JP3554329B2 - 改良型パルス放電システム - Google Patents

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Description

〔発明の背景〕
この発明の放電システムは一対の電極を用いており、ここでの実施例においてはこの電極の間のギャップを横切るようにスパークを発生する。スパークは繰り返し形成されることが好ましい。二極性あるいは単極性の放電を使用することができる。スパーク電極の間には不活性ガスが流される。スパークはここで説明されているようにして放出され、利用されるフォトンを発生する。別の側面においては、スパークギャップにおいて粒子は帯電すなわち励起される。励起された粒子は引き続いてエネルギを放出する。好ましい不活性ガスは微量の(トレース)不活性ガスを含むヘリウムである。フォトンの放出あるいはエネルギの損失はガスクロマトグラフィカラム(以下GCと記す)の溶離ピークを一般的なGC源に対して同定及び測定するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
図1は、GCカラムピークを調べるための、ヘリウムを利用したスパーク駆動システムの断面図である。このシステムでは出力信号はリング形状の電極によって形成される。
図2は、バイアス電圧が加えられているリング形状の三つの電極を用いた別の実施例を示している。この実施例では、微量ガスが入れられる。
図3は、対向する電極の下流に設けられたサンプル入力と、決められた電圧が加えられている一連の互いに離間された電極を用いている別の構造を示している。
図4は、パルスを形成するためのコイル充電回路のタイミングシーケンスを示すタイミングチャートである。
図5は、ヘリウムに希ガスの不活性ガスが混合されている別の実施例を示している。
図6は、放射エネルギ及びイオン化ポテンシャルを示している。
図7は、分析のために希ガスが備えられているいくつかの検出チャンバを示している。
図8は別のシステムであり、ヘリウムに添加されるドーパントを示している。
図9A及び図9Bは、サンプルを同定するためのいくつかの比測定結果を示す図である。
図10は、別の実施例であり、円環状のフローを利用した丸いチャンバを示している。
図11は、図10の丸いチャンバ及びこのチャンバ内の電極を示す分解図である。
図12は、丸いチャンバの側面図である。
図13は、空気分析器を示している。
〔好ましい実施例の詳細な説明〕
図1において、検出器10はヘリウム供給源12から供給されるヘリウムを使用している。ヘリウムは大気圧よりも高い圧力に調節されており、右から左へ流れる。GCカラム14は溶剤や溶離された(eluted)サンプルを流す。GCカラム14はサンプルチューブ16へ接続されている。サンプルチューブ16はクランプ及び調節機構18によって所望の位置へ移動され、クランプされる。電源20はパルス形成回路22へ電流を供給する。インバータ24は正と負のパルスを交互に形成する。導体26,28は時間ベースレコーダ32へ接続された差動増幅器からなる電位計30への入力である。
検出器10は細長い円筒状のスリーブ36の周囲に配置された細長い円筒状のハウジング34を有している。スリーブ36は通路38の周囲に配置されている。通路38は電極40,42の間に設けられている。
ハウジング34はヘリウム供給源12へ接続されたフィッティング44を支持している。リング48はスリーブ36をシールしている。横方向に設けられたウェブ50は中央に開口部52を有している。開口部52は円筒状のスペーサ54,56,58に対して位置合わせされている。円環状の電極60は通路64のまわりで完全な円を形成している。通路64の表面において、露出された金属リングからなる電極66が円環状の電極60へ連結されている。別の円環状の電極62は電極66よりも広く形成されている。サンプルチューブ16を左あるいは右へ軸方向に移動することによって、電位計30における電流を変えるようになっている。サンプルチューブ16は端部フィッティング70のネジ部が設けられたディテール(detail)68の中に挿入されている。チューブのクランプ及び調節装置18がサンプルチューブ16を出したり入れたりして、感度や特性を変えるようになっている。電極62,66は調節可能なバイアスを有している。通路38,64を通過する放出フォトンが相互に作用して、電極62,66に流れるサンプル材料クリエートオーム(creatomh)電流に応じて、荷電粒子が形成されるか又は中和される。
(大気圧よりも若干高い圧力の)ヘリウムが、1分当り約20−120ミリリットルの流量あるいはサンプルチューブ16からの流れよりも10倍から30倍大きい流量で流れる。高い温度によってサンプルは揮発状態に維持される。スパークのデューティーサイクルは図4に示されている。1秒当り1000パルスでは、一つのパルスは10マイクロ秒又はそれ以下である。
