JP3583706B2 - 高周波信号伝送用回路基板、その製造方法及びそれを用いた電子機器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波信号を伝送する回路基板、その製造方法及びそれを用いた電子機器に係り、特にそのパッド部においてインピーダンス整合を行う構造を有する高周波信号伝送用回路基板、その製造方法及びそれを用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波信号伝送用回路基板上で正常な信号伝送を行うためには、伝送ライン(以下、パターン部)上の何処においてもインピーダンスが一定であることが必要である。局所的なインピーダンス不整合はエラー発生の原因となるが、とりわけパターン部の終端若しくは途中に接合される部品搭載用パッド若しくは接続用パッド(以下、総称してパッド部)では、パターン部よりも幅が広がっているためインピーダンスが低下し、この結果生じたインピーダンス不整合により伝送信号の反射が起こり、高周波信号の伝送特性、即ち波形品質を劣化させていた。
【0003】
このような状況に鑑み、特開平6−260773号公報には、高速信号伝送路用回路基板のパッドにおいて、直下のグランド/電源プレーンに繰り抜きを設けて、パッドとグランド/電源プレーンのオーバーラップ量をパッドから伝送ラインの引き出し方向に調整する構造が開示されている。図7は、同公報に係る高周波信号伝送用回路基板のパッドの構造の概略を説明するための図であり、図7(a)はその平面図、図7(b)乃至図7(d)はパッドをそれぞれ図7(a)のI−I面、J−J面、K−K面で切った断面図である。
【0004】
図7において、第1層(表層)は伝送ライン層であり、パターン部701及びパッド部702による表層パターンと誘電体層703とからなる。第2層はグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン704及び誘電体層705からなる。第3層もグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン706及び誘電体層707からなる。尚、簡単のため、ここでは第2層と第3層の中層に位置する伝送ライン層についての説明を省略する。
【0005】
図7(a)にあるように、同公報では、パッド部702の直下のグランド/電源プレーン704に部分的に繰り抜き部708を設け、パッド部702からグランド/電源プレーン704又は706までの誘電体層の厚さM及びM’を変えることでインピーダンス整合を図り、反射を抑えて、高周波信号の伝送特性を向上することを特徴としている。このため、図7(b)に示すような、直下のグランド/電源プレーン704に繰り抜き部708のあるパッド部と、図7(c)に示すような、直下のグランド/電源プレーン704に繰り抜き部708の無いパッド部の面積比を調整して、集中定数的にパッド全体としてのインピーダンスを伝送ラインのインピーダンスと等しくすることにより、パッド幅を変えることなくインピーダンス整合を実現している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同公報に開示された構造では、本来、高周波信号についてはその連続性を考慮して分布定数的に扱わねばならないにも拘らず、パッドのインピーダンスを全体として集中定数的に捉え、パターン部701のパッド部702からの引出し方向に直角に繰り抜き部708の右端を設けているので、図7(b)乃至図7(d)に示すように伝送信号の進行方向に層構成が異なり、表層パターン幅の違い等により、猶も局所的にインピーダンスが異なってしまう。
【0007】
これにより、図7(a)のパターン部701とパッド部702の接合部709や繰り抜き部708の右端、即ち各層構成が変化する部分においてインピーダンスが不整合となる。これにより、例えば繰り抜き部708の右端からパッド部702の左端までの長さLが、高周波信号が立ち上がり時間の1/8で到達可能な距離より長い場合に反射波が見えてしまい、波形にノイズが生じる結果となる。即ち、本来、高周波信号については分布定数的に連続性を考慮して取り扱う考えるべきである。