JP3556090B2 - Icカード用コネクタ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカードを挿抜して使用される機器に装備されるICカード用コネクタ装置に係り、特に、挿着状態にあるICカードを排出させるためのイジェクト機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICカード用コネクタ装置は通常、ICカード内のソケットコンタクトに接続させるための多数本のピンコンタクトをピンハウジングに配設してなるピンヘッダ部や、挿抜時のICカードをガイドするフレームや、挿着状態のICカードをピンコンタクトから離脱させるためのイジェクト機構部等を備えて概略構成されており、ピンハウジングとフレームを一体成形品としたものも知られている。
【0003】
従来より、前記イジェクト機構部を、フレームの外側面に保持されてICカード挿抜方向に沿って往復動作可能なプッシュロッドと、フレームもしくはピンハウジングに回動自在に支承されたイジェクトレバーとで構成し、このイジェクトレバーの一端部をプッシュロッドに係合させたものが広く採用されている。このようなイジェクト機構部を備えたコネクタ装置にあっては、ICカードが挿着されている状態でプッシュロッドを押し込むと、このプッシュロッドに連動して回転するイジェクトレバーの爪部が該ICカードを手前側へ押圧し、手指で簡単に抜き取れる位置まで該ICカードを排出方向へ移動させることができるが、ICカードが挿着されているときにプッシュロッドが手前側に突出しているため、このプッシュロッドが誤操作されたり衝撃を受けるなどしてICカードが予期せずイジェクトされてしまう危険性があり、その場合、ICカードの接続が遮断されて作動データ消失等のトラブルが発生する。
【0004】
これに対し、実開平6−13072号公報に開示されたICカード用コネクタ装置は、プッシュロッドとスライドプレート間をリンク結合する第1および第2の伝達レバーと、第1の伝達レバーに軸支されて第2の伝達レバーと係脱可能な第3の伝達レバーと、プッシュロッドを所定の進入位置と第1の突出位置とに保持可能なハート型カム機構とを備えており、プッシュロッドの突出量に応じて該プッシュロッドの押し込み力がスライドプレートへ選択的に伝達されるように構成されている。すなわち、ICカードが挿着されている状態で、第3の伝達レバーは第2の伝達レバーと係合しておらず、プッシュロッドは所定量押し込まれた進入位置に保持されているが、プッシュロッドをハート型カム機構によって第1の突出位置まで突出させた後、さらに手前の第2の突出位置まで引くと、この第2の突出位置で第3の伝達レバーが第2の伝達レバーに係合するため、この状態でプッシュロッドを進入位置へ向けて押し込むと、その押し込み力が各伝達レバーを介してスライドプレートに伝達され、このスライドプレートがICカードを手前側に押圧して排出できるようになっている。したがって、このICカード用コネクタ装置は、ICカードの接続中はプッシュロッドを手前側に突出していない進入位置に保持しておき、ICカードの排出時のみプッシュロッドを第2の突出位置まで突出させてから押し込み操作すればよく、プッシュロッドの誤操作等に起因するICカードの接続遮断事故を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように上記公報に開示されたICカード用コネクタ装置は、ICカードの接続中はプッシュロッドを所定の進入位置に保持しておくことができるので、プッシュロッドが誤操作されたり押し込み方向への衝撃を受けた場合に懸念されるICカードの接続遮断事故を防止することができる。また、このICカード用コネクタ装置では、ICカードの排出時にはプッシュロッドを第2の突出位置まで突出させる必要があり、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って第1の突出位置まで突出させてしまった場合は、そのプッシュロッドを第2の突出位置まで引かずに第1の突出位置から押し込むことにより、ICカードを排出させることなくプッシュロッドを再び進入位置に戻せるようになっている。このように構成されていると、例えば2枚対応のICカード用コネクタ装置において上段側のプッシュロッドを押し込むつもりが下段側のプッシュロッドを押し込んでしまった場合のような一瞬の操作ミスが大事に至らず、安心してイジェクト操作を行うことができる。
【0006】
しかしながら、かかる従来のICカード用コネクタ装置は、プッシュロッドとスライドプレートとの間にリンク結合された3つの伝達レバーを介設し、これら各伝達レバーの姿勢に応じてプッシュロッドの押し込み力をスライドプレートへ伝達または遮断するようになっているため、各伝達レバーを回動させる広いスペースが必要となり、ICカード用コネクタ装置の小型化が妨げられるという問題がある。また、このような理由から各伝達レバーは必然的にICカード挿入口の天面または底面側に配置せざるを得ず、特に、2枚以上のICカードが挿抜可能な複数枚対応のICカード用コネクタ装置の場合、複数組の各伝達レバーを十分なスペースを確保して上下方向に積層しなければならないため、ICカード用コネクタ装置が高さ方向にも大型化するという問題が発生する。さらに、かかる従来のICカード用コネクタ装置では、通常のイジェクト時に、進入位置に保持されたプッシュロッドを押し込んで第1の突出位置まで突出させる操作と、第1の突出位置にあるプッシュロッドを第2の突出位置まで引き出す操作と、第2の突出位置まで突出させたプッシュロッドを進入位置へ押し込む操作という3回の操作を必要とするため、イジェクト時の操作が煩雑になるという問題がある。しかも、このようにプッシュロッドを第1の突出位置を経て第2の突出位置まで突出させてからICカード排出動作を行わせるようになっている関係上、プッシュロッドを突出させる操作が連続的に行われやすく、それゆえプッシュロッドを第2の突出位置まで誤って突出させてしまって、ICカードを排出せずにプッシュロッドを元の位置に戻すことができなくなってしまう心配もある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ハート型カム機構により所定の進入位置に保持されたプッシュロッドを押し込むと、該プッシュロッドが手前側へ移動して第1の突出位置に保持されるとともに、この第1の突出位置にあるプッシュロッドを押し込むと、循環型カム溝に係合する伝達ピンを介して該プッシュロッドがICカードを排出するようになし、また、プッシュロッドを第1の突出位置から手前へ引いてさらに突出した第2の突出位置に移動させると前記伝達ピンが前記循環型カム溝から逃げ溝へと移動するようになすことで、この第2の突出位置にあるプッシュロッドを押し込んだ場合には該伝達ピンが該逃げ溝に沿って移動するようにした。
【0008】
このようなICカード用コネクタ装置は、所定の進入位置に保持されているプッシュロッドを押し込んで第1の突出位置に突出させた後、この第1の突出位置で該プッシュロッドを押し込むという2回の操作により、循環型カム溝に沿って移動する伝達ピンを介して挿着状態のICカードが排出できるので、通常の使用形態であるイジェクト時の操作を簡単に行うことができる。また、イジェクトのように通常行われる操作ではないので頻度は少ないが、万一、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って押し込んで進入位置から突出させてしまった場合には、その突出位置(第1の突出位置)からプッシュロッドを手前へ引いて第2の突出位置まで突出させた後、この第2の突出位置でプッシュロッドを押し込めば、前記伝達ピンを逃げ溝に沿って移動させて循環型カム溝に戻すことにより、ICカードの排出動作をキャンセルしつつプッシュロッドを前記進入位置に戻すことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、ICカードを挿抜可能に支持するフレームと、このフレームに沿って往復動作可能に保持されてICカード排出方向へ弾性付勢されたプッシュロッドと、挿着状態のICカードのソケットコンタクトに接続される多数本のピンコンタクトとを有し、ICカードが挿着されている状態で、所定の進入位置に保持された前記プッシュロッドに対する第1のプッシュ動作により該プッシュロッドが手前側へ移動するとともに、所定の突出位置に保持された前記プッシュロッドに対する第2のプッシュ動作により該プッシュロッドがICカードを排出するようにしたICカード用コネクタ装置において、前記プッシュロッドの操作子に刻設されたハート型カム溝と、このハート型カム溝に沿って移動可能となるように前記フレームに直接もしくは間接に取り付けられ該カム溝の所定箇所に係止されると前記プッシュロッドを前記進入位置に保持する第1の伝達ピンと、前記フレームに刻設された循環型カム溝および逃げ溝と、前記第1および第2のプッシュ動作時に前記循環型カム溝に沿って移動可能となるように前記プッシュロッドに取り付けられ該カム溝の所定領域を移動中にICカード排出部材を押圧可能な第2の伝達ピンとを備え、前記第1のプッシュ動作により前記プッシュロッドが前記進入位置から第1の突出位置へ移動して保持されるとともに、該プッシュロッドが前記第1の突出位置にあるときに前記第2のプッシュ動作により前記第2の伝達ピンを介してICカードの排出が行われるようになし、且つ、前記第1の突出位置にある前記プッシュロッドをプル動作によりさらに手前側へ突出した第2の突出位置へ移動可能とし、このプル動作に伴って前記第2の伝達ピンが前記循環型カム溝から前記逃げ溝へと移動するようになし、且つ、前記第2の突出位置にある前記プッシュロッドに対するプッシュ動作により前記第2の伝達ピンが前記逃げ溝に沿って前記循環型カム溝へと移動するようにした。