図2
電子捕獲デバイス(ECD)110は細長い円筒状のハウジング112を有している。ハウジング112は通路116を形成する円筒状部材114の周囲に配置されている。ヘリウム供給源118はフィッティング122のディテール120へ接続されている。離間された状態で設けられた電極124,126の末端部は金属ロッドの平行な端面を形成している。金属ロッドは約1.59mm(1/16インチ)の直径を有しており、通路116を介して約1.59mm(1/16インチ)離間されている。約0.3mmのもっと小さな直径を使用することも可能である。ガス流を横切る鋭い先端を有するもっと大きな電極でもよい。
通路128はスペーサーリング130によって形成されている。同じような四つのリングが露出したリング134を有する三つのリング132によって分離されている。リング134はECDを動作させるための第1、第2及び第3の電極である。第1のリングは−50から−250VDCの間であり、−100VDCが最適である。次のリングのバイアスは約−5VDCである。三番目のリングは浮かせてある。最後の二つのリングは電位計136へ接続されていて電流を測定するようになっており、この電流は時間ベースレコーダ138へ出力される。
第1及び第2の注入チューブが同心状に配置されており、軸方向に移動される。小さい方のチューブ140は一定の流量の微量ガス144を流す。これと同心状に配置された第2のチューブ142はGCカラム148へ接続されている。チューブ140,142はECDの中を移動され、ロック装置150,152が指定された位置にチューブをロックする。矢印はチューブの移動を示している。ドーパントガスとGCガスの流出物(effluent)はより大きなヘリウムの流れによって電位計電極を通過して左の方へ流されて信号を形成する。
図3
検出器システム220はヘリウムと約0.3%のアルゴンを供給するキャリヤーガス供給源212を利用している。キャリヤーガスが流入するポート218は右側の端部キャップ222へ連結されており、その反対側には左側の端部キャップ223が設けられている。これらの端部キャップはチューブ221を塞いでいる。
二つの電極231,232の互いに対向する平行な面の間にはスパークギャップ230が形成される。電極231,232には高電圧パルスが供給される。サンプルガス供給源229から供給されるサンプルガスはポート235においてチューブ221の中へGCカラムなどから注入される。下流には金属リングからなる露出した一連の電極226がチューブ221に沿って離間した状態で配置されている。中間の電極226は電圧降下を行うための直列抵抗233へ接続されている。リング227は電位計228へ接続されている。
電極226は直列抵抗233へ接続されている。B+電源234の(正あるいは負の)電圧によって、所望の荷電粒子が引き付けられる。B+電圧はパルス化されており、タイマ216によって制御され、直列抵抗233によって比例配分される。ポート236はポート218と位置合わせされている。ポート218はスパークが形成されているときには観察用のポートにもなる。フォトンは外部のスペクトラムアナライザ240へ入射する。スペクトラムアナライザ240の出力はレコーダ241へ接続されている。充電回路242は高圧放電回路243へ接続されており、発火のためのタイミングパルスを発生する。
図4において、一番上の曲線は高圧放電回路243に対する充電用パルス244を示している。この回路は持続時間の短いパルスからなる出力248を発生する。検出は指定された遅れ時間252だけ遅らされ、そこで検出を可能にするパルス250が発生される。
微量のアルゴンを含んだヘリウムがスパークギャップ230の中に流入し、そこでイオンと原子が励起される。アルゴンの共鳴ラインは104.8nmと106.6nmにあり、これに対応するエネルギは11.62eV及び11.83eVである。スパークギャップ230からの励起アルゴン(Ar )と、ポート235からのサンプル化合物ABは混合される。可能性のあるイオン化反応は、
(1)Ar +AB=AB++e-+Ar
(2)Ar +AB=A+B++e-+Ar
(3)Ar +AB=AB +Ar
ここに、AB =AB+hγ
(4)Ar +AB=A+B +Ar
ここに、B =B+hγ
(5)Ar →Ar+hγ(11.62、11.83eV)
hγ+AB→AB+e-
である。ここで、e-は自由電子を表し、 は励起状態を表し、hγはスペクトル放出を表している。式(3)及び(4)の反応は、同定及び定量のための特性放射スペクトル信号を形成する。式(1)及び(2)の反応は自由電子を発生し、この自由電子は電位計228によって測定される。測定される電流は化合物ABの濃度が増大するにつれて大きくなる。
