JP3553738B2 - 重量物のバランサーとナット吊り上げ支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重量物のバランサーに関し、具体的には、大形ナットの脱着作業の省力化に寄与するナット吊り上げ支持装置であって、主に、火力発電所等において発電タービンを定期的に保守、点検する際に、当該タービンケーシングの上下フランジ部分を連結固定したボルト・ナットの脱着作業時に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、火力発電所等では、過酷な条件下で使用される発電タービンの定期点検を実施しているが、その定期点検に当たっては、発電タービンのタービンケーシングを取り外さねばならない。
タービンケーシングCは、図1〜図4に示すように、ケーシングCの上下フランジ1、2部分を1機当たり40本程度のボルト3と、その上下両端部のネジ山4A、5Aに螺合した上部側ナット4と下部側ナット5により、上下に締め付け固定している。
そこで使用されているボルト3とナット4、5のネジ径としては、4〜8インチ程度の大きさで、ネジ山4A、5Aが40〜50山程度あり、1個当たりのナット4、5の重さも、4インチのもので20kg程度、8インチのもので90kg程度の重さがある。
また、ボルト3の中心には、ボルトヒータの貫通孔6が明けられ、下部側ナット5を締め付ける時や緩める時に加熱伸張できるようにしている。
【0003】
そこで、図1〜図4に示すような、上下連結状態にあるタービンケーシングCの上下フランジ1、2部分における下部側ナット5を取り外すには、ボルト3に貫挿したボルトヒータ(図示せず)により、当該ボルト3を加熱伸張した上で、下部側ナット5の下端外周部の凹凸爪7に、油圧レンチのアダプター(図示せず)を嵌着し、当該油圧レンチを1〜2回転させることにより、先ず、下部側ナット5を緩めた上で、後は、図4に示すように、作業者8が腰を落とした姿勢で、両手で下部側ナット5を廻して緩めることで取り外している。
蓋し、油圧レンチで下部側ナット5が一旦緩められた後は、油圧レンチを使用するより、両手でナットの緩め作業をした方が、緩め作業が格段に早い。
その際、ボルト3下端部のネジ山5Aから下部側ナット5が外れる際には、当該ナット5を足の上や手の上に落下させないように保持しつつ慎重に取り外している。
ところが、ボルト3下端部のネジ山5Aから下部側ナット5が外れる瞬間、当該ナット5の重みを支えきれず、足元に落下させることがあり、また、下部側ナット5を再び取り付ける際に、ボルト3下端部のネジ山5Aにネジを合わせる作業に非常に苦労している。
【0004】
そこで、前記のような問題点を解決するに、図5に示すような手作業治具を使用して下部側ナット5の脱着作業をしている。
この治具の構成は、ボルト3の貫通孔6に貫挿されるチェーン9と、その上端部のハンドル10と、チェーン9下端部の軸杆11に着脱自在に支持される受け板12と、当該受け板12の抜け止めナット13とからなり、ボルト3の貫通孔6にチェーン9を落とし込み貫挿させた上で、チェーン9下端部の軸杆11に受け板12を貫挿した上で、抜け止めナット13を螺合して使用に供される。
この手作業治具を使用するには、図6に示すようにタービンケーシングCのフランジ1、2部分の下側の作業者8が下部側ナット5を緩め操作し、フランジ1、2部分の上に乗った上側の作業者14が、チェーン9上端部のハンドル10を持って引き上げ操作することで、下部側ナット5が外れる瞬間のナットの重みを支えた上で吊り降ろしている。
また、ナット5を再びボルト3下端部に嵌め込む際には、上側の作業者14が下部側ナット5を吊り上げた状態を保持しつつ、下側の作業者8がボルト3のネジ山5Aに下部側ナット5を臨ませて嵌め込むことで、ナットの脱着作業時における役割分担をしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、タービンケーシングにおけるナットの脱着作業には、少なくとも2名の作業者を必要とし、また、脱着作業に当たって、下部側ナットを外す時に比して、ナットを再び取り付ける際には、上側の作業者が重いナットを手作業治具により再々に亙って持ち上げることになり、特に、ネジ山が合うまで下部側ナットを引き上げている必要があり、これを1機のタービンケーシング当たり40回程度も繰り返し行うことは大変な作業である。
