JP3572879B2 - 車載のジャイロ式ヨーレートセンサのドリフト量演算方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヨーレートセンサのドリフト量演算方法に係り、更に詳細には車載のジャイロ式ヨーレートセンサのドリフト量演算方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に搭載されるヨーレートセンサに於いては、種々の要因によりヨーレートセンサにより検出されるヨーレートと車輌の実際のヨーレートとの間にずれが生じることがあり、両者のずれは一般にドリフトと呼ばれている。かかるヨーレートセンサのドリフトを補正する方法の一つとして、例えば特開昭64−26161号公報に記載されている如く、車輌が停車状態にあるか否かを判定し、車輌の停車状態が判定されるとヨーレートセンサの出力に基づきヨーレートセンサのドリフト量を演算し、ヨーレートセンサの出力よりドリフト量を減算する方法が従来より知られている。
【0003】
一般に、車輌が停車状態にあるときには車輌の実際のヨーレートは0であり、車輌が停車状態にあるときのヨーレートセンサの出力はヨーレートセンサのドリフト量に相当するので、上記従来のドリフト補正方法によれば、ヨーレートセンサのドリフトを演算されたドリフト量にて相殺し、これにより車輌の実際のヨーレートを正確に求めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車輌の停車状態は一般に車輪速度センサの如き車載のセンサによる検出結果に基づき判定されるようになっており、これらのセンサの検出結果から車輌が停車状態にあると判定される場合であっても、例えば車輌がフェリーボートやターンテーブルに搭乗している場合の如く、車輌が実際に地球に対し相対的にヨー運動している場合がある。
【0005】
従ってヨーレートセンサが自動車等の車輌に一般的に使用されているジャイロ式のヨーレートセンサであり、車輌がフェリーボートの如き移動手段により移動される場合には、ヨーレートセンサは車輌が移動されることによるヨー運動のヨーレートを検出する。そのため上述の如き従来のドリフト補正方法に於いては、ヨーレートセンサのドリフト量が真のドリフト量と車輌の実際のヨー運動のヨーレートとの和として演算されてしまい、その結果ヨーレートセンサのドリフト量を正確に演算することができず、またヨーレートセンサによる検出ヨーレートを正確に補正することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、車輌が停車状態にあるときにヨーレートセンサの出力に基づきヨーレートセンサのドリフト量を演算する従来のヨーレートセンサのドリフト補正方法に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、車輌が地球に対し相対的にヨー運動していない状況に於けるヨーレートセンサの出力に基づきヨーレートセンサのドリフト量を演算することにより、車輌がフェリーボートの如き移動手段により移動されるような場合にもヨーレートセンサのドリフト量を正確に演算することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、車輪の回転速度に比例する頻度にて発生されるパルスに基づき車輪速度を検出する車輪速度センサの出力に基づき車輌の停車状態を判定し、車輌の停車状態が判定されるとヨーレートセンサの出力に基づきヨーレートセンサのドリフト量を演算する車載のジャイロ式ヨーレートセンサのドリフト量演算方法にして、車輌が停車状態にあるときにはその停車状態が最初に判定された時点より所定の時間毎に前記ヨーレートセンサの出力に基づき暫定ドリフト量を演算し記憶する工程と、車輌の停車状態の解除が判定されると前記停車状態が最初に判定された時点よりの経過時間として停車時間を求める工程と、前記停車時間が前記所定の時間未満のときにはドリフト量を前回の車輌停車状態期間中に記憶された最新の暫定ドリフト量に設定し、前記停車時間が前記所定の時間以上で前記所定の時間よりも大きい基準値未満のときにはドリフト量を今回の車輌停車状態期間中の最新の暫定ドリフト量に設定し、前記停車時間が前記基準値以上のときにはドリフト量を今回の車輌停車状態期間中の最新の暫定ドリフト量の直前に記憶された暫定ドリフト量に設定する工程とを含んでいることを特徴とする車載のジャイロ式ヨーレートセンサのドリフト量演算方法(請求項1の構成)によって達成される。
また本発明によれば、請求項1の構成に於いて、最新の複数のドリフト量をフィルタリング処理した値がヨーレートセンサの最終的なドリフト量とされる(請求項2の構成)。
【0010】
一般に、車輪速度センサは車輪の回転速度に比例する頻度にて発生されるパルスに基づき車輪速度を検出するようになっており、車輪の回転速度が低いときには車輪速度を検出することができない。そのため車輌が交差点で停車した後ゆっくりと左折又は右折しながら加速するような場合には、車輪速度センサの出力に基づき車輌の停車状態が判定された後停車状態の解除が判定される。しかし車輌は実際にはヨー運動しているので、ヨーレートセンサはヨー運動のヨーレートを検出する。そのため停車状態の解除が判定された直前の暫定ドリフト量がセンサのドリフト量に設定されると、ドリフト量は真のドリフト量と車輌の実際のヨー運動のヨーレートとの和になってしまう。