11.83eV以上のイオン化ポテンシャルを有する化合物は、11.62eVと11.83eVにおけるAr 放射によってイオン化はしない。空気の主要な成分は、窒素(15.6eV)、酸素(12.08eV)、水(12.6eV)及び二酸化炭素(13.8eV)である。従って、空気はイオン化されず、11.83eV以下のイオン化ポテンシャルを有する不純物(汚染物質)がイオン化される。
図5
NO2を製造するプラントにおいて不要な汚染物質(BF3)のモニタを行うときに、NO2をイオン化せずに不純物BF3を選択的にイオン化することは不可能である。空気の大気サンプル(窒素、酸素、水及び二酸化炭素)は、空気の成分からの放射による試験をマスクするかもしれない。1%以下の微量の希ガスを含むヘリウムの選択的イオン化によって、準安定状態のヘリウムからなる比較的ゆっくりとした拡散流が形成され、この準安定状態のヘリウムはドーパントである希ガスのアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)又はネオン(Ne)を励起する。ヘリウム−アルゴンガスの放射は104.8及び106.6nmに共鳴ラインを有する。従って、アルゴンの放射によって空気はイオン化されることはなく、一方11.8eV以下のイオン化ポテンシャルを有する不純物はイオン化される。ヘリウム−キセノンガスは9.57eVの共鳴エネルギを有し、これは小さなイオン化ポテンシャルを有する化合物を選択的にイオン化する。同様に、ヘリウム−クリプトンは10.64及び10.03eVの共鳴エネルギを生じる。ヘリウム−ネオン混合物は10.97の共鳴エネルギを発生する。NO2のイオン化ポテンシャルがキセノンの共鳴以上であり、かつBF3のイオン化ポテンシャルがそれ以下であることから、NO2中にBF3が混合された混合物に対してはヘリウム−キセノンガスが理想的である。BF3は選択的にイオン化され、一方、NO2はイオン化されない。
図5を参照するとわかるように、パルス捕獲検出器(PCD)は円筒状部材314の周囲に円筒状のハウジング312を有している。大気圧よりも若干高い圧力のヘリウムがバルブ319とレギュレータ321を介して供給源318から通路316によって供給される。ヘリウムはフィッティング322のディテール320へねじ込まれているマニホールド323の中へ流れる。ドーパントのNe、Xe、Kr及びArに対するタンク350,352,354,356が、バルブ360,362,364,366と、圧力レギュレータ370,372,374,376を介して連結されている。バルブ319及び選択されたソレノイドバルブによって、ヘリウムと希ガスのNe、Xe、Kr又はArとがマニホールド323において混合される。このガスは電極324,326の間をスパークギャップ325を横切って流れ、DCパルス回路327によって形成されるスパークにさらされる。
通路316は、下流において、より寸法の大きい軸方向の中空の通路328へ連結されている。通路328に沿ってはリング334,335が軸方向に配置されている。リング334はバイアス電圧が加えられており、電位計336に対する第1の端子として機能する。バイアス電圧は−50VDCから−400VDCであり、例えば−200VDCである。リング335は、励起されたドーパントによる微量化合物のイオン化によって発生する電流を測定するための電位計336に対する第2の端子である。レコーダ338は微量化合物を測定するイオン化電流を記録する。注入チューブ340はGCカラム348から供給されるサンプルガスを流すためのものである。注入チューブ340はアウトレット344の中の中央に共軸に配置されている。アウトレット344はフィッティング322と同様のフィッティング342を介して通路328と連結されている。フィッティング342の中央には、より寸法の小さいフィッティング346が配置されている。
ドープされたキャリヤーガスは上から下の方へ流れる。一方、GCカラム348からのサンプルガスは注入チューブ340を介して流入する。サンプルガスと(ドーパントを含んだ)キャリヤーガスは混合される。微量化合物はイオン化され、電位計336によってその濃度が測定される。キャリヤーガスの流れはサンプルの流れよりもかなり大きい。混合し反応したサンプルガス及びキャリヤーガスはアウトレット344を介して排気される。