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、パッド部からパターン部を引き出す方向に平行に繰り抜き部を設ける層構成により、分布定数的にインピーダンス整合を行って高周波信号による反射を低減する構造を有する高周波信号伝送用回路基板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高周波伝送用回路基板は、表面の信号伝送用導体層に形成されるパターンにより高周波信号を伝送するものであり、パターンの幅より広い幅を有するとともに、パターンを引き出すために信号伝送用導電体層に形成されるパッドと、信号伝送用導電体層の下層として形成される第1の誘電体層と、第1の誘電体層の下層として形成される第1のグランド/電源プレーン層と、第1のグランド/電源プレーン層の下層として形成される第2の誘電体層と、第2の誘電体層の下方に形成される第2のグランド/電源プレーン層と、パッドのほぼ直下の第1のグランド/電源プレーン層にパターンが当該パッドから引き出される方向と平行に細長く形成される繰り抜き部とを具備し、繰り抜き部は、パッドにおけるパターンの延長上の両外側直下に形成され、パターンとパッドの接合部において当該パターンの両幅端から連続的に当該パッド幅方向に広げられて形成されるとともに、パターンとパッドの終端部において連続的に当該パッド幅方向に狭められて形成されることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、パッド直下のグランド/電源プレーンに伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けてインピーダンスの低下を抑制して反射を低減し、特にパターン部とパッド部の接合部およびパッド終端部におけるインピーダンス不整合を一層低減することで、高周波信号の伝送特性を向上することができる。
【0011】
また、本発明の電子機器は、中空箱状の筐体と、筐体の内部に収容される回路基板と、回路基板の表面にパッドを介して実装される回路素子とを備えたものである。更にこの回路基板は、高周波信号を伝送するパターンをその表面に形成された信号伝送用導体層と、パターンを引き出すために信号伝送用導体層に形成されるとともにパターンの幅より広い幅を有するパッドと、信号伝送用導体層の下層として形成される第1の誘電体層と、第1の誘電体層の下層として形成される第1のグランド/電源プレーン層と、第1のグランド/電源プレーン層の下層として形成される第2の誘電体層と、第2の誘電体層の下方に形成される第2のグランド/電源プレーン層と、第1のグランド/電源プレーン層にパターンがパッドから引き出される方向と平行に細長く、かつパッドにおけるパターンの延長上の両外側直下に形成されるとともに、パターンとパッドの接合部において当該パターンの両幅端から連続的に当該パッド幅方向に広げられて形成され、パターンとパッドの終端部において連続的に当該パッド幅方向に狭められて形成される繰り抜き部とを備えている。
【0012】
これによれば、電子機器の構成要素である回路基板においてパッド直下のグランド/電源プレーンに伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けてインピーダンスの低下を抑制して反射を低減し、特にパターン部とパッド部の接合部およびパッド終端部におけるインピーダンス不整合を一層低減することで、高周波信号の伝送特性が向上し、延いては電子機器の処理精度を向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造を示す図であり、図1(a)はその平面図、図1(b)及び図1(c)は当該パッド部をそれぞれ図1(a)のA−A面、B−B面で切った断面図である。
【0014】
第1層は伝送ライン層であり、パターン部101及びパッド部102による表層パターンと誘電体層103とからなる。第2層はグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン104及び誘電体層105からなる。第3層もグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン106及び誘電体層107からなる。尚、誘電体層105が2層からなり、その間に中層の伝送ライン層を有しても良い。
【0015】
パッド部102は、パターン部101に比べて幅が広く、グランド/電源プレーン104に対峙する面積が広いため、パターン部101に比べて容量成分が多く、インピーダンスが低い。このため、パッド部102の直下のグランド/電源プレーン104の面積を減らすことで、容量成分の減少及び自己インダクタンスの増加を図り、インピーダンスを高める必要がある。尚、誘電体層103の比誘電率を変えたり、パッド部102のパターン厚を変えたりする方法も考えられるが、製造上困難が伴ない現実的ではない。
【0016】
そこで、パッド部102の直下のグランド/電源プレーン104にパターン部101の引出し方向と平行に2つの繰り抜き部108を設ける。直下に繰り抜き部108が無い箇所ではパッド部102からグランド/電源プレーン104までが誘電体層の厚さであるが、直下に繰り抜き部108がある箇所ではパッド部102からグランド/電源プレーン106までの厚さを誘電体層の厚さと見なすことができる。そこで、これらの箇所の面積比を調整して、パッド部102のインピーダンスをパターン部101のインピーダンスと等しくすることによりインピーダンス整合を行う。
【0017】
