JP3553545B2 - ドループ・フリーな疑似連続再構成フィルタ・インターフェース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドループ・フリーな疑似連続再構成フィルタ・インターフェースに関する。更に詳しくは、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)の出力を再サンプリングして、スルーイング(slewing)、グリッチング(glitching)、ドループなどの、DACの出力における問題点を解消する再構成フィルタ・インターフェースが開示されている。
【0002】
【従来の技術】
非同期デジタル・サブスクライバ・ライン(ADSL)技術は、既存の電話回線を介して高速のデジタル・データを搬送するために用いられる。その際に、電話回線を修正することは必要ない。離散的マルチトーン(DMT)と称される変調方式により、高速デジタル・データの伝送が可能になる。ADSLによれば、中央局から遠隔地のサブスクライバ(加入者)までのダウンストリーム(下り)方向の伝送では大きな帯域幅(1.104MHz)が、遠隔地のサブスクライバから中央局までのアップストリーム(上り)方向の伝送ではそれよりも小さな帯域幅(138kHz)が、可能になる。ADSLシステムに関する説明は、ADSL標準ITU−g.992.1及びITU−g.992.2に記載がある。これらは、本出願において援用する。
【0003】
図1Aには、ADSLシステムのアーキテクチャが図解されている。デジタル・ネットワーク100は、ADSL回線を介してダウンストリームに送られるデータを提供する。このデータは、中央局(ATU−C)102におけるADSLトランシーバ・ユニットまで運ばれる。ATU−Cは、DMT方式を用いて、ダウンストリームに伝送するデータを変調する。ATU−Cは、アナログ信号を用いて回線104を駆動する。回線104は、公衆切換型電話ネットワーク(PSTN)106の一部である電話回線110にスプリッタ108によって接続される。ATU−Cは、また、回線104を介してアップストリームに伝送されるデータを受信する。
【0004】
受信者側では、スプリッタ120は、メッセージ通信サービス(MTS)122(標準的な古い電話サービス(POTS)とも称される)と遠隔ユニット(ATU−R)124のためのADSLトランシーバ・ユニット回線との間の回線110上で、信号を分割する。ATU−R124は、バス126によって、1つ又は複数のサービス・モジュール(SM)128に接続されている。ATU−Rは、ダウンストリーム方向にATU−Cによって伝送されるデータを復調し、アップストリーム方向にデータを伝送する。
【0005】
図1Bは、ADSLシステムの伝送経路を図解するブロック図である。この伝送経路は、アップストリーム又はダウンストリーム方向のいずれかでありうる。エンコーダ150は、デジタル・データをDAC152に送る。DAC152のアナログ出力は、ADSL回線上を伝送されるADSL変調された信号を表す。しかし、DACは、適切なライン・ドライバではない。というのは、DACは十分な電力出力を有していないのが一般的であるし、DACの出力は、実現可能なアナログDACのゼロ・オーダーを保持する性質(zero order hold nature)によって生じるスプリアスで帯域外の高調波を大量に含むからである。ライン・ドライバ増幅器153は電力駆動能力を向上させるのに用いられ、再構成フィルタ154は帯域外の高調波を減少させる又は除去する。DACの出力は再構成フィルタ154に向けられ、再構成フィルタ154の出力はライン・ドライバ増幅器153に向けられる。再構成フィルタ154は、DACの階段状の出力からの信号を再構成して、ADSL回線156を駆動する。このように、ADSL回線156を駆動する信号は、まず、エンコーダ150によってデジタル的に発生される。DAC152は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、再構成フィルタ154は、ライン・ドライバを駆動する。ライン・ドライバは、信号をライン自体に向ける。
【0006】