ヘリウム及びドーパントはフィッティング320を介してPCDの中に流入し、スパークギャップ325の中へ流入し、そこで励起状態のイオンと原子が形成される。ドーパント“D"は励起されてフォトンを放出する。アルゴンを例にすると、放射は104.8nm及び106.6nmの共鳴ラインを形成する。これらは11.62eV及び11.83eVにそれぞれ対応する。D ガスを含んでいるヘリウムガスは、注入チューブ340からの化合物ABと混合する。D は化合物の近傍でフォトンhγDを放出する。反応は、
(6)D =D+hγD
(7)hγD+AB=AB++e-+D
(8)hγD+AB=A+B++e-+D
(9)hγD+AB=AB +D
ここに、AB =AB+hγ
(10)hγD+AB=A+B +D
ここに、B =B+hγ
である。ここで、hγDは励起されたドーパントD のフォトン放出を表している。式(9)と(10)の反応は特有の特性放射スペクトルを発生し、同定と定量を可能にする。式(7)と(8)によって自由電子が形成される反応を記述しており、この自由電子は電位計336によって測定される。この電子の流れによって化合物ABの濃度が測られる。
この発明は、ドーパントDを選択することによって、サンプルガスの成分の選択的なイオン化を可能にする。仮にD=Ar及びD =Ar であれば、Ar の放射はhγAr=11.62eV及び11.83eVであり、11.83eV以上のイオン化ポテンシャルを有する化合物をイオン化することはないであろう。空気はAr 源によってイオン化されず、一方、11.83eV以下のイオン化ポテンシャルを有する空気不純物はイオン化される。一つの例は、四塩化炭素(CCl4)などの不純物を有する空気である。別の例は、BF3を不純物として含むNO2である。仮にD=Xeとすれば、Xeは9.57eVに共鳴エネルギを有する。NO2のイオン化ポテンシャルは9.75eVであり、これはKrの共鳴エネルギよりも高い。一方、BF3のイオン化ポテンシャルは9.25eVであり、これはXeの共鳴よりも低い。NO2中のBF3は選択的にイオン化され、一方NO2はイオン化されない。電位計338はBF3の微量濃度を測定する。Ar、Kr及びNeはドーパントとしてふさわしくない。なぜなら、共鳴エネルギがNO2のイオン化ポテンシャルよりも大きく、従って、BF3とともにNO2もこれらのドーパントによってイオン化されてしまうからである。
通路328の中において、励起されたドーパントからの放射はアナライト(analyte)によって吸収される。選択されたドーパントの共鳴エネルギよりも小さなイオン化ポテンシャルを有する成分が、収集用電極であるリング335によって検出され電位計336によって測定される電流である。
図6は選択的イオン化の概念を示している。軸380はエレクトロンボルト(eV)で表したドーパントの放射hγDを表している。ライン382は11.62eV及び11.83eVにおけるArの放射である。ライン386はNeからの10.97eVの放射を表しており、ライン388はXeからの9.57eVの放射を表している。最後に、ライン384はKrからの10.03eV及び10.64eVの放射である。イオン化ポテンシャルは軸390に描かれている。ライン392,394,396,398は空気の成分であるO、H2、O、CO2及びNのイオン化ポテンシャルをそれぞれ表している。CCl4のイオン化ポテンシャル393は11.47eVである。395及び397はそれぞれNO2とBF3のポテンシャルである。
ドーパントのフォトン放射hγDに対して、hγDの高エネルギ側に(すなわち、図6の放射ラインの右側に)位置する元素あるいは化合物はイオン化され、hγDの低エネルギ側に(すなわち放射ラインの左側に)位置する元素あるいは化合物はイオン化されない。ドーパントガスは二つの基準に基づいて選択される。二つの基準とは、(1)測定しようとする化合物のイオン化ポテンシャルと、(2)対象とする化合物の測定において、測定が行われず”雑音”を発生する他の成分のイオン化ポテンシャルである。
動作時には、ソレノイドバルブによって、選択したドーパントがこの選択されたドーパントガスのタンクからキャリヤーガスの中へ導入される。仮にXeがドーパントであるとすると、バルブ362によって、キセノンが圧力レギュレータ372を介してタンク352からマニホールド323へ流される。
図7
四つの検出器チャンバ451,453,455,457は、GC導管472からバルブ470へ流れるGCカラム448の流れを受け入れる。バルブ470はこの流れを四つの部分に”分割”している。導管440が四つの検出器チャンバ451,453,455,457へ接続されている。検出器チャンバの中には四つの異なるキャリヤーガス供給源450,452,454,456が流入する。ガスの成分は励起され、サンプルガスを分割したものと混ざり合う。励起されたキャリヤーガスはサンプルをイオン化し、イオン化電流を発生する。キャリヤーガスとサンプルガスの混合物は各チャンバからポート444を介して排気される。検出器チャンバ451,453,455,457で発生するイオン化電流はコンピュータ460へ送られる。コンピュータ460において処理された測定結果によって、サンプルガスの同定が行われ、濃度が算出される。コンピュータからの結果はレコーダ438へ送られる。検出器の数は変えてもよい。非常に多数の異なる化合物を分析するときには、もっと多くの検出器を使用して精度を向上させてもよい。
