JP3551070B2 - コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数特性及び耐熱耐湿性に優れた小型大容量コンデンサの製造方法に関し、誘電体層の少なくとも一方の表面に、導電性高分子層を備えたコンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器のデジタル化に伴って、コンデンサについても小型大容量で高周波領域でのインピーダンスの低いものが要求されている。
【0003】
従来、コンデンサの電解質に電気伝導度の高い導電性高分子を用いて、高周波領域でのインピ−ダンスを低くしたコンデンサが多く提案されている。
【0004】
誘電体皮膜を設けたアルミニウムに3、4ーエチレンジオキシチオフェンを繰り返し単位としp−トルエンスルホン酸アニオンをド−パントとして含む導電性高分子を化学重合により形成したコンデンサが提案されている(特開平2−15611号公報)。3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマ−と酸化剤を溶媒により溶解した溶液を、酸化が施されたアルミニウム電極に塗布し、次いで室温あるいは加熱して溶媒を除去し、化学重合反応により導電性高分子層を形成し、次いで水を用いて導電性高分子層から過剰な酸化剤を洗い去り、最後に乾燥させてコンデンサを得る製造方法が記述されている。
【0005】
また、3,4−エチレンジオキシチオフェン及び過塩素酸テトラブチルアンモニウムをアセトニトリルに溶解した電解液を用いて、白金電極上に電解重合法によりポリチオフェン膜を得る方法が提案されている(特開平1−313521号公報)。
【0006】
また、3、4ーエチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを混合した混合溶液を、陽極電極箔と陰極電極箔とをガラスペ−パ−からなるセパレ−タを介して巻回したコンデンサ素子に含浸し、セパレ−タに浸透した混合溶液中の重合反応により生成したポリエチレンジオキシチオフェンを電解質層としてセパレ−タで保持した固体電解コンデンサが提案されている(特開平9−293639号公報)。
【0007】
酸化剤にはp−トルエンスルホン酸第二鉄を、溶媒にはエチレングリコ−ルを用い、混合溶液を含浸したコンデンサ素子を、25℃ないし100℃の温度に放置して、重合反応によりポリエチレンジオキシチオフェンからなる導電性高分子層を生成させ、次いで水、有機溶媒等を用いて洗浄し、最後に乾燥させてコンデンサを得る製造方法が提案されている。
【0008】
さらに、化学重合によるポリピロ−ル膜上に電解重合によるポリピロ−ル膜を形成するタンタル固体電解コンデンサの製造方法が提案されている(特開平3−18009号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、誘電体層の上にチオフェン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層を化学重合のみにより形成する場合には、重合速度が遅いため重合に長時間を要するという課題があった。
【0010】
そこで、誘電体層の上に導電層を形成した後に、電解重合法によりチオフェン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層を形成しようとした場合、チオフェン誘導体が水に溶け難いため、電解液の溶媒に有機溶媒を用いる方法が知られている。有機溶媒には可燃性のものが多く、電解重合法で大量生産を考慮した場合、電気火花による引火を予防するための厳格な措置を必要とするという課題があった。
【0011】
また、低沸点溶媒を使用した場合、溶媒揮散による電解液組成変化が大きく、定常状態で重合反応を進行させることが困難で、安定した電気伝導度ならびに環境安定性を有する導電性高分子が得られにくいという課題も抱えていた。
【0012】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するもので、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するもので、本発明による第一のコンデンサの製造方法は、誘電体層を用意する工程と、前記誘電体層の少なくても一方に重合性モノマ−と酸化剤との化学重合により第1の導電性高分子層を形成する工程と、チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化した水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えた構成である。
【0014】
誘電体層の上に第1の導電性高分子層を形成し、それを導電層として用い、その上に水媒体の電解重合によりチオフェン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層を容易に形成することができる。
【0015】
チオフェン誘導体は、水に対する溶解度が極めて低い。そこで、アニオン系界面活性剤とともに水媒体中で撹拌することにより、界面活性剤で形成されたミセル中に取り込まれる。その乳化した水媒体の溶液を電解液として用いる。重合反応は重合性モノマ−がミセル中に濃縮されているため、速やかに進行し、かつ重合度の高い重合体が容易に得られる。そのため、得られたチオフェン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子は高収率でかつ電気伝導度が高い。また、無毒性かつ不燃性の水を媒体として用いるため、生産プロセスの構築が容易で、コンデンサの量産を容易にすることができる。
【0016】
アニオン系界面活性剤としては、スルホン酸系界面活性剤が使用され、さらには脱ド−プしにくい嵩高な構造を有するアルキルナフタレンスルホン酸系界面活性剤が好適に使用される。ド−パントとして取り込まれた界面活性剤アニオンの嵩が大きいために脱ド−プが抑制される。これらによって、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に得ることができる。
【0017】
本発明による第二のコンデンサの製造方法は、誘電体層を用意する工程と、前記誘電体層の少なくても一方に重合性モノマ−と酸化剤との化学重合により第1の導電性高分子層を形成する工程と、チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化し、かつフェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を含有する水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えた構成である。
