JP3577029B2 - インク充填方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク充填方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット記録装置としては、主走査方向に移動可能なキャリッジ上に、記録手段としての記録ヘッドと、インク容器としてのインクタンクを交換可能に搭載したいわゆるシリアルスキャン方式のものがある。この記録方式は、記録ヘッドとインクタンクが搭載されたキャリッジの主走査と、被記録媒体の副走査との繰り返しによって、被記録媒体上に順次画像を記録する。
【0003】
このような記録方式は、キャリッジの移動幅を大きくして、A1、A0サイズなどの大サイズの被記録媒体に画像を記録することができる。しかし、大画面に多量のインクを用いて画像を記録するために、インクタンクのインク収容量を大きくしなければならず、その分、キャリッジ全体が大重量となり、それに比例してキャリッジの移動時の慣性力も増大してしまう。その慣性力に抗して、キャリッジを高速移動させるためには、キャリッジの駆動モータとして、駆動電力の大きい高出力のものを備えることが必要となり、記録装置全体の高価格化を招くという問題があった。また、キャリッジ全体の大重量化に伴い、キャリッジが往復の主走査の折り返し位置にて反転するときに、キャリッジの加速度を慣性力に抗して“0”とするための力も大きくなり、その力の反力によって記録装置全体が大きく振動するという問題がある。そのため、キャリッジの移動速度の高速化を図ることが難しかった。
【0004】
一方、キャリッジの軽量化を図るべく、インクタンクのインク収容量を少なくした場合には、インクタンクの交換頻度が高くなり、しかも記録動作途中においてインクタンクを交換しなければならなくなってしまう。
【0005】
このようなインクタンクの交換に関する問題の解決策の1つとしては、特開平9−24698号公報に記載の技術が提案されている。かかる従来技術においては、記録ヘッドに密閉式の偏倚袋型インク容器が接続され、必要に応じて、その偏倚袋型インク容器に補助インク容器が接続されることによって、補助インク容器から偏倚袋型インク容器にインクが補給される。偏倚袋型インク容器はインクを収容する袋を備えており、記録ヘッドのインク吐出口からのインクの漏れを抑える程度の負圧下において、その袋内にインクを収容している。その負圧力を用いて、補助インク容器から偏倚袋型インク容器にインクが補給される。
【0006】
この偏倚袋型インク容器における袋は、記録ヘッドのインクの吐出量に応じて、つまりインクの使用量に応じて、その袋が潰れて容積が減少する。その袋の容積が所定量以下にまで減少したときに、偏倚袋型インク容器に設けられた供給口の栓を開いて、その供給口と補助インク容器とを接続する。この結果、偏倚袋型インク容器の袋内の負圧力によって、その袋内に、補助インク容器からインクが補給される。そして、その袋内のインク収容量が最大となったときに、袋内の負圧力が“0”となって、インクの補給が自動的に停止する。したがって、この従来技術によれば、圧力センサーや容量検出センサーなどを用いた制御を必要とすることなく、負圧力を用いてインクの補給を自動的に停止することができる。
【0007】
ところで、偏倚袋型インク容器における負圧力の上限は、記録ヘッドがインクを吐出するときのインク吐出力との兼ね合いによって決定される。その負圧力が大き過ぎた場合には、その負圧力のために記録ヘッドのインク吐出力が減少して、インクが吐出できなくなってしまうからである。したがって、その負圧力は、記録ヘッドにおける最良のインク吐出条件の範囲内において決定する必要がある。また、補助インク容器におけるインクの水頭位置は、偏倚袋型インク容器におけるインクの水頭位置よりも下方に設定する必要がある。それらの水頭差が大き過ぎた場合には、変異袋型インク容器における負圧力を記録ヘッドのインク吐出条件に応じて決定したとしても、インクの補給ができなくなってしまう。
【0008】
そのため、この従来技術においては、偏倚袋型インク容器に対する補助インク容器の鉛直方向の高さ位置を設定するために、特別な装置が備えられている。しかし、このような装置を備えることは、記録装置本体の大型化やコストアップを招くという問題を生じる。また、インクの補給時に、補助インク容器と偏倚袋型インク容器とを接続するインク流路中の一部から、そのインク流路内に空気が侵入する事態が発生した場合には、その空気が偏倚袋型インク容器の袋内に移動して、偏倚袋型インク容器のインク収容量が大幅に減少してしまう。さらに、その空気の侵入量が多い場合には、偏倚袋型インク容器内の袋内が空気によって満たされて、再度のインク補給ができなくなるという問題がある。また、偏倚袋型インク容器は、袋を形成する伸縮性の袋部材や、その袋部材を膨らませるためのばね部材などの可動部品を用いて構成されるため、その小型化に限界があり、その構造の複雑化、大重量化、製造コストの上昇を招くという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術における問題を解決すべき課題とするものであり、その目的は、インクタンクへのインクの補給を簡単な構成によって確実に実施することができて、記録装置の小型軽量化および信頼性の向上を図ることができるインク充填方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のインク充填方法は、内部にインクを保持するインク保持体を収容するとともに、インクを外部に供給するための供給口と、インクは通さずに気体を通す気液分離手段を備えた負圧を導入するための吸引口と、前記吸引口からの吸引による負圧によってインクをインク保持体に取り入れ可能なインクの取入れ口と、を備えたインクタンクへのインク充填方法であって、前記インク保持体を前記気液分離手段の配置位置に対して重力方向上方位置にも配置するように、前記インクタンクを記録動作可能な状態から変位させる工程と、前記吸引口から負圧を作用させてインクの取り入れ口からインクをインクタンク内に導入し、前記気液分離手段に接触するまでインクを満充填する工程と、前記変位した状態のインクタンクを記録動作可能な状態に戻す工程と、を順に行なうことで、前記気液分離手段に接触したインクを前記気液分離手段の配置位置に対して重力方向上方に位置していたインク保持体に移動させ、前記気液分離手段に対して非接触とすることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1および図2は、本発明に係るインクジェット記録装置全体の説明図である。本例のインクジェット記録装置は、記録ヘッドが主走査方向に移動するシリアルスキャン方式としての適用例である。
【0017】
図1において、記録装置本体は、被記録媒体Sを給送する給送装置部1と、記録動作をする記録装置部2と、インクを補充するインク補充装置部3と、キャップ装置部30(図6参照)などから構成されている。以下、それらの装置部1,2,3の構成を分けて説明する。
【0018】
A[給送装置部1の構成]
給送装置部1において、4は、装置本体の外側に備えられたカバー、5は、複数の被記録媒体Sを積載する設置台である。被記録媒体Sは、カバー4に設けられた挿入口4aから挿入されて、排出口4bから排出される。カバー4内に設けられた側板6の内側には、搭載台8、給送ローラ9、およびガイド部材11が備えられている。搭載台8は、被記録媒体Sを搭載する手段を構成すものであり、ばね7によって上方の給送ローラ9方向に付勢されている。給送ローラ9は、給送手段を構成するものであり、搭載台8上における複数の被記録媒体Sの最上位のものと当接する。ガイド部材11は、分離手段10によって分離された一枚の被記録媒体Sを、記録装置部2の方向に誘導する。
【0019】
B[記録装置部2の構成]
記録装置部2において、12は、ガイド部材11の下流側を通過する被記録媒体Sを検出するためのフォトセンサーである。13は、給送された被記録媒体Sを一定速度で搬送する搬送ローラ対、14は、画像記録後の非記録媒体Sを搬出する搬出ローラ対である。19はキャリッジであり、ガイド部材15,16によって図2中の矢印28,35の主走査方向(被記録媒体Sの幅方向)に移動自在にガイドされている。キャリッジ19は、プーリー17,17の間に掛け渡されたベルト18を介して、キャリッジモータ70から伝達される駆動力によって、主走査方向に移動される。20は、キャリッジ19に交換可能に搭載される貯留インクタンクである。20aは、画像形成手段としての記録ヘッドであり、貯留インクタンク20内のインクを画像情報に基づいて吐出する。本例の場合、貯留インクタンク20と記録ヘッド20aは、一体的に結合したインクジェットカートリッジを構成している。これらインクタンク20と記録ヘッド20aは、個別に構成して着脱可能に結合させるようにしてもよく、またキャリッジ19に対して個別に装着可能としてもよい。
【0020】
本例の貯留インクタンク20は、図2のように、収容するインクの色毎に、イエローインク用のインクタンク20Y、マゼンタインク用のインクタンク20M、シアンインク用のインクタンク20C、およびブラックインク用のインクタンク20Bに分かれている。それぞれのインクタンク20Y,20M,20C,20Bには、インクを取入れるためのインク取入れ口20bが設けられている。インク取入れ口20bは、ゴム等の柔軟な弁部材によって形成されている。
【0021】