【0011】
上記請求項1の構成によれば、車輌が停車状態にあるときにはその停車状態が最初に判定された時点より所定の時間毎にヨーレートセンサの出力に基づき暫定ドリフト量が演算され記憶され、車輌の停車状態の解除が判定されると停車状態が最初に判定された時点よりの経過時間として停車時間が求められ、車輌の停車時間が所定の時間未満のときにはドリフト量が前回の車輌停車状態期間中に記憶された最新の暫定ドリフト量に設定され、停車時間が所定の時間以上で所定の時間よりも大きい基準値未満のときにはドリフト量が今回の車輌停車状態期間中の最新の暫定ドリフト量に設定され、停車時間が基準値以上のときにはドリフト量が今回の車輌停車状態期間中の最新の暫定ドリフト量の直前に記憶された暫定ドリフト量に設定されるので、例えば車輌が停車した後にゆっくりと旋回しながら加速するような場合にも、ドリフト量が車輌が停止しているときに演算された暫定ドリフト量に設定されることにより、ヨーレートセンサのドリフト量が正確に演算される。
【0012】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は2の構成に於いて、暫定ドリフト量は前記所定の時間に於けるヨーレートセンサの出力の平均値として演算されるよう構成される(好ましい態様1)。
【0014】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は2の構成に於いて、停車時間が前記所定の時間未満であるときには、暫定ドリフト量の演算を中止し、以前に設定されたドリフト量を維持するよう構成される(好ましい態様2)。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明によるヨーレートセンサのドリフト量演算方法が実行される車輌を示す概略構成図である。
【0017】
図1に於いて、10fl及び10frはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10rl及び10rrはそれぞれ車輌の左右の後輪を示している。これらの車輪にはそれぞれ車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を検出する車輪速度センサ14fl、14fr、14rl、14rrが設けられている。各車輪速度センサは対応する車軸に固定された磁気歯車と車輪支持部材に固定された電磁ピックアップとを含み、車輪の回転速度に比例する頻度にて出力パルスを発生するようになっている。
【0018】
また車輌12にはジャイロ式のヨーレートセンサ16及びシフトポジションセンサ18が設けられている。ヨーレートセンサ16は車輌のヨーレートγを検出し、シフトポジションセンサ18は図には示されていないオートマチックトランスミッションのシフトポジションを検出する。
【0019】
図示の如く、車輪速度センサ14fl〜14rrにより検出された車輪速度Vwiを示す信号、ヨーレートセンサ16により検出されたヨーレートγs を示す信号及びシフトポジションセンサ18により検出されたシフトポジションを示す信号は電気式制御装置20に入力される。尚図には詳細に示されていないが、電気式制御装置20は例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータであってよい。
【0020】
電気式制御装置20は、後述の如く図2及び図3に示されたフローチャートに従って車輪速度Vwiに基づき車輌の停車状態を判別し、車輌の停車状態が判定されるとヨーレートセンサ16のドリフト量γd を演算し、更にヨーレートセンサの出力γs よりドリフト量γd を減算することによりヨーレートセンサのドリフトを補正する。
【0021】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるヨーレートセンサのドリフト量演算及びヨーレート補正ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0022】
まずステップ10に於いては、各信号の読み込みが行われ、ステップ20に於いては、後述の如く図3に示されたフローチャートに従って車輌の停車状態が所定の時間Tsc(例えば10秒)以上継続しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ80へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ30に於いてタイマのカウント値Ta 及びTb がそれぞれΔT(例えば図2に示されたフローチャートのサイクルタイムに相当する正の定数)インクリメントされ、ステップ40に於いてヨーレートセンサ16の出力γs が積算されることによりヨーレートの積算値Σγs が演算される。
【0023】