【0018】
フェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を添加すると、規則性の高い、共役長の発達した導電性高分子を生成できるため、電気伝導度が高く、環境安定性の高い導電性高分子層を形成できるので、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に得ることができる。
【0019】
以上の製造方法により、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、誘電体層を用意する工程と、前記誘電体層の少なくても一方にチオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を塗布する工程と、前記混合溶液が塗布された誘電体層を前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化した水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えた構成としたものであり、誘電体層の上にチオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を塗布してから溶媒の沸点以上に速やかに加熱し、化学重合によりチオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成し、それを導電層として用いる。その上に前記請求項1と同様にして、チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を形成する。
【0034】
第1の導電性高分子層を形成する際、コンデンサ素子に混合溶液を塗布した後、溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、溶媒を速やかに蒸発させ、モノマ−と酸化剤が均一に混ざり合った状態で重合反応を進行させることによって、分子量が大きく、均一で電気伝導度の高い導電性高分子層が得られる。また、第2の導電性高分子層を形成する際、アニオン系面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に実現できる。
【0035】
ここで、塗布する工程としては、刷毛塗り、浸漬塗布、滴下塗布、スプレ−塗布等があげられるが、好適には浸漬塗布が用いうる。
【0036】
また、速やかに加熱する工程として、コンデンサ素子をオ−ブン中で加熱する方法や、コンデンサ素子をホットプレ−ト上に接触させて加熱する方法が用いうる。
【0037】
また、酸化剤には、アルキルベンゼンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、アルキルナフタレンスルホン酸第二鉄、アントラキノンスルホン酸第二鉄等が好適に用いられる。
【0038】
また、溶媒には、水、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、ブタノ−ル等があげられるが、好適にはエタノ−ルが用いられる。
本発明の請求項2記載の発明は、誘電体層を用意する工程と、前記誘電体層の少なくても一方にチオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を塗布する工程と、前記混合溶液が塗布された誘電体層を前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化し、かつフェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を含有する水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えた構成としたものであり、フェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を添加すると、規則性の高い、共役長の発達した導電性高分子を生成できるため、電気伝導度が高く、環境安定性の高い導電性高分子層を形成できるので、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に実現できる。
【0039】
本発明の請求項3記載の発明は、誘電体層が設けられた陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレ−タを介して巻回したコンデンサ素子を用意する工程と、チオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を前記コンデンサ素子に含浸する工程と、前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により、前記コンデンサ素子内に前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化した水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えた構成としたものであり、巻回したコンデンサ素子に、チオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を含浸してから溶媒の沸点以上に速やかに加熱し、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により、コンデンサ素子内に前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成し、それを導電層として用いる。その上に前記請求項1と同様にして、チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を形成する。
【0040】
第1の導電性高分子層を形成する際、コンデンサ素子に混合溶液を含浸させた後、溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、溶媒が蒸発して体積が膨張し、陽極電極箔、セパレ−タ、及び陰極電極箔の間隙を通って端面から噴出する。重合反応により生成された導電性高分子層が端面近傍に集まって端面を塞ごうとしても、噴出する力により押し破り、導電性高分子層によって端面が塞がれることを防止できるので、次の工程で、電解液をコンデンサ素子の中に含浸し、電解重合により第2の導電性高分子層を設けることができる。また、溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、溶媒を速やかに蒸発させ、モノマ−と酸化剤が均一に混ざり合った状態で重合反応を進行させることによって、分子量が大きく、均一で電気伝導度の高い導電性高分子層が得られる。また、第2の導電性高分子層を形成する際、アニオン系面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に実現できる。
