JP3573600B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いて情報の記録及び再生を行うことができるヒートモード型の光情報記録媒体に関するものである。本発明は、特に高速記録に適した追記型の光情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)は、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、従来のCDの作成に比べて少量のCDを手頃な価格でしかも迅速に提供できる利点を有しており、最近のパーソナルコンピュータなどの普及に伴ってその需要は増大している。
CD−R型の光情報記録媒体の代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層をこの順に積層したものである。そしてこの光情報記録媒体への情報の書き込み(記録)は、近赤外域のレーザ光(通常780nm付近の波長のレーザ光)を照射することにより行われ、色素記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的な変化(例えば、色素の熱分解によるピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)も通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を照射することにより行われ、色素記録層の光学的特性が変化した部位(ピットの生成などによる記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
【0003】
近年、光情報記録媒体の記録容量の増大と共に、通常の1倍速から4倍速、更に6倍速などとその記録及び再生速度は高速化傾向にあり、その研究が進められている。そのために、光情報記録媒体においては、高感度であることのみならず、高速記録であっても熱分解によるピットの形成が、記録信号の長さ(通常、CD方式では3T信号から11T信号の長さまである)に影響されることなく、その記録信号の形状(長さ)で忠実に行なわれることなどの高い記録特性が要求される。
一般に感度の向上には色素記録層の熱分解開始温度が低いことが有利である。このような観点から感度の改良を試みたCD−Rや、記録時に形成されるピット形状を改良することにより、良好な再生特性を達成したCD−Rが提案されている。
特開平4−226388号公報には、記録層に含まれる色素化合物(近赤外線吸収剤)の融点と分解点に着目し、感度の向上を達成した情報記録媒体(CD−R)が開示されている。具体的には、色素化合物として、融点が150〜300℃で分解開始温度が200〜350℃の範囲にあるフタロシアニン化合物を選択的に用いることにより、感度の高いCD−Rが製造できるとされている。
特開平4−259593号公報には、融解点と分解点との差が100℃以下の記録材料(具体的には、シアニン色素)を含有する記録層を持つCD−Rが開示されている。このような物性を持つ色素化合物を用いることにより、形状の整ったピットの形成が可能となり、良好な再生特性が得られるとされている。
特開平4−192131号公報には、記録層に含有する色素化合物の光吸収率および発熱量を特定の範囲に抑えることにより、高い反射率の達成と共にピット形状を明瞭化し、再生信号のエラーの発生を低減させたCD−Rが提案されている。具体的には、アニオン成分(例、ClO4 −)の含有率を制限した特定のシアニン色素を用いることにより、再生特性が改良されるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、高速記録に要求される情報記録媒体の性能について検討を行なった。それによると、上記公報に記載されているようなCD−Rは、感度や形成されるピット形状の改良が試みられてはいるものの、高速記録には充分に対応しにくいことが判明した。即ち、記録スピードの上昇につれて、その記録信号の形状に忠実なピットの形成が困難になり易く、特に記録信号の比較的短い信号に対しては、形状の整ったピットが形成されにくいことがわかった。またこのことは例えば、最適パワーよりも強いパワーで記録された時には、忠実なピット形状の形成がより困難になることをも意味し、高速記録に対しては幅広い記録パワーに対して安定な記録特性が得られにくいものとなっている。
従って、本発明の目的は、高感度であり、かつ高速記録に充分対応できる光情報記録媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、高速記録に適した光情報記録媒体を求めて研究を進めた。その結果、色素記録層へのレーザ光の照射により得られる熱分解スペクトルにおいて、その発熱ピーク値が特定の温度範囲内に入るように、かつ発熱ピークの半値幅が15℃以下の非常に狭い範囲となるように(即ち、その発熱ピークが非常にシャープな形状となるように)色素記録層を構成することにより、高速記録に対しても幅広い記録パワーで安定した記録特性が実現できる光情報記録媒体を製造できることを本発明者は見出した。
前記公報に記載のように、従来の比較的半値幅の広い発熱ピークを持つ色素記録層の場合には、その発熱ピークの裾野の低温域で色素の熱分解が開始され、従って高速記録に際しては特にピット形状が不揃いになり易かった。本発明者の研究により、熱分解スペクトルの発熱ピークの半値幅を狭くすることにより、色素記録層の熱分解が極めて狭い温度範囲で開始されるため、従来に比べてより形状の整ったピットの形成が可能になることが判明した。その結果、高速記録に対してもその記録信号の形状に忠実なピットの形成が可能になり、エラーの少ない高い再生特性を備えた光情報記録媒体を製造できるようなった。
【0006】
本発明は、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層およびその上に光反射層を有するヒートモード型の光情報記録媒体であって、該色素記録層の熱分解スペクトルが、220〜300℃の範囲に発熱ピーク値を有し、かつ発熱ピークの半値幅が15℃以内であることを特徴とする光情報記録媒体にある。
