JP3551071B2 - 電磁駆動弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁駆動弁に係り、特に、弁体とアーマチャとの間に介装されたゼロラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平10−252426号公報に開示される電磁駆動弁が公知である。この電磁駆動弁は、内燃機関の吸気弁又は排気弁として機能する弁体と、弁体と連動するアーマチャと、アーマチャに弁体の開弁方向及び閉弁方向の電磁力をそれぞれ付与する開弁用及び閉弁用の電磁石とを備えている。従って、上記従来の電磁駆動弁によれば、各電磁石を交互に励磁することにより弁体を開閉駆動することができる。
【0003】
また、上記従来の電磁駆動弁は、アーマチャが閉弁用電磁石に吸引され、かつ、弁体がバルブシートに着座した状態で、アーマチャと弁体との間に隙間が形成されるように構成されている。かかる構成によれば、弁体の熱膨張や、弁体と弁座との着座面の摩耗により弁体とアーマチャとの相対変位が生じた場合にも、上記隙間によりその相対変位を吸収して、弁体を弁座に着座するまで確実に変位させることができる。しかし、弁体とアーマチャとの間に隙間が形成されると、弁体を開弁させる際にアーマチャが弁体に衝突することにより衝突音が発生し、電磁駆動弁の作動音が増大してしまう。
【0004】
かかる作動音の増大を防止するため、弁体とアーマチャとの間にゼロラッシュアジャスタを設けることが考えられる。ゼロラッシュアジャスタは、弁体とアーマチャとの相対変位に応じて伸縮する機構である。ゼロラッシュアジャスタを設けることで、弁体とアーマチャとの相対変位を吸収しつつ、弁体とアーマチャとの間に隙間が生ずるのを防止して作動音を低減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外部から駆動力(例えば油圧)が付与されることにより伸長する構成のゼロラッシュアジャスタでは、ゼロラッシュアジャスタを機能させるために動力源(例えば油圧ポンプ)が必要となる。かかる動力源を作動させるために余分なエネルギーが必要となってしまう。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、ゼロラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁において、その作動音を許容範囲内に保ちつつゼロラッシュアジャスタへ付与すべき駆動力を低減することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、
内燃機関の吸気弁又は排気弁として機能する弁体と、該弁体を駆動するアーマチャと、前記弁体と前記アーマチャとの間に介装され、駆動力が付与されることにより前記弁体と前記アーマチャとの間隔変化に追従して伸長するゼロラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、
前記内燃機関の運転音を検出又は推定する機関運転音検出推定手段と、
前記機関運転音検出推定手段による運転音が高いほど、前記ゼロラッシュアジャスタに付与する駆動力を低減する駆動力変化手段と、を備える電磁駆動弁により達成される。
【0008】
請求項1記載の発明において、ゼロラッシュアジャスタに付与される駆動力が不足すると、ゼロラッシュアジャスタの伸長量が小さくなり、弁体とアーマチャとの間に隙間が生ずる。かかる隙間が生ずると、弁体とアーマチャとの衝突音等により電磁駆動弁の作動音は増大する。ところで、内燃機関の運転音が大きい場合には、電磁駆動弁が大きな作動音を発しても、その作動音は気になり難い。すなわち、内燃機関の運転音が大きい場合は、電磁駆動弁の作動音の許容範囲は大きくなる。従って、本発明によれば、電磁駆動弁の作動音を許容範囲内に保ちつつ、ゼロラッシュアジャスタに付与する駆動力を低減することができる。なお、本発明において、内燃機関の運転音とは、吸気弁及び排気弁の開閉動作に伴う音以外の運転音、すなわち、燃焼室での燃焼、ピストンの運動、クランク軸の回転等に伴って発生する運転音を意味する。
【0009】
また、上記の目的は、請求項2に記載する如く、
内燃機関の吸気弁又は排気弁として機能する弁体と、該弁体を駆動するアーマチャと、前記弁体と前記アーマチャとの間に介装され、駆動力が付与されることにより前記弁体と前記アーマチャとの間隔変化に追従して伸長するゼロラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、
前記内燃機関の運転音を検出又は推定する機関運転音検出推定手段と、
前記機関運転音検出推定手段による運転音が所定値以上に高い場合には、該運転音が該所定値未満である場合に比して、前記ゼロラッシュアジャスタに付与する駆動力を低減する駆動力変化手段と、を備える電磁駆動弁により達成される。
請求項2記載の発明において、ゼロラッシュアジャスタに付与される駆動力は、運転音が所定値以上に高い場合には、所定値未満である場合に比して低減される。従って、本発明によれば、電磁駆動弁の作動音を許容範囲内に保ちつつ、ゼロラッシュアジャスタに付与する駆動力を低減することができる。
この場合、内燃機関の負荷が大きいほど、また、回転数が高いほど、内燃機関の運転音は増大する。従って、請求項に記載する如く、前記機関運転音検出推定手段は、前記内燃機関の負荷及び回転数の少なくとも一方に基づいて前記運転音を推定することができる