また、ナットの脱着作業に当たって、上側の作業者と下側の作業者の呼吸が合わないと、下部側ナットを作業者の手や足の上に落下させる危険性がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、前記のようなナット脱着作業時における労力を軽減するために、第1には、支持基盤と天井板に案内支柱の上下両端部を固定し、当該案内支柱に貫挿したスライド部材に被懸垂物を吊り下げる部材を支持し、また、スライド部材にシリンダー支持枠を取り付け、当該シリンダー支持枠に両ロッドタイプのシリンダーを取り付け、当該シリンダーの上部ロッドの上端部を天井板に固定し、また、シリンダーの下部ロッドの下端部を支持基盤に固定したことを特徴とする重量物のバランサーを提供する。
また、第2には、上部側ナットに設置する支持基盤と、当該支持基盤から鉛直に立ち上げた案内支柱と、当該案内支柱に沿って昇降移動するスライド部材と、当該スライド部材に固定したシリンダー支持枠と、当該支持枠に挟着したシリンダーと、当該シリンダーから突出した上下両端部のシリンダーロッドを、天井板と前記支持基盤に固定し、下部側ナットの吊り下げチェーンをスライド部材に軸支した滑車に掛架した上で、その適所を固定し、前記吊り下げチェーンの下端部には、下部側ナットの支持盤を回転自在に支持したことを特徴とするナット吊り上げ支持装置を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図7以降の添付図面に従って説明する。
先ず、脱着対象物である下部側ナット5を吊り上げるため、上部側ナット4に据え付け設置される重量物のバランサーBの構成を説明する。
15はバランサーBの支持基盤であって、その底部には、上部側ナット4の内周面に嵌め込まれる係合凸部16を、円周上に間隔を隔てて突設し、支持基盤15の中央部にはチェーン挿通用通孔17を設けている。
18は支持基盤15に立ち上げた案内支柱であって、図7〜図9に示すように、その下端部を前記通孔17の前後両側位置に間隔を隔てて立設され、当該案内支柱18の上端部を天井板19に固定している。
20は案内支柱18に昇降移動自在に貫挿支持したスライド部材であって、その前部側の内側位置には、滑車21を軸受支持する滑車ホルダー22を張り出し固定し、また、スライド部材20と滑車ホルダー22の後部側には、縦長矩形板状のシリンダー支持枠23を鉛直状態に固定している。
24は両ロッドタイプの空気圧シリンダーであって、その上下両端部をシリンダー支持枠23の上下両端部に張り出した支持板23A、23Bに挟着支持している。25はシリンダー24の上部ロッドであって、その上端部を天井板19に固定している。26はシリンダー24の下部ロッドであって、その下端部を支持基盤15に固定している。
尚、24Aはシリンダー24の上端部の圧力空気の供給口であって、図16に示す空気ホースHが連結される。24Bはシリンダー24の下端部に設けた排気口であって、排気絞り弁(図示せず)が取り付けられる。
27は滑車21に掛架した吊り下げチェーン、28は支持基盤15の端部に固定したチェーン27の抜け止めブロックであって、その上面には、図10に示すようなチェーン係合用凹溝29を形成している。
そこで、チェーン27の適宜の位置を、抜け止めブロック28に形成したチェーン係合用凹溝29に噛み合わせた上で、その上部を押圧盤30で固定することで抜け止め支持すると共に、チェーン27の吊り下げ長さを調整するようにしている。
また、31はチェーン27の下端部に連結した軸杆であって、その下端部には係合溝32が形成され、当該係合溝32に抜け止めナット33が嵌め込まれる。
【0008】
次に、前記のバランサーBによって吊り上げられる、図11と図14〜図17に示す下部側ナット5の支持盤34を説明する。
35は支持盤34の上面外周部に突設した係合爪であって、下部側ナット5の下端外周部の凹凸爪7と噛み合い係合される。
36は支持盤34の中央上方部に突設した筒部であって、その内周部には軸受37を嵌合している。
38は支持盤34の中央底面部に固定したナット部であって、当該ナット部38から軸受37にかけての内周部には、筒軸39を回転自在に嵌挿している。
尚、前記ナット部38には、図16と図17に示すような空気圧駆動するレンチRが着脱自在に係合される。
【0009】
前記したバランサーBを使用して下部側ナット5を取り外すには、先ず、図4に示す程度、即ち、下部側ナット5が外れる直前までは、従前の取り外し方法と同様な手法により下部側ナット5の緩め作業がなされる。
