JP3553065B2 - 挿入プロモーター含有の組換え乳酸菌とその構築方法 - Google Patents

挿入プロモーター含有の組換え乳酸菌とその構築方法 Download PDF

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Description

<発明の分野>
この発明は遺伝子的に改良された食品グレードの乳酸菌の分野に関する。特に、有用な乳酸菌プロモーターの単離方法と組換え乳酸菌の構築方法を提供し、そのプロモーターは、食品、動物用飼料や原生物的に(probiotically)活性な組成物の製造に有用である改良乳酸菌を得るのに利用される。
<技術的背景と従来技術>
古くから、乳酸菌培養物は、糖を、発酵により保存性の有機酸、主に乳酸および望ましい味とフレーバーを有する発酵食品の開発に関連した各種の代謝物へ変換する能力があるため、食品生産に用いられてきた。いくつかの乳酸菌は、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、脂肪分解酵素を含む加水分解酵素を産生し、その産生は、例えばチーズで望みのフレーバーを与えるのに寄与することができる。
しかし、ヨーグルト、アシドフィルス乳(acidphilus milk)、バターおよびチーズを含む公知の伝統的な乳製品、発酵野菜、発酵肉製品および動物用飼料のような幅広い発酵食品を工業的に生産するには、色々が特定タイプの食品に適合する広い範囲の乳酸菌スターター培養物が必要とされる。このような培養物は、乳酸菌の天然種から、発酵される食品に存在する糖を発酵する能力、特異的な生育温度要件、所望のフレーバー物質の産生のような特性に基づき現在選択されているが、その特性の特異的な組合せにより、特別の食品の産生に有用ではあるが他の産生には通常あまり有用でない特異的に選択された野生型培養物が与えられる。
天然種を選択することによる、有用な乳酸菌培養物を開発するための現在用いられている手法が、面倒で高価であることは明白である。その上、最適レベルで所望の特性を全て有するスターター培養種を提供することが難しいことが判明している。現在、この問題は、各々が特別の食品に望まれる特性の1つまたはいくつかを有する複数の選択された乳酸菌種からなるスターター培養物を用いることによって、通常解決されている。このような混合培養物を使用することの必要性が、乳酸菌スターター培養物の製造コストを上げることは当然であろう。
乳酸菌が食品製造において伝統的に長期間応用され、かつ非病原性と考えられている事実から、乳酸菌は、発酵食品中に生菌として非常に多数、例えば108〜109/g含まれていても、一般に安全(GRAS)な食品成分として認められている。
最近、経済的かつ技術的にスターター培養物の開発をより可能にする方法を見出すことが重要な産業上の必要として広く認められている。遺伝子工学がこのニーズに合致する手段を与えることは明らかである。これに関連して、遺伝子工学を用いて所望の遺伝子を導入することによって開発される食品製造用乳酸菌が、なおかつ消費上安全なものとして認められることが重要である。従って、組換え乳酸菌が、スターター培養物菌株によく見出される野生型の染色体外プラスミドからのDNAを含む乳酸菌源のDNAのみか、または組換え菌株に有害な発現型特徴を与えない非乳酸菌DNAを含むことが必須であると産業上考えられる。
遺伝子的に改良した乳酸菌を提供するいくつかの試みがなされている。この試みの殆どは、所望の遺伝子産物をコードし、かつ乳酸菌中で複製しうる組換え発現ベクターの構築に向けられている。しかし、これらの試みの中でごく少数が、乳酸菌DNAのみからなるベクターを得ている。
乳酸菌を改良する他のアプローチは、有用な遺伝子を細菌の染色体に挿入するか、または所望の遺伝子産物をコードする染色体遺伝子の発現を増強することである。もし、この試みが成功すれば、新しい遺伝子がプラスミドに導入された際によくみられる問題、すなわちプラスミドの固有の不安定性のため、または異なる不和合性グループに属する他のプラスミドの存在の結果としてのプラスミドの損失をさけることができる。それに対して、染色体に組込まれたことになる導入遺伝子は、一般的に娘細胞に安定に遺伝する。
しかし、この最後の試みは、乳酸菌の染色体の詳細な知見がなく、かつ異種DNAの染色体組込みを得る安定な方法がないために、乳酸菌ではまだ十分に研究されていない。なお、最近の刊行物では、いわゆる組込みベクターによりラクトコッカス ラクチスssp.ラクチスでこのような染色体組込みが報告されている(文献46)。
相同または異種遺伝子の発現は、例えばその遺伝子と天然で(naturally)関連したプロモーター配列を、転写レベルで遺伝子の増強した発現に導くより強いプロモーター配列で置換することにより増強することができることが知られている。かくして、DD 228 564は、イー.コリおよび/またはビー.ズブチリス中で複製することができる発現ベクターの製法を開示し、その方法は、構造遺伝子からなるプロモーターレスの基本イー.コリおよび/またはビー.ズブチリスプラスミドのユニーク制限部位に、基本プラスミドのユニーク制限部位に対応する制限酵素での制限によりストレプトコッカス種から単離されたプロモーター担持DNAフラグメントを挿入し、ベクターで形質転換されかつ構造遺伝子を発現するイー.コリおよび/またはビー.ズブチリスから組換えベクターを単離することからなる。
ヤングマンら{Youngman et al(1987)}は、トランスポゾンTn917を用いて、バシラス種(spp.)のプロモーターを単離する方法を開示している。しかしながら、この方法は、バシラス種の37℃以上の温度で生育する能力によるものであり、さらに、このバシラス種における転位方法により、トラスポゾンが優性のホットスポットに組込まれ、それによって単一の優性組込み体(dominant integrant)が生ずる結果になることが見出されている。
最近、乳酸菌のラクトコッカス ラクチスにおいて、イー.コリ遺伝子産物即ちβ−ラクタマーゼのより効果的な発現と分泌を得るために、乳酸菌プロモーターからなる配列および/またはプロモーターシグナルペプチド配列が、プラスミド中の弱い天然のプロモーターおよび/またはプロモーターシグナルペプチド配列を置換するのに用いることができることが示唆されている(文献28)。これらの著者らは、イー.コリおよび/またはビー.ズブチリス(B.subtilis)中で複製でき、かつプロモーターレスcat遺伝子と適切な制限部位とからなるプロモータープローブベクターを用いて、ラクトコッカス染色体のフラグメントを挿入し、イー.コリまたはビー.ズブチリスから単離されかつcat遺伝子を発現する組換えプラスミドをスクリーニングすることによって、ラクトコッカスプロモーター配列を同定した。
しかしながら、乳酸菌源のものではなく非乳酸菌中で複製されるベクターにおける乳酸菌プロモーターの挿入を、非乳酸菌においてスクリーニングすることに関しているこのような方法では、源である乳酸菌中で機能する、有用な乳酸菌プロモーターの直接的な原位置(in situ)の同定はできない。そのような直接的な方法は、この発明によって提供される。
<発明の要約>
1つの観点において、この発明は、
i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス(promoterless)構造遺伝子からなる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および(c)乳酸菌中で機能的である複製起点からなる、乳酸菌中で複製するDNA分子を選択し、
ii)そのDNA分子を乳酸菌の集団に導入し、その集団を転位因子の転位を起こさせる条件下に置き、
iii)プロモーターレス遺伝子が発現される乳酸菌集団の細胞を選択し、
iv)その細胞をクローニングし、そのクローンから、原プロモーターレス遺伝子(originally promoterless gene)に作動的に結合した乳酸菌プロモーターと、おそらくそのプロモーターの機能を制御する配列とからなるDNAフラグメントを単離する
工程からなる、プロモーターからなる乳酸菌DNAフラグメントの単離方法に関する。
さらなる観点において、この発明は、
i)上記方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるDNAフラグメントを単離し、
ii)そのプロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子の上流で乳酸菌中に挿入し、それによって挿入したプロモーターを前記遺伝子と作動的に結合させる
工程からなる組換え乳酸菌の構築方法、または
i)請求項1の方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるDNAフラグメントを単離し、
ii)所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を乳酸菌中に挿入し、
iii)前記プロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子の上流で工程ii)で得られる乳酸菌中に挿入し、それによって挿入したプロモーターを前記遺伝子と作動的に結合させる
工程からなる組換え乳酸菌の構築方法を提供する。
さらに、さらなる観点によれば、この発明は、
i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス構造遺伝子からなる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および(c)乳酸菌中で機能的である複製起点からなる、乳酸菌中で複製するDNA分子を選択し、
(ii)転位因子の転位を起こさせる条件下で、工程i)のDNA分子を乳酸菌の集団中に導入し、
iii)プロモーターレス構造遺伝子が、乳酸菌細胞の天然の調節可能なプロモーターに作動的に結合した結果として調節可能に発現されている乳酸菌集団の細胞を選択し、
iv)工程iii)の乳酸菌細胞のレプリコンにおける、転位因子が組込まれることが可能な部位を同定し、
v)工程iv)で同定した部位または機能的に同等の部位で、乳酸菌集団の非組込み細胞中に、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を挿入し、それによってその遺伝子を前記天然の乳酸菌プロモーターに作動的に結合させる
工程からなり、ここで挿入した遺伝子の発現が、天然プロモーターに作動的に結合したときの遺伝子の発現と比較すると変化している組換え乳酸菌の構築方法に関する。
他のさらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と、それらに作動的に結合された、その遺伝子に天然では関連していない調節可能な乳酸菌プロモーターからなり、前記プロモーターの存在によって、その遺伝子の発現が、その天然のプロモーターに作動的に結合したときの遺伝子の発現に比べると変化されている組換え乳酸菌、および乳酸菌中で機能的である乳酸菌プロモーターと、それらに作動的に結合された所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、そのプロモーターが、前記遺伝子と天然では関連していないものである単離DNAフラグメントに関する。
この発明はまた、食品の製造、動物用飼料の保存および原生物的に活性な組成物の製造における、ここで定義した組換え乳酸菌の使用に関する。
さらに他の観点によれば、この発明は、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるDNA配列、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子、乳酸菌中で機能的である乳酸菌レプリコン、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合され、それによってプラスミドが乳酸菌中に存在するときにその遺伝子が転写されうるようにDNA配列を挿入させる挿入部位からなる組換えプラスミドを提供する。
なおさらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコードするプロモーターレス遺伝子からなるベクター、乳酸菌中で機能的であるシータ(θ)複製乳酸菌レプリコンおよびDNA配列を挿入させる挿入部位からなり、その挿入部位に調節可能な乳酸菌プロモーターからなるDNA配列が挿入されており、その挿入によって所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合されて、その遺伝子が転写されるようになる組換えプラスミドに関する。かくして、このようなプラスミドは、ベクターとしてのプラスミドpAK80からなる。
<発明の詳細な説明>
この発明の主な目的は、改良乳酸菌が乳酸菌種由来のDNAまたは非乳酸菌種からのDNAのみを含有する意味で食品グレードであり、その存在が一般に安全と認められうる改良乳酸菌を構築する手段を提供することである。ここで用いた用語“乳酸菌(lactic acid becterium)は、糖を発酵して、主に産生される酸としての乳酸、酢酸およびプロピオン酸を含む酸類を産生する、グラム陽性、微好気性または嫌気性細菌を示す。工業的に最も有用な乳酸菌は、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、ラクトバシラス種(Lactobacillus spp.)、ロイコノストック種(Leuconostoc spp.)、ペディオコッカス種(Pediococcus spp.)、ブレビバクテリウム種(Brevibacterium spp.)、プロピオニバクテリウム種(Propionibacterium spp.)およびビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)のなかに見出される。
上記のように、この発明は、1つの観点において、プロモーターからなる乳酸菌DNAフラグメントの単離方法を提供する。この方法の第1工程では、乳酸菌中で複製することができ、転位因子、プロモータープローブ遺伝子としてのプロモーターレス構造遺伝子、検出可能な選択マーカー遺伝子および乳酸菌中で機能的である複製起点からなるDNA分子が提供される。このようなフラグメントを乳酸菌中に導入し、続いて転位イベントの結果として宿主細胞レプリコン(宿主によって担持された染色体および/またはプラスミドを含む)に組み込むことができると、宿主細胞プロモーターは、組込まれたDNAフラグメントのプロモーターレス構造遺伝子の宿主細胞における発現を検出することによって同定することができる。これは、分裂レプリコン分子に存在するプロモーター領域が遺伝子に作動的に結合するようになるレプリコンの部位で転位因子の挿入が起こらないかぎり、プロモーター領域を欠く構造遺伝子は発現できないからである。
この明細書において、用語「転位因子(transposable element)」は、それ自体を他のDNA分子に挿入できる能力を有する二本鎖DNA分子を示すために用いられる。転位因子自体を挿入する方法は、「転位(transposition)」と命名され、この方法は、「トランスポザーゼ(transposase)」として知られる蛋白を必要とする(詳細な説明については文献3参照)。転位方法は、転位因子を第2DNA分子の特定部位に挿入することに起因する。この挿入は、いくつかの意味のある結果を有する。第1に、第2(レシピエント)DNA分子の原DNA配列が、物理的かつ機能的に分解される。第2に、転位は、新しいDNAを第2DNA分子に導入することに起因するので、相同または異種DNAを特定のDNA配列に導入する手段が提供される。第3は、転位因子のDNA配列への挿入が、挿入部位の側面に位置するDNA配列の発現と体制に関する情報を与えうるように転位因子を処理することができる。例えば、転位因子の末端近くに、非発現または非分泌遺伝子産物をエンコードする遺伝子を挿入することができ、従ってこのような転位因子は、プロモーターおよび分泌シグナルペプチドのプローブを与える。
この発明に従って使用できる転位因子は、サイズと機能体制の両者が多様である。かくして、「挿入配列」と称する簡単な転位因子は、因子自身の動きに無関係な機能をエンコードせず、一般に2kbより短い。全ての転位因子と同様に、挿入配列は、互いに逆向きの繰返しである相補的配列を含む特殊化された末端を有する。このような逆向きの繰返し配列の存在が、転位に必須とみられる。トランスポザーゼ酵素は、転位因子の両端でDNA配列に結合することによって転位を媒介すると考えられる。
有用な転位因子には、トランスポゾンが含まれる。用語「トランスポゾン(transposons)」は、挿入配列より大きく、かつトランスポザーゼ系に加えて抗生物質または他の選択可能な決定因子に対する細胞耐性を与える蛋白のようないくつかの遺伝子産物をエンコードする転位因子を意味する。
遺伝子工学の道具としての転位因子の開発に関する殆どの研究は、グラム陰性菌種でなされているが、グラム陽性菌種中で機能的であるいくつかのトランスポゾンが単離され、主にバシラス(Bacillut)種、リステリア(Listeria)種およびコリネバクテリウム(Corynebacterium)種において、また少ないけれども乳酸菌においても研究されている。乳酸菌で使用できるトランスポゾンの例には、ストレプトコッカスから単離され、ことにリステリア(Listeria)種、マイコプラズマ(Mycoplasma)種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種において機能的なTn916;ストレプトコッカス サングイス(Streptococcus sanguis)から単離され、乳酸菌種であるラクトバシラス プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ロイコノストック クレモリス(Leuconostoc cremoris)およびラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)において転位することが示されているTn919、バシラス種とリステリア種において転位することが知られているストレプトコッカス ファエカリス(Streptococcus faecalis)から単離されたTn917がある。
この発明の目的に関して、有用な転位因子は、オペロン融合と転写融合を媒介するものである。従って、上記のグラム陽性トランスポゾンの誘導体を含む、標的として乳酸菌DNA分子を有するそのようなトランポゾンの融合発生誘導体を、この発明の方法に使用することができる。例えば、融合発生トランスポゾン誘導体(fusion−generatingtransposon derivatives)は、その発現を容易に検出することができるプロモーターレス構造遺伝子からなる。このようなプロモーターレス構造遺伝子は、例えば、抗生物質耐性を与える遺伝子産物をコードする遺伝子、栄養要求性欠失を補足する遺伝子産物をコードする遺伝子、または適当な固体もしくは液体培地で着色反応する物質のような容易に検出することができる最終産物を有する酵素をコードする遺伝子から選択することができる。
例えば、プロモーターレスlacZ遺伝子を、転位媒介融合を得るのに適切な配向でトランスポゾンからなるプラスミドに挿入することにより、それを含有する細菌を5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(x−gal)を含むプレートで増殖させると、β−ガラクトシダーゼの発現の結果として青色に変わるプラスミドベクターが得られる。このようなベクターで生じた染色体またはプラスミドへの転位挿入は、その挿入が機能性プロモーターの下流でかつ転写融合をもたらす右配向に起こらなければ、白色コロニーを産生する。このように、プロモーターレス遺伝子は、プロモーターおよび/またはオペロンプローブ遺伝子として働く。別の例として、適切な融合発生トランスポゾン誘導体は、プロモーターレス遺伝子cat−86遺伝子からなり、その遺伝子産物はフロラムフェニコール耐性を媒介する。
この明細書において、適切な転位因子の本質的な特徴は、高度のランダムさで転位する能力があることである。転位因子は、標的特異性において大きく変化し、その挿入部位は、因子配列に殆どもしくは全く類似性を示さない。完全にランダムに挿入する因子は見出されていないけれども、ある因子は、何れかの遺伝子において、2〜3から何百もの標的部位を有しているであろう。他の因子は、単一の染色体部位のみに挿入する高い部位特異性を示している。なお他の因子は、ある種において擬似ランダムに挿入するとみられるが、DNAの特定領域またはDNA分子のある領域を好む。この発明の目的のためには、ランダムかまたは少なくとも擬似ランダムに組込まれる転位因子が好ましい。用語「擬似ランダム(quasi−randomly)」は、このDNAフラグメントにおいて予想される挿入割合に対する公知サイズの標的DNAフラグメントにおいて観察される挿入イベントの総数の割合に関して、組込みランダムの程度としてここで定義され、最大5、好ましくは最大4、より好ましくは最大3、特に最大2.5である。有用な具体例では、染色体DNA対する優先性を有する転位因子が好ましい。
ある好ましい具体例では、乳酸菌中で複製することができかつTn917トランスポゾンの融合発生誘導体からなるDNA分子を、この発明の方法のために選択することができる。このような誘導体には、PTV32、pLTV1、pLTV3、pTV51、pTV52およびpTV53を含むpTVシリーズのプラスミドが包含される。これらの中で、pTV32およびpLTV1が特に有用である。
その上、この発明の方法の工程(i)で得られるようなDNA分子は、DNAフラグメントが導入された細胞を選択させる検出可能な選択マーカー遺伝子からなる。これに関連して、便利なマーカー遺伝子には、例えばエリスロマイシンやリンコマイシンのようなマクロライド抗生物質、テトラサイクリン、β−ラクタム抗生物質およびクロラムフェニコールのような抗生物質に耐性を与える遺伝子産物をコードするものがある。他の例として、マーカー遺伝子は、DNAフラグメントが導入される宿主細胞における栄養要求の相補性をコードしていてもよく、または上記のLacZ遺伝子のような容易に検出することができる最終産物を発生しうる酵素をコードする遺伝子であってもよい。
この方法の第2工程では、上記定義のDNA分子が、乳酸菌の細胞集団中に導入される。このような導入は、DNAを宿主細胞に導入する公知技術に従って行うことができ、それには、プロトプラスト細胞の形質転換、エレクトロポレーションによる形質転換、またはDNAフラグメントが接合性因子の場合には接合による形質転換が含まれる。選択した方法は、少なくともDNAのμg当り5×104、例えばDNAのμg当り少なくとも105のようなDNAμg当り少なくとも104組換え細胞のDNA導入頻度になるのが好ましい。
転位因子の宿主細胞DNAへの高い確立での組込みを得るのを確実にするためには、DNA分子が宿主細胞中で複製できるものであることが必須である。従って、工程(ii)は、導入したレプリコンを複製させるサブ工程を含め、どの程度の複製が、形質転換細胞または接合完了体に起ったかを調べる方法を伴うことができる。この明細書において、複製の適切な程度は、細胞当り5〜20の範囲のコピー数と考えられる。この範囲を実質的に越えるコピー数は、次の転位が起こるための本質的前提条件であるレプリコンのキュアリングをより達成困難にするであろう。
さらなるサブ工程では、工程(ii)は、形質転換細胞または接合完了体細胞を、転位を生じさせる条件下に付すことからなる。非乳酸菌での転位は、細胞の環境条件下で1以上のシフトによって誘発することができる。その例として、ビー.ズブチリスにおけるpTV−ベースのTn917突然変異誘発の方法には、温度アップシフトと組合せた抗生物質スイッチを含む工程が含まれる。Tn917erm遺伝子発現と転位は、共に、ビー.ズブチリス中でエリスロマイシンにより誘発される(文献57)。ビー.ズブチリス中では、pE194Ts−repの複製活性が、37℃以上の温度でブロックされる(文献56)。結果として、pTVプラスミドのキュアリング、転位の誘発および選択は、エリスロマイシンの存在下、42℃を越える温度で、ビー.ズブチリスを増殖させることによって行われる。