再構成フィルタ154の性能は重要である。というのは、再構成フィルタ154がなければ、ADSL送信機の出力は、広いスペクトルにわたる残存高調エネルギを含み、FCCの規則に違反する可能性が高く、また、帯域スペクトルの形状に関して適切に定義されないことになるからである。更に、ライン上に高周波のグリッチングやスルー・エネルギが少しでも存在すると、信号に更なるひずみを与えたり、信号が変形される可能性がある。
【0007】
図2は、典型的な再構成フィルタの基本構造を図解するブロック図である。DAC200の出力は、入力抵抗202とフィードバック抵抗204とコンデンサ206とを含むローパス回路として構成された増幅器201に入力される。このローパス構成では、ノード210における増幅器の出力は、増幅器201の設計上の限度内でDACの出力の低周波のコンテンツだけに従う傾向があり、それによって、信号の再構成を達成している。
【0008】
デジタル・アナログ・コンバータの出力が上述したように連続時間の態様で関連する再構成フィルタに直接にインターフェースされると、DACがその性質上離散時間的であるという事実に起因していくつかの問題点が生じる。第1に、グリッチング又はスルーイングひずみなど、DACで過渡的に生じる非線形な設定は、どのような形式も、ライン出力における構成フィルタによって再生される。グリッチング320及びスルーイング310は、図3Bに図解されている。また、DAC出力がゼロ・オーダー保持波形であるという事実の結果として、出力帯域の全体に周波数に依存するドループが生じ、そのために、DACに先立つデジタル処理において、又は、アナログ・フィルタ自体において、x/sin(x)の形式の何らかの補正が必要となる。典型的には、このような補正は、速度及び複雑さの両方を犠牲にする。
【0009】
デジタル・アナログ・コンバータの出力を再構成フィルタに与えることの結果として生じるスルーイング、グリッチング及びドループに起因する問題点を除去できるシステムを設計できるのであれば、それは望ましいことであろう。
【0010】
【発明の概要】
従って、デジタル・アナログ・コンバータの出力からのスルーイング、グリッチング及びドループが原因となって生じる問題点を、疑似連続であるフィルタを提供することによって解消するシステムが開示される。このようなフィルタは、性質上、離散的な時間及び連続的な時間の両方として同時に考慮することができる。DACの出力をある1つの時点で再サンプリングするフィルタ入力が開示される。この時点はDACの出力がその所望のレベルに安定する時点であるように選択されるので、スルーイング及びグリッチングの問題は解消される。次に、再サンプリングされたDACの出力は、そのフィルタ自体の中の演算増幅器を用いることによって連続時間に入力され、電荷移動(charge transfer)が強制される。フィルタ増幅器の帯域幅が十分である場合には、この移動は、再サンプリング・レートとの関係では、ほとんど瞬間的である。従って、フィルタには、ゼロ・オーダー保持信号ではなく、再サンプリングされたDAC出力にそれぞれのウェイトが比例している一連のインパルスが与えられる。その結果、全体としてドループ・フリーの出力が得られる。
【0011】
ある実施例では、ADSL伝送システムが開示される。このシステムは、DMT変調されたデジタル出力を発生するデジタルDMT発生変調回路を含む。デジタル・アナログ・コンバータが、DMT変調されたデジタル出力をDMTアナログ信号に変換する。離散的パルス発生回路が、DMTアナログ信号をサンプリングしてパルス化された出力信号を出力する。再構成フィルタが、パルス化された出力信号によって駆動される。再構成フィルタは、ADSL伝送回線を駆動するのに適した回線駆動信号を出力し、それによって、デジタル・アナログ・コンバータにおける欠陥が原因で生じるひずみを減少させる又は除去する回線駆動信号が、与えられる。
【0012】
別の実施例では、DMT信号を用いてADSL伝送回線を駆動する方法が開示される。この方法は、DMT変調されたデジタル出力を作成するステップと、DMT変調されたデジタル出力をDMTアナログ信号に変換するステップとを含む。このDMTサンプリングされたアナログ信号はサンプリングされる。サンプリングされたDMTアナログ信号からは、離散的パルス出力信号が発生される。この離散的パルス出力信号は、再構成フィルタに入力される。再構成フィルタは、ADSL伝送回線を駆動するのに適した回線駆動信号を出力する。