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例である電磁駆動弁10の構成を示す。また、図2は、電磁駆動弁10が適用された内燃機関の構成を示す。本実施例の電磁駆動弁10は内燃機関の各排気弁及び各吸気弁に対応して設けられている。先ず、図2を参照して、内燃機関の構成について簡単に説明する。
【0013】
図2に示す如く、内燃機関は電子制御ユニット(以下、ECUと称す)11により制御される。内燃機関は、シリンダブロック200を備えている。シリンダブロック200の内部には、シリンダ202およびウォータジャケット204が形成されている。ウォータジャケット204には、水温センサ206が配設されている。水温センサ206は、ウォータジャケット204内の冷却水の温度(以下、水温THWと称す)に応じた信号をECU11に向けて出力する。ECU11は、水温センサ206の出力信号に基づいて水温THWを検出する。
【0014】
シリンダ202にはピストン208が摺動可能に収容されている。シリンダ202の内部のピストン208より上方には燃焼室210が画成されている。燃焼室210には、点火プラグ212の先端が露出している。燃焼室210には、また、吸気ポート214および排気ポート216が開口している。
吸気ポート214及び排気ポート216の燃焼室210への開口部には、それぞれ、吸気弁218及び排気弁220が設けられている。吸気弁218及び排気弁220は、それぞれ、電磁駆動弁10により開閉駆動される。
【0015】
吸気ポート214には、吸気マニホールド222が連通している。吸気マニホールド222には燃料噴射弁224が配設されている。吸気マニホールド222はサージタンク226を介して吸気管228に連通している。吸気管228にはスロットルバルブ230が配設されている。吸気管228には、エアクリーナ232を介して、スロットルバルブ230の開度に応じた量の空気が吸入される。吸気管228のスロットルバルブ230より上流側にはエアフローメータ234が配設されている。エアフローメータ234は、吸気管228に吸入される空気量(以下、吸入空気量GAと称す)に応じた信号をECU11に向けて出力する。ECU11は、エアフローメータ234の出力信号に基づいて吸入空気量GAを検出する。
【0016】
一方、排気ポート216には、排気通路236が連通している。排気通路236には排気温センサ238が配設されている。排気音センサ238は燃焼室210から排出される排気ガスの温度(以下、排気温度Teと称す)に応じた信号をECU11に向けて出力する。ECU11は、排気温センサ238の出力信号に基づいて排気温度Teを検出する。
【0017】
内燃機関には回転数センサ240が設けられている。回転数センサ240は内燃機関の回転数に応じた信号をECU11に向けて出力する。ECU11は、回転数センサ240の出力信号に基づいて内燃機関の回転数(以下、機関回転数Neと称す)を検出する。
次に、図1を参照して、電磁駆動弁10の構成について詳細に説明する。図1に示す如く、電磁駆動弁10は、吸気弁218又は排気弁220として機能する弁体12を備えている。弁体12は、内燃機関の燃焼室210内に露出するようにロアヘッド16に配設されている。吸気ポート214及び排気ポート216はロアヘッド16に形成されている。吸気ポート214又は排気ポート216の燃焼室210への開口部には、弁体12に対する弁座20が形成されている。吸気ポート214及び排気ポート216は、それぞれ、弁体12が弁座20から離座することにより導通状態となり、また、弁体12が弁座20に着座することにより遮断状態となる。
【0018】
ロアヘッド16の上部には、断熱プレート22を介してシリンダヘッドスペーサ24が配設されている。断熱プレート22は、例えばベークライト等の断熱材料から構成されたシート状の部材であり、燃焼室210で発生した高熱がロアヘッド16からシリンダヘッドスペーサ24へ伝達されるのを抑制する機能を有している。シリンダヘッドスペーサ24の更に上部には、アッパヘッド25が固定されている。
【0019】
弁体12は上方に伸びる弁軸26を備えている。弁軸26はバルブガイド28により軸方向に摺動可能に保持されている。バルブガイド28はロアヘッド16に保持されている。ロアヘッド16の弁軸26の略上半分を囲む部位には、円筒状に形成されたスプリング保持空間30が設けられている。バルブガイド28の上端部はスプリング保持空間30の内部に露出している。スプリング保持空間30内のバルブガイド28の上端部近傍の周囲には、バルブステムシール31が装着されている。
【0020】
弁軸26の上端部近傍には、コッタ32が装着されている。コッタ32は図1中上方ほど大径となるくさび状の外周面を有し、内周面には内向きの突起が設けられた略円筒状の部材である。コッタ32内周面の突起は、弁軸26の外周面に設けられた凹部に嵌合されている。また、コッタ32の外周にはロアリテーナ34が嵌着されている。
【0021】
スプリング保持空間30の底面にはスプリングシート36が配設されている。スプリングシート36とロアリテーナ34との間には、両者を離間させる向きの付勢力を発生するロアスプリング38が配設されている。ロアスプリング38はロアリテーナ34を介して弁体12を上向き、即ち、弁座20に向かう方向に付勢している。以下、弁体12が弁座20に向かう方向を閉弁方向と称し、また、弁体12が弁座20から離れる方向を開弁方向と称する。
【0022】