本発明で規定する発熱ピーク(発熱で生じる山全体を指す)は、熱分解スペクトルの発熱ピークが複数存在する場合には、記録層材料である色素の分解ピークに対応する最も発熱量の大きなピークを意味する。
また、本発明で規定する発熱ピークの半値幅は、発熱ピーク値(発熱ピークの先端の値)を示す温度と、このピーク値より発熱ピークの低温度側のラインの延長線が熱分解スペクトルのベースラインに交差する点の温度との温度差を意味する。
なお、本発明で規定する色素記録層の熱分解スペクトルは、記録層材料をDSC(示差走査型熱量計)にて加熱速度20℃/分で測定試料の量を2.0mgの条件で測定した時のものを示す。
【0007】
本発明は、以下の態様であることが好ましい。
(1)色素記録層の熱分解スペクトルが、230〜280℃(更に好ましくは、260〜280℃、特に270〜280℃)の範囲に発熱ピーク値を有する。
(2)発熱ピークの半値幅が10℃以内(更に好ましくは、7℃以内)にある。
(3)色素記録層がシアニン色素及び退色防止剤からなる層である。
(4)色素記録層がシアニン色素化合物を含み、該シアニン色素化合物が下記一般式(I)で表される化合物である。
[DYE+ ]n Xn− (I)
[式中、DYE+ は、一価のシアニン色素陽イオンを表し、nは2以上の整数を表し、Xn−はn価の多価陰イオンを表す。]
(5)上記(4)において、シアニン色素化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である。
【0008】
【化4】
Figure 0003573600
【0009】
[式中、Za及びZbは各々独立に、5員もしくは6員の含窒素複素環を完成するために必要な原子群を表し、R1 およびR2 は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表し、L1 、L2 、L3 、L4 及びL5 は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を表し(但し、L1 〜L5 上に置換基がある場合には互いに連結して環を形成しても良い)、jは0、1又は2を表し、kは0又は1を表し、Xn−はn価の多価陰イオンを表し、そしてnは2以上の整数を表す。]
(6)上記(4)において、シアニン色素化合物が、下記一般式(IIA)で表される化合物である。
【0010】
【化5】
Figure 0003573600
【0011】
[式中、Z1 及びZ2 は各々独立に、インドレニン核もしくはベンゾインドレニン核を完成するために必要な原子群を表し、R1 及びR2 は各々独立に、アルキル基又はアリール基を表し、R3 、R4 、R5 及びR6 は各々独立に、アルキル基を表し、L1 、L2 、L3 、L4 及びL5 は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を表し(但し、L1 〜L5 上に置換基がある場合には互いに連結して環を形成しても良い)、jは0、1又は2を表し、kは0又は1を表し、Xn−はn価の多価陰イオンを表し、そしてnは2以上の整数を表す。]
(7)色素記録層が退色防止剤を含み、該退色防止剤が下記一般式(A1)又は式(A2)で表される化合物である。
【0012】
【化6】
Figure 0003573600
【0013】
[式中、R11、R12は各々独立に炭化水素基を表す。]
(8)光情報記録媒体が、線速度が4m/秒以上(更に好ましくは、4.5〜10m/秒の範囲)でレーザ光を照射して記録するための高速記録用である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の光情報記録媒体は、その色素記録層が特定の熱分解スペクトルを持つように形成されていることを特徴とする。即ち、熱分解スペクトルが、220〜300℃の範囲に発熱ピーク値を有し、かつ発熱ピークの半値幅が15℃以内にある。上記発熱ピーク値は、230〜280℃(更に好ましくは、260〜280℃、特に好ましくは、270〜280℃)の範囲にあることが好ましい。また発熱ピークの半値幅は、10℃以内(更に好ましくは、7℃以内)にあることが好ましい。
【0015】
本発明に係る、上記のような熱分解スペクトルを持つ色素記録層は、例えば、特定のシアニン色素化合物と特定の所謂退色防止剤とを組み合わせることにより調製されていることが好ましい。シアニン色素化合物は、他の色素化合物に比べて合成が比較的容易で、入手し易いという利点がある。
具体的には、本発明に係る色素記録層は、以下のような一般式(I)で表されるシアニン色素化合物及び退色防止剤から形成されていることが好ましい。そして退色防止剤は、一般式(A1)又は式(A2)で表される化合物であることが好ましい。
まず、下記一般式(I)で表されるシアニン色素化合物について詳述する。
[DYE+ ]n Xn− (I)
DYEで表されるシアニン色素陽イオンは、陰イオン性の置換基を有することのない1価の陽イオンを表す。またXn−は、n価の陰イオンを表し、nは2以上の整数を表す。即ち、Xn−は、2価以上の多価陰イオンを表す。
【0016】
Xn−で表される多価陰イオンは、無機の陰イオンであっても有機の陰イオンであっても良い。
無機の多価陰イオンの例としては、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、タングストリン酸イオンなどのヘテロポリ酸イオンが挙げられる。
