JP3554861B2 - 薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は熱と電気とを相互に変換することができる熱電変換材料を用いて構成される薄膜熱電対集積型の熱電変換デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換デバイスは電子冷却・加熱器や熱発電器として用いられている。図6Aは熱発電の原理を示したものであり、P型半導体11とN型半導体12とからなる半導体の対(熱電対)の一端を高温体13に接触させ、他端を低温体14に接触させて、図に示したような回路を組むことにより、ゼーベック効果によって電流が流れ、熱起電力が発生するものとなっている。図中、15は接合用金属を示す。なお、高温体13及び低温体14は接合用金属15と絶縁されている。
【0003】
図6Bは従来実用化されている熱電変換デバイスの構成を示したものであり、図6Aに示した熱電対が多数配列された構成となっている。これら熱電対は温度差の方向に平行並列に並んだ構造となっており、電極16により電気的には直列に接続されている。図中、17は絶縁体を示す。
この図6Bに示した熱電変換デバイスでは、熱電対をなすP型半導体11及びN型半導体12は主に焼結等により生成された多結晶バルク材料を切り出すことによって形成され、同一寸法でそれら半導体11,12を多数切り出した後、組み立て、電極形成、固定などの多くの工程を経て熱電変換デバイスが完成するものとなっている。従って、半導体にバルク材料を使用する従来の熱電変換デバイスは多くの異なる工程を必要とするため、その点でコストがかかり、高価となって熱電変換デバイスの普及を妨げる一因となっていた。
【0004】
一方、半導体にバルク材料を使用するのではなく、薄膜材料を使用して熱電変換デバイスを構成することができる。
この場合、膜厚方向に温度勾配を形成して膜の表面及び裏面に吸熱部及び放熱部の各領域を配置する形態と、薄膜面内の方向に温度勾配を形成して薄膜面内に吸熱部及び放熱部の各領域を配置する形態とが考えられる。
前者の形態の場合は図6Bに示した従来のバルク材料を用いる熱電変換デバイスと同様に、平板型構造の両面でそれぞれ吸・放熱する形態の熱電変換デバイスを実現できるが、高温部と低温部の距離が数ミクロン程度以下の距離しかないため、熱損失が生じやすく、熱電変換効率が悪いという問題点がある。
【0005】
これを一部解決するため、特開平6−13664号公報記載の発明では各熱電半導体薄膜の隙間を真空にして熱伝導を下げる工夫がなされている。しかしながら、この方法では熱電半導体薄膜自体を通じての熱損失は防ぎようがないため、高効率の薄膜熱電変換デバイスを得るのは困難となっている。
これに対し、後者の薄膜面内に温度勾配をつける形態の場合は、膜自体への温度差が与えやすく、熱損失が小さく、熱電変換効率のよい熱電変換デバイスが原理上、実現可能であるが、成膜された基板を通じて熱損失が生じる点と、同一面内に高温部と低温部があるため従来のバルク材料による熱電変換デバイスと同様の平板型構造の両面でそれぞれ吸・放熱する形態は実現できず、吸・放熱部に十分な面積をもたせることができないといった問題がある。
【0006】
そこで、薄膜面内に温度勾配を形成しながら、かつ吸・放熱部に十分な面積を持たせることを試みた発明が特開平10−303469号公報に提案されている。しかしながら、この特開平10−303469号公報記載の発明では、プラスチックなどで形成された凸部の表面に熱電半導体薄膜を蒸着する手法が採られており、例えば平坦度や格子定数あるいは表面処理や成膜温度など特殊な基板や成膜条件を用いなければ成膜ができない熱電半導体薄膜材料(例えばエピタキシャル成長させる必要のある半導体超格子)には適用できないという問題がある。
【0007】
さらに具体的には、
・プラスチックの凸部への成膜では高温の成膜は困難
・プラスチックに密着しない(接合しない)膜には応用できない
・上記2点を回避するために、仮りに半導体基板などで凸部を形成して成膜した場合でも、凸部の斜面と頂部・底部で同じ品質の膜が生成できない場合があるといった欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、半導体にバルク材料を使用する熱電変換デバイスはコストが高いといった問題があり、これに対し、半導体に薄膜材料を使用する熱電変換デバイスは低コスト化が可能であるものの、膜厚方向に温度勾配を形成する形態では熱電変換効率の点で問題があるものとなっていた。
一方、例えば特開平10−303469号公報記載の発明のように薄膜面内の方向に温度勾配を形成すれば、熱電変換効率の点では有利となるものの、この公報記載の発明では吸・放熱部に十分な面積を持たせられるように凸部上に成膜するものとなっており、膜の品質上、問題が生じる虞れがあり、また材料によっては成膜ができないという問題がある。
【0009】
特に、近年、熱電変換材料として高い性能指数を示す可能性が指摘されている、
(1)半導体超格子(Sun,X.etal.,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.545,P369,1999 やVenkatasubramanian,R.etal.,Appl.Phys.Lett.Vol.75,No.8,P1104,1999などに記載)
(2)ナノワイヤ(10μm 厚の薄膜マイカの中にビスマスのナノワイヤを作製する技術がDemske,D.L.etal.,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.545,P209,1999に記載)
(3)ナノ微粒子膜(本出願人が特願2000−267328号にて提案)などの次世代材料の成膜(生成)には適用できないという問題がある。
【0010】