本実施形態によれば、グランド/電源プレーン104の繰り抜き部108をパターン部101のパッド部102から引き出す方向に平行に繰り抜くため、従来技術で発生するインピーダンス不整合による反射を低減できる。尚、図1において、繰り抜き部108はパッド部102にパターン部101を延長したライン上の両外側の直下に一つずつ形成されている。
【0018】
ここで電気力線を3次元的に考えた場合、パターン部101とパッド部102の接合部201及びパッド終端部202では、僅かながら猶も反射の生じる可能性がある。そこで図2に示すように、繰り抜き部108の形状を、接合部201においてはパターン部101の両幅端から連続的にパッド部102の幅方向に広げ、またパッド終端部202においては連続的にパッド部102の幅方向に狭めるよう形成する。これにより、接合部201及びパッド終端部202におけるインピーダンス不整合を一層低減できる。
【0019】
図3は、本実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造の変形例を示す図であり、図3(a)はその平面図、図3(b)及び図3(c)は当該パッド部をそれぞれ図3(a)のC−C面、D−D面で切った断面図である。断面図において誘電体層305より下層については示していないが、図1の層構成と異なる点は、繰り抜き部306の形状と位置と数だけである。即ち、繰り抜き部306が、パッド部302にパターン部301を延長したライン上の直下に一つだけ形成されている。
【0020】
図4は、本実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造の変形例を示す図であり、図4(a)はその平面図、図4(b)及び図4(c)は当該パッド部をそれぞれ図4(a)のE−E面、F−F面で切った断面図である。断面図において誘電体層405より下層については示していないが、図1の層構成と異なる点は、繰り抜き部406の形状と位置と数だけである。即ち、繰り抜き部406が、パッド部402にパターン部401を延長したライン上で上側にずれて一つだけ形成されている。
【0021】
図5は、本実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造の変形例を示す図であり、図5(a)はその平面図、図5(b)及び図5(c)は当該パッド部をそれぞれ図5(a)のG−G面、E−E面で切った断面図である。断面図において誘電体層505より下層については示していないが、図1の層構成と異なる点は、繰り抜き部506の形状と位置と数だけである。即ち、繰り抜き部506が、パッド部502にパターン部501を延長したライン上の直下に一つ、またパッド部502の上下方向の両外側に一つずつ形成されている。
【0022】
図6は、本実施形態に係る高周波伝送用回路基板のコンピュータ筐体への取付構造を示す断面図である。図6に示すように、筐体601は中空箱状の形状を有しており、内部には回路基板602及び603が収納されている。回路基板602は筐体601に設けられた支持部604により筐体601に固定され、また回路基板603はスタッキングコネクタ604とスタッキングコネクタ605との嵌合により固定されている。従って、高周波信号の伝送特性の良い回路基板を搭載することにより、コンピュータ自体の処理精度を向上することができる。
【0023】
以上、本実施形態の変形例を示したが、本発明の特徴はパッド部直下のグランド/電源プレーンにパターン部と平行に、即ち伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けたことにあり、伝送信号の進行方向においてパッド部のインピーダンスを一定にしている。従って、伝送信号の進行方向にほぼ平行であれば、所望するインピーダンスを得るために面積比を調整するに際し、パッド部直下のグランド/電源プレーンを繰り抜く形状、位置、数は適宜調整可能である。
【0024】
以上で詳述したように、本発明によれば、パッド部直下のグランド/電源プレーンに伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けてインピーダンスの低下を抑制して反射を低減し、特にパターン部とパッド部の接合部およびパッド終端部におけるインピーダンス不整合を一層低減することで、高周波信号の伝送特性を向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図2】同実施形態に係るパッド部直下の繰り抜き部の構造を示す図。
【図3】同実施形態の第1実施例に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図4】同実施形態の第2実施例に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図5】同実施形態の第3実施例に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図6】同実施形態に係る高周波伝送用回路基板のコンピュータ筐体への取付構造を示す断面図。
