JP3556082B2 - 医療用貼付材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医療用貼付材に関する。さらに詳しく言えば、優れた触感を有し、皮膚密着性、伸縮性に優れる、例えば経皮吸収製剤、粘着性包帯、絆創膏などに好適に使用される医療用貼付材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より粘着剤層に薬剤を含有せしめた経皮吸収製剤や、絆創膏などの医療用貼付材(医療用貼付剤)が数多く製造されている。これらの貼付材(貼付剤)は皮膚に長時間貼付すると、蒸れによる皮膚の軟化、発疹、発赤、かぶれなどが生じる場合が多い。これは、医療用貼付材を構成する粘着剤層、及び同層を支持するフィルムなどの支持体(基材)が水蒸気透過性等に劣ることに起因する。
【0003】
このような医療用貼付材の水蒸気透過性を高めるために、従来より支持体としてリント布や不織布が用いられている。しかしながら、リント布や不織布はそれ自体ほとんど伸縮性を持たないため、貼付した場合に人体の動きに追随できず、皮膚より剥離してしまうことが往々にしてあった。そこで、この問題を解決するために、伸縮性の不織布を支持体として使った貼付材が開発されている(特開昭63−122621号公報、特開平1−121214号公報、同1−197434号公報、同1−228911号公報)。
【0004】
しかしながら、これらの伸縮性不織布を支持体として用いた場合であっても、肘、膝などにはある程度の追随性を示すが、首筋、脇腹など皮膚が複雑な動きをする部位での追随制が悪く、剥離し易いといった問題があった。
【0005】
より良い伸縮性を有する不織布を得るためには、その不織布を構成するフィラメントとして、ゴム状弾性を呈するエラストマーを用いる方法がある。これらの伸縮性不織布としては次のようなものが知られている。
(1)ポリエステル系エラストマーをスパンボンド法により紡糸し、吐出されたフィラメント群からシート状物を形成した後、フィラメント間に絡合処理を施したもの(特開昭57−82553号公報)。
(2)ポリエーテルエステル系のエラストマーをジェット紡糸法により紡糸し、吐出されたフィラメント群からシート状物を形成すると同時にフィラメント同士の交差点(接触点)を接合させたもの(特開昭57−95362号公報)。
(3)ブロックポリエーテルエステルをメルトブロー法により紡糸し、吐出されたフィラメントからシート状物を形成したもの(特開昭60−239553号公報、米国特許第4,910,064号および同第4,803,117号明細書)。
【0006】
以上に述べた伸縮性不織布を医療用貼付材の支持体として用いる場合、以下のような不利益が未解決のまま残されている。
▲1▼この不織布はゴム状弾性を示すエラストマーを構成フィラメントとするため、風合的に忌み嫌われるゴム状感は避けられない。また、医療用貼付材では、柔らかい風合いも要求特性の一つである。
このためには、フィラメントを細くすればよいが、一方ではフィラメントの破断強伸度が極端に低下し、以下の▲2▼項で述べる不織布強度(布帛強度)が不足してくる、という二律背反の問題が生じる。
【0007】
▲2▼すなわち、上記のように不織布を構成するフィラメントの破断強度が低いため、不織布強度が十分でない。この不織布強度を上げるために、前掲の(1)の技術では、事後にフィラメント間交絡、フィラメント交差点の融着処理が行われている。しかし、不織布の形成後にこれらの操作をすることは、工程が繁雑化するばかりでなく、接触点の接着によって接触点間の繊維の長さが短くなり、不織布の風合いが悪化する原因にもなる。
他方前掲(2)の技術では、不織布形成時にフィラメント同志の交差点を自己接合させること(すなわち、不織布に点接着部を付与すること)が開示されているが、このような点接着では、実用に供し得る不織布強度を得ることは甚だ困難である。
【0008】
▲3▼前項▲2▼で述べたことから当然に推測されることであるが、このような伸縮性不織布は事後の取扱性(ハンドリング性)が悪い。特に、絡合、融着(接合)処理が施されていないものの取扱性が悪いことは想像に難くなく、ましてや点接着されたものにおいても左程改善されるものではない。
【0009】
▲4▼最後に挙げられるのが、不織布の総合的外観すなわち品位が十分でないことである。構成フィラメントの配列状態が均質で、見た目に違和感が無いことが品位としての要求特性である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記▲1▼〜▲4▼で述べたように、伸縮性不織布の諸要求特性間の二律背反性を克服し、柔軟にしてゴム状感のない風合い、実用に供し得る不織布強度と取扱性、および品位のある外観を兼備した不織布を支持体として用いた、優れた触感を有し、皮膚密着性、伸縮性に優れる、例えば経皮吸収製剤、粘着性包帯、絆創膏などに好適に使用される医療用貼付材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、不織布に柔軟な風合いを実現するには、ジェット紡糸法およびスパンボンド法に比べて、超極細フィラメントを紡出可能なメルトブロー法による不織布が最も適していること;フィラメントの超極細化に伴う不織布強度の低下は、不織布中に以下に特定する特定の接合部(融着部)を導入することによって防止することができ、且つ該融着部の存在によって、不織布のゴム状感が可及的に低減されること;そして該不織布の取扱性と品位に影響する因子として、構成フィラメントの”ちぢれ”部分の存在が新たに本発明者等によって確認された結果、ここに本発明に到達したのである。
【0012】
即ち、本発明は、平均直径が0.1〜30μmの弾性連続単繊維がランダムに配列されてなる、メルトブロー法によって得られた伸縮性不織布からなる支持体上に粘着剤層が積層された医療用貼付材であって、該不織布中には、
(a)該単繊維の2〜50本が互いに並行状態で融着・結合され、且つその長さが該単繊維の平均直径の10〜1,000倍の範囲にある線状融着部と
(b)該線状融着部同士の交差点、該線状融着部と該単繊維との交差点、及び該単繊維同士の交差点が夫々に融着されてなる点状融着部
とが混在し、そして
(c)該単繊維の“ちぢれ”部分が該不織布の単位面積1cm2当たり400個以上は存在せず、もって実質的に“ちぢれ”部分から解放されている
医療用貼付材である。
【0013】
以下、本発明の不織布を添付図面を参照しつつ説明する。
図1はメルトブロー法によって得られた、本発明に用いられる伸縮性不織布の部分拡大図であり、1は該不織布を構成する直径が0.1〜30μmの弾性連続単繊維(以下、単に、単繊維と称する)である。この単繊維は周知のようにランダムに配列されて伸縮性不織布を構成するが、その際本図にあっては該単繊維の5本が並行状態で融着・結合してなる線状融着部2、該単繊維の3本が融着してなる線状融着部3、前記2種の線状融着部2および3がそれらの交差点でさらに融着・接合してなる点状融着部4、および単繊維同志の交差点が融着・接合してなる点状融着部5(いずれも単繊維が吐出後冷却される間の自己接着により形成される。)が散在しているのが特徴的である。
【0014】
ここで、点状融着部4は、点状融着部5に比べてそのサイズが大きいことから、点状融着部5との関係では準線状融着部とも言うことができる。
【0015】
本発明においては、上述の線状融着部、及び点状融着部を支持体となる不織布中に散在させることによって、所望の性状を具備する貼付材が実現されたわけであるが、その際、単繊維、融着部についてさらに以下の要件が満足されることが肝要である。
【0016】
・単繊維の平均直径が、0.1〜30μmであること;
この直径の範囲は、不織布の柔軟性と強度を両立させるのに必要な範囲であり、0.1μm未満では風合いはより柔軟な方向に向かうものの、強度的に実用性が消失する。他方この直径が30μmを越えると、十分な強度は確保されるものの、最早柔軟な風合いは望むべくもない。この直径の好ましい範囲は1〜20μmである。なお、ここで言う直径とは、単繊維の断面が異形(例えば、楕円、多葉形、多角形等)の場合は、それらを相当する太さ(デニール)の丸断面に見なした場合の直径をも意味する。
【0017】
・線状融着部においては、単繊維の該2〜50本が互いに並行状態で融着し、且つその長さが単繊維の平均直径の10〜1,000倍の範囲にあること;
ここに述べた要件は、準線状融着部共々、単繊維からなる不織布固有のゴム状感を低減するとともに、不織布の強度向上に寄与する。
【0018】
融着本数が2本未満(つまり、並行融着部が存在しない場合)、融着部の長さが、単繊維の平均直径の10倍未満である場合は、不織布のゴム状感を消失できないばかりか、強度向上も図れない。他方、融着本数が50本を越えたり、融着部の長さが構成単繊維の平均直径の1,000倍を越えると、融着部が目立ち過ぎて地合が悪化し、同時に不織布強度も左程向上しなくなる。融着本数の好ましい範囲は5〜20本であり、融着部の長さの倍率の好ましい範囲は50〜500倍である。
【0019】
・点状融着部5(準線状融着部4も点状融着部に含まれる)が存在すること;
このような融着部は、不織布のゴム状感を緩和するのに寄与するが、併せて、不織布の強度、特に形態保持性を改善する。
【0020】
・不織布の単位面積1cm2当たりちぢれ部分が400個を越えて存在しないこと;
このちぢれ部分とは図1中の6で示される。不織布を構成する単繊維は、直線状、なだらかな曲線状にある。これに対して、ちぢれ部分とは、単繊維が切断されているか、いないに関らず、単繊維あるいは、線状に融着した単繊維束が、繊維軸方向にその直径の5倍以内の距離で、単繊維断面の法線の向きが大きく変わり、微小部分において数回のループまたは螺旋または折り返している状態の繊維部分をいい、繊維軸方向にその直径の5倍以上の距離で繊維断面の法線の向きが変わっていない、いわゆる真直な部分とは構造が全く異なる部分である。そして、このちぢれ部分が不織布の強度、取扱性に悪影響を及ぼしていたことが確認された。
【0021】
すなわち、熱可塑性ポリマーをメルトブローすると、溶融ポリマーが口金より吐出された際、ポリマーの細化、牽引に使用される高温高圧気体流により、単繊維が切断して幾重かに折りたたまれた微小なちぢれ部分が生じる。特に熱可塑性エラストマーは、溶融弾性が大きく、単繊維が切断しないまでも上記ちぢれが生じやすい。ちぢれ部分は単繊維が微小面積に固まって存在する状態であり、いうまでもなく不織布の風合いを悪化させる原因の一つとなる。そして、上記ちぢれ部分が不織布の単位面積当たり、400個を越えて存在するとき、上述の不利益が生じることが判明したのである。
【0022】
このことから、本発明においては、ちぢれ部分を不織布の単位面積1cm2当たり、400個以下に抑制したものである。このちぢれ部分は特に、200個以下であることが好ましい。
【0023】
更に、上記した線状融着部、準線状融着部、および点状融着部について、追加説明する。
まず、線状融着部は、不織布の単位面積1cm2当たり、500〜3,000個存在し、線状融着に関与する単繊維の本数が、不織布を構成する全単繊維の本数の20〜100%の範囲にあることが好ましい。これにより、構成単繊維は細径でありながら、強伸度の大きい、より太い繊径の繊維が混在するのと同等の効果を効率的に得ることができる。線状融着部が不織布の単位面積1cm2当たり、500個未満であると、上記効果は得られ難く、3,000個を越えて存在すると、ゴム状感が発現し易くなる傾向がある。更に好ましい範囲は、不織布の単位面積1cm2当たり、1,000〜2,500個である。
【0024】
また、点状融着部(準線状融着部と点状融着部とが存在する場合には両者の総計)は、不織布の単位面積1cm2当たり、500〜5,000個存在することが、布帛強度と伸縮性を保つために好ましい。500個未満であると、強度、伸縮性を良好に保つことが困難となりがちであり、5,000個を越えると逆にゴム状感が強調されがちである。更に好ましい範囲は、1,500〜4,000個である。
【0025】
本発明に用いられる不織布は、前記(a)〜(c)の構造故に、例えば下記のような実用的な伸長回復特性(d)〜(g)を呈することもできる。
(d)目付100g/m2当たりの50%伸長応力が100〜1,000g/cm
(e)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力が500g/cm以下
(f)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力が400g/cm以下
(g)50%伸長弾性回復率が80%以上100%以下。
【0026】