この発明の目的はこれら問題に鑑み、高熱電変換効率・低コストの熱電変換デバイスを提供することにあり、特に上記のような次世代材料でも成膜することができ、かつ平板型構造の両面で吸・放熱する形態の薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、基板と、その基板上に配列形成され、P型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが一端部において電気的接合層を介し、残部において絶縁層を介して積層されてなる複数の薄膜熱電対と、それら薄膜熱電対の上記一端部と反対の他端部に配置されて複数の薄膜熱電対を電気的に直列に接続する導体と、薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対との対向面に突出形成された凸部が上記一端部上において各薄膜熱電対と接触する構造とされた熱伝導体よりなる上板とを具備するものとされる。
【0012】
請求項2の発明では請求項1の発明において、隣接する薄膜熱電対を接続する導体は一端が一方の薄膜熱電対の上に位置され、他端が他方の薄膜熱電対の下に位置されており、その薄膜熱電対の下に位置する導体は基板に埋め込まれて、その上面が基板表面とほぼ面一とされる。
請求項3の発明では請求項2の発明において、各薄膜熱電対の下に位置する導体はその下面の少なくとも一部が基板の裏面側に露出されており、上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が上記裏面側に露出された導体と接触される。
【0013】
請求項4の発明によれば、基板と、第1の電気的接合部を挟んでP型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが平面配置されてなり、基板上に電気的に直列構成をなすように配列形成された複数の薄膜熱電対と、それら各薄膜熱電対間に配置されて複数の薄膜熱電対を電気的に直列に接続する第2の電気的接合部と、薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対との対向面に突出形成された凸部が上記第1もしくは第2の電気的接合部のいずれか一方と接触する構造とされた熱伝導体よりなる上板とを具備し、上板の凸部が接触されない方の電気的接合部の各位置と対応して基板に金属が埋め込まれ、その金属は上面が基板の表面とほぼ面一とされ、下面の少なくとも一部が基板の裏面側に露出されており、上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が上記裏面側に露出された金属と接触される。
【0014】
請求項5の発明では請求項3もしくは4のいずれかの発明において、上板の周縁部と底板の周縁部とが枠体を介して互いに連結固定される。
【0015】
請求項6の発明では請求項5の発明において、上板と底板と枠体とによって囲まれた内部空間が真空とされる。
請求項7の発明では請求項1乃至6のいずれかの発明において、P型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが方形形状とされ、かつ同一形状とされ、複数の薄膜熱電対は基板上に縦横に配列される。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明の一実施例を示したものであり、この例では熱電変換デバイス21は複数の薄膜熱電対22が形成された基板23が上板24と底板25と枠体26とによって囲まれた内部空間に収容されているものとされる。図2は薄膜熱電対22が形成された基板23を示したものであり、先ず図2を参照して薄膜熱電対22及び基板23の構造について説明する。
【0017】
薄膜熱電対22はP型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28とが一端部において電気的接合層29を介し、残部において絶縁層31を介して積層されてなるものとされ、この例ではこれらP型熱電半導体薄膜27及びN型熱電半導体薄膜28は方形形状とされ、かつ同一形状とされている。
薄膜熱電対22は基板23上に縦横に配列されて形成され、この例では縦・横各4個、計16個の薄膜熱電対22が形成されている。
各列の薄膜熱電対22の電気的接合層29は図2Aに示したように一列上に位置するように揃えられており、図において左から数えて奇数列の薄膜熱電対22の電気的接合層29は方形の左辺に、偶数列の薄膜熱電対22の電気的接合層29は方形の右辺に位置されている。
【0018】
薄膜熱電対22の電気的接合層29が形成されている一端部と反対の他端部には導体32が配置され、16個の薄膜熱電対22は導体32によって電気的に直列に接続されている。導体32は図2Aに示したように奇数列の薄膜熱電対22に対しては方形の右辺に、偶数列の薄膜熱電対22に対しては方形の左辺に位置されるものとなる。
隣接する薄膜熱電対22を接続する導体32は図2Bに示したように、一端が一方の薄膜熱電対22の上に位置され、つまりN型熱電半導体薄膜28上に配設され、他端が他方の薄膜熱電対22の下に位置され、つまりP型熱電半導体薄膜27の下に配設されている。
【0019】
各薄膜熱電対22の下に位置する導体32はこの例では基板23に埋め込まれたものとなっており、その上面は基板23の表面とほぼ面一とされている。なお、導体32によって直列接続された16個の薄膜熱電対22の両端からは導体32が基板23の端縁に導出されて一対の端子部32aが形成されており、これら端子部32aにリード線33が例えば半田付けされて接続されるものとなる。
基板23には2つの細長い溝34が裏面側から形成されており、各薄膜熱電対22の下に位置する導体32はこれら溝34を介して、その下面の少なくとも一部が基板23の裏面側に露出されている。
【0020】