図8
パルス放電光イオン化捕獲検出器(PDPID)は円筒状の長いハウジング512を有している。ハウジング512は円筒状部材514を収容しており、円筒状部材514は軸方向の通路516を有する。ヘリウム供給源518は、バルブ519及びレギュレータ521を介して、大気圧よりも若干高い圧力でヘリウムを供給する。マニホールド523はフィッティング520を介してPDPIDのハウジング512のフィッティング522へ連結されている。ドーパント貯蔵容器566はバルブ564と圧力レギュレータ562を介してマニホールド523へ連結されている。バルブ519,564を開けることによって、ヘリウム及びドーパントガスがマニホールド523へ流れ、軸方向の通路516の中、及び電極524,526の間へ流れる。
電極524,526は約1.59mm(1/16インチ)であり、その端面は通路516を介して約1.59mm(1/16インチ)離間されている。電極524,526はPDPIDから電気的に絶縁されている。電極526はアース接地されており、一方、電極524にはDC電源527によって持続時間の短い高電圧パルスが加えられている。二つの電極524,526は、明確に固定された(sharply fixed)狭い領域に束縛されたスパークを形成する。従って、スパークは二つの電極の表面のまわりで踊るようなことはなく、まっすぐなラインのままである。
キャリヤーガスは上から下の方へとPDPIDの中へ導かれる。GCカラム548からのサンプルガスは注入チューブ540を介して通路528の中へ入る。その結果、サンプルガスとスパークによって励起されたキャリヤーガスとが混合される。化合物はイオン化されて、露出されたリング534,535の間にサンプル及び濃度を表す応答を発生する。この応答は電位計536へ入力される。混ざり合って反応を起こしたあと、サンプルガスとキャリヤーガスの混合物はPDPIDの通路528からはきだされ、アウトレット544を介して排気される。アウトレット544は端部キャップ542のフィッティング546の中に支持されている。GCガスはリング535から流入する。
ヘリウム及びドーパントガスはフィッティング520を介してPDPIDの中へ流入し、スパークギャップ525の中へ流入する。そして、そこでイオンと原子は励起した状態になる。ドーパント"D"は励起される。励起されたドーパントはスパークギャップ525から、通路516を介してPDPIDの通路528の中へ流入する。励起された状態のドーパントDはフォトンを放出する。ドーパントの例としてアルゴンを用いたとき、104.8nm及び106.6nmにおける放射の共鳴ラインはそれぞれ11.83eV及び11.62eVのエネルギを有している。ドーパントDをヘリウムと混合し、ガスをスパークギャップ525で励起することによって、励起されたドーパントD が形成される。D は励起のあと約5マイクロ秒で減衰する。減衰によって生じるいくつかのフォトンは通路516を通って通路528の中へ入る。サンプルABは通路528の中へ注入され、D の減衰によって生じたフォトンhγDにさらされる。キャリヤーガスとサンプルガスは上から下の方へとアウトレット544まで流れる。反応は上の式(1)から(10)で表される。
表1はヘリウム、アルゴン及びクリプトンがドープされたヘリウムからの放射スペクトルを要約したものである。他のガス混合物を使用することもでき、そのデータはここに挙げられている例を基本的に支持する。
Figure 0003554329
サンプルガスは大抵は分割され、複数の検出器へ流される。キャリヤーガスとしてヘリウムを用いたときの電位計の出力電流CHeが測定され、コンピュータ560の中へ蓄積される。第2及び第3の検出器からの電位計の出力電流CHe+Ar、CHe+Krもそれぞれ同時に測定され、同じようにしてコンピュータ560の中に蓄積される。
比、
(11)R'Ar=CHe+Ar/CHe
及び
(12)R'Kr=CHe+Kr/CHe
を計算する。システムはまず、既知の量のベンゼンからなっている校正ガスを用いて比R'Ar及びR'Krを測定することによって”校正される”。他のすべての成分はキャリヤーガスの最も高い放射レベルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有しており、従って検出器の電位計の電流の値には寄与しない。ベンゼンガスに対して式(11)及び(12)で定義される比は、それぞれR"Ar及びR"Krである。未知のサンプルを用いて測定した比を、100のベンゼンに対する対応する測定値によって規格化したものを、式
