JP3572696B2 - ポリエステル嵩高織物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は嵩高性に富み、しかも反発感、軽量感を合わせもつポリエステル嵩高織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、嵩高織物は数多く提案されてきている。たとえば、仮撚加工や空気混繊による芯鞘複合糸のように大きな糸長差を付加してふくらみを持たせる方法があるが、これらの方法によって大きな糸長差を形成するとややもすれば織物準備工程での通過性が悪く、生産性を著しく損なうといった問題が生じる。また、糸長差を大きくするあまり、嵩高性は大きくなるが、それがかえって、ふかつきを誘発したり、スナッグやピリングなど織物物性を阻害する結果となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上の方法では成し得なかった、中空内外層繊維を芯部に、鞘部に通常ポリエステル糸とを配した複合混繊糸からなる織物であって、嵩高性を高めるとともに、反発性、軽量感にすぐれた織物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル嵩高織物は上記した課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、
2種のポリエステルフィラメント糸を混繊交絡した芯鞘複合糸を経糸および/または緯糸に用いてなるポリエステル嵩高織物であって、該複合糸の主として芯部を構成するポリエステルフィラメント糸は隣合う頂点間の辺部の形状値を1.001.10とする三角形以上六角形以下の多角断面を有し、中空率が10%以上40%未満のフィラメントからなり、主として鞘部を構成するポリエステルフィラメント糸の複屈折率Δnが60×10-3〜140×10-3であることを特徴とするポリエステル嵩高織物である。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
本発明のポリエステル嵩高織物は2種のポリエステルフィラメント糸を混繊交絡した芯鞘複合糸を経糸および/または緯糸に用いてなる。
【0007】
本発明のポリエステル嵩高織物に用いる芯鞘複合糸の主として芯部を構成するポリエステルフィラメント糸についてまず説明すると、フィラメント糸を構成するフィラメントは隣合う頂点間の辺部の形状値を1.001.10とする三角形以上六角形以下の多角断面を有するものである。
【0008】
本発明において頂点間の辺部の形状値とは、繊維の横断面を示す図1で説明すると、隣り合う頂点を結ぶ基準線を引き、繊維軸の中心から基準線までをRとし、基準線から辺部の凸部までをtとしたとき、(R+t)/Rで求められる値をいう。この形状値が1の場合は、辺部に凹凸がない直線を意味し、形状値が1を越える場合は辺部が凸状であることを意味する。また、形状値が1未満の場合は、辺部が凹部形状であることを意味する。
【0009】
なお、図1において、1は繊維外層部、2は繊維内層部、3は中空部、4は頂点部、5は辺部を示す。
【0010】
本発明においては、芯鞘複合糸の主として芯部を構成するポリエステルフィラメント糸の形状値を1.00〜1.10とするものである。形状値が1.00未満では外層成分の比率が増加し、排除体積は大きくなるが、内層成分が少なくなり、潰れたり、破れやすくなる。一方、形状値が1.10を越える場合には外層成分の比率が少なくなり、溶解除去による排除体積が減少するため、嵩高性が低下する。
【0011】
また、本発明において、芯鞘複合糸の主として芯部を構成するポリエステルフィラメント糸を構成するフィラメントは三角形以上六角形以下の多角断面を有するものである。七角形を越える多角断面では、外層を溶解除去しても繊維間の空隙が少なく、嵩高とすることが出来ず、また、軽量化することも困難となる。
【0012】
本発明のポリエステル嵩高織物に用いる芯鞘複合糸の主として芯部を形成する異型断面中空ポリエステルフィラメント糸の中空率は10%以上40%以下、好ましくは15〜25%とするものである。中空率が40%を越える場合には、軽量感は増すが、製織工程以降の張力などの付加により、断面形状保持性が著しく低下し、中空部が潰れたり、破れたりしやすくなる。一方10%未満では嵩高や軽量化などが不十分である。
【0013】
中空部を有するとその分だけ排除体積が増加するため、中実繊維(非中空繊維)に比べて軽量感の優れた素材が得られるほか、曲げ剛性が中実繊維(非中空繊維)に比較して優れる利点があり、織物としたとき適度な張り、腰、反発感を得ることができるのである。中空率は、繊維横断面における内層部分の断面積と中空部の断面積の和に対する中空部の断面積によって表す。