上記の特性の意義は以下のように説明できる。すなわち、本発明の医療用貼付材で保護されている身体部分は、その部分が滞りなく動くと共に、その動きに該医療用貼付材が良く追随しなければならない。同時に適度な取扱性を有しなければならない。よって、伸縮性不織布には十分な伸度と弾性回復率のみならず、適度な応力を持つことで取扱性を満足させ、形態を保持することが要求される。また、上記部位に接する伸縮性不織布は、伸長時に必要以上に伸びすぎないことも必要とされる。
【0027】
以上のことを踏まえて、本発明の伸縮性不織布において、その伸長回復曲線は、例えば図2のように示される。
【0028】
本発明の不織布の50%伸長応力(d)は、100〜1,000g/cmであるのが好ましい。100g/cm未満の場合、取扱性が悪くなり、1,000g/cmを越えると身体部分に追随できなくなりがちである。好ましい範囲は、100〜300g/cmである。
【0029】
また、一旦50%まで伸長された不織布のその後の伸長回復曲線については、50%伸長時の応力曲線(ABC)と、戻すときの回復応力曲線とでは大差はないが、50%伸長に至る伸長応力曲線は、図2のBおよびCを通る。よって、30%伸長応力(e)および30%回復応力(f)は、該医療用貼付材を人体へ貼付した時に、50%伸長した後に30%伸長まで戻したときの繰り返し応力、すなわち、実際の貼付時における応力を表す指標となるものである。30%伸長応力(e)は500g/cm以下、30%回復応力(f)は400g/cm以下とするのが好ましい。30%伸長応力(e)が500g/cmを越えるか、あるいは30%回復応力(f)が400g/cmを越えると、貼付時の違和感が大きくなりがちである。好ましくは、30%伸長応力(e)においては50〜300g/cm、30%回復応力(f)においては50〜200g/cmである。
【0030】
さらに本発明に用いられる不織布は、50%伸長弾性回復率(g)が80%以上100%以下とするのが好ましい。80%未満の場合には、伸長回復後の永久歪みが大きすぎて伸縮性不織布としての機能を十分に発揮することができなくなりがちである。
【0031】
また、上述の(d)〜(g)の伸長応力特性を充足するには、不織布の見掛け密度を調整することも好ましい。この意味で伸縮性不織布の見掛け密度は0.10〜0.45g/cm3の範囲にあることが好ましい。該密度が0.1g/cm3未満であると、上記伸長応力や回復応力を不織布の縦方向および横方向共に得ることは困難になり、また0.45g/cm3を越えると、柔らかさがなくなりゴム状感を与えがちとなる。より好ましくは、0.15〜0.35g/cm3である。
【0032】
本発明に用いられる伸縮性不織布は、メルトブロー法を用いて得られる。メルトブロー法は、溶融ポリマーを通常、T−ダイのような口金の幅方向に多数並設した紡糸孔から吐出すると同時に、口金の両側面に隣接して設けられたスリットから高温高速の気体流を噴射して吐出されたポリマーを細化することによって形成される極細繊維群を移動している空気透過性の補集面上に堆積してシート状物を得る方法である。この方法では細径の繊維を容易に得ることが出来るうえ、溶融ポリマーを直接的にシート化することが可能なため、熱可塑性エラストマーの不織布を最も好適に得ることができる。
【0033】
さらに製糸条件について詳述すると、ポリマーの溶融粘度としては、100ポイズ以上3000ポイズ以下であり、より好ましくは500ポイズ以上2000ポイズ以下である。溶融粘度が低すぎると、糸切れしやすく同時にポリマー玉も発生しやすくなり、また繊維径の均一性も悪くなる。一方溶融粘度が高すぎると繊維径を細かくすることが困難となる。
【0034】
ポリマーの紡糸温度は、ポリマーの融点+(10℃以上100℃以下)が好ましく、ポリマーが熱分解しない範囲および工程調子が安定な範囲でできるだけ高い温度で粘度を下げることが好ましい。温度が高すぎると溶融粘度が高くなって好ましくなく、高すぎると熱分解しやすくなるため長時間の操業安定性が低下する。
【0035】
ところで、本発明で特定した構造の不織布を得るためには、溶融ポリマーが紡出孔から吐出される際の吐出線速度(m/分)を0.5〜10m/分、好ましくは1〜5m/分に調整するのが有用であることが判明した。この吐出線速度(m/分)は紡出孔の吐出面積(cm2)、単孔当たりの吐出量(cc/分)から、以下の式で求められる。
吐出線速度(m/分)=単孔当たりの吐出量/吐出面積/100
【0036】
吐出されたポリマーを牽引細化する高温高圧気体は空気または水蒸気が好適である。牽引気体の温度が、ポリマーの紡糸温度とあまり離れていると吐出ポリマーの温度に影響を及ぼすため、[ポリマーの紡糸(溶融)温度−10℃]以上で[ポリマーの融点+100℃]以下、より好ましくは[ポリマーの紡糸温度+10〜50℃]である。また、気体流量は目的とする繊維径や吐出量、接着状態によって適宜決定すればよい。このとき、気体流の噴出スリット幅にもよるが、好ましい流量は口金幅1cm当たり0.01〜0.2Nm3/分である。0.01Nm3/分より小さいと細化が十分進まず、得られる不織布の斑も大きくなり、0.2Nm3/分を越えるとスリットの幅および吐出量によっては繊維切れが過大に起こり、また、切断しないまでも“ちぢれ”部分が多数発生し、好ましくない。
【0037】
吐出され、高温高圧気体により牽引細化された繊維群は、サクションを有するネットなどの補集面上に堆積され、シート状物すなわち不織布として得られる。この場合、口金下面〜補集面間の距離は繊維が固化する位置より下方にすることによって繊維同士が上記融着・結合状態より必要以上に接着せず、不織布風合いが粗硬にならないという点で好ましい。補集面があまり下方に位置すると、噴出気体流や随伴流により繊維流が乱されることとなり、繊維同士が束状に絡まって不織布斑の原因となる。好ましい距離は10〜80cmである。
【0038】
本発明の伸縮性不織布を構成する連続弾性単繊維としては熱可塑性エラストマーを用いるのが好ましく、かかる熱可塑性エラストマーは、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーなどゴム弾性を有するものであれば特にその種類を問わないが、繊維形成時の熱安定性、布帛形成後の耐光性、耐黄変性などからポリエステル系エラストマーが好ましい。
【0039】
ポリエステル系エラストマーとしては、結晶性を有するポリエステルハードセグメントと、ポリエーテルまたはポリエステルから選ばれた少なくとも一種類からなる、柔軟なソフトセグメントからなるブロック共重合体が一般的である。
【0040】
ハードセグメントを構成するポリエステルとしては、酸成分の50モル%以上、好ましくは70モル%以上がテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体であり、ジオール成分の50モル%以上好ましくは70モル%以上が1,4−ブタンジオールまたはそのエステル形成誘導体である成分単位を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系ポリエステルは結晶化速度が速いことから、好適に用いられる。すなわちハードセグメントは結晶性芳香族ポリエステルセグメントであることが好ましい。
【0041】
ここで、テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸等を挙げることができ、ジオールとしてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。このような酸成分およびジオール成分は、それぞれ単独あるいは併用して用いてもよい。
【0042】
また、上記結晶性芳香族ポリエステルは、ポリマーの結晶性を損なわない範囲(例えば全体の20モル%以下、好ましくは10モル%以下)で、これらの一部を、例えばε−オキシカプロン酸、オキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの他種カルボン酸から構成されるポリエステルで置き換えても良い。
【0043】
ハードセグメントを構成する結晶性ポリエステル単独での固有粘度が0.6〜2.0、かつ融点が120℃以上(好ましくは150℃以上)で280℃以下(好ましくは220℃以下)であることが肝要である。固有粘度が0.6未満であると得られる共重合ポリエステルの溶融成形性が大幅に低下し、更に不織布としての性能も劣るものとなる。逆に固有粘度が2.0を越えると共重合ポリエステル製造時に溶融混練温度を高く設定しなければならず、該ポリエステルの熱劣化の面から好ましくない。また、融点については、120℃未満では紡糸後の冷却過程で結晶成長に時間がかかりすぎるため好ましくなく、280℃より高いとポリマーが熱分解する恐れがあり好ましくない。
【0044】
これに対して、ソフトセグメントは、ジオール成分がポリアルキレングリコールからなるポリエーテルエステルまたは、後述するポリエステルからなるものである。
【0045】
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシドグリコールが好適に用いられ、それらを単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。その分子量(数平均)は、300〜10,000の範囲にあればよいが、繊維の弾性性能、成形時の耐熱性の面から好ましくは、500〜5,000のものが好ましい。
【0046】
上記ポリエーテルエステルの酸成分としては、前述のハードセグメントの形成に用いられるジカルボン酸を用いればよい。
【0047】
その際、最終的に得られるポリエーテルエステル型ブロック共重合体エラストマーに占めるポリアルキレングリコールの割合が、全体の30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%の範囲にあるとき、不織布の弾性回復率と、50%伸長応力、30%伸長および回復応力のバランスと、成型加工性とが両立される。
【0048】
上記ポリエーテルエステル型ブロック共重合体エラストマーは、斯界で良く知られた方法、すなわち、ジカルボン酸誘導体、アルキレンジオール、ポリアルキレンジオールをエステル交換させた後、重合反応させることによって得ることができる。
【0049】
一方、不織布原料ポリマーとして、ソフトセグメントに柔軟なポリエステルを用いた、ポリエステルエステルブロック共重合体を用いる場合、ソフト成分を構成するポリエステルとしては、ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルまたは以下の(I)〜(III)の要件を同時に満足するポリエステルが好適に用いられる。(I)炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として0〜50モル%を占めること。
(II)炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸成分が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として50〜100モル%を占めること。
(III)炭素数3〜20の脂肪族ジオール化合物が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全ジオール成分を基準として50〜100モル%を占めること。
【0050】
ここで、(I)の脂肪族ジカルボン酸成分の炭素数が4未満では、カルボキシル基間に存在する炭素原子の数が少ないので、得られるブロック共重合ポリエステルは加水分解を受けやすく、また溶融紡糸時の熱安定性に劣る。逆に該炭素数が20を越えると該脂肪族ジカルボン酸が高価、入手困難などの問題があり、好ましくない。好ましい該炭素数は、7〜15である。好ましく用いることのできる脂肪族ジカルボン酸としては、例えばアゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等を挙げることができ、これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0051】
上述の脂肪族ジカルボン酸の共重合量は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として0〜50モル%であるが得られるブロック共重合ポリエステルの耐熱性の面から共重合割合が5〜30モル%であることが好ましい。
【0052】