【図7】従来技術に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【符号の説明】
101…パターン部、 102…パッド部、
103、105、107…誘電体層、
104、106…グランド/電源プレーン、
201…パッド終端部、 202…接合部、
601…コンピュータ筐体、 602、603…回路基板、
604…支持部、 605、606…スタッキングコネクタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波信号を伝送する回路基板、その製造方法及びそれを用いた電子機器に係り、特にそのパッド部においてインピーダンス整合を行う構造を有する高周波信号伝送用回路基板、その製造方法及びそれを用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波信号伝送用回路基板上で正常な信号伝送を行うためには、伝送ライン(以下、パターン部)上の何処においてもインピーダンスが一定であることが必要である。局所的なインピーダンス不整合はエラー発生の原因となるが、とりわけパターン部の終端若しくは途中に接合される部品搭載用パッド若しくは接続用パッド(以下、総称してパッド部)では、パターン部よりも幅が広がっているためインピーダンスが低下し、この結果生じたインピーダンス不整合により伝送信号の反射が起こり、高周波信号の伝送特性、即ち波形品質を劣化させていた。
【0003】
このような状況に鑑み、特開平6−260773号公報には、高速信号伝送路用回路基板のパッドにおいて、直下のグランド/電源プレーンに繰り抜きを設けて、パッドとグランド/電源プレーンのオーバーラップ量をパッドから伝送ラインの引き出し方向に調整する構造が開示されている。図7は、同公報に係る高周波信号伝送用回路基板のパッドの構造の概略を説明するための図であり、図7(a)はその平面図、図7(b)乃至図7(d)はパッドをそれぞれ図7(a)のI−I面、J−J面、K−K面で切った断面図である。
【0004】
図7において、第1層(表層)は伝送ライン層であり、パターン部701及びパッド部702による表層パターンと誘電体層703とからなる。第2層はグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン704及び誘電体層705からなる。第3層もグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン706及び誘電体層707からなる。尚、簡単のため、ここでは第2層と第3層の中層に位置する伝送ライン層についての説明を省略する。
【0005】
図7(a)にあるように、同公報では、パッド部702の直下のグランド/電源プレーン704に部分的に繰り抜き部708を設け、パッド部702からグランド/電源プレーン704又は706までの誘電体層の厚さM及びM’を変えることでインピーダンス整合を図り、反射を抑えて、高周波信号の伝送特性を向上することを特徴としている。このため、図7(b)に示すような、直下のグランド/電源プレーン704に繰り抜き部708のあるパッド部と、図7(c)に示すような、直下のグランド/電源プレーン704に繰り抜き部708の無いパッド部の面積比を調整して、集中定数的にパッド全体としてのインピーダンスを伝送ラインのインピーダンスと等しくすることにより、パッド幅を変えることなくインピーダンス整合を実現している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同公報に開示された構造では、本来、高周波信号についてはその連続性を考慮して分布定数的に扱わねばならないにも拘らず、パッドのインピーダンスを全体として集中定数的に捉え、パターン部701のパッド部702からの引出し方向に直角に繰り抜き部708の右端を設けているので、図7(b)乃至図7(d)に示すように伝送信号の進行方向に層構成が異なり、表層パターン幅の違い等により、猶も局所的にインピーダンスが異なってしまう。
【0007】