即ち、ボルト3の貫通孔6にボルトヒータ(図示せず)を挿通し、下部側ナット5が螺合したボルト3部分を加熱伸張させた上で、下部側ナット5の下端外周部の凹凸爪7に、油圧レンチのアダプター(図示せず)を嵌着し、当該油圧レンチを1〜2回転させて、下部側ナット5を緩めた上で、後は、図4に示すように、作業者8が腰を落とした姿勢で、両手で下部側ナット5を廻して緩める。
ボルト3下端部のネジ山5Aの残り2〜3山程度に、下部側ナット5が螺合された状態となったところで、本発明のバランサーBがセットされる。
【0010】
そこで、本発明に係るバランサーBにより、下部側ナット5を取り外す手順を、図12以降の添付図面に従って説明する。
先ず、タービンケーシングCの上下フランジ1、2部分を連結するボルト3の貫通孔6に、本発明のバランサーBの支持基盤15から垂れ下げたチェーン27と、その下端部に連結した軸杆31を落とし込んで貫挿した上で、上部側ナット4の上に支持基盤15を据え付け設置することにより、図13に示すように、バランサーBを上部側ナット4の上に鉛直に立ち上げる。
次に、下部側ナット5から飛び出したチェーン27とその軸杆31を、図14に示すように、支持盤34の筒軸39に貫挿した上で、軸杆31の下端部の係合溝に抜け止めナット33を嵌め込む。
これにて、支持盤34は、バランサーBの吊り下げチェーン27により、図15と図16に示すように吊り下げられる。
その後、コンプレッサー(図示せず)からの加圧空気を、空気圧シリンダー24の注入口24Aから当該シリンダー24のピストン上部室へ供給することにより、当該空気圧シリンダー24とシリンダー支持枠23を上昇移動させる。
すると、シリンダー支持枠23に固定したスライド部材20と滑車ホルダー22も、それと同時に案内支柱18にガイドされて上昇移動し、その結果、滑車21に掛架されたチェーン27が引き上げられる。
これにより、下部側ナット5の支持盤34が鉛直上方へ引き上げられ、また、下部側ナット5の下端外周部の係合爪7に、図17に示すように、支持盤34の係合爪35が嵌め込まれて吊り上げ支持される。
後は、支持盤34のナット部38に、図16と図17に示す空気駆動するラチェットレンチRを嵌め込んで回転操作することにより、下部側ナット5が緩められて取り出されることになる。
尚、取り外された下部側ナット5から手を離した時、当該下部側ナット5が図18に示すような宙吊り状態となる程度に、空気圧シリンダー24の加圧力や吊り下げチェーン27の長さが予め設定されている為、作業者の足元に落下することはない。
【0011】
前記とは逆に、タービンケーシングCにおけるボルト3の下端部のネジ山4Aに、再び下部側ナット5を螺合するには、前記と同様に吊り下げチェーン27をボルト3の貫通孔6に落とし込んだ上で、本発明のバランサーBを上部側ナット4の上に立ち上げて設置し、ボルト3の下端部から飛び出したチェーン27とその下端部の軸杆31を下部側ナット5とその支持盤34にかけて貫通し、軸杆31の下端部に抜け止めナット33を嵌め込んで固定する。
次いで、コンプレッサー(図示せず)からの加圧空気を、空気圧シリンダー24の注入口24Aから当該シリンダー24のピストン上部室へ供給することにより、当該空気圧シリンダー24とシリンダー支持枠23が上昇移動する。
それと同時に、シリンダー支持枠23に固定したスライド部材20と滑車ホルダー22も、案内支柱18にガイドされて上昇移動し、その結果、滑車21に掛架されたチェーン27が引き上げられる。
これにより、下部側ナット5の支持盤34が鉛直上方へ引き上げられ、また、下部側ナット5の下端外周部の係合爪7に、図17に示すように、支持盤34の係合爪35が嵌め込まれて吊り上げ支持される。
後は、支持盤34のナット部38に、図16と図17に示す空気駆動するラチェットレンチRを嵌め込んでネジ込み方向へ回転操作することにより、下部側ナット5が締め付けられる。
【0012】
【発明の効果】
本発明は、前記のように、先ず、第1には、支持基盤と天井板に案内支柱の上下両端部を固定し、当該案内支柱に貫挿したスライド部材に重量物を吊り下げる部材を支持し、また、スライド部材にシリンダー支持枠を取り付け、当該シリンダー支持枠に両ロッドタイプのシリンダーを取り付け、当該シリンダーの上部ロッドの上端部を天井板に固定し、また、シリンダーの下部ロッドの下端部を支持基盤に固定してなる重量物のバランサーを提供したので、従来のように上部側の作業者が脱着される重量物を人為的に持ち上げる必要性がなくなり、作業の省力化と合理化に寄与する。