有機の多価陰イオンの例としては、カルボン酸イオン(例えば、コハク酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、テレフタル酸イオン);芳香族ジスルホン酸イオン(例、ベンゼン−1,3−ジスルホン酸イオン、3,3’−ビフェニルジスルホン酸イオン、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオン、1−メチルナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,8−ジスルホン酸イオン、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸イオン、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸イオン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオン);芳香族トリスルホン酸イオン(例、ナフタレン−1,3,5−トリスルホン酸イオン、ナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸イオン、ナフタレン−1,3,7−トリスルホン酸イオン、1−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸イオン、2−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸イオン);芳香族テトラスルホン酸イオン(例、ナフタレン−1,3,5,7−テトラスルホン酸イオン);脂肪族ポリスルホン酸イオン(例、ブタン−1,4−ジスルホン酸イオン、シクロヘキサン−1,4−ジスルホン酸イオン);ポリ硫酸モノエステル(例、プロピレングリコール−1,2−ジスルフェート、ポリビニルアルコールポリ硫酸エステルイオン)などが挙げられる。
本発明において、Xn−は、2〜4価の陰イオンであることが好ましく、更に好ましくは、2又は3価の陰イオンであり、特に2価の陰イオンである。
【0017】
本発明で使用するシアニン色素化合物は、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。一般式(II):
【0018】
【化7】
Figure 0003573600
【0019】
一般式(II)において、Za及びZbは各々独立に、5員もしくは6員の含窒素複素環を完成するために必要な原子群を表す。
R1 及びR2 は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。
L1 、L2 、L3 、L4 及びL5 は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を表す。またL1 〜L5 上に置換基を有する場合には互いに連結して環を形成しても良い。
jは0、1又は2を表し、kは0又は1を表す。
Xn−は、n価の多価陰イオンを表し、nは2以上の整数を表す。
【0020】
Za及びZbで表される5員もしくは6員の含窒素複素環(核)としては、例えば、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、チアゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、オキサゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、ナフトセレナゾール核、セレナゾリン核、テルラゾール核、ベンゾテルラゾール核、ナフトテルラゾール核、テルラゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、ナフトイミダゾール核、ピリジン核、キノリン核、イソキノリン核、イミダゾ〔4,5ーb〕キノキサリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、及びピリミジン核などを挙げることができる。
これらの中では、ベンゾチアゾール核、イミダゾール核、ナフトイミダゾール核、キノリン核、イソキノリン核、イミダゾ〔4,5ーb〕キノキサリン核、チアジアゾール核、テトラゾール核、及びピリミジン核が好ましい。
これらの環には、更にベンゼン環、ナフトキノン環が縮合していても良い。
【0021】
上記の5員又は6員の含窒素複素環は置換基を有していても良い。好ましい置換基(原子)の例としては、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、アリール基を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルキル基は、炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基が好ましい。またアルキル基の置換基の例としては、アルコキシ基(例、メトキシ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ)を挙げることができる。アリール基としては、フェニルが好ましい。
【0022】
上記R1 およびR2 で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、好ましくは炭素原子数1〜18(更に好ましくは1〜8、特に1〜6)の直鎖状、環状、もしくは分岐状のアルキル基である。
R1 およびR2 で表されるアリール基は置換基を有していても良く、好ましくは炭素原子数6〜18の置換基を有していても良いアリール基である。
【0023】
R1 およびR2 で表されるアルキル基またはアリール基の有する好ましい置換基の例としては、以下のものを挙げることができる。
炭素原子数6〜18の置換又は無置換のアリール基(例えば、フェニル、クロロフェニル、アニシル、トルイル、2,4−ジ−t−アミル、1−ナフチル)、アルケニル基(例えば、ビニル、2−メチルビニル)、アルキニル基(例えば、エチニル、2−メチルエチニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ、ベンジルチオ、3−メトキシプロピルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンスルホニル)、炭素原子数1〜10のカルバモイル基、炭素原子数1〜10のアミド基、炭素原子数2〜10のアシルオキシ基、炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基、ヘテロ環基(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリルなどの複素芳香族環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、ジオキサン環、ジチオラン環などの脂肪族ヘテロ環)。