これにより、図7(a)のパターン部701とパッド部702の接合部709や繰り抜き部708の右端、即ち各層構成が変化する部分においてインピーダンスが不整合となる。これにより、例えば繰り抜き部708の右端からパッド部702の左端までの長さLが、高周波信号が立ち上がり時間の1/8で到達可能な距離より長い場合に反射波が見えてしまい、波形にノイズが生じる結果となる。即ち、本来、高周波信号については分布定数的に連続性を考慮して取り扱う考えるべきである。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、パッド部からパターン部を引き出す方向に平行に繰り抜き部を設ける層構成により、分布定数的にインピーダンス整合を行って高周波信号による反射を低減する構造を有する高周波信号伝送用回路基板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高周波伝送用回路基板は、表面の信号伝送用導体層に形成されるパターンにより高周波信号を伝送するものであり、パターンの幅より広い幅を有するとともに、パターンを引き出すために信号伝送用導電体層に形成されるパッドと、信号伝送用導電体層の下層として形成される第1の誘電体層と、第1の誘電体層の下層として形成される第1のグランド/電源プレーン層と、第1のグランド/電源プレーン層の下層として形成される第2の誘電体層と、第2の誘電体層の下方に形成される第2のグランド/電源プレーン層と、パッドのほぼ直下の第1のグランド/電源プレーン層にパターンが当該パッドから引き出される方向と平行に細長く形成される繰り抜き部とを具備し、繰り抜き部は、パッドにおけるパターンの延長上の両外側直下に形成され、パターンとパッドの接合部において当該パターンの両幅端から連続的に当該パッド幅方向に広げられて形成されるとともに、パターンとパッドの終端部において連続的に当該パッド幅方向に狭められて形成されることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、パッド直下のグランド/電源プレーンに伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けてインピーダンスの低下を抑制して反射を低減し、特にパターン部とパッド部の接合部およびパッド終端部におけるインピーダンス不整合を一層低減することで、高周波信号の伝送特性を向上することができる。
【0011】
また、本発明の電子機器は、中空箱状の筐体と、筐体の内部に収容される回路基板と、回路基板の表面にパッドを介して実装される回路素子とを備えたものである。更にこの回路基板は、高周波信号を伝送するパターンをその表面に形成された信号伝送用導体層と、パターンを引き出すために信号伝送用導体層に形成されるとともにパターンの幅より広い幅を有するパッドと、信号伝送用導体層の下層として形成される第1の誘電体層と、第1の誘電体層の下層として形成される第1のグランド/電源プレーン層と、第1のグランド/電源プレーン層の下層として形成される第2の誘電体層と、第2の誘電体層の下方に形成される第2のグランド/電源プレーン層と、第1のグランド/電源プレーン層にパターンがパッドから引き出される方向と平行に細長く、かつパッドにおけるパターンの延長上の両外側直下に形成されるとともに、パターンとパッドの接合部において当該パターンの両幅端から連続的に当該パッド幅方向に広げられて形成され、パターンとパッドの終端部において連続的に当該パッド幅方向に狭められて形成される繰り抜き部とを備えている。
【0012】
これによれば、電子機器の構成要素である回路基板においてパッド直下のグランド/電源プレーンに伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けてインピーダンスの低下を抑制して反射を低減し、特にパターン部とパッド部の接合部およびパッド終端部におけるインピーダンス不整合を一層低減することで、高周波信号の伝送特性が向上し、延いては電子機器の処理精度を向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造を示す図であり、図1(a)はその平面図、図1(b)及び図1(c)は当該パッド部をそれぞれ図1(a)のA−A面、B−B面で切った断面図である。
【0014】
第1層は伝送ライン層であり、パターン部101及びパッド部102による表層パターンと誘電体層103とからなる。第2層はグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン104及び誘電体層105からなる。第3層もグランド/電源プレーン層であり、グランド/電源プレーン106及び誘電体層107からなる。尚、誘電体層105が2層からなり、その間に中層の伝送ライン層を有しても良い。
【0015】
パッド部102は、パターン部101に比べて幅が広く、グランド/電源プレーン104に対峙する面積が広いため、パターン部101に比べて容量成分が多く、インピーダンスが低い。このため、パッド部102の直下のグランド/電源プレーン104の面積を減らすことで、容量成分の減少及び自己インダクタンスの増加を図り、インピーダンスを高める必要がある。尚、誘電体層103の比誘電率を変えたり、パッド部102のパターン厚を変えたりする方法も考えられるが、製造上困難が伴ない現実的ではない。
【0016】