【0041】
ここで、陽極電極箔と陰極電極箔には、アルミニウム箔、タンタル箔、ニオブ箔、チタン箔等の弁金属にエッチング処理が施され、陽極電極箔にはさらに陽極酸化処理が施されたものが用いられる。
【0042】
また、セパレ−タには、マニラ紙、クラフト紙、合成繊維紙、ガラスペ−パ−等が用いられる。
【0043】
また、速やかに加熱する工程として、コンデンサ素子をオ−ブン中で加熱する方法や、コンデンサ素子をホットプレ−ト上に接触させて加熱する方法が用いうる。
【0044】
また、酸化剤には、アルキルベンゼンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、アルキルナフタレンスルホン酸第二鉄、アントラキノンスルホン酸第二鉄等があげられるが、好適にはナフタレンスルホン酸第二鉄が用いられる。
【0045】
また、溶媒には、水、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、ブタノ−ル等があげられるが、好適にはエタノ−ルが用いられる。
本発明の請求項4記載の発明は、誘電体層が設けられた陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレ−タを介して巻回したコンデンサ素子を用意する工程と、チオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を前記コンデンサ素子に含浸する工程と、前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により、前記コンデンサ素子内に前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化し、かつフェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を含有する水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えた構成としたものであり、フェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を添加すると、規則性の高い、共役長の発達した導電性高分子を生成できるため、電気伝導度が高く、環境安定性の高い導電性高分子層を形成できるので、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に実現できる。
【0046】
また、請求項5記載のように、誘電体層が、弁金属の酸化物皮膜であってもよい。
【0047】
また、請求項6記載のように、弁金属が、アルミニウムまたはタンタルであることが好適である。
【0048】
また、請求項7記載のように、誘電体層が、高分子膜であってもよく、この場合請求項8記載のように、高分子が、ポリイミドまたはアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体であることが好適である。
【0049】
また、請求項9記載のように、チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたは3,4−エチレンジチアチオフェンであることが好適である。
【0050】
また、請求項10記載のように、アニオン系界面活性剤が、スルホン酸系界面活性剤であることが好適である。
【0051】
また、請求項11記載のように、フェノ−ル誘導体に、ニトロフェノ−ル、シアノフェノ−ル、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノ−ル、もしくはアセトフェノ−ル、またはそれらの組み合せのものを用いうる。
【0052】
また、請求項12記載のように、ニトロベンゼン誘導体に、ニトロベンジルアルコ−ルまたはニトロ安息香酸を用いうる。

【0053】
以下、本発明の各実施の形態について詳細に説明する。
【0054】
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態について図1をもとに説明する。
【0055】
縦8mm×横3.3mmのアルミニウムエッチド箔1を、4mmと3mmの部分に仕切るように、両面に渡って、幅1mmのポリイミドテープ2を貼付けた。
【0056】
次に、アルミニウムエッチド箔1の3mm×3.3mmの部分に陽極リード線5を取り付け、アルミニウムエッチド箔1の4mm×3.3mmの部分を、70℃の3%アジピン酸アンモニウム水溶液を用い、まず10mV/secの速度で0から10Vまで上げ、続けて10Vの定電圧を40分間印加し、陽極酸化により誘電体層3を形成した。そして、脱イオン水の流水により10分洗浄してから、105℃で5分乾燥を行った。この構成をコンデンサと見立て、化成液中の容量を測定したところ、18μFであった。
【0057】
30%硝酸マンガン水溶液の中に、アルミニウムエッチド箔1の誘電体層3が設けられた部分を浸漬し、自然乾燥させた後250℃で30分間加熱し熱分解処理を行い、誘電体層上にマンガン酸化物層8を形成した。
【0058】
次に、前記陽極酸化と同じ条件で再化成を行い、加熱により生じた欠陥部分を修復した。
【0059】
次に、チオフェン誘導体である3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)0.2mol/lとアニオン系界面活性剤であるアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量338)0.05mol/lを脱イオン水の中に入れ、スタ−ラで撹拌してEDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用意する。電解液の中にマンガン酸化物層8まで形成したアルミニウムエッチド箔1を浸漬し、不図示のステンレス製の電解重合用電極をマンガン酸化物層8に近接するようにポリイミドテ−プ2に接触させ、電解重合用電極と隔離して設けた不図示の電解重合用第二電極との間に3Vを30分印加して、電解重合によりマンガン酸化物層8の上にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)からなる導電性高分子層4を形成した。