(13)RAr=100(R'Ar/R"Ar
及び
(14)RKr=100(R'Kr/R"Kr
から計算する。
表2は選ばれたいくつかの化合物に対する規格化された比RKr及びRArを示している。この表は単に説明のためのものである。未知のサンプルガスのRArに対する測定値が77.8+/−0.8であるとすると、指定された不確定性はランダム誤差によるものである。表2において、化合物C3H7NO2(RAr=78.3)及びCH3CHO(RAr=77.9)、及び1−ペンテン(RAr=77.6)はすべて+/−0.8の不確定性の範囲内にある。二つの検出器しか用いないときには、イオン化検出測定からは、未知の化合物を唯一の形で同定することはできない。RKrが37.4+/−0.4であると仮定する。表2で、1−ペンテンのみがRArとRKrの両方の範囲内にある。なぜなら、C3H7NO2及びCH3CHOに対して表に示されている値はそれぞれ0.74及び43.4だからである。従って、未知の化合物は1−ペンテンと同定される。1−ペンテンの濃度は、1−ペンテンを含む校正ガスで標準化されたCArあるいはCKrから得られる。
計算はコンピュータ560によってリアルタイムで行われる。同定分析は図9Aのグラフで描かれている。RArは軸584の上にプロットされており、RKrは軸582の上にプロットされている。各値に対して予想されるシステム不確定性を与えた1−ペンテン、C3H7NO2及びCH3CHOに対する対応する”座標”を表2から取り、それぞれ円572,574,570で描いている。RAr及びRKrを不確定性を表す円の中にプロットすると、未知の化合物が同定される。前述した例において、RAr及びRKrの測定値は円572の中にプロットされ、従って未知の化合物は1−ペンテンと同定される。
Figure 0003554329
二番目の例として、RArの測定結果が76.8+/−1.0であり、RKrの測定結果が36.0+/−2.0であると仮定する。説明のための不確定性は通常よりも大きい。表2から、未知の化合物が1−ペンテンであるか、2−メチル−1−ペンテンであるかを特定することは不可能である。なぜなら、両方とも不確定性の範囲内に入っているからである。ガスドーパントを有する別の検出器を追加して、"RX"で表されたこの検出器からの規格化された比を、問題となっている二つの化合物の間に図示すると役に立つ。四つの検出器(三つの比が得られる)を用いたデータが図9Bにグラフ化されている。1−ペンテン及び2−メチル−1−ペンテンを表す座標がそれぞれ592,590によって表されている。グラフにおいて、システムの不確定性は球によって表されている。RKr及びRArは参照番号582,584でそれぞれ表されている軸に沿ってプロットされている。追加した検出器から得られる比RXは、参照番号586によって表された軸に沿って任意単位でプロットされている。(説明のために)1−ペンテン及び2−メチル−1−ペンテンに対するRXに対して仮定した値が、参照番号596,595でそれぞれ示されている。未知のものに対するRAr、RKr、RXの値を各化合物に対する不確定性の球の中にプロットすると、未知の化合物が同定される。このグラフでの考え方は単に説明のためのものであり、容易にコンピュータによる考え方に適応させることができる。
図10
円環状の検出器(circular detection system)620は検出用のバルブ613へ接続されたキャリヤーガス供給源612を用いている。代表的なGCシステムの検出器620は、ローディング用のバルブ613へ連結されたサンプル供給源611を用いている。これらはGCカラム615へキャリヤーガスを供給する。システムのタイマ616が動作を制御する。キャリヤーガスによって供給される化合物はバルブ613を介してGCカラム615へ流れる。検出器内部へは接線方向にインレットポート618が設けられていて、回転運動を維持し、排気ポート619を介して排気を行うようになっている。収集用の電極621は電位計628へ接続されている。電極621には一つのリング電極が接続されており、一方、電極622にはバイアス電極が接続されている。B+電源634は電力を供給する。B+電源634からの出力の一つは、タイマ616と充電回路642へつながっている。充電回路は高圧放電回路643と協働してパルスを出力する。出力されるこのパルスは制御された極性と、制御された幅と、指定された電流を有している。これは、アース端子625の反対側に設けられた第1の端子624へ入力される。端子624及びアース端子625は検出器620の中でDCスパークを形成する。二つの端子の一方は中空であり、ヘリウム供給源626からヘリウムを供給するようになっている。