そこで、パッド部102の直下のグランド/電源プレーン104にパターン部101の引出し方向と平行に2つの繰り抜き部108を設ける。直下に繰り抜き部108が無い箇所ではパッド部102からグランド/電源プレーン104までが誘電体層の厚さであるが、直下に繰り抜き部108がある箇所ではパッド部102からグランド/電源プレーン106までの厚さを誘電体層の厚さと見なすことができる。そこで、これらの箇所の面積比を調整して、パッド部102のインピーダンスをパターン部101のインピーダンスと等しくすることによりインピーダンス整合を行う。
【0017】
本実施形態によれば、グランド/電源プレーン104の繰り抜き部108をパターン部101のパッド部102から引き出す方向に平行に繰り抜くため、従来技術で発生するインピーダンス不整合による反射を低減できる。尚、図1において、繰り抜き部108はパッド部102にパターン部101を延長したライン上の両外側の直下に一つずつ形成されている。
【0018】
ここで電気力線を3次元的に考えた場合、パターン部101とパッド部102の接合部201及びパッド終端部202では、僅かながら猶も反射の生じる可能性がある。そこで図2に示すように、繰り抜き部108の形状を、接合部201においてはパターン部101の両幅端から連続的にパッド部102の幅方向に広げ、またパッド終端部202においては連続的にパッド部102の幅方向に狭めるよう形成する。これにより、接合部201及びパッド終端部202におけるインピーダンス不整合を一層低減できる。
【0019】
図3は、本実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造の変形例を示す図であり、図3(a)はその平面図、図3(b)及び図3(c)は当該パッド部をそれぞれ図3(a)のC−C面、D−D面で切った断面図である。断面図において誘電体層305より下層については示していないが、図1の層構成と異なる点は、繰り抜き部306の形状と位置と数だけである。即ち、繰り抜き部306が、パッド部302にパターン部301を延長したライン上の直下に一つだけ形成されている。
【0020】
図4は、本実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造の変形例を示す図であり、図4(a)はその平面図、図4(b)及び図4(c)は当該パッド部をそれぞれ図4(a)のE−E面、F−F面で切った断面図である。断面図において誘電体層405より下層については示していないが、図1の層構成と異なる点は、繰り抜き部406の形状と位置と数だけである。即ち、繰り抜き部406が、パッド部402にパターン部401を延長したライン上で上側にずれて一つだけ形成されている。
【0021】
図5は、本実施形態に係る高周波信号伝送路用回路基板のパッド部の構造の変形例を示す図であり、図5(a)はその平面図、図5(b)及び図5(c)は当該パッド部をそれぞれ図5(a)のG−G面、E−E面で切った断面図である。断面図において誘電体層505より下層については示していないが、図1の層構成と異なる点は、繰り抜き部506の形状と位置と数だけである。即ち、繰り抜き部506が、パッド部502にパターン部501を延長したライン上の直下に一つ、またパッド部502の上下方向の両外側に一つずつ形成されている。
【0022】
図6は、本実施形態に係る高周波伝送用回路基板のコンピュータ筐体への取付構造を示す断面図である。図6に示すように、筐体601は中空箱状の形状を有しており、内部には回路基板602及び603が収納されている。回路基板602は筐体601に設けられた支持部604により筐体601に固定され、また回路基板603はスタッキングコネクタ604とスタッキングコネクタ605との嵌合により固定されている。従って、高周波信号の伝送特性の良い回路基板を搭載することにより、コンピュータ自体の処理精度を向上することができる。
【0023】
以上、本実施形態の変形例を示したが、本発明の特徴はパッド部直下のグランド/電源プレーンにパターン部と平行に、即ち伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けたことにあり、伝送信号の進行方向においてパッド部のインピーダンスを一定にしている。従って、伝送信号の進行方向にほぼ平行であれば、所望するインピーダンスを得るために面積比を調整するに際し、パッド部直下のグランド/電源プレーンを繰り抜く形状、位置、数は適宜調整可能である。
【0024】
以上で詳述したように、本発明によれば、パッド部直下のグランド/電源プレーンに伝送信号の進行方向と平行に繰り抜き部を設けてインピーダンスの低下を抑制して反射を低減し、特にパターン部とパッド部の接合部およびパッド終端部におけるインピーダンス不整合を一層低減することで、高周波信号の伝送特性を向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図2】同実施形態に係るパッド部直下の繰り抜き部の構造を示す図。