しかしながら、この発明に至る実験中、ビー.ズブチリスで用いた上記手順は、例示したラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614およびMG1363のような乳酸菌に適用できないことを見出した。しかし、pTV32もpLTV1も、エリスロマイシンの存在下30℃で生育させたとき、これらのプラスミドの形質転換したラクトコッカス細胞から抽出することができないことを意外にも見出した。このことは、プラスミドの付随した損失をともなうTn917誘導体の染色体への転位(組込み)が、これらの条件下で起こったことを示した。
従って、この発明の1つの有用な具体例では、この方法の工程(ii)は、フリーの転位因子含有DNA分子の形質転換乳酸菌における転位が、転位因子が耐性を与える構成物質の存在下20〜35℃の範囲、例えば30℃の温度で形質転換細胞を増殖させることによって、このようなフリー分子の付随するキュアリングをともなって誘発されるサブ工程を含んでいる。
この方法の次の工程(iii)では、組込み体細胞がクローン化され、転位因子のプロモーターレス遺伝子を発現することができる組込み体細胞を検出する選択手順に付される。この選択手順は、プロモーターレス遺伝子のタイプに依存するであろう。例えば、プロモーターレスlacZ遺伝子が用いられるとき、選択は、クローン化された組込み体を、色の展開をともなうβ−ガラクトシダーゼによって分解しうる物質を含有する培地で培養することによって行うことができるか、または抗生物質耐性遺伝子が用いられるときには、その組込み体を、対応する抗生物質を補った培地で選択することができる。
この方法の工程(iv)では、プロモーターレス構造遺伝子を発現する選択組込み体がクローン化され、原プロモーターレス遺伝子と作動的に結合されるプロモーターと、おそらくプロモーター機能を調整する配列とを含む乳酸菌レプリコン領域が、適当な制限酵素を用いてクローン化細胞から単離される。得られる一次プロモーター含有DNA配列は、選択した酵素(酵素類)に関する制限部位の位置に依存して変動するサイズを有することができる。
単離されたプロモーター含有DNA配列/フラグメントのさらなる応用として、単離したプロモーターとおそらくプロモーターの機能を調節する配列とからなるより小さなフラグメントを得るために、これらの一次配列のサブ配列を作るのが有利であろう。一次プロモーター含有フラグメントは、例えば40〜600kbの範囲のサイズを有することができるため、プロモーターとおそらくその調整に必要とされる他の配列とからなるサブ配列は、50〜10,000塩基対の範囲内にあるサイズを有するのがより適切であろう。
この発明によれば、上記定義の工程(ii)において転位因子からなるDNAフラグメントが導入されている乳酸菌の細胞の集団は、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウム種から選択するのが好ましい。1つの特に好ましい具体例では、乳酸菌は、ラクトコッカスラクチス亜種ラクチス種MG1614およびMG1363のようなラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス(Lactoccus lactis snbspecies lactis)から選択される。ここで定義したような遺伝子的に改良した乳酸菌の食品製造への工業的使用の中で、乳酸菌スターター培養物の特異的発現型形質が表われるかもしくは失うか(turn on or switch off)、またはその形質の発現率が成熟工程を含む製造工程の特定期間中に増強もしくは減少するように、細菌の機能を調節できることが有利であろう。例えば、チーズ製造においては、凝固工程中高度に蛋白分解的もしくは脂肪分解的に活性ではないが、チーズの成熟中はそうである培養物を使用することが望ましいであろう。
従って、1つの有利な具体例では、この方法は、単離されかつ選択されたDNAフラグメント中に含まれたプロモーターが、調節可能なプロモーターである方法であろう。このような方法は、調節配列をおそらく含む単離プロモーター含有配列が、調節の様式でスクリーニングされる工程を含むものである。この明細書において、調節可能なプロモーターは、pHおよび/または環境中のアルギニン含量、生育温度、熱ショック遺伝子の発現を引き出す温度シフト、イオン強度/NaCl含量を含む増殖培地組成、およびプロモーターからなるDNA分子が導入されている乳酸菌の発育相/成長速度から選択される因子によって調節することができる。プロモーターの調節の様式の1例は、緊縮調節の現象であり、それによって、ある細胞のRNA合成が、その細胞がアミノ酸のような必須栄養素を渇望する場合に中断されることが理解される。従って、この発明による適切な調節可能なプロモーターは、緊縮調節下にあるものである。
プロモーターを調節する有用な様式の他の例は、その前駆体から、プリンヌクレオチドの新規合成(de novo合成)に関連する酵素をコードする遺伝子を調節するプロモーターを選択することである。プリン化合物の存在下で抑制されることにより調節されるそのようなプロモーターを、発現が調節されるべき遺伝子の前で乳酸菌中に挿入することにより、この遺伝子は、その細菌がプリン化合物前駆体を含まない培地で生育するときのみ発現されるであろう。このような調節プロモーターの例は、以下に記載するようなラクトコッカルpurDプロモーターである。
プロモーター調節の様式をスクリーニングする1つの例として、遺伝子産物をコードする遺伝子に作動的に結合しており、その発現が容易に検出できるプロモーターが転位によって導入されている細胞を、適切な培地上で培養し、このプレートを10〜30℃の範囲内の異なる温度のような温度変化でインキュベートし、温度依存遺伝子発現を観察することにより、単離プロモーターを、温度/発育相調節に関してスクリーニングすることができる。しかしながら、組込み体細胞(integrants cells)の成長速度は生育温度に依存するので、観察された明らかな温度依存発現が直接的な温度調節の結果であるのか、またはその依存が発育相調節によるのかどうかを決定することはできない。
同様に、遺伝子発現の可能なpHおよび/またはアルギニン依存調節を、上記の組込み体細胞をその組込み体細胞培養物の増殖後にpH値が変動する結果となる異なる組成を有する培地で培養することによってスクリーニングすることができる。その例として、細胞は、最終pHが約5である修飾GM17培地および通常のグルコース含量の1/5を有し、0.5%アルギニンを補った修飾GM17培地で生育することができる。上記のようなラクトコッカス ラクチス組込み体細胞の培養物の増殖後のこのような培地のpHは、約9であろう。単離遺伝子の制御下での遺伝子の発現が、2つのpH値の1つでのみ観察されるとき、pHおよび/またはアルギニン依存調節が論証される。
この発明の1つの目的は、所望の遺伝子産物をコードする乳酸菌遺伝子の発現を増強させるプロモーター含有配列を挿入することによって、改良した組換え乳酸菌を構築する手段を提供することであるので、プロモーター配列の強さをスクリーニングすることは、この発明の1部である。このスクリーニングは、それ自体公知の方法に従って行われる。
上記したように、さらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコードする乳酸菌遺伝子を含有する組換え乳酸菌の構築方法に関し、その方法は、第1工程として、適当な場合に追加の調節配列を含む乳酸菌プロモーターからなるDNA配列を上記方法に従って単離することからなっている。この方法は、第2工程では、こうして単離したDNA配列を、所望の遺伝子産物をコードする乳酸菌遺伝子の上流で乳酸菌に挿入することからなり、それによって、挿入プロモーターとおそらく上記の調節配列が、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と作動的に結合されるようになる。
所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、この発明によれば、相同遺伝子であるか、または乳酸菌由来の遺伝子を含む挿入された異種遺伝子であろう。遺伝子が挿入遺伝子のとき、プロモーター配列からなるものと同じDNA配列に挿入することができるか、または異なるDNA配列に挿入することができる。
1つの有用な具体例では、上記の単離プロモーター含有配列の挿入は、乳酸菌の染色体に行うことができ、他の有用な具体例では、その配列は、染色体外的に、例えばその細菌が保有するプラスミドに挿入することができる。上記したように、プロモーター含有配列を染色体に組込むのが有利であろう。これは、その配列と染色体に作動的に結合される遺伝子が、染色体外成分の位置と比べてより安定に含まれるからである。プロモーター含有配列の挿入は、それ自体公知の遺伝子工学の方法、例えば、通常の制限および連結法によるプラスミドへの挿入、またはトランスホゾンもしくはバクテリオファージを用いるかまたは通常の組換え技術による染色体への組込みに従って行われる。
1つの興味ある具体例によれば、単離したプロモーター含有配列は、さらなる配列からなり、それによって、単離したプロモーターは、確立事象によって調節されるようになる。このような調節は、例えば、挿入したプロモーター含有配列の制御下で、徐々に減少する遺伝子活性を持たすのが有利な、乳酸培養に有用である。このようなさらなる配列は、例えば、プロモーターまたはプロモーター機能に実際的に必要とされる物質をコードする遺伝子を組換え除去させる配列であることができる。
プロモーター機能の確率調節は、プロモーターの機能を阻害する調節配列を組換え除去する形態でもあり、それによって、徐々に増加するプロモーター活性を、組換え細胞集団レベルで得ることができる。
上記のように、この発明は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、その発現が、天然プロモーターに作動的に結合したときの遺伝子の発現に比較して変更されている、組換え乳酸菌を構築するさらなる方法を提供する。この方法では、上記で定義されかつプロモータープローブ遺伝子を有する転位因子からなるDNA分子は、乳酸菌レプリコン(染色体またはプラスミド)における部位または複数の部位を同定するのに利用され、そこでは、転位因子が組込まれ、プロモーターレスプローブ遺伝子がレプリコンに存在するプロモーター配列に作動的に結合されるようになり、次いで所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、その部位もしくはそれらの部位、またはそれらに機能的に等価である部位もしくは複数の部位で非組込み乳酸菌細胞に挿入され、それによってこの遺伝子が同定されたプロモーター配列に作動的に結合するようになる。
転位因子は2つの塩位対の間に挿入されるので、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、それらの2つの塩基対間に挿入する外に、同定プロモーター配列に挿入遺伝子の転写を調節させる特異的な挿入(組込み)部位から距離を置いて位置する近傍部位にも挿入することができることが理解されよう。この明細書で、このような近傍部位を機能的な等価部位として言及する。このような機能的に等価な部位が見出される特異的なトランスポゾン組込み部位からの距離は、1〜2000塩基対の範囲内であると考えられる。
この発明によれば、上記定義の部位に挿入される所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、乳酸菌由来の遺伝子を含む相同もしくは異種遺伝子である。
さらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と、それらに作動的に結合された、その遺伝子とは天然では関連していない乳酸菌プロモーターからなり、そのプロモーターの存在によって、その遺伝子の発現が、その天然のプロモーターに作動的に結合されたときの遺伝子の発現と比較して変化されている、組換え乳酸菌を提供する。
ここで使用されるとき、用語「変えられた発現(altered expression)」は、遺伝子の発現の調節が、その天然のプロモーターに作動的に結合されたときの遺伝子の調節とは量的または質的に異なることを示すために用いられる。量的に異なる発現は、遺伝子産物の発現の増加レベル、例えば少なくとも10%増加した発現として認識することができる。例えば、発現は、少なくとも25%、例えば少なくとも50%まで増加されるのが有利である。ある具体例では、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子の発現が、天然のプロモーターの制御下にあるときの遺伝子の発現より低い組換え乳酸菌を提供するのが有利である。従って、有用な組換え細菌は、少なくとも10%減少、好ましくは少なくとも25%、またはより好ましくは少なくとも50%減少した発現レベルを有するであろう。
質的には、その天然のプロモーターが本質的なプロモーターである所望の遺伝子産物をコードする遺伝子の発現は、それを調節可能なプロモーターに作動的に結合することによって変えることができ、また天然の調節可能なプロモーターを有する遺伝子の発現は、それを本質的なプロモーターに結合することによって変えることができる。さらなる具体例では、天然の調節可能なプロモーターを有する遺伝子の発現は、それを異なる様式の調節を有する調節可能なプロモーターに結合することによって、質的に変えることができる。
1つの有用な具体例では、この発明は、上記で定義したような挿入された乳酸プロモーターを含むDNA配列からなるものとして、組換え乳酸菌を提供し、その乳酸菌プロモーターは、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子に作動的に結合されている。この発明による所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、染色体遺伝子または染色体外に位置した遺伝子である。
ある好ましい具体例では、上記の所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、染色体または特定の乳酸菌において天然に生じるプラスミド上の天然の位置に存在する相同遺伝子としてこの明細書において定義される天然の遺伝子であるか、または天然の位置から単離され、同じ乳酸菌菌株の他の位置に再挿入された相同遺伝子である。さらに他の有用な具体例では、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、非乳酸菌種または他の乳酸菌種から単離される異種遺伝子である。
ある具体例においては、挿入プロモーターが調節可能なプロモーターであるのが好ましいけれども、他の有用な具体例では、また、挿入プロモーターが本質的なプロモーターである組換え乳酸菌を提供するのが有利である。挿入される選択プロモーターが調節可能なプロモーターであるとき、調節の様式は、確立事象による調節を含む、上記定義の要因から選択することができる。
この発明による乳酸菌は、乳酸菌プロモーターからなる挿入DNA配列がプラスミドに挿入されているものとして提供されるのが有利であろう。ある好ましい具体例では、そのようなプラスミドは、さらに、ここで定義した所望の遺伝子産物をコードする遺伝子、乳酸菌中で機能的である乳酸菌レプリコン、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合されてそのプラスミドが乳酸菌中に存在するとき遺伝子の転写が可能となるようにDNA配列を挿入させる挿入部位からなるものである。
プラスミドに挿入されるプロモーターは、ここで記載したように調節可能であるプロモーターが好ましい。
これに関連して、適切な乳酸菌は、以下に記載されているプラスミドpAK80またはpAK80:SB、pAK80:143、pAK80:162、pAK80:163、pAK80:170、pAK80:224およびpAK80:242を含むこれらの誘導体を保有するものである。
興味深い具体例では、この発明により組換えられる乳酸菌は、条件的複製挙動を有するプラスミド上に、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を担持することができ、これによって、ある条件下でプラスミドコピー数は、例えば数百もしくは数千まで実質的に増加される。そのような複製挙動を有するプラスミドは、ランナウエイプラスミドとも称される。
ここで定義した組換え乳酸菌は、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス、ラクトコッカス ラクチス亜種ディアセチラクチス(diacetylactis)およびラクトコッカス ラクチス亜種クレモリス(cremoris)を含むラクトコッカス種、ストレプトコッカス サリバリウス(Streptococcus salivarius)亜種サーモフィラス(thermophilus)を含むストレプトコッカス種、ラクトバシラス アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス デルブラキイ(Lactobacillus delbruckii)亜種ブルガリクス(bulgaricus)、ラクトバシラス ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)を含むラクトバシラス種、ロイコノストック オエノス(Leuconostoc oenos)を含むロイコノストック種、ペディオコッカス(Pediococcus)種、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)種、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、およびビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)を含むビフィドバクテリウム種から選択されるものであることができる。
好ましい具体例では、組換え乳酸菌は、ここで定義したような挿入プロモーター含有配列が、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスのようなラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種、およびビフィドバクテリウム種から由来するものである。ある特別な具体例では、挿入プロモーターは、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス菌株MG1614、MG1363またはCHCC285(Chr.Hansens Laboratorium A/S)から単離することができる。挿入するプロモーターは、P IおよびP IIプロモーターを含むtRNAおよびrRNAプロモーター、および以下に記載するようなラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスからのpurDプロモーターである。特に興味深いプロモーターは、保存配列(モティーフ)AGTTからなるtRNAまたはrRNAプロモーターのような強力なプロモーターである。
この組換え乳酸菌は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ヌクレアーゼをコードする遺伝子、アミノペプチダーゼのようなペプチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、リゾチームのような溶菌酵素またはファージ溶菌酵素をコードする遺伝子、およびナイシンを含むバクテリオシンをコードする遺伝子から選択されるものであるのが好ましい。興味深い観点では、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、その遺伝子産物がナイシンのようなバクテリオシン、またはペディオシン(pediocin)に対する耐性を付与するものであろう。
所望の遺伝子産物をコードする上記遺伝子は、乳酸菌由来の遺伝子であるか、またはそれらは、非乳酸菌微生物種または植物細胞およびヒトもしくは動物細胞を含む真核細胞由来の遺伝子であるのが適切であろう。真核細胞由来の有用な遺伝子の1つの例として、プラスミノーゲンが述べられるであろう。
この発明の1つの特に好ましい具体例では、遺伝子は、ロイコノストック種のlacL遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチダーゼのようなペプチダーゼをコードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択される。
この発明によれば、ここで定義した組換え乳酸菌は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、レプリコンに存在するプロモーターの制御下にあるレプリコンの部位に挿入され、その部位での遺伝子の挿入により、その遺伝子がレプリコンに存在するプロモーターに作動的に結合されるようになるものであるのが適切であり、その部位は、プロモーターレス構造遺伝子からなる転位因子を用いてプロモーターレス構造遺伝子を挿入し、それにより原プロモーターレス遺伝子が、上記レプリコンに存在するプロモーターに作動的に結合されることによって発現可能になることにより同定可能である。
所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が挿入される部位は、転位因子の挿入によって同定されるような2つの塩基対間の特定の部位に限定されず、転位因子のプロモーターレス遺伝子が作動的に結合するようになる乳酸菌プロモーターが、挿入遺伝子の発現を制御することができる、この特定部位からの距離以内のいずれの部位であってもよい。この明細書において、特別に同定された部位からこのような距離にある挿入部位を、機能的に等価な挿入部位と言及する。
この発明によれば、上記定義のような所望の遺伝子産物をコードする遺伝子とともに上記定義のようなプロモーターからなる配列が挿入された組換え乳酸菌も提供される。
上述のように、なおさらなる観点によれば、この発明は、(i)乳酸菌中で機能的である調節可能な乳酸菌プロモーターと、(ii)それらに作動的に結合された所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、そのプロモーターが、遺伝子と天然では関連がなく、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子に上で定義したような変えられた発現を付与するものである、単離DNAフラグメントを提供する。
このようなDNAフラグメントは、ここで定義した方法に従って単離することができる。1つの有用な具体例では、DNAフラグメントは、さらに少なくとも1つの転写ターミネーターを含むものである。このDNAフラグメントは、100〜10000塩基対の範囲の大きさ、例えば200〜5000塩基対の範囲の大きさを有するフラグメントであるのが好ましい。この発明によれば、DNAフラグメントは、さらにプロモーターの調節に関連した遺伝子産物をコードする配列を含むものであってもよい。
有用な具体例では、DNAフラグメントは、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペプチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素をコードする遺伝子、およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択されるものである。その遺伝子は、抗生物質または例えばナイシンもしくはペディオシンのようなバクテリオシンに対する耐性を付与する遺伝子産物をコードするものであってもよい。