弁軸26の上方には、ゼロラッシュアジャスタ40を隔てて、アーマチャシャフト42が弁軸26と同軸に配設されている。ゼロラッシュアジャスタ40の構成については後に詳細に説明する。アーマチャシャフト42の上端部には、上記コッタ31と上下対称の構成を有するコッタ44が装着されている。コッタ44の周囲には、アッパリテーナ46が嵌着されている。アッパリテーナ46の上面には、アッパスプリング48の下端部が当接している。アッパスプリング48の周囲には、円筒状のアッパケース50が配設されている。アッパケース50の上部にはアジャスタボルト52が螺着されている。アッパスプリング48の上端部はスプリングガイド54を介してアジャスタボルト52に当接している。アッパスプリング48はアッパリテーナ46を介してアーマチャシャフト42を下向きに付勢している。
【0023】
アーマチャシャフト42の軸方向中央部の外周にはアーマチャ56が接合されている。アーマチャ56は軟磁性材料により構成された円盤状の部材である。アーマチャ56の上方にはアッパコイル58及びアッパコア60が配設されている。また、アーマチャ56の下方にはロアコイル62及びロアコア64が配設されている。アッパコイル58及びロアコイル62はそれぞれ、アッパコア60及びロアコア64に形成された環状溝60a及び64aに収容されている。
【0024】
アッパコイル58及びロアコイル62は駆動回路65に電気的に接続されている。駆動回路65は、ECU11から付与される制御信号に応じた指令信号をアッパコイル58及びロアコイル62にそれぞれ供給する。
アッパコア60及びロアコア64はそれぞれ、その中央部を貫通する貫通穴60b及び64bを備えている。アッパコア60の貫通穴60bの上端にはアッパブッシュ66が配設されている。また、ロアコア64の貫通穴64bの下端にはロアブッシュ68が配設されている。アーマチャシャフト42はアッパブッシュ66及びロアブッシュ68により軸方向に摺動可能に保持されている。また、アッパコア60の上端部及びロアコア64の下端部には、それぞれ、フランジ部60c及び64cが設けられている。
【0025】
シリンダヘッドスペーサ24には、その上下を貫通する円筒状のラッシュアジャスタ保持空間24aが、上記スプリング保持空間30と同軸に形成されている。ラッシュアジャスタ保持空間24aの内部には、上記したゼロラッシュアジャスタ40が保持されている。シリンダヘッドスペーサ24の上面のラッシュアジャスタ保持空間24aの開口部近傍には、上向きに隆起した隆起部24bが設けられており、更に、隆起部24bの頂部には円筒部24cが形成されている。
【0026】
アッパヘッド25には、その上下を貫通する円筒状のコア保持空間25aが、上記スプリング保持空間30及びラッシュアジャスタ保持空間24aと同軸に形成されている。アッパコア60はそのフランジ部60cがシム70を介してアッパヘッド25に当接し、また、ロアコア64はそのフランジ部64cがアッパヘッド25に当接するように、それぞれコア保持空間25aに挿入されている。アッパコア60のフランジ部60cは、アッパヘッド25と、アッパケース50の下端部に形成されたフランジ部50aとの間に挟持されている。また、ロアコア64のフランジ部64cは、アッパヘッド25とロアブラケット72との間に挟持されている。そして、アッパケース50及びロアブラケット72が固定ボルト74、76によりアッパヘッド25に固定されることで、アッパコア60とロアコア64とは所定の間隔を隔てて固定されている。なお、アッパコア60及びロアコア64が上記の如く固定された状態で、シリンダヘッドスペーサ24の隆起部24bとロアコア64の下面との間には所定の隙間が形成されている。また、上記したアジャスタボルト52は、アーマチャ56の中立位置がアッパコア60とロアコア64との中間点となるように調整されている。
【0027】
シリンダヘッドスペーサ24には、互いに連通する油供給路80及び82が設けられている。油供給路82はラッシュアジャスタ保持空間24aの内壁面の所定位置に開口している。油供給路80には油圧配管87を介して油圧ポンプ86が接続されている。本実施例において、油圧ポンプ88は電動式のポンプとして構成されている。油圧配管87にはレギュレータ88が設けられている。レギュレータ88は、油圧ポンプ86がオイルタンク92から圧送した油を、ECU11から供給される制御信号に応じた油圧に調圧して油供給路80、82へ供給する。以下、油供給路80、82へ供給される油圧を供給油圧Pc と称す。
【0028】
シリンダヘッドスペーサ24には、更に、油回収穴90が設けられている。油回収穴90は、その上端がシリンダヘッド24の隆起部24bの周囲近傍に開口し、下端がスプリング保持空間30内へ開口するように、シリンダヘッドスペーサ24を上下に貫通している。油回収穴90は、ゼロラッシュアジャスタ40から上方へ漏出した油を集めてスプリング保持空間30へ流入させ、この油をアーマチャシャフト42及び弁軸26の潤滑油として供する役割を有している。なお、油回収穴90の上部が加工穴90a、90bにより構成されることで、油回収穴90のシリンダヘッドスペーサ24上面への開口面積が大きく確保されている。
【0029】
次に、電磁駆動弁10の動作について説明する。アッパコイル58に励磁電流が供給されると、アッパコイル58が発生する磁束によってアーマチャ56にはアッパコア60に向かう方向の電磁力が作用する。このため、図1に示される如く、アーマチャ56はアッパスプリング48による付勢力に抗してアッパコア60に当接するまで変位する。以下、アーマチャ56がアッパコア60に当接する位置を、アーマチャ56、アーマチャシャフト42、又は弁体12の全閉位置と称する。この状態では、弁体12が弁座20に着座することで、弁体12は閉弁状態となる。