【0060】
次に、脱イオン水の中にアルミニウムエッチド箔1を10分浸漬して洗浄を行った。そして、オ−ブン中に入れて105℃で5分乾燥した。
【0061】
導電性高分子層4形成の後、その上に、カ−ボン層と銀ペイント層で陰極層7を形成すると共に、陰極リ−ド線6を取り付けた。
【0062】
さらに、エポキシ樹脂を用いて外装してから、エ−ジング処理を行い、合計で10個のコンデンサを完成させた。
これら10個のコンデンサについて、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピ−ダンスを各々測定した。さらに85℃85%雰囲気中にさらし、500時間の耐熱・耐湿性試験を行い、容量、損失係数、及びインピ−ダンスを測定した。それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0063】
【表1】
Figure 0003551070
本実施の形態では、マンガン酸化物層を導電層として、EDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用いた電解重合によってPEDOTからなる導電性高分子層を形成するものであり、導電性高分子層を形成する際、スルホン酸系面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0064】
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0065】
本実施の形態では、実施の形態1の構成において、電解液に、さらに0.05mol/lのp−ニトロフェノ−ルを添加した以外は、実施の形態1と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0066】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。なお、PEDOTからなる導電性高分子層の形成に要した電解重合の重合時間は20分であった。
【0067】
(表1)から理解されるように、本実施の形態のコンデンサは、実施の形態1のコンデンサと比較して、p−ニトロフェノ−ルの添加によって、損失係数やインピ−ダンス特性、及び高温・高湿度下での安定性がさらに優れていることが分かった。
(実施の形態3)
以下、本発明の第3の実施の形態について図2をもとに説明する。
【0068】
アルミニウムエッチド箔1は、実施の形態1と同じもので、同様に化成したものを用いた。
【0069】
ピロ−ルモノマ−1mol/lをエタノ−ルの溶媒で溶解したモノマ−溶液を用意する。ナフタレンスルホン酸第二鉄0.5mol/lをエタノ−ルの溶媒で溶解した酸化剤溶液を用意する。
【0070】
アルミニウムエッチド箔1をモノマ−溶液に5分間浸漬後、酸化剤溶液に10分間浸漬して、化学重合によりポリピロ−ルからなる第1の導電性高分子層10を形成した。
【0071】
次に、エタノ−ルの洗浄を10分間行った。続けて脱イオン水の洗浄を10分間行った。そして、オ−ブン中に入れて105℃で5分乾燥した。
第1の導電性高分子層が所定の厚さになるまで、浸漬から乾燥までの一連の工程を2回繰り返した。
【0072】
次に、不図示の電解重合用電極を第1の導電性高分子層に近接するように配置して、実施の形態1と同様の電解重合により、第1の導電性高分子層の上にPEDOTからなる第2の導電性高分子層11を形成した。
【0073】
他は実施の形態1と同様にして、コンデンサを完成させた。
【0074】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0075】
本実施の形態では、化学重合によってポリピロ−ルからなる第1の導電性高分子層を形成し、それを導電層として、EDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用いた電解重合によってPEDOTからなる第2の導電性高分子層を形成するものであり、第2の導電性高分子層を形成する際、スルホン酸系面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0076】
(実施の形態4)
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0077】
本実施の形態では、実施の形態3の構成において、電解液に、さらに0.05mol/lのp−シアノフェノ−ルを添加した以外は、実施の形態3と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0078】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。なお、PEDOTからなる第2の導電性高分子層の形成に要した電解重合の重合時間は20分であった。
【0079】
(表1)から理解されるように、本実施の形態のコンデンサは、実施の形態3のコンデンサと比較して、p−シアノフェノ−ルの添加によって、損失係数やインピ−ダンス特性、及び高温・高湿度下での安定性がさらに優れていることが分かった。
【0080】
(実施の形態5)
以下、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0081】
大きさが3.6×2.9×1.4mmで、タンタルのリ−ド線が配された重量約90mgのタンタル焼結体のコンデンサ素子に対して、リン酸5mlを1000mlの脱イオン水に溶解した約90℃の溶液を用い、まず5mV/secの速度で0から42Vまで上げ、続けて42Vの定電圧を3時間印加し、陽極酸化により酸化皮膜誘電体層を形成した。この構成をコンデンサと見立て、化成液中の容量を測定したところ、68μFであった。
【0082】
EDOT0.2mol/lとアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量338)0.05mol/lを脱イオン水の中に入れ、スタ−ラで撹拌してEDOTを乳化分散させた25℃の水媒体のモノマ−溶液を用意する。硫酸第二鉄0.5mol/lを脱イオン水に溶かした60℃の酸化剤溶液を用意する。
【0083】
コンデンサ素子をモノマ−溶液に5分間浸漬後、酸化剤溶液に20分間浸漬して、化学重合によりPEDOTからなる第1の導電性高分子層を形成した。
脱イオン水による洗浄を10分間した後、105℃のオ−ブン中で乾燥を5分間行った。
【0084】
コンデンサ素子の中にPEDOTが充填されるまで、モノマ−溶液への浸漬から乾燥までの一連の工程を10回繰り返した。
【0085】