ステップ50に於いては、タイマのカウント値Ta が基準値Tac(例えば5秒程度の正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ160へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ60に於いてNをTac/ΔTに等しい正の整数として下記の数1に従ってヨーレートセンサの暫定ドリフト量γdtが演算される。
【数1】
γdt=Σγs /N
【0024】
ステップ70に於いては、ステップ60に於いて演算された暫定ドリフト量γdtがその最新の値γd(n)としてRAMに記憶されることによって更新され、また暫定ドリフトの前回値γd(n−1)が前回のステップ60に於いて演算された暫定ドリフト量に更新されると共に、タイマのカウント値Ta 及びヨーレートの積算値Σγs が0にリセットされた後ステップ160へ進む。
【0025】
ステップ80に於いては、例えば四つの車輪の車輪速度Vwiのうちの最大値Vwmaxが基準値Vwo(正の定数)以上であるか否かの判別により、車輌が走行中であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ90へ進む。ステップ90に於いては、タイマのカウント値Tb が基準値Tac未満であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ100へ進む。またステップ80に於いて否定判別が行われた場合及びステップ90に於いて肯定判別が行われた場合にはステップ150へ進む。
【0026】
ステップ100に於いては、タイマのカウント値Tb が基準値Tbc(例えば2Tacの如くTacよりも大きい正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ110に於いてヨーレートセンサのドリフト量γd が直前に演算され記憶された暫定ドリフト量γdt(n) に設定され、肯定判別が行われたときにはステップ120に於いてヨーレートセンサのドリフト量γd がγdt(n) よりも一回前に演算され記憶された暫定ドリフト量γdt(n−1) に設定される。
【0027】
ステップ130に於いては、フィルタ係数Rを例えば0.5以上且つ1未満の正の定数とし、γd(n)をステップ110又は120に於いて設定されたドリフト量の値とし、γd(n−1)をドリフト量の前回値として、下記の数2に従ってヨーレートセンサのドリフト量γd のフィルタリング処理が行われ、ステップ140に於いては、ドリフト量γd がRAMに記憶される。
【数2】
γd =R・γd(n)+(1−R)・γd(n−1)
【0028】
ステップ150に於いては、タイマのカウント値Ta 及びTb がそれぞれ0にリセットされると共に、ヨーレートの積算値Σγs が0にリセットされ、ステップ160に於いては、下記の数3に従ってヨーレートセンサ16の出力γs がドリフト量γd にて減算されることにより補正後のヨーレートγが演算される。
【数3】
γ=γs −γd
【0029】
次に図3に示されたフローチャートを参照して上述のステップ20に於ける車輌の停車状態判定のサブルーチンについて説明する。
【0030】
まずステップ21に於いては、四つの車輪の車輪速度Vwiのうちの最大値Vwmaxが基準値Vwo(正の定数)未満であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ24へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ22へ進む。
【0031】
ステップ22に於いては、シフトポジョンセンサにより検出されたオートマチックトランスミッションのシフトポジョンがPレンジであるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ23に於いてタイマのカウント値Ts がΔTs (正の定数)インクリメントされ、否定判別が行われたときにはタイマのカウント値Ts が0にリセットされた後ステップ80へ進む。
【0032】
ステップ25に於いては、タイマのカウント値Ts が基準値Tsc(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進み、否定判別が行われたときにはステップ80へ進む。
【0033】
かくして図示の実施形態によれば、ステップ20に於いて車輌の停車状態が所定の時間Tsc以上継続している旨の判別が行われると、ステップ30〜70に於いて所定の時間Tac 毎に暫定ドリフト量γdtが演算される。そしてステップ20に於いて否定判別が行われ、ステップ80に於いて車輌の走行状態が判別されると、ステップ100に於いて車輌の停車時間が基準値Tbc 以上であるか否かの判別が行われる。
【0034】
車輌の停車時間が基準値Tbc 未満であるときには、ステップ100に於いて否定判別が行われることにより、ステップ110に於いてヨーレートセンサ16のドリフト量γd が最新の暫定ドリフト量γdt(n) に設定され、ステップ130に於いてフィルタリング処理された値γd が演算され、ステップ140に於いてその値がヨーレートセンサのドリフト量γd として記憶される。
【0035】