【0030】
このように弁体12が閉弁された状態で、アッパコイル58への電流の供給が停止されると、アーマチャ56を全閉位置に保持するのに必要な電磁力は消滅する。このため、アッパコイル58への電流の供給が停止されると、アーマチャシャフト42は弁体12と共に、アッパスプリング48に付勢されることにより下方へ向けて単振動の運動を開始する。このため、弁体12が弁座20から離座することで弁体12は開弁される。アーマチャシャフト42の変位量が所定値に達した時点でロアコイル62に励磁電流が供給されると、アーマチャ56をロアコア64に向けて付勢する電磁力が発生する。
【0031】
アーマチャ56に対して上記電磁力が作用すると、摩擦により失われた運動エネルギーが補われ、アーマチャ56はロアスプリング38の発する付勢力に抗してロアコア64に当接するまで変位する。以下、アーマチャ56がロアコア64に当接した位置を、アーマチャ56、アーマチャシャフト42、又は弁体12の全開位置と称す。
【0032】
かかる状態で、ロアコイル62への励磁電流の供給が停止されると、アーマチャ56を全開位置に保持するのに必要な電磁力が消滅する。このため、弁体12及びアーマチャシャフト42はロアスプリング38の発する付勢力により上方へ向けて単振動の運動を開始する。これらの変位量が所定値に達した時点でアッパコイル58に励磁電流が供給されると、アッパコイル58が発する電磁力により、摩擦による失われた運動エネルギーが補償され、アーマチャ56はアッパコア60に当接するまで変位する。アーマチャ56がアッパコア60に当接した状態では、弁体12が弁座20に着座することで、弁体12は再び閉弁状態となる。
【0033】
このように、本実施例によれば、アッパコイル58とロアコイル62とに、交互に適当なタイミングで電流を供給することにより、弁体12及びアーマチャ56等の可動部の質量と、ロアスプリング38及びアッパスプリング48のバネ定数で定まる周期の単振動の動きに従って、弁体12を全閉位置と全開位置との間で繰り返し往復運動させることができる。
【0034】
本実施例において、上記したゼロラッシュアジャスタ40は、弁体12とロアヘッド16との間の熱膨張差や弁体12と弁座20との着座面の摩耗による弁体12とアーマチャシャフト42との相対変位を吸収することにより、両部材間に隙間が生ずるのを防止する機能を有している。以下、ゼロラッシュアジャスタ40の構成及び動作について説明する。
【0035】
図3は、ゼロラッシュアジャスタ40及びその周辺部分を示す拡大断面図である。なお、図3は、アーマチャ56及び弁体12が全閉位置にある状況下で実現される状態を示す。
図3に示す如く、ゼロラッシュアジャスタ40は、プランジャボディ100を備えている。プランジャボデイ100は、ラッシュアジャスタ保持空間24a内に軸方向に摺動可能に配設されている。プランジャボディ100は一端(図2においては下端)が閉じた略円筒状の部材である。プランジャボディ100は、その内部に、下端部に設けられたスプリング保持部100aと、スプリング保持部100aに比して大径に形成されたプランジャ保持部100bとを備えている。
【0036】
プランジャボディ100のプランジャ保持部100bには、プランジャ102が軸方向に摺動可能に配設されている。プランジャ102の図2における下底面と、スプリング保持部100aの下底面との間には、油圧室104が画成されている。
プランジャ102は、その外周面に、プランジャ保持部100bの内周面に対して摺動する大径部102aと、図2における上端部に設けられた小径部102bとを備えている。一方、プランジャ収容部100bの内周面の上端には、ストッパリング106が圧入されている。ストッパリング106は、プランジャ102の大径部102aの外径に比して小さな内径を有している。従って、プランジャ102のプランジャ保持部100b内部における上向きの変位は、大径部102aと小径部102bとの間の段差と、ストッパリング106とが当接することにより規制される。プランジャ102は、また、上方に向けて開口するリザーバ室108、及び、リザーバ室108と油圧室104とを連通する連通路110を備えている。
【0037】
油圧室104には、リテーナ112及びプランジャスプリング114が配設されている。プランジャスプリング114は、リテーナ112を介してプランジャ102を上向きに付勢している。リテーナ112の内側にはチェックボール116及びチェックボールスプリング118が配設されている。チェックボールスプリング118は、チェックボール116を連通路110の開口部に向けて付勢している。チェックボール116及びチェックボールスプリング118は、油圧室104側がリザーバ室108側に比して低圧になった場合にのみ開弁するチェックバルブとして機能する。
【0038】
ゼロラッシュアジャスタ40は、また、リザーバキャップ120を備えている。リザーバキャップ120は一端(図3における下端)が閉じた円筒状の部材である。リザーバキャップ120は、その底面がプランジャ102の上端面に当接するように、ラッシュアジャスタ保持空間24a内に摺動可能に配設されている。リザーバキャップ120の下底面には、その一部が切り欠かれてなるオーバフローリセス122が設けられている。オーバーフローリセス122は、リザーバ室108と常時連通している。