48は、インクタンク20Y,20M,20C,20Bのぞれぞれの吸引口に備えられた気体透過部材であり、インクは通さずに、気体は透過させる気液分離手段としての機能をがある。この気体透過部材48は、例えば、四弗化エチレン樹脂、またはそれに類する樹脂多孔質材料によって形成された薄いシート状のものである。インクタンク20Y,20M,20C,20B内の空気の排出経路は、図6および図7のように、それぞれの気体透過部材48および通気路49を経て、共通の通気路50,51,52から総合吸引口53に通じている。インクタンク20Y,20M,20C,20B内の空気は、後述するように、総合吸引口53が開口する面53aに密接するキャップ部材54から、通気管57を通して、吸引ポンプ31によって吸い出される。
【0022】
記録ヘッド20aは、インク色毎に独立した複数のヘッド部分からなり、それぞれのヘッド部分には、対応するインクタンク20Y,20M,20C,20Bの流路41に連通する液室部43と、複数のインク吐出ノズル44が設けられている。ノズル44は、インク吐出口に連通する連通路を形成しており、そのインク吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生手段が備えられている。
【0023】
C[インク補充装置部3の構成]
インク補充装置部3において、21は、チューブ21aを介して補充インクタンク22に連通されているインク供給手段である。このインク供給手段21は、貯留インクタンク20のインク取入れ口20bと密接に接続されることによって、補充インクタンク22内のインクを貯留インクタンク20内に補充する。
【0024】
本例の補充インクタンク22は、図2のように、収容するインクの色毎に、イエローインク用のインクタンク22Y、マゼンタインク用のインクタンク22M、シアンインク用のインクタンク22C、およびブラックインク用のインクタンク22Bに分かれている。それぞれのインクタンク22Y,22M,22C,22Bは、対応するチューブ21aを介して、インクの色毎に対応するインク供給手段21Y,21M,21C,21Bに接続されている。
【0025】
インク供給手段21は、図2のように、移動台27に備えられている。移動台27は、ガイド部材25,26にガイドされて、図2中の左右方向に移動可能である。キャリッジ19が矢印28方向に移動して、貯留インクタンク20Bの側面20B−1が移動台27の腕部27aに突き当たることによって、移動台27は、ばね29の力に抗して、キャリッジ19と一体となって矢印28方向に移動する。
【0026】
また、キャリッジ19は、矢印28方向に移動することによって、図5のようにガイド部材16を回転軸として矢印37方向に回動する。このキャリッジ19の回動によって、インク供給手段21と貯留インクタンク20のインク取入れ口20bとが接続されるようになっている。すなわち、キャリッジ19には、図3のように、ガイド部材15に対してキャリッジ19を支えるためのガイドローラ対19bが取り付けられている。キャリッジ19の矢印28方向の移動により、貯留インクタンク20Bの側面20B−1が移動台27の腕部27aに突き当たって、移動台27がキャリッジ19と共に矢印28方向への移動を開始してから、ガイドローラ対19bがガイド部材15の傾斜部15aから水平部15bに移動する。これにより、図5のように、キャリッジ19がガイド部材13を回転軸として矢印37方向に回動し、インク供給手段21と貯留インクタンク20のインク取入れ口20bとが接続状態となる。
【0027】
インク供給手段21には、図4および図5のように、先端が閉じられた中空針21cが備えられており、その中空針21cの先端には、図5中の左右方向に貫通する細孔21bが形成されている。中空針21cの外周部には、その中空針21cを軸として図5中の上下方向に移動可能なピストン状栓部材21eが備えられている。栓部材21eは、ゴム等の柔軟材料によって形成されており、ばね21bによって下方に付勢されている。
【0028】
図4のように、インク供給手段21が貯留インクタンク20のインク取入れ口20bに接続される前は、中空針21cの細孔21bが栓部材21eによって覆われて閉塞されている。したがって、このときは、中空針21cからインクは漏れ出ない状態となっている。このとき、ゴム等の柔軟な弁部材によって形成されているインクタンク20のインク取入れ口20bは、図4のように、その弁部材の復元力によって閉じられた状態となっている。
【0029】
一方、図5のように、インク供給手段21が貯留インクタンク20のインク取入れ口20bに接続されたときは、インク取入れ口20bの上面と栓部材21cの下面とが密接する。さらに、栓部材21eがばね21bの力に抗して上方に退避し、中空針21cの細孔21bがインク取入れ口20bの内部20cにて開孔される。これにより、細孔21bから流出したインクは、流路38,39,40を経て、貯留インクタンク20内のスポンジ状のインク吸収体41に吸収される。
【0030】
D[キャップ装置部30の構成]
キャップ装置部30は、記録ヘッド20aに密接して、液室部43やノズル44内に溜まった空気や増粘インク、つまりインクの吐出不良の原因となる異物を吸い出すものである。図5において、30aは、記録ヘッド20aのインク吐出口が形成されている面(インク吐出口形成面)を覆うキャップ部材である。54は、総合吸引口53が開口する面53aに密接するキャップ部材である。これらのキャップ部材30a,54は、枠体45に保持されている。枠体45は、4つのリンク腕部材46によって上下動可能に支持されている。47は、枠体45を上方に付勢するばねである。キャップ部材30a,54のそれぞれには、導管30b、55が接続されている。導管30b、55には、ポンプ吸引路の切換え機構56に接続されている。
【0031】
D−1[ポンプ吸引路の切換え機構56]
枠体45の一端には、キャリッジ19の定位置に設けられた土手部19aの移動軌跡上に位置する突起部45aが設けられている。キャリッジ19の移動位置において、土手部19aが突起部45aに当たるときは、図3のように、枠体45がばね47に抗して枠体45が押し下げられて、記録ヘッド20aのインク吐出口形成面と総合吸引口53の形成面53aは、キャップ部材38a、45に接触することなく、それらの上方を通過する。一方、土手部19aが突起部45aから離れたときは、図6のように、枠体45がばね47によって上昇し、キャップ部材38aがインク吐出口形成面に密着すると共に、キャップ部材54が総合吸引口53の形成面53a密着する。
【0032】
導管30b、55が接続される切換え機構56は、図6のようになゴム等からなる回転弁59を備えている。回転弁59は、90度づつの回動位置に応じて、その導通路59aを介して、導管30b,55を選択的に吸引ポンプ31のポンプ吸引口31aに接続する。回転弁59は、図3の回転軸56aに固定されている。回転軸56aには、鋸歯ギヤ56bが固定されていると共に、腕部材56cの基端が回転自在に軸支されている。腕部材56cには、鋸歯ギヤ56bに対して一方向においてのみ噛み合うラチェット歯56dが回転可能に軸支れている。56eは、腕部材56cを図3中の時計回りに付勢するばね、56fは、鋸歯ギヤ56bに180度の角度差をもって設けられた2つの位置指示部材である。57,58は、位置指示部材56fを検出するための位置検出器であり、90度の角度差をもって定位置に備えられている。位置検出器57,58としては、マイクロスイッチやフォトセンサなどが用いられる。
【0033】
腕部材56cの先端は、連結軸36を介して、切換えレバー34(図2)の孔部34bに連結されている。切換えレバー34の基端は、軸34aを中心として回転可能に軸支されている。キャリッジ19が矢印35方向に移動して切換えレバー34の先端に当接してから、さらにキャリッジ19が矢印35方向に移動したときは、切換えレバー34が図2中の2点鎖線のように矢印35方向に回動する。この切換えレバー34の矢印35方向の回動に連動して、腕部材46cがばね56eに抗して図3中の反時計回りに90度回転する。このときは、ラチェット歯56dが鋸歯ギヤ56dに噛み合うため、鋸歯ギヤ56dは、回転軸56aおよび回転弁59と共に反時計回りに90度回転される。その後、キャリッジ19が切換えレバー34の先端から矢印28方向に離れたときは、ばね56eの力によって、切換えレバー34および腕部材46cは、時計回りに回動して元の位置に復帰する。このときは、ラチェット歯56dが鋸歯ギヤ56dに噛み合わないため、鋸歯ギヤ56dは回転されない。
【0034】
このように、キャリッジ19によって切換えレバー34が矢印35方向に回動する毎に、回転弁59が反時計回りに90度ずつ回動して、ポンプ吸引路が切換えられる。ポンプ吸引路の切換え状態は、位置検出器57,58によって検出される。図6は、位置検出器57が位置指示部材56fを検出したときの切換え状態であり、このとき、総合吸引口53は、キャップ部材54、導管55、導通路59a、およびポンプ吸引口31aを通してポンプ31に連通される。図8は、位置検出器58が位置指示部材56fを検出したときの切換え状態であり、このとき、記録ヘッド20aのインク吐出口は、キャップ部材38a、導管30b、導通路59a、およびポンプ吸引口31aを通してポンプ31に連通される。後述する制御手段25(図1参照)は、位置検出器57,58の検出信号の検出信号からポンプ吸引路の切換え状態を検出し、これから実行しようとする動作に対して、そのポンプ吸引路の切換え状態が合わないときは、キャリッジ19を矢印35方向に移動させて、切換えレバー34を矢印34方向に回動させる。これにより、動作目的に合うようにポンプ吸引路が切換えられる。