【0014】
このような異型断面中空ポリエステルフィラメント糸は、内外層複合中空繊維の外層部分を溶解除去して得ることができる。
【0015】
外層成分には例えば5−ソジウムスルフォイソフタル酸を共重合したポリエステルを用いることができ、この場合の5−ソジウムスルフォイソフタル酸の共重合率は1.0モル%以上、さらには2.0モル%以上、特に4.0モル%以上とするのが好ましい。
【0016】
なお、複合繊維強度が著しく低下し、高次工程での取扱いが難しくなるのを防ぐ観点から、5−ソジウムスルフォイソフタル酸の共重合率は6モル%以下にするのが好ましい。
【0017】
上記のように、辺部を直線とする所望の断面形状を安定して製造するためには、内層成分のポリエステルポリマーの溶融粘度を外層成分のポリエステルポリマーの溶融粘度の1.2〜6倍とするのが好ましい。さらに、内層部の複合比率も外周形状の辺部の形状値の変動を左右する要素であり、所定の形状を容易に作る観点からは、内層部の複合比率を45〜75重量%、さらには45〜65重量%とするのが好ましい。
【0018】
本発明のポリエステル嵩高織物に用いる芯鞘複合糸の主として鞘部を構成するポリエステルフィラメント糸の複屈折率Δnは60×10−3〜140×10−3、好ましくは70×10−3〜130×10−3、特に好ましくは80×10−3〜120×10−3とするものである。複屈折率Δnが60×10−3に満たないと布帛とした時に、柔らかく、濃色に染色できるものの、染色堅牢度、フロスティングなどの特性を損ねる。一方140×10−3を越えると、粗硬感が強く、かつ濃色効果が減退する。なお、このような複屈折率Δnを有するポリエステルフィラメントは、ポリエステル未延伸糸または半延伸糸をその自然延伸倍率の80%以下で不完全延伸することによって得ることができる。
【0019】
この不完全延伸糸は、伸度が大きく、熱水収縮率は芯糸となる前記中空複合繊維よりも小さく、柔軟で配向度も小さく、高染色性を呈するという利点もある。次に本発明のポリエステル嵩高織物に用いる芯鞘複合糸を得るための混繊方法の例について説明する。
【0020】
図2は本発明に用いる混繊糸を製造するための装置の一例を示す。第1のフィードローラー7からは、ポリエステル系フィメント未延伸糸または半延伸糸6が供給され、該糸条は第1フィードローラー7と延伸ローラー9の間で所定の延伸倍率に熱延伸され、不完全延伸糸となる。そして、この不完全延伸糸は鞘糸として延伸ローラー9から流体処理ノズル13に供給される。一方、第2フィードローラー11より供給される芯糸となる、中空内外層複合繊維10が導糸ガイド12を介して、同様に流体処理ノズル13に供給される。流体処理ノズル13に入った2本の糸条は、互いに交絡され複合糸となり引取ローラー14によって引き取られ、巻取装置15によってパッケージ16に巻き取られる。
【0021】
図2のように、鞘糸となる糸条6には、ポリエステル系フィメント未延伸糸、または半延伸糸が用いられ、第1フィードローラー7と延伸ローラー9によって、所定の延伸倍率で延伸されるが、この延伸倍率は使用される未延伸糸または半延伸糸の自然延伸倍率の80%以下であって、完全な延伸糸にはなされていない、不完全延伸糸の状態に保持される。
【0022】
本発明の織物は、上記の混繊複合糸を経糸および/または緯糸に用いるものである。混繊複合糸を経糸に用いる場合には経糸の大部分を該混繊複合糸とするのが好ましい。同様に混繊複合糸を緯糸に用いる場合には経糸の大部分を該混繊複合糸とするのが好ましく、経糸および緯糸の双方に用いる場合には経糸および緯糸の大部分を該混繊複合糸とするのが好ましい。
【0023】
製織後、熱処理により十分リラックスさせ、ふくらみ感を与えた後、芯糸である中空内外層複合繊維の外層成分を溶解除去して所定の異型断面とするものである。この時、外層成分の複合比率を越えて内層成分までも溶解除去すると、内層成分の肉厚が薄くなり、中空部が潰れたり、破れたりしやすく成って、目的を達成することが困難になるので溶解除去にあたっては厳密な制御が要求される。
【0024】
5−ソジウムイソフタル酸共重合ポリエステルを外層に配置する場合には、制御をより容易にするため、溶解除去前にマレイン酸などの酸性溶液で、外層成分を脆化した後、アルカリ処理により溶解除去する方法を適用すると良い。
【0025】
このようにして、外層成分を溶解除去することにより、他方の糸との単繊維間に空隙が形成されるため、芯鞘構造と相俟って、嵩高のある織物を創出することが出来るばかりでなく、中空部との相乗効果により、反発性、軽量性も発揮されるのである。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によりさらに具体的に本発明を説明する。
【0027】
(実施例1、2)