【0039】
アーマチャシャフト42の下端面は、リザーバキャップ120の内側底面に当接している。一方、弁軸26の上端面は、プランジャボディ100の外側底面に当接している。また、油供給路82は、図3に示す状態(すなわち、アーマチャ56及び弁体12が全閉位置にある状態)で、オーバフローリセス122と連通するように、ラッシュアジャスタ保持空間24aの内周面に開口している。
【0040】
図3に示す状態においてアッパコイル58への通電が遮断されると、上記の如く、アーマチャシャフト42には開弁方向の付勢力が作用する。この開弁方向の力はリザーバキャップ120からプランジャ102に伝達される。プランジャ102に伝達される力がプランジャスプリング114の付勢力を越えると、プランジャ102が下向きに押圧されることで、油圧室104内の油が加圧される。このため、油圧室104の油圧がリザーバ室108の油圧に比して高圧となり、連通路110はチェックボール116により閉塞される。連通路110が閉塞されると、油圧室104とリザーバ室108との間の油の授受は禁止される。このため、プランジャ102に伝達された駆動力は油圧室104を介してプランジャボディ100に伝達され、ゼロラッシュアジャスタ40は、アーマチャシャフト42及び弁体12と共に開弁方向に変位する。ゼロラッシュアジャスタ40が開弁方向に変位する過程では、油圧室104の油が加圧されることで、プランジャ102とプランジャボディ100との摺動面を介して油圧室104から油が徐々に漏出し、ラッシュアジャスタ40は油の漏出分に相当する僅かな量だけ収縮する。
【0041】
アーマチャ56がロアコア64に当接するまで変位し、ロアコイル62への通電が停止されると、アーマチャ56は今度は閉弁方向に変位を開始する。そして、弁体12が弁座20に着座すると、プランジャボディ100にロアスプリング38の付勢力は作用しなくなる。一方、弁体12が弁座20に着座した後も、アーマチャ56は、弁体12が開弁方向に変位する過程でのラッシュアジャスタ40の収縮分に相当する微小量だけ更に閉弁方向に変位する。この場合、プランジャ102は、プランジャスプリング114の付勢力により、リザーバキャップ120に追従して、プランジャボディ100に対して上向きに摺動しようとし、油圧室104内の油圧は低下する。そして、油圧室104がリザーバ室108よりも低圧になると、チェックボール116が連通路110の開口部から離座することで、油圧室104とリザーバ室108とが連通する。上述の如く、弁体12が弁座20に着座した状態では、油供給路82とオーバーフローリセス122とが連通する。このため、油圧室104とリザーバ室108とが連通すると、油圧ポンプ86から油供給路80へ供給された供給油圧Pe の油が、油供給路82からリザーバ室108を経て油圧室104に供給されることで、プランジャ102はリザーバキャップ120に当接した状態を維持しながら上向きに摺動する。
【0042】
このように、弁体12が全閉位置に達した際にゼロラッシュアジャスタ40に供給油圧Pe の油が供給されることによりゼロラッシュアジャスタ40が伸長することで、弁体12とアーマチャシャフト42との間に隙間が生ずることが防止される。
また、弁体12とロアヘッド16との熱膨張差や弁体12と弁座20との着座面の摩耗に起因して生ずる弁軸26とアーマチャシャフト42との間隔変化は、時間的に緩やかに生ずるものであり、弁体12が全閉位置と全開位置とを一往復する間に生ずる間隔変化量は極く僅かである。このため、かかる間隔変化は、弁体12が開弁している状態で僅かに収縮したゼロラッシュアジャスタ40が、弁体12が閉弁した際に伸長する過程で吸収されることとなる。
【0043】
上述の如く、ゼロラッシュアジャスタ40は、弁体12が全閉位置近傍に達した際に、油供給路82から供給油圧Pe の油が供給されることでプランジャボディ100がプランジャ102に対して摺動し、アーマチャ56及び弁体12が全閉位置に達した際に弁体12とアーマチャシャフト42との間に隙間が生ずるのを防止する機構である。なお、アーマチャ56及び弁体12が全閉位置に達した際に弁体12とアーマチャシャフト42との間に生ずる隙間を、以下、タペットクリアランスと称す。
【0044】
従って、供給油圧Peが不足すると、ゼロラッシュアジャスタ40が十分に伸長せず、上記したタペットクリアランスが生ずることが起こり得る。タペットクリアランスが生ずると、弁体12を開弁させる際にアーマチャシャフト42が弁体12に衝突することにより電磁駆動弁10の作動音が増大してしまう。また、タペットクリアランスが生じた状態では、閉弁時に、弁体12が弁座20に着座した後、アーマチャ56が更にタペットクリアランス分だけ変位してからアッパコア60に当接することとなる。アッパコイル58への通電は、アーマチャ56がアッパコア60に当接する際の速度がほぼゼロになるように制御される。このため、タペットクリアランスが生ずると、弁体12が弁座20へ着座するタイミングが速まり、弁体12が着座する際の速度(以下、弁体12の着座速度と称す)が大きくなることによっても電磁駆動弁10の作動音は増大する。このように、供給油圧Pe が不足すると、電磁駆動弁10の作動音は増大することになる。
【0045】
一方、供給油圧Peが低圧になるほど油圧ポンプ86の負荷が小さくなり、油圧ポンプ88の消費電力は低減される。従って、油圧ポンプ86の省電力化を図るうえでは、供給油圧Peを低圧に抑えることが望ましい。
