ち、この第2実施形態では、予め、クラブヘッド1の打球位置の前後部に、投光部9a(光センサー)と受光部9b(光センサー)とをゴルフクラブをスウィングした時に邪魔にならない位置に平行に立設する。
【0021】
そして、前記ティーアップしたゴルフボールQの中心Pに対して、クラブヘッド1のフェース面3の中心Pを位置合わせした位置(アドレス位置)で、図3に示すように、光学的検出手段8の投光部9aからフェース面3に水平光を照射し、その時の遮光量Z(図3において斜線部で示す)を検出して演算処理装置6に入力して、この位置を基準位置として設定する。
【0022】
次いで、光学的検出手段8の投光部9aから光を照射している状態で、ゴルフクラブをスウィングした時の前記基準位置の遮光量Xと同一になった時の位置を検出し、この検出値を演算処理装置6に入力して、基準位置との距離を比較演算することにより、基準位置からゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッド1の移動距離を自動的に測定するものである。
【0023】
なお、前記光学的検出手段8にレーザービームを用いてクラブヘッドの移動距離を自動的に測定することも可能である。
以上のように、ゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラ5(CCDカメラ)や、光学的検出手段8によりゴルフクラブのスウィング時を光学的に検出して、演算処理装置6によりクラブヘッドの移動距離L、即ち、トウダウン量(δ)を演算して自動的に求めることにより、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来るものである。
【0024】
次に、この発明の実施例を説明すると、実験方法としては、パネラーA(トップアマチュア)と、パネラーB(一般のアマチュア)との2人にスウィングしてもらい、それぞれパネラーA,Bについて、テレビカメラ5(CCDカメラ)によりトウダウン量を測定した場合を実施例1,光学的検出手段8で測定した場合を実施例2,ショットマーカー法(フェース面にマーカを塗布してトウダウン量を測定する方法)を比較例1,図5に示すように、シャフトに歪みゲージを取付けてトウダウン量を測定する方法を比較例2の4通りについて実験を行った。
【0025】
また、使用したゴルフクラブは、2人ともウッドゴルフクラブの1番(ドライバー)で、各方法を50回スウィングを繰返し、その時のトウダウン量の平均値を標準偏差により求めた。
【0026】
【0027】
【0028】
〔実験結果〕
▲1▼.上記、実験結果からも明らかなように、σn−1 (標準偏差)が比較例1,2とも、1.7〜2.3mm対して、実施例1,2は、0.7〜0.9mmでバラツキが小さく、精度の良いデータが、パネラーA,Bとも得られた。
因みに、AVE(mm)(平均値)の絶対値は、パネラーAの方が大きくでており、これは、パネラーAの方がスウィングスピード(ヘッドスピード)が速かったためである。
▲2▼.歪みゲージ法は、ワイヤレス歪みゲージをシャフトに4ヵ所貼付けて、シャフトの撓み量からクラブヘッドのトウダウン量を求めたが、フィーリング欄でパネラーA,B両者とも×印を付した。これは、クラブシャフトに歪みゲージを貼付けること自体違和感を生じ、その結果、安定したスウィングによる試験が再現でき難いことが推測される。
▲3▼.ショットマーカー法は、ゴルフボールの打球痕跡をスケールで計測する誤差も大きいが、フェース面に白色のマーカーを塗ることによる違和感が出てしまった。特に、パネラーAは、フィーリングも×印となった。
【0029】
なお、上記の実施形態では、ウッドゴルフクラブヘッドのトウダウン量の測定方法について説明したが、アイアンゴルフクラブについても適用出来ることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
この発明は、上記のようにゴルフクラブのトウダウン量を測定する場合に、テレビカメラ(CCDカメラ)や、光学的検出手段によりゴルフクラブのスウィング時を光学的に検出して、演算処理装置によりクラブヘッドの移動距離、即ち、トウダウン量を演算して自動的に求めることにより、クラブヘッドのフェース面やクラブシャフトに、測定手段を塗布したり、貼付けることなくトウダウン量を自動的に測定出来、従って、ゴルフクラブのスウィング時のフィーリングや違和感、或いはシャフトの曲げ剛性に影響を与えることなく、常に正確なトウダウン量を測定することが出来る効果がある。
【0031】
また、この結果、ゴルファーのヘッドスピード,スウィングに合ったトウダウン量のゴルフクラブを選択するだけで、違和感なくスウィングでき、適性なトウダウン量が得られ、クラブフェース面上の前後位置の常に一定箇所、即ち、一定の重心位置(スイートスポット)でボールを打球でき、左右に振れない安定したショットを得ることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】この発明のゴルフクラブのトウダウン量測定方法を実施するための第2実施形態を示す概念図である。
【図3】第2実施形態のトウダウン量の測定方法の説明図である。
【図4】一般のゴルフクラブにおけるトウダウン量の説明図である。
【図5】クラブシャフトに歪みゲージを取付けて測定する従来の歪みゲージ測定法の説明図である。
【符号の説明】
1 ウッドゴルフクラブのクラブヘッド 2 クラブシャフト
3 フェース面 3a クラブヘッドのトウ側
4 歪みゲージ
5 テレビカメラ(CCDカメラ) 6 演算処理装置
7 表示装置 8 光学的検出手段
9a 投光部(光センサー) 9b 受光部(光センサー)
Q ゴルフボール L 移動距離(トウダウン量)
P フェース面の中心
Claims (3)
- ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッドの移動距離を測定するトウダウン量測定方法であって、前記ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせした位置と、ゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッドのフェース面中心の移動距離とをスウィングの前方に設置されたテレビカメラで撮像し、この撮像した画像を演算処理装置に入力して画像処理すると共に、比較演算することにより、前記クラブヘッドの移動距離を自動的に測定することを特徴とするゴルフクラブのトウダウン量測定方法。
- ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動し、その時のクラブヘッドの移動距離を測定するトウダウン量測定方法であって、
予め、クラブヘッドの打球位置の前後部に、投光部と受光部とから成る光学的検出手段を配設し、前記ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせした位置で、光学的検出手段の投光部からフェース面に水平光を照射し、その時の遮光量を検出して演算処理装置に入力すると共に、この位置を基準位置として設定し、次いで光学的検出手段の投光部から光を照射している状態で、ゴルフクラブをスウィングした時の前記基準位置の遮光量と同一になった時の位置を検出し、この検出値を演算処理装置に入力して、基準位置との距離を比較演算することにより、基準位置からゴルフクラブをスウィングした時のクラブヘッドの移動距離を自動的に測定することを特徴とするゴルフクラブのトウダウン量測定方法。 - 前記光学的検出手段にレーザービームを用いてクラブヘッドの移動距離を自動的に測定する請求項2に記載のゴルフクラブのトウダウン量測定方法。
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