JP3574948B2 - トラスの格点構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木、建築等の分野で使用されるトラスの格点構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パイプ部材を三角形状に接合した単位を組合わせて得られた構造体は、パイプトラスとして橋梁その他の土木、建築等の分野で広く使用されている。
このようなパイプトラスは、上弦材と下弦材との間に複数の斜材を三角形状に接合したもので、これら上弦材と斜材及び下弦材と斜材とは、一般に、溶接によって接合されており、この接合部は格点部と呼ばれている。
【0003】
従来、円形断面を有する鋼管部材で製作されたトラス構造において、格点部を構築する場合は、図8に示すように、複数の斜材23a,23bと弦材21を溶接により直接接合する構造が用いられており、スイスのルーリー橋等の格点部にこの構造が採用されている。
【0004】
このような構造の格点部に於いては、圧縮力が作用する一方の斜材(例えば23a)の端部を弦材21の表面に密着するように、また他方の斜材23bの端部を斜材23aにかぶせるように、かつ互いに重なり合うように、さらに、弦材21に十分密着するように、三次元加工を行う。
また、溶接の溶け込みを良好にするために、斜材23a,23bの端部に開先を設ける必要があり、これらの部材を突き合わせ溶接等によって接合することにより格点部を構成する。
【0005】
上記のように構成した格点部においては、斜材23a,23bに圧縮又は引張りの軸力が作用すると、弦材21の局部変形が発生し、この局部変形に伴う応力が発生して疲労強度が低下する。
このような問題を防止するために、図9に示すように、弦材21上にカバープレート24を溶接により接合して弦材21の板厚を局部的に増加させ、このカバープレート24に上述の要領で斜材23a,23bを接合して、弦材21の局部変形を防止するようにした格点部が一般に行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図10はトラス橋の模式図である。このような構造のトラス橋20に於いて、自動車等の活荷重P1 が載荷されると、斜材23a,23bは中央を境界として左右対称に圧縮力と引張り力が交互に作用し、下弦材21には引張り力が、また上弦材22には圧縮力が働く。この作用によって格点部には、図11に示すように、一方の斜材23aには圧縮力が、他方の斜材23bには引張り力が作用し、下弦材21側の格点部には引張り力が、上弦材22側の格点部には圧縮力が作用する。このため、このような条件下においては、次のような問題が生じる。
【0007】
図12は斜材23a,23b間で押引きするように働く斜材軸力の流れを矢印Aで示したものである。この軸力により斜材23a,23bの接合部に局部的なせん断力による応力集中31が発生し、このため格点部の疲労強度が低下する。また、斜材23aからの軸力がカバープレート24の溶接部に流れ込んで応力集中32が発生し、弦材21の疲労強度を低下させる原因になる。
【0008】
図13は引張りの弦材軸力による応力の流れを矢印Bで示したものである。応力は剛性の大きい箇所に引き付けられる性質があるため、引張り力によって発生した応力は剛性の比較的大きいカバープレート24を目指し、カバープレート24の両端部の溶接部から急激に流れ込む。これにより溶接部に応力集中33が発生し、弦材21の疲労強度を低下させるおそれがある。これは、弦材軸力が圧縮力の場合も同様の性質を示す。
【0009】
また、図8、図9に示すように、従来の格点構造では、格点部を構成するために、格点部内の応力が複雑に作用する構造的に重要な部分にも溶接を施さなければならず、この溶接による急熱、急冷によって残留応力や変形などが発生し易く、強度信頼性が著しく低下する。
さらに、斜材の両端部に複雑な三次元加工を必要とし、その上開先を設けて溶接を施す必要があるため、施工面でコスト高になることは避けられない。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するめたになされたもので、簡単な構造で応力集中を低減することにより、弦材の疲労破壊を防止すると共に、加工及び接合が容易で信頼性が高く、その上総工費を低減できる接合金具によって構成したトラスの格点構造を得ることを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るトラスの格点構造は、弦材の外形の一部に対応した形状の底部と、該底部から所定の角度で立設され先端部に斜材が接合される複数の中空の枝管とを有し、前記底部に前記枝管の中空部と連通する開口部を設けると共に、前記枝管の交差部に該枝管の周壁に連なる隔壁を設けてこれらを一体に形成した接合金具によって構成したものである。