上記定義のようなDNAフラグメントは、乳酸菌由来の遺伝子を含む相同もしくは異種遺伝子である、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなっていてもよい。従って、ある好ましい具体例では、遺伝子は、ロイコノストック種のlacL遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチダーゼをコードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択されるものである。
DNAフラグメント中に含まれる乳酸菌プロモーターは、ここで述べたようなあらゆる乳酸菌種から単離することができ、上記定義のような本質的なまたは調節可能なプロモーターであることができる。この発明の特別な具体例では、プロモーターは、受託番号DSM7360として寄託されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363組込み体クローンP139−170に含まれる調節可能なプロモーター、および受託番号DSM7361として寄託されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614組込み体クローン63bに含まれるプロモーターから選択される。
この発明によれば、組換え細菌は、調節可能な乳酸菌プロモーターからなる挿入DNA配列が、所望の遺伝子産物をコードするプロモーターレス遺伝子、細菌中で機能的であるθ複製する乳酸菌レプリコン、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合されて遺伝子が転写されるようにDNA配列を挿入させる挿入部位からなるベクター中に挿入されているものであることができる。1つの具体例では、そのような細菌は、挿入DNA配列が挿入されているベクターとして、プラスミドpAK80を含むであろう。
ここで提供される組換え乳酸菌は、乳製品、肉製品および野菜製品を含む食品製造用のスターター培養物、および動物用飼料の保存に有用である。後者に関連して、この組換え細菌は、サイロに貯蔵される農作物の接種物として特に興味深いものである。細菌がこれらの目的に用いられるとき、それらは、例えば濃縮物のグラム(g)当たり1010〜1012コロニー形成単位(CFUS)を含む、乾燥もしくは凍結細菌濃縮物の形態で便利に提供することができる。
ここで定義したような組換え乳酸菌の興味深い用途は、原生物的に(probiotically)活性な組成物の製造におけるものである。用語「原生物的に活性」とは、この目的のために選択される細菌が、胃腸管にコロニーを作ることができ、その結果この環境における微生物叢(microbial flora)に対する正の調節作用を発揮する特徴を有していることを示している。このような作用は、細菌が投与されるヒトもしくは動物における改良食品もしくは飼料転換として、または侵入する病原性微生物に対する増加した耐性として認めることができる。
さらに、この組換え乳酸菌は、抗原決定基をコードする1以上の遺伝子が挿入される組換えワクチン菌株の製造に有用であることが予測される。
この発明による組換えプラスミドは、乳酸菌プロモーターが上記に定義したような方法で調節可能なプロモーターであるものが好ましい。これに関連して、有用なプラスミドは、プラスミドpAK80、またはpAK80:SB、pAK80:143、pAK80:162、pAK80:163、pAK80:170、pAK80:224およびpAK80:242を含むこれらの誘導体から選択することができる。
この発明を、以下の実施例および図面でさらに例証する。
図1は、pTV32の地図である。以下の略語は、制限酵素部位Sal I、EcoR I、Pst I、Xba I、Knp IおよびSma Iを示している。Tn917はトランスポゾン部分を示し、ermはエリスロマイシン耐性をコードする遺伝子を示し、blaはβ−ラクタマーゼをコードする遺伝子を示し、ColEI repはColEIプラスミドの複製起点を示し、catはクロラムフェニコールに対する耐性を仲介するクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を示し、lacZはイー.コリのプロモーターレスβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を示し、tetはテトラサイクリン耐性をコードする遺伝子を示し、pE194 Ts repはプラスミドpE194由来の温度感受性の複製起点を示す。
図2は、pLTV1の地図である(略語は図1の記号参照)。
図3は、12の独立したエル.ラクチス亜種ラクチスTV32組込み体のサザンハイブリダイゼーション分析(Southern hybridization analysis)を例証している。各々のレーンの頂上に示されている組込み体からのDNAは、EcoR Iで消化され、アガロースゲルを通して電気泳動にかけられ、ナイロン膜に移され、かつA:32Pで標識化されたpLTV1、B:32Pで標識化されたpE194レプリコン特異的プローブを用いてハイブリッド形成されたものである。サイズマーカーは、キロベースペアーで与えられている。
図4は、エル.ラクチス亜種ラクチスTV32組込み体からのSma I消化DNAのパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を示している。組込み体番号は、レーンの頂上に示されている。A:48.5kb、97.0kb、145.5kb等で下から始まるラムダラダー(lambda ladder)(Promega,Madison,USA)である。B:39.0kb、78.0kb、117kb等で下から始まるデルタ39ラムダラダー(Promega)である。Mは、エル.ラクチス亜種ラクチスMG1614からのSma I消化DNAである。
図5は、優性のTV32組込み体からなるラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614の培養物から採取された19のクローン(E1−E19)のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を例証している。A、BおよびMで示されているレーンは、上記図5で示されたとおりである。クローンE5の消化により、分離したバンドとして明視化することができないフラグメントが得られた。
図6は、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614 TV32組込み体のプールされた培養物からランダムに採取された18のクローン(K1−K2,K4−K14,K16−K20)のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を例証している。A、BおよびMで示されているレーンは、上記図5で示されたとおりである。
図7は、プロモーター融合クローンコレクション番号1における調節されたlacZ発現の調査のためのストリークパターンを示している。各々のクローンは、約0.5cmの直線で、1μg/mlのエリスロマイシンおよびX−galの320μg/mlを含むプレート上にストリークされた。
図8は、実施6に記載したようなpAK67.7の構築を例証している。Pは、ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)亜種クレモリス(cremoris)のβ−ガラクトシダーゼプロモーターを示し、rbsは、リボソーム結合部位を示す。プライマーlac−1およびlac−2に相同の部位は、小さい矢印で示されている。リボソーム結合部位は、pAK67.7にも存在している。
図9は、pH5.5および7.0に生育するLTV1組込み体170の成長とβ−ガラクトシダーゼ活性を例証している。
図10は、pH5.5および7.0で生育するLTV1組込み体SBの成長とβ−ガラクトシダーゼ活性を例証している。
図11は、2つのプロモーターと2つの推定の転写ターミネーターを含む単一オペロン中に配列された7つのtRNA遺伝子と1つの5SrRNA遺伝子を含むラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス菌株CHCC285からのDNAフラグメントを例証している。
図12は、trnAの遺伝子体制およびヌクレオチド配列を示している。′tmaの導き出されたアミノ酸配列は、以下の1文字コードで示されている。停止コドンは星印で示されている。推定の−35および−10プロモーター配列(P I,P II)、−44領域における保存モティーフ(motif)および緊縮調節に関連すると思われる保存配列(Chiaruttini & Milet,1993;Ogasawara et al.,1983)は、二重下線がひかれている。tRNA遺伝子およびrrfUの解読領域は下線がひかれている。推定の転写ターミネーターは、配列の上の矢印で示されている。クローニングおよびプロモータークローニングに用いられるSca IおよびSpe Iの制限酵素部位の位置は、配列の上に示されている。
図13は、ラクトコッカス ラクチス及びラクトコッカス クレモリスからのtRNAおよびrRNAプロモーター配列の比較を示している。保存−44領域、−35領域、ダブレットTG(文献19参照)、−10およびバシラス ズブチリス(Bacillus subtilis)の緊縮応答中の発現の調節に関連すると示唆されている保存配列(Ogasawara et al.,1983)は、下線がひかれている。A:trnAのP I;B:trnAのP II;C:ラクトコッカス クレモリスtRNAleu遺伝子からのP21(van der Vossen et al.,1987;この研究);D:ラクトコッカス ラクチスからのP2(Koivula et al.,1991);E:ラクトコッカス ラクチスオーカーサプレッサー遺伝子の前のプロモーター領域(F.Dickely & E.Bech Hansen,personal communication);F:ラクトコッカス ラクチスtRNAarg遺伝子からのP10(Koivula et al.,1991;この研究);G:ラクトコッカス ラクチスrRNAオペロンのプロモーター(Chiaruttini & Milet,1993);H:ラクトコッカス ラクチスrRNAオペロンからのP2(Beresford & Condon,1993);I:ラクトコッカス ラクチスアンバーサプレッサー遺伝子の前の推定プロモーター(E.Johansen,未公開の結果);J:ラクトコッカス ラクチスからのP21(Koivula et al.,1991)。Con.は、整列された配列A〜Hにおける同一のヌクレオチドを示している。
図14は、逆方向に転写を開始する近接したプロモーターとともに全purDプロモーター領域を含むラクトコッカス ラクチスからの846bp DNAフラグメントである。
図15は、調節された条件下での液体培地におけるpSMA344/MG−1363の発酵槽成長中の、時間に対するOD600およびβ−ガラクトシダーゼ活性を例証している。
図16は、p170からの9.7kbラクトコッカル(lactococcal)EcoR I−Cla Iフラグメントおよび欠失誘導体の制限地図である。
図17は、p170の4.0kbラクトコッカル(lactococcal)Nde I−Cla Iフラグメントおよび欠失誘導体の制限地図である。
図18は、乳酸菌染色体中への非複製プラスミドのキャンベル様組込み(Campbell−like integration)を例証している。Pはプロモーターを示し、Ermはエリスロマイシン耐性遺伝子を示している。リポーター遺伝子は、ロイコノストック メセンテロイデスからのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子であり、イー.コリレプリコンは、pVA891からのpACYCレプリコンである。黒領域は、プラスミドと染色体の間のDNA相同の領域を例証し、矢印は、プロモーターPからの転写の方向を示している。
実施例
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614のpTV32およびpLTV1での形質転換と、これらのプラスミドの複製の論証
乳酸菌種ストレプトコッカス ファエカリス(Streptococcus faecalis)からのトランスポゾンTn917の誘導体を含むいくつかのベクター(pTVプラスミド)を、バシラス ズブチリスおよび他のグラム陽性細菌(文献10、55および57)に用いるために構築した。pTVプラスミドシリーズの2つの誘導体、pTV32(文献57)およびpLTV1(文献55)を、このためおよび以下の実験のために選択した。
pTV32(15.6kb)およびpLTV1(20.6kb)は、(i)プラスミドE194からの温度感受性レプリコン(pE194Ts−rep)、(ii)そのプラスミドのレプリコン部分上の、クロラムフェニコール耐性(Cmr)を付与するcat遺伝子(pTV32)またはテトラサイクリン耐性(Tcr)遺伝子(pLTV1)、(iii)エリスロマイシン耐性(Emr)を付与するerm遺伝子を保有するTn917、および(iv)ermに近接する末端で非必須のTn917 DNAに挿入されたバシラス ズブチリスからのリボソーム結合部位を有するプロモーターレスイー.コリlacZ遺伝子(図1および2)を含んでいる。pTV32およびpLTV1は、各々イー.コリPY1173およびバシラス ズブチリスPY258から単離された。これらの菌株は、ペンシルバニアの大学のP.Youngmanから得られた。
菌株NCDO712のプロファージフリーで、プラスミドフリーで、ストレプトマイシンおよびリファンピシン耐性の誘導体であるラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614を、HoloおよびNessによって記載されたエレクトロポレーション法を用いて、pTV32またはpLTV1で形質転換し(文献20)、一次形質転換細胞を、0.5Mスクロース、2mM CaCl2(SGM17,Ca培地)および適当な選択抗生物質(エリスロマイシンまたはクロラムフェニコール)が補われた0.5%グルコース(GM17培地)を含むM17培地(Sigma Chemical Co.)にプレーティングし、30℃でインキュベートすることによって選択した。抗生物質は、シグマから購入し、以下の濃度で用いられた:エリスロマイシン,1.0μg/ml;クロラムフェニコール,5.0μg/ml。
どちらのプラスミドでも、形質転換効率は、CmrまたはEmrに関して選択するとき、DNAのμg当たり104〜5×104形質転換細胞であった。
選択した一次形質転換細胞コロニーを、5.0μg/mlのクロラムフェニコールが補われたGM17液体培地に移し、形質転換細胞を、多くの世代が10〜50の範囲になるまで増殖させた。次いで、プラスミドDNAを、以下に示すような変形を行い実質的にはBirnboimらによって記載された方法(文献6)に従って細胞のアルカリ溶解を行うことによって、これらの形質転換細胞から抽出した。細胞を、0.3のA600まで指数関数的に増殖させ、5mlの培養物を、4000×gで遠心分離することによって採取した。ペレットを、TSバッファー(25%スクロース、50mMトリス塩酸塩、pH8.0)で洗浄し、10mg/mlのリゾチームを含む0.25ml S1溶液(5mM EDTA、50mM NaCl、25%スクロース、50mMトリス塩酸塩、pH8.0)中に再懸濁し、30℃で30分間インキュベートした。0.5mlのS2溶液(0.2M NaOH、1%SDS)を静かに加え、懸濁液を5分間氷上に保持した。次いで、0.4mlの3M酢酸ナトリウムpH4.8を加え、懸濁液を5分間氷上に保持した。懸濁液を10000×gで遠心分離した後、Birnboimら記載の方法(文献6)に従ってプラスミドを上清から抽出した。
こうして抽出したプラスミドDNAの部分と各々イー.コリRY1173およびバシラス ズブチリスPY258から単離されたプラスミドpTV32およびpLTV1を、標準条件下で制限酵素EcoR I、Sal IおよびHind IIIでの処理に付した。次いで、制限酵素で処理されたプラスミドDNAとともに、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614、およびイー.コリPY1173およびバシラス ズブチリスPY258から単離した未消化の抽出プラスミドDNAを、アガロースゲル電気泳動分析に付した。制限酵素部位EcoR I、Sal IおよびHind IIIと同様に形質転換されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614から抽出されたpTV32とpLTV1のサイズが、最初のプラスミドと比較して保持されていることがわかった。上記プラスミド製造手順における回収レベルが100%であると想定することによって、形質転換されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614における両プラスミドの平均コピー数は、Hind IIIで消化された公知濃度の標準ファージラムダ(phage lambda)DNAを用いて、アガロースゲル上での比較を行うことによって、細胞当たり6〜12コピーであると評価された。従って、乳酸菌が高い効率でpTV32およびpLTV1で形質転換されること、およびこれらのプラスミドが乳酸菌中で複製できることを、この実験から結論づけることができた。
実施例2
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスにおけるTn917転位の誘発、およびpTV−プラスミドのためのキュアリング
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614は、37℃を越える温度で、0.5%グルコースを含むM17肉汁(broth)(Sigma Chemical Co.)中で増殖を終える。pTV32またはpLTV1は、これらのプラスミドで形質転換されかつCmrに関する選択下37℃で生育するラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614から抽出することができる。ビー.ズブチリスに関して行われた温度キュアリング手順は、ラクトコッカス菌株に用いることはできない。
しかしながら、pTV32 DNAもpLTV1 DNAも、Emrに関する選択で30℃で生育するラクトコッカス形質転換細胞からは抽出することができないことが論証された。このことは、プラスミドの付随したロスをともなうTn917の染色体への転位(組込み)を示した。
個々の培養物からの独立したラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスTn917組込み体の製造は、以下の手順に従って行われた。
実施例1に記載されたように作成された初代形質転換細胞を、エリスロマイシンを含むSGM17,Caアガーにプレーティングし、30℃で約40時間インキュベートした。12の単一コロニーを、Emrを選択するM17肉汁培地で2回継代培養した。単一のコロニーを得るために、各々の培養物を、エリスロマイシンを含むGM17アガー上に線状に塗り(ストリークし)、各々の培養物からの単一のコロニーを、一回再ストリークした。全てのインキュベーションは、30℃で行われた。
これらの推定独立組込み体が、フリー分子としてプラスミドを損失しており、染色体に挿入されたTn917を有していることを証明するために、最初にpTV32で形質転換してEmrを選択する液体培地で2回継代培養した12の独立したEmrMG1614からのDNAに関して、サザンハイブリダイゼーションを行った。単離物から、総DNA内容を、7000rpmで10分間の遠心分離によって細胞を収集することにより、100mlの培養物から抽出した。細胞を、TEバッファー(10mMトリス塩酸塩、1mM EDTA pH7.5)で洗浄し、収集した。ペレットを−20℃で凍結し、次いで3mlのSTETバッファー{8w/v%スクロース、5v/v%トリトンX−100、50mM EDTA(pH8.0)、50mMトリス塩酸塩(pH8.0)}に溶解した。750μlのリゾチーム(10mg/ml)を加え、溶液を37℃で1時間インキュベートした。750μlの10%SDSを加え、37℃で0.5時間インキュベートを続け、次いで65℃で0.5時間インキュベートした。2mlのTEバッファーを加え、水溶液を、5mlのフェノール:クロロホルム(1:1)で3回抽出した。懸濁液に、1/10容量の5M NaClおよび1容量のイソプロパノールを加えた。溶液を、DNAが長い白色の糸として沈澱するまで非常に注意深く混合した。DNAを接種針で傷つけ、エッペンドルフチューブに移し、70%エタノールで3回洗浄した。DNAを、500mlのTEバッファーに溶解した。
こうして調製された各々の単離物からのDNA1μgを、EcoR Iで消化し、1.0%アガロースゲルを通して電気泳動によって分離し、ハイボンド−N膜(Hybond−N membranes)(Amersham,UK)に移し、2つの32Pでラベル化されたDNAプローブ、即ちpLTV1およびpE194レプリコンを含むpLTV1の4kb EcoR Iフラグメントを用いてハイブリッド形成に付した。4kbフラグメントを、透析バッグ中への電気溶出によってアガロースゲルから単離した。プローブは、[α−32P]dCTPで翻訳されたニック(nick)であった(Amersham,UK)。制限酵素消化、電気泳動、DNA転移、ニックトランスレーションおよびハイブリッド形成は、Maniatisらによって記載されたように行った(文献34)。
組込み体(integrant)クローンは、図3に例証されるような32Pでラベル化されたpLTV1および/またはpTVレプリコン特異的プローブでハイブリッド形成した。pTV32は15.6kbであり、プラスミドのレプリコン部分に位置するユニークEcoR I部位を有している。pTV32のTn917部分は、8kbである。12のTV32組込み体のうち8つから、単一のシグナルが、プローブとしてpLTV1を用いて検出され(図3A)、一方pTVレプリコン特異的プローブではシグナルは見られなかった(図3B)。これらの8つの組込み体は、TV32が染色体に転位し、pTV32が失われたとき予測されるように、EmrおよびCmsであった。残りの4つの組込み体(番号27、33および39)から、2つのシグナルが、プローブとしてpLTV1を用いて検出された(図3A)。同じ2つのバンドがレプリコン特異的プローブとハイブリッド形成し、フリーに複製するpTV32において予測されるサイズのシグナルは観察されなかった(図3B)。従って、これらの4つの菌株は、トランスポゾンTV32とともに染色体に組込まれたpTV32のレプリコン部分からのDNAを有している。4つの組込み体の各々において、4つ全てがCmrであったので、レプリコン部分からのDNAは、cat遺伝子を含んでいた。
実施例3
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614染色体へのTn917挿入の疑似ランダムさの論証
Tn917がラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスにおける有効な突然変異誘発手段として用いられるために、トランスポゾンの挿入は、ランダムであるべきである。転位ランダムさの分析は、実施例2に記載したような方法に従って作成された61の独立したMG1614TV32組込み体の染色体Sma Iフラグメント上のTV32の物理的(physical)な位置の決定によって行われた。ゲノムDNAの作成およびSma I原位置(in situ)制限酵素消化は、Tanskanenらによって記載されたように行われた(文献52)。これらの組込み体の中で、10個が、X−galの160μg/mlが補われたGMアガーにプレーティングすることによって示されるように、β−ガラクトシダーゼを発現した。