【0024】
本発明において、上記R1 およびR2 は、それぞれ無置換の炭素原子数1〜8(好ましくは、炭素原子数1〜6、特に炭素原子数1〜4)の直鎖状のアルキル基、あるいはアルコキシ基(特に、メトキシ)又はアルキルチオ基(特に、メチルチオ)で置換された炭素原子数1〜8(好ましくは、炭素原子数1〜6、特に炭素原子数1〜4)の直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
【0025】
L1 〜L5 で表されるメチン基は、置換基を有していても良い。好ましい置換基の例としては、炭素原子数1〜18のアルキル基、アラルキル基、および前記R1 およびR2 で表されるアルキル基またはアリール基の有する好ましい置換基の例として挙げたものを挙げることができる。これらの中では、アルキル基(例、メチル)、アリール基(例、フェニル)、ハロゲン原子(例、Cl、Br)、アラルキル基(例、ベンジル)が好ましい。中でも特に好ましいのはメチル基である。
本発明においては、jが2でkが0である場合、あるいはj、kが、各々独立に0又は1である場合が好ましい。
【0026】
上記L1 〜L5 上の置換基は互いに連結して環を形成しても良い。好ましい環員数は5員環または6員環であり、これらの環が2個以上縮合していても良い。連結位置は、形成されるメチン鎖の数によって異なる。例えば、L1 〜L5 で形成されるメチン鎖がペンタメチン鎖の場合には、その好ましい連結位置は、L1 とL3 、L2 とL4 、及びL3 とL5 である。また二重縮合環を形成する場合の連結位置は、L1 とL3 とL5 である。またこの場合、L1 とR1 、L5 とR2 、更にL3 とR2 は互いに連結して環を形成していても良く、その環員数は好ましくは5員環または6員環である。
本発明においては、L1 〜L5 上の置換基で形成される環は、シクロヘキセン環であることが好ましい。
【0027】
Xn−及びnは、それぞれ前記一般式(I)において説明したXn−及びnと同義である。
一般式(II)において、Xn−は、前記芳香族ジスルホン酸イオン又は芳香族トリスルホン酸イオンであることが好ましい。更に好ましくは、ベンゼン−1,3−ジスルホン酸イオン、3,3’−ビフェニルジスルホン酸イオン、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオン、1−メチルナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,8−ジスルホン酸イオン、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸イオン、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸イオン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオンであり、特に好ましいものは、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオン、1−メチルナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸イオン、又はナフタレン−2,8−ジスルホン酸イオンであり、最も好ましいものは、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオンである。
【0028】
本発明で使用するシアニン色素化合物は、下記一般式(IIA)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(IIA):
【0029】
【化8】
Figure 0003573600
【0030】
一般式(IIA)において、Z1 及びZ2 はインドレニン核もしくはベンゾインドレニン核を完成するために必要な原子群を表す。
R1 及びR2 は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表す。
R3 、R4 、R5 及びR6 は各々独立に、アルキル基を表す。
L1 、L2 、L3 、L4 及びL5 は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を表す。またL1 〜L5 上に置換基を有する場合には、互いに連結して環を形成しても良い。jは0、1又は2を表し、kは0又は1を表す。
Xn−は、n価の多価陰イオンを表し、nは2以上の整数を表す。
【0031】
上記Z1 及びZ2 で表されるインドレニン核もしくはベンゾインドレニン核は、置換基を有していても良い。置換基(原子)としては、ハロゲン原子、又はアリール基を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。またアリール基としては、フェニルが好ましい。
【0032】
上記R3 、R4 、R5 およびR6 で表されるアルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐状、あるいは環状のアルキル基である。またR3 とR4 、及びR5 とR6 はそれぞれ連結して環を形成しても良い。
R3 、R4 、R5 およびR6 で表されるアルキル基は、置換基を有していても良い。置換基として好ましいものは、前記R1 およびR2 で表されるアルキル基またはアリール基の有する好ましい置換基の例として挙げたものを挙げることができる。
本発明においては、R3 、R4 、R5 及びR6 で表されるアルキル基は、ぞれぞれ炭素原子数1〜6の直鎖状の無置換のアルキル基(特に、メチル、エチル)であることが好ましい。
【0033】
一般式(IIA)において、R1 及びR2 、L1 、L2 、L3 、L4 及びL5 、j及びk、そしてXn−及びnは、それぞれ一般式(II)において説明したそれらと同じ意味を表す。またそれらの好ましい例示も前記一般式(II)において説明したものと同じである。
【0034】
以下に、一般式(I)(一般式(II)又は(IIA)で表される化合物を含む)で表されるシアニン色素化合物の好ましい具体例を挙げる。