【0012】
上記の接合金具を鋳造によって一体に形成した。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は一部を断面で示した本発明に係るトラスの格点構造の一実施の形態の正面図、図2は図1のI−I断面図、図3は図1の側面図である。図において、1は格点部を構成する接合金具、11は鋼管からなり接合金具1が接合される弦材、13は鋼管からなり接合金具1に接合される斜材である。
【0014】
接合金具1は、下弦材11(又は後述の上弦材12、以下、両者を併せて単に弦材11ということがある)の外形の一部に対応した円弧状で、平面形状が小判状の底部2と、底部2から所定の角度で上方に突設された斜材13の外径とほぼ等しい外径で、中空の複数(図には2本の場合が示してある)の枝管3a,3bとを一体に構成したもので、枝管3a,3bの中空部は底部2に設けた開口部4とそれぞれ連通している。
【0015】
そして、枝管3a,3bの交差部(接合金具1の中心部)には所定厚みの隔壁5が形成されており、枝管3a,3bの内壁は、隔壁5が所定の厚みになるように、枝管3a,3bの軸心に対して偏心して、したがって、内側(中心部側)の板厚が外側の板厚より厚くなるように形成されている。ここに、隔壁5の板厚は、例えば、枝管3a,3bの内側の板厚の2倍程度とすることが望ましい。
この接合金具1は、溶接性にすぐれた材料によって鋳造、鍛造等により一体に構成されるが、隔壁5や枝管3a,3bの内壁の変化に対する対応が容易な鋳造によって製造することが望ましい。
【0016】
上記のような接合金具1を用いてパイプトラスを製作するには、図4に示すように、工場などで、運搬車に積載可能な長さに切断された下弦材11に、その長手方向に所定の間隔で接合金具1を取付けるための位置決めを行い、それぞれの位置に接合金具1を配設して底部2を隅肉溶接により下弦材11に接合する。
同様にして、上弦材12も同じピッチ(但し、通常は下弦材11に接合した接合金具1の中間に位置するように)で位置決めを行い、それぞれ接合金具1の底部2を隅肉溶接により上弦材12に接合する。
【0017】
このようにして接合金具1が接合された下弦材11、上弦材12及び所定の長さに切断された斜材13を運搬車により現場に輸送し、例えば、下弦材11に接合した接合金具1の枝管3a,3bに、斜材13の一端を突き合わせて、それぞれ全周溶接などにより接合する。また、上弦材12に接合した接合金具1の枝管3a,3bに、斜材13の他端をそれぞれ全周溶接などにより接合すれば、図5に示すようなパイプトラスが完成する。なお、枝管3a,3bへの斜材13の接合にあたっては、両者の間に裏当金を挿入し、あるいは両者をインロー結合して全周溶接するなど、適宜の手段を用いればよい。なお、工場などで斜材13の接合までの工程を行ってもよい。
【0018】
上記のように構成した本発明によれば、接合金具1の構造が簡単で下弦材11への取付も容易であり、斜材13の端部に三次元加工などを施す必要がないので、信頼性の高い格点構造を得ることができ、その上工期を短縮し総工費を低減することができる。
【0019】
また、接合金具1の枝管3a,3bの交差部に隔壁5を設けると共に、枝管3a,3bの内壁を枝管3a,3bの軸心に対して偏心させることにより、応力集中が発生しやすい中心部(交差部)の隔壁5の板厚を厚くしたので、せん断力による応力が小さくなり、応力集中を抑制することができる。
【0020】
さらに、接合金具1の中心部に隔壁5を設けたことにより、例えば図6に示すように、一方の枝管(例えば、3a)に圧縮力が、他方の枝管3bに引張り力が作用した場合、矢印Aで示すように、応力の流れの大部分が隔壁5を介して枝管3a,3b間でやり取りするようになるため、弦材11との溶接部に流れ込む応力の方向を変えることができ、これにより溶接部への応力集中を減少させることができる。
【0021】
また、接合金具1の底部2には、図2に示すように、枝管3a,3bに連通する開口部4が設けられているため周壁と隔壁5以外は中空であり、弦材11の軸方向の剛性がきわめて小さい。このため、弦材11の軸力による作用応力は、図7に矢印Bで示すように流れ、底部2の溶接部に応力集中が発生しにくい。