Sma I制限フラグメントを、モデルCHEF−DR II装置(Bio Rad Laboratories,Richmond,California)を用いてパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によって分離した。ゲルは、0.5×TBE{89mMほう酸中の1×TBE、2mM EDTAおよび89mMトリスほう酸塩(pH8.3)}中の1.5%アガロースゲルであった。電気泳動パラメーターは以下のようであった:1〜70秒間勾配したパルス時間で175V、14℃20時間。ゲルを、0.5×TBE中のエチジウムブロマイド溶液(1mg/ml)で30分間染色し、0.5×TBE中で4時間脱色し、UVトランスイルミネーター(transilluminator)を用いて写真に写した。
Sma Iで消化したMG1614染色体は、45kbより大きい以下の10個のフラグメントを生じた(図4、レーン3):600、310、280、200、175、175、140、120、105および65kb。TV32は、ユニークSma I部位を含んでいる。従って、TV32の10個の大きいSma Iフラグメントのいずれかへの挿入は、その挿入がフラグメントの末端近くに位置しないならば、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)で検出することができる。
61の組込み体のSma Iフラグメント上のTV32位置は、表1に与えられている。
Figure 0003553065
Figure 0003553065
Figure 0003553065
Sma Iフラグメント上のTV32の物理的位置に基づいて、61の組込み体を38のグループに分類することができた。図4は、表1に列挙されている各々のグループに相当する組込み体のPFGEを示している。1つのグループ(30番)は4つの組込み体を含み、5つのグループ(3、8、10、16および29番)は3つの組込み体を含み、10のグループ(2、4、6、9、12、15、18、120、28および33番)は2つの組込み体を含んでいた。しかしながら、同じ組込み体グループのメンバーは、必ずしもフラグメントの同じ位置にTV32を有していない。フラグメント上の対称的に位置した挿入は、PFGEゲル上で区別がつかず、分析の限界は、フラグメントの長さに依存して2〜10kbまで変化する。
600、310、200、175、140および120kb染色体Sma Iフラグメントは、全てTV32によって標的にされた(表1および図4)。明らかに、どの組込み体も、280、105および65kbフラグメントにおける挿入物を有していなかった。しかし、組込み体46におけるTV32が、サイズで45kbより大きいフラグメントの末端あるいは65kbより小さいフラグメントのいずれかの位置において存在したかどうか、PFGEデータから立証することはできなかった。組込み体19は、二重挿入を含んでいた(図4)。2つのTV32コピーが、各々200kbおよび600kbフラグメントに保有されている。これらの二重挿入は、この研究における挿入事象の総数を62にする。
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス染色体における62のTV32の挿入は、染色体にそって一様に配置されなかった。このことは、カイ二乗検定によって示され、それによって、Sma Iフラグメントへの挿入の確立がフラグメントの長さにのみ依存するかどうか試験された(表2)。
表2は、フラグメントへの挿入の確立がフラグメントの長さにのみ依存すると仮定して予測される組込み体の数とともに、各々のフラグメントにおいて得られた組込み体の数を示している。カイ二乗検定は、この仮定を試験するために用いられた。カイ二乗検定は、得られる挿入が、染色体上に絶対的にランダムに分配されないことを示した(P<0.005)。この不均一への主な貢献は、600kbフラグメントへの挿入物の2.5倍の過度の代表(2.5−fold overrepresentation)と280kbフラグメントへの挿入物の欠如から生じた。600kbフラグメントへの37の挿入物は、同じ位置でのわずか3つの挿入物を含めて少なくとも21の異なる位置に配置された。これらの結果は、上記過度の代表が、単一の優性ホットスポットによるものではないことを示している。280kbフラグメントは、TV32挿入物に対して全く不応ではない。それは、このような組込み体が、平行実験において得られたからである。従って、この明細書では、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス菌株MG1614において得られるようなTV32挿入物分配パターンを、疑似ランダムと称す。
以下の要因が観察された挿入物の不均一分配に貢献しているであろう:(1)染色体の複製起点近くのフラグメントが、末端近くのフラグメントより高いコピー数を有している;(2)必須遺伝子が、不均一に分配されている;(3)Tn917が、特別な特徴を有する領域に優先的に挿入されるようになった。
Figure 0003553065
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614染色体へのTV32挿入物のやや不均一な分配にもかかわらず、Tn917誘導体は、乳酸菌の遺伝学的分析の非常に有用な手段であると結論づけられた。それは、上述のものに加えて多くの数の挿入部位を、これらのトランスポゾン誘導体で見いだすことができることが、さらなる実験においてわかったからである。
63bで示される上記ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614クローンは、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、受託番号DSM7361として、1992年12月21日に寄託された。
実施例4
ラクトコッカス ラクチスにおける1コレクションのTn917挿入物の製造
ラクトコッカス ラクチスにおける1コレクションのTn917挿入物を製造するために、以下の手順が行われた。
pTV32含有のラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス菌株MG1614の単一コロニーを、GM17培地に接種し、Cmrに関する選択で8〜10世代まで増殖させた。これらの細胞の1パーセントを、Emrに関する選択を有するGM17培地で8〜10世代まで増殖させた。温度を30℃に維持した。得られた細胞を、Emrに関する選択を有するGM17寒天平板上にプレーティングした。19のコロニーをランダムに選択し、アガロースブロックでのゲノムDNAのin situにおける作成および消化を、実施例3に記載したように行った。図5および表3は、18(1クローンの消化は、分離したバンドとして明視化することができるフラグメントを生じた)のクローンのうち12が、染色体の同じ位置に挿入されたトランスポゾンを有しており、このことは、その培養物が、単一の組込み体によって優先的に占められたことを示している。
Figure 0003553065
培養物における優性組込み体を回避するために、以下の手順が選択された。
菌株MG1614を実施例1に記載したようにpTV32で形質転換した。形質転換細胞を1μg/mlのエリスロマイシンを含むSGM17寒天平板にプレーティングした。30℃で48時間インキュベートした後、各々およそ100コロニーを含む20のプレートを、Emrに関する選択を有するGM17寒天のプレート上に再プレーティングした。複製(replicated)プレートを、30℃で30時間インキュベートした。複製工程を繰返し、コロニーを洗浄してプールした。プールした培養物から、18の組込み体がランダムに選択され、上記のようにPFGEによって分析された。染色体Sma Iフラグメント上のTn917挿入物の位置に基づいて、18の組込み体を13のグループに分類し、そのどれもが、2より多い挿入物を含んでいなかった(図6および表4)。従って、プールされた培養物は、菌株MG1614中に1コレクションのトランスポゾンTV32−挿入物を疑似ランダムに含んでいたと結論づけられた。
Figure 0003553065
滅菌したグリセロールを、25%までの濃度でプールした培養物に加え、この混合物を−80℃で保存した。
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363に1コレクションの疑似ランダムなLTV1挿入物を含むプールされた培養物を、本質的に上記のようにして作成した。しかしながら、コロニーを洗浄してプールする前に、以下のことが行われた。
320μg/mlのX−galを第2の複製に使用したプレートに加えた。種々の青色強度を有する242のコロニーが、第2の複製プレート上で見られた。対照的に、これらのコロニーの5%より少ないものが、48時間より長くインキュベートされた40μg/mlのX−galを含むGM17寒天平板上で青色であった。(X−galの40μg/mlは、イー.コリにおけるlacZ発現を同定するための標準濃度である。)320μg/mlのX−galを含むプレート上に現れる242の青色コロニーの各々を、1μg/mlのエリスロマイシンと320μg/mlのX−galを含むGM17上で単一コロニーを得るために再ストリークし、次いで同じ培地で一回再ストリークした。これらの継代培養物の各々からの単一コロニーを、1μg/mlのエリスロマイシンが補われたGM17液体培地に接種し、30℃で一晩インキュベートし、滅菌したグリセロールを−80℃で保存するためにこれらの継代培養物の各々に25%の濃度で加えた。これらの242のコロニーを、以下プロモーター融合コレクションナンバー1(PFC−1)と称す。
名称P139−170を有するラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363 PFC−1クローンの1つは、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、受託番号DSM7360として、1992年12月21日に寄託された。
実施例5
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス染色体からの調節可能なプロモーターの同定およびクローニング
実施例4に記載されたように作成されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363染色体における疑似ランダムなTn917挿入物のコレクション(PFC−1)を、この実験に用いた。この実験は、これらのフラグメントにおける調節可能なプロモーターの存在のスクリーニングとして設計された。
温度/発育相調節lacZ発現
PFC−1からの各々のクローンを、1μg/mlのエリスロマイシンと320μg/mlのX−galを含む2セットのGM17プレート上にストリークした。ストリークパターンを図7に示す。1セットのプレート上に、クローンをストリークし、15℃で1日インキュベートした。第2セットのプレート上に、クローンをストリークし、30℃で4日インキュベートした。5日めに、両セットのプレートを検査した。3つの主要なタイプのlacZ発現が、PFC−1クローンにおいて観察された:
(i)30℃で高いlacZ発現を示し(暗い青色ストローク)、15℃で低いlacZ発現を示すかまたはlacZ発現を示さない(うすい青色もしくは白色ストリーク)タイプ1T、
(ii)2つの温度で同程度のlacZ発現を示すタイプ2T、
(iii)30℃で低いlacZ発現を示すかまたはlacZ発現を示さず、15℃で高いlacZ発現を示すタイプ3T。
試験された全242クローンのうち、23が1Tタイプであり、215が2−Tタイプであり、4クローンが3Tタイプであった。15℃で延長された成長期のために、調節されたlacZ発現が、発育相/発育速度および/または温度の作用であるかどうか決定することはできない。
アルギニン/pH調節lacZ発現
PFC−1の各々のクローンを、上記と同じストリークパターンを用いて、0.1%のグルコース、0.5%のアルギニン、1μg/mlのエリスロマイシンおよび320μg/mlのX−galを含む1セットのM17プレート上、および1μg/mlのエリスロマイシンと320μg/mlのX−galを含む1セットのGM17プレート上にストリークした。両セットのプレートを、30℃で約30時間インキュベートした。3つの主要なタイプのlacZ発現が、インキュベートしたプレート上で観察された:
(i)アルギニンが補われていないプレート上で高いlacZ発現を示し、アルギニンが補われているプレート上で低いlacZ発現を示すかまたはlacZ発現を示さないタイプ1A、
(ii)アルギニンの補足にかかわらず、同様のlacZ発現を示すタイプ2A、
(iii)アルギニンのないプレート上で低いlacZ発現を示すかまたはlacZ発現を示さず、アルギニンが補われているプレート上で高いlacZ発現を示すタイプ3A。
試験された242クローンのうち、21が1Aタイプであり、219が2Aタイプであり、2クローンが3Aタイプであった。滅菌したGM17のpHは、約6.8である。ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスが接種されかつ一晩インキュベートされたGM17培地のpHは、約5.0である。しかしながら、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスが接種されかつ一晩増殖させた、0.1%グルコースと0.5%アルギニンが補われているM17のpHは、9.0を越えている。従って、観察された調節lacZ発現は、培地のアルギニン濃度および/またはpHの作用である。
lacZ発現のNaCl/イオン強度調節
PFC−1コレクションの各々のクローンを、上記と同じストリークパターンを用いて、1μg/mlのエリスロマイシン、320μg/mlのX−galおよび2%のNaClが補われている1セットのGM17プレート上、およびNaClのない同じ培地を含む1セットのプレート上にストリークした。両セットのプレートを、30℃で約30時間インキュベートした。2つの主要なタイプのlacZ発現が観察された:
(i)NaClのないプレート上で高いlacZ発現を示し、NaClが補われているプレート上で低いlacZ発現を示すかまたはlacZ発現を示さないタイプ1S、
(ii)両タイプのプレートで同様のlacZ発現を示すタイプ2S。
試験された242クローンのうち、87が1Sタイプであり、155が2Sタイプであった。
PFC−1からのクローンが調節されたlacZ発現を有することが示されたとき、ラクトコッカス染色体上の挿入点または挿入範囲は、挿入遺伝子がラクトコッカスにおいて調節可能に発現される場所であると定義される。例えば、PFC−1のP139−170と称するクローンは、タイプ3T、タイプ1Aおよびタイプ2Sであり、lacZ遺伝子が、挿入遺伝子の発現が30℃かつアルギニンが補われているM17プレート上で部分的にまたは全体的に抑制される部位に存在していることを示している。しかしながら、この部位での遺伝子の発現は、GM17プレート上15℃で高い。GM17プレート上での遺伝子発現レベルは、試験されたNaCl濃度によって影響を受けない。
P139−170クローンの調節可能なlacZ発現の生理学的研究
P139−170は、タイプ1Aであることが示された。このクローンにおけるlacZ発現のpH依存を研究するために、以下の実験を行った。
各々1μg/mlのエリスロマイシンが補われている1リットルのGM17培地を含む6つの発酵槽を、30℃で操作するためにセットした。二倍(duplicate)の発酵槽を、5M硫酸または5M水酸化ナトリウムを用いて、各々pH5.5、6.5および7.5で操作するためにセットした。二倍の発酵槽のうちの一つに、H25A(染色体上にLTV1挿入物を含み、添加するアルギニンもしくはNaClにかかわらずGM17寒天上でβ−ガラクトシダーゼを発現することができる菌株MG1614)の1%オーバーナイト培養物を接種し、二倍発酵槽の他方に、P139−170の1%オーバーナイト培養物を接種した。
発酵槽でクローンを増殖させ、OD600を測定し、GM17プレート+/ −1μg/mlエリスロマイシン上にプレーティングした。成長曲線{log(OD600)対時間}は、6つの発酵槽の全てのクローンでほとんど同じであった。2.0のOD600で、各々の発酵槽からの40mlの培養物を、10倍濃縮し、フレンチプレスで2回処理した。溶解させた溶液を、Miller,1972,Experiments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Horbor,N.Y.によって記載されたβ−ガラクトシダーゼ活性測定手順に付した。残念ながら、β−ガラクトシダーゼ活性を失うことなく溶液を保存する手順は、失敗した。従って、β−ガラクトシダーゼ活性測定において着色を目で見る検査からの結果のみ得ることができた。
pH H25A p139−170
5.5 + +
6.5 + _
7.5 + _
+:β−ガラクトシダーゼ活性がある
_:β−ガラクトシダーゼ活性がない
この実験に基づいて、P139−170におけるlacZ発現は、増殖培地のpHの作用であると結論づけられた。しかしながら、培地のアルギニン濃度も、プロモーター機能に対する調節作用を有するかもしれないことを、除外することはできない。
調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現が同定された選択組込み体PFC−1クローンから、erm(またはlacZ)近位末端に近接するDNAを、以下の手順を用いてクローン化した:
実施例2に記載の方法に従って、総DNAをクローンから抽出した。約1μgのDNAを50単位のEcoR Iで消化し、37℃で2時間インキュベートした。フェノールおよびクロロホルム抽出と、50単位のリガーゼを含む連鎖反応用バッファーでの連鎖反応を、Maniatis(文献34)によって記載されたように行った。DNAを、3容量の氷冷エタノールと1/10容量の酢酸ナトリウムを加えることによって沈澱させ、10000×gで30分間遠心分離した。DNAを、20μlのTE{1mM EDTA,10mMトリス塩酸塩(pH8.0)}中に再懸濁した。10μlの結合したDNA溶液を、イー.コリDH5αにおける、文献17に記載されているようなCaCl2形質転換に用いた{F−,endA1,hsdR17(rk−,mk +),supE44,thi−1,lac△U169,recA1,gyrA96,relA1,φ80dlacZ△M15)}。DNAμg当たり約1.5×103形質転換細胞が観察された。
実施例6
乳酸菌用のプロモータープローブベクターの構築
遺伝子を表現する条件を分析し、かつ発現のレベルを測定する有用な手段は、プロモータープローブである。ラクトコッカスについて、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼに基づき、かつpWV01レプリコンによって動因(driven)されるpGKV210プロモータープローブベクターが構築された(van der Vossen et al.,1985)。残念ながら、このベクターは、プロモーターがその中にクローン化されたとき、わずかに増強されたクロラムフェニコール耐性を与えるだけである(van der Vossen et al.,1987)。cat−86遺伝子を含むmRNAの翻訳は、クロラムフェニコールによって活性化され(Alexieva et al.,1988)、測定した酵素のレベルは、2つの因子、即ちプロモーター強度と活性化効率に依存する。また、pWV01レプリコンは、ローリングサークル複製によって複製し、従って、サイズ依存分離不安定性(size−dependent segregational instability)(Kiewiet et al.,1993)に影響されやすい。
ラクトコッカスおよび他の乳酸菌用のプロモータープローブベクターを、ロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリス、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス次亜種ジアセチルアクティス(diacetylactis)クエン酸プラスミドレプリコンおよびエリスロマイシン耐性マーカーに基づいて、構築した。このベクターを、pAK80と命名する。CHCC285のtma遺伝子に近接するtRNAクラスター用のプロモーターのクローニングは、このベクターが機能することを示した。得られた構築物pAK90は、MG1363中で非常に高レベルのβ−ガラクトシダーゼを産生する。
ロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリスからのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をクローン化し、それが、ロイコノストック ラクチスからのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子にほとんど同一であることが見い出された(David et al.,1992)。両遺伝子は、エシエリヒア コリおよびラクトコッカス ラクチス菌株MG1363において発現することが示された。β−ガラクトシダーゼ遺伝子のプロモーターを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって除去し、ポリリンカーで置換した。これは、種々のDNAフラグメントのクローニングと、プロモーター活性の試験を可能にする。この構築物を、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス次亜種ジアセチルアクティスクエン酸プラスミドレプリコン、イー.コリのpACYC184レプリコンおよび両微生物の選択マーカー(エリスロマイシン耐性)を含むシャトルベクター中にクローン化した。ポリリンカー中へのtRNAプロモーターのクローニングは、MG1363において高レベルのβ−ガラクトシダーゼを与えた。このことは、そのベクターが計画したように作用することを証明している。
A材料および方法
1.細菌菌株、プラスミドおよび培地
プラスミドフリーのラクトコッカス ラクチス菌株(Gasson,1983)、エシエリヒア コリDH5α(supE44 lac△U169 hsdR17 recA1 endA1 gyrA96 thi−1 relA1 φ80 lacZ△M15)(Hanahan,1983)を、クローニングに使用した。
使用したクローニングベクターおよび関連するマーカーは:pVA891(エリスロマイシン耐性;EmR)(Macrina et al.,1983)、およびpIC19H(アンピシリン耐性;AmpR)(Msrsh et al.,1983)。プロモータープローブベクターの構築の間に構築された種々のプラスミドは、以下に記載されている。
ラクトコッカス菌株を、GM17培地で30℃で増殖させた。イー.コリ菌株は、LB培地で37℃で増殖させた。抗生物質を以下の濃度で使用した。イー.コリに対して;エリスロマイシン250μg/ml;およびアンピシリン50μg/ml;ラクトコッカスに対して;エリスロマイシン1μg/ml。
2.プラスミドの作成と形質転換
配列決定およびエレクトロポレーション用のプラスミドDNAを、キアゲンプラスミドキット(Qiagen plasmid kit)(Diagen,Dusseldorf,Germany)を用いて作成した。
ラクトコッカスからの小スケールのプラスミド作成は、本質的にIsraelsenら、1993に従って行われた。