【0035】
【化9】
Figure 0003573600
【0036】
【化10】
Figure 0003573600
【0037】
【化11】
Figure 0003573600
【0038】
【化12】
Figure 0003573600
【0039】
【化13】
Figure 0003573600
【0040】
【化14】
Figure 0003573600
【0041】
【化15】
Figure 0003573600
【0042】
【化16】
Figure 0003573600
【0043】
【化17】
Figure 0003573600
【0044】
上記一般式(I)で表されるシアニン色素化合物は、単独で用いても良いし、あるいはまた二種以上を併用しても良い。
一般式(I)で表されるシアニン色素化合物は、既に公知の下記の文献の記載を参考にして容易に合成することができる。
【0045】
これらの文献としては、たとえば、エフ・エム・ハーマー著「ザ・シアニン・ダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ5(インターサイエンス・パブリシャーズ、N.Y.1964年)55頁以降;ニコライ・チュチュルコフ、ユルゲン・ファビアン、アキム・メールホルン、フィリッツ・ディエツ、アリア・タジエール(Nikolai Tyutyulkov, Jurgen Fabian, Achim Ulehlhorn, Fritz Dietz, Alia Tadjer)共著「ポリメチン・ダイズ」、セントクリメント・オーリズキ・ユニバシティ・プレス、ソフィア(St. Kliment Ohridski University Press, Sophia )、23頁ないし38頁;デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer )著、「ヘテロサイクリック、コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry )」、第18章、第14節、第482〜515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons )社、ニューヨーク、ロンドン、(1977年刊);「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」、(2nd.Ed.vol.IV,part B, 1977年刊)、第15章、第369〜422頁、(2nd.Ed.vol.IV,part B, 1985年刊)、第15章、第267〜296頁、エルスバイヤー・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsvier Science Public Company Inc. )、ニューヨークなどが挙げられる。
【0046】
多価の陰イオンを対イオンとして導入する手法は、まず適当な溶剤に1価の対イオンを有するシアニン色素を溶かし、これに多価の酸またはその塩の溶液を添加し、更に必要に応じて色素を溶解しにくい溶剤を添加して、多価イオンを対イオンとするシアニン色素の結晶を析出させる方法が最も簡便でかつ大量の合成に適している。その他の方法としては、イオン交換樹脂を用いて対イオンを交換する方法が挙げられる。
【0047】
次に合成例を挙げて、一般式(I)で表されるシアニン色素化合物の合成法について具体的に説明する。
[合成例]
(化合物I−4の合成)
化合物I−4の陰イオン部がパラトルエンスルホン酸イオンである化合物を常法により合成した。この化合物26.8g(0.04モル)を400mlのメタノールに溶かした後、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸7.2g(0.02モル)を加え、50℃で1時間攪拌した。冷却した後、生じた結晶を濾取し、メタノールをかけて洗い、50℃で1晩乾燥した(収量:22.3g、融点:238℃)。
【0048】
次に、下記一般式(A1)または式(A2)で表される化合物(退色防止剤)について詳述する。
【0049】
【化18】
Figure 0003573600
【0050】
上記一般式(A1)において、R11、R12は各々独立に炭化水素基を表す。炭化水素基は、炭素数1〜18(更に好ましくは、1〜10、特に1〜6)の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の、無置換のアルキル基が好ましい。更に好ましくは、炭素数1〜10(更に好ましくは炭素数1〜6)の直鎖状又は分岐鎖状の無置換のアルキル基であり、これらの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル及びデシルを挙げることができる。
一般式(A1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に記載する。
【0051】
【化19】
Figure 0003573600
【0052】
上記一般式(A1)又は式(A2)で表される化合物は、それぞれ単独で使用してよいし、あるいは併用してもよい。
【0053】
本発明の光情報記録媒体は、前記のように特定の熱分解スペクトルを有する色素記録層、そしてその上に光反射層がこの順で基板上に積層されてなるものである。光反射層の上には、更に保護層が設けられていることが好ましい。
本発明の光情報記録媒体は、例えば、以下に述べるような方法により製造することができる。
基板は、従来の光情報記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。基板材料としては、例えばガラス;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィンおよびポリエステルなどを挙げることができる。これらの材料は、所望により併用してもよい。なお、これらの材料はフィルム状としてまたは剛性のある基板として使うことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