【0022】
さらに、接合金具1を鋳造によって一体に製造することにより、格点部内に溶接を施す必要がないため、溶接による残留応力や変形が生じることがなく、このため強度信頼性が向上する。
また、接合金具1を鋳造によって製造することにより、各部の形状、板厚等を作用応力に応じて容易に変化させることができ、その上、構造上急激な断面変化が必要な箇所でもフィレット等を付すことにより、断面変化を和らげることができる。さらに、材料の使用量が少ないため、材料コストを上げることなく応力集中を低減した接合金具1を得ることができる。
【0023】
さらに、鋳造品である接合金具1を弦材11に接合するための開先を加工する必要がないばかりでなく、底部2が小判状なので複雑な溶接を必要としない。また、斜材13の端部は軸方向に対して直角に切断するだけでよく、枝管3a,3bとの接合も簡単なので、従来技術に比べて三次元加工による切断作業や溶接作業を大幅に減らすことができ、その上多量生産が可能なためコストを低減できるので、総工費を低減することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係るトラスの格点構造は、弦材の外形の一部に対応した形状の底部と、この底部から所定の角度で立設され先端部に斜材が接合される複数の中空の枝管とを有し、前記底部に前記枝管の中空部と連通する開口部を設けると共に、前記枝管の交差部に該枝管の周壁に該枝管の周壁に連なる隔壁を設けてこれらを一体に形成した接合金具によって構成したので、構造が簡単で複雑な溶接を行う必要がなく、このため、工期が短縮し、総工費を低減することができる。また、底部の近傍に生じる弦材軸力による応力集中など、局部的な応力集中を低減できるので、信頼性の高い格点構造を得ることができる。
【0027】
上記の接合金具を鋳造によって構成したので、格点部内に溶接を施す必要がなく、このため溶接による残留応力や変形を生じることがないので、強度信頼性の高い格点構造が得られる。
また、接合金具を鋳造製とすることで、各部の形状や板厚を作用応力に応じて容易に変化させることができ、さらに材料の使用量が少ないため、材料コストを上げることなく応力集中を低減することができる。また、多量生産が可能なので、安価な接合金具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の一部を断面で示した正面図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】本発明に係る接合金具を使用したパイプトラスの製造手順を示す説明図である。
【図5】図4の完成図である。
【図6】本発明に係る接合金具の作用説明図である。
【図7】本発明に係る接合金具を接合した弦材の作用説明図である。
【図8】従来の格点構造の一例の説明図である。
【図9】従来の格点構造の他の例の説明図である。
【図10】パイプトラスに作用する圧縮力及び引張り力の説明図である。
【図11】図10の格点部の説明図である。
【図12】図9の格点構造の作用説明図である。
【図13】図9の格点構造による弦材の作用説明図である。
【符号の説明】
1 接合金具
2 底部
3a,3b 枝管
4 開口部
5 隔壁
11 下弦材
12 上弦材
13 斜材
Claims (2)
- 弦材の外形の一部に対応した形状の底部と、該底部から所定の角度で立設された先端部に斜材が接合される複数の中空の枝管とを有し、前記底部に前記枝管の中空部と連通する開口部を設けると共に、前記枝管の交差部に該枝管の周壁に連なる隔壁を設けてこれらを一体に形成した接合金具によって構成したことを特徴とするトラスの格点構造。
- 前記接合金具を鋳造によって一体に形成したことを特徴とする請求項1記載のトラスの格点構造。
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| JP2000077413A JP3574948B2 (ja) | 2000-03-21 | 2000-03-21 | トラスの格点構造 |
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Country Status (1)
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