窓627はスパークから放射される光を通過させ、この光をスペクトラムアナライザ640によって観測できるようにしている。スペクトラムアナライザ640はレコーダ641へ信号を出力する。ヘリウムはヘリウム供給源626から中空の端子624を介して検出器620の中心へ供給される。場合によって、ドーパントをドーパント貯蔵容器626'からヘリウムの流れの中に入れる。
検出器620のハウジングは二つの円筒状のシェル部分を有する。一方のシェル部分は629は円環状の突出したリップを有している。このリップによって、シェル部分629が第2のシェル部分631と接合できるようになっている。シェル部分629,631は重なり合うリップ構造を有していて、チャンバ632が形成されている。収集用の電極621はリング633へ接続されており、一方、同じようなリング635はバイアス電極である。シェル部分629,631は導電性を持たない材料から形成されている。図12において、シェル部分629には接線方向に配置されたインレットポート618が設けられおり、円筒状のチャンバ内部の接線端部でガスを流入させるようになっている。排気ポート619は半径方向の内側に設けられた排気口である。
図13
参照番号710は絶縁材料から形成されているガスサンプリング装置の本体を表している。本体710はパーティションあるいは”窓"740によって二つのチャンバに分割されており、周囲大気への漏れがない上側のスパークチャンバ712及び下側のサンプルチャンバを形成している。検出器の本体710から内側へ向けて、二つの丸い同じ直径を有する電極714,716が突き出している。スパークチャンバ712内のスパークギャップ715は電極714,716の面に絶縁材料を有している。この絶縁材料はスパークチャンバ712の内部の環境を電極から物理的に絶縁するだけの十分な厚みを有している。しかし、この絶縁材料は、スパークギャップ715を介してパルス化されたDCスパークを形成するのに十分な薄さを有している。電極716はB+電源720へ電気的に接続されている。一方、電極714はアース722へ接地されている。この電極対へ供給される電圧はクロック738によってタイミングがはかられている。スパークチャンバ712にはヘリウムと微量のクリプトンが充填されている。
サンプルガスはポート726を介してサンプルチャンバへ流入し、ポート728を介してチャンバから流出する。小さなポンプによってサンプルガスは供給される。サンプルチャンバは円環状の電極730,732を収容している。これらの電極はチャンバの壁のリセス内に配置されており、チャンバの内部にさらされている。電極732はアース734へ接地されている。電極730は増幅器737へ接続されており、そのあとレコーダ736へ接続されている。クロック738は印加される正あるいは負の電圧を制御し、レコーダのタイミングをとる。電極732はサンプルチャンバ内の所望の荷電粒子を引き付けるために必要な電圧を有している。スパークチャンバ712とサンプルチャンバを分離している窓740はフッ化マグネシウム(MgF2)あるいはフッ化リチウム(LiF)からなる薄い膜である。材料及び寸法を選択することによって、所望のレベルの放出光ができる限り吸収されないでサンプルチャンバの中へ入るようにすることができる。放電によってスパークギャップ715の中のガスは加熱される。スパーク経路中の加熱された比較的浮揚性のあるガスは閉じたスパークチャンバ712内で上昇し、そこでより冷たいガスと混ざり合って冷却される。それと同時に、スパークギャップ715では、冷たいガスが加熱されたガスと入れ替わる。正味の結果として、破線718によって表されているように、閉じたスパークチャンバ712の中で循環が起きる。対流循環によって”新鮮な”ガスが絶えずスパークギャップ715へ供給される。
励起状態にあるクリプトンは、116.5及び123.6ナノメートル(nm)のフォトンを放出する。これらは、10.03及び10.64エレクトロンボルト(eV)にそれぞれ相当する。この放射は窓740を通過して、サンプルチャンバの中に入り、サンプルチャンバの中でサンプルガスと反応する。スパークごとに新鮮なKr が供給される。そして、Kr は10.03eV及び10.64eVのフォトンを放出することによって基底状態まで減衰する。ヘリウム−クリプトン混合ガスと協働するスパーク発生システムは、10.03eV及び10.64eVを放射する自給式の供給源として動作する。