上記のような構成を有する薄膜熱電対22はマスクを用いた成膜プロセスによって作製され、予め導体32を埋め込んだ基板23上にP型熱電半導体薄膜27,電気的接合層29,絶縁層31,N型熱電半導体薄膜28及び埋め込まれている導体32からN型熱電半導体薄膜28上に至る導体32を順次成膜することによって作製される。なお、図示はないが、埋め込まれている導体32からN型熱電半導体薄膜28上に至る導体32を成膜する際にP型熱電半導体薄膜27の側面に直接成膜が及ばないように、あらかじめこの側面をも絶縁層31により保護しておく。必要があれば、さらにこの上に保護層を成膜してもよい。なお、基板23に導体32を埋め込むには、例えばイオンミリングで基板表面の対象部分を削った後、導体32を例えば蒸着してこれを得ることが出来る。溝34は基板23に導体32を埋め込んだ後、例えばウエットエッチング等で基板23をくりぬくことによって形成され、この溝34を形成した後、上記成膜プロセスが実行される。
【0021】
基板23は絶縁基板とされ、例えばガラス基板などが用いられる。
薄膜熱電対22は上述したように基板23の平面上に形成され、つまり熱電半導体薄膜27,28を形成する上で最も適した平面基板上に薄膜熱電対22を形成することができるため、熱電半導体薄膜27,28にはいかなる薄膜材料をも用いることができる。例えば薄膜の形態で高い性能指数が期待されるスクッテルダイト系材料や半導体超格子、ナノワイヤ膜、ナノ微粒子膜等の次世代材料を用いることができる。なお、従来のビスマステルル等の熱電変換材料も用いることができる。
【0022】
絶縁層31は例えば酸化シリコン或いは窒化シリコンによって構成され、電気的接合層29及び導体32は例えば金や銅で形成される。なお、電気的接合層29はP型熱電半導体薄膜27の上面に電気的接合層29に見合う分の段部を形成してP型熱電半導体薄膜27自体で構成することもできる。
次に、この薄膜熱電対22が配列形成された基板23に対して組み合わされる上板24及び底板25の配設構造について図1を参照して説明する。
上板24及び底板25はいずれも熱伝導体よりなるものとされ、これら上板24と底板25とによって基板23は挟み込まれる構造とされる。
【0023】
薄膜熱電対22の配列上に位置する上板24は、その薄膜熱電対22との対向面にこの例では3つの細長い凸部35が突出形成されているものとされ、これら凸部35が薄膜熱電対22の電気的接合層29が形成されている一端部上において各薄膜熱電対22と、つまりN型熱電半導体薄膜28と接触する構造とされる。図1B中、二点鎖線は凸部35の平面形状を示す。
一方、基板23の裏面側に配置される底板25には基板23との対向面に2つの細長い凸部36が突出形成されており、これら凸部36が基板23に形成されている溝34にそれぞれ嵌め込まれて溝34底面に露出されている導体32と接触される。なお、基板23と底板25とは図に示したように板面が互いに当接される。
【0024】
上板24と底板25とは共に熱伝導率の良い電気絶縁性の材料によって形成され、材料としては例えばアルミナが使用される。また、薄膜熱電対22や導体32に接触する面に例えばアルミナを表面コーティングして電気絶縁を確保した銅などの金属も好適である。
上板24と底板25とはそれらの周縁部が枠体26を介して互いに連結固定され、薄膜熱電対22が配列形成された基板23がこれら上板24と底板25とに挟持されて薄膜熱電対集積型の熱電変換デバイス21が完成する。
【0025】
なお、上板24及び底板25はそれぞれ熱伝導率が低く、電気絶縁性で弾性のある例えばプラスチック等の材料からなる枠体26に接着して固定する。このように弾性のある材料で固定することにより熱変形などに対して機械的強度の高い熱電変換デバイス21を構成することができる。
また、上板24と底板25と枠体26とを接着固定する際、例えば真空中で接着して内部空間を真空とすることにより熱損失をより小さくすることができる。上記のような構成とされた熱電変換デバイス21によれば、平板型構造の両面で、つまり上板24と底板25で吸・放熱する形態となり、図6Bに示した従来のバルク材料を使用した熱電変換デバイスと同様の構造が実現できる。
【0026】
熱発電器として用いる場合は例えば上板24を通じて薄膜熱電対22の電気的接合部29が位置する一端部に熱を供給することにより熱発電が可能となる。この際、温度差を高く保つためには、底板25を低温に保つようにすればよく、これにより底板25及び基板23に埋め込まれた導体32を通じて薄膜熱電対22の一端部と反対の他端部が低温に保たれる。
この熱電変換デバイス21は熱発電器や電子冷却・加熱器として用いることができ、上板24及び底板25の外面形状は平面に限らず、例えば相手方高温体・低温体あるいは相手方被冷却体・被加熱体の形状に合わせた形状とすることができる。
【0027】
なお、P型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28の積層順はこの例と逆であってもよい。
図3は図1に示した構成に対し、基板23を薄くした熱電変換デバイス37の断面構造を示したものである。この例ではあらかじめ数100μm厚の基板表面に導体32を埋め込んだ後、基板表面を例えば研磨により削ることで薄い基板23を得ており、導体32はその全体が基板23の裏面側に露出されている。
この構成によれば、底板25に設けた凸部36が導体32と基板23の表面のごく一部分にのみ接触するため、図1の例と比較して底板25から供給される熱の基板23を通じた損失が抑えられ、熱電変換効率のさらなる向上をはかることができる。
【0028】
