JP3573473B2 - 発泡体用スチレン系樹脂 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
発泡ポリスチレンシートの成形物はその優れた成形性及び保温性の為、大規模小売店等で食品容器や包装材等に頻繁に用いられており、本発明は、このシートの熱二次成形性に優れたスチレン系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡体はその用途によって求められる要求性能が異なり、ミートトレイに代表される皿物は製品間のリブ部に割れが発生しないことと製品のコシ強度が強いことが要求され、ドンブリの様な深物は、成形後に曲面印刷をかけることから発泡体表面の平滑性やコシ強度並びに耐熱性が重視される。
発泡ポリスチレンシートを作るスチレン系樹脂はラジカル重合法で合成されるため、その分子構造は殆ど直鎖に近く、また、特にその発泡体を食品用途に用いる場合には、食品衛生上、及び製造者の自主規制により、射出原料に多く見られるようなスチレン系樹脂の添加物を加えることによる原料の改質が困難であり、発泡体の思い切った改質が出来なかった。
分子量や樹脂に含まれる成分を変えてみても大きな改質にはならず、分子量を増やすと押出時の生産性の低下を招き、逆に分子量を下げると得られる発泡体の脆性を悪くするばかりではなく、製品の耐熱性を低下させてしまい、特にドンブリ容器においては耐熱低下は致命的である。
スチレン系樹脂の分子量の測定については、従来のゲルパーミューションクロマトグラフ法(以下「GPC」という。)から求められる分子量Mrは直鎖標準ポリスチレンを基準として主に示差角屈折率検出法で求められるが、このものの値は単に検出時に用いるテトラヒドロフラン中で広がったポリマーの大きさしか表しておらず、ポリマーの絶対分子量Mabsを表すものでなく、例えば樹脂がわずかながら分岐している場合は、Mrは真の分子量を示さない。
絶対分子量Mabsを検出する方法には、レイリー小角散乱法や超遠心分離法などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような発泡成形体(容器)の要求性能を添加物を加えること無しに改質し得るスチレン系樹脂を提供し、該スチレン系樹脂から得られた発泡シート、発泡体、発泡シートを熱二次成形した発泡容器等を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決する為の手段】
発明者等は発泡シートの熱二次加工性を樹脂の面から検討し、その特性を決定には樹脂の分子構造が関係している事を突き止めた。そこで、示差角屈折率検出法の溶出曲線ら求められる分子量Mrとレイリー小角散乱法のレイリー散乱から求められる絶対分子量Mabsの比、即ち、Mabs/Mrをbp値と定義し、該値が分子構造を表す構造要因となり、該値が発泡シートの熱二次加工性を左右するとの知見に基づき様々な検討の結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、テトラヒドロフラン溶媒を用いてゲルパーミューションクロマグラフ法で示差角屈折率検出法とレイリー小角散乱法で同時に分子量を測定した時、分子量が10万から200万の範囲内で、直鎖標準ポリスチレンを基準とした示差角屈折率検出法の溶出曲線ら求められる分子量Mrと、レイリー小角散乱法のレイリー散乱から求められる絶対分子量Mabsの比、即ち、Mabs/Mrが1.1を超え2.4以下であることを特徴とする発泡体用スチレン系樹脂、であり、また、その重合物組成がスチレン単位で91〜100重量%、メタクリル酸単位及び/または無水マレイン酸単位で0〜9重量%の発泡シート用スチレン系樹脂、であり、更に、該スチレン系樹脂から得られた発泡シート、発泡体、発泡シートを熱二次成形した発泡容器等、である。
本発明において、絶対分子量の検出にレイリー小角散乱法(LALS)を用いたのは、該方法が既存のGPC機器に接続でき、しかも同時に連続的に測定できる、という利点があるからである。
【0005】
以下に本発明のスチレン系樹脂の重合方法、分子量測定方法及び発泡体に二次成形について述べる。
(1)重合方法
重合方法について、重合に、例えば重合液が管状反応器(積分型反応器)を静的混合で進むような、連続重合プロセスを用いた場合は、スチレンモノマーを熱重合、あるいは重合の始めに過酸化ベンゾイル等のパーオキサイド系重合開始剤(ラジカル発生剤)を添加して重合していたが、本発明の方法では連続重合プロセスの初段、中段或いは後段に所定のパーオキサイドを入れて重合することにより本発明のスチレン系樹脂を製造することができた。