次に、(II)の炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸成分は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として50〜100モル%、好ましくは70から95モル%占めていることが好ましい。この芳香族ジカルボン酸成分は、ソフトセグメントポリエステルの耐加水分解性、耐熱性を低下させることなく、得られるブロック共重合ポリエステル内でソフトセグメントとして機能させるために、結晶性を低下させる目的で上述の量を占めている必要がある。この種の芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などが好ましい。
【0053】
また、(III)の炭素数3〜20の脂肪族ジオール化合物は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全ジオール成分を基準として50〜100モル%を占めることが好ましい。炭素数が3未満では、単位重量当りの反復構造単位数が増えてしまい、耐加水分解性が劣る。逆に該炭素数が20を越えると反応性に欠ける。また、脂肪族ジオール成分が50モル%未満になると、(共)重合ポリエステルの柔軟性が不足してくる。
【0054】
このようなジオール化合物としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,9−ノナンジオール、エイコサンジオール、トリエチレングリコールを挙げることができる。その中でも、ソフトセグメントの結晶性を低下させるために、特に側鎖にアルキル基を有するものが好ましい。勿論、上記のジオール化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
さらにソフトセグメントを構成するポリエステル単独での固有粘度は0.6〜1.0の範囲であることが好ましい。この固有粘度が0.6未満の場合には、得られるブロック共重合ポリエステルの溶融成形性が大幅に低下し、更に不織布としての性能も劣るものとなる。逆に固有粘度が1.0を越えると、ブロック共重合ポリエステル製造時に溶融混練温度を高く設定しなければならず、ポリマーの熱劣化の面から好ましくない。
【0056】
この種のポリエステルエステル型ブロック共重合エラストマーは、上述のハードセグメントを構成するポリエステルと、ソフトセグメントを構成するポリエステルとを溶融混練し、ブロック化反応させることによって得ることができる。その際、該ブロック化反応におけるそれぞれの共重合割合(重量比率)を、(ハードセグメントを構成するポリエステル):(ソフトセグメントを構成するポリエステル)=(10〜70):(90〜30)とする。ハードセグメントを構成するポリエステルの共重合割合が10重量%未満となると、得られるブロック共重合ポリエステル中のハードセグメント部が少なすぎて、耐熱性、成型加工性、不織布製造時の作業性等が低下するばかりか、不織布の伸長応力が不足してくる。逆に90重量%を越えるとブロック共重合ポリエステルの伸長弾性回復率が不十分となる。ブロック化反応は、バッチ式、連続式、いずれの方法を用いてもよく、例えばそれぞれのポリエステル成分を所望とする固有粘度まで個別に重縮合反応させてから、混合してブロック化反応させる方法などを挙げることができる。
【0057】
勿論、上記エラストマーには、難燃剤、および所望に応じて鎖延長剤、充填剤、酸化防止剤、滑剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0058】
本発明の医療用貼付材は、上記伸縮性不織布の少なくとも片面上に粘着剤層が形成されてなる。粘着剤層を構成する好ましい粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが用いられ、本発明の貼付材の使用目的によって適時選択される。すなわち、この貼付材を経皮吸収製剤として用いる場合には、薬物が最も効果的に皮膚より吸収され、なおかつ皮膚への刺激性が低くなるように粘着剤を選択すればよい。
【0059】
アクリル系粘着剤としては、特に、炭素数4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とから得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体もしくは共重合体、及び/又は上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他の官能性モノマーとの共重合体が好適に用いられる。
【0060】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが例示される。
【0061】
上記官能性モノマーの例としては、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマーなどが挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが例示される。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのα−β不飽和カルボン酸、マレイン酸ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが例示される。無水マレイン酸もマレイン酸と同様の(共)重合成分を与える。アミド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどのアルキル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミドなどのアルキルエーテルメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドンなどが例示される。アミノ基を有するモノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレートなどが例示される。
【0062】
上記以外の共重合性モノマーとしては、酢酸ビニル、ビニルアルコール、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエンなども使用できる。粘着剤中には(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(共)重合成分として50重量%以上含有されることが好ましい。
【0063】
アクリル系粘着剤には更に必要に応じて多官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成分と共重合されることもある。この多官能性モノマーの添加により、生成する重合体間にごくわずかに架橋が生じ、それにより粘着剤内部の凝集力が増大する。そのため、貼付された皮膚の性状や発汗量にほとんど無関係に貼付材剥離時のいわゆる糊残り現象がほぼ解消される。しかも、この多官能性モノマーの添加は低皮膚刺激性には何ら悪影響を与えない。このような多官能性モノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレートなどがあるが、これに限定されない。また、これら多官能性モノマーは2種以上を組み合わせて用いてもよい。多官能性モノマーは粘着剤の製造に供される全モノマー中に0.005〜0.5重量%の割合で使用される。多官能性モノマーの使用量が0.005重量%未満であると、架橋による内部凝集力の向上の効果が小さく、また0.5重量%を越えると重合により得られる粘着剤の架橋が多すぎるため粘着力が低下してしまう。
【0064】
ゴム系粘着剤としては、例えば天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのゴム弾性体100重量部に、粘着付与剤20〜200重量部、及び適量の軟化剤、安定剤などを添加してなるものが使用される。
【0065】
シリコーン系粘着剤としては、例えばポリジメチルシロキサンなどを主成分とするものが使用される。
【0066】
上記粘着剤層中には、例えばロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂などの粘着性付与剤、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリレートなどの可塑剤、充填剤、老化防止剤などの配合剤を必要に応じて含有することができる。
【0067】
また、本発明における医療用貼付材を経皮吸収製剤として用いる場合、上記粘着剤層中に経皮吸収性の薬剤を含有してもよい。また、このとき吸収促進剤を含有しても良い。
【0068】
該伸縮性不織布上に上記粘着剤層を設ける方法としては、不織布に直接粘着剤を塗布して設けるか、あるいは、離型紙上に粘着剤層を形成させ、該離型紙を不織布に重ね合わせ該粘着材層を転写する方法など常法手段を適宜選択して採用することが出来る。
【0069】
塗布する方法では、粘着剤層は、伸縮性不織布の片側の全面に又は部分的に、例えばスジ状、網目状、点在状などのパターンに塗工される。かかる基材への粘着剤の塗工は通常はナイフオーバーロールコーターが使用されるが、他の方法を採用してもよい。
【0070】
本発明の医療用貼付材は、伸縮性不織布の上に粘着剤層を有し、これらの厚さは用途に応じて選べばよい。一般的には、かかる伸縮性不織布の厚さは、5〜2000μm、好ましくは10〜1000μmであり、かかる粘着剤層の厚さは10〜2000μm、好ましくは15〜1000μmである。
【0071】
医療用貼付材は、使用時までその粘着剤層表面を保護するために通常はその貼付面にセパレータを有している。セパレータとしてはポリエチレンテレフタレートのフィルムをシリコン処理してなるものがよく用いられるが、セパレータはこれに限定されない。セパレータの厚みは500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜100μmである。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を実施例を掲げて更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」は重量部を示し、また各物性値は以下の方法を用いて測定を行った。
【0073】
(1)平均単繊維径
不織布の断面について、×500倍の電子顕微鏡写真から、100本の単繊維径を求め、平均することにより算出する。
【0074】
(2)破断強伸度
不織布を長さ8cm、幅2.5cmの長方形状の試料片となした後、向かい合う二辺のうち短片をチャックでそれぞれつかんでチャック間の距離を5cmとし、伸長速度200%/分にてチャック間隔を大きくしていき、試料片が破断した時の強度並びに伸度を求めた。
【0075】
(3)線状融着部の融着単繊維の本数、線状融着部の長さ、数、点状融着部の数、ちぢれ部分の数
不織布の表面について、×50倍の電子顕微鏡写真から、線状融着部の融着単繊維の本数を求めた。線状融着部の長さも求め、平均単繊維径に対する倍率を算出した。また、4.8mm2の面積について線状融着部の数、点状融着部の数およびちぢれ部分の数を求めて1cm2当たりの数に換算し、全単繊維数nに対する、線状融着に関与する単繊維本数として、線状融着部の割合を次式にて算出した。
線状融着部の割合(%)=m/n×100
【0076】
(4)目付100g/m2当たりの50%伸長応力(d)
不織布の縦方向(補集ネットの流れ方向)並びに横方向(補集ネットの幅方向)の50%伸長応力について以下の通り測定した。
不織布から長さ8cm、幅2.5cmの長方形状の試料片を作成した後、向かい合う二辺のうち短片をチャックでそれぞれつかんでチャック間の距離を5cmとし、伸長速度200%/分にて元のチャック間隔を基準として50%伸長させた時の応力をX1とし、不織布の目付Yg/m2に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
目付100g/m2当たりの50%伸長応力(g/cm) = X1/Y ×100
【0077】
(5)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力(e)
不織布を縦または横方向に、長方形の長辺として、長さ8cm、幅2.5cmに切り取り、チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、直ちに同速度で元のチャック間隔まで戻した。伸長速度と同じ速さで再度不織布を伸長させ、元のチャック間隔を基準として30%伸長させた時の応力をX2とし、不織布の目付Yg/m2に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力(g/cm) = X2/Y ×100
【0078】