本実施例では、上記の点に鑑みて、電磁駆動弁10の作動音の増大が許容できる範囲内で供給油圧Peを低下させる。
【0046】
図4は、機関回転数Neと、弁体12が弁座20へ着座する際の運動エネルギー(以下、着座エネルギーと称す)との関係を、電磁駆動弁10の場合、及び、弁体12をクランク軸の回転に同期して回転するカムにより駆動する従前の構成(以下、カム駆動と称す)の場合について、それぞれ、実線及び破線で示す。
上述の如く、電磁駆動弁10は、アーマチャ56や弁体12等の可動部の重量と、ロアスプリング38及びアッパスプリング48のバネ定数とで定まる周期の単振動の動きに従って弁体12を駆動するものである。このため、弁体12の着座速度は機関回転数Neにかかわらず一定であり、図4に実線で示す如く、弁体12の着座エネルギーも一定となる。弁体12が弁座20に着座する際には、着座エネルギーに応じた着座音が発生する。従って、電磁駆動弁10では、機関回転数Neにかかわらず、弁体12の着座音は一定となる。
【0047】
一方、カム駆動では、弁体12の着座速度は機関回転数Neの上昇に比例して増加する。このため、図4に破線で示す如く、弁体12の着座エネルギーは機関回転数Neの二乗に比例することになる。従って、カム駆動の場合は、機関回転数Neの上昇に応じて着座音は増加する。
図4において、機関回転数NeがNc以上の領域では、カム駆動における着座エネルギーが電磁駆動弁10における着座エネルギーを上回っている。従って、機関回転数NeがNcよりも十分に高い領域では、タペットクリアランスが発生することにより電磁駆動弁10の作動音が増加しても、その作動音をカム駆動の場合と同等以下に抑えることが可能となる。つまり、従前のカム駆動における作動音を基準とすれば、機関回転数Neが高いほど電磁駆動弁10の作動音の許容範囲は大きくなる。なお、弁体12と弁座20との着座面には着座エネルギーに応じた摩耗が発生する。従って、電磁駆動弁10における着座エネルギーがカム駆動の場合と同等以下になると、上記着座面の摩耗もカム駆動の場合と同等以下に抑えられることとなる。
【0048】
また、機関回転数Neが高いほど、内燃機関の運転音(燃焼室における燃焼、ピストンの摺動、クランク軸の回転等の電磁駆動弁10以外の原因で生ずる騒音を意味する)は大きくなる。このため、内燃機関の高回転運転領域では、電磁駆動弁10の作動音が増大しても、車両の乗員等は違和感を感じ難い。この点においても、機関回転数Neが高いほど電磁駆動弁10の作動音の許容範囲は大きくなるといえる。
【0049】
従って、機関回転数Neが高い運転領域で供給油圧Peを低減することで、作動音を許容範囲内に抑えつつ、油圧ポンプ86の消費電力を低減することができるのである。以下、図5を参照して、本実施例においてECU11が実行する具体的な処理の内容を説明する。
図5は、機関回転数Neに応じて供給油圧Peを制御すべくECU11が実行するルーチンのフローチャートである。図5に示すルーチンは、所定時間間隔で起動される割り込みルーチンである。図5に示すルーチンが起動されると、先ずステップ300の処理が実行される。
【0050】
ステップ300では、機関回転数Neが所定値N0 未満であるか否かが判別される。その結果、Ne<N0 が成立する場合は、次にステップ302の処理が実行される。一方、ステップ300においてNe<N0 が不成立であれば、次にステップ304の処理が実行される。
ステップ302では、レギュレータ88に付与する制御信号により供給油圧Peを所定値P0 に制御する処理が実行される。所定値P0 は、弁体12が全閉位置に達した際に、タペットクリアランスがゼロになるまでゼロラッシュアジャスタ40を速やかに伸長させ得る供給油圧Peの値として予め実験的に求められている。ステップ302の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0051】
ステップ304では、レギュレータ88に付与する制御信号により供給油圧Peを上記所定値P0 よりも小さな所定値P1 に制御する処理が実行される。ステップ304の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
上述の如く、図5に示すルーチンによれば、機関回転数Neが所定値N0 未満の低回転領域では供給油圧Peが所定値P0 に制御される。この場合、タペットクリアランスがゼロになるまでゼロラッシュアジャスタ40が伸長することで、電磁駆動弁10の作動音が低減される。また、機関回転数Neが所定値N0 を超え、電磁駆動弁10の作動音の許容範囲が大きくなる高回転領域では、供給油圧PeがP0 からP1 に低下することで、油圧ポンプ86の消費電力は低減される。このように、本実施例によれば、機関回転数Neに基づいて供給油圧Peを変化させることで、電磁駆動弁10の作動音を許容範囲に抑えつつ油圧ポンプ86の省電力化を図ることが可能となっている。
【0052】
ところで、機関回転数Neが上昇するほど吸気弁218及び排気弁220の開閉頻度が高くなる。この場合、電磁駆動弁10のアッパコイル58及びロアコイル62への通電頻度も高くなることで電磁駆動弁10の消費電力は増加する。つまり、高回転運転領域では電磁駆動弁10の消費電力は大きくなる。これに対して、本実施例では、かかる高回転運転領域において油圧ポンプ86の省電力化が図られるため、内燃機関全体の消費電力が過大になるのを防止することができる。
【0053】