例えば図4に示されている如く、時点t1 に於いて車輌が停止状態になったとすると、或いは時点t1 に於いて車輌が停止した状態にてイグニッションスイッチが閉成されたとすると、それよりTsc時間が経過した時点t2 に於いてステップ20の肯定判別が行われることによりヨーレートの積算値Σγs の演算が開始され、時点t2 より所定の時間Tac が経過した時点t3 に於いて暫定ドリフト量γdtが演算される。そして時点t3 より所定の時間Tac が経過する時点t5 よりも前の時点t4 に於いて車輌が走行状態になると、ステップ20に於いて否定判別が行われ、ステップ80に於いて肯定判別が行われ、ステップ100に於いて否定判別が行われ、これによりステップ110に於いてヨーレートセンサのドリフト量γd が最新の暫定ドリフト量γdt(n) に設定される。
【0036】
また車輌の停車時間が基準値Tbc以上であるときには、ステップ100に於いて肯定判別が行われることにより、ステップ120に於いてヨーレートセンサ16のドリフト量γd が最新の暫定ドリフト量γdt(n) の直前に演算され記憶された暫定ドリフト量γdt(n-1) に設定され、ステップ130に於いてフィルタリング処理された値γd が演算され、ステップ140に於いてその値がヨーレートセンサのドリフト量γd として記憶される。
【0037】
例えば図5に示されている如く、時点t2 より所定の時間Tac が経過した時点t3 に於いて暫定ドリフト量γdtが演算され、暫定ドリフト量γdt(n) として記憶される。また時点t3 より所定の時間Tac が経過した時点t4 に於いて暫定ドリフト量γdtが演算され、最新の暫定ドリフト量γdt(n) として記憶され、前回の暫定ドリフト量γdtが前回値γdt(n-1) に更新される。そして時点t4 より所定の時間Tac が経過する時点t6 よりも前の時点t5 に於いて車輌が走行状態になると、ステップ20に於いて否定判別が行われ、ステップ80に於いて肯定判別が行われ、ステップ100に於いて否定判別が行われ、これによりステップ110に於いてヨーレートセンサのドリフト量γd が最新の暫定ドリフト量γdt(n) の直前の値γdt(n-1) に設定される。
【0038】
尚車輌の停車時間が暫定ドリフト量γdtを演算できないほど短いときには、即ち図6に示されている如く車輌の停車時間がTsc+Tac未満であり、時点t2 より所定の時間Tac が経過する時点t4 よりも前の時点t3 に於いて車輌が走行を開始するときには、ステップ50に於いて肯定判別が行われることなくステップ80及び90に於いて肯定判別が行われ、そのため暫定ドリフト量γdtは演算されず、ヨーレートセンサのドリフト量γd は以前に演算され記憶されている値に維持される。
【0039】
従って図示の実施形態によれば、車輌の停車時間が例えば15秒以上20秒未満の如く比較的短い場合には、ヨーレートセンサ16のドリフト量γd は車輌が走行を開始する直前に演算された最新の暫定ドリフト量γdt(n) に設定されるので、車輌がフリーボートの如き移動手段により移動される場合にも、移動手段が停止状態にあり且つ車輌も移動手段に対し停止状態にあるときのドリフト量としてヨーレートセンサのドリフト量γd を正確に求めることができ、これによりヨーレートセンサの検出値を正確に補正して車輌のヨーレートを正確に検出することができる。
【0040】
尚前述の特開昭64−26161号公報に記載された従来のヨーレートセンサのドリフト補正方法に於いては、車輌の停車時間によってヨーレートのドリフト量を演算する時間が変化するのに対し、図示の実施形態によれば、ヨーレートセンサの暫定ドリフト量は常に一定の時間毎に演算されるので、ドリフト量を常に一定の条件にて求めることができる。
【0041】
また図示の実施形態によれば、車輌停車時間が例えば20秒以上の如く長い場合には、ヨーレートセンサ16のドリフト量γd は最新の暫定ドリフト量γdt(n) の直前の暫定ドリフト量γdt(n−1) に設定されるので、車輌が交差点に於いて停車した後にゆっくりと旋回しながら加速するような場合にも、車輌が実際に停止しているときのドリフト量としてヨーレートセンサのドリフト量γd を正確に求めることができ、これによりヨーレートセンサの検出値を正確に補正して車輌のヨーレートを正確に検出することができる。
【0042】
また前述の従来のヨーレートセンサのドリフト補正方法に於いては、車輌が停車した後にゆっくりと旋回しながら加速するような場合にヨーレートセンサのドリフト量を正確に求めることができないという問題を解消するためには、ドリフト量の演算を終了する時点と車輌の走行開始判定の時点との間の時間を長く設定しなければならず、その場合には車輌の停車時間が比較的短い状況に於いてヨーレートセンサのドリフト量を演算することができない。
【0043】
これに対し、図示の実施形態によれば、ヨーレートセンサの暫定ドリフト量は所定の時間毎に演算されるので、車輌の停車時間が比較的短い状況に於いてもヨーレートセンサのドリフト量を確実に演算することができ、これによりドリフト量の演算頻度が過剰に低下することを回避することができる。
【0044】
更に図示の実施形態によれば、車輌の停車時間が例えば15秒未満の如く非常に短い場合には、ヨーレートセンサの暫定ドリフト量の演算は行われず、それ以前に演算されたドリフト量γd が維持されるので、車輌の非常に短い停車時間中に生じたヨーレートセンサの特異的な検出値に基づきドリフト量が不正確に演算される虞れを低減することができる。