図4は上板24の周縁部を枠体26を介して基板23に固定し、つまり底板25のない構成とした熱電変換デバイス38を示したものである。このような構成も使用条件あるいは用途に応じて採用することができる。また、薄膜熱電対22の下に配設する導体32をこの例では基板23に埋め込むものとしているが、例えば基板23上に成膜形成する構成とすることもできる。但し、熱電半導体薄膜27,28の成膜の点では埋め込んで成膜面のより平坦化を図る方が好ましい。図5は薄膜熱電対22を構成するP型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28とを積層構造とするのではなく、基板23上にそれらを平面配置して薄膜熱電対22を構成した例を示したものである。
【0029】
この熱電変換デバイス41では方形の同一形状をなすP型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28とが第1の電気的接合部42を挟んで配置されて薄膜熱電対22が形成され、それら薄膜熱電対22が電気的に直列構成をなすように基板23上に配列形成されたものとなっている。
薄膜熱電対22はこの例では8個配列されており、各薄膜熱電対22間は第2の電気的接合部43で接続されて8個の薄膜熱電対22が電気的に直列接続されている。
【0030】
熱伝導体よりなる上板24に設けられている凸部35はこの例では第2の電気的接合部43に接触する構造とされている。
一方、上板24の凸部35が接触されない方の第1の電気的接合部42の各位置と対応して基板23に例えば金や銅などの金属44が埋め込まれており、これら金属44と熱伝導体よりなる底板25の凸部36とが接触される。なお、この例では基板23は図3に示した熱電変換デバイス37と同様、その厚さが薄いものとされている。
【0031】
第1の電気的接合部42と第2の電気的接合部43とは共に例えば金や銅などの金属薄膜を成膜することによって形成される。図中、32aは端子部を示す。この図5に示した構造においても、平板型構造の両面で吸・放熱する形態となり、また熱電半導体薄膜27,28を基板23の平面上に成膜することができるものとなっている。但し、薄膜熱電対22の集積度の点では前述した熱電変換デバイス21や37に比し、劣るものとなる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば図6Bに示した従来のバルク材料を用いた熱電変換デバイスと同様に、平板型構造の両面で吸・放熱する形態を有し、かつ薄膜材料によって熱電半導体が形成された熱電変換デバイスを得ることができる。
そして、成膜プロセスによって多数の薄膜熱電対を一括して形成することができるため、その点でバルク材料を用いた熱電変換デバイスに比べて、低コスト化を図ることができるものとなっている。
【0033】
なお、熱電半導体薄膜を平面基板上に成膜でき、かつ基板材料も適宜選定できるため、基板の種類や平坦度、成膜時の温度、雰囲気ガス、真空度など特定の生成条件でなければ高い性能指数を有する熱電半導体薄膜が得られないような材料であっても用いることができ、つまりスクッテルダイト系材料や半導体超格子、ナノワイヤ膜、ナノ微粒子膜なども薄膜熱電対の材料として用いることができる。
従って、そのような材料によって薄膜熱電対を形成することにより、極めて高い熱電変換効率を有する熱電変換デバイスが得られるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは請求項3の発明の一実施例を示す断面図、Bはその薄膜熱電対が配列形成された基板の平面図。
【図2】図1における薄膜熱電対が配列形成された基板の詳細を説明するための図、Aは平面図、BはそのDD断面図、CはそのEE断面図。
【図3】請求項3の発明の他の実施例を示す断面図。
【図4】請求項1の発明の一実施例を示す断面図。
【図5】Aは請求項4の発明の一実施例を示す断面図、Bはその薄膜熱電対が配列形成された基板の平面図。
【図6】Aは熱発電の原理を示す模式図、Bは従来のバルク材料を用いた熱電変換デバイスの模式図。
【発明の属する技術分野】
この発明は熱と電気とを相互に変換することができる熱電変換材料を用いて構成される薄膜熱電対集積型の熱電変換デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換デバイスは電子冷却・加熱器や熱発電器として用いられている。図6Aは熱発電の原理を示したものであり、P型半導体11とN型半導体12とからなる半導体の対(熱電対)の一端を高温体13に接触させ、他端を低温体14に接触させて、図に示したような回路を組むことにより、ゼーベック効果によって電流が流れ、熱起電力が発生するものとなっている。図中、15は接合用金属を示す。なお、高温体13及び低温体14は接合用金属15と絶縁されている。
【0003】
図6Bは従来実用化されている熱電変換デバイスの構成を示したものであり、図6Aに示した熱電対が多数配列された構成となっている。これら熱電対は温度差の方向に平行並列に並んだ構造となっており、電極16により電気的には直列に接続されている。図中、17は絶縁体を示す。
この図6Bに示した熱電変換デバイスでは、熱電対をなすP型半導体11及びN型半導体12は主に焼結等により生成された多結晶バルク材料を切り出すことによって形成され、同一寸法でそれら半導体11,12を多数切り出した後、組み立て、電極形成、固定などの多くの工程を経て熱電変換デバイスが完成するものとなっている。従って、半導体にバルク材料を使用する従来の熱電変換デバイスは多くの異なる工程を必要とするため、その点でコストがかかり、高価となって熱電変換デバイスの普及を妨げる一因となっていた。
【0004】
一方、半導体にバルク材料を使用するのではなく、薄膜材料を使用して熱電変換デバイスを構成することができる。
この場合、膜厚方向に温度勾配を形成して膜の表面及び裏面に吸熱部及び放熱部の各領域を配置する形態と、薄膜面内の方向に温度勾配を形成して薄膜面内に吸熱部及び放熱部の各領域を配置する形態とが考えられる。
前者の形態の場合は図6Bに示した従来のバルク材料を用いる熱電変換デバイスと同様に、平板型構造の両面でそれぞれ吸・放熱する形態の熱電変換デバイスを実現できるが、高温部と低温部の距離が数ミクロン程度以下の距離しかないため、熱損失が生じやすく、熱電変換効率が悪いという問題点がある。