次に、EDOT0.2mol/lとアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量338)0.05mol/lを脱イオン水の中に入れ、スタ−ラで撹拌してEDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用意する。電解液の中にコンデンサ素子を浸漬し、第1の導電性高分子層に近接するように電解重合用電極を配置し、電解重合用電極と隔離して設けた電解重合用第二電極との間に3Vを30分印加して、電解重合によりPEDOTからなる第2の導電性高分子層を形成した。
【0086】
次に、脱イオン水による洗浄を10分間した後、105℃のオ−ブン中で乾燥を5分間行った。
【0087】
次に、第2の導電性高分子層の上にカ−ボン層と銀ペイント層で陰極層を形成すると共に、陰極リ−ド線を取り付けた。
【0088】
さらに、エポキシ樹脂を用いて外装してから、エ−ジング処理を行い、合計で10個のコンデンサを完成させた。
【0089】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0090】
本実施の形態では、EDOTを乳化分散させた水媒体のモノマ−溶液と、水媒体の酸化剤溶液を用いた化学重合によってPEDOTからなる第1の導電性高分子層を形成し、それを導電層として、EDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用いた電解重合によってPEDOTからなる第2の導電性高分子層を形成するものであり、第1の導電性高分子層を形成する際、スルホン酸系界面活性剤を添加した水媒体中での化学重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、電気伝導度及び環境安定性に優れた導電性高分子層が得られる。
【0091】
また同様に、第2の導電性高分子層を形成する際、スルホン酸系界面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0092】
(実施の形態6)
以下、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0093】
本実施の形態では、実施の形態5の構成において、電解液に、さらに0.05mol/lのヒドロキシ安息香酸を添加した以外は、実施の形態5と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0094】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。なお、PEDOTからなる第2の導電性高分子層の形成に要した電解重合の重合時間は20分であった。
【0095】
(表1)から理解されるように、本実施の形態のコンデンサは、実施の形態5のコンデンサと比較して、ヒドロキシ安息香酸の添加によって、損失係数やインピ−ダンス特性、及び高温・高湿度下での安定性がさらに優れていることが分かった。
【0096】
(実施の形態7)
以下、本発明の第7の実施の形態について説明する。
アルミニウムエッチド箔は、実施の形態1と同じもので、同様に化成したものを用いた。
EDOT1mol/lと酸化剤のナフタレンスルホン酸第二鉄0.2mol/lを、エタノ−ルと水の重量比が約98対2の溶媒により溶解した混合溶液を用意した。
【0097】
混合溶液の中にアルミニウムエッチド箔の誘電体層が設けられた部分を1分浸漬してから引き上げ、溶媒の沸点より高い120℃のオ−ブン中に入れて速やかに加熱し、20分放置した。加熱によって溶媒が速やかに蒸発し、化学重合反応が進行して誘電体層の上にPEDOTからなる第1の導電性高分子層を形成した。
【0098】
次に、有機溶剤のエタノ−ルの中にアルミニウムエッチド箔を10分浸漬して洗浄を行った。続けて脱イオン水の中にアルミニウムエッチド箔を10分浸漬して洗浄を行った。そして、オ−ブン中に入れて105℃で5分乾燥した。
第1の導電性高分子層が所定の厚さになるまで、浸漬塗布から乾燥までの一連の工程を3回繰り返した。
【0099】
次に、電解重合用電極を第1の導電性高分子層に近接するように配置して、実施の形態1と同様の電解重合により、第1の導電性高分子層の上にPEDOTからなる第2の導電性高分子層を形成した。
【0100】
他は実施の形態1と同様にして、コンデンサを完成させた。
【0101】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0102】
本実施の形態では、誘電体層の上に混合溶液を塗布してから溶媒の沸点以上に速やかに加熱し、化学重合によってPEDOTからなる第1の導電性高分子層を形成し、それを導電層として、EDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用いた電解重合によってPEDOTからなる第2の導電性高分子層を形成するものであり、第1の導電性高分子層を形成する際、アルミニウムエッチド箔に混合溶液を塗布した後、溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、溶媒を速やかに蒸発させ、モノマ−と酸化剤が均一に混ざり合った状態で重合反応を進行させることによって、分子量が大きく、均一で電気伝導度の高い導電性高分子層が得られる。
【0103】
また、第2の導電性高分子層を形成する際、スルホン酸系面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0104】
(実施の形態8)
以下、本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0105】
本実施の形態では、チオフェン誘導体のEDOTに替えて3,4−エチレンジチアチオフェンを用いて第1と第2の導電性高分子層を形成した以外、実施の形態7と同様にしてコンデンサを完成させた。
【0106】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0107】
チオフェン誘導体に3,4−エチレンジチアチオフェンを用いた場合にも、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0108】
(実施の形態9)
以下、本発明の第9の実施の形態について説明する。
【0109】
本実施の形態では、誘電体層として陽極酸化皮膜に替えて高分子のポリイミドを用いた以外、実施の形態7と同様にしてコンデンサを完成させた。
【0110】
ポリイミドからなる誘電体層の形成方法を以下に示す。
【0111】