【図3】同実施形態の第1実施例に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図4】同実施形態の第2実施例に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図5】同実施形態の第3実施例に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【図6】同実施形態に係る高周波伝送用回路基板のコンピュータ筐体への取付構造を示す断面図。
【図7】従来技術に係る高周波信号伝送用回路基板のパッド部の構造を示す図。
【符号の説明】
101…パターン部、 102…パッド部、
103、105、107…誘電体層、
104、106…グランド/電源プレーン、
201…パッド終端部、 202…接合部、
601…コンピュータ筐体、 602、603…回路基板、
604…支持部、 605、606…スタッキングコネクタ
Claims (4)
- 表面の信号伝送用導体層に形成されるパターンにより高周波信号を伝送する高周波信号伝送用回路基板において、
前記パターンの幅より広い幅を有するとともに、前記パターンを引き出すために前記信号伝送用導電体層に形成されるパッドと、
前記信号伝送用導電体層の下層として形成される第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の下層として形成される第1のグランド/電源プレーン層と、
前記第1のグランド/電源プレーン層の下層として形成される第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の下方に形成される第2のグランド/電源プレーン層と、
前記パッドのほぼ直下の前記第1のグランド/電源プレーン層に前記パターンが当該パッドから引き出される方向と平行に細長く形成される繰り抜き部とを具備し、
前記繰り抜き部は、前記パッドにおける前記パターンの延長上の両外側直下に形成され、前記パターンと前記パッドの接合部において当該パターンの両幅端から連続的に当該パッド幅方向に広げられて形成されるとともに、前記パターンと前記パッドの終端部において連続的に当該パッド幅方向に狭められて形成されることを特徴とする高周波信号伝送用回路基盤。 - 前記繰り抜き部は、
前記パッドにおける前記パターンの延長上の直下にさらに形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。 - 第1のグランド/電源プレーン層を形成する工程と、
前記第1のグランド/電源プレーン層の上方に第1の誘電体層を形成する工程と、
前記第1の誘電体層上に第2のグランド/電源プレーン層を形成する工程と、
前記第2のグランド/電源プレーン層上に第2の誘電体層を形成する工程と、
前記第2の誘電体層上に高周波信号を伝送するためのパターンを形成する工程と、
前記第2の誘電体層上に前記パターンの幅より広い幅を有するとともに前記パターンを引き出すためのパッドを形成する工程と、
前記パッドのほぼ直下の前記第2のグランド/電源プレーン層を、前記パターンが当該パッドから引き出される方向と平行に細長く、かつ前記パッドにおける前記パターンの延長上の両外側直下に繰り抜くとともに、前記パターンと前記パッドの接合部において当該パターンの両幅端から連続的に当該パッド幅方向に広げられて繰り抜き、前記パターンと前記パッドの終端部において連続的に当該パッド幅方向に狭められて繰り抜く工程とを具備することを特徴とする高周波信号伝送用回路基板の製造方法。 - 中空箱状の筐体と、該筐体の内部に収容される回路基板と、該回路基板の表面にパッドを介して実装される回路素子とを備える電子機器であって、
前記回路基板が、高周波信号を伝送するパターンをその表面に形成された信号伝送用導体層と、
前記パターンを引き出すために前記信号伝送用導体層に形成されるとともに前記パターンの幅より広い幅を有する前記パッドと、
前記信号伝送用導体層の下層として形成される第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の下層として形成される第1のグランド/電源プレーン層と、
前記第1のグランド/電源プレーン層の下層として形成される第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の下方に形成される第2のグランド/電源プレーン層と、
前記第1のグランド/電源プレーン層に前記パターンが前記パッドから引き出される方向と平行に細長く、かつ前記パッドにおける前記パターンの延長上の両外側直下に形成されるとともに、前記パターンと前記パッドの接合部において当該パターンの両幅端から連続的に当該パッド幅方向に広げられて形成され、前記パターンと前記パッドの終端部において連続的に当該パッド幅方向に狭められて形成される繰り抜き部とを具備することを特徴とする電子機器。
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