【0005】
これを一部解決するため、特開平6−13664号公報記載の発明では各熱電半導体薄膜の隙間を真空にして熱伝導を下げる工夫がなされている。しかしながら、この方法では熱電半導体薄膜自体を通じての熱損失は防ぎようがないため、高効率の薄膜熱電変換デバイスを得るのは困難となっている。
これに対し、後者の薄膜面内に温度勾配をつける形態の場合は、膜自体への温度差が与えやすく、熱損失が小さく、熱電変換効率のよい熱電変換デバイスが原理上、実現可能であるが、成膜された基板を通じて熱損失が生じる点と、同一面内に高温部と低温部があるため従来のバルク材料による熱電変換デバイスと同様の平板型構造の両面でそれぞれ吸・放熱する形態は実現できず、吸・放熱部に十分な面積をもたせることができないといった問題がある。
【0006】
そこで、薄膜面内に温度勾配を形成しながら、かつ吸・放熱部に十分な面積を持たせることを試みた発明が特開平10−303469号公報に提案されている。しかしながら、この特開平10−303469号公報記載の発明では、プラスチックなどで形成された凸部の表面に熱電半導体薄膜を蒸着する手法が採られており、例えば平坦度や格子定数あるいは表面処理や成膜温度など特殊な基板や成膜条件を用いなければ成膜ができない熱電半導体薄膜材料(例えばエピタキシャル成長させる必要のある半導体超格子)には適用できないという問題がある。
【0007】
さらに具体的には、
・プラスチックの凸部への成膜では高温の成膜は困難
・プラスチックに密着しない(接合しない)膜には応用できない
・上記2点を回避するために、仮りに半導体基板などで凸部を形成して成膜した場合でも、凸部の斜面と頂部・底部で同じ品質の膜が生成できない場合があるといった欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、半導体にバルク材料を使用する熱電変換デバイスはコストが高いといった問題があり、これに対し、半導体に薄膜材料を使用する熱電変換デバイスは低コスト化が可能であるものの、膜厚方向に温度勾配を形成する形態では熱電変換効率の点で問題があるものとなっていた。
一方、例えば特開平10−303469号公報記載の発明のように薄膜面内の方向に温度勾配を形成すれば、熱電変換効率の点では有利となるものの、この公報記載の発明では吸・放熱部に十分な面積を持たせられるように凸部上に成膜するものとなっており、膜の品質上、問題が生じる虞れがあり、また材料によっては成膜ができないという問題がある。
【0009】
特に、近年、熱電変換材料として高い性能指数を示す可能性が指摘されている、
(1)半導体超格子(Sun,X.etal.,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.545,P369,1999 やVenkatasubramanian,R.etal.,Appl.Phys.Lett.Vol.75,No.8,P1104,1999などに記載)
(2)ナノワイヤ(10μm 厚の薄膜マイカの中にビスマスのナノワイヤを作製する技術がDemske,D.L.etal.,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.545,P209,1999に記載)
(3)ナノ微粒子膜(本出願人が特願2000−267328号にて提案)などの次世代材料の成膜(生成)には適用できないという問題がある。
【0010】
この発明の目的はこれら問題に鑑み、高熱電変換効率・低コストの熱電変換デバイスを提供することにあり、特に上記のような次世代材料でも成膜することができ、かつ平板型構造の両面で吸・放熱する形態の薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、基板と、その基板上に配列形成され、P型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが一端部において電気的接合層を介し、残部において絶縁層を介して積層されてなる複数の薄膜熱電対と、それら薄膜熱電対の上記一端部と反対の他端部に配置されて複数の薄膜熱電対を電気的に直列に接続する導体と、薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対との対向面に突出形成された凸部が上記一端部上において各薄膜熱電対と接触する構造とされた熱伝導体よりなる上板とを具備するものとされる。
【0012】
請求項2の発明では請求項1の発明において、隣接する薄膜熱電対を接続する導体は一端が一方の薄膜熱電対の上に位置され、他端が他方の薄膜熱電対の下に位置されており、その薄膜熱電対の下に位置する導体は基板に埋め込まれて、その上面が基板表面とほぼ面一とされる。
請求項3の発明では請求項2の発明において、各薄膜熱電対の下に位置する導体はその下面の少なくとも一部が基板の裏面側に露出されており、上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が上記裏面側に露出された導体と接触される。
【0013】
請求項4の発明によれば、基板と、第1の電気的接合部を挟んでP型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが平面配置されてなり、基板上に電気的に直列構成をなすように配列形成された複数の薄膜熱電対と、それら各薄膜熱電対間に配置されて複数の薄膜熱電対を電気的に直列に接続する第2の電気的接合部と、薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対との対向面に突出形成された凸部が上記第1もしくは第2の電気的接合部のいずれか一方と接触する構造とされた熱伝導体よりなる上板とを具備し、上板の凸部が接触されない方の電気的接合部の各位置と対応して基板に金属が埋め込まれ、その金属は上面が基板の表面とほぼ面一とされ、下面の少なくとも一部が基板の裏面側に露出されており、上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が上記裏面側に露出された金属と接触される。