プラスミドを、本質的にHoloおよびNes,1989に従って、グリシンによって生育する感応細胞のエレクトロポレーションによってMG1363中に導入した。
3.β−ガラクトシダーゼ分析
プロモーター活性を、G1.5M17培地で生育するオーバーナイト培養物に関するβ−ガラクトシダーゼ分析を行うことによって決定した。1mlの培養物を、10000×gで10分間遠心分離した。ペレットを、500μlのZバッファー(Miller,1972)中に再懸濁した。ボルテックスミキサーを用いて、100μlの細胞懸濁液を、400μlのZバッファー、12.5μlの0.1%SDSおよび25μlのCHCl3と10秒間混合した。ボルテックスにより混合した後、懸濁液を実施例7に記載したように処理した。結果を表7に示す。
分析結果は、ミラー単位(Miller units)で示されている。1ミラー単位=(1000×A420)/(時間×容量×A600)(時間は分で、容量はmlである。)
B. pAK66の構築
クエン酸プラスミドの全複製領域の増幅をする2つのPCRプライマーを得た。これらは、以下の配列を有している:
Figure 0003553065
プライマー1は、ヌクレオチド610−621に対応し、プライマー4は、クエン酸プラスミド複製領域のヌクレオチド2340−2361に相補的である(Jahns et al.,1991)。両方ともが、クローニングを促進するために、その5'末端にEcoR I部位を含んでいる。1.7kbの増幅産物を、pIC19H中にEcoR Iフラグメントとしてクローン化し、pKR41を製造した。次いで、このEcoR Iフラグメントを、pVA891のユニークEcoR I部位中に移動させて、イー.コリ及びエル.ラクチスMG1363中で複製するシャトルベクターpAK66を製造した。pKR41の構築は、発表するために提出された原稿に記載されている(Pedersen et al.,1993)。
C. ロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリスのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子のクローニング
ロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリス菌株DB1165からIS1165をクローニングしかつ配列決定する過程中に、pSB1と称するクローンを得た(JohansenおよびKibenich,1992)。このクローンは、pIC19Hのポリリンカー中に5.8kbの挿入物を含んでいた。通常、pIC19Hにおけるクローニングは、β−ガラクトシダーゼ活性を破壊し、挿入物を有するコロニーは、X−gal上で白色である。pSB1は、X−gal上で青色のコロニーを与えた点で予想外であった。DNA配列分析は、pSB1における挿入物がロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリスのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含んでいること、およびそれがロイコノストック ラクチスのものとほとんど同一であること(David et al.,1992)を示した。3つの違いのみが、配列決定された830bpにおいて検出された。
D. B.pAK67.7の構築
この構築は、ポリリンカーでのβ−ガラクトシダーゼプロモーターの置換と、全3つの前進読み枠(forward reading frames)における停止コドンの挿入を含むもので、図8に例証されている。プロモーターを、2つのプライマーを用いてPCRによって除去した:
Figure 0003553065
lac−1の下線部分は、β−ガラクトシダーゼ遺伝子の始めと同一であり、リボソーム結合部位を含んでいる。残りの配列は、Bgl IIを含む種々の制限部位を含んでいる。lac−2プライマーは、スニークNco I部位の20bp下流のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子にアニールする。これらのプライマーを用いてのPCR増幅は、リボソーム結合部位からNco I部位を越えるまで増幅し、1末端にいくつかの制限部位を、他の末端にNco I部位を含み、かつβ−ガラクトシダーゼ遺伝子からのプロモーターまたは他の調節配列を含まない360bpフラグメントを産生するであろう。この360bpフラグメントを精製し、Bgl IIおよびNco Iで消化し、Bgl II/Nco I消化pSB1中にクローン化した。得られたプラスミドを、pAK67と命名した。このプラスミドは、β−ガラクトシダーゼ遺伝子に先行する以下のポリリンカーを有している:
Figure 0003553065
DNA配列分析は、このポリリンカーが存在すること、およびPCR中のエラーによる変更がβ−ガラクトシダーゼ遺伝子中に導入されなかったことを示した。
上記からみることができるように、ポリリンカーを横切ってβ−ガラクトシダーゼ遺伝子中にいく、2つのオープンリーディングフレームがある。これらは、ポリリンカーに挿入されたプロモーターからのβ−ガラクトシダーゼの発現を潜在的に干渉するので、全3つの前進読み枠に停止コドンを導入することを決心した。これは、以下の配列を有する2つのオリゴヌクレオチドを得ることによってなされた:
Figure 0003553065
これらのオリゴヌクレオチドは、相補的であり、Xba I制限部位を含む一組の12bpの二本鎖DNAを得るためにアニールするであろう。この小さいフラグメントをpAK67のSma I部位にクローン化した。これらのオリゴヌクレオチドを、Sma I部位が保持され、新しいXba I部位がこの小さな挿入物を含むプラスミドに存在し、かつ停止コドンが2つのオープンリーディングフレーム中に導入されるような方法で消化した。クローニングは、pAK67をSma Iで消化し、フォスファターゼ処理し、キナーゼで処理されかつ互いにアニールさせる2つのオリゴヌクレオチドの混合物と結合させることによって、行われた。形質転換細胞を精製し、プラスミドがXba I部位を獲得したものについて、さらに分析を行った。DNA配列分析は、1つのクローン、pAK67.7が所望の構造を有していることを示した:
Figure 0003553065
E. pAK80の構築
プロモータープローブベクターの作成における最終工程は、操作したβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をラクトコッカスのレプリコンおよび選択マーカーと結合させることであった。これは、pAK67.7をHind IIIおよびSal Iで消化し、pAK66中に結合させ、またHind IIIおよびSal Iで消化することによって達成された。産生されたプラスミドの中で、pAK80は、まさに最初に設計されたプロモータープローブベクターであった。
ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363によって保有されているプラスミドpAK80は、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、受託番号DSM8496として、1993年8月27日に寄託された。
F. 調節可能なtRNAプロモーターを用いるpAK80の試験
CHCC285のtma遺伝子に近接するラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスからのDNAフラグメントを単離し、それが、2つの潜在的なプロモーター(P I、ヌクレオチド107−134;P II、ヌクレオチド215−242)からなるプロモーター領域(図11および12)によって先行されるtRNA遺伝子のクラスターを含んでいることを見い出した。クローンpLN39から単離された501bp Hind III−Sca Iフラグメント上に含まれているP IおよびP IIプロモーターは、それを、プロモーターレスロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリスのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の前で、Hind IIIおよびSma Iで消化されたpAK80中に挿入することによってクローン化された。リゲーション後、MG1363を電気さく孔(electroporated)し、細胞を、エリスロマイシンとX−galを含む再生培地(HoloおよびNes,1989)上にプレーティングした。全部で7つの青色コロニーが得られた。プラスミド分析は、7つ全てが同一のプラスミドを有すること、および各々がpAK80中に所望の挿入物含んでいることを示した。1つのプラスミドを単離し、pAK90と称した。β−ガラクトシダーゼ分析は、MG1363/pAK90が5000ミラー単位の酵素を産生し、一方MG1363/pAK80が1ミラー単位の酵素を産生することを示した。従って、tRNA遺伝子に先行する領域は、非常に強いプロモーターを含んでいる。
上記プロモーター領域の配列に類似する配列の検索(図13)は、先に記載されていない保存配列(モティーフ)、AGTTを含むラクトコッカス種からのrRNAオペロンおよびtRNAオペロンに先行するプロモーターの共通配列を示した。この配列は、−35領域の5bp上流で終わり、エシエリヒア コリまたはバシラス ズブチリスのtRNAおよびrRNAプロモーターに保存されない。このAGTTモティーフが潜在的なrRNAまたはtRNAプロモーターに先行することが見いだされた全ラクトコッカス種において、これらのプロモーターはすべて、そのプロモーターがクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードするcat−86遺伝子の前に挿入されたプラスミドから単離された。この酵素は、ラクトコッカス ラクチスにおいて不十分に発現されるので、クロラムフェニコールに対する耐性は、cat−86遺伝子の前に強力なプロモーターをクローニングすることによって、この生物において得ることができるだけである。従って、このモティーフAGTTがラクトコッカス ラクチスの強力なプロモーターにおいてのみ見られることは明白である。
上記プロモーターP IおよびP IIの両方は、おそらく緊縮調節に関連する保存配列を含み(図13)、従って、これらのプロモーターは、調節可能なプロモーターであると思われる。
pLN39からの1.0kb Hind III−EcoR Iフラグメントを、Hind IIIおよびEcoR Iで消化されたプラスミドpCI3340中に挿入し、得られたプラスミドpLN40を、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。pLN40/MG1363は、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、受託番号DSM8858として、1993年12月22日に寄託された。
G. 結論
この実施例は、ラクトコッカスとおそらく他の乳酸菌用の新規なプロモータープローブベクターの構築を記載している。このベクターは、先に記載したベクターに対していくつかの利点を有している。それは、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス次亜種ジアセチルアクティスクエン酸プラスミドレプリコン、θ複製プラスミドに基づき、より安定なことである。選択したリポーター遺伝子は、ポスト転写調節を受けないので、いずれかの誘導物質の存在なしで酵素レベルを測定することはできない。このことは、クロラムフェニコールが実際にmRNAの翻訳を活性化するcat−86遺伝子に基づくプラスミドとは対照的である(Alexieva et al.,1988)。リポーター遺伝子についての酵素アッセイとプレートアッセイは、単純で、かつたいていの実験室での標準手順である。
実施例7
制御された条件下液体培地で増殖させたPFC−1組込み体におけるβ−ガラクトシダーゼ発現の測定
実施例4で定義したラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363 PFC−1クローン(LTV1組込み体)は、通常P139−とその後に続く番号表示、例えばP139−170で示される。しかしながら以下においては、PFC−1組込み体は、それらの番号、例えば170のみによって呼ばれる。この研究には、実施例5で表示H25Aとして述べられたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614におけるLTV1組込み体も含まれる。しかしながら以下においては、この組込み体は、SBと称した。
以下の実験は、2つの組込み体170とSBにおけるlacZ発現のpH依存を研究する目的で行われた。
組込み体170は、タイプ1Aであることが示されており、一方組込み体SBは、明らかにこのグループに属さなかった。両組込み体は、GM17プレート上でのβガラクトシダーゼの発現が2%NaClによって影響を受けないことを意味するタイプ2Sである。
各々1リットルのG1.5M17培地、即ち0.5%グルコースを含みかつ1mg/lエリスロマイシンが補われている15×M17肉汁(Sigma Chemical Co.)を含む4つの発酵槽を、30℃で操作するためにセットした。撹拌を、空気/酸素の活性供給なしで150rpmで続けた。二倍の発酵槽を、5M塩酸塩と5M水酸化ナトリウムを用いて、各々pH5.2と7.0で操作するためにセットした。二倍の発酵槽のうちの一つに、組込み体SBの1%のオーバーナイト培養物を接種し、二倍発酵槽の他方に、組込み体170の1%のオーバーナイト培養物を接種した。
発酵槽を45時間作動させ、増殖させ、OD600を測定した。選択したOD600と時間間隔で、β−ガラクトシダーゼ活性を以下のようにして測定した:各々の発酵槽からの10mlのアリコートを10000×gで4℃で5分間遠心分離した。ペレットを、1mlのZバッファー(Miller,1972)に再懸濁し、ボルテックスミキサーを用いて、0.4mlの細菌懸濁液および0.1mlのZバッファーを、12.5μlの0.1%SDSおよび25μlのCHCl3と10秒間混合した。ボルテックスにより混合した懸濁液を、30℃の水浴中に5分間置き、A−培地(Miller,1972)中に4mg/mlのo−ニトロフェニルー−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)を含む100μlの溶液を加えた。懸濁液を2秒間ボルテックスにより混合し、30℃の水浴中に置いた。
時間は、ONPGを添加した時点と、250μlの1M Na2CO3を添加し、ボルテックスを用いて混合し、懸濁液を氷上に置くことによって酵素反応を停止したときに再び書き留められた。10000×gで4℃で10分間遠心分離した後、上清のOD420とOD550を測定した。OD550値が0.050を越えたとき、懸濁液を再び遠心分離し、この上清のOD420とOD550を測定した。β−ガラクトシダーゼ活性は、以下の式を用いて評価された:
Figure 0003553065
図9には、pH5.2とpH7.0での組込み体170についての時間に対するOD600とβ−ガラクトシダーゼ活性が示されている。図10には、組込み体SBについての対応するデータが示されている。これらの2つの図におけるデータによって、組込み体170とSBにおけるβ−ガラクトシダーゼの発現がpHによって逆に調節されることが明らかに論証される。組込み体170は、pH7.0でβ−ガラクトシダーゼの発現を止める。両組込み体において、β−ガラクトシダーゼの発現は、発育相によっても影響される。この実験は、培地のアルギニン濃度も、研究した2つの組込み体におけるβ−ガラクトシダーゼの発現に対する調節作用を有するかもしれないことを除外するものではない。
実施例8
乳酸菌プロモーターを含有するDNAフラグメントのクローニングおよびラクトコッカス ラクチスにおけるプロモーター活性の評価
A. ラクトコッカス ラクチスDNAとTn917−LTV1組込み体からのColE1レプリコンを含むEcoR Iフラグメントのイー.コリにおけるクローニング
ラクトコッカルDNA、lacZ、cat、blaおよびColE1レプリコンを含む染色体EcoR Iフラグメントを、以下の表5に列挙されたTn917−LTV1組込み体から実施例5に記載の方法に従って作成した。フラグメントを連続的に再結合し、Maniatis 1982に記載の形質転換によってイー.コリDH5α中に導入した。
得られたTn917−LTV1組込み体フラグメントプラスミドを、p(組込み体番号)、例えばp86、p143およびpSBと称した。フラグメントが単離された全Tn917−LTV1組込み体は、ラクトコッカス ラクチスMG1614におけるTn917−LTV1であるSBを除いて、ラクトコッカス ラクチスMG1363に存在する。
Figure 0003553065
B. プロモーター選択ベクターpGKV210中へのTn917−LTV1組込み体フラグメントプラスミドのサブクローニング
pGKV210は、選択マーカーとしてのerm遺伝子、およびポリリンカーによって先行されるプロモーターレスcat−86遺伝子を含むプロモーター選択ベクターである(van der Vossen et al.,1987)。cat−86遺伝子は、プロモーターを有するDNAフラグメントがポリリンカー中に右方向に挿入される場合に発現される。宿主に与えられるクロラムフェニコール耐性の程度は、プロモーターの強度に依存する。
組込み体フラグメントプラスミドは全て、Tn917−LTV1のlacZ部分から生じるDNAに位置したCla I部位を有している。プラスミドからEcoR I−Cla Iフラグメントをクローン化するために、Cla I部位を、以下の方法でpGKV210のポリリンカー中にまず導入した:Cla I部位を含む合成DNAリンカー
Figure 0003553065
を、Maniatis,1982によって記載されたようにしてpGKV210のユニークBamH I部位中にクローン化した。得られたプラスミドを、pGKV210(Cla I)と称した。Cla IとEcoR Iで消化された50ngのpGKV210(Cla I)を混合し、上記のように200ngの精製したCla I−EcoR Iフラグメントで結合した。これは、以下の組込み体フラグメントプラスミド:p143、p162、p163、p170、p172、p224、p237、p242およびpSBからのCla I−EcoR Iフラグメントでなされた。
p162は、ラクトコッカルDNAに位置した追加のCla I部位を含んでいる。このプラスミドのEcoR I部位から追加のCla I部位までのフラグメントを、pGKV210(Cla I)中に挿入した。この実施例における全てのDNA組換え操作は、Maniatis,1982に従って行われた。
得られたpGKV210誘導体構築物を、pGKV210:(組込み体番号)、例えばpGKV210:143、pGKV210:162およびpGKV210:SBと称した。pGKV210誘導体を、実施例5に記載の方法に従って、イー.コリMC1000{F−,araD139(△ara−leu)7679,galU,galK(△lac)×74,rpsL(Strr),thi}中に導入した。pGKV210誘導体を、形質転換された宿主菌株から、Maniatis,1982に記載されたようにして抽出した。各々の抽出されたpGKV誘導体について、1μgのDNAを、実施例1に記載の方法に従ってラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。得られた形質転換細胞(pGKV/MG1363誘導体)を、pGKV210:(組込み体番号)/MG1363、例えばpGKV210:143/MG1363と称した。
上記クローン化したフラグメントおよび先に発表されたラクトコッカス ラクチスIL1403におけるpGKV210誘導体(van der Vossen et al.,1987)のプロモーター活性を、pGKV/MG1363誘導体のオーバーナイト培養物を5mg/lエリスロマイシンと増加する濃度のクロラムフェニコールが補われているGM17プレート上にプレーティングすることによって測定した。クロラムフェニコールの濃度は、各々4、6、8、12、16および20mg/lであった。0.9%NaCl水性懸濁液中に104倍希釈された培養物の50μlを、4〜8mg/lのクロラムフェニコールを含むプレート上にプレーティングした。0.9%NaCl中に104倍希釈された培養物の100μlを、12〜20mg/lのクロラムフェニコールを含むプレート上にプレーティングした。そのプレートを、30℃で約80時間インキュベートし、増殖させることができるクロラムフェニコールの最大濃度を決定した。結果を以下の表6に示す。
2つのpGKV/MG1363誘導体のみが、4mg/l以上のクロラムフェニコールに対して耐性であった。しかしながら、結果の解釈は、例えば小さいコロニーの出現のために、困難性になった。この分析は、培地のプロモーターまたは弱い強度のプロモーターに関して不適当であるように思われる。pGKV244/IL1403およびpGKV259/IL1403は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性を測定するとき、各々0.2および5.1単位を産生する(van der Vossen et al.,1987)。
Figure 0003553065
C. Tn917−LTV1組込み体フラグメントプラスミドのプロモーター選択ベクターpAK80中へのサブクローニング
pAK80は、選択マーカーとしてのerm遺伝子、およびポリリンカーによって先行されるプロモーターレスβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むプロモーター選択ベクターである。pAK80の構築は、実施例6に記載されている。
以下のDNA操作および形質転換は、Maniatis,1982に従って行われた。上記の組込み体フラグメントプラスミドを、pAK80における適当な制限部位の欠如のために、クローニングベクターpGEM−7Zf(+)(プロメガ)中にまずサブクローン化した。Cla IとEcoR Iで消化された50ngのpGEM−7Zf(+)を、連鎖反応条件下で、組込み体フラグメントプラスミドからのラクトコッカルDNAを含む200ngの精製したCla I−EcoR Iフラグメントと混合した。これは、各々以下のプラスミド:p143、p162、p163、p224、p242およびpSBからのCla I−EcoR Iフラグメントでなされた。
p170は、ラクトコッカルDNAに位置したSal I部位を含んでいる。Cla I部位からこのSal I部位までのフラグメントを、Cla IおよびSal Iで消化されたクローニングベクターpBluescript II KS(Strategene)中に挿入した。この構築物を、pBluescript:170と称した。この構築物からの抽出プラスミドDNAを、Xho IおよびCla Iで消化し、Xho IおよびCla Iで消化されたpGEM−7Zf(+)に結合させた。pGEM−7Zf(+)構築物を、pGEM:(組込み体番号)、例えばpGEM:143およびpGEM:170と称し、集合的にpGEM誘導体と称した。pGEM誘導体を、実施例5に記載したようにしてイー.コリ菌株DH5α中に導入した。DH5α形質転換細胞を、pGEM/DH5α誘導体と称した。
pGEM/DH5α誘導体からのプラスミドDNAを抽出し、Xho IおよびBamH Iで消化し、Xho IおよびBamH Iで消化されたpAK80に結合させた。得られた構築物を、pAK80:(組込み体番号)、例えばpAK80:143およびpAK80:170と称し、集合的にpAK80誘導体と称した。pAK80誘導体を、実施例5に記載したようにしてイー.コリMC1000中に導入した。