【0045】
特に図示の実施形態によれば、ステップ130に於いてヨーレートセンサ16のドリフト量の現在値γd(n)及びその前回値γd(n−1)に基づきフィルタリング処理された値としてドリフト量γd が演算されるので、ヨーレートセンサ16の特異的な検出値に基づきドリフト量が不正確に演算される虞れを低減することができる。
【0046】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0047】
例えば上述の実施形態に於いては、ステップ130に於いてドリフト量の現在値γd(n)及びその前回値γd(n−1)に基づきフィルタリング処理が行われるようになっているが、フィルタリング処理は最近の三つ以上のドリフト量に基づき行われてもよく、またステップ130のフィルタリング処理が省略されてもよい。
【0048】
また上述の実施形態に於いては、ステップ130に於いて演算されたドリフト量γd がステップ140に於いて記憶されるようになっているが、ステップ130の前又はステップ140の前にドリフト量の現在値γd(n)とその前回値γd(n−1)との偏差の大きさが基準値(正の定数)未満であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときには、それぞれステップ130及び140、ステップ140が実行されることなくステップ150へ進むよう修正されてもよい。
【0050】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、車輌が停車した後にゆっくりと旋回しながら加速するような場合にも、ドリフト量が車輌が停止しているときに演算された暫定ドリフト量に設定されることにより、ヨーレートセンサのドリフト量を正確に演算することができる。
また本発明の請求項2の構成によれば、最新の複数のドリフト量をフィルタリング処理した値がヨーレートセンサの最終的なドリフト量とされるので、ヨーレートセンサの特異的な検出値に基づきドリフト量が不正確に演算される虞れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヨーレートセンサのドリフト量演算方法が実行される車輌を示す概略構成図である。
【図2】実施形態に於けるヨーレートセンサのドリフト量演算及びヨーレート補正ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】実施形態に於ける車輌の停車状態判定のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】車輌の停車状態が判定された時点よりTbc時間が経過する前に車輌が走行状態になる場合に於ける図示の実施形態の作動を示すタイムチャートである。
【図5】車輌の停車状態が判定された時点よりTbc時間が経過した後に車輌が走行状態になる場合に於ける図示の実施形態の作動を示すタイムチャートである。
【図6】車輌の停車状態が判定された時点よりTac時間が経過する前に車輌が走行状態になる場合に於ける図示の実施形態の作動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
12…車輌
14fl〜14rr…車輪速度センサ
16…ヨーレートセンサ
18…シフトポジションセンサ
20…電気式制御装置
Claims (2)
- 車輪の回転速度に比例する頻度にて発生されるパルスに基づき車輪速度を検出する車輪速度センサの出力に基づき車輌の停車状態を判定し、車輌の停車状態が判定されるとヨーレートセンサの出力に基づきヨーレートセンサのドリフト量を演算する車載のジャイロ式ヨーレートセンサのドリフト量演算方法にして、車輌が停車状態にあるときにはその停車状態が最初に判定された時点より所定の時間毎に前記ヨーレートセンサの出力に基づき暫定ドリフト量を演算し記憶する工程と、車輌の停車状態の解除が判定されると前記停車状態が最初に判定された時点よりの経過時間として停車時間を求める工程と、前記停車時間が前記所定の時間未満のときにはドリフト量を前回の車輌停車状態期間中に記憶された最新の暫定ドリフト量に設定し、前記停車時間が前記所定の時間以上で前記所定の時間よりも大きい基準値未満のときにはドリフト量を今回の車輌停車状態期間中の最新の暫定ドリフト量に設定し、前記停車時間が前記基準値以上のときにはドリフト量を今回の車輌停車状態期間中の最新の暫定ドリフト量の直前に記憶された暫定ドリフト量に設定する工程とを含んでいることを特徴とする車載のジャイロ式ヨーレートセンサのドリフト量演算方法。
- 最新の複数のドリフト量をフィルタリング処理した値をヨーレートセンサの最終的なドリフト量とすることを特徴とする請求項1に記載の車載のジャイロ式ヨーレートセンサのドリフト量演算方法。
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1997
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