なお、上記実施例では、機関回転数Neに基づいて供給油圧Peを2段階に変化させることとした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、機関回転数Neが大きくなるほど供給油圧Peが低圧となるように、供給油圧Peを3段階以上に、又は、連続的に変化させることとしてもよい。
また、上記実施例では、レギュレータ88により供給油圧Peを低下させることとしたが、レギュレータ88が設けられない構成では、油圧ポンプ86の回転数により供給油圧Peを変化させることとしてもよい。あるいは、油圧ポンプ86を間欠的に駆動し、その駆動時間により供給油圧Peを変化させることとしてもよい。
【0054】
更に、上記実施例では、油圧ポンプ86が電動式のポンプであるものとしたが、内燃機関の出力軸の回転を動力源として駆動されるポンプであってもよい。この場合にも、内燃機関の高回転領域で供給油圧Peを低下させることで、油圧ポンプ86を駆動するのに要する動力が減少し、これにより、燃費の向上等の効果を得ることができる。
【0055】
また、上記実施例では、高回転領域において供給油圧Peを下げることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、油圧ポンプ86のオン・オフをECU11により制御可能な構成とし、高回転領域では油圧ポンプ86を停止させることとしてもよい。この場合、高回転領域で油圧ポンプ86の消費電力がゼロとなるので、省電力化をより有効に図ることができる。
【0056】
ところで、内燃機関の運転音はその負荷の大きさにも依存し、負荷が大きいほど運転音は増大する。従って、機関回転数Neに代えて内燃機関の負荷(例えば、吸入空気量GA、スロットルバルブ230の開度、筒内圧等)を用い、負荷が所定値を超える場合に供給油圧Peを下げ、又は油圧ポンプ86を停止させることとしてもよい。あるいは、内燃機関の運転音のレベルを検出する騒音センサを設け、内燃機関の運転音を直接検出することとしてもよい。
【0057】
次に、本発明の第2実施例について説明する。本実施例では、上記図1〜図3に示すシステム構成において、弁体12の熱膨張を考慮して供給油圧Peを制御する。なお、本実施例において、油圧ポンプ86は、吸気弁218側の電磁駆動弁10と、排気弁220側の電磁駆動弁10とにそれぞれ対応して設けられており、また、各油圧ポンプ86のオン・オフはECU11により制御可能であるものとする。
【0058】
内燃機関の運転中は燃焼室210での燃焼に伴う熱が排気弁220に伝達されることで、排気弁220として機能する弁体12には比較的大きな熱膨張が生ずる。弁体12に熱膨張が生ずると、弁体12が弁座20に着座した状態でのアーマチャシャフト42と弁体12との間隔は狭まる。この場合、ゼロラッシュアジャスタ40が伸長しなくても、タペットクリアランスは小さくなり電磁駆動弁10の作動音の増加は抑えられる。
【0059】
そこで、本実施例では、排気温度Teに基づいて、排気弁220を構成する弁体12の温度を推定し、弁体12が高温である場合には排気弁220に対応する油圧ポンプ220を停止させる。以下、図6を参照して、本実施例においてECU11が実行する具体的な処理の内容について説明する。
図6は、本実施例においてECU11が実行するルーチンのフローチャートである。図6に示すルーチンは所定時間間隔で繰り返し起動される割り込みルーチンである。図8に示すルーチンが起動されると、先ずステップ350の処理が実行される。
【0060】
ステップ350では、排気温度Teが所定値T0 以上であるか否かが判別される。その結果、Te≧T0 が成立する場合は、排気弁220が高温状態であると判断される。この場合、次にステップ352において排気弁220側の油圧ポンプ86を停止状態とする処理が実行された後、今回のルーチンは終了される。一方、ステップ350においてTe≧T0 が不成立であれば、次にステップ354において、排気弁220側の油圧ポンプ86を運転状態とする処理が実行された後、今回のルーチンは終了される。
【0061】
上述の如く、図6に示すルーチンによれば、排気弁220の熱膨張によりタペットクリアランスが小さくなる場合に排気弁220側の油圧ポンプ86が停止される。従って、本実施例によれば、電磁駆動弁10の作動音の増大を抑制しつつ、油圧ポンプ86の省電力化を図ることができる。
なお、上記第2実施例においては、排気温度Teに基づいて弁体12の温度を推定するものとしたが、これに限らず、例えば水温THWに基づいて弁体12の温度を推定してもよい。また、内燃機関の負荷が大きいほど弁体12の温度は上昇すると考えられるため、負荷に基づいて弁体12の温度を推定してもよい。更に、弁体12に熱電対等の温度センサを設け、弁体12の温度を直接的に検出することとしてもよい。
【0062】
なお、上記第2実施例では、油圧ポンプ86が吸気弁218側と排気弁220側にそれぞれ設けられるものとした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、吸気弁218及び排気弁220に共通の油圧ポンプ86が設けられる場合には、排気弁220に対応するゼロラッシュアジャスタ40への油圧供給を遮断し得る遮断弁を例えば油圧配管87に設け、排気弁220の高温時にこの遮断弁により油圧供給を遮断することとしてもよい。すなわち、排気弁220側のゼロラッシュアジャスタへの油圧供給が遮断されると、油圧ポンプ86の吐出流量が半減することで、油圧ポンプ86の消費電力が低減されるのである。
【0063】