【0010】
このように構成されるICカード用コネクタ装置は、ハート型カム溝の所定箇所に第1の伝達ピンを係止させることでプッシュロッドを所定の進入位置に保持することができるとともに、この進入位置にあるプッシュロッドに対する第1のプッシュ動作により、ICカード排出方向へ弾性付勢されているプッシュロッドを第1の突出位置へ移動させて保持状態となすことができる。また、この第1の突出位置にあるプッシュロッドに対する第2のプッシュ動作により、循環型カム溝に沿って移動する第2の伝達ピンを介して挿着状態のICカードを排出することができる。したがって、通常の使用形態であるイジェクト時の操作を2回のプッシュ動作で簡単に行うことができる。また、万一、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って押し込んで進入位置から突出させてしまった場合には、その突出位置(第1の突出位置)からプッシュロッドを手前へ引いて第2の突出位置まで突出させれば、第2の伝達ピンが循環型カム溝から逃げ溝へと移動するので、この第2の突出位置にあるプッシュロッドに対するプッシュ動作により、第2の伝達ピンを逃げ溝に沿って移動させて循環型カム溝に戻すことができ、同時に第1の伝達ピンをハート型カム溝の前記所定箇所に戻すことができるので、ICカードの排出動作をキャンセルしつつプッシュロッドを進入位置に戻すことができる。つまり、このICカード用コネクタ装置は、プッシュロッドが誤操作されたり押し込み方向への衝撃を受けた場合に懸念されるICカードの接続遮断事故が防止できるのみならず、イジェクト時の操作性が良好で、且つプッシュロッドが誤操作されても誤操作前の状態に容易に復帰させることができる。しかも、ハート型カム溝をプッシュロッドの操作子に設けて循環型カム溝および逃げ溝をフレームに設けることにより、イジェクト機構をプッシュロッドやフレームに集約的に配設することができるので、ICカード用コネクタ装置の小型化が促進でき、特に複数枚対応のICカード用コネクタ装置に適用した場合に好適となる。
【0011】
例えば、前記ICカード排出部材として、前記フレームに沿って往復動作可能に保持されてICカードが挿着されると前記循環型カム溝内へ進出する駆動板を用い、この駆動板を前記第2の伝達ピンが押し込むことでICカードの排出が行われるようにすればよい。また、前記第2の突出位置にある前記プッシュロッドに対する前記プッシュ動作時に、前記第2の伝達ピンを前記逃げ溝に沿って移動させることにより、該伝達ピンが前記駆動板に当接しない経路で前記循環型カム溝へ戻るようにすればよい。
【0012】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は実施例に係るICカード用コネクタ装置の平面図、図2は該コネクタ装置に備えられるイジェクト機構の側面図、図3は該イジェクト機構の分解平面図、図4は図3中に示すフレームの側面図、図5は図3中に示すプッシュロッドの分解側面図、図6は図3中に示す駆動板の側面図、図7は図3中に示す第1および第2の押えバネの側面図、図8は図4中に示す循環型カム溝および逃げ溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図、図9は図5中に示すハート形カム溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図、図10は該イジェクト機構における通常のICカード排出動作を示す説明図、図11は該イジェクト機構における誤操作キャンセル動作を示す説明図、図12は該イジェクト機構におけるプッシュロッドの位置と各カム機構との関係を示す説明図である。
【0013】
図1〜図3に示すように、本実施例に係るICカード用コネクタ装置は、ICカード(図示せず)内のソケットコンタクトに接続させるための多数本のピンコンタクト1(図1中ではその端子部を示している)を所定の配列で圧入固定してなるピンハウジング2と、このピンハウジング2の左右両側に固定され、挿抜時のICカードを幅方向両側からガイド溝3aに沿ってガイドする一対のフレーム3と、一方のフレーム3に取着されたプッシュロッド4と、ピンハウジング2に軸支されたイジェクトアーム5と第1および第2の回動アーム6,7等によって主に構成されており、プッシュロッド4とイジェクトアーム5間に後述するイジェクト機構が介設されている。
【0014】
前記ピンハウジング2には所定の間隔を存して第1の支軸8と第2の支軸9が設けられており、第1の支軸8にイジェクトアーム5の一端が回動自在に支承されている。このイジェクトアーム5には連結孔5aと係合部5bが形成されており、係合部5bは一方のフレーム3の側方へ突出している。第1の回動アーム6も第1の支軸8に回動自在に支承されており、この回動アーム6にはICカードを押し出すための爪片6aと、イジェクトアーム5の連結孔5a内に突出する舌片6bとが形成されている。一方、第2の回動アーム7は第2の支軸9に回動自在に支承されており、この回動アーム7にはICカードを押し出すための爪片7aと、イジェクトアーム5の連結孔5a内に突出する舌片7bとが形成されている。
【0015】
前記イジェクト機構の構成について詳述すると、図4に示すように、前記フレーム3の外側面には一対のガイド突部3b,3cが設けられており、これらガイド突部3b,3cの間に循環型カム溝11および逃げ溝12が刻設されている。これらの循環型カム溝11および逃げ溝12は図8に示すように、高さの異なる複数のカム面を有し、カム面D3,C3,B2,……,K,E3,D3と循環する溝経路が循環型カム溝11であり、カム面C2からカム面J,E2を経てカム面A2へ至る溝経路が逃げ溝12なので、カム溝11と逃げ溝12は共通するカム面A2,L,D2を有することになる。また、図5に示すように、プッシュロッド4の一端には操作子となる摘み14が取り付けられており、この摘み14の内側面にハート型カム溝10が刻設されている。このハート型カム溝10も図9に示すように高さの異なる複数のカム面を有し、カム面c1,b1,a,……,m,d,c1と循環する溝経路からなる。このプッシュロッド4はフレーム3の前記ガイド突部3b,3cと係合しているので、ICカード挿抜方向に沿って往復移動できるように該フレーム3に保持されている。すなわち、このプッシュロッド4は、図3,5に示すように、摘み14の内側部に形成されている係止爪14a上の隙間にガイド突部3cが挿入されて係合しているとともに、摘み14側とは逆側に形成されているガイド孔4aにガイド突部3bが挿入されて係合している。なお、このプッシュロッド4には図5に示すように、後述する伝達ピン用の取付孔4b、逃げ孔4cおよび搭載部4dや、摘み14を取り付けるための突起4eや、後述する押えばね用の突起4fや、コイルばね17の一端部を係止するためのフック4g等が設けられており、該フック4gとフレーム3に設けられたフック3dとの間に張架されたコイルばね17によってプッシュロッド4は手前側(ICカード排出方向)へ弾性付勢されている。また、フレーム3のガイド突部3cの近傍には、プッシュロッド4の前記係止爪14aを係脱させるための係合突起3eが設けられている。
【0016】
また、図2,6に示すように、前記ガイド突部3bが挿入されるガイド孔13aを設けた駆動板13が、フレーム3の外側面に往復移動できるように保持されており、この駆動板13の上からプッシュロッド4が組み込まれている。駆動板13にはその一端部に受部13bが突設されているとともに、他端部に係合孔13cが穿設されている。この受部13bは、フレーム3に形成されている循環型カム溝11のカム面C3やカム面D3と重なり合う位置まで移動することが可能であり、また、係合孔13cには前記イジェクトアーム5の係合部5bが係合している。
【0017】