サンプルの流れは不連続でもよいが、連続的な方が好ましい。空気のモニタにおいては、低濃度の汚染化合物AB及び空気を、窓740を通してスパークチャンバ712から流れるエネルギ10.03及び10.64eVのフォトン流にさらす。このフォトン流は化合物ABをイオン化する。自由電子は正電位にある電極730に集まる。電極732はアースに接地されており、イオン再結合を阻止し、電子をはねのける。電極730からの自由電子流はレコーダ736によって記録される。このときの電流はABの濃度に比例する。従って、電流は濃度の分析的な測定量である。
Kr は10.03及び10.64eVの放射をすることを思い起こそう。この放射は、10.64eV以上のイオン化ポテンシャルを有する化合物はイオン化しない。空気の主要な成分はKr からの放射によってイオン化されないが、空気サンプル中の不純物(10.64eV以下のイオン化ポテンシャルを有する汚染物質)はイオン化される。
以上、この発明の実施例を説明したが、この発明の範囲は請求の範囲によって決まる。

Claims (4)

  1. ガスサンプル中の化合物を分析するための検出器であって、
    管状のチャンバ(316)と、
    相互に離間して設けられたスパークを形成する電極(324,326)と、
    これらの前記電極の間にスパークを形成するのに十分な電流をこれらの電極へ供給するための手段(327)と、
    サンプルのガス流をチャンバの中へ注入するためにスパークを形成する前記電極の下流において前記チャンバの中に設けられた注入手段(340)と、
    前記チャンバの中に配置されたバイアス電極(334)及び収集用電極(335)と、
    を有し、前記チャンバ(316)はドーパントガスによって選択的にドープされるヘリウムの供給源(318)と、前記チャンバの第1の端部に設けられたインレットフィッティング(322)と、前記チャンバの第2の端部に設けられたアウトレットフィッティング(342)とを有し、前記選択的にドープされるヘリウムの供給源から前記チャンバの中をその第1の端部から第2の端部へと流せるようになっており、
    前記スパークを形成する電極は前記チャンバ内に配置され、前記チャンバの中を流れる前記選択的にドープされるヘリウムの供給源からの流れを横切るスパークギャップを形成し、
    前記バイアス電極及び収集用電極は前記ギャップを横切るスパークによって形成された電流を捕集するためのものであり、前記選択的にドープされるヘリウムの供給源からの流れは前記バイアス電極及び収集用電極へ向かって流れ、前記バイアス電極及び収集用電極の上流の前記サンプルのガス流と接触してイオン化し、前記チャンバ内のサンプル化合物の特定の成分の濃度を表す電流を形成することが可能であり、さらに、前記バイアス電極及び収集用電極は変動する電流によって前記チャンバ内の前記サンプルの成分の濃度を測定するための検出手段(336)に接続され、
    前記検出手段が複数のドーパントガスの供給源(350,352,354,356)及びミキサ(323)を有し、それらはヘリウム及び選択された一つのドーパントガスが前記チャンバ内へ流れる前に混合されるように配置され、前記ドーパントガスの供給源のドーパントガスがネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンから選択される検出器。
  2. ミキサがマニホールド(323)であり、前記検出手段が、
    ヘリウムをその流量が制御された状態で前記マニホールドへ供給するための圧力レギュレータ(321)及びバルブ(319)を有し、ドーパントガスの供給源が、
    複数の貯蔵容器(350,352,354,356)と、
    選択されたドーパントガスをその流量が制御された状態で前記マニホールドへ供給するための圧力レギュレータ(370,372,374,376)及びバルブ(360,362,364,366)と、
    前記マニホールド内で混合されてキャリヤーガスを形成する前記ヘリウム及び前記選択されたドーパントガスを前記チャンバ内へ導入するための手段(320)と、
    を有している請求項1に記載の検出器。
  3. 前記チャンバ(316,328)はヘリウム及びドーパントガスが流れる通路を形成しており、前記通路がヘリウムの流れを前記電極(324,326)へ導くとともに前記スパークから放出されるフォトンをドーパントガスの一つ又は複数と相互作用させることによって電流を形成する請求項2に記載の検出器。
  4. チャンバ(316,328)内で発生したフォトンを受光するためのスペクトラムアナライザ(240)が設けられている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の検出器。
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