【0035】
図1において、24は、カバー4の内側に配置された電気基板であり、カバー4の穴から上方に突出する複数のスイッチボタン23が備えられている。25は制御手段であり、カバー4の内側に配置された制御用電気基板に、マイクロコンピュータやメモリなどが搭載されることによって構成されている。この制御手段25は、ホストコンピュータと通信をしながら本記録装置を制御する。
【0036】
D−2[吸引ポンプ31]
吸引ポンプ31は、図6のように、吸引口31aと排出口31bが形成されたシリンダー部材31c内に、シール部材31dを介してピストン部材31eが往復動可能に備えられている。ピストン部材31eに設けられた細孔31fには、流体の流れを図6中左方の一方向のみに制限するリード弁31gが備えられている。31hは、ピストン部材31eを駆動するピストン軸、31iは、ピストン部材31eを図6中の右方に付勢するばね部材である。このような吸引ポンプ31によって吸引されたインクや空気は、排出口31bから排出管31jを通って、廃液容器33内のスポンジ状のインク吸収体33aに向かって排出される。
【0037】
ピストン軸31hは、後述するカム歯車32のカム部32aの回動に従動して、図6中の左右方向に往復移動する。このピストン軸31hと共にピストン部材31eが左右に往復移動することによって、吸引口31aからインクや空気を吸引し、それを排出口31bから排出する。
【0038】
搬送ローラ13の軸13aには、図4のように、一方向クラッチ13bを介してギヤ56が取り付けられており、そのギヤ56は駆動モータ60に回転される。駆動モータ60が反時計方向に回転することによって、搬送ローラ13の軸13aが回転され、駆動モータ60の時計方向の回転によって、カム歯車32が回転される。カム歯車32のカム部32aには、ばね31iの力によってピストン軸31hが当接されており、カム歯車32の回動に応じてピストン軸31hとの当接位置を変化させるカム部32aによって、ピストン軸31hが左右に移動される。ピストン部材31eは、このピストン軸31hと共に左右に往復移動する。ピストン部材31eが左方に移動したときは、左方の圧力室31k内に発生する圧力によって弁31gが閉じられて、その圧力室31k内のインクや空気が排出口31bから廃液容器33内に排出される。また、このときは、右方の圧力室31mの容積が増大して、その圧力室31m内に負圧が発生する。その負圧によって、吸引口31aからインクや空気が吸引される。一方、ピストン部材31eが右方に移動したときは、右方の圧力室31m内のインクや空気が、細孔31fを通って左方の圧力室31k内に移動する。
【0039】
次に、動作について説明する。
【0040】
[記録動作]
記録動作に際しては、まず、ホストコンピュータが記録装置部2に送る画像データを展開する。制御手段25は、画像データに基づいて、キャリッジ19の主走査方向の移動、搬送ローラ対13,14による被記録媒体Sの副走査方向の搬送、および記録ヘッド20aを制御する。記録ヘッド20aは、画像の階調処理(色ドットの重ね方)に基づいて制御されるノズル44から、各色のインク滴を吐出して、被記録媒体S上にカラー画像を記録する。
【0041】
フォトセンサー12が被記録媒体Sの後端を検出されたときは、その後端に対する記録が終了した後に、排出ローラ対14が記録済みの被記録媒体Sを排出口4bから排出する。
【0042】
[回復動作]
記録装置の電源投入時、および電源投入後に所定時間以上記録動作が中断されたときに、制御手段25は、記録ヘッド20aのノズル内に生じた増粘インクや気泡を除去するための回復動作を自動的に開始させる。また、記録された画像に色むらや色のかすれなどが出現したときは、操作ボタン(図1参照)が押し操作されることによって、制御手段25は同様に回復動作を開始させる。
【0043】
回復動作に際して、制御手段25は、まず、吸引路切換え機構56における位置検出器58が位置指示部材56aを検出している状態にあるか否かを確認する。位置指示部材56aが位置検出器57によって検出されているときは、キャリッジ19を左方の矢印35方向に移動させて、切換えレバー34を矢印35方向に回動させる。これにより、位置検出器58が位置指示部材56aを検出する状態、つまり図8のような吸引路切換え状態となる。制御手段25は、位置検出器58が位置指示部材56aを検出している状態にあることを確認した後、図5,図7,および図8のように、記録ヘッド20aとキャップ部材38aとが当接し、かつ総合吸引口54とキャップ部材54とが当接するように、キャリッジ19を移動させる。その後、制御手段25は、モータ60(図4参照)を時計方向に回転させることによって、ギヤ59を介してカム歯車32を回転させる。これにより、吸引ポンプ31が記録ヘッド20aのノズル44内の増粘インクや空気を吸引して、それらを廃液容器33内に排出する。
【0044】
吸引ポンプ31のピストン部材31eは、カム歯車32が1回転することによって、吸引と排出の1サイクルの動作を行う。カム歯車32の回転数は、記録ヘッド20aの吐出不良の回復に必要な負圧の大きさに応じて決定される。
【0045】
[インクの補給動作]
制御手段25は、記録ヘッド20aから吐出されたインク滴の数を各インク色毎にカウントする。その各インク色毎のカウント値の少なくとも1つが所定数に達したときは、記録動作中の被記録媒体Sに対する記録が完了して、その記録済みの被記録媒体Sが排出された時点にて、制御手段25が補充インクタンク22(図1参照)から貯留インクタンク20へのインクの補給動作を開始させる。
【0046】
インクの補給動作に際して、制御手段25は、まず、吸引路切換え機構56における位置検出器57が位置指示部材56aを検出している状態にあるか否かを確認する。位置指示部材56aが位置検出器58によって検出されているときは、キャリッジ19を左方の矢印35方向に移動させて、切換えレバー34を矢印35方向に回動させる。これにより、位置検出器57が位置指示部材56aを検出する状態、つまり図6のような吸引路切換え状態となる。制御手段25は、位置検出器57が位置指示部材56aを検出している状態にあることを確認した後、図5,図6,および図7のように、記録ヘッド20aとキャップ部材38aとが当接し、かつ総合吸引口54とキャップ部材54とが当接するように、キャリッジ19を移動させる。その後、制御手段25は、モータ60(図4参照)を時計方向に回転させることによって、ギヤ59を介してカム歯車32を回転させる。これにより、吸引ポンプ31は、貯留インクタンク20内の空気を気体透過部材48を通して吸引し、その空気を廃液容器33内に排出する。
【0047】
吸引ポンプ31による貯留インクタンク20内の空気の吸引によって、その貯留インクタンク20内は負圧となる。このとき、供給手段21は、図7のように、貯留インクタンク20に補充インクタンク22(図1参照)を接続している。そのため、貯留インクタンク20内の負圧によって、補充インクタンク22内のインクが貯留インクタンク20の内部41に吸引される。貯留インクタンク20の内部41に流入したインクは、連通する小さなセルの固まりからなるインク吸収体41aに浸透し、その浸透が進むにつれてインクの液面41bは上昇する。インクの液面41bの上昇速度は,吸引ポンプ31の吸引力に依存するため、カム歯車32の回転量に応じて適正な速度に設定される。インクの液面41bが気体透過部材48に達したときは、その気体透過部材48がインク等の液体を通さないため、インクの補給は自動的に停止する。
【0048】
各インク毎の貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)は、対応する補充インクタンク22(22Y,22M,22C,22B)内から同時にインクが補給される。そして、インクの液面41bが気体透過部材48に達した貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)の順に、インクの補給が自動的に順次停止する。
【0049】
このように、複数の貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)内の空気を1つのキャップ部材54を通して吸引して、それらの貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)に同時にインクを補給することができる。そのため、貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)毎に、吸引口53やキャップ部材54を備える必要がなく、キャリッジ19側におけるキャップ装置部30の構成部分の小型軽量化を図ることができる。また、貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)内を負圧にする装置部分の高い信頼性を確保することもできる。
【0050】
また、インクの補給動作時は、図7のように貯留インクタンク20が傾くため、その内部41のインク吸収体41aには、インクが吸収されない部分41bが生じる。インクの補給動作後に、貯留インクタンク20が図4のように水平に戻ったときは、その部分41bにもインクが浸透するため、気体透過部材48の面を覆っていた図7中の液面41bは、図4のように基体投下部材48の面から離れて下方に移動する。気体透過部材48の特性として、それが常時インクに触れていたときに、その機能が低下してインクを通すおそれがある場合には、このように、インクの補給動作中以外の時に気体透過部材48の面からインクを離すことが有効である。