さらに、このイジェクト機構には、図3に示すように、フレーム3に設けられた取付穴3fに一端部15aが挿入されて軸支され他端部15bが前記ハート型カム溝10に係合している第1の伝達ピン15と、この伝達ピン15の端部15bをハート型カム溝10に向けて弾性付勢し該カム溝10からの脱落を防止している第1の押えばね18と、一端部16aがプッシュロッド4の取付孔4bに挿入されて軸支され他端部16bが逃げ孔4cを貫通して前記循環型カム溝11および逃げ溝12と係合している第2の伝達ピン16と、この伝達ピン16の端部16bをフレーム3に向けて弾性付勢しカム溝11や逃げ溝12からの脱落を防止している第2の押えばね19とが具備されている。すなわち、プッシュロッド4がフレーム3に対して往復移動するのに伴い、該フレーム3に軸支されている第1の伝達ピン15の端部15bがハート型カム溝10に沿って移動するとともに、該プッシュロッド4に軸支されている第2の伝達ピン16の端部16bが循環型カム溝11や逃げ溝12に沿って移動するようになっている。そして、第1の伝達ピン15の端部15bをハート型カム溝10のカム面b1上に位置させて操作力が付与されていなければ、前記コイルばね17に付勢されるプッシュロッド4が該伝達ピン15によって係止され、また、循環型カム溝11のカム面D3上で駆動板13の受部13bと第2の伝達ピン16の端部16bとが対峙しているときプッシュロッド4を押し込むと、該端部16bが駆動板13を押圧駆動するように設定してある。なお、図3,7に示すように、第1の押えばね18はその取付孔18aに第1の伝達ピン15の端部15aを挿通して位置決めされた状態でフレーム3に取り付けられており、第2の押えばね19はその取付孔19aに前記突起4fを挿通して位置決めされた状態で一対の爪片19bによりプッシュロッド4に取り付けられている。また、第2の伝達ピン16は一端部16aに近い側がプッシュロッド4の前記搭載部4d上に搭載された状態で他端部16bに近い側が第2の押えばね19に弾性付勢されているので、この伝達ピン16は支点となる搭載部4d上で摺動しながら循環型カム溝11や逃げ溝12に沿って移動する。
【0018】
上述したカム機構についてさらに詳しく述べると、プッシュロッド4の往復動作に連動して第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10の各カム面を図9Aの矢印で示す方向に沿ってトレースし、端部15bがカム面b1上で係止されているとき、プッシュロッド4は図12Bに示す所定の進入位置に保持されている。そして、端部15bがカム面a,nを経てカム面b2へ移行し、摘み14の前記係止爪14aがフレーム3の前記係合突起3eに係止された時点で、プッシュロッド4は図12Cに示す第1の突出位置に保持される。また、図12Dに示すように、摘み14の係止爪14aとフレーム3の係合突起3eとの係合力に抗してプッシュロッド4を第1の突出位置からさらに手前側の第2の突出位置まで移動させることができるが、この第2の突出位置よりも手前側へは移動しないようにプッシュロッド4は位置規制されている。一方、プッシュロッド4の往復動作に連動して第2の伝達ピン16の端部16bは、循環型カム溝11もしくは逃げ溝12の各カム面を図8Aの実践矢印もしくは破線矢印で示す方向に沿って選択的にトレースし、この選択は、プッシュロッド4を第1の突出位置から第2の突出位置まで移動させたか否か、換言するなら第2の伝達ピン16の端部16bを循環型カム溝11のカム面D3から逃げ溝12のカム面C2へ移行させたか否かに応じて決定される。
【0019】
このように構成されたICカード用コネクタ装置において、始めに、ICカードの挿着後にこれを排出する通常のイジェクト動作モードについて、主に図8〜10および図12を参照しつつ説明する。まず、ICカードが挿着されていない場合、プッシュロッド4は図12Bに示す所定の進入位置に保持されている。このとき、図10Aに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b1上で係止されているので、プッシュロッド4はコイルばね17の引っ張り力と該伝達ピン15とにより進入位置に安定的に保持されており、また、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面B2上に位置している。
【0020】
そして、ICカードをフレーム3のガイド溝3aに沿って挿入していくと、ピンハウジング2へ向かうICカードが第1および第2の回動アーム6,7の爪片6a,7aを押し込みながら、自身のソケットコンタクトにピンハウジング2のピンコンタクト1を圧入させていくので、コネクタ装置に所定量挿入することによりICカードを各ピンコンタクト1と確実に接続させることができて、図10Bに示す挿着完了状態となる。その際、第1の回動アーム6と第2の回動アーム7はそれぞれ第1の支軸8と第2の支軸9を回転軸として互いに逆向きに回転し、これら回動アーム6,7の回転が舌片6b,7bを介してイジェクトアーム5へ伝達されるので、イジェクトアーム5は第1の支軸8を回転軸として回転し、それに連動して駆動板13がフレーム3に沿って手前側へ移動する。これにより、駆動板13の受部13bが循環型カム溝11のカム面D3上を移動し、受部13bの傾斜面が第2の伝達ピン16の端部16bを循環型カム溝11のカム面B2からカム面A2へと移動させるが、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b1と係止したままなので、ICカードの接続中、プッシュロッド4は前記進入位置に保持されたままの状態が維持される。
【0021】
この状態からICカードを排出させるには、まず、図10Cに示すように、進入位置に保持されているプッシュロッド4をさらに進入方向(ICカード挿入方向)へ押し込み、第1の伝達ピン15の端部15bをハート型カム溝10のカム面b1から離脱させてカム面aへ移行させた後、押し込み力を除去することにより、係止解除されたプッシュロッド4をコイルばね17の引っ張り力で手前側(ICカード排出方向)へ所定量移動させる。その際、図10Dに示すように、プッシュロッド4の移動に伴い第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面n,c2を経てカム面b2へと移行し、また、図12Cに示すように、プッシュロッド4はその係止爪14aがフレーム3の係合突起3eに係止された時点で手前側への移動が規制されるため、プッシュロッド4は第1の突出位置まで突出して停止する。また、こうしてプッシュロッド4が第1の突出位置まで移動する過程で、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面A2からカム面L,D2,K,E3を経てカム面D3へと移行するため、図10Dに示すように、カム面D3内で第2の伝達ピン16の端部16bと駆動板13の受部13bとが対峙することになる。
【0022】
このようにプッシュロッド4を第1の突出位置まで突出させた後、その摘み14を進入方向へ押し込むと、図10E〜図10Gに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bがハート型カム溝10のカム面b2からカム面m,dを経てカム面c1へ移行するので、図12Aに示すフルストロークの状態で押し込み力を除去することにより、図10Hおよび図12Bに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bがハート型カム溝10のカム面b1上で係止されることになって、プッシュロッド4は再び前記進入位置に保持される。その際、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面D3からカム面C3を経てカム面B2に移行するが、この移行過程で該端部16bが駆動板13の受部13bを押圧駆動するため、駆動板13に係合されているイジェクトアーム5が回転し、その回転に伴って第1および第2の回動アーム6,7の爪片6a,7aがICカードの前面両端部を離脱方向へほぼまっすぐに押圧する。その結果、ICカードは排出方向へ若干量押し出されて、そのソケットコンタクトに対するピンコンタクト1の圧入が解除されるので、この状態でICカードの手前側を手指でつまんで引き抜くことにより、該ICカードをコネクタ装置から簡単に排出させることができる。
【0023】
次に、ICカードの挿着後に誤ってプッシュロッド4を突出させてしまうという誤操作が行われた際に必要となるキャンセル動作モードについて、主に図8,9および図11,12を参照しつつ説明する。ここで、図11Aは、図10Bと同様に、ICカードが挿着されていてプッシュロッド4が所定の進入位置に保持されている状態を示しており、この状態で、ICカードの排出を要望していないのにプッシュロッド4を誤って押し込み操作してしまった場合、前述したようにプッシュロッド4は第1の突出位置まで突出し、図11Bおよび図12Cに示すように、循環型カム溝11のカム面D3内で第2の伝達ピン16の端部16aと駆動板13の受部13bとが対峙して、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b2へと移行する。