【0014】
請求項5の発明では請求項3もしくは4のいずれかの発明において、上板の周縁部と底板の周縁部とが枠体を介して互いに連結固定される。
【0015】
請求項6の発明では請求項5の発明において、上板と底板と枠体とによって囲まれた内部空間が真空とされる。
請求項7の発明では請求項1乃至6のいずれかの発明において、P型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが方形形状とされ、かつ同一形状とされ、複数の薄膜熱電対は基板上に縦横に配列される。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明の一実施例を示したものであり、この例では熱電変換デバイス21は複数の薄膜熱電対22が形成された基板23が上板24と底板25と枠体26とによって囲まれた内部空間に収容されているものとされる。図2は薄膜熱電対22が形成された基板23を示したものであり、先ず図2を参照して薄膜熱電対22及び基板23の構造について説明する。
【0017】
薄膜熱電対22はP型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28とが一端部において電気的接合層29を介し、残部において絶縁層31を介して積層されてなるものとされ、この例ではこれらP型熱電半導体薄膜27及びN型熱電半導体薄膜28は方形形状とされ、かつ同一形状とされている。
薄膜熱電対22は基板23上に縦横に配列されて形成され、この例では縦・横各4個、計16個の薄膜熱電対22が形成されている。
各列の薄膜熱電対22の電気的接合層29は図2Aに示したように一列上に位置するように揃えられており、図において左から数えて奇数列の薄膜熱電対22の電気的接合層29は方形の左辺に、偶数列の薄膜熱電対22の電気的接合層29は方形の右辺に位置されている。
【0018】
薄膜熱電対22の電気的接合層29が形成されている一端部と反対の他端部には導体32が配置され、16個の薄膜熱電対22は導体32によって電気的に直列に接続されている。導体32は図2Aに示したように奇数列の薄膜熱電対22に対しては方形の右辺に、偶数列の薄膜熱電対22に対しては方形の左辺に位置されるものとなる。
隣接する薄膜熱電対22を接続する導体32は図2Bに示したように、一端が一方の薄膜熱電対22の上に位置され、つまりN型熱電半導体薄膜28上に配設され、他端が他方の薄膜熱電対22の下に位置され、つまりP型熱電半導体薄膜27の下に配設されている。
【0019】
各薄膜熱電対22の下に位置する導体32はこの例では基板23に埋め込まれたものとなっており、その上面は基板23の表面とほぼ面一とされている。なお、導体32によって直列接続された16個の薄膜熱電対22の両端からは導体32が基板23の端縁に導出されて一対の端子部32aが形成されており、これら端子部32aにリード線33が例えば半田付けされて接続されるものとなる。
基板23には2つの細長い溝34が裏面側から形成されており、各薄膜熱電対22の下に位置する導体32はこれら溝34を介して、その下面の少なくとも一部が基板23の裏面側に露出されている。
【0020】
上記のような構成を有する薄膜熱電対22はマスクを用いた成膜プロセスによって作製され、予め導体32を埋め込んだ基板23上にP型熱電半導体薄膜27,電気的接合層29,絶縁層31,N型熱電半導体薄膜28及び埋め込まれている導体32からN型熱電半導体薄膜28上に至る導体32を順次成膜することによって作製される。なお、図示はないが、埋め込まれている導体32からN型熱電半導体薄膜28上に至る導体32を成膜する際にP型熱電半導体薄膜27の側面に直接成膜が及ばないように、あらかじめこの側面をも絶縁層31により保護しておく。必要があれば、さらにこの上に保護層を成膜してもよい。なお、基板23に導体32を埋め込むには、例えばイオンミリングで基板表面の対象部分を削った後、導体32を例えば蒸着してこれを得ることが出来る。溝34は基板23に導体32を埋め込んだ後、例えばウエットエッチング等で基板23をくりぬくことによって形成され、この溝34を形成した後、上記成膜プロセスが実行される。
【0021】
基板23は絶縁基板とされ、例えばガラス基板などが用いられる。
薄膜熱電対22は上述したように基板23の平面上に形成され、つまり熱電半導体薄膜27,28を形成する上で最も適した平面基板上に薄膜熱電対22を形成することができるため、熱電半導体薄膜27,28にはいかなる薄膜材料をも用いることができる。例えば薄膜の形態で高い性能指数が期待されるスクッテルダイト系材料や半導体超格子、ナノワイヤ膜、ナノ微粒子膜等の次世代材料を用いることができる。なお、従来のビスマステルル等の熱電変換材料も用いることができる。
【0022】
絶縁層31は例えば酸化シリコン或いは窒化シリコンによって構成され、電気的接合層29及び導体32は例えば金や銅で形成される。なお、電気的接合層29はP型熱電半導体薄膜27の上面に電気的接合層29に見合う分の段部を形成してP型熱電半導体薄膜27自体で構成することもできる。
次に、この薄膜熱電対22が配列形成された基板23に対して組み合わされる上板24及び底板25の配設構造について図1を参照して説明する。
上板24及び底板25はいずれも熱伝導体よりなるものとされ、これら上板24と底板25とによって基板23は挟み込まれる構造とされる。
【0023】