繊度85デニール(溶出後50デニール)、24フィラメント、外層部溶解除去後の中空率22.7%,形状値1.05,内層部複合比率60%、沸水収縮率14%の中空内外層複合繊維を芯糸に、鞘糸に紡速3000m/分複屈折Δ40×10−3、繊度85デニール、48フィラメントのポリエステル高配向未延伸糸を使用し、図2に示した装置を用い、鞘糸のオーバーフィード率を18%、芯糸のオーバーフィード率8%、圧空圧力6kg/cm、流体処理ノズルは乱流流体処理ノズルとし、鞘糸の延伸条件を自然延伸倍率に対し55%、熱板温度150℃で加工した。得られた複合糸の主として鞘糸を構成するフィラメント成分の複屈折率Δnは100×10−3であった。
【0028】
この複合糸をタテ糸にヨコ糸には通常のポリエステル加工糸を使用、撚数はそれぞれ1500T/M,1800T/Mで織成した。染色加工工程にて、リラックス熱処理を経て、マレイン酸1 g/l 溶液、温度120℃×30分の条件で酸処理後、1%水酸化ナトリウム溶液、80℃×40分の処理を行い、外層成分を溶解除去した。
【0029】
得られた織物の嵩高度、曲げ特性を評価し、表1、表2に示す通り良好な結果を得た。
【0030】
【表1】
Figure 0003572696
【表2】
Figure 0003572696
(比較例1)
繊度85デニール(溶出後50デニール)、24フィラメント、外層部溶解除去後の中空率21.5%,形状値1.19,内層部複合比率60%、沸水収縮率14%の中空内外層複合繊維を芯糸に、鞘糸、および混繊加工、染色加工条件は実施例1、2と同条件で実施した結果、複合糸の主として鞘糸を構成するフィラメント成分の複屈折率Δnは100×10−3であった。嵩高度、曲げ特性、風合いは表1、表2に示す通り満足の行くものでなかった。
【0031】
(比較例2)
繊度75デニール、12フィラメントの通常ポリエステルマルチフィラメントの中実繊維(非中空繊維)を芯糸に、鞘糸、および混繊加工条件は実施例1、2と同様で複合糸を得た。この複合糸をタテ糸にヨコ糸には通常のポリエステル加工糸を使用、撚数はそれぞれ1500T/M,1800T/Mで織成した。一般の染色加工工程にて実施し、得られた織物を評価した結果、複合糸の主として鞘糸を構成するフィラメント成分の複屈折率Δnは100×10−3であった。表1、表2に示すとおり満足の行く布帛は得られなかった。
【0032】
(比較例3)
繊度75デニール、24フィラメント、中空率18.4%、丸断面中空ポリエステルマルチフィラメント糸を芯糸に、他条件は比較例2と同条件にて実施し、織物を得た。複合糸の主として鞘糸を構成するフィラメント成分の複屈折率Δnは100×10−3であった。評価の結果は表1、表2に示すとおり満足の行く布帛は得られなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の嵩高織物は、単繊維間の空隙形成による嵩高性、中空部による軽量感、反発感を合わせもつ、これまでの異型断面中空混繊糸では到底得られなかった、新規な嵩高性素材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の嵩高織物に用いる混繊糸の芯部を構成する内外層複合繊維の断面形状を表す繊維横断面図。
【図2】本発明の嵩高織物に用いる混繊糸を製造するための装置の概念図。
【符号の説明】
1…外層部
2…内層部
3…中空部
4…頂点部
5…辺部
R…頂点間を結ぶ基準線と繊維中心からの距離
t…基準線から辺部の最大膨らみまでの距離
6…鞘糸(未延伸糸または半延伸糸)
7…第1フィードローラー
8…熱板
9…延伸ローラー
10…芯糸(内外層複合繊維)
11…第2フィードローラー
12…導糸ガイド
13…流体処理ノズル
14…引取りローラー
15…巻取り装置
16…パッケージ

Claims (2)

  1. 2種のポリエステルフィラメント糸を混繊交絡した芯鞘複合糸を経糸および/または緯糸に用いてなるポリエステル嵩高織物であって、該複合糸の主として芯部を構成するポリエステルフィラメント糸が隣合う頂点間の辺部の形状値を1.001.10とする三角形以上六角形以下の多角断面を有し、中空率が10%以上40%未満であり、主として鞘部を構成するポリエステルフィラメント糸の複屈折率Δnが60×10-3〜140×10-3であることを特徴とするポリエステル嵩高織物。
  2. 複合糸の主として芯部を構成するポリエステルフィラメント糸は、製織後の減量加工において、内外層複合中空繊維の外層部分を除去して得られる異形断面中空糸であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル嵩高織物。
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