【0054】
記録層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上および記録層の変質の防止を目的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカップリング剤などの表面改質剤を挙げることができる。
下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製したのち、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。
下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0055】
基板(または下塗層)上には、トラッキング用溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブ)が形成されていることが好ましい。このプレグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出成形する際に直接基板上に形成されることが好ましい。
またプレグルーブの形成を、グルーブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステル、トリエステルおよびテトラエステルのうちの少なくとも一種のモノマー(またはオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。
この場合のプレグルーブ層の形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)上に上記のアクリル酸エステルおよび重合開始剤からなる混合液を塗布し、さらにこの塗布液層上に基板を載せたのち、基板または母型を介して紫外線を照射するにより塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させる。次いで、基板を母型から剥離することにより得ることができる。
プレグルーブ層の層厚は一般に、0.05〜100μmの範囲にあり、好ましくは0.1〜50μmの範囲である。
【0056】
プレグルーブの深さは100〜3000Åの範囲にあることが好ましく、またその半値幅は、0.2〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。またプレグルーブ層の深さを1500〜2000Åの範囲にすることにより反射率を殆ど低下させることなく感度を向上させることができ、特に好ましい。従って、このような光ディスク(深いプレグルーブの基板に色素の記録層および光反射層が形成された光ディスク)は、高い感度を有することから、低いレーザーパワーでも記録が可能となり、これにより安価な半導体レーザの使用が可能となる、あるいは半導体レーザの使用寿命を延ばすことができる等の利点を有する。
【0057】
プレグルーブが設けられた基板上には、色素記録層が設けられる。
色素記録層の形成は、前記シアニン色素化合物及び前記の退色防止剤、更に所望により結合剤を溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成したのち乾燥することにより行なうことができる。
前記一般式(A1)又は式(A2)で表される化合物(退色防止剤)の使用量は、シアニン色素化合物の量に対して、通常0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45重量%の範囲、更に好ましくは、3〜40重量%の範囲、特に5〜25重量%の範囲である。
【0058】
色素層塗布液の溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1、2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独または二種以上を適宜併用することができる。
塗布液中には更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0059】
結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
色素記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して一般に0.01〜50倍量(重量比)の範囲にあり、好ましくは、0.1〜5倍量(重量比)の範囲にある。
このようにして調製される塗布液の濃度は一般に0.01〜10重量%の範囲にあり、好ましくは、0.1〜5重量%の範囲にある。
【0060】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
色素記録層は単層でも重層でもよい。色素記録層の層厚は一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。また、色素記録層は基板の片面のみならず両面に設けられていてもよい。
【0061】
上記色素記録層の上には、情報の再生時における反射率の向上の目的で、光反射層が設けられる。
光反射層の材料である光反射性物質は、レーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。特に好ましくはAu、Agもしくはこれらの合金である。
光反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングにより色素記録層の上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲にあり、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましくは50〜300nmの範囲である。
【0062】
光反射層の上には、色素記録層などを物理的および化学的に保護する目的で保護層を設けることが好ましい。この保護層は、基板の記録層が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的で設けることもできる。