【0024】
この状態からプッシュロッド4を第1の突出位置でさらに手前へ引っ張り、図12Dに示す第2の突出位置まで突出させると、図11Cに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b2内に留まるが、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面D3から逃げ溝12のカム面C2へと移行する。そして、この第2の突出位置からプッシュロッド4の摘み14を進入方向へ押し込むと、図11D〜図11Gに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b2からカム面m,d,c1を経てカム面b1へと移行し係止されるため、プッシュロッド4は再び進入位置に保持されることになるが、第2の伝達ピン16の端部16bは逃げ溝12のカム面C2からカム面J,E2,D2,Lを経てカム面A2へと移行するので、この移行過程で該端部16bは駆動板13の受部13bを押圧駆動せず、それゆえイジェクトアーム5は回転駆動されず、ICカードは挿着状態に維持されたままとなる。つまり、プッシュロッド4を誤って第1の突出位置まで突出させてしまったときには、該プッシュロッド4を第2の突出位置まで引き出してから押し込むことにより図11Gの状態とすることができ、これは図10Bや図11Aと全く同じ状態であるから、ICカードの接続を解除せずに誤操作前の状態に戻ったことになる。したがって、この後、前述した通常のイジェクト動作モードにおける図10C〜図10Hと同様の動作が支障なく行える。
【0025】
このように本実施例においては、ICカードが挿着されているとき、第1のプッシュ動作でプッシュロッド4を第1の突出位置まで突出させてから、第2のプッシュ動作で該プッシュロッド4を進入方向へ押し込めば、その押し込み力が循環型カム溝11内をトレースする第2の伝達ピン16を介して駆動板13に伝達されて、ICカードの排出が行えるように構成されているので、プッシュロッド4を誤って押し込んだり衝撃を加えてしまった場合にもICカードの接続が遮断されるという事故は起こりにくい。また、例えば上下2段に配置されたイジェクト機構の一方のプッシュロッドを操作する際に他方のプッシュロッドを誤操作してしまった場合のように、ICカードの排出を要望していないのに誤ってプッシュロッド4を第1の突出位置まで突出させてしまった場合には、このプッシュロッド4を第1の突出位置から第2の突出位置まで引き出してから進入方向へ押し込めば、第2の伝達ピン16が循環型カム溝11内の通常の経路から外れて逃げ溝12内をトレースし、該伝達ピン16による駆動板13の押圧駆動を行わずに誤操作前の状態に戻れるように構成されているので、ICカードの排出動作をキャンセルして挿着状態を維持することができる。
【0026】
なお、上述した実施例では1枚のICカードが挿着可能なコネクタ装置を例示して説明したが、本発明は2枚以上のICカードが挿着可能なコネクタ装置にも同様に適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】
ハート型カム溝の所定箇所に第1の伝達ピンを係止させることでプッシュロッドを所定の進入位置に保持することができるとともに、この進入位置にあるプッシュロッドに対する第1のプッシュ動作により、ICカード排出方向へ弾性付勢されているプッシュロッドを第1の突出位置へ移動させて保持状態となすことができる。また、この第1の突出位置にあるプッシュロッドに対する第2のプッシュ動作により、循環型カム溝に沿って移動する第2の伝達ピンを介して挿着状態のICカードを排出することができる。したがって、通常の使用形態であるイジェクト時の操作を2回のプッシュ動作で簡単に行うことができる。また、万一、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って押し込んで進入位置から突出させてしまった場合には、その突出位置(第1の突出位置)からプッシュロッドを手前へ引いて第2の突出位置まで突出させれば、第2の伝達ピンが循環型カム溝から逃げ溝へと移動するので、この第2の突出位置にあるプッシュロッドに対するプッシュ動作により、第2の伝達ピンを逃げ溝に沿って移動させて循環型カム溝に戻すことができ、同時に第1の伝達ピンをハート型カム溝の前記所定箇所に戻すことができるので、ICカードの排出動作をキャンセルしつつプッシュロッドを進入位置に戻すことができる。つまり、このコネクタ装置は、プッシュロッドが誤操作されたり押し込み方向への衝撃を受けた場合に懸念されるICカードの接続遮断事故が防止できるのみならず、イジェクト時の操作性が良好で、且つプッシュロッドが誤操作されても誤操作前の状態に容易に復帰させることができる。しかも、ハート型カム溝をプッシュロッドの操作子に設けて循環型カム溝および逃げ溝をフレームに設けることにより、イジェクト機構をプッシュロッドやフレームに集約的に配設することができるので、ICカード用コネクタ装置の小型化が促進でき、特に複数枚対応のICカード用コネクタ装置に適用した場合に好適となる。
【0029】
また、フレームに沿って往復動作可能に保持されてICカードが挿着されると前記循環型カム溝内へ進出する駆動板を用い、この駆動板を前記第2の伝達ピンが押し込むことでICカードの排出が行われるようにすれば好ましい。そして、前記第2の突出位置にあるプッシュロッドに対するプッシュ動作時に、前記第2の伝達ピンを前記逃げ溝に沿って移動させることにより、該伝達ピンが前記駆動板に当接しない経路で前記循環型カム溝へ戻るようにすれば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るICカード用コネクタ装置の平面図である。
【図2】該コネクタ装置に備えられるイジェクト機構の側面図である。
【図3】該イジェクト機構の分解平面図である。
【図4】図3中に示すフレームの側面図である。
【図5】図3中に示すプッシュロッドの分解側面図である。
【図6】図3中に示す駆動板の側面図である。
【図7】図3中に示す第1および第2の押えバネの側面図である。
【図8】図4中に示す循環型カム溝および逃げ溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図である。
【図9】図5中に示すハート形カム溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図である。
【図10】該イジェクト機構における通常のICカード排出動作を示す説明図である。
【図11】該イジェクト機構における誤操作キャンセル動作を示す説明図である。
【図12】該イジェクト機構におけるプッシュロッドの位置と各カム機構との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ピンコンタクト
2 ピンハウジング
3 フレーム
3a ガイド溝
3b,3c ガイド突部
3e 係合突起
4 プッシュロッド
4a ガイド孔
5 イジェクトアーム
6 第1の回動アーム
7 第2の回動アーム
10 ハート型カム溝
11 循環型カム溝
12 逃げ溝
13 駆動板
13b 受部
14 摘み
14a 係止爪
15 第1の伝達ピン
15a,15b 端部
16 第2の伝達ピン
16a,16b 端部
17 コイルばね
18,19 押えばね
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカードを挿抜して使用される機器に装備されるICカード用コネクタ装置に係り、特に、挿着状態にあるICカードを排出させるためのイジェクト機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICカード用コネクタ装置は通常、ICカード内のソケットコンタクトに接続させるための多数本のピンコンタクトをピンハウジングに配設してなるピンヘッダ部や、挿抜時のICカードをガイドするフレームや、挿着状態のICカードをピンコンタクトから離脱させるためのイジェクト機構部等を備えて概略構成されており、ピンハウジングとフレームを一体成形品としたものも知られている。
【0003】