即ち、本発明に使用されたるポリスチレンの重合プロセスは表1及び図1に記載されている所定の方法によって行われ、添加されるべき重合開始剤(ラジカル発生剤)は、2、2−ビス(4、4’−ジターシャリブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及び1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを一種類または二種類を連続重合反応器に初段(b)、中段(c)及び/又は終段(d)に添加して行われる。重合開始剤はモノマー、或いは所定の重合液で任意の濃度に希釈しても良いし直接添加しても良い。
重合条件は、重合開始剤を添加する添加点(a)から(b)までの重合液の到達時間を7時間、モノマー転換率50%になる様に調節する。これより到達時間が長い場合は重合物に著しい架橋が発生し、連続重合の継続が困難なる。さらに続いて添加点(b)から最終段に至までの重合時間を4時間とし、モノマー転換率約80%で重合を完結させる。
【0006】
【表1】
【0007】
(2)分子量算出
MrとMabsの算出には図2に示す様なGPC(ゲルパーミューションクロマトグラフ法)の装置を用い、算出をした。測定条件としては10mgのスチレン系樹脂を10mlのTHF(テトラヒドロフラン)に溶解しこれをGPCカラムに通して測定した。
計算はまず標準直鎖及び分岐ポリスチレンを用いレイリー小角散乱法(LALS)と示差角屈折率検出法(RI)のピーク強度〔I(LS),I(RI)〕から下記(1)、(2)、(3)式を用いて絶対分子量計算の換算係数を求め、本発明のスチレン系樹脂のMr及びMabsを計算した。
RIで測定される観測強度I(RI)はその溶液の重量濃度に比例する。
I(RI)=K・C ・・・(1)
ここでKは測定器に依って決まる定数であり、Cは樹脂の重量濃度である。
一方同時に測定されるLALS強度は樹脂の重量濃度と分子の散乱素子、即ちその分子が持つ絶対分子量の積に比例する。
【数2】
I(LS)=Ф・C・Mabs ・・・(2)
ここでのФは式(1)で示されているKと同意義である。
故に絶対分子量はこの二者の強度比に依って算出ができる。
【数3】
I(LS)/I(RI)=κ・Mabs ・・・(3)
κは測定器の装置常数であり、既知分子量である標準ポリスチレンやアニオンリビング重合に依って合成される4、6及び12分岐スター、櫛形ポリマー(分子量同程は超遠心分離法や浸透圧法に依って求める)に依って求められる。
測定機本体は東曹(株)製、HLC8020を用い、LALS検出器に東曹(株)製LS8000を用いた。また分離カラムには東曹(株)製、TSK−gel−GMX−XLを3本ないしは4本直列に接続したものを使用した。
【0008】
(3)スチレン系樹脂の発泡及びその二次成形評価
発泡体の成形性を評価するため、幅60mm、厚み3mmの発泡体を発泡押出機を用いて製造した。発泡核剤には日本ミストロン(株)製、ミストロンベーパーを用い、発泡剤にはLPG(主成分、ノルマルブタン:イソブタン=70:30体積分率)を用いた。二次成形評価に用いた発泡体の発泡倍率は10±0.3、平均セルサイズを0.2mm±0.03に揃えた。
発泡成形品の評価は、図3に示すの様な成形品を作り、それに発生する、割れの総和/成形品の外周=成形不良率として評価を行った。
この時の成形条件は、セラミックヒーターの温度が350℃、雰囲気温度158±10℃、予熱時間3〜4秒間で発泡体を加熱後、所定の金型でマッチモールド成形を行ったのもで、その際の金型クリアランスは3.3mmであった。
本発明の樹脂を用いこれに熱二次成形を施すと、後記する実施例にみる通りbp値の大きいもの程、成形不良率が低い事が明かである。
【0009】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(比較例1、2及び実施例1〜3)
図1で示される連続反応器に、重合開始剤として、(1)1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、及び(2)2,2−ビス(4,4’ジターシャリブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを添加したスチレン重合液を流入して、温度条件がa:120℃。b:130℃、c:135℃、d:140℃で、重合液が管状反応器(積分型反応器)を静的混合で進み、重合器の入口の重合液成分がスチレンモノマー99.95重量%、エチルベンゼン0.05重量%であり、b〜dで添加される重合開始剤が重合液で10%になるよう希釈して添加する重合条件で、重合してスチレン樹脂を製造した。重合開始剤の添加位置、添加量、及びその種類を、表1に示し、得られたスチレン樹脂の分子量、および分子量10万〜200万の範囲内でのbp値を表2に示す。