【0013】
更に別の実施例では、再構成フィルタが開示される。その入力は、デジタル・アナログ・コンバータからの出力信号を受け取るように構成される。入力サンプリング回路は、デジタル・アナログ・コンバータからの出力信号のサンプルを記憶するように動作する。入力パルス発生スイッチがパルスを発生するが、そのパルスのエネルギは、デジタル・アナログ・コンバータからの出力信号のサンプルによって決定される。増幅器が、増幅器入力においてパルスを受け取り、増幅器出力において出力信号を提供し、それによって、アナログ・デジタル・コンバータにおける欠陥が原因で生じるひずみを減少させる出力信号が与えられる。
【0014】
本発明の上述した及びそれ以外の特徴及び効果は、本発明に関する以下の明細書と本発明の原理を実例によって図解している添付の図面とにおいて、より詳細に論じられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読めば、容易に理解できるはずである。添付の図面においては、同じ構成を示す際には同じ参照番号が用いられている。
【0016】
ここで、本発明の好適実施例を詳細にわたって参照する。好適実施例の一例が、添付の図面に図解されている。本発明は、この好適実施例との関係で説明されるのであるが、それは、本発明を1つの好適実施例に限定することを意図するものではないことを理解してほしい。そうではなく、代替例、修正及び均等物を、冒頭の特許請求の範囲が定義している本発明の精神及び範囲に含まれ得るものとして、カバーすることが意図されている。以下の説明では、多数の特定の詳細が、本発明に関する完全な理解を提供するという目的のために与えられている。しかし、本発明は、これらの特定の詳細の幾つか又はすべてが欠けていても、実現することができる。それ以外の箇所でも、周知のプロセス動作の詳細が記載されていない場合があるが、これは、本発明を不必要に曖昧にしないためである。
【0017】
以下では、ドループ・フリーの再構成フィルタがどのように設計されどのように使用されれば従来よりも優れたADSL伝送信号が得られるのかを、詳細に説明する。開示されている再構成フィルタは、他の応用例において用いられているDACからの出力信号を再構成するためにも有用であることを理解してほしい。DACは、一般に、適切に動作するためには、ある種の再構成フィルタを必要とする。ここに説明される再構成フィルタは、開示されている設計によって達成可能なパフォーマンスを要求する任意の応用例で有用である。
【0018】
図3Aは、理想化されたDACの出力を図解するグラフである。出力は、1/tの周波数でDACから周期的に出力されるデルタ関数で構成される。理想的には、パルスは可能な限り短く、各パルスにおけるエネルギはDACによって出力されるアナログ信号値に比例する。
【0019】
図3Bは、現実のDACの出力を図解するグラフであり、スルーイングやグリッチングを含むゼロ・オーダー保持信号(zero order held signal)が図解されている。スルーイングは、DACの出力を作成するのに用いられる増幅器が出力を所望の電圧まで上昇させるのに十分なゲインを有しないときに生じる。スルーイングは、出力310の直線部分によって示されている。スルーイングが特に問題であるのは、出力に望ましくない影響を与える非線形な効果だからである。スルーイングに加え、320にはグリッチングが示されている。グリッチングは、DACの出力を形成するアナログ「ウェイト」(これは、電圧又は電流として表現されうる)が同時に与えられないときに生じる。例えば、先のDACの入力が(バイナリで)011111であり、次の入力が100000であると仮定する。インクリメントは非常に小さいのであるが、そのために、すべてのビット(従って、すべてのアナログ・ウェイト)がトグルしようとすることになる。不均一な伝搬遅延などの回路への効果のために、011111から100000への変化は、実際には、011111−011010−101010−100000のように進むことがある。中間の2つの値が、エラーを含むDACの出力を表している。このエラー事象すなわち「グリッチ」は、寿命が短いのではあるが、それでも、何らかの形態のスプリアスな信号エネルギを生じさせ、DACの出力を混乱させる。
【0020】