【0051】
ところで、本実施形態における吸引ポンプ31は、記録ヘッド20aの回復動作のためにインクを吸引する吸引手段としての機能、およびインクの補給動作のために貯留インクタンク20内の空気を吸引する吸引手段としての機能を兼有する。したがって、それらの機能のために複数の吸引ポンプを備える場合に比して、大幅な構成の簡素化、および装置全体の低価格化を図ることができる。また、インクの補給動作時に貯留インクタンク20内にかける負圧は、インク吐出口が開放状態にあるときは、ノズル44内のインクを貯留インクタンク20内に引き込まない程度の大きさに設定する。インクの補給動作時には、インク吐出口をキャップ部材によって密閉してもよい。
【0052】
また、仮に、貯留インクタンク20と補充インクタンク22との間のインク流路中の一部から、空気が入り込んだ場合には、その空気を気体透過部材48を通して排出して再度のインク補給をすることができる。また、貯留インクタンク20内の負圧によってインクを吸引補給するため、貯留インクタンク20と補充インクタンク22との間にインク水頭差があってもインクを補給することができる。
【0053】
ちなみに、気体透過部材48を用いることなく、インクを吸引補給した場合に、ノズル44などから空気が貯留インクタンク20内に侵入したときには、インクの補給動作の後に、改めてノズル44からインクを吸引して、進入した空気の排出と、インク吐出口におけるインクのメニスカスの形成をしなければならない。したがって、その分、余分な時間がかかると共に、無駄な廃インクが生じてしまう。インクの補給動作時に、ノズル44をキャップによって密閉したとしても、そのキャップ内に空間が存在している場合には、その空間内の空気がノズル44から貯留インクタンク20内に侵入してしまい、同様の不具合が発生する。
【0054】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態において、インクの補給動作時に、同時に、ノズル44のキャップ部材に対しても記録ヘッド20aの回復動作時と同様に負圧をかけてもよい。
【0055】
その場合は、インクの補給動作のための負圧は、ノズル44にかける負圧よりも小さく設定する。これにより、インクの補給動作期間中に、ノズル44に対してインクを吸引排出させない程度の負圧がかかり、ノズル44のインク吐出口が開放状態にある場合でも、ノズル44内のインクの貯留インクタンク20内への引き込み、メニスカスの破壊、および空気の侵入を防止することができる。
【0056】
また、貯留インクタンク20内のインクが気体透過部材48の表面全域に接触して、インクの補給が自動的に停止した時点、つまりインクの補給動作時に貯留インクタンク20内の空気の吸引が完了した時点において、その空気の吸引経路中の負圧は急激に上昇し、その空気の吸引経路に連通するノズル44のキャップ部材内の負圧も急上昇する。そのときのキャップ部材内の負圧レベルは、ノズル44からインクを吸引排出させない程度の大きさに制限する。このようにキャップ部材内の負圧を設定しておくことにより、貯留インクタンク20内の空気の吸引完了時点において、ノズルからインクを無駄に吸引することがない。したがって、インクの補給動作時におけるノズル44からの空気の侵入を防止しつつ、ノズルから無駄なインク吸引をせずに、記録装置のランニングコストを下げることができる。
【0057】
また、インクの補給動作時に貯留インクタンク20内からの空気の吸引が完了した時点において、ノズル44のキャップ部材内の負圧が急上昇する場合、その負圧レベルは、ノズル44からインクを吸引排出可能な大きさに設定してもよい。この場合には、インクの補給動作直後、つまり貯留インクタンク20内にインクが充填されていることが確実な時点において、ノズル44からインクを吸引排出させる回復処理を自動的に実施することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
図9から図17は、本発明の第3の実施形態を説明するための図である。
【0059】
本例の場合は、図9および図10のように、貯留インクタンク20の側面に、総合吸引口53と、インク取入れ口20bが形成されている。貯留インクタンク20の本体上面の溝と、その本体上面に結合されるカバー部材100とによって、それぞれのインクタンク20Y,20M,20C,20Bと総合吸引口53との間における空気の排出経路が形成されている。それぞれのインクタンク20Y,20M,20C,20Bには、前述した第1の実施形態と同様に気体透過部材48が備えられている。貯留タンク20には、前述した第1の実施形態と同様の記録ヘッド20aが係合される。図11は、ブランクインク用のインクタンク20Bを他のインクタンク20Y,20M,20Cよりも大容量とした場合の構成例である。この構成例においては、インクタンク20Bに備わる気体透過部材48が他のものよりも大きく設定されており、その比較的大形状の気体透過部材48を通して、インクタンク20B内の空気がスムーズに吸引されることによって、ブラックインクの補給が促進されるようになっている。
【0060】
図10において、101Y、101M、101C,101Bは、インクタンク20Y,20M,20C,20Bのそれぞれのインク取入れ口20bに接続可能な供給ジョイントであり、前述した実施形態の供給手段21Y,21M,21C,21Bと同様にチューブ21aに接続されている。102は、総合吸引口53に接続可能な吸引ジョイントであり、前述した実施形態のキャップ部材54と同様に導管55に接続されている。
【0061】
図12は、キャリッジ109側の貯留インクタンク20と、装置本体側のジョイント101(101Y、101M、101C,101B)、102との位置関係の説明図である。インク取入れ口20bと総合吸引口53は、キャリッジ19の矢印28方向の移動によって、対応するジョイント101,102と接続されるようになっている。図12において、供給ジョイント101と補充インクタンク22との間のインク供給系、および吸引ジョイント102と吸引ポンプ31との間の吸引系の構成は、簡略化して現されている。103は、流路42に備えられたフィルタである。
【0062】
図13から図17は、インクの補給動作の説明図である。
【0063】
インクの補給に際しては、まず、キャリッジ19が矢印28方向に移動することによって、図13のように、インク取入れ口20bと総合吸引口53が、対応するジョイント101,102に接続される。その後、吸引ポンプ31の吸引動作により、貯留インクタンク20内の空気が気体透過部材48を通して吸引され、その貯留インクタンク20内は負圧となる。貯留インクタンク20内の負圧によって、図14,図15のように、補充インクタンク22内のインクが貯留インクタンク20の内部41に吸引される。そして、図16のように、貯留インクタンク20内のインクの液面41bが気体透過部材48に達したときは、その気体透過部材48がインク等の液体を通さないため、インクの補給は自動的に停止する。その後、図17のように、キャリッジ19の矢印35方向の移動によって、インク取入れ口20bと総合吸引口53が、対応するジョイント101,102から離脱して、一連の補給動作を完了する。
【0064】
(第4の実施形態)
貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)のそれぞれに備えられる気体透過部材48は、インクの特性やインクの収容量に応じて、特性や形状を異ならせてもよい。
【0065】
例えば、気体透過部材48が備えられる貯留インクタンク20のインク収容量や収容インクの種類に応じて、貯留インクタンク20内の生じる負圧の程度を異ならせるように、気体透過部材48として特性や形状が異なる多孔質体を備えることができる。具体的には、気体透過部材48を気孔径や厚みが異なる多孔質体としたり、気体透過部材48が備わる通気路49の開口面積を異ならせて、その開口面積に応じて気体透過部材48の大きさを異ならせることができる。このように貯留インクタンク20内の負圧値を異ならせることによって,それぞれの貯留インクタンク20(20Y,20M,20C,20B)に対するインクの補給速度を調整することができる。流抵抗が大きいインクを収容する貯留インクタンク20、およびインクの収容量が多い貯留インクタンク20の場合には、貯留インクタンク20内の負圧値を大きく設定すべく、気体透過部材48を選定することにより、複数の貯留インクタンク20に対して効率よくインクを補給することができる。
【0066】
このように、気体透過部材48の気孔径や厚み、通気路49の開口面積をパラメータとして、気体透過部材48の特性を最適に設定することができる。また、気体透過部材48そのものの物性(通気度など)を異ならせてもよい。
【0067】
(第5の実施形態)
図18から図24は、本発明の第5の実施形態の説明図である。
【0068】
本実施形態は、記録ヘッド20aのノズル44のインク吐出口にインクのメニスカスを確実に形成させてから、インクの補給を開始する。インク吐出口にインクのメニスカスが形成されていないまま、上述した実施形態のように、貯留インクタンク20内を負圧にしてインクの補給動作を行った場合には、ノズル44からエアーが貯留インクタンク20内に引き込まれるおそれがある。