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンをN−メチルピロリドン中、窒素還流化で反応させてポリアミック酸を得た。このポリアミック酸をN,N−ジメチルアミドに希釈し、トリエチルアミンを加えてポリアミック酸塩溶液を得た。そして、メタノ−ルを添加して最終的にポリアミック酸を0.15%含むように調整し電着液とした。
【0112】
この電着液にアルミニウムエッチド箔を浸してこれを陽極とし、隔離して設けた電極との間に30Vの電圧を印加してポリアミック酸膜を電着させた。その後、250℃で1時間加熱してポリアミック酸をポリイミド化した。この電着並びに加熱を3回繰り返してポリイミドからなる誘電体層を形成した。
【0113】
この構成をコンデンサと見立て、化成液中の容量を測定したところ、0.35μFであった。
【0114】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0115】
誘電体層にポリイミドを用いることにより、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れたフィルムコンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0116】
(実施の形態10)
以下、本発明の第10の実施の形態について説明する。
【0117】
本実施の形態では、誘電体層として陽極酸化皮膜に替えて高分子のアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体を用いた以外、実施の形態7と同様にしてコンデンサを完成させた。
【0118】
アクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体からなる誘電体層の形成方法を以下に示す。
【0119】
用いた電着液組成は、固形分10重量%、脱イオン水86重量%、ブチルセロソルブ4重量%である。固形分として、分子量約3万のアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体とベンゾクアナミン系樹脂を7対3で混合したものを用いた。この固形分を電着液中に分散させるため、カルボン酸基の50%をトリメチルアミンにより中和した。
【0120】
この電着液にアルミニウムエッチド箔を浸してこれを陽極とし、隔離して設けた電極との間に電圧を印加し、0.3mA/cmの電流密度で10Vに達するまで定電流電着を行い、さらに10Vで15分間定電圧電着を行った。
【0121】
次に、80℃の脱イオン水による洗浄を20分間行ってから、180℃で30分間熱処理することにより、ベンゾグアナミン系樹脂との間で架橋反応させた。
【0122】
これら一連の処理を3回繰り返して誘電体層を形成した。
【0123】
この構成をコンデンサと見立て、化成液中の容量を測定したところ、0.36μFであった。
【0124】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0125】
誘電体層にアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体を用いることにより、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れたフィルムコンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0126】
(実施の形態11)
以下、本発明の第11の実施の形態について説明する。
【0127】
本実施の形態では、実施の形態7の構成において、電解液に、さらに0.05mol/lのニトロベンジルアルコ−ルを添加した以外は、実施の形態7と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0128】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。なお、PEDOTからなる第2の導電性高分子層の形成に要した電解重合の重合時間は20分であった。
【0129】
(表1)から理解されるように、本実施の形態のコンデンサは、実施の形態7のコンデンサと比較して、ニトロベンジルアルコ−ルの添加によって、損失係数やインピ−ダンス特性、及び高温・高湿度下での安定性がさらに優れていることが分かった。
【0130】
(実施の形態12)
以下、本発明の第12の実施の形態について図3をもとに説明する。
【0131】
陽極電極箔21には、アルミニウムエッチド箔の両面に陽極酸化によって誘電体層23が設けられたものを、幅2.3mm、長さ154mmの大きさに切断して用いた。また、陰極電極箔24には、幅2.3mm、長さ180mmのアルミニウムエッチド箔を用いた。
【0132】
次に、陽極電極箔21及び陰極電極箔24を、厚さ40μmのマニラ紙からなるセパレ−タ25を介して巻回し、巻き止めテ−プ26により止めて、コンデンサ素子27を得る。ここで用いた巻回したコンデンサ素子27の外形寸法は、直径が約7mm、端面上部28と端面下部29の両端面間の寸法が3.4mmのものである。なお、陽極電極箔21、陰極電極箔24には、予め陽極リ−ド線30と陰極リ−ド線31が電気的に接続されており、端面上部28から突出している。
【0133】
次に、陽極電極箔21を形成したときの切断面に陽極酸化処理を施した。陽極リ−ド線30を支持して、コンデンサ素子27を70℃の3%アジピン酸アンモニウム水溶液の中に浸漬させた。まず10mV/secの速度で0から14Vまで上げ、続けて14Vの定電圧を10分間印加し、陽極酸化により切断面に誘電体層を形成した。そして、脱イオン水の流水により10分洗浄してから、105℃で5分乾燥を行った。この構成をコンデンサと見立て、化成液中の容量を測定したところ、220μFであった。
【0134】
EDOT1mol/lと酸化剤のナフタレンスルホン酸第二鉄0.06mol/l及びトリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄0.12mol/lを、エタノ−ルと水の重量比が約99.5対0.5の溶媒により溶解した混合溶液を用意した。
【0135】
混合溶液の中にコンデンサ素子27を2分浸漬して含浸させてから引き上げ、溶媒の沸点より高い130℃のホットプレ−ト上にコンデンサ素子の端面下部29を30秒接触させてから、130℃のオ−ブン中に20分放置した。加熱によって溶媒が速やかに蒸発し、化学重合反応が進行してコンデンサ素子27の内部にPEDOTからなる第1の導電性高分子層32を形成した。
【0136】