また、第2には、上部側ナットに設置する支持基盤と、当該支持基盤から鉛直に立ち上げた案内支柱と、当該案内支柱に沿って昇降移動するスライド部材と、当該スライド部材に固定したシリンダー支持枠と、当該支持枠に挟着したシリンダーと、当該シリンダーから突出した上下両端部のシリンダーロッドを、天井板と前記支持基盤に固定し、下部側ナットの吊り下げチェーンをスライド部材に軸支した滑車に掛架した上で、その適所を固定し、前記吊り下げチェーンの下端部には、下部側ナットの支持盤を回転自在に支持してなるナット吊り上げ支持装置を提供したので、発電所におけるタービンケーシングを固定する大形ナットの脱着作業時における労力を著しく軽減する。
その際、下部側ナットの支持盤を回転自在にしているので、ナット脱着時に吊り下げチェーンが捻られることなく脱着作業できる等の諸効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】上下フランジ部分をボルト・ナットで連結したタービンケーシングを示す斜視図である。
【図2】両端部にネジ山を形成したボルトと、そのネジ山に螺合されるナットを示す図である。
【図3】タービンケーシングの上下フランジ部分をボルト・ナットで連結した状態を示す断面図である。
【図4】油圧レンチで緩めた後の下部側ナットを、手作業で緩めている状況を示す図である。
【図5】下部側ナットの脱着作業時に使用される手作業治具を示す図である。
【図6】手作業治具を使用して下部側ナットを脱着作業している状況を示す図である。
【図7】本発明に係るバランサーの正面図である。
【図8】バランサーの要部を示す拡大図である。
【図9】バランサーの要部を示す側面図である。
【図10】チェーンの固定ブロックを示す図である。
【図11】下部側ナットの支持盤を示す断面図である。
【図12】ボルトの貫通孔にバランサーのチェーンと軸杆を臨ませる状態を示す図である。
【図13】上部側ナットにバランサーをセットした状態を示す図である。
【図14】バランサーのチェーンと軸杆に下部側ナットの支持盤を貫挿した状態を示す図である。
【図15】バランサーに吊り下げた下部側ナットの支持盤を示す図である。
【図16】バランサーをセットした状態を示す図である。
【図17】下部側ナットに嵌め込まれた支持盤を示す図である。
【図18】宙吊り状態となった下部側ナットを示す図である。
【符号の説明】
B バランサー
C タービンケーシング
1、2 フランジ
3 ボルト
4、5 ナット
4A、5A ネジ山
6 貫通孔
7 凹凸爪
8、14 作業者
9 チェーン
10 ハンドル
11 軸杆
12 受け板
13 抜け止めナット
15 支持基盤
16 係合凸部
17 チェーン挿通用通孔
18 案内支柱
19 天井板
20 スライド部材
21 滑車
22 滑車ホルダー
23 シリンダー支持枠
23A、23B 支持板
24 シリンダー
25 上部ロッド
26 下部ロッド
27 チェーン
28 抜け止めブロック
29 チェーン溝
30 押圧盤
31 軸杆
32 係合溝
33 抜け止めナット
34 支持盤
35 係合爪
36 筒部
37 軸受
38 ナット部
39 筒軸
Claims (2)
- 支持基盤と天井板に案内支柱の上下両端部を固定し、当該案内支柱に貫挿したスライド部材に重量物を吊り下げる部材を支持し、また、スライド部材にシリンダー支持枠を取り付け、当該シリンダー支持枠に両ロッドタイプのシリンダーを取り付け、当該シリンダーの上部ロッドの上端部を天井板に固定し、また、シリンダーの下部ロッドの下端部を支持基盤に固定したことを特徴とする重量物のバランサー。
- 上部側ナットに設置する支持基盤と、当該支持基盤から鉛直に立ち上げた案内支柱と、当該案内支柱に沿って昇降移動するスライド部材と、当該スライド部材に固定したシリンダー支持枠と、当該支持枠に挟着したシリンダーと、当該シリンダーから突出した上下両端部のシリンダーロッドを、天井板と前記支持基盤に固定し、下部側ナットの吊り下げチェーンをスライド部材に軸支した滑車に掛架した上で、その適所を固定し、前記吊り下げチェーンの下端部には、下部側ナットの支持盤を回転自在に支持したことを特徴とするナット吊り上げ支持装置。
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