【0069】
本実施形態は、貯留インクタンク20内を負圧にしてインクを補給する動作をより確実に実施するために、インクの補給開始に先立って、ノズル44からインクを吸引して、インク吐出口にインクのメニスカスを形成する。これにより、貯留インクタンク20内の負圧を有効に作用させて、より確実にインクを補給することができる。
【0070】
本例の場合、図18の貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Bのそれぞれには、図19のようにインク取入れ口20bと吸引口53aが形成されている。201は、それぞれのインク取入れ口20bに接続可能なインクの種類毎の供給ジョイントであり、前述した実施形態と同様にインクの供給系に接続される。202は、それぞれの吸引口53に接続可能な吸引ジョイントであり、それらは吸引路53cに集合されてから、前述した実施形態と同様に吸引系に接続される。
【0071】
図19中のLは、インクの液面41bの検出基準レベルであり、貯留インクタンク20の少なくとも1つの液面41bがレベルLよりも所定量以上下がったときに、インクの補給動作を行う。液面41bの検出手段としては、例えば、貯留インクタンク20内に備えられた電極間におけるインクの有無によって液面41bを検出する電気的な液面センサーや、光学的な液面センサーなどを用いることができる。
【0072】
図24は、記録装置の電源投入時におけるインクの補給動作を説明するためのフローチャートである。
【0073】
まず、電源投入後(ステップS1)、それが記録装置においての最初の電源投入であるか否かを判定する。それが最初の電源投入でないときは、貯留インクタンク22内のインク残量が充分であるか否かを判定し(ステップS2)、そのインク残量が充分でないときは、エラー表示をしてから(ステップS10)、動作を終了する。電源投入が最初のものであり、また保留インクタンク22内のインク残量が充分であるときは、ノズル44が正常であるか否か、つまりインク吐出口にインクのメニスカスが形成されているか否かを判定する(ステップS4)。
【0074】
その判定のためには、種々のセンサーを用いることができる。例えば、記録ヘッド20aを駆動したときに、全ノズル44からインク滴が正常に吐出されたか否かを検出すべく、そのインク滴を光学的に検出する光センサー、または、そのインク滴の着弾位置における音響を検出する音響センサーを用いることができる。その際には、全ノズル44から同時にインクを吐出させたり、1つずつまたは複数ずつのグループに分けたノズル44からインクを吐出させてもよい。また、全ノズル44を用いて所定のテストパターンを記録させてから、その記録画像を読み取る読み取りセンサーを用いることもできる。記録ヘッド20aが電気熱変換体の発熱エネルギーを利用してインクを吐出するものである場合には、その電気熱変換体を発熱させたときに、ノズル44内のインクの有無に対応する温度変化を検出する温度センサーを用いることもできる。さらに、記録ヘッド20からインクを吐出させる必要がないように、インク吐出口におけるインクの有無に応じた光の反射率を検出する光センサを用いることもできる。また、インク吐出口に、後述するキャップ吸引動作によってメニスカスが形成できたか否かを確認するために、これらのセンサーを用いることもできる。
【0075】
図20のように、インク吐出口にインクのメニスカスが正常に形成されているときは、同図のようにインク補給のための接続をする(ステップS8)。その後、図21のようにインクの補給動作を行い(ステップS9)、吸引ジョイント202を通して保留インクタンク20を吸引して、インク取入れ口20bから貯留インクタンク20内にインクを補給する。
【0076】
一方、図22のように、インク吐出口にインクのメニスカスが正常に形成されていないときは、同図のように、供給ジョイント201とキャップ部材38aをセットすると共に、吸引口53bをキャップ部材203によって閉塞する。その後、図23のようにキャップ部材38a内を吸引し(ステップS5)、インク取入れ口20bから貯留インクタンク20および記録ヘッド20a内にインクを導入して、インク吐出口にインクのメニスカスを形成する。その後、記録ヘッド20aが図示しないワイピング部材によってワイピングされてから(ステップS6)、記録ヘッド20aが画像の記録に寄与しないインクを吐出(予備吐出)をする(ステップS7)。その予備吐出においては、キャップ部材38a内にインクを吐出するようにしてもよい。このようにキャップ吸引(ステップS5)、ワイピング(ステップS6)、および予備吐出(ステップS7)による回復処理を行った後、インク補給のための接続(ステップS8)をしてからインクの補給を開始する(ステップS9)。
【0077】
また、記録装置の記録動作中において、貯留インクタンク20内のインク残量が所定量以下にまで減少したときには、図24中▲1▼のように、ステップS3からの処理を実行すればよい。貯留インクタンク20内のインク残量は、インクの吐出回数やインクの液面レベルなどに基づいて検出することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、それぞれの吸引口53bに気体透過部材48が備えられているため、前述した実施形態と同様に、インクの液面41bが気体透過部材48に達したときに、自動的にインクの補給が停止する。また、本実施例においては、必ずしも気体透過部材48を備える必要はなく、また貯留インクタンク20はチューブによって常時補充インクタンク22に接続されてもよい。要は、負圧によってインクを補給する方式において、インクの補給前に、インク吐出口にインクのメニスカスを形成することができればよい。
【0079】
(第6の実施形態)
前述した第5の実施形態において、図24中のインク補給動作(ステップS9)の後に、ステップS5と同様のキャップ吸引、またはステップS7と同様の予備吐出を行ってもよい。
【0080】
このように、インクの補給動作の直後に、ノズル44からインクを吸引排出させたり、またはノズル44からインクを予備吐出させることによって、そのインクの消費量分だけ、貯留インクタンク20内のインクの液面41bが下がる。この結果、インクの液面41bが気体透過部材48から離れて、インクとの長期間の接触による気体透過部材48の気液分離機能の劣化を防止することができる。さらに、インクの補給動作直後における貯留インクタンク20内が適正な圧力に調整されて、ノズル44にインクのメニスカスを確実に形成することができる。このような効果は、貯留インクタンク20内に、インクを吸収保持するためのインク保持体が収容されているか否かに拘わらない。特に、インク保持体に保持されないインクの液面41bが気体透過部材48に接する場合には、インクの吸引排出および予備吐出が直ちにインクの液面41bの下降に反映されるため、特に有効である。また、貯留インクタンク20内に加圧を導入することによって、ノズル44からインクを加圧排出させることもできる。
【0081】
(第7の実施形態)
図25から図27は、本発明の第7の実施形態の説明図である。
【0082】
図25において、501は、インクを収容可能なサブのインクタンク(以下、「サブタンク」という)、502は、サブタンク501内のインクをノズル部502Aから吐出可能な記録ヘッドであり、これらはガイド軸503A、503Bに沿って主走査方向(矢印A1,A2方向に)に移動される。サブタンク501には、インク供給口501A、吸引口501B、大気連通口501C、および記録ヘッド502との連通口(図示せず)が形成されており、またサブタンク501の内部にはインクを吸収保持するためのインク吸収体504が収容されている。吸引口501Bは、外方に向かって漸次拡径する円錐形状とされており、その外側には、インクは通さずに、気体は透過させる気体透過部材505が取り付けられている。この気体透過部材505は、例えば、四弗化エチレン樹脂、またはそれに類する樹脂多孔質材料によって形成された薄いシート状のものである。
【0083】
さらに、吸引口501Bの外側には、装置本体側のキャップ部材506内に進入可能な中空の突出部507が設けられている。突出部507の先端側の小径部507Aには、シール部材508がスライド可能にはめ合わされており、また突出部507の基端側の大径部507Bには、シール部材508を右方に付勢するばね509がはめ合わされている。小径部507Aには、シール部材508によって開閉される貫通孔510が形成され、また小径部507Aの先端は、シール部材508の抜け止めストッパー兼用のキャップ部材511によって、閉塞されている。キャップ部材506は、吸引管512を介して吸引ポンプ513に接続されている。
【0084】
521は、装置本体側に設けられた中空の突出部材であり、その外周部には、ばね522によって左方に付勢されるシール部材523がスライド可能にはめ合わされている。突出部材521には、シール部材523によって開閉される管通孔521Aが形成されている。突出部材521の先端は閉塞されており、その基端は、図示しないメインのインクタンク(以下、「メインタンク」という)に接続されている。
【0085】