MC1000形質転換細胞を、pAK80/MK1000誘導体と称した。pAK80誘導体を、pAK80/MC1000誘導体から抽出した。各々の抽出されたpAK80誘導体について、1μgのDNAを、実施例5に記載したようにしてラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。得られた形質転換細胞を、pAK80:(組込み体番号)/MG1363、例えばpAK80:143/MG1363およびpAK80:170/MG1363と称し、集合的にpAK80/MG1363誘導体と称した。
クローン化したフラグメントのプロモーター活性を、G1.5M17培地で増殖させたpAK80/MG1363誘導体ののオーバーナイト培養物に関するβ−ガラクトシダーゼ分析を行うことによって決定した。1mlの培養物を、10000×gで10分間遠心分離した。ペレットを500μlのZバッファー(Miller,1972)中に再懸濁した。ボルテックスミキサーを用いて、100μLの細胞懸濁液を、400μlのZバッファー、12.5μlの0.1%SDSおよび25μlのCHCl3と10秒間混合した。ボルテックスにより混合した後、懸濁液を実施例7に記載したように処理した。結果を表7に示す。
Figure 0003553065
上記結果から、プロモーター選択ベクターpAK80が、弱いプロモーターでさえも識別することができることが明らかに論証される。それは、pAK80:163/MG1363、pAK80:170/MG1363、pAK80:224/MG1363およびpAK80:242/MG1363が、クロラムフェニコール耐性に関して分析するときプロモーター活性がないように思われるが、β−ガラクトシダーゼ活性に関して分析するとき、3つの他のpAK80/MG1363誘導体とは対照的にpAK80:170/MG1363が、プロモーター活性を有していることが明白であるからである。
以下のpAK80/MG1363誘導体:pAK80:SB/MG1363、pAK80:143/MG1363、pAK80:162/MG1363、pAK80:163/MG1363、pAK80:170/MG1363の各々は、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、各々受託番号DSM8495、DSM8497、DSM8498、DSM8499およびDSM8500として、1993年8月27日に寄託された。
ラクトコッカルDNAを含む各々p172およびp215からのCla I−EcoR Iフラグメントを、pGEM−7Zf(+)中にクローン化した。pGEM−7Zf(+)構築物を、この実施例で上記のように称した。
pGEM−7Zf(+)構築物を、BamH IおよびXho Iで消化し、BamH IおよびXho Iで消化されたpAK80に結合した。クローニング実験の詳細は、上記のとおりである。pGEM:172をXho IおよびBamH Iで消化した。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入し、得られたプラスミドpAK80:172をラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。pAK80:172/MG1363は、X−galを含むGM17上で青色であり、このことは、P172の4.5kb Cla I−EcoR Iフラグメント上のプロモーターの存在を論証している。
pGEM:215のラクトコッカルDNAセグメントは、内部BamH I部位を含んでいる。pGEM:215の末端のBamH I−Xho Iフラグメントを、BamH IおよびXho Iで消化されたpAK80に結合し、ラクトコッカルBamH I−BamH Iフラグメントを、BamH Iで消化されたpAK80に結合した。各々の連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドを、各々pAK80:215AおよびpAK80:215Bと称した。pAK80:215BにおけるBamH Iフラグメントの正確な方向は、制限地図分析によって証明された。pAK80:215AおよびpAK80:215Bの各々のラクトコッカス ラクチス中への連続的な導入は、プラスミドのどれもがプロモーターを保有していないことを示した。この結果は、p125からのCla I−EcoR Iフラグメント上の潜在的なプロモーターが、2つのサブフラグメントのクローニング中に不活性化されたこと、または組込み体215におけるβ−ガラクトシダーゼ発現を行うプロモーターが、EcoR I部位の上流に位置していることを示唆している。
各々プラスミドpAK80:SB、pAK80:143、pAK80:162、pAK80:170およびpAK80:172を含むラクトコッカス ラクチスMG1363のオーバーナイト培養物に関する測定は、以下の実施例13に記載されている。しかしながら、実施例13においては、これらのプラスミドは、各々pSMA332、pSMA337、pSMA338、pSMA339およびpSMA345と称されている。
実施例9
外部プリン化合物によって調節されるラクトコッカス ラクチスプロモーターの特徴
小さい前駆体からのプリンヌクレオチドの新規合成は、一般的に、イノシンフォスファターゼ(IMP)に導く10の酵素反応を必要とする。IMPは、AMPおよびGMPの両方の合成に用いられる。細胞内に生じるかまたは外因性の源から生じるプリン塩基とヌクレオチドは、異なる生物の間で異なることが示されているサルベージ経路を介してヌクレオチドに変換する(レビューのためにNygaard 1983参照)。実際には、記載されたこと以外は、嫌気性グラム陽性細菌であるラクトコッカス ラクチスにおけるプリン代謝については何も知られていない(NilssonおよびLauridsen,1992)。
乳酸菌の生育に使用する培地は、プリン化合物を含むことができる。このような培地は、プリンヌクレオチドの形成に使用される酵素の合成を抑制する。牛乳をプリンフリーミルクの培養物に接種するとき、この抑制は、軽減される。このプリンde novo経路に用いる酵素の合成の調節パターンは、商業的に用いることができる。ミルク中で高く発現することが望まれる酵素をエンコードするいくつかの遺伝子があるかもしれない。しかし、そのような酵素は、高い発現によって引き起こされる生育を阻害する二次作用のために、主としてそのような遺伝子からなる牛乳スターター培養物の製造中には望まれない。従って、プリン調節プロモーターをラクトコッカス ラクチスにおいて検索し、purDの発現が開始されるプロモーター領域を単離した。purD遺伝子は、プリンde novo経路の酵素をエンコードしている。
細菌菌株および増殖培地
ラクトコッカス ラクチス菌株MG1363をM17培地{オキソイド(Oxoid)}もしくは定義した培地、即ちDN−培地中で増殖させた。この培地は、以下のように構成されている(リットル当たり):以下の組成を有する100mlの10%塩バッファー:(NH42SO410g,Na2HPO4・2H2O33.2g,KH2PO415g,NaCl5g,酢酸ナトリウム3水和物10g,イオン交換水で500mlに調製したもの;1.0M MgCl210ml,0.5M CaCl21.0ml,0.01M FeCl31.5ml,イオン交換水で4500mlに調製したものと、1リットル当たり15gの寒天を含む900mlの基本培地;25mlの20%炭素源;25mlのカザアミノ酸20%(ディフコ);10mlのビタミン溶液および10mlの0.8%アスパラギン溶液。
グルコースを、M17培地およびDN−培地の炭素源として用いた。ラクトコッカス ラクチス用に用いた抗生物質:エリスロマイシン1mg/l。必要な場合、補足物としてプリン化合物を加えた;1当たり:アデニンおよびヒポキサンチン15mg;グアノシン30mg。
DNA操作
ラクトコッカス ラクチスプラスミドDNAを、JohansenおよびKibenich(1992)に従って単離した。ラクトコッカス ラクチスを、HoloおよびNes(1989)によって勧められたように、エレクトロポレーションによって形質転換した。ラクトコッカス ラクチスプロモータープローブプラスミドpAK80の使用は、実施例6に記載されている。
結果
846bp DNAフラグメント(図14)は、逆方向に転写を開始する隣接したプロモーターとともに全purDプロモーター領域を含んでいる。この領域を、pLN71(purDプロモーター発現)およびpLN72(逆方向のプロモーター発現)を与えるプロモータープローブプラスミドpAK80中の(β−ガラクトシダーゼをエンコードする)リポーター遺伝子に融合させた。ラクトコッカス ラクチス菌株MG1363中に形質転換するpLN71は、purDプロモーターから開始されるリポーター遺伝子の発現を測定する可能性を我々に与える。結果を表8に示す。
ラクトコッカス ラクチス菌株MG1363中のプラスミドpLN71は、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、受託番号DSM8859として、1993年12月22日に寄託された。
Figure 0003553065
これらの結果は、β−ガラクトシダーゼをエンコードするリポーター遺伝子の発現が、培地のプリン化合物によって調節されること、およびその違いが、この実験では60倍くらい大きいことを示している。
実施例10
制御された条件下、液体培地で増殖させたpSMA344/MG1363におけるβ−ガラクトシダーゼ遺伝子発現の測定
プラスミドpSMA344は、プロモータークローニングベクターpAK80中に挿入されたp170(実施例8参照)からの9.7kb EcoR I−Cla Iフラグメントからなっている。組込み体170において、挿入したβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現は、pHおよび発育相によって調節されることが論証されている(実施例7)。クローン化したDNAフラグメントが下流の遺伝子のpH調節発現に必要とされる配列を含むかどうかを調査するために、以下の実験をおこなった。
プラスミドpSMA344を保育するラクトコッカス ラクチスMG1363を、各々1リットルの培地を含む2つの発酵槽で培養した。発酵槽は、自動的に5Mの水酸化ナトリウムおよび5Mの塩酸を加えることによって、それぞれpH7.0および5.2で操作するためにセットされた。他の全てのパラメーター(培地組成、接種物のサイズ、撹拌速度、温度等)は、実施例7に記載のとおりであった。発酵を45時間行い、増殖させ、培養物サンプルのOD600を測定した。培養物アリコートのサンプリングおよび収穫並びにβ−ガラクトシダーゼ活性の測定は、収穫した培養物の容量および分析に加えた細胞懸濁液の容量を細胞密度および予測されるβ−ガラクトシダーゼ活性に応じて変化させたことを除いて、実施例5に記載のとおり行った。図15は、発酵中の時間に対するOD600およびβ−ガラクトシダーゼ活性を示している。その結果、pSMA344上に保有されたプロモーターからの発現が、組込み体170で観察された様式と同じ様式で制御されることが明らかである。pH7.0で増殖させた培養物において、OD600当たりのβ−ガラクトシダーゼ活性は、いくらかの活性が前培養物から残存することが予測される最初のサンプルを除いて、発酵中1.0ミラー単位より低かった。pH5.2で増殖させた培養物においては、OD600当たりのβ−ガラクトシダーゼ活性は、対数成長中増加し、定常期の最初の14〜20時間の間増加し続けた。誘発されたレベルおよび抑制されたレベルとも、同じ培養条件下で組込み体170で観察された値より5〜10倍高かった。このことは、プラスミドによって担持された遺伝子が、より高いコピー数で存在しているので、および(Tn917−LTV1中の)lacZ遺伝子および(pAK80中の)lacL−lacM遺伝子によってエンコードされた2つのβ−ガラクトシダーゼ酵素が、異なる特異活性を有しているかもしれないので、予測された。
実施例11
標準化された手順による、液体培地で増殖させた選択PFC−1組込み体におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の測定
実施例5に記載したように、いくらかの組込み体が、種々の増殖条件および培地組成下でプレート上で増殖させたとき、β−ガラクトシダーゼの調節された発現を示すことが見い出された。
液体培養で一晩増殖させた25の選択した組込み体におけるβ−ガラクトシダーゼ遺伝子発現の調節を分析するために、以下の実験を行った。分析した調節パラメーターには、pHおよび/またはアルギニン濃度、塩化ナトリウム濃度、および生育温度が含まれる。
増殖培地および方法
液体培養に用いた培地は、以下の表に列挙されている。全実験用の基本培地は、1mg/lのエリスロマイシンを含む1.5×M17肉汁(Oxoid,Unipath Ltd.,UK)であった。
Figure 0003553065
全培養物を、β−ガラクトシダーゼ発現に関する温度効果の研究のための実験(1セットの培養物を15℃でインキュベートした)を除いて、30℃でインキュベートした。β−ガラクトシダーゼ発現に関する温度効果の研究においては、より低い成長速度を補償するために、インキュベーションを延長した。
全培養物における均一な開始条件を確保するために、液第G1.5M17中の各々の組込み体の5〜10mlの前培養物に、GM17寒天からの単一のコロニーを接種し(以下の実施例15参照)、30℃で12〜18時間インキュベートすることによって、定常期まで増殖させた。前培養物から、各々の菌株の10μlを、10mlの各々の培地に接種し、培養物を、30℃で20時間または15℃で165時間インキュベートした。OD600測定用のサンプルを、収穫前直ちに各々の培養物から採取した。細胞を、遠心分離(10000×g、4℃で10分間)することによって収穫し、1mlの氷冷した0.15M NaClで一回洗浄した。培養上清のpHを測定した。培養物を異なる日に収穫した、異なる温度で増殖させた二倍の培養物(duplicate cultures)の場合には、細胞ペレットを−20℃で凍結し、β−ガラクトシダーゼ活性を分析するために後ほど解凍した。細胞を、1.0mlのZ−バッファー(Miller,1972)中に再懸濁し、次いで細胞懸濁液を、妥当な限界内の反応速度を維持するために細胞懸濁液と分析に用いるZ−バッファーとの間の割合を酵素活性に応じて調製したことを除いて、実施例7に記載のようにして、β−ガラクトシダーゼ活性の分析に用いた。
液体培養で増殖させた選択組込み体に関するβ−ガラクトシダーゼ分析の結果
異なる日に同じ菌株で見られた活性は、ある程度変化していた。組込み体SBにおける10の独立したG1.5M17培養物において、測定された活性は、3.9〜8.0で、平均6.3および標準偏差1.4であった。同じ培地における170の5つの独立した培養物は、0.9〜2.8で、平均1.7および標準偏差0.7の結果を与えた。観察された偏差は、遺伝子発現または培地のバッチ間の検出されない違いによる酵素安定性に関するなんらかの影響によって引き起こされるであろう。しかしながら、これらの場合の各々において、低いpHでの活性と高いpHでの活性間の違いは、明らかに有意であった(表10)。0.1以下の活性は、実際に用いた方法では測定されなかった。
表10は、アルギニンを含む培地およびアルギニンを含まない培地における17の異なる組込み体菌株の培養物で測定されたβ−ガラクトシダーゼ活性を示している。pHおよび/またはアルギニンによって調節されるβ−ガラクトシダーゼ発現を示すほとんどの組込み体は、プレート分析によって同定された。組込み体237、241およびSBでは、明らかに、このような発現の制御は、プレートの検査によって観察されなかった。可能性のある理由としては、ある活性レベルを越えると、プレート分析によって異なる活性間の区別をすることは困難であることが挙げられる。
Figure 0003553065
ブランクスペースは、菌株と培地のこの特別な組合せが試験されなかったことを示している。
GM17寒天平板上で増殖中のβ−ガラクトシダーゼ活性が温度で変化した10の菌株を、30℃および15℃でG1.5M17の二倍培養で定常期まで増殖させた。細胞で測定した活性を、表11に示す。
Figure 0003553065
組込み体170および192は、プレートでも見られたβ−ガラクトシダーゼ遺伝子発現の調節を示し、両方とも低温でより高い活性を与えた。組込み体SB、143および159に関しては、β−ガラクトシダーゼ発現に対する温度の効果は、プレート分析の結果から予測されるものとは逆であった。組込み体172、187、188および201に関しては、その効果は予想より弱かった。液体培養からの細胞は定常期で収穫され、一方プレート分析で検出されたβ−ガラクトシダーゼ活性は、発育相と定常期の両方から累積されていることを考慮しなければならない。
PFC−1組込み体のプレート分析は、減少する遺伝子発現かまたは増殖培地へのNaClの添加に対する応答で変化しないことを示した。1%または2%NaClを含む液体培地で増殖させた培養物における活性測定の結果を、表12に示す。組込み体179、199、230および241に関しては、NaClがβ−ガラクトシダーゼ活性を減少させることが、プレート分析から予測された。プレート分析においてβ−ガラクトシダーゼ活性に対するNaClのなんの影響も示さなかったいくつかの組込み体が、これらの実験に含まれており、これらの3つ、即ち224、229およびSBからの結果も表に表されている。
全菌株において、試験された活性は、余分のNaClを含む培地で3〜30のファクターで減少し、明らかに最も強い効果はSBにおける活性に対するものであった。ずっと先に述べたように、NaClを含む培地における培養物の最終pHは、追加のNaClなしで増殖させた培養物におけるものよりわずかに低かった。しかしながら、このpHの違いは、SBの遺伝子発現に対する明らかな効果を説明するには十分大きいものではなく、また試験された全菌株に対する効果の類似性を説明するのに適当でもない。プレート分析の結果とオーバーナイト液体培養で測定した活性との間の明らかな矛盾を解明するために、より制御された実験が必要である。
Figure 0003553065
以下の組込み体(宿主生物:ラクトコッカス ラクチスMG1363):SB、P139−86、P139−142、P139−143、P139−159、P139−162、P139−163、P139−168、P139−172、P139−179、P139−187、P139−188、P139−192、P139−193、P139−199、P139−201、P139−203、P139−222、P139−224、P139−229、P139−230、P139−237、P139−241およびP139−242は、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、各々受託番号DSM8834、DSM8835、DSM8836、DSM8837、DSM8838、DSM8839、DSM8840、DSM8841、DSM8842、DSM8843、DSM8844、DSM8845、DSM8846、DSM8847、DSM8848、DSM8849、DSM8850、DSM8851、DSM8852、DSM8853、DSM8854、DSM8855、DSM8856およびDSM8857として、1993年12月22日に寄託された。
実施例12
選択したTn917−LTV1プロモーター融合組込み体におけるTn917挿入物の上流および下流のラクトコッカス ラクチス染色体DNAの配列決定
6つの選択したTn917−LTV1ラクトコッカス ラクチスプロモーター融合組込み体において、Tn917挿入物の約200bp〜1500bp上流の染色体配列を決定した。1つの選択組込み体では、トランスポゾン挿入物の下流の配列も決定した。配列決定は、挿入プロモーターレス遺伝子(複数の遺伝子)の調節された発現を示すラクトコッカス ラクチスの染色体上のこの例の部位および領域に体してなされた。配列決定は、鋳型としての組込み体フラグメントプラスミド(実施例8参照)pSB、p170、p143、p242、p224およびp163と以下に記載のプライマーを用いて、本質的にUSB,クリーブランド、オハイオ、アメリカからのシークエナーゼ バージョン2.0DNA配列決定キット用のマニュアルに記載のようにして、両方の鎖に対して行われた。我々は、Tn917−LTV1のlacZ近位末端の隣に位置したラクトコッカスDNAを、トランスポゾン挿入物の上流にあると定義した。どちらの鎖が述べられたとしてもとにかく、lacZ末端から遠く動かすことは、ラクトコッカスDNA上の上流に動かすことである。各々の鋳型に関する上流の配列決定の戦略は、以下のようである。
1. 第一の配列反応を、プライマーpp1(5'GTTAAATGTACAAAATAACAGCG'3)(DNAテクノロジー,Arhus,Denmark)を用いて行った。pp1は、Tn917−LTV1のlacZ近位末端の配列に相同である。Tn917−LTV1の上流の最初のbpを1番と称すならば、pp1に相補的な配列は、bp番号−58〜−80に位置している。pp1配列と称せられる得られた配列は、Tn917−LTV1のlacZ近位末端の約20bpとそれに続く200〜300bpの隣接した上流のラクトコッカス ラクチスDNA配列からなっている。
2. pp1配列に基づいて、プライマーp1を合成した(DNAテクノロジー)。p1は、pp1配列の3'末端から約60bpに位置する20〜24bp配列に相同である。第2の配列反応を、プライマーp1を用いて行った。p1配列と称せられる得られた配列は、pp1配列の3'末端の約20bpと重複しており、ラクトコッカス ラクチスDNA上の200〜300bpさらに上流に延びていた。
3. p1配列に基づいて、2つのプライマーp2およびp1rを合成した(DNAテクノロジー)。p2は、p1配列の3'末端から約60bpに位置する20〜24bp配列に相同であり、p1rは、トランスポゾン挿入物の約250bp上流に位置する相補的なラクトコッカス ラクチスDNA配列に相同である。第3および第4の配列反応を、それぞれプライマーp2およびp1rを用いて行った。プライマーp2を用いて得られたp2配列と称せられる配列は、p1配列の3'末端の約20bpおよびラクトコッカス ラクチスDNA上のさらに上流の200〜300bpと重複していた。プライマーp1rを用いて得られたp1r配列と称せられる配列は、pp1配列に相補的である。
4. 追加の配列反応を、プライマーp3、p4等を用いて行った。各々のプライマーは、先に用いたプライマーの約300bp上流に位置する配列に相同であった。また、プライマーp2r、p3r等を用いて、配列反応を行った。その各々は、先に用いたプライマーの約300bp上流に位置する配列に相同である。
5. 組込み体SBにおけるTn917−LTV1挿入物から下流に位置する配列のクローニング:Tn917誘導体Tn917−LTV1をトランスポゾン突然変異誘発に用いるとき、挿入点の上流に位置するDNAは、実施例5に記載したようにイー.コリ中に容易にクローン化することができる。しかしながら、このクローニング方法は、Tn917−LTV1挿入物の下流に位置するDNAをクローン化するのに用いることはできない。しかしながら、インバースポリメラーゼチェンリアクション(Inverse Polymerase Chain Reaction)戦略(Ochman et al.,1988)を用いて、組込み体SBにおけるトランスポゾンの下流に位置するDNAは、増幅され、かつ以下の方法でイー.コリ中にクローン化された:
60ngの染色体ラクトコッカス ラクチスMG1614DNAを、EcoR Iで完全に消化した。消化したDNAを、フェノール/クロロホルム抽出し、酢酸ナトリウムとエタノールで沈澱させた。次いで、DNAを、総容量20μl中で結合させた。この希釈された濃度は、単量体の円を形成するのに有利である。この連鎖反応混合物から5μlのサンプルを採取し、総容量100μl中でPCR増幅を行った。2つのプライマー
Figure 0003553065