薄膜熱電対22の配列上に位置する上板24は、その薄膜熱電対22との対向面にこの例では3つの細長い凸部35が突出形成されているものとされ、これら凸部35が薄膜熱電対22の電気的接合層29が形成されている一端部上において各薄膜熱電対22と、つまりN型熱電半導体薄膜28と接触する構造とされる。図1B中、二点鎖線は凸部35の平面形状を示す。
一方、基板23の裏面側に配置される底板25には基板23との対向面に2つの細長い凸部36が突出形成されており、これら凸部36が基板23に形成されている溝34にそれぞれ嵌め込まれて溝34底面に露出されている導体32と接触される。なお、基板23と底板25とは図に示したように板面が互いに当接される。
【0024】
上板24と底板25とは共に熱伝導率の良い電気絶縁性の材料によって形成され、材料としては例えばアルミナが使用される。また、薄膜熱電対22や導体32に接触する面に例えばアルミナを表面コーティングして電気絶縁を確保した銅などの金属も好適である。
上板24と底板25とはそれらの周縁部が枠体26を介して互いに連結固定され、薄膜熱電対22が配列形成された基板23がこれら上板24と底板25とに挟持されて薄膜熱電対集積型の熱電変換デバイス21が完成する。
【0025】
なお、上板24及び底板25はそれぞれ熱伝導率が低く、電気絶縁性で弾性のある例えばプラスチック等の材料からなる枠体26に接着して固定する。このように弾性のある材料で固定することにより熱変形などに対して機械的強度の高い熱電変換デバイス21を構成することができる。
また、上板24と底板25と枠体26とを接着固定する際、例えば真空中で接着して内部空間を真空とすることにより熱損失をより小さくすることができる。上記のような構成とされた熱電変換デバイス21によれば、平板型構造の両面で、つまり上板24と底板25で吸・放熱する形態となり、図6Bに示した従来のバルク材料を使用した熱電変換デバイスと同様の構造が実現できる。
【0026】
熱発電器として用いる場合は例えば上板24を通じて薄膜熱電対22の電気的接合部29が位置する一端部に熱を供給することにより熱発電が可能となる。この際、温度差を高く保つためには、底板25を低温に保つようにすればよく、これにより底板25及び基板23に埋め込まれた導体32を通じて薄膜熱電対22の一端部と反対の他端部が低温に保たれる。
この熱電変換デバイス21は熱発電器や電子冷却・加熱器として用いることができ、上板24及び底板25の外面形状は平面に限らず、例えば相手方高温体・低温体あるいは相手方被冷却体・被加熱体の形状に合わせた形状とすることができる。
【0027】
なお、P型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28の積層順はこの例と逆であってもよい。
図3は図1に示した構成に対し、基板23を薄くした熱電変換デバイス37の断面構造を示したものである。この例ではあらかじめ数100μm厚の基板表面に導体32を埋め込んだ後、基板表面を例えば研磨により削ることで薄い基板23を得ており、導体32はその全体が基板23の裏面側に露出されている。
この構成によれば、底板25に設けた凸部36が導体32と基板23の表面のごく一部分にのみ接触するため、図1の例と比較して底板25から供給される熱の基板23を通じた損失が抑えられ、熱電変換効率のさらなる向上をはかることができる。
【0028】
図4は上板24の周縁部を枠体26を介して基板23に固定し、つまり底板25のない構成とした熱電変換デバイス38を示したものである。このような構成も使用条件あるいは用途に応じて採用することができる。また、薄膜熱電対22の下に配設する導体32をこの例では基板23に埋め込むものとしているが、例えば基板23上に成膜形成する構成とすることもできる。但し、熱電半導体薄膜27,28の成膜の点では埋め込んで成膜面のより平坦化を図る方が好ましい。図5は薄膜熱電対22を構成するP型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28とを積層構造とするのではなく、基板23上にそれらを平面配置して薄膜熱電対22を構成した例を示したものである。
【0029】
この熱電変換デバイス41では方形の同一形状をなすP型熱電半導体薄膜27とN型熱電半導体薄膜28とが第1の電気的接合部42を挟んで配置されて薄膜熱電対22が形成され、それら薄膜熱電対22が電気的に直列構成をなすように基板23上に配列形成されたものとなっている。
薄膜熱電対22はこの例では8個配列されており、各薄膜熱電対22間は第2の電気的接合部43で接続されて8個の薄膜熱電対22が電気的に直列接続されている。
【0030】
熱伝導体よりなる上板24に設けられている凸部35はこの例では第2の電気的接合部43に接触する構造とされている。
一方、上板24の凸部35が接触されない方の第1の電気的接合部42の各位置と対応して基板23に例えば金や銅などの金属44が埋め込まれており、これら金属44と熱伝導体よりなる底板25の凸部36とが接触される。なお、この例では基板23は図3に示した熱電変換デバイス37と同様、その厚さが薄いものとされている。
【0031】
第1の電気的接合部42と第2の電気的接合部43とは共に例えば金や銅などの金属薄膜を成膜することによって形成される。図中、32aは端子部を示す。この図5に示した構造においても、平板型構造の両面で吸・放熱する形態となり、また熱電半導体薄膜27,28を基板23の平面上に成膜することができるものとなっている。但し、薄膜熱電対22の集積度の点では前述した熱電変換デバイス21や37に比し、劣るものとなる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば図6Bに示した従来のバルク材料を用いた熱電変換デバイスと同様に、平板型構造の両面で吸・放熱する形態を有し、かつ薄膜材料によって熱電半導体が形成された熱電変換デバイスを得ることができる。