従来より、前記イジェクト機構部を、フレームの外側面に保持されてICカード挿抜方向に沿って往復動作可能なプッシュロッドと、フレームもしくはピンハウジングに回動自在に支承されたイジェクトレバーとで構成し、このイジェクトレバーの一端部をプッシュロッドに係合させたものが広く採用されている。このようなイジェクト機構部を備えたコネクタ装置にあっては、ICカードが挿着されている状態でプッシュロッドを押し込むと、このプッシュロッドに連動して回転するイジェクトレバーの爪部が該ICカードを手前側へ押圧し、手指で簡単に抜き取れる位置まで該ICカードを排出方向へ移動させることができるが、ICカードが挿着されているときにプッシュロッドが手前側に突出しているため、このプッシュロッドが誤操作されたり衝撃を受けるなどしてICカードが予期せずイジェクトされてしまう危険性があり、その場合、ICカードの接続が遮断されて作動データ消失等のトラブルが発生する。
【0004】
これに対し、実開平6−13072号公報に開示されたICカード用コネクタ装置は、プッシュロッドとスライドプレート間をリンク結合する第1および第2の伝達レバーと、第1の伝達レバーに軸支されて第2の伝達レバーと係脱可能な第3の伝達レバーと、プッシュロッドを所定の進入位置と第1の突出位置とに保持可能なハート型カム機構とを備えており、プッシュロッドの突出量に応じて該プッシュロッドの押し込み力がスライドプレートへ選択的に伝達されるように構成されている。すなわち、ICカードが挿着されている状態で、第3の伝達レバーは第2の伝達レバーと係合しておらず、プッシュロッドは所定量押し込まれた進入位置に保持されているが、プッシュロッドをハート型カム機構によって第1の突出位置まで突出させた後、さらに手前の第2の突出位置まで引くと、この第2の突出位置で第3の伝達レバーが第2の伝達レバーに係合するため、この状態でプッシュロッドを進入位置へ向けて押し込むと、その押し込み力が各伝達レバーを介してスライドプレートに伝達され、このスライドプレートがICカードを手前側に押圧して排出できるようになっている。したがって、このICカード用コネクタ装置は、ICカードの接続中はプッシュロッドを手前側に突出していない進入位置に保持しておき、ICカードの排出時のみプッシュロッドを第2の突出位置まで突出させてから押し込み操作すればよく、プッシュロッドの誤操作等に起因するICカードの接続遮断事故を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように上記公報に開示されたICカード用コネクタ装置は、ICカードの接続中はプッシュロッドを所定の進入位置に保持しておくことができるので、プッシュロッドが誤操作されたり押し込み方向への衝撃を受けた場合に懸念されるICカードの接続遮断事故を防止することができる。また、このICカード用コネクタ装置では、ICカードの排出時にはプッシュロッドを第2の突出位置まで突出させる必要があり、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って第1の突出位置まで突出させてしまった場合は、そのプッシュロッドを第2の突出位置まで引かずに第1の突出位置から押し込むことにより、ICカードを排出させることなくプッシュロッドを再び進入位置に戻せるようになっている。このように構成されていると、例えば2枚対応のICカード用コネクタ装置において上段側のプッシュロッドを押し込むつもりが下段側のプッシュロッドを押し込んでしまった場合のような一瞬の操作ミスが大事に至らず、安心してイジェクト操作を行うことができる。
【0006】
しかしながら、かかる従来のICカード用コネクタ装置は、プッシュロッドとスライドプレートとの間にリンク結合された3つの伝達レバーを介設し、これら各伝達レバーの姿勢に応じてプッシュロッドの押し込み力をスライドプレートへ伝達または遮断するようになっているため、各伝達レバーを回動させる広いスペースが必要となり、ICカード用コネクタ装置の小型化が妨げられるという問題がある。また、このような理由から各伝達レバーは必然的にICカード挿入口の天面または底面側に配置せざるを得ず、特に、2枚以上のICカードが挿抜可能な複数枚対応のICカード用コネクタ装置の場合、複数組の各伝達レバーを十分なスペースを確保して上下方向に積層しなければならないため、ICカード用コネクタ装置が高さ方向にも大型化するという問題が発生する。さらに、かかる従来のICカード用コネクタ装置では、通常のイジェクト時に、進入位置に保持されたプッシュロッドを押し込んで第1の突出位置まで突出させる操作と、第1の突出位置にあるプッシュロッドを第2の突出位置まで引き出す操作と、第2の突出位置まで突出させたプッシュロッドを進入位置へ押し込む操作という3回の操作を必要とするため、イジェクト時の操作が煩雑になるという問題がある。しかも、このようにプッシュロッドを第1の突出位置を経て第2の突出位置まで突出させてからICカード排出動作を行わせるようになっている関係上、プッシュロッドを突出させる操作が連続的に行われやすく、それゆえプッシュロッドを第2の突出位置まで誤って突出させてしまって、ICカードを排出せずにプッシュロッドを元の位置に戻すことができなくなってしまう心配もある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ハート型カム機構により所定の進入位置に保持されたプッシュロッドを押し込むと、該プッシュロッドが手前側へ移動して第1の突出位置に保持されるとともに、この第1の突出位置にあるプッシュロッドを押し込むと、循環型カム溝に係合する伝達ピンを介して該プッシュロッドがICカードを排出するようになし、また、プッシュロッドを第1の突出位置から手前へ引いてさらに突出した第2の突出位置に移動させると前記伝達ピンが前記循環型カム溝から逃げ溝へと移動するようになすことで、この第2の突出位置にあるプッシュロッドを押し込んだ場合には該伝達ピンが該逃げ溝に沿って移動するようにした。
【0008】
このようなICカード用コネクタ装置は、所定の進入位置に保持されているプッシュロッドを押し込んで第1の突出位置に突出させた後、この第1の突出位置で該プッシュロッドを押し込むという2回の操作により、循環型カム溝に沿って移動する伝達ピンを介して挿着状態のICカードが排出できるので、通常の使用形態であるイジェクト時の操作を簡単に行うことができる。また、イジェクトのように通常行われる操作ではないので頻度は少ないが、万一、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って押し込んで進入位置から突出させてしまった場合には、その突出位置(第1の突出位置)からプッシュロッドを手前へ引いて第2の突出位置まで突出させた後、この第2の突出位置でプッシュロッドを押し込めば、前記伝達ピンを逃げ溝に沿って移動させて循環型カム溝に戻すことにより、ICカードの排出動作をキャンセルしつつプッシュロッドを前記進入位置に戻すことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、ICカードを挿抜可能に支持するフレームと、このフレームに沿って往復動作可能に保持されてICカード排出方向へ弾性付勢されたプッシュロッドと、挿着状態のICカードのソケットコンタクトに接続される多数本のピンコンタクトとを有し、ICカードが挿着されている状態で、所定の進入位置に保持された前記プッシュロッドに対する第1のプッシュ動作により該プッシュロッドが手前側へ移動するとともに、所定の突出位置に保持された前記プッシュロッドに対する第2のプッシュ動作により該プッシュロッドがICカードを排出するようにしたICカード用コネクタ装置において、前記プッシュロッドの操作子に刻設されたハート型カム溝と、このハート型カム溝に沿って移動可能となるように前記フレームに直接もしくは間接に取り付けられ該カム溝の所定箇所に係止されると前記プッシュロッドを前記進入位置に保持する第1の伝達ピンと、前記フレームに刻設された循環型カム溝および逃げ溝と、前記第1および第2のプッシュ動作時に前記循環型カム溝に沿って移動可能となるように前記プッシュロッドに取り付けられ該カム溝の所定領域を移動中にICカード排出部材を押圧可能な第2の伝達ピンとを備え、前記第1のプッシュ動作により前記プッシュロッドが前記進入位置から第1の突出位置へ移動して保持されるとともに、該プッシュロッドが前記第1の突出位置にあるときに前記第2のプッシュ動作により前記第2の伝達ピンを介してICカードの排出が行われるようになし、且つ、前記第1の突出位置にある前記プッシュロッドをプル動作によりさらに手前側へ突出した第2の突出位置へ移動可能とし、このプル動作に伴って前記第2の伝達ピンが前記循環型カム溝から前記逃げ溝へと移動するようになし、且つ、前記第2の突出位置にある前記プッシュロッドに対するプッシュ動作により前記第2の伝達ピンが前記逃げ溝に沿って前記循環型カム溝へと移動するようにした。
【0010】