図3Cは、再サンプリングがなされ電流パルスに変換された後のDACの出力をプロットしたものである。本発明のある実施例では、DACの出力はスイッチングされてサンプリング・コンデンサに与えられ、サンプリング・コンデンサはその出力をある時点でサンプリングする。再サンプリングされたDACの出力は、次に、再構成フィルタに入力される。好ましくは、DACの出力が所望の電圧に安定する時点が選択される。図解されている実施例では、DACの出力は、DACの出力が変化を開始した時点から2/3tの時点でサンプリングされる様子が示されている。従って、サンプリング・クロック信号は、DACのクロックから、周期の2/3だけ位相がずれている。しかし、他の実施例では、サンプリング・コンデンサのクロック・スイッチがDACの出力に対して位相がずれている量は、異なっている場合がある。好ましくは、サンプリングの時は、DACの出力が変化する直前に実現可能な限り近接するように設定される。これにより、DACが安定するための時間を最大にすることができ、よって、サンプリングされる最終的なDACの値の精度を最大化することができる。
【0021】
DACの出力をDACが正しい電圧に安定した時点でサンプリングすることよって、グリッチング及びスルーイングの問題は解消される。また、コンデンサに記憶されたサンプリングされた信号は、ローパス・フィルタ構造(図4Bでは、φ2での立上りエッジとして示されている)の中に送られるときに、電流のインパルスとして有効に「ダンプイン」される。ただし、増幅器410の大域幅がサンプリング・レートよりもはるかに高いことが仮定されている。これによりドループが除去される。ドループ(droop)とは、再構成フィルタへの入力がDACからの出力の場合のようにゼロ・オーダー保持信号であるときに、フィルタの出力が高周波で減衰される傾向である。
【0022】
DAC又は増幅器の出力のグリッチング及びスルーイングを除去するために、多くの努力がなされてきた。これらの効果を著しく縮小させたDACは、入手可能である。しかし、そのようなDACは高価であり、高周波で動作するように設計されている場合には、特にそうである。この出願において開示されている再構成フィルタは、グリッチング及びスルーイングを縮小させる特別なDACを用いることを不要にする。というのは、この再構成フィルタは、グリッチング/スルーイング事象の間は、DACから切り離されているからである。DAC出力をサンプリングすることによって、DACにおけるグリッチング及びスルーイングの効果を、より効率的に除去することができ、ゼロ・オーダー保持ドループ効果は、高価なx/sinxによる補正を必要とすることなく除去される。このようにして、開示されている再サンプリング・ネットワークは、グリッチング及びスルーイングの問題を緩和するだけでなく、最も著しいこととして、ドループの補償を提供する。また、再サンプリング・ネットワークは再構成フィルタの一部であるから、グリッチング、スルーイング及びドループは、すべて、従来技術の場合のように別個の回路を用いるのではなく、再構成フィルタによって、緩和されるのである。ここに開示されている一体化された解決策では、他の技術と比較して、電力及び面積の消費が少ない。
【0023】
図4Aは、DAC400の出力をサンプリングする再構成フィルタのブロック図である。DAC400は、複数ビットを用いてこのDACに入力されるデジタル値に対応するアナログ値を出力する。DAC400は、サンプリング・スイッチ402によってサンプリング・コンデンサ406に接続されている。サンプリング・スイッチ402が閉じられると、このDACの出力はサンプリング・コンデンサ406に接続され、入力スイッチ404が開く。サンプリング・スイッチ402が開くと、入力スイッチ404が閉じる。サンプリング・スイッチ402が閉じている周期は、DAC400がその現在の所望の出力レベルに安定するときに生じるように選択される。DACのクロックとこれら2つのスイッチの関連する状態とを図解するタイミング図は、図4Bに与えられている。
【0024】
サンプリングの時(図4Bでは、スイッチ402によって定義される)は、可能な限りDACの変化エッジに近接すべきである。特に、図4Bに示されているように、DACは、DAC_CLOCKの立下りエッジにおいて変化する。φ1の立下りエッジは、再構成フィルタへの再サンプリング時を定義する。これは、DAC_CLOCKの立下りエッジの少なくとも0.5から1ナノ秒前であるべきである(図4Bでは矢印によって示されている)。しかし、DACが安定化する際のパフォーマンスによって制限され、これよりもかなり早くなる場合もある。