524,525は、装置本体側に上下動可能に備えられた第1,第2のキャップ部材であり、第2のキャップ部材525は、吸引ポンプ526を通して図示しない廃液タンクに接続されている。527は、記録ヘッド502による画像の記録位置に被記録媒体をガイドするためのプラテンである。被記録媒体は、図示しない搬送機構によって、主走査方向と交差する副走査方向に搬送される。インクを吐出しながらの記録ヘッド502の主走査と、被記録媒体の副走査方向の搬送動作とを繰り返すことによって、被記録媒体上に順次画像が形成される。
【0086】
531は、サブタンク501の大気連通孔501Cを閉塞可能なシール部材であり、アーム部材532の先端部に取り付けられている。アーム部材532の基端部は、装置本体側の支持部材533に上下方向回動自在に軸支され、かつばね534によって下方に付勢されている。535は、アーム部材532の下動位置を規制するストッパー部材である。536は、メインタンク501に設けられた突起部であり、サブタンク501の移動位置に応じてアーム部材532を上下動させる。アーム部材532には、突起部536が入り込む凹部532Aが形成されている。
【0087】
記録動作時において、記録ヘッド502は、図26のホームポジションよりも左方の位置にて矢印A1,A2方向に移動しつつ、インクを吐出して画像を記録する。
【0088】
記録ヘッド502がホームポジションに移動したときは、図26のように、第1,第2のキャップ部材524,525が上昇し、第2のキャップ部材525によって記録ヘッド502のノズル部502Aがキャップされる。このとき、シール部材523は、図26のように、突出部材513の貫通孔521Aを閉じたたまま、インク供給口501Aを閉じる。また、シール部材508は、突出部507の貫通孔510を閉じたまま、キャップ部材506の開口部を閉じる。ホームポジションにおける記録ヘッド502に対しては、画像の記録に寄与しないインクを排出させる回復処理によって、インクの吐出状態を良好に保つことができる。その回復処理としては、吸引ポンプ526によって発生させた負圧を第2のキャップ部材525内に導入して、ノズル部502Aのインク吐出口からインクを強制的に吸引排出させる処理、およびノズル部502Aのインク吐出口から第2のキャップ部材525内に向かってインクを吐出させる処理が含まれる。
【0089】
インクの補給動作時は、図27のように、記録ヘッド502がホームポジションからさらに矢印A1方向のインク補給位置に移動する。記録ヘッド502がインク補給位置に移動したときは、図27のように、第1,第2のキャップ部材524,525が上昇し、第1のキャップ部材524によって記録ヘッド502のノズル部502がキャップされる。そのキャップ部材524は、ノズル部502Aのインク吐出口を密閉する。このとき、シール部材523は、図26のように、インク供給口501Aを閉じたまま、突出部材521との相対移動によって貫通孔521Aを開く。その貫通口521Aは、サブタンク501内にて開口することによって、サブタンク501とメインタンクとの間のインク供給系を形成する。また、シール部材508は、キャップ部材506の開口部を閉じたまま、突出部507との相対移動によって貫通孔510を開く。その貫通口510は、キャップ部材506内にて開口することによって、吸引口501Bと吸引ポンプ513との間の吸引系を形成する。気体透過部材501Bは、その吸引系中に介在する。また、シール部材531は、アーム部材532が一旦上動してから下動することによって、大気連通口501Cを閉じる。
【0090】
インクの補給に際しては、吸引ポンプ513によって、サブタンク501内の空気を気体透過部材505を通して吸引し、その空気を図示しない廃液容器内に排出する。これによりサブタンク501内が負圧となり、その負圧によって、メインタンク内のインクがサブタンク501内に吸引される。サブタンク501内に流入したインクは、インク吸収体504に浸透し、その浸透が進むにつれてインクの液面が上昇する。インクの液面の上昇速度は,吸引ポンプ513の吸引力に依存するため、その作動量に応じて適正な速度に設定される。インクの液面が気体透過部材505に達したときは、その気体透過部材505がインク等の液体を通さないため、インクの補給は自動的に停止する。
【0091】
このようなインクの吸引動作の終了後は、記録ヘッド502をホームポジションまたは記録動作位置に移動させることによって、記録装置は図26または図25の状態に復帰する。
【0092】
ところで、気体透過部材505とインク吸収体504との間は、吸引口501B内の空間によって隔てられていて、それらは接触していない。気体透過部材505は、長期間インクに接していた場合に、その気液分離機能が低下するおそれがある。しかし、本実施形態においては、気体透過部材505とインク吸収体504との間に空間が形成されているため、インクの補給時以外のときは、気体透過部材505にインクが接しない。したがって、気体透過部材の機能の低下を防止することができる。
【0093】
さらに、吸引口501Bの内面が傾斜しているため、インクの補給時に吸引口501B内に到達したインクは、インクの補給終了後に、吸引口501Bの内面に沿って速やかに排除される。したがって、気体透過部材505とインクとの接触期間を必要最小限に抑えることができる。本例の場合は、吸引口501Bの内側下面が図25中の右下方に傾斜しているため、インクはサブタンク501の外方に排除されやすくなる。その吸引口501Bの内側下面を図25中の左下方に傾斜させた場合には、インクはサブタンク501の内方に向かって排除されやすくなる。また、吸引口501Bの内面に撥水処理を施すことによって、その吸引口501B内のインクをよりスムーズに排除することができる。
【0094】
また、インクの吸引動作時以外のときは、シール部材508が貫通孔510を閉じているため、吸引口501Bや気体透過部材505に付着したインクを含め、メインタンク501内のインクの増粘を防止することができる。
【0095】
(第8の実施形態)
図28から図30は、本発明の第8の実施形態の説明図である。前述した第7の実施形態と同様の部分に関しては、同一符号を付して説明は省略する。
【0096】
本実施形態の場合は、サブタンク501の吸引口501Bの外側に、弾性のキャップ部材551が設けられ、また装置本体側に中空の突出部材552が設けられている。キャップ部材551には、突出部材552の貫通を許容する切り込み部551Aが形成されている。突出部材552の中空内部は吸引管512に連通しており、突出部材552の先端部には、その中空内部に連通する貫通孔552Aが形成されている。
【0097】
記録動作中は、図28のように、キャップ部材551の弾性力によって、切り込み部551Aは閉じられている。したがって、このときは、キャップ部材551によって吸引口501Bが閉じられている。記録ヘッド502がホームポジションに移動したときは、図29のように、突出部材552の先端部がキャップ部材551の切り込み部551A内に強制的に進入し、そのキャップ部材551の弾性復元力によって、貫通孔552Aが閉じられる。インクの補給動作のために、図30のように、記録ヘッド502がインク補給位置に移動したときは、突出部材552の先端部がキャップ部材551の切り込み部551Aを貫通する。これにより、貫通孔552Aがキャップ部材551内にて開口して、吸引口501Bと吸引ポンプ513との間の吸引系を形成する。気体透過部材501Bは、その吸引系中に介在する。
【0098】
(第9の実施形態)
図31および図32は、第7,第8の実施形態における吸引口501Bの形態の異なる例を説明するための図である。
【0099】
図31(a)の吸引口501Bは、同図中下側のサブタンク内に向かって拡径するように、その内面がテーパー面となっている。図31(b)の吸引口501Bは、同図中下側のサブタンク内に向かって拡径するように、その内面が曲面となっている。図31(c)の吸引口501Bは、同図中下側のサブタンク内に向かって段階的に拡径するように、その内面が複数段のテーパー面となっている。これらの吸引口501Bに、インクの補給時に残ったインクは、サブタンク内に移動しやすくなって、気体透過部材505との接触期間が最小限に抑えられる。
【0100】
吸引口501Bの開口形状は、例えば、図32(a),(b),(c)中の斜線部分のように、円形状、四角形状、楕円形状とすることができる。要は、吸引口501Bの内面を傾斜させる形状であればよい。
【0101】
(第10の実施形態)
図33は、本発明の第10の実施形態の説明図である。
【0102】
インクタンク600において、601は、前述したそれぞれの実施形態と同様のインクの補給系に接続される供給口(以下、「補給口」という)、602は、気体透過部材603が備えられ、かつ前述したそれぞれの実施形態と同様の吸引系に接続される吸引口である。604は、記録ヘッド605にインクを供給するための供給口である。インクタンク600の内部には、インクを吸収保持するためのインク保持体606が収容されている。インクの補給時には、前述したそれぞれの実施形態と同様に、気体透過部材603を通して吸引口602からインクタンク600内の空気を吸引して、補給口601からインクタンク600内にインクを補給する。そして、気体透過部材603にインクが接触した時点にて、インクが気体透過部材を透過することができないために、インクの補給が自動的に止まる。
【0103】