(6)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力(f)
不織布を縦または横方向に、長方形の長辺として、長さ8cm、幅2.5cmに切り取り、チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、直ちに同速度で元のチャック間隔まで戻した。伸長速度と同じ速さで再度不織布を元のチャック間隔を基準として50%伸長させた後、その状態を保持することなく、直ちに同速度で戻していき、元のチャック間隔を基準として30%伸長まで回復させた時の応力をX3とし、不織布の目付Yg/m2に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力(g/cm) = X3/Y ×100
【0079】
(7)50%伸長弾性回復率(g)
チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、該間隔を試料長L(7.5cm)とした後、その状態を保持することなく伸長速度と同じ速さでもとのチャックつかみ間隔まで戻した。その直後に再度不織布を伸長させていき、応力が0より大きくなりはじめるときの試料長をL’cmとして、次式により算出した。
50%伸長弾性回復率(%)=(L−L’)/(L−5)×100
【0080】
(8)見掛け密度
得られた不織布の目付および厚みから算出した。
【0081】
(9)貼付材の特性
貼付材の特性として、触感、剥がれと剥離の操作性を以下の方法で評価した。(触感)5人の成人男子の掌部に貼付し、その時の触感を下記の基準により点数で判定し、5人の平均値で示す。
0点:好ましい触感である
2点:好ましいとも嫌いとも思わない
4点:嫌いな触感である
(剥がれ)5人の成人男子の肘部に24時間貼付し、全体が剥がれた場合を100%、まったく剥がれなかった場合を0%とし、5人の平均値で示す。
(剥離の操作性)5人の成人男子の上腕部内側にサンプルを貼付し、30分後に剥離してその際の剥離の操作性を下記の基準により点数で判定し、5人の平均値で示す。
0点:剥離し易い
2点:やや剥離しがたい
4点:剥離しがたい
【0082】
[実施例1]
1)伸縮性不織布の製造方法
テレフタル酸ジメチル167重量部、テトラメチレングリコール105重量部、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール325重量部を反応器でエステル交換反応させた後、内温を245℃に昇温し、20mmaqの弱真空下で60分間反応させ、引き続き0.4mmaqの高真空下で200分間反応させた。得られた、ポリエステルとポリエーテルエステルとのブロック共重合体の融点は190℃、固有粘度は1.52であった。
【0083】
該共重合体を1mmHgの減圧下115℃で16時間乾燥し、メルトブロー法により260℃で溶融させてから、丸断面で吐出孔が口金幅方向に1mm間隔で単列で設置された口金を用い、口金温度265℃として吐出線速度1.7m/分で吐出してから引き続き280℃に加熱された圧空を、口金幅1cm当たりの流量を0.06Nm3/分として吐出ポリエステルを延伸細化後、口金より28cm下方に設けられた補集ネット上に目付50g/m2の不織布として補集した。
【0084】
得られた不織布の平均単繊維径は7μm、不織布の見掛け密度は0.20g/cm3、厚さは0.25mmであり、線状融着部の長さが70μm以上の距離で2本以上50本以下の範囲で融着しているものが、全単繊維数に対して50%含まれており、融着本数は、2〜10本のものが圧倒的に多かった。不織布の単位面積1cm2当たりの線状融着部の数は1800個、点状融着部は2000個、ちぢれ部分の数は250個であり、ゴム状感のない柔らかい風合いの不織布である。
【0085】
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、256/160g/cm、144/88g/cm、112/64g/cmで、50%弾性回復率(g)は、88/86%であり、縦/横方向共に良好な弾性回復率を示すと共に、適度な伸長応力および回復応力を有する伸縮性不織布として好適に使用し得るものであった。
【0086】
さらにこの不織布を上下直径200mmφのクロームメッキされたフラットローラーを用い、ローラー温度をそれぞれ160℃、ローラー間のクリアランスを0.15mmとして速度1m/分でカレンダー加工を行ったところ、縦方向の破断強伸度は、目付100g/m2当たりそれぞれ1200g/cm、460%となり、50%伸長応力、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、272/152g/cm、g/cm、142/90、112/64g/cmで、50%弾性回復率は、96/94%の不織布を得た。
【0087】
2)貼付材の製造
2−エチルヘキシルアクリレート97.4部、メタクリル酸32.5部、ポリエチレングリコール(重合度14)ジメタクリレート0.1部、過酸化ベンゾイル1.0部、及び酢酸エチル100部を還流冷却器、撹拌機を有する反応容器に仕込み、窒素雰囲気下60〜70℃でゆっくり撹拌しながら9時間重合反応を続けた。反応転化率は99.5〜99.9%であった。得られた重合溶液に酢酸エチル500部を加えて固形分濃度約20%の粘着剤溶液を調製した。
この溶液を剥離紙上に乾燥後の粘着剤層の厚みが15μmとなるように塗工し、粘着剤層を乾燥させた。こうして得られた粘着剤層を伸縮性不織布に転写した。
こうして得られた貼付材の性能を調べた。結果を表1に示す。
【0088】
[比較例1]
1)伸縮性不織布の製造方法
実施例1のポリマーを用いて、メルトブロー法によって目付50g/m2の不織布を得た。この際、ポリマーの吐出線速度を12.2m/分とし、圧空流量を口金幅1cm当たり0.15Nm3/分とした以外は実施例1と同様の方法で行った。得られた不織布の平均繊維径は15μm、不織布の見掛け密度は0.18g/cm3、厚さは0.28mmであり、繊維軸方向に沿って150μm以上の距離で2本以上50本以下の範囲で融着しているものが、全単繊維数に対して70%含まれており、融着本数は、4〜10本のものが殆どであった。不織布の単位面積1cm2当たりの線状融着部の数は4,200個、点状融着部は5,600個である他、ちぢれ部分の数は780個と本発明の上限をはるかに越えており、表面斑の多いものであった。
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力(e)および(f)は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、110/80g/cm、56/32g/cm、98/55g/cmで、50%弾性回復率(g)は、90/88%であった。
さらにこの不織布を実施例1と同様の方法でカレンダー加工したところ、50%伸長応力、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、295/182g/cm、138/92g/cm、109/63g/cmで、50%弾性回復率は、97/95%の不織布を得たが、不織布の目付斑が大きく、ローラーに融着する部分が生じた。
【0089】
2)貼付材の製造
実施例1と同様にして粘着剤層を製造し、これを伸縮性不織布に転写した。
こうして得られた貼付材について実施例1と同様に性能を調べ、結果を表1に示した。
【0090】
[実施例2]
1)伸縮性不織布の製造方法
テレフタル酸ジメチル194重量部、テトラメチレングリコール162重量部、およびチタニウムテトラブトキサイド0.15重量部をエステル交換反応釜に仕込み、窒素ガス雰囲気下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを系外に流出させながらエステル交換反応を行った。
【0091】
エステル交換反応終了後に減圧下、230℃で重縮合反応させて、固有粘度1.07、融点223℃のポリブチレンテレフタレート系ポリエステルポリマーを得た。
【0092】
一方で、ジメチルイソフタレート136重量部、ジメチルセバケート62重量部、1,6−ヘキサンジオール180重量部をジブチルスズアセテート0.3重量部と共に加熱し、副成するメタノールを反応系から除去した。反応性生物を減圧可能な反応釜に移し、255℃で減圧下反応させ、固有粘度0.80の非晶性ポリエステルを得た。
【0093】
上記ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルとこの非晶性ポリエステルを重量比で35:65となるように添加し、1mmHgの減圧下、内温240℃で50分間反応させた後、触媒失活剤としてフェニルホスホン酸0.2重量部を添加し、更に10分間撹袢し、完全にブロック反応を停止させた。
【0094】
得られたポリエステルエステルブロック共重合体ポリマーの固有粘度は1.15で融点は、205℃であった。
【0095】
該共重合体を1mmHgの減圧下120℃で16時間乾燥し、メルトブロー法により270℃で溶融させてから、口金温度285℃で実施例1同条件で吐出してから引き続き300℃に加熱された圧空により該ポリエステルを延伸細化後、補集ネット上に目付50g/m2の不織布として補集した。
【0096】
得られた不織布の平均繊維径は8μm、不織布の見掛け密度は0.20g/cm3、厚さは0.25mmであり、布帛を構成する単繊維はのうち、繊維軸方向に沿って100μm以上の距離で2本以上融着している単繊維の割合は、78%であった。また、融着本数は、8〜12本のものが殆どであった。不織布の単位面積1cm2当たりの線状融着部の数は2,000個、点融着部は2,100個、ちぢれ部分の数は70個であり、ゴム状感のない柔らかい風合いのものであった。
【0097】
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力(e)および(f)は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、220/132g/cm、99/56g/cm、66/38g/cmで、50%弾性回復率(g)は、94/95%であり、縦/横方向共に良好な弾性回復率を示すと共に、適度な伸長応力および回復応力を有する伸縮性不織布として好適に使用し得るものであった。
【0098】
2)貼付材の製造
実施例1と同様にして粘着剤層を製造し、これを伸縮性不織布に転写した。
こうして得られた貼付材について実施例1と同様に性能を調べ、結果を表1に示した。
【0099】
【表1】
【0100】
表1からも分かるように、本発明の医療用貼付材は皮膚密着性や伸縮性が優れるとともに、優れた触感を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる伸縮性不織布の部分拡大平面図であって、本発明の実施例1で得られた伸縮性不織布の電子顕微鏡写真(×50)からトレースしたものである。
【図2】本発明にかかる伸縮性不織布の伸長応力挙動を説明する伸長応力グラフである。
【符号の説明】
1 伸縮性不織布を構成する弾性連続単繊維
2,3 線状融着部
4 線状融着部2と3との交差点が融着した点状融着部(準線状融着部)
5 点状融着部
6 単繊維の“ちぢれ”部分
【発明の属する技術分野】
本発明は医療用貼付材に関する。さらに詳しく言えば、優れた触感を有し、皮膚密着性、伸縮性に優れる、例えば経皮吸収製剤、粘着性包帯、絆創膏などに好適に使用される医療用貼付材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より粘着剤層に薬剤を含有せしめた経皮吸収製剤や、絆創膏などの医療用貼付材(医療用貼付剤)が数多く製造されている。これらの貼付材(貼付剤)は皮膚に長時間貼付すると、蒸れによる皮膚の軟化、発疹、発赤、かぶれなどが生じる場合が多い。これは、医療用貼付材を構成する粘着剤層、及び同層を支持するフィルムなどの支持体(基材)が水蒸気透過性等に劣ることに起因する。
【0003】
このような医療用貼付材の水蒸気透過性を高めるために、従来より支持体としてリント布や不織布が用いられている。しかしながら、リント布や不織布はそれ自体ほとんど伸縮性を持たないため、貼付した場合に人体の動きに追随できず、皮膚より剥離してしまうことが往々にしてあった。そこで、この問題を解決するために、伸縮性の不織布を支持体として使った貼付材が開発されている(特開昭63−122621号公報、特開平1−121214号公報、同1−197434号公報、同1−228911号公報)。
【0004】
しかしながら、これらの伸縮性不織布を支持体として用いた場合であっても、肘、膝などにはある程度の追随性を示すが、首筋、脇腹など皮膚が複雑な動きをする部位での追随制が悪く、剥離し易いといった問題があった。