【0025】
このサンプリング入力構成が用いられると、入力スイッチ404が閉じているときに増幅器410に与えられる入力は、サンプリング・コンデンサ406の放電によって生じる幅の狭い電流パルスである。増幅器410は、フィードバック抵抗412及び414を備えたローパス・フィルタとして構成されている。ノード420における増幅器の出力は、DAC出力の所望の低周波成分だけを含む。特に、ωC=1/(RC)よりも上の成分はすべてフィルタリングによって除去され、再構成が実行される。
【0026】
このように、連続時間再構成フィルタ回路は、離散時間入力に接続される。サンプリングされた離散入力は、DAC400におけるグリッチング又はスルーイングに起因するひずみを含まない。
【0027】
図4Bは、サンプリング・スイッチ、入力スイッチ及びDACの間のタイミング関係を図解するタイミング図である。DACは、DAC_CLOCK信号430の立下りエッジにおいて変化する。また、タイミング図432は、サンプリング・スイッチφ1の状態に対して示されている。スイッチは、DACの出力がその目標値に向かって安定化している周期の間、閉じている。更に、タイミング図434は、入力スイッチφ2に対して示されている。入力スイッチはサンプリング・スイッチが開いた直後に閉じ、入力スイッチはサンプリング・スイッチが閉じる直前に開く。入力スイッチ404が閉じると、完全なインパルスの近似値である電流のインパルスが、ローパス・フィルタに与えられる。増幅器410に関する負のフィードバックによって、元々CSにあった電荷が、抵抗412とコンデンサ414とを含むフィードバックRCネットワークの中に、増幅器410の単位利得帯域幅に比例するレートで強制的に与えられる。
【0028】
図4Aに示されている回路は、DACにおけるグリッチング及びスルーイングの影響を出力信号から取り除くことに成功し、更に、高周波ドループの問題も解決する。これは、ゼロ・オーダー保持信号を再構成フィルタに与えるのではなく、DACの出力に比例する電流のインパルスがフィルタに与えられるからである。ゼロ・オーダー保持信号がないから、従来の帯域内sinx/xドループが存在しない。その代わりに、ひずみを含むDACの出力が再サンプリングされ、ゼロ・オーダー保持信号をDACの出力に比例するインパルスに変換することによって、sinx/xの項が除去される。このシステムからの典型的な出力が、図6に示されている。
【0029】
実現可能なDACのゼロ・オーダー保持出力スペクトルは、付随するドループひずみと共に、数式1に与えられている。増幅器410への入力電流は、数式2に与えられている。ドループの項は、サンプリング動作によって除去されている。再サンプリングされドループ・フリーである最終的な出力は、数式3に与えられている。
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
【数3】
【0033】
図4Aに示されている回路のゲインは、フィードバック抵抗412とサンプリング・コンデンサのサイズとに依存することに注意すべきである。回路が作られる際には、抵抗412の値は、与えられた製造公差の範囲内で変動することができる。同様に、サンプリング・コンデンサのキャパシタンスもまた公差の範囲内で変動する。フィードバック抵抗の変動は、一般に、サンプリング・コンデンサの変動とは独立である。結果として、回路のゲインも同様に変動する可能性がある。しかし、これは好ましくない。DACへのデジタル入力が結果的に未知のアナログ出力レベルを生じてしまうことになるからである。ゲインの精度が重要性をもつような応用例(例えば、ADSLなどの通信への応用)では、この変動可能性を取り除くことが特に重要である。レーザ・トリミングなどの従来の技術は、高価であるのが一般的なので、望ましくない。
【0034】
再構成フィルタの出力のゲインは、DACの出力をサンプリングするのに用いられる切換型コンデンサ(スイッチ・キャパシタ、switched capacitor)ネットワークを反射(mirror)する切換型コンデンサ・ネットワークをフィードバック抵抗の代わりに用いることによって、製造される回路における精度を高めることができる。これは、図4Dに図解されている。