そして、成膜プロセスによって多数の薄膜熱電対を一括して形成することができるため、その点でバルク材料を用いた熱電変換デバイスに比べて、低コスト化を図ることができるものとなっている。
【0033】
なお、熱電半導体薄膜を平面基板上に成膜でき、かつ基板材料も適宜選定できるため、基板の種類や平坦度、成膜時の温度、雰囲気ガス、真空度など特定の生成条件でなければ高い性能指数を有する熱電半導体薄膜が得られないような材料であっても用いることができ、つまりスクッテルダイト系材料や半導体超格子、ナノワイヤ膜、ナノ微粒子膜なども薄膜熱電対の材料として用いることができる。
従って、そのような材料によって薄膜熱電対を形成することにより、極めて高い熱電変換効率を有する熱電変換デバイスが得られるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは請求項3の発明の一実施例を示す断面図、Bはその薄膜熱電対が配列形成された基板の平面図。
【図2】図1における薄膜熱電対が配列形成された基板の詳細を説明するための図、Aは平面図、BはそのDD断面図、CはそのEE断面図。
【図3】請求項3の発明の他の実施例を示す断面図。
【図4】請求項1の発明の一実施例を示す断面図。
【図5】Aは請求項4の発明の一実施例を示す断面図、Bはその薄膜熱電対が配列形成された基板の平面図。
【図6】Aは熱発電の原理を示す模式図、Bは従来のバルク材料を用いた熱電変換デバイスの模式図。
Claims (7)
- 基板と、
その基板上に配列形成され、P型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが一端部において電気的接合層を介し、残部において絶縁層を介して積層されてなる複数の薄膜熱電対と、
それら薄膜熱電対の上記一端部と反対の他端部に配置されて上記複数の薄膜熱電対を電気的に直列に接続する導体と、
上記の薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対との対向面に突出形成された凸部が上記一端部上において各薄膜熱電対と接触する構造とされた熱伝導体よりなる上板とを具備することを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。 - 請求項1記載の薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスにおいて、
隣接する上記薄膜熱電対を接続する上記導体は一端が一方の薄膜熱電対の上に位置され、他端が他方の薄膜熱電対の下に位置されており、
その薄膜熱電対の下に位置する導体は上記基板に埋め込まれて、その上面が基板表面とほぼ面一とされていることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。 - 請求項2記載の薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスにおいて、
各薄膜熱電対の下に位置する上記導体はその下面の少なくとも一部が上記基板の裏面側に露出されており、
上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、
その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が上記裏面側に露出された導体と接触されていることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。 - 基板と、第1の電気的接合部を挟んでP型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とが平面配置されてなり、上記基板上に電気的に直列構成をなすように配列形成された複数の薄膜熱電対と、それら各薄膜熱電対間に配置されて上記複数の薄膜熱電対を電気的に直列に接続する第2の電気的接合部と、上記薄膜熱電対の配列上に位置され、その薄膜熱電対との対向面に突出形成された凸部が上記第1もしくは第2の電気的接合部のいずれか一方と接触する構造とされた熱伝導体よりなる上板とを具備する薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスにおいて、
上記上板の凸部が接触されない方の電気的接合部の各位置と対応して上記基板に金属が埋め込まれ、
その金属は上面が上記基板の表面とほぼ面一とされ、下面の少なくとも一部が上記基板の裏面側に露出されており、
上記裏面と対向して熱伝導体よりなる底板が配置され、
その底板の上記裏面との対向面に突出形成された凸部が上記裏面側に露出された金属と接触されていることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。 - 請求項3もしくは4記載のいずれかの薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスにおいて、
上記上板の周縁部と底板の周縁部とが枠体を介して互いに連結固定されていることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。 - 請求項5記載の薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスにおいて、
上記上板と底板と枠体とによって囲まれた内部空間が真空とされていることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。 - 請求項1乃至6記載のいずれかの薄膜熱電対集積型熱電変換デバイスにおいて、
上記P型熱電半導体薄膜とN型熱電半導体薄膜とは方形形状とされ、かつ同一形状とされており、
上記複数の薄膜熱電対は上記基板上に縦横に配列されていることを特徴とする薄膜熱電対集積型熱電変換デバイス。
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