【0005】
より良い伸縮性を有する不織布を得るためには、その不織布を構成するフィラメントとして、ゴム状弾性を呈するエラストマーを用いる方法がある。これらの伸縮性不織布としては次のようなものが知られている。
(1)ポリエステル系エラストマーをスパンボンド法により紡糸し、吐出されたフィラメント群からシート状物を形成した後、フィラメント間に絡合処理を施したもの(特開昭57−82553号公報)。
(2)ポリエーテルエステル系のエラストマーをジェット紡糸法により紡糸し、吐出されたフィラメント群からシート状物を形成すると同時にフィラメント同士の交差点(接触点)を接合させたもの(特開昭57−95362号公報)。
(3)ブロックポリエーテルエステルをメルトブロー法により紡糸し、吐出されたフィラメントからシート状物を形成したもの(特開昭60−239553号公報、米国特許第4,910,064号および同第4,803,117号明細書)。
【0006】
以上に述べた伸縮性不織布を医療用貼付材の支持体として用いる場合、以下のような不利益が未解決のまま残されている。
▲1▼この不織布はゴム状弾性を示すエラストマーを構成フィラメントとするため、風合的に忌み嫌われるゴム状感は避けられない。また、医療用貼付材では、柔らかい風合いも要求特性の一つである。
このためには、フィラメントを細くすればよいが、一方ではフィラメントの破断強伸度が極端に低下し、以下の▲2▼項で述べる不織布強度(布帛強度)が不足してくる、という二律背反の問題が生じる。
【0007】
▲2▼すなわち、上記のように不織布を構成するフィラメントの破断強度が低いため、不織布強度が十分でない。この不織布強度を上げるために、前掲の(1)の技術では、事後にフィラメント間交絡、フィラメント交差点の融着処理が行われている。しかし、不織布の形成後にこれらの操作をすることは、工程が繁雑化するばかりでなく、接触点の接着によって接触点間の繊維の長さが短くなり、不織布の風合いが悪化する原因にもなる。
他方前掲(2)の技術では、不織布形成時にフィラメント同志の交差点を自己接合させること(すなわち、不織布に点接着部を付与すること)が開示されているが、このような点接着では、実用に供し得る不織布強度を得ることは甚だ困難である。
【0008】
▲3▼前項▲2▼で述べたことから当然に推測されることであるが、このような伸縮性不織布は事後の取扱性(ハンドリング性)が悪い。特に、絡合、融着(接合)処理が施されていないものの取扱性が悪いことは想像に難くなく、ましてや点接着されたものにおいても左程改善されるものではない。
【0009】
▲4▼最後に挙げられるのが、不織布の総合的外観すなわち品位が十分でないことである。構成フィラメントの配列状態が均質で、見た目に違和感が無いことが品位としての要求特性である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記▲1▼〜▲4▼で述べたように、伸縮性不織布の諸要求特性間の二律背反性を克服し、柔軟にしてゴム状感のない風合い、実用に供し得る不織布強度と取扱性、および品位のある外観を兼備した不織布を支持体として用いた、優れた触感を有し、皮膚密着性、伸縮性に優れる、例えば経皮吸収製剤、粘着性包帯、絆創膏などに好適に使用される医療用貼付材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、不織布に柔軟な風合いを実現するには、ジェット紡糸法およびスパンボンド法に比べて、超極細フィラメントを紡出可能なメルトブロー法による不織布が最も適していること;フィラメントの超極細化に伴う不織布強度の低下は、不織布中に以下に特定する特定の接合部(融着部)を導入することによって防止することができ、且つ該融着部の存在によって、不織布のゴム状感が可及的に低減されること;そして該不織布の取扱性と品位に影響する因子として、構成フィラメントの”ちぢれ”部分の存在が新たに本発明者等によって確認された結果、ここに本発明に到達したのである。
【0012】
即ち、本発明は、平均直径が0.1〜30μmの弾性連続単繊維がランダムに配列されてなる、メルトブロー法によって得られた伸縮性不織布からなる支持体上に粘着剤層が積層された医療用貼付材であって、該不織布中には、
(a)該単繊維の2〜50本が互いに並行状態で融着・結合され、且つその長さが該単繊維の平均直径の10〜1,000倍の範囲にある線状融着部と
(b)該線状融着部同士の交差点、該線状融着部と該単繊維との交差点、及び該単繊維同士の交差点が夫々に融着されてなる点状融着部
とが混在し、そして
(c)該単繊維の“ちぢれ”部分が該不織布の単位面積1cm2当たり400個以上は存在せず、もって実質的に“ちぢれ”部分から解放されている
医療用貼付材である。
【0013】
以下、本発明の不織布を添付図面を参照しつつ説明する。
図1はメルトブロー法によって得られた、本発明に用いられる伸縮性不織布の部分拡大図であり、1は該不織布を構成する直径が0.1〜30μmの弾性連続単繊維(以下、単に、単繊維と称する)である。この単繊維は周知のようにランダムに配列されて伸縮性不織布を構成するが、その際本図にあっては該単繊維の5本が並行状態で融着・結合してなる線状融着部2、該単繊維の3本が融着してなる線状融着部3、前記2種の線状融着部2および3がそれらの交差点でさらに融着・接合してなる点状融着部4、および単繊維同志の交差点が融着・接合してなる点状融着部5(いずれも単繊維が吐出後冷却される間の自己接着により形成される。)が散在しているのが特徴的である。
【0014】
ここで、点状融着部4は、点状融着部5に比べてそのサイズが大きいことから、点状融着部5との関係では準線状融着部とも言うことができる。
【0015】
本発明においては、上述の線状融着部、及び点状融着部を支持体となる不織布中に散在させることによって、所望の性状を具備する貼付材が実現されたわけであるが、その際、単繊維、融着部についてさらに以下の要件が満足されることが肝要である。
【0016】
・単繊維の平均直径が、0.1〜30μmであること;
この直径の範囲は、不織布の柔軟性と強度を両立させるのに必要な範囲であり、0.1μm未満では風合いはより柔軟な方向に向かうものの、強度的に実用性が消失する。他方この直径が30μmを越えると、十分な強度は確保されるものの、最早柔軟な風合いは望むべくもない。この直径の好ましい範囲は1〜20μmである。なお、ここで言う直径とは、単繊維の断面が異形(例えば、楕円、多葉形、多角形等)の場合は、それらを相当する太さ(デニール)の丸断面に見なした場合の直径をも意味する。
【0017】
・線状融着部においては、単繊維の該2〜50本が互いに並行状態で融着し、且つその長さが単繊維の平均直径の10〜1,000倍の範囲にあること;
ここに述べた要件は、準線状融着部共々、単繊維からなる不織布固有のゴム状感を低減するとともに、不織布の強度向上に寄与する。
【0018】
融着本数が2本未満(つまり、並行融着部が存在しない場合)、融着部の長さが、単繊維の平均直径の10倍未満である場合は、不織布のゴム状感を消失できないばかりか、強度向上も図れない。他方、融着本数が50本を越えたり、融着部の長さが構成単繊維の平均直径の1,000倍を越えると、融着部が目立ち過ぎて地合が悪化し、同時に不織布強度も左程向上しなくなる。融着本数の好ましい範囲は5〜20本であり、融着部の長さの倍率の好ましい範囲は50〜500倍である。
【0019】
・点状融着部5(準線状融着部4も点状融着部に含まれる)が存在すること;
このような融着部は、不織布のゴム状感を緩和するのに寄与するが、併せて、不織布の強度、特に形態保持性を改善する。
【0020】
・不織布の単位面積1cm2当たりちぢれ部分が400個を越えて存在しないこと;
このちぢれ部分とは図1中の6で示される。不織布を構成する単繊維は、直線状、なだらかな曲線状にある。これに対して、ちぢれ部分とは、単繊維が切断されているか、いないに関らず、単繊維あるいは、線状に融着した単繊維束が、繊維軸方向にその直径の5倍以内の距離で、単繊維断面の法線の向きが大きく変わり、微小部分において数回のループまたは螺旋または折り返している状態の繊維部分をいい、繊維軸方向にその直径の5倍以上の距離で繊維断面の法線の向きが変わっていない、いわゆる真直な部分とは構造が全く異なる部分である。そして、このちぢれ部分が不織布の強度、取扱性に悪影響を及ぼしていたことが確認された。
【0021】
すなわち、熱可塑性ポリマーをメルトブローすると、溶融ポリマーが口金より吐出された際、ポリマーの細化、牽引に使用される高温高圧気体流により、単繊維が切断して幾重かに折りたたまれた微小なちぢれ部分が生じる。特に熱可塑性エラストマーは、溶融弾性が大きく、単繊維が切断しないまでも上記ちぢれが生じやすい。ちぢれ部分は単繊維が微小面積に固まって存在する状態であり、いうまでもなく不織布の風合いを悪化させる原因の一つとなる。そして、上記ちぢれ部分が不織布の単位面積当たり、400個を越えて存在するとき、上述の不利益が生じることが判明したのである。
【0022】
このことから、本発明においては、ちぢれ部分を不織布の単位面積1cm2当たり、400個以下に抑制したものである。このちぢれ部分は特に、200個以下であることが好ましい。
【0023】
更に、上記した線状融着部、準線状融着部、および点状融着部について、追加説明する。
まず、線状融着部は、不織布の単位面積1cm2当たり、500〜3,000個存在し、線状融着に関与する単繊維の本数が、不織布を構成する全単繊維の本数の20〜100%の範囲にあることが好ましい。これにより、構成単繊維は細径でありながら、強伸度の大きい、より太い繊径の繊維が混在するのと同等の効果を効率的に得ることができる。線状融着部が不織布の単位面積1cm2当たり、500個未満であると、上記効果は得られ難く、3,000個を越えて存在すると、ゴム状感が発現し易くなる傾向がある。更に好ましい範囲は、不織布の単位面積1cm2当たり、1,000〜2,500個である。
【0024】
また、点状融着部(準線状融着部と点状融着部とが存在する場合には両者の総計)は、不織布の単位面積1cm2当たり、500〜5,000個存在することが、布帛強度と伸縮性を保つために好ましい。500個未満であると、強度、伸縮性を良好に保つことが困難となりがちであり、5,000個を越えると逆にゴム状感が強調されがちである。更に好ましい範囲は、1,500〜4,000個である。
【0025】
本発明に用いられる不織布は、前記(a)〜(c)の構造故に、例えば下記のような実用的な伸長回復特性(d)〜(g)を呈することもできる。
(d)目付100g/m2当たりの50%伸長応力が100〜1,000g/cm
(e)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力が500g/cm以下
(f)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力が400g/cm以下
(g)50%伸長弾性回復率が80%以上100%以下。
【0026】
上記の特性の意義は以下のように説明できる。すなわち、本発明の医療用貼付材で保護されている身体部分は、その部分が滞りなく動くと共に、その動きに該医療用貼付材が良く追随しなければならない。同時に適度な取扱性を有しなければならない。よって、伸縮性不織布には十分な伸度と弾性回復率のみならず、適度な応力を持つことで取扱性を満足させ、形態を保持することが要求される。また、上記部位に接する伸縮性不織布は、伸長時に必要以上に伸びすぎないことも必要とされる。
【0027】
以上のことを踏まえて、本発明の伸縮性不織布において、その伸長回復曲線は、例えば図2のように示される。
【0028】
本発明の不織布の50%伸長応力(d)は、100〜1,000g/cmであるのが好ましい。100g/cm未満の場合、取扱性が悪くなり、1,000g/cmを越えると身体部分に追随できなくなりがちである。好ましい範囲は、100〜300g/cmである。
【0029】
また、一旦50%まで伸長された不織布のその後の伸長回復曲線については、50%伸長時の応力曲線(ABC)と、戻すときの回復応力曲線とでは大差はないが、50%伸長に至る伸長応力曲線は、図2のBおよびCを通る。よって、30%伸長応力(e)および30%回復応力(f)は、該医療用貼付材を人体へ貼付した時に、50%伸長した後に30%伸長まで戻したときの繰り返し応力、すなわち、実際の貼付時における応力を表す指標となるものである。30%伸長応力(e)は500g/cm以下、30%回復応力(f)は400g/cm以下とするのが好ましい。30%伸長応力(e)が500g/cmを越えるか、あるいは30%回復応力(f)が400g/cmを越えると、貼付時の違和感が大きくなりがちである。好ましくは、30%伸長応力(e)においては50〜300g/cm、30%回復応力(f)においては50〜200g/cmである。