次に、有機溶剤のエタノ−ルの中にコンデンサ素子27を15分浸漬して洗浄を行った。続けて脱イオン水の中にコンデンサ素子27を15分浸漬して洗浄を行った。そして、オ−ブン中に入れて120℃で30分乾燥した。
【0137】
第1の導電性高分子層32がコンデンサ素子27の内部に所定の量形成されるまで、浸漬塗布から乾燥までの一連の工程を3回繰り返した。
【0138】
次に、EDOT0.2mol/lとアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量338)0.05mol/lを脱イオン水の中に入れ、スタ−ラで撹拌してEDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用意する。電解液の中にコンデンサ素子27を浸漬し、陽極電極箔21と、不図示の隔離して設けた電解重合用第二電極との間に3Vを10分印加して、コンデンサ素子27の内部に電解重合によりPEDOTからなる第2の導電性高分子層33を形成した。
【0139】
さらに、陰極電極箔24と、不図示の隔離して設けた電解重合用第二電極との間に3Vを40分印加して、コンデンサ素子27の内部に電解重合によりPEDOTからなる第2の導電性高分子層33を形成した。
【0140】
次に、脱イオン水による洗浄を15分間した後、120℃のオ−ブン中で乾燥を30分間行った。
【0141】
次に、コンデンサ素子27を有底筒状のアルミニウムケ−スに収納し、その開口部をエポキシ樹脂により封口してから、エ−ジング処理を行い、合計で10個のコンデンサを完成させた。
【0142】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0143】
本実施の形態では、巻回したコンデンサ素子に、混合溶液を含浸してから溶媒の沸点以上に速やかに加熱し、化学重合によってコンデンサ素子内にPEDOTからなる第1の導電性高分子層を形成し、さらに、EDOTを乳化分散させた水媒体の電解液を用いた電解重合によってコンデンサ素子内にPEDOTからなる第2の導電性高分子層を形成するものであり、第1の導電性高分子層を形成する際、コンデンサ素子に混合溶液を含浸させた後、溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、溶媒が蒸発して体積が膨張し、陽極電極箔、セパレ−タ、及び陰極電極箔の間隙を通って端面から噴出する。
【0144】
重合反応により生成された導電性高分子層が端面近傍に集まって端面を塞ごうとしても、噴出する力により押し破り、導電性高分子層によって端面が塞がれることを防止できるので、次の工程で、電解液をコンデンサ素子の中に含浸し、電解重合により第2の導電性高分子層を設けることができる。
【0145】
また、溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、溶媒を速やかに蒸発させ、モノマ−と酸化剤が均一に混ざり合った状態で重合反応を進行させることによって、分子量が大きく、均一で電気伝導度の高い導電性高分子層が得られる。
【0146】
また、第2の導電性高分子層を形成する際、スルホン酸系面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサを容易に実現できることが分かった。
【0147】
(実施の形態13)
以下、本発明の第13の実施の形態について説明する。
【0148】
本実施の形態では、実施の形態12の構成において、電解液に、さらに0.05mol/lのニトロ安息香酸を添加した以外は、実施の形態12と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0149】
これらについて実施の形態1と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。なお、PEDOTからなる第2の導電性高分子層の形成に要した電解重合の重合時間は、陽極電極箔と隔離して設けた電解重合用第二電極との間で10分、陰極電極箔と隔離して設けた電解重合用第二電極との間で30分であった。
【0150】
(表1)から理解されるように、本実施の形態のコンデンサは、実施の形態12のコンデンサと比較して、ニトロ安息香酸の添加によって、損失係数やインピ−ダンス特性、及び高温・高湿度下での安定性がさらに優れていることが分かった。
【0151】
なお、実施の形態では、アニオン系界面活性剤としてアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムを用いる場合について述べたが、嵩高なアニオン系界面活性剤であれば他のものも用いることができ、本発明はその種類に限定されない。
【0152】
なお、実施の形態では、誘電体層となる高分子として、ポリイミドと、アクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体を用いる場合について述べたが、薄膜を形成できる高分子材料であれば他のものも用いることができ、本発明はその種類に限定されない。また、アルミニウムエッチド箔に電着で設ける形成方法について述べたが、薄膜を形成できる方法であれば他の方法でも適用することができ、本発明はその形成方法に限定されない。
【0153】
なお実施の形態では、重合可能なモノマ−として、3,4−エチレンジオキシチオフェンと3,4−エチレンジチアチオフェンを用いた場合についてのみ述べたが、その他の置換基を有する誘導体を用いることもできる。
【0154】
なお、上記実施の形態では、コンデンサの一方の電極にのみ導電性高分子層が形成されたコンデンサに関してのみ述べたが、両方の電極を導電性高分子層で構成することもできる。
【0155】
【発明の効果】
以上のように本発明は、誘電体層の少なくとも一方に、マンガン酸化物層を、重合性モノマ−と酸化剤との化学重合によって導電性高分子層を、チオフェン誘導体を乳化分散させた水媒体のモノマ−溶液と、水媒体の酸化剤溶液を用いた化学重合によってチオフェン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層を、あるいは混合溶液を塗布してから溶媒の沸点以上に速やかに加熱し、化学重合によってチオフェン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層を形成し、それらを導電層として、チオフェン誘導体を乳化分散させた水媒体の電解液を用いた電解重合によって、チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層を形成するものである。
【0156】