保護層に用いられる材料の例としては、SiO、SiO2 、MgF2 、SnO2 、Si3 N4 等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
保護層は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して反射層上及び/または基板上にラミネートすることにより形成することができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。
なお、これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。
保護層は一般には0.1〜100μmの範囲の厚みで設けられる。
【0063】
本発明の光情報記録媒体は、上述した構成からなる単板であってもよい。あるいは更に二枚の円盤状基板のうちの少なくとも一方に上記構成を有する基板を用いて、色素記録層が内側となるように基板同士を向い合わせ、接着剤等を用いて接合することにより、貼り合せタイプの光情報記録媒体とすることもできる。あるいはまた、二枚の円盤状基板のうちの少なくとも一方に上記構成を有する基板を用いて、リング状内側スペーサとリング状外側スペーサとを介して接合することにより、エアーサンドイッチタイプの光情報記録媒体とすることもできる。
上記の単板のタイプの光情報記録媒体は、高い反射率を示すため、市販のCDプレーヤで再生することができる。
【0064】
本発明の光情報記録媒体は、高密度記録が可能な追記型デジタル・ビデオ・ディスク(所謂DVD−R)として構成することもできる。即ち、このタイプの光情報記録媒体は、トラックピッチが上記CD−Rの1.6μmより狭い0.8μmのプレグループが形成された直径120mm±3mmの透明な円盤状基板上に、本発明に係る色素記録層、該記録層の上に光反射層、そして通常は光反射層の上に更に保護層を設けてなるディスクを二枚、あるいは該ディスクと、これと同じ形状の円盤状保護基板とをそれぞれ該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせることにより、製造することができる。
【0065】
本発明の光情報記録媒体には、例えば、次のようにして情報の記録、再生が行われる。
本発明の光情報記録媒体は、通常のCDフォーマットの場合の1倍速(1.2〜1.4m/秒)を基準にして4倍速、6倍速、もしくはそれ以上の高速記録に有利である。即ち、線速度が4m/秒以上(実用上更に好ましくは、4.5〜10m/秒)の範囲でレーザ光を照射して記録するために有利な光情報記録媒体である。
以下に、記録再生方法について説明する。
まず、光情報記録媒体を線速度が4m/秒以上にて回転させながら、基板側から半導体レーザ光などの記録用の光を照射する。この光の照射により、照射された部分の色素記録層が熱分解を起し、そこにピットが形成され、情報が記録されると考えられている。記録光としては、一般に、500nm〜850nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザービームが用いられる。用いられるレーザービーム波長は好ましくは500nm以上、800nm以下である。特に、CRーD型の光情報記録媒体においては、770〜790nmの範囲の波長が適している。またDVD−R型の光情報記録媒体においては、630〜680nmの範囲の波長が適している。
上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を通常の1倍速〜30倍速の線速度で回転させながら半導体レーザ光を基板側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0066】
【実施例】
以下に本発明の実施例と比較例を記載する。
[実施例1〜4]及び[比較例1]
前記シアニン色素(I−4、28)、及び下記式で示されるシアニン色素(a)をそれぞれ用意した。
【0067】
【化20】
Figure 0003573600
【0068】
また、前記退色防止剤(以下、クエンチャー)(A1−1、3)、及び下記式で示される退色防止剤(b)をそれぞれ用意した。
【0069】
【化21】
Figure 0003573600
【0070】
上記のシアニン色素と退色防止剤とを下記の表1に示すように組み合わせて配合し、これらを2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解し、色素記録層形成用塗布液を調製した。この溶液の濃度は、2.5重量%であった。この塗布液を、表面にスパイラル状のプレグルーブ(トラックピッチ:1.6μm、プレグルーブ幅:0.5μm、プレグルーブの深さ:0.18μm)が射出成形により形成されたポリカーボネート基板(直径:120mm、厚さ:1.2mm、帝人(株)製のポリカーボネート(商品名:パンライトAD5503))のそのプレグルーブ側の表面にスピンコートにより塗布し、記録層(厚さ(グルーブ内):約150nm)を形成した。
次に、色素記録層上にAuをスパッタして、膜厚80nmの光反射層を形成した。更に光反射層上に、UV硬化性樹脂(商品名:SD−220、大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコートにより塗布した後、この上から紫外線を照射して層厚10μmの保護層を形成した。
以上の工程により、基板、色素記録層、光反射層及び保護層からなる本発明に従うCD−R型の光情報記録媒体(以下、サンプル)を製造した。
【0071】
[光情報記録媒体としての評価]
(1)色素記録層の熱分解スペクトルの測定
得られたサンプルの色素記録層の熱分解スペクトルをDSC(示差走査型熱量計)(PERKIN ELMER社製 DSC7)を用いて測定した。
サンプルは、加熱速度:20℃/分、測定試料の量:2.0mgの条件で測定した。
得られた熱分解スペクトルからその発熱ピーク値を示す温度及び発熱ピークの半値幅(温度)をそれぞれ求めた。
添付の図1は、実施例1のサンプルの色素記録層を上記のDSCを用いて測定した熱分解スペクトルを示すものである。