をPCR増幅に用いた。Perkin Elmer Cetus,761 Main Ave.,Norwalk,CT 06859からのGeneAmp DNA増幅試薬キットを用いた。反応バッファー、dNTPsおよびTsqポリメラーゼの濃度は、製造業者からのプロトコールに記載のとおりである。反応混合物中のプライマーの終濃度は、10ng/μlであった。以下の温度プロファイルを用いた:変性、94℃、1分;アニーリング、53℃、1分;伸長、72℃、2分。PCRサイクルの総数は、40であった。
10μlのPCR反応産物を、アガロースゲル上で分析したとき、約1400bpの特異的な1つのバンドが観察された。このことは、組込み体SBにおけるTn917挿入物の下流の約1100bpのクローニングを示している。
PCR反応からの1400bpフラグメントを、Maniatis et al.,1982によって記載されたような標準連鎖反応条件下で、pT7Blue(R)ベクター(Novagen,Madison,Wisconsin,USA)に結合させた。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドをpSBC1と称した。
次の配列反応を、上記パラグラフ2、3および4で述べた同じ戦略を用いて行った。
以下に、それぞれ組込み体SB、170、143、242、224および163におけるTn917−LTV1挿入物の上流のDNA配列を示す{(i)−(vi)}。組込み体SBについては、組込み体SBにおけるTn917−LTV1挿入物の下流のDNA配列も与えられている。トランスポゾン挿入物の部位とTn917−LTV1の方向は、配列中に挿入された(lacZ−−Tn917−LTV1−)によって示されている。
(i)Tn917−LTV1のlacZ近位末端の上流の117ヌクレオチドのDNA配列および組込み体SBにおけるTn917−LTV1のlacZ遠位末端から下流の1.083ヌクレオチドのDNA配列
推定の転写ターミネーターは、小さいケース番号で示されており、プロモーターPSBの−35および−10共通配列は、下線が引かれている。
Figure 0003553065
Figure 0003553065
(ii)組込み体143におけるTn917−LTV1のlacZ近位末端の上流の1.430ヌクレオチドのDNA配列
Figure 0003553065
(iii)組込み体163におけるTn917−LTV1のlacZ近位末端の上流の994ヌクレオチドのDNA配列
Figure 0003553065
(iv)組込み体170におけるTn917−LTV1のlacZ近位末端の上流の1.120ヌクレオチドのDNA配列
Figure 0003553065
(v)組込み体224におけるTn917−LTV1のlacZ近位末端の上流の480ヌクレオチドのDNA配列
Figure 0003553065
(vi)組込み体242におけるTn917−LTV1のlacZ近位末端の上流の853ヌクレオチドのDNA配列
Figure 0003553065
実施例13
p170からの9.7kb EcoR I−Cla I DNAフラグメント上のプロモーターP170のマッピング
p170の9.7kb Cla I−EcoR Iフラグメント上のpH/発育相調節プロモーターP170の位置を位置づけるために、以下の実験を行った。
p170の9.7kb Cla I−EcoR Iフラグメントをサブフラグメントに開裂し、制限地図を作った(図16参照)。次いで、適当なサブフラグメントを、プロモータープローブベクターpAK80中にクローン化した。しかしながら、まず、サブフラグメントおよびpAK80上の和合性制限部位を作ることが必要であった。
(i)pSMA344の構築
p170からの大きい9.7kb Cla I−EcoR IフラグメントのpGEM−7Zf(+)中へのクローニングを、Cla IおよびEcoR Iでp170を消化し、Cla IおよびEcoR Iで消化されたpGEM−7Zf(+)に9.7kbフラグメントを結合させることによって行った。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入し、得られたプラスミドを、pSMA212と称した。pSMA212を、Xho IおよびBamH Iで消化し、Xho IおよびBamH Iで消化されたpAK80に結合させた。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入した。次いで、得られたプラスミドpSMA344を、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。
(ii)p170からの9.7kb Cla I−EcoR Iフラグメントの欠失誘導体の構築およびクローニング
プラスミドpSMA342を以下の方法で構築した:
pSMA212を、Cla IおよびNde Iで消化し、スティッキーエンド(付着末端)を、Maniatis et al.,1982によって記載されたように、クレノウポリメラーゼを用いて満たした。大きい8.7kbフラグメント(pGEM−7Zf(+)からの2kbおよびラクトコッカス染色体からの5.7kb)を精製し、再結合させ、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドpSMA213をXho IおよびBamH Iで消化し、精製した5.7kbフラグメントを、Xho IおよびBamH Iで消化されたpAK80に結合させた。連鎖反応混合物をイー.コリDH5α中に導入し、次いで、得られたプラスミドpSMA342を、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。
プラスミドpSMA343を以下の方法で構築した:
pSMA212を、Cla IおよびSal Iで消化し、スティッキーエンド(付着末端)を、クレノウポリメラーゼによって満たした。6.2kbフラグメント(pGEM−7Zf(+)からの3kbおよびラクトコッカス染色体からの3.2kb)を精製し、再結合させ、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドpSMA214をXho IおよびBamH Iで消化し、3.2kbラクトコッカルフラグメントを、Xho IおよびBamH Iで消化されたpAK80に結合させた。得られたプラスミドpSMA343をイー.コリDH5α中に導入し、次いでラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。
実施例8に記載したようなプラスミドpAK80:170(DSM8500)を、以下ではpSMA339と称す。
プラスミドpSMA340を以下の方法で構築した:
p170からの6.5kb Cla I−Sal IラクトコッカルフラグメントのクローニングベクターpBluescript II KSへのクローニングは、実施例8に記載されている。実施例8においてpBluescript:170と呼ばれたこの構築物を、以下ではpSMA201と称す。pSMA201をNde IおよびSal Iで消化し、スティッキーエンドを満たすために、クレノウポリメラーゼで処理した。大きい7kbフラグメント(pGEM−7Zf(+)からの3kbおよびラクトコッカス染色体からの4kb)を精製し、再結合させ、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドを、pSMA202と称す。
pSMA202をXho IおよびBamH Iで消化し、4kbラクトコッカスフラグメントを精製し、Xho IおよびBamH Iで消化されたpAK80に結合させた。連鎖反応混合物をイー.コリDH5α中に導入し、次いで得られたプラスミドpSMA340を、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。
プラスミドpSMA341を以下の方法で構築した:
pSMA202をNde IおよびEcoR Iで消化し、スティッキーエンドを満たすために、クレノウポリメラーゼで処理した。大きい5.5kbフラグメント(pGEM−7Zf(+)からの3kbおよびラクトコッカス染色体からの2.5kb)を精製し、再結合させ、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドpSMA208をXho IおよびBamH Iで消化し、2.5kbラクトコッカルフラグメントを、Xho IおよびBamH Iで消化されたpAK80に結合させた。得られたプラスミドpSMA341をイー.コリDH5α中に導入し、次いでラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。
(iii)p170からの9.7kbフラグメントのサブフラグメントに関するプロモーター活性のラクトコッカス ラクチスにおける評価
クローン化されたラクトコッカルフラグメントのプロモーター活性を測定するためのプレート分析を、1μg/mlのEmおよび160μg/mlのX−galが補われたGM17上に、それぞれプラスミドpSMA399、pSMA340、pSMA341、pSMA342、pSMA343およびpSMA344を含むラクトコッカス ラクチスのオーバーナイト培養物をプレーティングすることによって行った。驚くべきことに、全培養物がこれらのプレート上で青く現れ、このことは、全プラスミド上に少なくとも1つの機能的なプロモーターが存在していることを示している。これらの結果から、少なくとも3つのプロモーターがp170からの9.7kbラクトコッカルフラグメント内に位置していることが明白である。
それぞれpSMA399、pSMA340、pSMA341、pSMA342、pSMA343およびpSMA344を含むラクトコッカス ラクチスMG1363菌株を、各々GM17プレートおよびArgM17プレート上にストリークした。両タイプのプレートは、1μg/mlのEmと160μg/mlのX−galを含んでいた。3つのプロモーターのなかで、pH調節プロモーターを同定するために、プレーティングを行った。これらの分析に基づいて、それぞれpSMA399、pSMA340およびpSMA344から生じるβ−ガラクトシダーゼ発現が、pH/アルギニンによって調節されることが見い出された。pSMA342から生じるβ−ガラクトシダーゼ発現は、pH/アルギニンによって弱く調節され、一方pSMA341およびpSMA343からの発現は、これらの要因によって影響されなかった。
その結果は、β−ガラクトシダーゼリポーター遺伝子に近位の4kb Cla I−Nde Iフラグメント上に位置するプロモーターが、pH調節されることを論証している。このプロモーターを、以下P170と称す。Nde I部位からEcoR I部位に延びる5.7kbラクトコッカルフラグメントを含むプラスミドpSMA342は、おそらく2つのプロモーターを含み、リポーター遺伝子に隣接して位置する一方も、pH調節されるように思われる。しかしながら、この調節は、上流に位置する3.2kb EcoR I−Sal Iフラグメントに依存するように思われる。この結論は、3.2kb EcoR I−Sal Iフラグメントを欠くpSMA341に保有されたプロモーターが、pH/アルギニンによって調節されないという観察に基づいている。
それぞれpSMA399、pSMA340、pSMA341、pSMA342、pSMA343およびpSMA344を含む菌株MG1363のオーバーナイト培養物におけるβ−ガラクトシダーゼ発現の測定を、実施例7に記載したようにして行った。全培養物を、各々GM17培地およびArgM17培地で増殖させた。両培地は、1μg/mlのEmが補われている。調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現の対照として、組込み体170を実験に含めた。結果を表13に示す。
Figure 0003553065
pSMA399、pSMA340またはpSMA344を含むラクトコッカス ラクチスは、組込み体170と同じ調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現を示す。このことは、プロモーターP170が、マルチコピープラスミド様pAK80上に位置するときも調節されることを示している。対照的に、pSMA342に担持されたプロモーターは、調節発現を示さない。、pSMA343に保有されたプロモーターは、pHまたはアルギニンによって調節される。この調節は、プレート分析で検出されなかった。このことは、プレートと液体培地での生育の違いによるのであろう。pSMA343に保有されたプロモーターで観察された調節は、P170の調節ほどきびしいものではない。
p170の4kb Cla I−Nde Iフラグメント上に位置したプロモーターP170の高精度マッピング
p170の4kb Cla I−Nde Iフラグメント上に位置したP170の高精度マッピングの前に、4kb Cla I−Nde Iフラグメントのより詳細な制限地図を製造した(図17)。
p170の4kb Cla I−Nde Iラクトコッカルフラグメントは、pSMA202に保有されている。pSMA202は、3つのHind III部位を含み、そのなかの2つはラクトコッカルDNA内に位置し、1つはポリリンカー領域に位置している。ポリリンカーのHind III部位からラクトコッカスDNAのHind III部位に延びる、1.3kb Hind IIIフラグメントをpAK80中に挿入することにより、プラスミドpSMA357が得られる。pSMA357における挿入物は、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入されたとき、プロモーター活性を含んでいなかった。
4kb Cla I−Nde Iフラグメント上の2.3kb Hind IIIフラグメントを、Hind IIIで消化されたpAK80にクローン化した。得られたプラスミドpSMA348をラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。このプラスミドから、β−ガラクトシダーゼが発現され、このことは、このHind IIIフラグメント内の機能的なプロモーターの存在を例証している。1.5kb Hinc IIフラグメントをpAK80のSma I部位に挿入し、得られたプラスミドpSMA358を、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。pSMA358から、β−ガラクトシダーゼが発現された。1.5kb Hinc IIフラグメントは、1.3kb Hind IIIフラグメントのほとんどをカバーし、隣接した2.3kb Hind IIIフラグメントと4bpの重複を有している。プラスミドpSMA348、pSMA357およびpSMA358における挿入物に関するプロモーター活性評価に基づいて、プロモーターP170を、組込み体170におけるTn917−LTV1挿入物の約1.3kb上流に位置する400bp Hinc II−Hind IIIフラグメントに位置づけた。
(iv)プロモーターPSBのマッピング
SBの上流に位置したDNAの配列決定から、共通プロモーターを190bp Hpa I−Cla Iフラグメント内に同定した{実施例12(i)参照}。pSBをHpa IおよびCla Iで消化し、フラグメントを、Hpa IおよびCla Iで消化されたpNZ336(Simons et al.,1990)に結合させた。得られたプラスミドpNZ336:SBを、Sal IおよびBamH Iで消化した。190bpフラグメントを、Xho IおよびBamH Iで消化されたpAK80に結合させた。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入した。次いで、得られたプラスミドpSMA347を、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。菌株MG1363/pSMA347は、β−ガラクトシダーゼを発現し、このことは、190bpフラグメント上の機能的なプロモーターの存在を例証している。
(v)プロモーターを保有するpAK80誘導体を含有するラクトコッカス ラクチスMG1363の誘発および非誘発オーバーナイト培養物に関する測定
表14には、各々誘発および非誘発条件下で増殖させたオーバーナイト培養物に関するβ−ガラクトシダーゼ活性が与えられている。異なる増殖条件は、それぞれ温度の多様化と増殖培地のpH/アルギニン濃度の多様化である。分析した菌株は、レスキュープラスミド(rescue plasmids)からのEcoR I−Cla Iフラグメントを含むpAK80誘導体と、上記マッピング分析に基づいて、EcoR I−Cla Iフラグメントの欠失を含むpAK80誘導体の両方を含んでいる。培養物の増殖並びにβ−ガラクトシダーゼの分析を、実施例11に記載したようにして行った。この実施例では、5Arg1.5M17を5ArgM17と称す。
Figure 0003553065
Figure 0003553065
結果は、pSBからんとプロモーターがpAK80に保有されるときpH調節されないことを示している。この結果は、pSMA332およびpSMA347の両方で見られる。pSBからのプロモーターの温度調節は、pAK80上に位置するとき逆転される。P162からのプロモーターは、pAK80上に位置するとき、まだ調節される。しかしながら、プラスミド保有プロモーターからのβ−ガラクトシダーゼの全発現は、pAK80の高いコピー数から予測されるほど高くない。P170のpH調節は、上記されている。P170の温度調節は、pAK80上に位置するとき、より小さい程度ではあるけれども保存される。p143からのプロモーターは、pAK80上に位置するとき調節される。しかしながら、この調節は、プロモーターが染色体に位置するとき観察される調節とは逆である。p143上のプロモーターの強さは、プラスミドに位置するとき劇的に増加する。p172上のプロモーターからのβ−ガラクトシダーゼ発現は、染色体に位置するとき温度によってわずかに影響される。この調節は、プロモーターがプラスミドに位置するとき非常に明白となる。
結果は明らかに、染色体プロモーターの調節が、一般的に位置、即ちそれが染色体に位置するかまたはマルチコピー染色体外に位置するかどうかに依存することを論証している。プロモータークローニングベスターでのショットガンクローニングを含む従来のプロモータークローニング戦略が用いられたならば、調節に関する結果は、たいていの場合、直接的に染色体に位置するプロモーターに関する調節についての研究を含む上記戦略を用いて得られた結果と全く異なったであろうと予想される。
実施例14
ラクトコッカス ラクチス中で複製しないベクターpSMA500の構築
ラクトコッカスを含むいくつかの微生物に関して、非複製ベクターは、相同DNAを有するならば、染色体中に組込むことができることが示されている(Leenhouts et al.,1989)。関連する組込みのメカニズムは、ベクターおよび染色体に含まれる相同DNA間のシングルクロスオーバーイベント(single cross−over event)(キャンベル様組込み)である。このキャンベル様組込みの結果は、染色体上のうりふたつの1セットの相同DNAであり、うりふたつの1セットの相同DNA間に、非複製ベクターは位置する。
Tn917挿入物とは対照的に、このキャンベル様組込みは、適当な組込み可能なベクターが用いられるならば、非分解挿入となる。
非複製ベクターpSMA500を、エリスロマイシン耐性マーカーと、リポーター遺伝子としてロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリス由来のプロモーターレスβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を担持するイー.コリプラスミドpVA891(Macrina et al.,1983)に基づいて構築した。
ポリリンカーとプラスミドpAK80からのプロモーターレスβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を、乳酸菌中で複製することができないプラスミドpVA891中にクローン化した。pAK80をHind IIIおよびSla Iで消化した。ポリリンカーとβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含む4.1kbフラグメントを精製し、Hind IIIおよびSal Iで消化されたpVA891に結合させた。連鎖反応混合物を、エリスロマイシン耐性(Emr)(250μg/ml)を選択するイー.コリMC1000中に導入した。得られたプラスミドをpSMA500と称した。このベクターは、乳酸菌中で複製することができない。しかしながら、そのプラスミドが細菌の染色体中に挿入されるならば、エリスロマイシン耐性遺伝子が、ほとんどの乳酸菌で発現される。機能的なプロモーターがpSMA500のポリリンカー中にクローン化されるとき、宿主細菌は、付加的にβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現するであろう。
実施例15
調節プロモーターのpSMA500中への挿入およびラクトコッカス染色体中への組込み
(i)プロモーターのpSMA500中への挿入
p170およびpSBからのプロモーターの調節は、実施例8に記載されている。この実施例では、調節プロモーターP170を含むp170からのラクトコッカスDNAを、pSMA500中に挿入し、次いでこの構築物をラクトコッカス ラクチスMG1363の染色体中に組込んだ。同時に、調節プロモーターPSBを含むpSBからのラクトコッカスDNAを、pSMA500中に挿入し、次いでこの構築物をラクトコッカス ラクチスMG1614の染色体中に組込んだ。
この実験は、キャンベル様組込みを通して染色体中に挿入された調節可能なプロモーターとβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が、なおβ−ガラクトシダーゼの調節発現を示すかどうか試験するために行われた。
(ii)組込み可能ベクターpSMA501およびpSMA502の構築
実施例13に記載のpSMA212は、9.7kb Xho I−BamH Iフラグメントを含んでいる。このフラグメントは、調節プロモーターP170を保有するp170の9.7kbラクトコッカスDNAセグメントと本質的に同じである。pSMA212からの9.7kbフラグメントをXho IおよびBamH Iで消化されたpSMA500中にクローン化した。得られたプラスミドpSMA501をイー.コリMC1000中に導入し、形質転換細胞を、Emr(250μg/ml)に関して選択した。
同時に、調節プロモーターPSBを保有するpGEM:SB(実施例8参照)からの1.8kb Xho I−BamH IラクトコッカスDNAフラグメントを、pSMA500中にクローン化した。得られたプラスミドpSMA502をイー.コリMC1000中に導入し、形質転換細胞を、Emr(250μg/ml)に関して選択した。標準DNA操作および形質転換は、Maniatis et al.,1982に従った。
(iii)pSMA501およびpSMA502のラクトコッカス染色体中への組込み