【0030】
さらに本発明に用いられる不織布は、50%伸長弾性回復率(g)が80%以上100%以下とするのが好ましい。80%未満の場合には、伸長回復後の永久歪みが大きすぎて伸縮性不織布としての機能を十分に発揮することができなくなりがちである。
【0031】
また、上述の(d)〜(g)の伸長応力特性を充足するには、不織布の見掛け密度を調整することも好ましい。この意味で伸縮性不織布の見掛け密度は0.10〜0.45g/cm3の範囲にあることが好ましい。該密度が0.1g/cm3未満であると、上記伸長応力や回復応力を不織布の縦方向および横方向共に得ることは困難になり、また0.45g/cm3を越えると、柔らかさがなくなりゴム状感を与えがちとなる。より好ましくは、0.15〜0.35g/cm3である。
【0032】
本発明に用いられる伸縮性不織布は、メルトブロー法を用いて得られる。メルトブロー法は、溶融ポリマーを通常、T−ダイのような口金の幅方向に多数並設した紡糸孔から吐出すると同時に、口金の両側面に隣接して設けられたスリットから高温高速の気体流を噴射して吐出されたポリマーを細化することによって形成される極細繊維群を移動している空気透過性の補集面上に堆積してシート状物を得る方法である。この方法では細径の繊維を容易に得ることが出来るうえ、溶融ポリマーを直接的にシート化することが可能なため、熱可塑性エラストマーの不織布を最も好適に得ることができる。
【0033】
さらに製糸条件について詳述すると、ポリマーの溶融粘度としては、100ポイズ以上3000ポイズ以下であり、より好ましくは500ポイズ以上2000ポイズ以下である。溶融粘度が低すぎると、糸切れしやすく同時にポリマー玉も発生しやすくなり、また繊維径の均一性も悪くなる。一方溶融粘度が高すぎると繊維径を細かくすることが困難となる。
【0034】
ポリマーの紡糸温度は、ポリマーの融点+(10℃以上100℃以下)が好ましく、ポリマーが熱分解しない範囲および工程調子が安定な範囲でできるだけ高い温度で粘度を下げることが好ましい。温度が高すぎると溶融粘度が高くなって好ましくなく、高すぎると熱分解しやすくなるため長時間の操業安定性が低下する。
【0035】
ところで、本発明で特定した構造の不織布を得るためには、溶融ポリマーが紡出孔から吐出される際の吐出線速度(m/分)を0.5〜10m/分、好ましくは1〜5m/分に調整するのが有用であることが判明した。この吐出線速度(m/分)は紡出孔の吐出面積(cm2)、単孔当たりの吐出量(cc/分)から、以下の式で求められる。
吐出線速度(m/分)=単孔当たりの吐出量/吐出面積/100
【0036】
吐出されたポリマーを牽引細化する高温高圧気体は空気または水蒸気が好適である。牽引気体の温度が、ポリマーの紡糸温度とあまり離れていると吐出ポリマーの温度に影響を及ぼすため、[ポリマーの紡糸(溶融)温度−10℃]以上で[ポリマーの融点+100℃]以下、より好ましくは[ポリマーの紡糸温度+10〜50℃]である。また、気体流量は目的とする繊維径や吐出量、接着状態によって適宜決定すればよい。このとき、気体流の噴出スリット幅にもよるが、好ましい流量は口金幅1cm当たり0.01〜0.2Nm3/分である。0.01Nm3/分より小さいと細化が十分進まず、得られる不織布の斑も大きくなり、0.2Nm3/分を越えるとスリットの幅および吐出量によっては繊維切れが過大に起こり、また、切断しないまでも“ちぢれ”部分が多数発生し、好ましくない。
【0037】
吐出され、高温高圧気体により牽引細化された繊維群は、サクションを有するネットなどの補集面上に堆積され、シート状物すなわち不織布として得られる。この場合、口金下面〜補集面間の距離は繊維が固化する位置より下方にすることによって繊維同士が上記融着・結合状態より必要以上に接着せず、不織布風合いが粗硬にならないという点で好ましい。補集面があまり下方に位置すると、噴出気体流や随伴流により繊維流が乱されることとなり、繊維同士が束状に絡まって不織布斑の原因となる。好ましい距離は10〜80cmである。
【0038】
本発明の伸縮性不織布を構成する連続弾性単繊維としては熱可塑性エラストマーを用いるのが好ましく、かかる熱可塑性エラストマーは、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーなどゴム弾性を有するものであれば特にその種類を問わないが、繊維形成時の熱安定性、布帛形成後の耐光性、耐黄変性などからポリエステル系エラストマーが好ましい。
【0039】
ポリエステル系エラストマーとしては、結晶性を有するポリエステルハードセグメントと、ポリエーテルまたはポリエステルから選ばれた少なくとも一種類からなる、柔軟なソフトセグメントからなるブロック共重合体が一般的である。
【0040】
ハードセグメントを構成するポリエステルとしては、酸成分の50モル%以上、好ましくは70モル%以上がテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体であり、ジオール成分の50モル%以上好ましくは70モル%以上が1,4−ブタンジオールまたはそのエステル形成誘導体である成分単位を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系ポリエステルは結晶化速度が速いことから、好適に用いられる。すなわちハードセグメントは結晶性芳香族ポリエステルセグメントであることが好ましい。
【0041】
ここで、テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸等を挙げることができ、ジオールとしてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。このような酸成分およびジオール成分は、それぞれ単独あるいは併用して用いてもよい。
【0042】
また、上記結晶性芳香族ポリエステルは、ポリマーの結晶性を損なわない範囲(例えば全体の20モル%以下、好ましくは10モル%以下)で、これらの一部を、例えばε−オキシカプロン酸、オキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの他種カルボン酸から構成されるポリエステルで置き換えても良い。
【0043】
ハードセグメントを構成する結晶性ポリエステル単独での固有粘度が0.6〜2.0、かつ融点が120℃以上(好ましくは150℃以上)で280℃以下(好ましくは220℃以下)であることが肝要である。固有粘度が0.6未満であると得られる共重合ポリエステルの溶融成形性が大幅に低下し、更に不織布としての性能も劣るものとなる。逆に固有粘度が2.0を越えると共重合ポリエステル製造時に溶融混練温度を高く設定しなければならず、該ポリエステルの熱劣化の面から好ましくない。また、融点については、120℃未満では紡糸後の冷却過程で結晶成長に時間がかかりすぎるため好ましくなく、280℃より高いとポリマーが熱分解する恐れがあり好ましくない。
【0044】
これに対して、ソフトセグメントは、ジオール成分がポリアルキレングリコールからなるポリエーテルエステルまたは、後述するポリエステルからなるものである。
【0045】
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシドグリコールが好適に用いられ、それらを単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。その分子量(数平均)は、300〜10,000の範囲にあればよいが、繊維の弾性性能、成形時の耐熱性の面から好ましくは、500〜5,000のものが好ましい。
【0046】
上記ポリエーテルエステルの酸成分としては、前述のハードセグメントの形成に用いられるジカルボン酸を用いればよい。
【0047】
その際、最終的に得られるポリエーテルエステル型ブロック共重合体エラストマーに占めるポリアルキレングリコールの割合が、全体の30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%の範囲にあるとき、不織布の弾性回復率と、50%伸長応力、30%伸長および回復応力のバランスと、成型加工性とが両立される。
【0048】
上記ポリエーテルエステル型ブロック共重合体エラストマーは、斯界で良く知られた方法、すなわち、ジカルボン酸誘導体、アルキレンジオール、ポリアルキレンジオールをエステル交換させた後、重合反応させることによって得ることができる。
【0049】
一方、不織布原料ポリマーとして、ソフトセグメントに柔軟なポリエステルを用いた、ポリエステルエステルブロック共重合体を用いる場合、ソフト成分を構成するポリエステルとしては、ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルまたは以下の(I)〜(III)の要件を同時に満足するポリエステルが好適に用いられる。(I)炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として0〜50モル%を占めること。
(II)炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸成分が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として50〜100モル%を占めること。
(III)炭素数3〜20の脂肪族ジオール化合物が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全ジオール成分を基準として50〜100モル%を占めること。
【0050】
ここで、(I)の脂肪族ジカルボン酸成分の炭素数が4未満では、カルボキシル基間に存在する炭素原子の数が少ないので、得られるブロック共重合ポリエステルは加水分解を受けやすく、また溶融紡糸時の熱安定性に劣る。逆に該炭素数が20を越えると該脂肪族ジカルボン酸が高価、入手困難などの問題があり、好ましくない。好ましい該炭素数は、7〜15である。好ましく用いることのできる脂肪族ジカルボン酸としては、例えばアゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等を挙げることができ、これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0051】
上述の脂肪族ジカルボン酸の共重合量は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として0〜50モル%であるが得られるブロック共重合ポリエステルの耐熱性の面から共重合割合が5〜30モル%であることが好ましい。
【0052】
次に、(II)の炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸成分は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として50〜100モル%、好ましくは70から95モル%占めていることが好ましい。この芳香族ジカルボン酸成分は、ソフトセグメントポリエステルの耐加水分解性、耐熱性を低下させることなく、得られるブロック共重合ポリエステル内でソフトセグメントとして機能させるために、結晶性を低下させる目的で上述の量を占めている必要がある。この種の芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などが好ましい。
【0053】
また、(III)の炭素数3〜20の脂肪族ジオール化合物は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全ジオール成分を基準として50〜100モル%を占めることが好ましい。炭素数が3未満では、単位重量当りの反復構造単位数が増えてしまい、耐加水分解性が劣る。逆に該炭素数が20を越えると反応性に欠ける。また、脂肪族ジオール成分が50モル%未満になると、(共)重合ポリエステルの柔軟性が不足してくる。
【0054】
このようなジオール化合物としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,9−ノナンジオール、エイコサンジオール、トリエチレングリコールを挙げることができる。その中でも、ソフトセグメントの結晶性を低下させるために、特に側鎖にアルキル基を有するものが好ましい。勿論、上記のジオール化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