本実施形態の場合は、補給口601から補給されるインクが供給口604に到達した後に、そのインクが気体透過部材603に到達するように、供給口603と気体透過部材603へのインクの到達順序を設定する。このようなインクの到達順序を設定することによって、インクタンク600内に充分にインクが補給されてから、インクが気体透過部材603に到達してインクの補給が止まることになる。仮に、インクが供給口604に到達する前に、インクが気体透過部材603に到達した場合には、インクタンク600内にインクを充分に補給することができない。
【0104】
このようなインクの到達順序は、種々の条件に基づいて設定することができる。例えば、図33のように、補給口601と供給口604との間の距離をL1とし、補給口601と気体透過部材603との間の距離をL2とした場合に、それらの距離関係をL1<L2とすることによって、インクの到達順序を設定することができる。また、インク吸収体の粗密状態や重力などの影響を考慮して、インク吸収体606のインクの吸収速度を部分的に異ならせ、補給口601と供給口604との間におけるインクの吸収速度を比較的早く、かつ補給口601と気体透過部材603との間におけるインクの吸収速度を比較的遅く設定してもよい。
【0105】
(第11の実施形態)
図34から図42は、本発明の第11の実施形態の説明図である。
【0106】
本実施形態の場合、図35の貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Bのそれぞれには、図34のようにインク取入れ口20bと吸引口53bが形成されている。吸引口53bのそれぞれには、前述した第5の実施形態と同様の気体透過部材(図示せず)が備えられている。201は、それぞれのインク取入れ口20bに接続可能なインクの種類毎の供給ジョイントであり、前述した第5の実施形態と同様にインクの供給系に接続される。202は、それぞれの吸引口53に接続可能な吸引ジョイントであり、それらは吸引路53cに集合されてから、前述した第5の実施形態と同様に吸引系に接続される。
【0107】
図38中のLは、インクの液面41bの検出基準レベルである。液面41bの検出手段としては、例えば、貯留インクタンク20内に備えられた電極間におけるインクの有無によって液面41bを検出する電気的な液面センサーや、光学的な液面センサーなどを用いることができる。また、記録ヘッド20aのインクの吐出回数に基づいてインクの消費量を求め、その消費量から、貯留インクタンク20内におけるインク残量を求めることもできる。インク残量は、それぞれの貯留インクタンク20Y,20M,20C,20K毎に検出される。
【0108】
吸引路53cには、それを開閉するための開閉手段としてのストッパー203が備えられている。ストッパー203の外周部には、図37(a),(b)のように、ストッパー部203Aが設けられている。そして、ストッパー203が軸線Oを中心として回転して、図38のように、ストッパー部203Aが吸引路53cと対向したときに、そのストッパー部203Aが吸引路53cを押し潰して閉じる。また、図39のように、ストッパー203が軸線Oを中心として回転して、ストッパー部203Aが吸引路53cから離れたときは、吸引路53が復帰して開く。
【0109】
貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kに対するインクの供給動作時は、吸引路53を開いてから、前述した実施形態と同様に、吸引口53から気体透過部材を通してインクタンク20内に負圧を導入し、その負圧によって、取入れ口20bを通してインクを供給する(以下、「インクの供給動作という」)。このようなインクの供給動作により、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kのそれぞれに対して同時にインクが供給される。ストッパー203は、このようなインクの供給動作中以外のときに、吸引路53を閉じる。
【0110】
図42は、記録装置の一連の動作を説明するためのタイミングチャートである。記録装置は、被記録媒体の1ページ単位の記録データDを受信することによって、被記録媒体の給紙動作後に、記録ヘッド20aの主走査方向の移動を伴う1行分の画像の記録動作と、その1行分に相当する被記録媒体の副走査方向の紙送りを繰り返す。そして、画像記録後の被記録媒体を排紙してから、次の画像記録媒体に対する記録動作を実施する。図42中のキャップ動作は、記録ヘッド20aに対するキャップ部材のキャップ動作であり、記録動作の開始に前に“OPEN”(以下、「キャップオープン」という)となり、一連の記録動作の終了後に“CLOSE”(以下、「キャップクローズ」という)となる。また、キャップクローズとなる前には、記録ヘッド20aから画像の記録に寄与しないインクを排出させる回復動作をする。その回復動作は、例えば、記録ヘッド20aのノズル44からインクを吸引排出させる動作、または記録ヘッド20からインクを吐出させる予備吐出などである。図42中のインク供給は、被記録媒体の1ページ単位の記録終了後に実施される後述のインクの供給動作である。
【0111】
図40は、インクの供給動作を説明するためのフローチャートである。
【0112】
まず、被記録媒体の1ページ単位の記録動作終了後に、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20K内のインク残量の検出結果に基づいて、インクの供給が必要な程度にまでインク残量が減ったものがあるか否かを判定する(ステップS21,S22)。本例の場合は、インクの液面41bが所定の液面レベルLよりも下がったときに、インクの補給が必要であると判断する。
【0113】
インクの供給の必要がないときは、キャップオープンのまま待機し(ステップS23)、記録データDを受信したときは記録動作をする(ステップS25)。記録データDを所定時間(本例の場合は、30秒間)経過しても受信しないときは、キャップクローズとなって終了する(ステップS26、S27)。
【0114】
インクの供給が必要なときは、次のページを記録するか否かを判定する(ステップS28)。次のページを記録するとき、つまり図42中のインク供給SAのときは、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kの中から、インク残量が最低のものを判別する(ステップS29)。図38の場合には、貯留インクタンク20Yが最低インク残量のものと判定される。それから、インクの供給動作により(ステップS30)、その最低インク残量の貯留インクタンク内のインク残量を所定の目標残量とする。その目標残量は、例えば、インクの液面41bが所定の液面レベルLに達する量に設定することができる。また、その目標残量は、次の1ページの記録に最低必要なインク量などに設定することができ、またインクの種類毎に異なる量に設定することもできる。また、このときのインクの供給動作中に、他の貯留インクタンク内にインクが満充填されたときは、その貯留インクタンクにおける気体透過部材がインクの供給を自動的に止める。図39の場合は、貯留インクタンク20M,20Bに対するインクの供給が自動的に止まる。そして、このようなインクの供給動作の後、次の1ページ分の記録動作をする(ステップS31)。
【0115】
このように、次のページの記録があるときは、インクを必要最小限の量だけ供給することにより、そのインクの供給動作を被記録媒体の給紙・排紙動作の期間中に終了させて、次のページの記録を直ちに実行することができる。
【0116】
一方、次のページを記録しないとき、つまり図42中のインク供給SBのときは、キャップオープンのまま待機し(ステップS32)、記録データDを受信したときは記録動作をする(ステップS34)。記録データDを所定時間(本例の場合は、30秒間)経過しても受信しないときは、インクの供給動作によって、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kのそれぞれにインクを満充填させる(ステップS36)。貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kは、インクが満充填されたものから順に、気体透過部材によってインクの供給が自動的に止められる。このように、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kのそれぞれにインクを満充填させた後、後述するインク残量の検知シーケンスを実行してから、キャップクローズとなって終了する(ステップS38)。
【0117】
このように、次のページの記録がないときは、特に厳しい時間的制限を受けない記録動作終了後に、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kのそれぞれにインクを満充填させる。その後、記録装置が再起動したときは、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kのそれぞれにインクが満充填されているため、直ちに記録動作を開始することができる。また、記録装置が使用されない期間中は、貯留インクタンク20をインクの満充填のままとすることによって、貯留インクタンク20におけるインクの固着を防止することができる。
【0118】
図41は、インク残量の検知シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【0119】