また、上記第2実施例では、排気弁220の高温時に油圧ポンプ86を停止させるものとしたが、これに限らず、供給油圧Peを低下させることにより油圧ポンプ86の消費電力を低減することとしてもよい。
なお、弁体12の熱膨張量が大きいほど、弁体12が弁座20に着座した状態でのアーマチャシャフト42と弁体12との間隔が狭まるため、タペットクリアランスがゼロとなるまでのゼロラッシュアジャスタ40の伸長量は小さくなる。従って、弁体12が高温になるほど、タペットクリアランスをゼロとするために必要な供給油圧Peは小さくて足りる。そこで、排気弁220の高温時に油圧ポンプ86を停止させることに代えて、排気弁220が高温になるのに応じて、供給油圧Peを低下させることとしてもよい。この場合、ゼロラッシュアジャスタ40によりタペットクリアランスの発生を確実に防止しつつ、油圧ポンプ86の省電力化を図ることができる。
【0064】
更に、上記実施例では、排気弁220が特に高温になることから、排気弁220の高温時に油圧ポンプ86の省電力化を図るものとしたが、内燃機関の運転中は吸気弁218の温度も上昇する。従って、排気弁220と同様に、排気温度Teや水温THW等に基づいて吸気弁218の温度を推定又は測定し、その温度に応じて吸気弁218側の油圧ポンプ86のオン・オフ又は吐出圧を制御することとしてもよい。
【0065】
また、上記第1及び第2実施例では、ゼロラッシュアジャスタ40が油圧を駆動力として機能するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば電磁力を駆動力として機能するゼロラッシュアジャスタを用いることとしてもよい。
なお、上記第1及び第2実施例においては、ECU11が図5に示すルーチンのステップ300の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した機関作動音検出推定が、図6に示すルーチンのステップ350の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した弁体温度検出推定手段が、図5に示すルーチンのステップ302及び304、又は図6に示すルーチンのステップ352及び354の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した駆動力変化手段が、それぞれ実現されている。
【0066】
【発明の効果】
請求項1乃至3記載の発明によれば、内燃機関の運転音に応じてゼロラッシュアジャスタへの駆動力を変化させることで、電磁駆動弁の作動音を許容範囲内に保ちつつ上記駆動力を低減することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電磁駆動弁の構成図である。
【図2】本実施例の電磁駆動弁が適用された内燃機関の構成図である。
【図3】本実施例の電磁駆動弁が備えるゼロラッシュアジャスタ及びその周辺部分の拡大断面図である。
【図4】機関回転数Neと、弁体が弁座に着座する際の運動エネルギー(着座エネルギー)との関係を、本実施例の電磁駆動弁の場合及び従前のカム駆動の場合について示す図である。
【図5】本実施例において機関回転数Neに基づいて供給油圧Peを制御すべくECUが実行するルーチンのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施例において排気温度Teに基づいて供給油圧Peを制御すべくECUが実行するルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 電磁駆動弁
11 電子制御ユニット(ECU)
12 弁体
40 ゼロラッシュアジャスタ
42 アーマチャシャフト
56 アーマチャ
86 油圧ポンプ

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸気弁又は排気弁として機能する弁体と、該弁体を駆動するアーマチャと、前記弁体と前記アーマチャとの間に介装され、駆動力が付与されることにより前記弁体と前記アーマチャとの間隔変化に追従して伸長するゼロラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、
    前記内燃機関の運転音を検出又は推定する機関運転音検出推定手段と、
    前記機関運転音検出推定手段による運転音が高いほど、前記ゼロラッシュアジャスタに付与する駆動力を低減する駆動力変化手段と、を備えることを特徴とする電磁駆動弁
  2. 内燃機関の吸気弁又は排気弁として機能する弁体と、該弁体を駆動するアーマチャと、前記弁体と前記アーマチャとの間に介装され、駆動力が付与されることにより前記弁体と前記アーマチャとの間隔変化に追従して伸長するゼロラッシュアジャスタと、を備える電磁駆動弁において、
    前記内燃機関の運転音を検出又は推定する機関運転音検出推定手段と、
    前記機関運転音検出推定手段による運転音が所定値以上に高い場合には、該運転音が該所定値未満である場合に比して、前記ゼロラッシュアジャスタに付与する駆動力を低減する駆動力変化手段と、を備えることを特徴とする電磁駆動弁。
  3. 請求項1又は2記載の電磁駆動弁において、
    前記機関運転音検出推定手段は、前記内燃機関の負荷及び回転数の少なくとも一方に基づいて前記運転音を推定することを特徴とする電磁駆動弁。
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