さらにソフトセグメントを構成するポリエステル単独での固有粘度は0.6〜1.0の範囲であることが好ましい。この固有粘度が0.6未満の場合には、得られるブロック共重合ポリエステルの溶融成形性が大幅に低下し、更に不織布としての性能も劣るものとなる。逆に固有粘度が1.0を越えると、ブロック共重合ポリエステル製造時に溶融混練温度を高く設定しなければならず、ポリマーの熱劣化の面から好ましくない。
【0056】
この種のポリエステルエステル型ブロック共重合エラストマーは、上述のハードセグメントを構成するポリエステルと、ソフトセグメントを構成するポリエステルとを溶融混練し、ブロック化反応させることによって得ることができる。その際、該ブロック化反応におけるそれぞれの共重合割合(重量比率)を、(ハードセグメントを構成するポリエステル):(ソフトセグメントを構成するポリエステル)=(10〜70):(90〜30)とする。ハードセグメントを構成するポリエステルの共重合割合が10重量%未満となると、得られるブロック共重合ポリエステル中のハードセグメント部が少なすぎて、耐熱性、成型加工性、不織布製造時の作業性等が低下するばかりか、不織布の伸長応力が不足してくる。逆に90重量%を越えるとブロック共重合ポリエステルの伸長弾性回復率が不十分となる。ブロック化反応は、バッチ式、連続式、いずれの方法を用いてもよく、例えばそれぞれのポリエステル成分を所望とする固有粘度まで個別に重縮合反応させてから、混合してブロック化反応させる方法などを挙げることができる。
【0057】
勿論、上記エラストマーには、難燃剤、および所望に応じて鎖延長剤、充填剤、酸化防止剤、滑剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0058】
本発明の医療用貼付材は、上記伸縮性不織布の少なくとも片面上に粘着剤層が形成されてなる。粘着剤層を構成する好ましい粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが用いられ、本発明の貼付材の使用目的によって適時選択される。すなわち、この貼付材を経皮吸収製剤として用いる場合には、薬物が最も効果的に皮膚より吸収され、なおかつ皮膚への刺激性が低くなるように粘着剤を選択すればよい。
【0059】
アクリル系粘着剤としては、特に、炭素数4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とから得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体もしくは共重合体、及び/又は上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他の官能性モノマーとの共重合体が好適に用いられる。
【0060】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが例示される。
【0061】
上記官能性モノマーの例としては、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマーなどが挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが例示される。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのα−β不飽和カルボン酸、マレイン酸ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが例示される。無水マレイン酸もマレイン酸と同様の(共)重合成分を与える。アミド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどのアルキル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミドなどのアルキルエーテルメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドンなどが例示される。アミノ基を有するモノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレートなどが例示される。
【0062】
上記以外の共重合性モノマーとしては、酢酸ビニル、ビニルアルコール、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエンなども使用できる。粘着剤中には(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(共)重合成分として50重量%以上含有されることが好ましい。
【0063】
アクリル系粘着剤には更に必要に応じて多官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成分と共重合されることもある。この多官能性モノマーの添加により、生成する重合体間にごくわずかに架橋が生じ、それにより粘着剤内部の凝集力が増大する。そのため、貼付された皮膚の性状や発汗量にほとんど無関係に貼付材剥離時のいわゆる糊残り現象がほぼ解消される。しかも、この多官能性モノマーの添加は低皮膚刺激性には何ら悪影響を与えない。このような多官能性モノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレートなどがあるが、これに限定されない。また、これら多官能性モノマーは2種以上を組み合わせて用いてもよい。多官能性モノマーは粘着剤の製造に供される全モノマー中に0.005〜0.5重量%の割合で使用される。多官能性モノマーの使用量が0.005重量%未満であると、架橋による内部凝集力の向上の効果が小さく、また0.5重量%を越えると重合により得られる粘着剤の架橋が多すぎるため粘着力が低下してしまう。
【0064】
ゴム系粘着剤としては、例えば天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのゴム弾性体100重量部に、粘着付与剤20〜200重量部、及び適量の軟化剤、安定剤などを添加してなるものが使用される。
【0065】
シリコーン系粘着剤としては、例えばポリジメチルシロキサンなどを主成分とするものが使用される。
【0066】
上記粘着剤層中には、例えばロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂などの粘着性付与剤、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリレートなどの可塑剤、充填剤、老化防止剤などの配合剤を必要に応じて含有することができる。
【0067】
また、本発明における医療用貼付材を経皮吸収製剤として用いる場合、上記粘着剤層中に経皮吸収性の薬剤を含有してもよい。また、このとき吸収促進剤を含有しても良い。
【0068】
該伸縮性不織布上に上記粘着剤層を設ける方法としては、不織布に直接粘着剤を塗布して設けるか、あるいは、離型紙上に粘着剤層を形成させ、該離型紙を不織布に重ね合わせ該粘着材層を転写する方法など常法手段を適宜選択して採用することが出来る。
【0069】
塗布する方法では、粘着剤層は、伸縮性不織布の片側の全面に又は部分的に、例えばスジ状、網目状、点在状などのパターンに塗工される。かかる基材への粘着剤の塗工は通常はナイフオーバーロールコーターが使用されるが、他の方法を採用してもよい。
【0070】
本発明の医療用貼付材は、伸縮性不織布の上に粘着剤層を有し、これらの厚さは用途に応じて選べばよい。一般的には、かかる伸縮性不織布の厚さは、5〜2000μm、好ましくは10〜1000μmであり、かかる粘着剤層の厚さは10〜2000μm、好ましくは15〜1000μmである。
【0071】
医療用貼付材は、使用時までその粘着剤層表面を保護するために通常はその貼付面にセパレータを有している。セパレータとしてはポリエチレンテレフタレートのフィルムをシリコン処理してなるものがよく用いられるが、セパレータはこれに限定されない。セパレータの厚みは500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜100μmである。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を実施例を掲げて更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」は重量部を示し、また各物性値は以下の方法を用いて測定を行った。
【0073】
(1)平均単繊維径
不織布の断面について、×500倍の電子顕微鏡写真から、100本の単繊維径を求め、平均することにより算出する。
【0074】
(2)破断強伸度
不織布を長さ8cm、幅2.5cmの長方形状の試料片となした後、向かい合う二辺のうち短片をチャックでそれぞれつかんでチャック間の距離を5cmとし、伸長速度200%/分にてチャック間隔を大きくしていき、試料片が破断した時の強度並びに伸度を求めた。
【0075】
(3)線状融着部の融着単繊維の本数、線状融着部の長さ、数、点状融着部の数、ちぢれ部分の数
不織布の表面について、×50倍の電子顕微鏡写真から、線状融着部の融着単繊維の本数を求めた。線状融着部の長さも求め、平均単繊維径に対する倍率を算出した。また、4.8mm2の面積について線状融着部の数、点状融着部の数およびちぢれ部分の数を求めて1cm2当たりの数に換算し、全単繊維数nに対する、線状融着に関与する単繊維本数として、線状融着部の割合を次式にて算出した。
線状融着部の割合(%)=m/n×100
【0076】
(4)目付100g/m2当たりの50%伸長応力(d)
不織布の縦方向(補集ネットの流れ方向)並びに横方向(補集ネットの幅方向)の50%伸長応力について以下の通り測定した。
不織布から長さ8cm、幅2.5cmの長方形状の試料片を作成した後、向かい合う二辺のうち短片をチャックでそれぞれつかんでチャック間の距離を5cmとし、伸長速度200%/分にて元のチャック間隔を基準として50%伸長させた時の応力をX1とし、不織布の目付Yg/m2に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
目付100g/m2当たりの50%伸長応力(g/cm) = X1/Y ×100
【0077】
(5)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力(e)
不織布を縦または横方向に、長方形の長辺として、長さ8cm、幅2.5cmに切り取り、チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、直ちに同速度で元のチャック間隔まで戻した。伸長速度と同じ速さで再度不織布を伸長させ、元のチャック間隔を基準として30%伸長させた時の応力をX2とし、不織布の目付Yg/m2に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力(g/cm) = X2/Y ×100
【0078】
(6)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力(f)
不織布を縦または横方向に、長方形の長辺として、長さ8cm、幅2.5cmに切り取り、チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、直ちに同速度で元のチャック間隔まで戻した。伸長速度と同じ速さで再度不織布を元のチャック間隔を基準として50%伸長させた後、その状態を保持することなく、直ちに同速度で戻していき、元のチャック間隔を基準として30%伸長まで回復させた時の応力をX3とし、不織布の目付Yg/m2に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力(g/cm) = X3/Y ×100
【0079】
(7)50%伸長弾性回復率(g)
チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、該間隔を試料長L(7.5cm)とした後、その状態を保持することなく伸長速度と同じ速さでもとのチャックつかみ間隔まで戻した。その直後に再度不織布を伸長させていき、応力が0より大きくなりはじめるときの試料長をL’cmとして、次式により算出した。
50%伸長弾性回復率(%)=(L−L’)/(L−5)×100
【0080】
(8)見掛け密度
得られた不織布の目付および厚みから算出した。
【0081】
(9)貼付材の特性
貼付材の特性として、触感、剥がれと剥離の操作性を以下の方法で評価した。(触感)5人の成人男子の掌部に貼付し、その時の触感を下記の基準により点数で判定し、5人の平均値で示す。