また、図2は、比較例1のサンプルの色素記録層の上記のDSCを用いて測定した熱分解スペクトルを示すものである。
尚、図1及び図2において、半値幅は、発熱ピーク値を示す温度とOnset 値(オンセット値)を示す温度との温度差で表される。
結果を表1に示す。
【0072】
(2)記録再生特性の評価
得られたサンプルを記録機(DDU−1000、パルステック社製)に装着した。そして該サンプルに、波長780nm、線速4.8m/s(4倍速)にて記録パワーを11.0mW〜15.5mWまで0.5mW刻みで振ってEFM信号を記録した。その後、記録した信号を1.2m/sで再生した。
その結果、いずれのパワーにおいてもエラーレート(ブロックエラーレート)(ER)は5以下であった。
【0073】
(3)耐光性の評価
サンプルに、記録パワー13.5mWでEFM信号を記録した。記録後のサンプルにXeランプ(スガ試験機製FAL−25AX)を用い、320Luxで64時間(h)照射し、耐光性試験を行なった。Xeランプを照射前後のエラーレート(ER)の変化量を調べ、耐光性の評価とした。
以上の評価結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0003573600
【0075】
上記表1の結果から、発熱ピーク値が220〜300℃の範囲にあり、かつ発熱ピークの半値幅が15℃以内である熱分解スペクトルを有する本発明に係る色素記録層が設けられたサンプル(実施例1〜4)の場合には、発熱ピーク値が本発明で規定する範囲内にあっても発熱ピークの半値幅が15℃より大きな熱分解スペクトルを有する比較用の色素記録層が設けられたサンプル(比較例1)の場合に比べて、10以下のエラーレート(ER)を示す記録パワー範囲が広いことが示されており、従って、本発明に従うサンプルは、高速記録(4倍速)に対しても幅広い記録パワーに対して安定な記録特性が得られることがわかる。特に一般式(I)で示されるシアニン色素化合物と一般式(A1)で示される退色防止剤とを組み合わせてなる色素記録層を持つサンプル(実施例1、2及び4)の場合に、より安定な記録特性が得られる。
また、本発明に従うサンプルの場合には、キセノンランプを照射後のエラーレートの増加量も少なく、従って耐光性も向上していることがわかる。
【0076】
【発明の効果】
本発明に係る色素記録層を持つ光情報記録媒体は、高速記録であっても幅広い記録パワーに対して安定な記録特性を備えている。また本発明に係る色素記録層は、発熱ピークの半値幅が従来に比べて狭められているため、該記録層は低温域での影響を受けにくくなっており、従って、耐光性の向上した光情報記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のサンプルの色素記録層のDSCによる熱分解スペクトルを示すものである。
【図2】比較例1のサンプルの色素記録層のDSCによる熱分解スペクトルを示すものである。

Claims (7)

  1. 基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層およびその上に光反射層を有するヒートモード型の光情報記録媒体であって、該色素記録層の熱分解スペクトルが、220〜300℃の範囲に発熱ピーク値を有し、かつ発熱ピークの半値幅が15℃以内であることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 色素記録層がシアニン色素化合物及び退色防止剤からなる層である請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 色素記録層がシアニン色素化合物を含み、該シアニン色素化合物が下記一般式(I)で表される化合物である請求項1又は2に記載の光情報記録媒体。
    [DYE+ ]n Xn− (I)
    [式中、DYE+ は、一価のシアニン色素陽イオンを表し、nは2以上の整数を表し、Xn−はn価の多価陰イオンを表す。]
  4. シアニン色素化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である請求項3に記載の光情報記録媒体。
    Figure 0003573600
    [式中、Za及びZbは各々独立に、5員もしくは6員の含窒素複素環を完成するために必要な原子群を表し、R1 およびR2 は各々独立に、アルキル基またはアリール基を表し、L1 、L2 、L3 、L4 及びL5 は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を表し(但し、L1 〜L5 上に置換基がある場合には互いに連結して環を形成しても良い)、jは0、1又は2を表し、kは0又は1を表し、Xn−はn価の多価陰イオンを表し、そしてnは2以上の整数を表す。]
  5. シアニン色素化合物が、下記一般式(IIA)で表される化合物である請求項3に記載の光情報記録媒体。
    Figure 0003573600
    [式中、Z1 及びZ2 は各々独立に、インドレニン核もしくはベンゾインドレニン核を完成するために必要な原子群を表し、R1 及びR2 は各々独立に、アルキル基又はアリール基を表し、R3 、R4 、R5 及びR6 は各々独立に、アルキル基を表し、L1 、L2 、L3 、L4 及びL5 は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を表し(但し、L1 〜L5 上に置換基がある場合には互いに連結して環を形成しても良い)、jは0、1又は2を表し、kは0又は1を表し、Xn−はn価の多価陰イオンを表し、そしてnは2以上の整数を表す。]
  6. 色素記録層が退色防止剤を含み、該退色防止剤が下記一般式(A1)又は式(A2)で表される化合物である請求項1又は2に記載の光情報記録媒体。
    Figure 0003573600
    [式中、R11、R12は各々独立に炭化水素基を表す。]
  7. 4m/秒以上の線速度でレーザ光を照射して記録する高速記録用である請求項1〜6のいずれかの項に記載の光情報記録媒体。
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