【0035】
図4Cは、切換型コンデンサ入力技術を用いた若干複雑な再構成フィルタを図解するブロック図である。図4Aの1つの増幅器410とコンデンサ414とが、バイクオッド(biquad)構造458によって置き換えられている。図4Aの場合のように、DAC450は、サンプリング・スイッチ452に信号を出力する。サンプリング・スイッチ452が閉じているときには、DAC450の出力は、サンプリング・コンデンサ456に接続される。入力スイッチ454は、サンプリング・コンデンサ456の出力をバイクオッド458に接続する。バイクオッド458は、ローパス・フィルタとして構成されている。ある実施例では、Tow−Thomas型のローパス・バイクオッド構造が用いられる。再構成フィルタの出力は、ノード466において与えられる。図4Cに示されている回路のゲインは、フィードバック抵抗459とサンプリング・コンデンサ456のサイズとに依存する。DACのクロックに対するスイッチのタイミングは、図4Bに示されたものと同じである。
【0036】
図4は、別の実施例を図解しているブロック図であり、この場合は、フィードバック抵抗が、DACの出力をサンプリングするのに用いられる切換型コンデンサ・ネットワークを反射する切換型コンデンサ・ネットワークによって置き換えられている。フィードバック抵抗の代わりに、バイクオッド458のフィードバック・ループは、第1のフィードバック・スイッチ460と第2のフィードバック・スイッチ462とを含み、更に、サンプリング・コンデンサ456とサイズが同じフィードバック・コンデンサ464を含む。再構成フィルタの出力は、ノード466において与えられる。また、DACのクロックに対するスイッチのタイミングは、図4Bに示されたものと同じである。
【0037】
図4Cに示されている再構成フィルタの出力は、次の数式4によって記述される。
【0038】
【数4】
【0039】
より一般的な実施例では、H(jω)は、フィードバック・スイッチがそれを回るように配置されている構造の伝達関数である。切換型コンデンサのフィードバック・ループが図4Dに示されているように用いられるときには、再構成フィルタのゲインは、製造プロセスにおける変動にも拘わらず、一定に維持される。入力サンプリング回路における変動が、フィードバック・ループにおいて複製されるのである。
【0040】
以上で述べた実施例では、再構成フィルタは、1つの増幅器又は2つの増幅器からなる構造を有しているものとして示されている。他の実施例では、再構成フィルタは、複数の増幅器と複数の回路とからなるより複雑な構成を有している。しかし、図示されている再構成フィルタを考察するには、切換型コンデンサ入力回路の長所を示せばそれで十分である。ここで与えられている例は、本発明を理解するという目的のためのものであって、制限的であると考えるべきではない。
【0041】
再構成フィルタにおいて用いられる1つ又は複数の増幅器を選択する際には、その増幅器のDCゲインが低いバイアスでも、大きなゲイン帯域幅積(gain bandwidth product)を有する増幅器を選択することができる。一般に、高いDCゲインを有する増幅器は、安定性に関する理由から、より低いゲイン帯域幅を有する傾向があり、帯域幅は、ゲインが増加するよりも速く減少する。これは、図5に図解されている。図5は、大きなDCゲインを有する増幅器に対するボーデ・プロット(Bode plot)500を図解している。また、ゲインがより小さく、しかし、プロット500によって記述される増幅器よりは大きなゲイン帯域幅を有する増幅器に対するプロット502も示されている。この再構成フィルタでは、DCゲインは、連続時間ゲインの精度要件(典型的には、0.1%)が満たされれる限度まで、ゲイン帯域幅を増加させるために、減少させることができる。
【0042】
本発明のある実施例では、900MHzから1.2GHzまでのゲイン帯域幅積を有する増幅器が用いられる。連続時間精度要件が満たされる限り、DCゲインの減少は、問題にならない。しかし、ゲイン帯域幅が増加すると、入力スイッチが閉じているときの電荷移動のインパルス状の振る舞いが向上し、これは、本出願にとっては重要である。