まず、このシーケンスに入ってから(ステップS40)、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kのそれぞれに対するインクの充填が終了したか否かを判定する(ステップS41)。インクの充填が終了したときは、このシーケンスを終了する。インクの充填が終了しないときは、再度、ステップS36と同様のインクの吸引動作を行う(ステップS42)。その後、再び、貯留インクタンク20Y,20M,20C,20Kのそれぞれに対するインクの充填が終了したか否かを判定し(ステップS41)、それが終了したときは、このシーケンスを終了する。それのインクの充填が終了しないときは、貯留インクタンク20にインクを供給するメインインクタンク(補給インクタン)に、インクがないと判断してエラー表示をする(ステップS44)。
【0120】
なお、本実施形態においては、貯留インクタンク20は、常に、インクの供給系および空気吸引系に接続されていてもよい。
【0121】
(他の実施形態)
気体透過部材は、気液分離機能をもつものであればよく、インクの種類や使用形態に応じて、種々の材質のものを用いることができる。例えば、四弗化エチレン樹脂、それに類する樹脂多孔質材料からなる気体透過膜の他、磁器、陶器の素焼き、セラミック等、またはそれに類する多孔質材料を用いることもできる。また、気体が通過するときに開き、液体が通過しようとしたときに閉じる機械的な構成の弁を気体透過部材として用いることもできる。
【0122】
また、本発明のインクタンクは、シリアルスキャン方式の記録装置における記録ヘッドと共に移動されるものに限定されるものではなく、定位置に備えられるものであってもよい。また、チューブを通して常に補給インクタンク(サブインクタンク)に接続されるものであってもよい。
【0123】
また、本発明のインクジェットカートリッジは、インクタンクと記録ヘッドとを一体的または着脱可能に結合した構成とすることができる。
【0124】
また、本発明は、インクタンクに、そのインクタンクにインクを補給するためのメインタンクがチューブによって常に接続されている形態に対しても適用することができる。また、本発明は、インクタンクが記録ヘッドと共に移動する形態の他、インクタンクが定位置に備えられる形態に対しても適用することができる。
【0125】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0126】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0127】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0128】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0129】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0130】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0131】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0132】
さらに加えて、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0133】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、気液分離手段の機能を利用して、インクの吸引補給を自動的に停止させるため、インクタンクへのインクの補給を簡単な構成によって確実に実施することができて、記録装置の小型軽量化および信頼性の向上を図ることができる。
また、インクの液面を気液分離手段から離すことによって、インクとの長期間の接触による気液分離手段の気液分離機能の劣化を防止することができる。さらに、インクの補給動作直後におけるインクタンク内を適正な圧力に調整して、インクジェットヘッドのインク吐出口にインクのメニスカスを確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における記録装置の断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図2の貯留インクタンク部分の拡大正面図である。
【図4】図3の貯留インクタンクの断面図である。
【図5】図3の貯留インクタンクの傾動時における断面図である。
【図6】図3の貯留インクタンクのインク補給時における空気吸引系の断面図である。
【図7】図3の貯留インクタンクのインク供給時における断面図である。
【図8】図3の記録ヘッドの吸引回復時における空気吸引系の一部切り欠きの断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における貯留インクタンクの分解斜視図である。
【図10】図9の貯留インクタンクの斜視図である。
【図11】図9の貯留インクタンクの変形例を説明するための斜視図である。
【図12】図9の貯留インクタンクに接続されるインク補給系の概略構成図である。
【図13】図12の貯留インクタンクとインク補給系の接続状態の説明図である。
【図14】図12のインク補給系によるインク補給の途中状態の説明図である。
【図15】図12のインク補給系によるインク補給の途中状態の説明図である。
【図16】図12のインク供給系によるインク補給の停止状態の説明図である。
【図17】図12のインク供給系によるインクの補給終了後の動作説明図である。
【図18】本発明の第5の実施形態における貯留インクタンクの概略斜視図である。
【図19】図18の貯留インクタンクに接続される空気吸引系の説明図である。
【図20】インク吐出口にメニスカスが形成されているときに、図18の貯留インクタンクにインクを補給する動作の説明図である。
【図21】インク吐出口にメニスカスが形成されているときに、図18の貯留インクタンクにインクを補給する動作の説明図である。
【図22】インク吐出口にメニスカスが形成されていないときに、図18の貯留インクタンクにインクを補給する動作の説明図である。
【図23】インク吐出口にメニスカスが形成されていないときに、図18の貯留インクタンクにインクを補給する動作の説明図である。
【図24】図18の貯留インクタンクに対するインクの補給動作を説明するためのフローチャートである。
【図25】本発明の第7の実施形態を説明するための要部の断面図である。
【図26】図25における記録ヘッドのキャッピング状態の説明図である。
【図27】図25におけるサブタンクに対するインクの補給状態の説明図である。
【図28】本発明の第8の実施形態を説明するための要部の断面図である。
【図29】図28における記録ヘッドのキャッピング状態の説明図である。
【図30】図28におけるサブタンクに対するインクの補給状態の説明図である。
【図31】(a)、(b)、(c)は、図25および図28のサブタンクにおける吸引口の異なる形態を説明するための図である。
【図32】(a)、(b)、(c)は、図25および図28のサブタンクにおける吸引口のさらに異なる形態を説明するための図である。
【図33】本発明の第10の実施形態におけるタンクの断面図である。
【図34】本発明の第11の実施形態におけるインクタンクの概略構成図である。
【図35】図34のインクタンクの概略斜視図である。
【図36】図34のインクタンクに接続される空気吸引系の概略構成図である。
【図37】(a)は、図34におけるストッパーの正面図、(b)は、そのストッパーの側面図である。
【図38】図34のインクタンクに対するインク供給前の状態の説明図である。
【図39】図34のインクタンクに対するインク供給時の状態の説明図である。
【図40】図34のインクタンクに対するインクの供給動作を説明するためのフローチャートである。
【図41】図40における残量検知シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図42】図34のインクタンクに対するインクの供給動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 給送装置部
2 記録装置部
3 インク補充装置部
19 キャリッジ
20 貯留インクタンク
20a 記録ヘッド
20b インク取入れ口
21 インク供給手段
22 補充インクタンク
30 キャップ装置部
44 ノズル
48 気体透過部材
53 総合吸引口
54 キャップ部材

Claims (1)

  1. 内部にインクを保持するインク保持体を収容するとともに、インクを外部に供給するための供給口と、インクは通さずに気体を通す気液分離手段を備えた負圧を導入するための吸引口と、前記吸引口からの吸引による負圧によってインクをインク保持体に取り入れ可能なインクの取入れ口と、を備えたインクタンクへのインク充填方法であって、
    前記インク保持体を前記気液分離手段の配置位置に対して重力方向上方位置にも配置するように、前記インクタンクを記録動作可能な状態から変位させる工程と、
    前記吸引口から負圧を作用させてインクの取り入れ口からインクをインクタンク内に導入し、前記気液分離手段に接触するまでインクを満充填する工程と、
    前記変位した状態のインクタンクを記録動作可能な状態に戻す工程と、を順に行なうことで、前記気液分離手段に接触したインクを前記気液分離手段の配置位置に対して重力方向上方に位置していたインク保持体に移動させ、前記気液分離手段に対して非接触とすることを特徴とするインク充填方法。
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