このように構成されるICカード用コネクタ装置は、ハート型カム溝の所定箇所に第1の伝達ピンを係止させることでプッシュロッドを所定の進入位置に保持することができるとともに、この進入位置にあるプッシュロッドに対する第1のプッシュ動作により、ICカード排出方向へ弾性付勢されているプッシュロッドを第1の突出位置へ移動させて保持状態となすことができる。また、この第1の突出位置にあるプッシュロッドに対する第2のプッシュ動作により、循環型カム溝に沿って移動する第2の伝達ピンを介して挿着状態のICカードを排出することができる。したがって、通常の使用形態であるイジェクト時の操作を2回のプッシュ動作で簡単に行うことができる。また、万一、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って押し込んで進入位置から突出させてしまった場合には、その突出位置(第1の突出位置)からプッシュロッドを手前へ引いて第2の突出位置まで突出させれば、第2の伝達ピンが循環型カム溝から逃げ溝へと移動するので、この第2の突出位置にあるプッシュロッドに対するプッシュ動作により、第2の伝達ピンを逃げ溝に沿って移動させて循環型カム溝に戻すことができ、同時に第1の伝達ピンをハート型カム溝の前記所定箇所に戻すことができるので、ICカードの排出動作をキャンセルしつつプッシュロッドを進入位置に戻すことができる。つまり、このICカード用コネクタ装置は、プッシュロッドが誤操作されたり押し込み方向への衝撃を受けた場合に懸念されるICカードの接続遮断事故が防止できるのみならず、イジェクト時の操作性が良好で、且つプッシュロッドが誤操作されても誤操作前の状態に容易に復帰させることができる。しかも、ハート型カム溝をプッシュロッドの操作子に設けて循環型カム溝および逃げ溝をフレームに設けることにより、イジェクト機構をプッシュロッドやフレームに集約的に配設することができるので、ICカード用コネクタ装置の小型化が促進でき、特に複数枚対応のICカード用コネクタ装置に適用した場合に好適となる。
【0011】
例えば、前記ICカード排出部材として、前記フレームに沿って往復動作可能に保持されてICカードが挿着されると前記循環型カム溝内へ進出する駆動板を用い、この駆動板を前記第2の伝達ピンが押し込むことでICカードの排出が行われるようにすればよい。また、前記第2の突出位置にある前記プッシュロッドに対する前記プッシュ動作時に、前記第2の伝達ピンを前記逃げ溝に沿って移動させることにより、該伝達ピンが前記駆動板に当接しない経路で前記循環型カム溝へ戻るようにすればよい。
【0012】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は実施例に係るICカード用コネクタ装置の平面図、図2は該コネクタ装置に備えられるイジェクト機構の側面図、図3は該イジェクト機構の分解平面図、図4は図3中に示すフレームの側面図、図5は図3中に示すプッシュロッドの分解側面図、図6は図3中に示す駆動板の側面図、図7は図3中に示す第1および第2の押えバネの側面図、図8は図4中に示す循環型カム溝および逃げ溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図、図9は図5中に示すハート形カム溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図、図10は該イジェクト機構における通常のICカード排出動作を示す説明図、図11は該イジェクト機構における誤操作キャンセル動作を示す説明図、図12は該イジェクト機構におけるプッシュロッドの位置と各カム機構との関係を示す説明図である。
【0013】
図1〜図3に示すように、本実施例に係るICカード用コネクタ装置は、ICカード(図示せず)内のソケットコンタクトに接続させるための多数本のピンコンタクト1(図1中ではその端子部を示している)を所定の配列で圧入固定してなるピンハウジング2と、このピンハウジング2の左右両側に固定され、挿抜時のICカードを幅方向両側からガイド溝3aに沿ってガイドする一対のフレーム3と、一方のフレーム3に取着されたプッシュロッド4と、ピンハウジング2に軸支されたイジェクトアーム5と第1および第2の回動アーム6,7等によって主に構成されており、プッシュロッド4とイジェクトアーム5間に後述するイジェクト機構が介設されている。
【0014】
前記ピンハウジング2には所定の間隔を存して第1の支軸8と第2の支軸9が設けられており、第1の支軸8にイジェクトアーム5の一端が回動自在に支承されている。このイジェクトアーム5には連結孔5aと係合部5bが形成されており、係合部5bは一方のフレーム3の側方へ突出している。第1の回動アーム6も第1の支軸8に回動自在に支承されており、この回動アーム6にはICカードを押し出すための爪片6aと、イジェクトアーム5の連結孔5a内に突出する舌片6bとが形成されている。一方、第2の回動アーム7は第2の支軸9に回動自在に支承されており、この回動アーム7にはICカードを押し出すための爪片7aと、イジェクトアーム5の連結孔5a内に突出する舌片7bとが形成されている。
【0015】
前記イジェクト機構の構成について詳述すると、図4に示すように、前記フレーム3の外側面には一対のガイド突部3b,3cが設けられており、これらガイド突部3b,3cの間に循環型カム溝11および逃げ溝12が刻設されている。これらの循環型カム溝11および逃げ溝12は図8に示すように、高さの異なる複数のカム面を有し、カム面D3,C3,B2,……,K,E3,D3と循環する溝経路が循環型カム溝11であり、カム面C2からカム面J,E2を経てカム面A2へ至る溝経路が逃げ溝12なので、カム溝11と逃げ溝12は共通するカム面A2,L,D2を有することになる。また、図5に示すように、プッシュロッド4の一端には操作子となる摘み14が取り付けられており、この摘み14の内側面にハート型カム溝10が刻設されている。このハート型カム溝10も図9に示すように高さの異なる複数のカム面を有し、カム面c1,b1,a,……,m,d,c1と循環する溝経路からなる。このプッシュロッド4はフレーム3の前記ガイド突部3b,3cと係合しているので、ICカード挿抜方向に沿って往復移動できるように該フレーム3に保持されている。すなわち、このプッシュロッド4は、図3,5に示すように、摘み14の内側部に形成されている係止爪14a上の隙間にガイド突部3cが挿入されて係合しているとともに、摘み14側とは逆側に形成されているガイド孔4aにガイド突部3bが挿入されて係合している。なお、このプッシュロッド4には図5に示すように、後述する伝達ピン用の取付孔4b、逃げ孔4cおよび搭載部4dや、摘み14を取り付けるための突起4eや、後述する押えばね用の突起4fや、コイルばね17の一端部を係止するためのフック4g等が設けられており、該フック4gとフレーム3に設けられたフック3dとの間に張架されたコイルばね17によってプッシュロッド4は手前側(ICカード排出方向)へ弾性付勢されている。また、フレーム3のガイド突部3cの近傍には、プッシュロッド4の前記係止爪14aを係脱させるための係合突起3eが設けられている。
【0016】
また、図2,6に示すように、前記ガイド突部3bが挿入されるガイド孔13aを設けた駆動板13が、フレーム3の外側面に往復移動できるように保持されており、この駆動板13の上からプッシュロッド4が組み込まれている。駆動板13にはその一端部に受部13bが突設されているとともに、他端部に係合孔13cが穿設されている。この受部13bは、フレーム3に形成されている循環型カム溝11のカム面C3やカム面D3と重なり合う位置まで移動することが可能であり、また、係合孔13cには前記イジェクトアーム5の係合部5bが係合している。
【0017】
さらに、このイジェクト機構には、図3に示すように、フレーム3に設けられた取付穴3fに一端部15aが挿入されて軸支され他端部15bが前記ハート型カム溝10に係合している第1の伝達ピン15と、この伝達ピン15の端部15bをハート型カム溝10に向けて弾性付勢し該カム溝10からの脱落を防止している第1の押えばね18と、一端部16aがプッシュロッド4の取付孔4bに挿入されて軸支され他端部16bが逃げ孔4cを貫通して前記循環型カム溝11および逃げ溝12と係合している第2の伝達ピン16と、この伝達ピン16の端部16bをフレーム3に向けて弾性付勢しカム溝11や逃げ溝12からの脱落を防止している第2の押えばね19とが具備されている。すなわち、プッシュロッド4がフレーム3に対して往復移動するのに伴い、該フレーム3に軸支されている第1の伝達ピン15の端部15bがハート型カム溝10に沿って移動するとともに、該プッシュロッド4に軸支されている第2の伝達ピン16の端部16bが循環型カム溝11や逃げ溝12に沿って移動するようになっている。そして、第1の伝達ピン15の端部15bをハート型カム溝10のカム面b1上に位置させて操作力が付与されていなければ、前記コイルばね17に付勢されるプッシュロッド4が該伝達ピン15によって係止され、また、循環型カム溝11のカム面D3上で駆動板13の受部13bと第2の伝達ピン16の端部16bとが対峙しているときプッシュロッド4を押し込むと、該端部16bが駆動板13を押圧駆動するように設定してある。なお、図3,7に示すように、第1の押えばね18はその取付孔18aに第1の伝達ピン15の端部15aを挿通して位置決めされた状態でフレーム3に取り付けられており、第2の押えばね19はその取付孔19aに前記突起4fを挿通して位置決めされた状態で一対の爪片19bによりプッシュロッド4に取り付けられている。また、第2の伝達ピン16は一端部16aに近い側がプッシュロッド4の前記搭載部4d上に搭載された状態で他端部16bに近い側が第2の押えばね19に弾性付勢されているので、この伝達ピン16は支点となる搭載部4d上で摺動しながら循環型カム溝11や逃げ溝12に沿って移動する。