スルホン酸系面活性剤を添加した水媒体中での電解重合により、分子サイズの大きなド−パントを導入することが可能で、導電性高分子層の電気伝導度及び環境安定性が優れているため、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサ、あるいはフィルムコンデンサを容易に得ることができる。
【0157】
また、電解重合の際、無毒性かつ不燃性の水を媒体として用いるため、生産プロセスの構築が容易で、コンデンサの量産を容易にすることができる。
【0158】
さらに、フェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を添加すると、規則性の高い、共役長の発達した導電性高分子を生成できるため、電気伝導度が高く、環境安定性の高い導電性高分子層を形成できるので、周波数特性に優れ、かつ高温・高湿度下での安定性に優れた固体電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるコンデンサの正面図と断面図
【図2】本発明の実施の形態3におけるコンデンサの正面図と断面図
【図3】本発明の実施の形態12におけるコンデンサ素子の外観図と内部拡大図
【符号の説明】
1 アルミニウムエッチド箔
2 ポリイミドテ−プ
3、23 誘電体層
4 導電性高分子層
5、30 陽極リ−ド線
6、31 陰極リ−ド線
7 陰極層
8 マンガン酸化物層
10、32 第1の導電性高分子層
11、33 第2の導電性高分子層
21 陽極電極箔
24 陰極電極箔
25 セパレ−タ
26 巻き止めテ−プ
27 コンデンサ素子
28 端面上部
29 端面下部

Claims (12)

  1. 誘電体層を用意する工程と、前記誘電体層の少なくても一方にチオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を塗布する工程と、前記混合溶液が塗布された誘電体層を前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化した水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えたコンデンサの製造方法。
  2. 誘電体層を用意する工程と、前記誘電体層の少なくても一方にチオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を塗布する工程と、前記混合溶液が塗布された誘電体層を前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化し、かつフェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を含有する水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えたコンデンサの製造方法。
  3. 誘電体層が設けられた陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレ−タを介して巻回したコンデンサ素子を用意する工程と、チオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を前記コンデンサ素子に含浸する工程と、前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により、前記コンデンサ素子内に前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化した水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えたコンデンサの製造方法。
  4. 誘電体層が設けられた陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレ−タを介して巻回したコンデンサ素子を用意する工程と、チオフェン誘導体と酸化剤を溶媒により溶解した混合溶液を前記コンデンサ素子に含浸する工程と、前記溶媒の沸点以上に速やかに加熱することにより、前記溶媒を速やかに蒸発させ、前記チオフェン誘導体と前記酸化剤との化学重合により、前記コンデンサ素子内に前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記チオフェン誘導体をアニオン系界面活性剤により乳化し、かつフェノ−ル誘導体もしくはニトロベンゼンまたはその誘導体を含有する水媒体の電解液を用意する工程と、前記チオフェン誘導体を繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を電解重合により形成する工程とを備えたコンデンサの製造方法。
  5. 誘電体層が、弁金属の酸化物皮膜である請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
  6. 弁金属が、アルミニウムまたはタンタルである請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
  7. 誘電体層が、高分子誘電体である請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
  8. 高分子が、ポリイミドまたはアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体である請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
  9. チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたは3,4−エチレンジチアチオフェンである請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
  10. アニオン系界面活性剤が、スルホン酸系界面活性剤である請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
  11. フェノ−ル誘導体が、ニトロフェノ−ル、シアノフェノ−ル、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノ−ル、もしくはアセトフェノ−ル、またはそれらの組み合せである請求項2又は4記載のコンデンサの製造方法。
  12. ニトロベンゼン誘導体が、ニトロベンジルアルコ−ルまたはニトロ安息香酸である請求項2又は4記載のコンデンサの製造方法。
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