得られたスチレン樹脂に発泡核剤を1重量%添加し、発泡押出機を用いて、ダイス:140℃、ロータリークーラー:155℃、ガス注入部:179℃、樹脂溶融部:180〜210℃、樹脂吐出量:3kg/hr、及び表3に示す発泡剤含浸率、注入圧ダイス圧力の押出し条件で、発泡体を製造した。得られた発泡体の物性を表3に示す。
【0010】
(実施例4、5)
重合開始剤の添加位置を表1に示す位置に、スチレンモノマーの組成を表2に示す組成に替えた以外は、実施例1と同様な条件でスチレン系樹脂を製造した。重合開始剤の添加位置、添加量、及びその種類を、表1に示し、得られたスチレン樹脂の分子量、および分子量10万〜200万の範囲内でのbp値を表2に示す。
得られたスチレン樹脂に発泡核剤を1重量%添加し、発泡押出機を用いて、ダイス:155℃、ロータリークーラー:167℃、ガス注入部:188℃、樹脂溶融部:180〜220℃、樹脂吐出量:3kg/hr、及び表3に示す発泡剤含浸率、注入圧ダイス圧力の押出し条件で、発泡体を製造した。得られた発泡体の物性を表3に示す。
【0011】
(比較例3〜5)
重合開始剤をb〜dで添加しない以外は、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂を製造した。重合開始剤の添加位置、添加量、及びその種類を、表1に示し、得られたスチレン樹脂の分子量、および分子量10万〜200万の範囲内でのbp値を表2に示す。
得られたスチレン樹脂を発泡押出機を用いて、実施例1と同様な押出し条件で、発泡体を製造した。得られた発泡体の物性を表3に示す。
Mrが10万でbp値が1.1以下の場合は、発泡体シートの熱二次成形性が著しく改善されるが表面の滑らかさや発泡セルの均一性が悪くなる。一方で200万でbp値が2.4を越える場合、スチレン系樹脂の架橋(ゲル化)が著しくなり発泡させた時に表面の見栄えが悪くなる。
Mr分子量が10万〜200万の間でbp値が1.1を超え2.4以下の場合、発泡体(シート)のきめ細かさ、シートの熱二次成形性は市販されているスチレン系樹脂(bp値は全分子量に於いて1)に比べ、かなり改善される。
なお、図5にMrが10万〜200万の範囲における、Mabs/Mr,即ちbp値とMrとの関係を、実施例1〜3及び比較例1〜5について示す。
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【発明の効果】
本発明の樹脂を用いて得られたポリスチレンペーパー(PSP)、若しくは発泡体は、二次成形した場合に、外観不良の少ない成形品を作る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスチレン系樹脂を製造する為の連続重合プロセスの概略図である。
【図2】絶対分子量を計測する実験装置の概略図である。
【図3】発泡体の二次成形評価に用いた成形品の形状である。
【図4】本発明のスチレン系樹脂のbp値とMrとの関係を示す。
【符号の説明】
a:重合開始剤第1添加点
b:重合開始剤初段添加点
c:重合開始剤中段添加点
d:重合開始剤後段添加点
Σli:成形品側面に発生した割れの総和
Claims (4)
- テトラヒドロフラン溶媒を用いてゲルパーミューションクロマトグラフ法で示差角屈折率検出法とレイリー小角散乱法で同時に分子量を測定した時、分子量が10万から200万の範囲内で、直鎖標準ポリスチレンを基準とした示差角屈折率検出法の溶出曲線ら求められる分子量Mrと、レイリー小角散乱法のレイリー散乱から求められる絶対分子量Mabsの比、即ちMabs/Mrが1.1を超え2.4以下である発泡体用スチレン系樹脂。
- ゲルパーミューションクロマトグラフ法で求められるMr基準の数平均分子量が7〜22万、重量平均分子量が15〜45万のスチレン系樹脂であって、その重合物組成がスチレン単位が91〜100重量%、メタクリル酸単位及び/または無水マレイン酸単位が0〜9重量%である請求項1記載の発泡体用スチレン系樹脂。
- 請求項1又は2記載のスチレン系樹脂を用いて製造された発泡シート、若しくは発泡体。
- 請求項3記載の発泡シートを熱二次成形して得られる発泡容器。
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