【0018】
上述したカム機構についてさらに詳しく述べると、プッシュロッド4の往復動作に連動して第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10の各カム面を図9Aの矢印で示す方向に沿ってトレースし、端部15bがカム面b1上で係止されているとき、プッシュロッド4は図12Bに示す所定の進入位置に保持されている。そして、端部15bがカム面a,nを経てカム面b2へ移行し、摘み14の前記係止爪14aがフレーム3の前記係合突起3eに係止された時点で、プッシュロッド4は図12Cに示す第1の突出位置に保持される。また、図12Dに示すように、摘み14の係止爪14aとフレーム3の係合突起3eとの係合力に抗してプッシュロッド4を第1の突出位置からさらに手前側の第2の突出位置まで移動させることができるが、この第2の突出位置よりも手前側へは移動しないようにプッシュロッド4は位置規制されている。一方、プッシュロッド4の往復動作に連動して第2の伝達ピン16の端部16bは、循環型カム溝11もしくは逃げ溝12の各カム面を図8Aの実践矢印もしくは破線矢印で示す方向に沿って選択的にトレースし、この選択は、プッシュロッド4を第1の突出位置から第2の突出位置まで移動させたか否か、換言するなら第2の伝達ピン16の端部16bを循環型カム溝11のカム面D3から逃げ溝12のカム面C2へ移行させたか否かに応じて決定される。
【0019】
このように構成されたICカード用コネクタ装置において、始めに、ICカードの挿着後にこれを排出する通常のイジェクト動作モードについて、主に図8〜10および図12を参照しつつ説明する。まず、ICカードが挿着されていない場合、プッシュロッド4は図12Bに示す所定の進入位置に保持されている。このとき、図10Aに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b1上で係止されているので、プッシュロッド4はコイルばね17の引っ張り力と該伝達ピン15とにより進入位置に安定的に保持されており、また、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面B2上に位置している。
【0020】
そして、ICカードをフレーム3のガイド溝3aに沿って挿入していくと、ピンハウジング2へ向かうICカードが第1および第2の回動アーム6,7の爪片6a,7aを押し込みながら、自身のソケットコンタクトにピンハウジング2のピンコンタクト1を圧入させていくので、コネクタ装置に所定量挿入することによりICカードを各ピンコンタクト1と確実に接続させることができて、図10Bに示す挿着完了状態となる。その際、第1の回動アーム6と第2の回動アーム7はそれぞれ第1の支軸8と第2の支軸9を回転軸として互いに逆向きに回転し、これら回動アーム6,7の回転が舌片6b,7bを介してイジェクトアーム5へ伝達されるので、イジェクトアーム5は第1の支軸8を回転軸として回転し、それに連動して駆動板13がフレーム3に沿って手前側へ移動する。これにより、駆動板13の受部13bが循環型カム溝11のカム面D3上を移動し、受部13bの傾斜面が第2の伝達ピン16の端部16bを循環型カム溝11のカム面B2からカム面A2へと移動させるが、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b1と係止したままなので、ICカードの接続中、プッシュロッド4は前記進入位置に保持されたままの状態が維持される。
【0021】
この状態からICカードを排出させるには、まず、図10Cに示すように、進入位置に保持されているプッシュロッド4をさらに進入方向(ICカード挿入方向)へ押し込み、第1の伝達ピン15の端部15bをハート型カム溝10のカム面b1から離脱させてカム面aへ移行させた後、押し込み力を除去することにより、係止解除されたプッシュロッド4をコイルばね17の引っ張り力で手前側(ICカード排出方向)へ所定量移動させる。その際、図10Dに示すように、プッシュロッド4の移動に伴い第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面n,c2を経てカム面b2へと移行し、また、図12Cに示すように、プッシュロッド4はその係止爪14aがフレーム3の係合突起3eに係止された時点で手前側への移動が規制されるため、プッシュロッド4は第1の突出位置まで突出して停止する。また、こうしてプッシュロッド4が第1の突出位置まで移動する過程で、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面A2からカム面L,D2,K,E3を経てカム面D3へと移行するため、図10Dに示すように、カム面D3内で第2の伝達ピン16の端部16bと駆動板13の受部13bとが対峙することになる。
【0022】
このようにプッシュロッド4を第1の突出位置まで突出させた後、その摘み14を進入方向へ押し込むと、図10E〜図10Gに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bがハート型カム溝10のカム面b2からカム面m,dを経てカム面c1へ移行するので、図12Aに示すフルストロークの状態で押し込み力を除去することにより、図10Hおよび図12Bに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bがハート型カム溝10のカム面b1上で係止されることになって、プッシュロッド4は再び前記進入位置に保持される。その際、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面D3からカム面C3を経てカム面B2に移行するが、この移行過程で該端部16bが駆動板13の受部13bを押圧駆動するため、駆動板13に係合されているイジェクトアーム5が回転し、その回転に伴って第1および第2の回動アーム6,7の爪片6a,7aがICカードの前面両端部を離脱方向へほぼまっすぐに押圧する。その結果、ICカードは排出方向へ若干量押し出されて、そのソケットコンタクトに対するピンコンタクト1の圧入が解除されるので、この状態でICカードの手前側を手指でつまんで引き抜くことにより、該ICカードをコネクタ装置から簡単に排出させることができる。
【0023】
次に、ICカードの挿着後に誤ってプッシュロッド4を突出させてしまうという誤操作が行われた際に必要となるキャンセル動作モードについて、主に図8,9および図11,12を参照しつつ説明する。ここで、図11Aは、図10Bと同様に、ICカードが挿着されていてプッシュロッド4が所定の進入位置に保持されている状態を示しており、この状態で、ICカードの排出を要望していないのにプッシュロッド4を誤って押し込み操作してしまった場合、前述したようにプッシュロッド4は第1の突出位置まで突出し、図11Bおよび図12Cに示すように、循環型カム溝11のカム面D3内で第2の伝達ピン16の端部16aと駆動板13の受部13bとが対峙して、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b2へと移行する。
【0024】
この状態からプッシュロッド4を第1の突出位置でさらに手前へ引っ張り、図12Dに示す第2の突出位置まで突出させると、図11Cに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b2内に留まるが、第2の伝達ピン16の端部16bは循環型カム溝11のカム面D3から逃げ溝12のカム面C2へと移行する。そして、この第2の突出位置からプッシュロッド4の摘み14を進入方向へ押し込むと、図11D〜図11Gに示すように、第1の伝達ピン15の端部15bはハート型カム溝10のカム面b2からカム面m,d,c1を経てカム面b1へと移行し係止されるため、プッシュロッド4は再び進入位置に保持されることになるが、第2の伝達ピン16の端部16bは逃げ溝12のカム面C2からカム面J,E2,D2,Lを経てカム面A2へと移行するので、この移行過程で該端部16bは駆動板13の受部13bを押圧駆動せず、それゆえイジェクトアーム5は回転駆動されず、ICカードは挿着状態に維持されたままとなる。つまり、プッシュロッド4を誤って第1の突出位置まで突出させてしまったときには、該プッシュロッド4を第2の突出位置まで引き出してから押し込むことにより図11Gの状態とすることができ、これは図10Bや図11Aと全く同じ状態であるから、ICカードの接続を解除せずに誤操作前の状態に戻ったことになる。したがって、この後、前述した通常のイジェクト動作モードにおける図10C〜図10Hと同様の動作が支障なく行える。