【0043】
図6Aないし図6Cは、本発明がドループ・フリー構造を実現する方法を図解しているグラフである。図6Aでは、DACの出力スペクトルが、ゼロ・オーダー保持信号の固有のドループと共に、示されている。図6Bは、入力スイッチを介して再構成フィルタに与えられる電流のスペクトルを示しており、ドループが除去されたことが示されている。最後に、図6Cは、再構成フィルタの出力を図解しているが、ローパス・フィルタを通過し、望まないより周波数の高いイメージが除去されたものである。この出力は、明らかにドループ・フリーであり、再サンプリング・プロセスによって、出力信号におけるスルーイングやグリッチングは、それらがどのような形態でものであってもすべて除去されている。
【0044】
以上で、ADSLラインの変調のためにDACの出力を再構成し、ドループ、グリッチング及びスルーイングが原因で生じる問題を除去するシステムが開示された。開示されているシステムはADSL信号を出力しADSLラインを変調するのに用いられるが、サンプリングされた入力方式は、他の応用例においてDACからの信号を再構成するのにも有用であることを認識してほしい。更に、再構成フィルタの増幅器のフィードバック・ループにおける入力サンプリング回路の再生は、再構成フィルタのゲイン公差が厳格であるような他の応用例でも有用であろう。
【0045】
ここで説明されたシステムは特にADSLライン上を送られるデータ信号を発生する目的で用いられているが、再構成フィルタからデジタル・アナログ・コンバータへの結合に関する開示されている方法は、デジタル・アナログ・コンバータが出力を駆動する信号を発生するのに用いられるような他の場合にも応用できることを理解すべきである。
【0046】
以上では本発明を明瞭な理解を目的として詳細にわたって説明したが、冒頭の特許請求の範囲によって決定される範囲内で変更や修正が可能であることは明らかであろう。本発明のプロセス及び装置を共に実現する方法は他にも多くあることに注意すべきである。従って、ここで説明した実施例は、例示的であって限定的ではなく、本発明は、ここで与えた詳細には限定されず、冒頭の特許請求の範囲による範囲及び均等に含まれるように修正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1A及び図1Bから構成される。図1Aは、ADSLシステムのアーキテクチャを図解している。図1Bは、ADSLシステムの伝送経路を図解するブロック図である。
【図2】典型的な再構成フィルタの基本構造を図解するブロック図である。
【図3】図3A、図3B及び図3Cから構成される。図3Aは、理想化されたDAC出力を図解するグラフである。図3Bは、スルーイング及びグリッチングを含むゼロ・オーダー保持信号を図解する実際のDAC出力を図解するグラフである。図3Cは、再サンプリングされた後のDACの出力のプロットである。
【図4】図4A、図4B、図4C及び図4Dから構成される。図4Aは、DACの出力をサンプリングする再構成フィルタのブロック図である。図4Bは、サンプリング・スイッチ、入力スイッチ及びDACの間のタイミング関係を図解するタイミング図である。図4Cは、切換型コンデンサ入力技術を用いたいくぶん複雑な再構成フィルタを図解するブロック図である。図4Dは、別の実施例を図解するブロック図であり、フィードバック抵抗の代わりに、DACの出力をサンプリングするのに用いられる切換型コンデンサ・ネットワークを反射する切換型コンデンサ・ネットワークが用いられている。
【図5】大きなDCゲインを有する増幅器に対するボーデ・プロット500を図解している。
【図6】図6A、図6B及び図6Cから構成される。これらは、本発明がドループ・フリーな構造を実現する方法を図解するグラフである。
Claims (13)
- ADSL伝送システムであって、
DMT変調されたデジタル出力を発生するデジタルDMT発生変調回路と、
前記DMT変調されたデジタル出力をDMTアナログ信号に変換するデジタル・アナログ・コンバータと、
前記DMTアナログ信号をサンプリングして、パルス化された出力信号を出力する離散的パルス発生回路と、
前記離散的パルス発生回路の出力に結合された入力を有し、パルス化され増幅された出力信号を出力する増幅器であって、入力と出力との間にフィードバック・ループを含む増幅器と、