0点:好ましい触感である
2点:好ましいとも嫌いとも思わない
4点:嫌いな触感である
(剥がれ)5人の成人男子の肘部に24時間貼付し、全体が剥がれた場合を100%、まったく剥がれなかった場合を0%とし、5人の平均値で示す。
(剥離の操作性)5人の成人男子の上腕部内側にサンプルを貼付し、30分後に剥離してその際の剥離の操作性を下記の基準により点数で判定し、5人の平均値で示す。
0点:剥離し易い
2点:やや剥離しがたい
4点:剥離しがたい
【0082】
[実施例1]
1)伸縮性不織布の製造方法
テレフタル酸ジメチル167重量部、テトラメチレングリコール105重量部、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール325重量部を反応器でエステル交換反応させた後、内温を245℃に昇温し、20mmaqの弱真空下で60分間反応させ、引き続き0.4mmaqの高真空下で200分間反応させた。得られた、ポリエステルとポリエーテルエステルとのブロック共重合体の融点は190℃、固有粘度は1.52であった。
【0083】
該共重合体を1mmHgの減圧下115℃で16時間乾燥し、メルトブロー法により260℃で溶融させてから、丸断面で吐出孔が口金幅方向に1mm間隔で単列で設置された口金を用い、口金温度265℃として吐出線速度1.7m/分で吐出してから引き続き280℃に加熱された圧空を、口金幅1cm当たりの流量を0.06Nm3/分として吐出ポリエステルを延伸細化後、口金より28cm下方に設けられた補集ネット上に目付50g/m2の不織布として補集した。
【0084】
得られた不織布の平均単繊維径は7μm、不織布の見掛け密度は0.20g/cm3、厚さは0.25mmであり、線状融着部の長さが70μm以上の距離で2本以上50本以下の範囲で融着しているものが、全単繊維数に対して50%含まれており、融着本数は、2〜10本のものが圧倒的に多かった。不織布の単位面積1cm2当たりの線状融着部の数は1800個、点状融着部は2000個、ちぢれ部分の数は250個であり、ゴム状感のない柔らかい風合いの不織布である。
【0085】
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、256/160g/cm、144/88g/cm、112/64g/cmで、50%弾性回復率(g)は、88/86%であり、縦/横方向共に良好な弾性回復率を示すと共に、適度な伸長応力および回復応力を有する伸縮性不織布として好適に使用し得るものであった。
【0086】
さらにこの不織布を上下直径200mmφのクロームメッキされたフラットローラーを用い、ローラー温度をそれぞれ160℃、ローラー間のクリアランスを0.15mmとして速度1m/分でカレンダー加工を行ったところ、縦方向の破断強伸度は、目付100g/m2当たりそれぞれ1200g/cm、460%となり、50%伸長応力、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、272/152g/cm、g/cm、142/90、112/64g/cmで、50%弾性回復率は、96/94%の不織布を得た。
【0087】
2)貼付材の製造
2−エチルヘキシルアクリレート97.4部、メタクリル酸32.5部、ポリエチレングリコール(重合度14)ジメタクリレート0.1部、過酸化ベンゾイル1.0部、及び酢酸エチル100部を還流冷却器、撹拌機を有する反応容器に仕込み、窒素雰囲気下60〜70℃でゆっくり撹拌しながら9時間重合反応を続けた。反応転化率は99.5〜99.9%であった。得られた重合溶液に酢酸エチル500部を加えて固形分濃度約20%の粘着剤溶液を調製した。
この溶液を剥離紙上に乾燥後の粘着剤層の厚みが15μmとなるように塗工し、粘着剤層を乾燥させた。こうして得られた粘着剤層を伸縮性不織布に転写した。
こうして得られた貼付材の性能を調べた。結果を表1に示す。
【0088】
[比較例1]
1)伸縮性不織布の製造方法
実施例1のポリマーを用いて、メルトブロー法によって目付50g/m2の不織布を得た。この際、ポリマーの吐出線速度を12.2m/分とし、圧空流量を口金幅1cm当たり0.15Nm3/分とした以外は実施例1と同様の方法で行った。得られた不織布の平均繊維径は15μm、不織布の見掛け密度は0.18g/cm3、厚さは0.28mmであり、繊維軸方向に沿って150μm以上の距離で2本以上50本以下の範囲で融着しているものが、全単繊維数に対して70%含まれており、融着本数は、4〜10本のものが殆どであった。不織布の単位面積1cm2当たりの線状融着部の数は4,200個、点状融着部は5,600個である他、ちぢれ部分の数は780個と本発明の上限をはるかに越えており、表面斑の多いものであった。
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力(e)および(f)は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、110/80g/cm、56/32g/cm、98/55g/cmで、50%弾性回復率(g)は、90/88%であった。
さらにこの不織布を実施例1と同様の方法でカレンダー加工したところ、50%伸長応力、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、295/182g/cm、138/92g/cm、109/63g/cmで、50%弾性回復率は、97/95%の不織布を得たが、不織布の目付斑が大きく、ローラーに融着する部分が生じた。
【0089】
2)貼付材の製造
実施例1と同様にして粘着剤層を製造し、これを伸縮性不織布に転写した。
こうして得られた貼付材について実施例1と同様に性能を調べ、結果を表1に示した。
【0090】
[実施例2]
1)伸縮性不織布の製造方法
テレフタル酸ジメチル194重量部、テトラメチレングリコール162重量部、およびチタニウムテトラブトキサイド0.15重量部をエステル交換反応釜に仕込み、窒素ガス雰囲気下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを系外に流出させながらエステル交換反応を行った。
【0091】
エステル交換反応終了後に減圧下、230℃で重縮合反応させて、固有粘度1.07、融点223℃のポリブチレンテレフタレート系ポリエステルポリマーを得た。
【0092】
一方で、ジメチルイソフタレート136重量部、ジメチルセバケート62重量部、1,6−ヘキサンジオール180重量部をジブチルスズアセテート0.3重量部と共に加熱し、副成するメタノールを反応系から除去した。反応性生物を減圧可能な反応釜に移し、255℃で減圧下反応させ、固有粘度0.80の非晶性ポリエステルを得た。
【0093】
上記ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルとこの非晶性ポリエステルを重量比で35:65となるように添加し、1mmHgの減圧下、内温240℃で50分間反応させた後、触媒失活剤としてフェニルホスホン酸0.2重量部を添加し、更に10分間撹袢し、完全にブロック反応を停止させた。
【0094】
得られたポリエステルエステルブロック共重合体ポリマーの固有粘度は1.15で融点は、205℃であった。
【0095】
該共重合体を1mmHgの減圧下120℃で16時間乾燥し、メルトブロー法により270℃で溶融させてから、口金温度285℃で実施例1同条件で吐出してから引き続き300℃に加熱された圧空により該ポリエステルを延伸細化後、補集ネット上に目付50g/m2の不織布として補集した。
【0096】
得られた不織布の平均繊維径は8μm、不織布の見掛け密度は0.20g/cm3、厚さは0.25mmであり、布帛を構成する単繊維はのうち、繊維軸方向に沿って100μm以上の距離で2本以上融着している単繊維の割合は、78%であった。また、融着本数は、8〜12本のものが殆どであった。不織布の単位面積1cm2当たりの線状融着部の数は2,000個、点融着部は2,100個、ちぢれ部分の数は70個であり、ゴム状感のない柔らかい風合いのものであった。
【0097】
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力(e)および(f)は目付100g/m2当たりそれぞれ縦方向/横方向が、220/132g/cm、99/56g/cm、66/38g/cmで、50%弾性回復率(g)は、94/95%であり、縦/横方向共に良好な弾性回復率を示すと共に、適度な伸長応力および回復応力を有する伸縮性不織布として好適に使用し得るものであった。
【0098】
2)貼付材の製造
実施例1と同様にして粘着剤層を製造し、これを伸縮性不織布に転写した。
こうして得られた貼付材について実施例1と同様に性能を調べ、結果を表1に示した。
【0099】
【表1】
【0100】
表1からも分かるように、本発明の医療用貼付材は皮膚密着性や伸縮性が優れるとともに、優れた触感を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる伸縮性不織布の部分拡大平面図であって、本発明の実施例1で得られた伸縮性不織布の電子顕微鏡写真(×50)からトレースしたものである。
【図2】本発明にかかる伸縮性不織布の伸長応力挙動を説明する伸長応力グラフである。
【符号の説明】
1 伸縮性不織布を構成する弾性連続単繊維
2,3 線状融着部
4 線状融着部2と3との交差点が融着した点状融着部(準線状融着部)
5 点状融着部
6 単繊維の“ちぢれ”部分
Claims (11)
- 平均直径が0.1〜30μmの弾性連続単繊維がランダムに配列されてなる、メルトブロー法によって得られた伸縮性不織布からなる支持体上に粘着剤層が積層された医療用貼付材であって、該不織布中には、
(a)該単繊維の2〜50本が互いに並行状態で融着・結合され、且つその長さが該単繊維の平均直径の10〜1,000倍の範囲にある線状融着部と
(b)該線状融着部同士の交差点、該線状融着部と該単繊維との交差点、及び該単繊維同士の交差点が夫々に融着されてなる点状融着部
とが混在し、そして
(c)該単繊維の“ちぢれ”部分が該不織布の単位面積1cm2当たり400個を越えては存在せず、もって実質的に“ちぢれ”部分から解放されている
医療用貼付材。 - 該線状融着部が、5〜20本の該単繊維の融着により形成されている請求項1記載の医療用貼付材。
- 該線状融着部の長さが、該単繊維の平均直径の50〜500倍の範囲にある請求項1記載の医療用貼付材。
- 該線状融着部が、該不織布の単位面積1cm2当たり500〜3,000個存在する請求項1記載の医療用貼付材。
- 該線状融着部に関与する該単繊維の本数が、該不織布を構成する全単繊維の本数の20〜100%の範囲にある請求項1記載の医療用貼付材。
- 該点状融着部が、該不織布の単位面積1cm2当たり500〜5000個存在する請求項1記載の医療用貼付材。
- 該点状融着部に関与する該単繊維の本数が、該不織布を構成する全単繊維の本数の20〜100%の範囲にある請求項1記載の医療用貼付材。
- 以下の(d)〜(g)の伸長特性を同時に満足する請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用貼付材。
(d)目付100g/m2当たりの50%伸長応力が100〜1,000g/cm
(e)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力が500g/cm以下
(f)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力が400g/cm以下
(g)50%伸長弾性回復率が80%以上100%以下。 - 該不織布の見掛密度が、0.1〜0.45g/cm3の範囲にある請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療用貼付材。
- 該単繊維が、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とする熱可塑性エラストマーからなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用貼付材。
- 該粘着剤層が、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、及び/又はシリコーン系粘着剤からなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療用貼付材。
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