【0025】
このように本実施例においては、ICカードが挿着されているとき、第1のプッシュ動作でプッシュロッド4を第1の突出位置まで突出させてから、第2のプッシュ動作で該プッシュロッド4を進入方向へ押し込めば、その押し込み力が循環型カム溝11内をトレースする第2の伝達ピン16を介して駆動板13に伝達されて、ICカードの排出が行えるように構成されているので、プッシュロッド4を誤って押し込んだり衝撃を加えてしまった場合にもICカードの接続が遮断されるという事故は起こりにくい。また、例えば上下2段に配置されたイジェクト機構の一方のプッシュロッドを操作する際に他方のプッシュロッドを誤操作してしまった場合のように、ICカードの排出を要望していないのに誤ってプッシュロッド4を第1の突出位置まで突出させてしまった場合には、このプッシュロッド4を第1の突出位置から第2の突出位置まで引き出してから進入方向へ押し込めば、第2の伝達ピン16が循環型カム溝11内の通常の経路から外れて逃げ溝12内をトレースし、該伝達ピン16による駆動板13の押圧駆動を行わずに誤操作前の状態に戻れるように構成されているので、ICカードの排出動作をキャンセルして挿着状態を維持することができる。
【0026】
なお、上述した実施例では1枚のICカードが挿着可能なコネクタ装置を例示して説明したが、本発明は2枚以上のICカードが挿着可能なコネクタ装置にも同様に適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】
ハート型カム溝の所定箇所に第1の伝達ピンを係止させることでプッシュロッドを所定の進入位置に保持することができるとともに、この進入位置にあるプッシュロッドに対する第1のプッシュ動作により、ICカード排出方向へ弾性付勢されているプッシュロッドを第1の突出位置へ移動させて保持状態となすことができる。また、この第1の突出位置にあるプッシュロッドに対する第2のプッシュ動作により、循環型カム溝に沿って移動する第2の伝達ピンを介して挿着状態のICカードを排出することができる。したがって、通常の使用形態であるイジェクト時の操作を2回のプッシュ動作で簡単に行うことができる。また、万一、ICカードの排出を要望していないのに拘らずプッシュロッドを誤って押し込んで進入位置から突出させてしまった場合には、その突出位置(第1の突出位置)からプッシュロッドを手前へ引いて第2の突出位置まで突出させれば、第2の伝達ピンが循環型カム溝から逃げ溝へと移動するので、この第2の突出位置にあるプッシュロッドに対するプッシュ動作により、第2の伝達ピンを逃げ溝に沿って移動させて循環型カム溝に戻すことができ、同時に第1の伝達ピンをハート型カム溝の前記所定箇所に戻すことができるので、ICカードの排出動作をキャンセルしつつプッシュロッドを進入位置に戻すことができる。つまり、このコネクタ装置は、プッシュロッドが誤操作されたり押し込み方向への衝撃を受けた場合に懸念されるICカードの接続遮断事故が防止できるのみならず、イジェクト時の操作性が良好で、且つプッシュロッドが誤操作されても誤操作前の状態に容易に復帰させることができる。しかも、ハート型カム溝をプッシュロッドの操作子に設けて循環型カム溝および逃げ溝をフレームに設けることにより、イジェクト機構をプッシュロッドやフレームに集約的に配設することができるので、ICカード用コネクタ装置の小型化が促進でき、特に複数枚対応のICカード用コネクタ装置に適用した場合に好適となる。
【0029】
また、フレームに沿って往復動作可能に保持されてICカードが挿着されると前記循環型カム溝内へ進出する駆動板を用い、この駆動板を前記第2の伝達ピンが押し込むことでICカードの排出が行われるようにすれば好ましい。そして、前記第2の突出位置にあるプッシュロッドに対するプッシュ動作時に、前記第2の伝達ピンを前記逃げ溝に沿って移動させることにより、該伝達ピンが前記駆動板に当接しない経路で前記循環型カム溝へ戻るようにすれば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るICカード用コネクタ装置の平面図である。
【図2】該コネクタ装置に備えられるイジェクト機構の側面図である。
【図3】該イジェクト機構の分解平面図である。
【図4】図3中に示すフレームの側面図である。
【図5】図3中に示すプッシュロッドの分解側面図である。
【図6】図3中に示す駆動板の側面図である。
【図7】図3中に示す第1および第2の押えバネの側面図である。
【図8】図4中に示す循環型カム溝および逃げ溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図である。
【図9】図5中に示すハート形カム溝の詳細な形状と各カム面の高さを示す説明図である。
【図10】該イジェクト機構における通常のICカード排出動作を示す説明図である。
【図11】該イジェクト機構における誤操作キャンセル動作を示す説明図である。
【図12】該イジェクト機構におけるプッシュロッドの位置と各カム機構との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ピンコンタクト
2 ピンハウジング
3 フレーム
3a ガイド溝
3b,3c ガイド突部
3e 係合突起
4 プッシュロッド
4a ガイド孔
5 イジェクトアーム
6 第1の回動アーム
7 第2の回動アーム
10 ハート型カム溝
11 循環型カム溝
12 逃げ溝
13 駆動板
13b 受部
14 摘み
14a 係止爪
15 第1の伝達ピン
15a,15b 端部
16 第2の伝達ピン
16a,16b 端部
17 コイルばね
18,19 押えばね
Claims (3)
- ICカードを挿抜可能に支持するフレームと、このフレームに沿って往復動作可能に保持されてICカード排出方向へ弾性付勢されたプッシュロッドと、挿着状態のICカードのソケットコンタクトに接続される多数本のピンコンタクトとを有し、ICカードが挿着されている状態で、所定の進入位置に保持された前記プッシュロッドに対する第1のプッシュ動作により該プッシュロッドが手前側へ移動するとともに、所定の突出位置に保持された前記プッシュロッドに対する第2のプッシュ動作により該プッシュロッドがICカードを排出するようにしたICカード用コネクタ装置において、
前記プッシュロッドの操作子に刻設されたハート型カム溝と、このハート型カム溝に沿って移動可能となるように前記フレームに直接もしくは間接に取り付けられ該カム溝の所定箇所に係止されると前記プッシュロッドを前記進入位置に保持する第1の伝達ピンと、前記フレームに刻設された循環型カム溝および逃げ溝と、前記第1および第2のプッシュ動作時に前記循環型カム溝に沿って移動可能となるように前記プッシュロッドに取り付けられ該カム溝の所定領域を移動中にICカード排出部材を押圧可能な第2の伝達ピンとを備え、
前記第1のプッシュ動作により前記プッシュロッドが前記進入位置から第1の突出位置へ移動して保持されるとともに、該プッシュロッドが前記第1の突出位置にあるときに前記第2のプッシュ動作により前記第2の伝達ピンを介してICカードの排出が行われるようになし、且つ、前記第1の突出位置にある前記プッシュロッドをプル動作によりさらに手前側へ突出した第2の突出位置へ移動可能とし、このプル動作に伴って前記第2の伝達ピンが前記循環型カム溝から前記逃げ溝へと移動するようになし、且つ、前記第2の突出位置にある前記プッシュロッドに対するプッシュ動作により前記第2の伝達ピンが前記逃げ溝に沿って前記循環型カム溝へと移動するように構成したことを特徴とするICカード用コネクタ装置。 - 前記ICカード排出部材が、前記フレームに沿って往復動作可能に保持されてICカードが挿着されると前記循環型カム溝内へ進出する駆動板であって、この駆動板を前記第2の伝達ピンが押し込むことでICカードの排出が行われるようにしたことを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ装置。
- 前記第2の突出位置にある前記プッシュロッドに対する前記プッシュ動作時に、前記第2の伝達ピンを前記逃げ溝に沿って移動させることにより、該伝達ピンが前記駆動板に当接しない経路で前記循環型カム溝へ戻るようにしたことを特徴とする請求項2記載のICカード用コネクタ装置。
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