約2μgのpSMA501のキアゲン(Qiagen)(Qiagen Plasmid Kit,Diagen,Dusseldorf,Germany)精製DNAをラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。同時に、約2μgのpSMA502のキアゲン精製DNAをラクトコッカス ラクチスMG1614中に導入した。ラクトコッカス ラクチスの形質転換は、実施例1に記載のとおりであった。形質転換細胞を、1μg/mlのEmと160μg/mlのX−galを含むSGM17プレート上にプレーティングした。30℃で48時間増殖させた後、青色の形質転換細胞のみが両方の同時セットのプレート上に現れた。これらの結果は、pSMA501が菌株MG1363の染色体中に組込まれたこと、およびpSMA502が菌株MG1614の染色体中に組込まれたことを示した。また、その結果は、各々pSMA501およびpSMA502上のプロモーターが、染色体中に組込まれたとき機能的であることを示した。約5000コロニー形成単位(CFU)/μgDNAがpSMA501構築物を用いて得られ、約500CFU/μgDNAがpSMA502を用いて得られた。複製プラスミドpAK80を用いて、形質転換効率は、両方の菌株で1×10EE7 CFU/μgであった。菌株MG1363および関株MG1614のpSMA500での形質転換は、5CFU/μgDNAより低く、このことから、pSMA501およびpSMA502の組込みが、これらのベクター上の染色体ラクトコッカス挿入物によって媒介されることが明らかに論証された。それぞれの同時セットのプレートからの10の初代のランダムに採取された形質転換細胞を、1μg/mlのEmと160μg/mlのX−galを含むGM17プレート上にストリークした。このストリーク後に現れる全コロニーは、均一でかつ青色であった。形質転換細胞からのプラスミドDNA抽出は、細菌細胞中に染色体外的に検出可能なプラスミドDNAがないことを示した。このことは、プラスミドpSMA501およびpSMA502が、受容株の染色体中に組込まれたことを強く示した。図18は、非複製プラスミドのキャンベル様組込み(Campbell−like integration)を例証している。
組込まれたプラスミドの安定性を研究するために、両タイプの組込み体を、約20世代の間Em選択なしで増殖させた。得られた培養物の適切な希釈物を、X−galを含むMG17プレート上にプレーティングし、次いで選択プレートGM17+X−gal+1μg/mlエリスロマイシンに複製した。このプレート分析では、β−ガラクトシダーゼ活性の損失は検出されず、Em耐性が検出された。
(iv)染色体上に組込み可能なベクターを保有するラクトコッカス菌株に関する調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現の分析
β−ガラクトシダーゼの発現が、染色体に組込まれたpSMA501を保有する菌株MG1363(菌株MG1363::pSMA501)および染色体に組込まれたpSMA502を保有する菌株MG1614(菌下部MG1614::pSMA502)において調節されるかどうか分析するために、以下の実験を行った。
6つのランダムに採取された菌株MG1363::pSMA501の再単離物を、GM17プレート上(1.2×M17寒天および0.5%グルコース)およびArgM17プレート(1.2×M17寒天、0.1%グルコースおよび0.1%アルギニン)上にストリークした。両タイプのプレートは、1μg/mlのEmと160μg/mlのX−galを含んでいた。単離物番号6、9、10、14および21は全て、GM17プレート上で青色であり、ArgM17プレート上で白色であった。この結果は、これらの単離物におけるβ−ガラクトシダーゼ発現が、組込み体170(実施例7参照)におけるように、なおpH依存様式で調節されることを示している。単離物番号3は、GM17プレート上で青色であり、ArgM17プレート上で淡青色であった。両タイプのプレート上でのこの単離物のより高レベルのβ−ガラクトシダーゼ発現は、おそらく、染色体中への組込み可能なベクターの数コピーの組込みの結果か、または縦一列に並んでいない(non−tandem)反復染色体DNA配列の増幅の結果である。
8つのランダムに採取された菌株MG1614::pSMA502の再単離物を、GM17プレートおよびArgM17プレート上にストリークした。両タイプのプレートは、1μg/mlのEmと160μg/mlのX−galを含んでいた。菌株MG1614::pSMA502の全単離物、即ち単離物番号7、8、10、13、14、17、18および22は全て、GM17プレート上で青色であり、ArgM17プレート上でわずかにより青色であった。この結果は、菌株MG1614::pSMA502における少なくともあるレベルのpH依存β−ガラクトシダーゼ発現を示している。しかしながら、このプレート分析では、β−ガラクトシダーゼ発現のレベル、従って菌株MG1614::pSMA502と組込み体SBにおける調節の強さを比較することはできない。
実施例7および11では、0.5%グルコースが補われた1.5×M17および0.1%グルコースと0.1%アルギニンが補われた1.5×M17からなる培地は、それぞれG1.5M17およびArg1.5M17と言及された。以下では、これらの培地を、それぞれGM17およびArgM17と称す。
β−ガラクトシダーゼの活性を、それぞれGM17培地(増殖後のpH5.6)およびArgM17培地(増殖後のpH6.7)で30℃17〜18時間増殖させた培養物で測定した。GM17培地およびArgM17培地の両方とも、1μg/mlのエリスロマイシンを含んでいた。菌株MG1363::pSMA501の3つの再単離物および菌株MG1614::pSMA502の2つの再単離物(reisolates)を、それぞれβ−ガラクトシダーゼ活性に関して分析した。調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現の対照として、それぞれ組込み体170およびSBを実験に含めた。結果を以下の表15aおよび15bに示す。
Figure 0003553065
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β−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現が菌株MG1363::pSMA501の全3つの単離物で調節されることが、明らかに論証される。各々の単離物における調節は、組込み体170で観察される調節と同様である。β−ガラクトシダーゼ活性レベルの違いは、おそらく、染色体上のpSMA501のコピー数の違いによる。しかしながら、表15bに示された結果から、MG1614::pSMA502の2つの単離物において調節もしくは非調節β−ガラクトシダーゼ発現があるかどうか結論づけることは困難である。
実施例16
pTV32およびpLTV1でのラクトバシラス ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)の形質転換
転位ベクターpTV32およびpLTV1の各々を、Bhowmik et al.,1993によって記載された方法に従って、ラクトバシラス ヘルベティクスCNRZ32中に電気さく孔(electroporated)した。宿主にCm耐性を付与するベクターpNZ18(NIZO,BA Ede,オランダ)も、形質転換効率の対照として菌株CNRZ32中に導入した。
エレクトロポレーション後、形質転換した細胞を、10mM CaCl2と形質転換に用いたベクターに依存する抗生物質を含むMRS寒天(Oxoid)上にプレーティングした。形質転換細胞の選択に用いた抗生物質とその濃度は、以下の表16に与えられている。表16には、形質転換からの結果も与えられている。表中の空白スペースは、この実験が行われなかったことを示す。
Figure 0003553065
10のpTV32形質転換細胞と10のpLTV1形質転換細胞を、10μg/mlのEmを含むMRS寒天上にストリークした。20の形質転換細胞の各々からの再単離したコロニーを、5μg/mlのEmを含むMRS肉汁(Oxoid)に接種し、O'Sullivan et al.,1993に従って、プラスミド抽出を行った。プラスミド抽出調製物を、EcoR Iで消化し、次いでアガロースゲル電気泳動分析に付した。
プラスミドDNAは、これらのプラスミド抽出物のいずれにおいても検出されなかった。上記表から、プラスミドDNAのμg当たり、それぞれエリスロマイシン耐性を発現する130および140の形質転換細胞が得られたことが明らかであるので、エリスロマイシン耐性を発現する試験された形質転換細胞のいずれにおいてもプラスミドDNAが検出されなかったという事実から導き出せる唯一の結論は、形質転換細胞中に導入されたDNAが、ラクトバシラス ヘルベティクスの染色体に組込まれたということである。
従って、上記結果は、上記Tn917誘導体が、この発明に従ってラクトバシラス種においても用いることができるという強い指示を提供する。
Figure 0003553065
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Claims (35)

  1. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を含み、pH、生育温度、イオン強度又はNaCl含量を含む増殖培地組成、およびアデニン、ヒポキサンチン、グアノシン及びその混合物からなる群から選択されるプリンヌクレオチド前駆体の存在又は欠如から選択される因子によって調節可能で、乳酸菌から単離されるプロモーターを、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子に作動的に結合するように細菌に挿入して構築され、
    挿入されるプロモーターが、P139−170と命名されたPFC−1−クローン(DSM7360)に含まれるプロモーター、pAK80:SBに含まれるプロモーター(DSM8495)、pAK80:143に含まれるプロモーター(DSM8497)、pAK80:162に含まれるプロモーター(DSM8498)、pAK80:170に含まれるプロモーター(DSM8500)、pLN71に含まれるプロモーター(DSM8859)、組込み体SBに含まれるプロモーター(DSM8834)、組込み体P139−86に含まれるプロモーター(DSM8835)、組込み体P139−142に含まれるプロモーター(DSM8836)、組込み体P139−143に含まれるプロモーター(DSM8837)、組込み体P139−159に含まれるプロモーター(DSM8838)、組込み体P139−162に含まれるプロモーター(DSM8839)、組込み体P139−163に含まれるプロモーター(DSM8840)、組込み体P139−168に含まれるプロモーター(DSM8841)、組込み体P139−172に含まれるプロモーター(DSM8842)、組込み体P139−179に含まれるプロモーター(DSM8843)、組込み体P139−187に含まれるプロモーター(DSM8844)、組込み体P139−188に含まれるプロモーター(DSM8845)、組込み体P139−192に含まれるプロモーター(DSM8846)、組込み体P139−193に含まれるプロモーター(DSM8847)、組込み体P139−199に含まれるプロモーター(DSM8848)、組込み体P139−201に含まれるプロモーター(DSM8849)、組込み体P139−203に含まれるプロモーター(DSM8850)、組込み体P139−222に含まれるプロモーター(DSM8851)、組込み体P139−224に含まれるプロモーター(DSM8852)、組込み体P139−229に含まれるプロモーター(DSM8853)、組込み体P139−230に含まれるプロモーター(DSM8854)、組込み体P139−237に含まれるプロモーター(DSM8855)、組込み体P139−241に含まれるプロモーター(DSM8856)及び組込み体P139−242に含まれるプロモーター(DSM8857)からなる群から選択される、
    組換え乳酸菌。
  2. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、染色体遺伝子である請求項1記載の細菌。
  3. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、染色体外遺伝子である請求項1記載の細菌。
  4. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、天然の遺伝子である請求項1記載の細菌。
  5. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項1記載の細菌。
  6. 異種遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項5記載の細菌。
  7. さらなるDNA配列からなり、それによってプロモーターが確率事象により調節されるようになる請求項1記載の細菌。
  8. さらなる配列が、プロモーターの機能を阻害する調節配列を組換え除去するものである請求項7記載の細菌。
  9. プロモーターが、ランナウェイ挙動を有するプラスミド上に位置する請求項1記載の細菌。
  10. ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウム種から選択されるものである請求項1記載の細菌。
  11. プロモーターが、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウム種由来のものである請求項2記載の細菌。
  12. プロモーターが、ラクトコッカス ラクチス由来のものである請求項11記載の細菌。
  13. プロモーターが、菌株MG1614および菌株MG1363から単離されるプロモーターから選択されるプロモーターである請求項12記載の細菌。
  14. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、レプリコンに存在するプロモーターの制御下にあるレプリコンの部位に挿入され、その部位は、プロモーターレス構造遺伝子を挿入しそれによって原プロモーターレス遺伝子がレプリコンに存在するプロモーターに作動的に結合されることにより発現可能になることによって同定可能であり、前記遺伝子の前記部位での挿入により、前記遺伝子がレプリコンに存在するプロモーターに作動的に結合されるようになる請求項1記載の細菌。
  15. 挿入遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項14記載の細菌。
  16. 遺伝子が、乳酸菌の染色体中に挿入される請求項14記載の細菌。
  17. 遺伝子が、染色体外レプリコン中に挿入される請求項14記載の細菌。
  18. 挿入遺伝子が、相同遺伝子である請求項14記載の細菌。
  19. 挿入遺伝子が、異種遺伝子である請求項14記載の細菌。
  20. 挿入異種遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項19記載の細菌。
  21. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペプチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、プリン代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素をコードする遺伝子およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択される請求項1または14記載の細菌。
  22. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、ロイコノストック種のlacL遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチターゼをコードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択される請求項21記載の細菌。
  23. 乳酸菌細胞由来の調節プロモーターと、それに作動的に結合された所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、
    前記プロモーターが、前記遺伝子と天然では関連しておらず、pH、生育温度、イオン強度又はNaCl含量を含む増殖培地組成およびアデニン、ヒポキサンチン、グアノシン及びその混合物からなる群から選択されるプリンヌクレオチド前駆体の存在又は欠如から選択される因子によって調節され、
    挿入されるプロモーターが、P139−170と命名されたPFC−1−クローン(DSM7360)に含まれるプロモーター、pAK80:SBに含まれるプロモーター(DSM8495)、pAK80:143に含まれるプロモーター(DSM8497)、pAK80:162に含まれるプロモーター(DSM8498)、pAK80:170に含まれるプロモーター(DSM8500)、pLN71に含まれるプロモーター(DSM8859)、組込み体SBに含まれるプロモーター(DSM8834)、組込み体P139−86に含まれるプロモーター(DSM8835)、組込み体P139−142に含まれるプロモーター(DSM8836)、組込み体P139−143に含まれるプロモーター(DSM8837)、組込み体P139−159に含まれるプロモーター(DSM8838)、組込み体P139−162に含まれるプロモーター(DSM8839)、組込み体P139−163に含まれるプロモーター(DSM8840)、組込み体P139−168に含まれるプロモーター(DSM8841)、組込み体P139−172に含まれるプロモーター(DSM8842)、組込み体P139−179に含まれるプロモーター(DSM8843)、組込み体P139−187に含まれるプロモーター(DSM8844)、組込み体P139−188に含まれるプロモーター(DSM8845)、組込み体P139−192に含まれるプロモーター(DSM8846)、組込み体P139−193に含まれるプロモーター(DSM8847)、組込み体P139−199に含まれるプロモーター(DSM8848)、組込み体P139−201に含まれるプロモーター(DSM8849)、組込み体P139−203に含まれるプロモーター(DSM8850)、組込み体P139−222に含まれるプロモーター(DSM8851)、組込み体P139−224に含まれるプロモーター(DSM8852)、組込み体P139−229に含まれるプロモーター(DSM8853)、組込み体P139−230に含まれるプロモーター(DSM8854)、組込み体P139−237に含まれるプロモーター(DSM8855)、組込み体P139−241に含まれるプロモーター(DSM8856)及び組込み体P139−242に含まれるプロモーター(DSM8857)からなる群から選択される、
    単離DNAフラグメント。
  24. さらに少なくとも1つの転写ターミネーターからなる請求項23記載のDNAフラグメント。
  25. 100〜10000塩基対の範囲内のサイズを有するDNAフラグメントである請求項23記載のDNAフラグメント。
  26. 200〜5000塩基対の範囲のサイズを有するフラグメントである請求項25記載のDNAフラグメント。
  27. さらに、プロモーターの調節に関連した遺伝子産物をコードする配列からなる請求項23記載のDNAフラグメント。
  28. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペプチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、プリン代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素をコードする遺伝子およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択される請求項23記載のDNAフラグメント。
  29. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項23記載のDNAフラグメント。
  30. 遺伝子が、乳酸菌に由来する遺伝子である請求項23記載のDNAフラグメント。
  31. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、ロイコノストック種のlacL遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチターゼをコードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択されるものである請求項30記載のDNAフラグメント。
  32. 乳酸菌プロモーターが、受託番号DSM7361として寄託されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614組込み体クローン63bに作動的に結合したプロモーターである請求項23記載のDNAフラグメント。
  33. 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなるベクターが、受託番号DSM8496として寄託されたプラスミドpAK80である請求項1記載の細菌。
  34. (i)所望の遺伝子産物をコードするプロモーターレス遺伝子からなるベクター、(ii)乳酸菌中で機能的であるθ複製乳酸菌レプリコンおよび(iii)DNA配列を挿入させる挿入部位からなり、かつ(iv)その挿入部位に、乳酸菌種に由来し、pH、生育温度、イオン強度又はNaCl含量を含む増殖培地組成、およびアデニン、ヒポキサンチン、グアノシン及びその混合物からなる群から選択されるプリンヌクレオチド前駆体の存在又は欠如から選択される因子によって調節可能な調節プロモーターからなるDNA配列が挿入されており、挿入が、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合するように行われ、それにより遺伝子が転写され、
    挿入されるプロモーターが、P139−170と命名されたPFC−1−クローン(DSM7360)に含まれるプロモーター、pAK80:SBに含まれるプロモーター(DSM8495)、pAK80:143に含まれるプロモーター(DSM8497)、pAK80:162に含まれるプロモーター(DSM8498)、pAK80:170に含まれるプロモーター(DSM8500)、pLN71に含まれるプロモーター(DSM8859)、組込み体SBに含まれるプロモーター(DSM8834)、組込み体P139−86に含まれるプロモーター(DSM8835)、組込み体P139−142に含まれるプロモーター(DSM8836)、組込み体P139−143に含まれるプロモーター(DSM8837)、組込み体P139−159に含まれるプロモーター(DSM8838)、組込み体P139−162に含まれるプロモーター(DSM8839)、組込み体P139−163に含まれるプロモーター(DSM8840)、組込み体P139−168に含まれるプロモーター(DSM8841)、組込み体P139−172に含まれるプロモーター(DSM8842)、組込み体P139−179に含まれるプロモーター(DSM8843)、組込み体P139−187に含まれるプロモーター(DSM8844)、組込み体P139−188に含まれるプロモーター(DSM8845)、組込み体P139−192に含まれるプロモーター(DSM8846)、組込み体P139−193に含まれるプロモーター(DSM8847)、組込み体P139−199に含まれるプロモーター(DSM8848)、組込み体P139−201に含まれるプロモーター(DSM8849)、組込み体P139−203に含まれるプロモーター(DSM8850)、組込み体P139−222に含まれるプロモーター(DSM8851)、組込み体P139−224に含まれるプロモーター(DSM8852)、組込み体P139−229に含まれるプロモーター(DSM8853)、組込み体P139−230に含まれるプロモーター(DSM8854)、組込み体P139−237に含まれるプロモーター(DSM8855)、組込み体P139−241に含まれるプロモーター(DSM8856)及び組込み体P139−242に含まれるプロモーター(DSM8857)からなる群から選択される、
    組換えプラスミド。
  35. ベクターが、pAK80である請求項34記載のプラスミド。
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