前記パルス化され増幅された出力信号によって駆動される再構成フィルタであって、ADSL通信回線を駆動するのに適切な回線駆動信号を出力する再構成フィルタと、
を備えていることにより、前記デジタル・アナログ・コンバータにおける欠陥が原因で生じるひずみを減少させる回線駆動信号が生じることを特徴とするADSL伝送システム。 - 請求項1記載のADSL伝送システムにおいて、前記離散的パルス発生回路は、前記DMTアナログ信号が実質的に安定した値にとどまる時点で前記DMTアナログ信号をサンプリングすることを特徴とするADSL伝送システム。
- 請求項1記載のADSL伝送システムにおいて、前記DMTアナログ信号をサンプリングする前記離散的パルス発生回路は、前記増幅器の入力に接続された入力切換型コンデンサを含むことを特徴とするADSL伝送システム。
- 請求項3記載のADSL伝送システムにおいて、前記入力切換型コンデンサは、前記デジタル・アナログ・コンバータの出力によって充電され、前記増幅器の入力に放電されることを特徴とするADSL伝送システム。
- 請求項3記載のADSL伝送システムにおいて、前記フィードバック・ループは、前記入力切換型コンデンサと実質的に同一であるフィードバック切換型コンデンサを含むことを特徴とするADSL伝送システム。
- 請求項3記載のADSL伝送システムにおいて、前記増幅器は、900MHzから1.2GHzまでの間のゲイン帯域幅積を有する演算増幅器を含むことを特徴とするADSL伝送システム。
- DMT信号を用いてADSL通信回線を駆動する方法であって、
DMT変調されたデジタル出力を作成するステップと、
前記DMT変調されたデジタル出力をDMTアナログ信号に変換するステップと、
前記DMTアナログ信号をサンプリングするステップと、
前記サンプリングされたDMTアナログ信号から離散的パルス出力信号を発生するステップと、
前記サンプリングされたDMTアナログ信号を増幅器の入力に与えるステップと、
前記増幅器の出力を前記増幅器の入力にフィードバックするステップと、
前記増幅器の出力を、ADSL通信回線を駆動するのに適した回線駆動信号を出力する再構成フィルタに与えるステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 請求項7記載の方法において、前記DMTアナログ信号は前記DMTアナログ信号が実質的に安定した値にとどまる時点でサンプリングされることを特徴とする方法。
- 請求項7記載の方法において、前記DMTアナログ信号は前記増幅器の入力に接続された入力切換型コンデンサを用いてサンプリングされることを特徴とする方法。
- 請求項9記載の方法において、前記増幅器の出力を前記増幅器の入力にフィードバックする前記ステップは、前記入力切換型コンデンサと実質的に同一であるフィードバック切換型コンデンサを用いるステップを含むことを特徴とする方法。
- 再構成フィルタであって、
デジタル・アナログ・コンバータからの出力信号を受け取るように構成された入力と、
前記デジタル・アナログ・コンバータからの出力信号のサンプルを記憶するように動作する入力サンプリング回路と、
パルスを発生する入力パルス発生回路であって、前記パルスのエネルギは前記デジタル・アナログ・コンバータからの出力信号のサンプルによって決定される、入力パルス発生回路と、
前記パルスを受け取る入力と出力信号を提供する出力とを有する増幅器と、
前記増幅器の出力から前記増幅器の入力へのフィードバック・ループと、
を備えていることにより、前記デジタル・アナログ・コンバータにおける欠陥が原因で生じるひずみを減少させる出力信号が生じることを特徴とする再構成フィルタ。 - 請求項11記載の再構成フィルタにおいて、前記フィードバック・ループは、前記入力サンプリング回路と実質的に同じフィードバック・ループ・サンプリング回路と、前記入力パルス発生回路と実質的に同じフィードバック・ループ・パルス発生回路とを含んでいることを特徴とする再構成フィルタ。
- 請求項11記載の再構成フィルタにおいて、この再構成フィルタは、ADSL通信回線を駆動するのに用いられることを特徴とする再構成フィルタ。
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