JP3584457B2 - ジアミン化合物、ポリアミック酸、ポリイミド、液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
ジアミン化合物、ポリアミック酸、ポリイミド、液晶配向剤および液晶表示素子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリアミック酸およびポリイミド並びにこれらの少なくとも一方を含有する液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、液晶分子の長軸が基板間で90度連続的に捻れるようにしてなるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有する液晶表示素子(TN型液晶表示素子)が知られている。このTN型液晶表示素子における液晶の配向は、ラビング処理が施された液晶配向膜により形成されている。
【0003】
また最近では、コントラストおよび視角依存性に優れた液晶表示素子であるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、SH(Super Homeotropic)型液晶表示素子が開発されている。STN型液晶表示素子は、液晶としてネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを用い、液晶分子の長軸を基板間で180度以上連続的に捻ることにより生じる複屈折効果を利用するものである。また、SH型液晶表示素子は、液晶分子の誘電異方性が負の液晶を垂直配向させ、電圧印加により分子を倒して単純マトリックス駆動で動作させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来知られているポリイミドなどからなる液晶配向膜を用いてSTN型液晶表示素子を作製した場合、液晶配向膜のプレチルト角が小さいため、液晶を基板間で180度以上捻ることができず、所要の表示機能を得ることは困難である。このため、STN型液晶表示素子においては、液晶を配向させるために、二酸化ケイ素を斜方蒸着して形成した液晶配向膜を用いる必要があるが、この配向膜は製造工程が煩雑で大量生産には適さないという問題がある。また、SH型液晶表示素子は、液晶を垂直配向させるために、二酸化ケイ素を斜方蒸着して形成した基板を用いたり、基板をフッ素系の界面活性剤や長鎖アルキル基を有するカップリング剤で処理することが必要であるが、界面活性剤やカップリング剤を用いる場合には信頼性が乏しくなるという問題がある。
また、TN型液晶表示素子においても、液晶セル駆動時のリバースチルト現象による表示不良を抑制するために、高いプレチルト角を有する液晶配向膜が望まれるようになってきた。
【0005】
従来、高いプレチルト角を発現するためにポリイミド末端部、側鎖部への長鎖アルキル基の導入が一般的に行われてきた。しかし、この長鎖アルキル基で修飾したポリイミド配向膜は、プレチルト角の工程安定性に欠けるといった問題がある。特に、STN型液晶表示素子はその原理上、膜厚ムラ、ラビングムラなどから生じるプレチルト角のバラツキが表示ムラとなって現れるために、プレチルト角発現の工程マージンの広い材料が必要である。
【0006】
本発明の第1の目的は、液晶配向剤として有用である新規なポリアミック酸を提供することにある。
本発明の第2の目的は、液晶配向剤として有用である新規なポリイミドを提供することにある。
本発明の第3の目的は、液晶配向膜としたとき、液晶の配向性が良好で、プレチルト角が大きく、かつ膜厚、ラビング条件などの液晶表示素子の製造工程条件に対するプレチルト角の依存性が小さい液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリアミック酸(以下、「特定重合体I」という)は、
下記式(1)
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のハロアルキル基またはハロゲン原子であり、X、Yは互いに独立に下記式(a)〜(d)
【0010】
【化4】
【0011】
で表わされる2価の結合基であり、aは0〜5の整数である。)
で表わされるジアミン化合物(以下、「特定ジアミン化合物」という)およびテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるものである。
【0012】
また、本発明のポリイミド(以下、「特定重合体II」という)は、本発明の上記ポリアミック酸を脱水閉環させて得られるものである。
また、本発明の液晶配向剤は、本発明の上記ポリアミック酸および/または上記ポリイミドを含有するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
特定ジアミン化合物
本発明で用いられる特定ジアミン化合物は、上記式(1)で表わされる化合物である。
式(1)中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のハロアルキル基またはハロゲン原子であり、XおよびYは互いに独立に上記式(a)〜(d)のエステル基またはアミド基であり、そしてaは0〜5の整数である。
XとYは同一でも異なっていてもよいが、製造工程上、同一である方がより好ましい。
また、aが2〜5の整数のとき、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。
【0014】
R1を表わす炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。
R1を表わす炭素数1〜12のハロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基を好ましいものとして挙げることができる。
また、R1を表すハロゲン原子としては、例えばフッ素原子を好ましいものとして挙げることができる。
【0015】
上記式(1)で示される特定ジアミン化合物は、例えば次に示す方法によって得られる。
[Xが上記式(a)、Yが上記式(b)で表わされる場合]
工程(i).下記式(2)
【0016】
【化5】
【0017】
ここでAはハロゲン原子である、
で表わされるジニトロ安息香酸ハライド化合物に、ジヒドロキシシクロヘキサンを反応させて、下記式(3)
【0018】
【化6】
【0019】
で表わされる水酸基を含有する化合物を得る。
工程(ii).工程(i)で生成した水酸基を有する化合物に、下記式(4)
【0020】
【化7】
【0021】
ここで、R1、Aおよびaの定義は上記に同じである、
で表わされる化合物を反応させて、下記式(5)
【0022】
【化8】
【0023】
ここで、R1およびaの定義は上記に同じである、
で表わされるジニトロ化合物を得る。
工程(iii).工程(ii)で得られたジニトロ化合物を還元し、下記式(6)
【0024】
【化9】
【0025】
ここで、R1およびaの定義は上記に同じである、
で表わされる特定ジアミン化合物を得る。
【0026】
[Xが上記式(c)、Yが上記式(d)で表わされる場合]
工程(i).上記式(2)で表わされるジニトロ安息香酸ハライドにジアミノシクロヘキサンを反応させて、下記式(7)
【0027】
【化10】
【0028】
で表わされるアミノ基を有する化合物を得る。
工程(ii).工程(i)で生成したアミノ基を有する化合物に、上記式(4)で表わされる化合物を反応させて、下記式(8)
【0029】
【化11】
【0030】
ここで、R1およびaの定義は上記に同じである、
で表わされるジニトロ化合物を得る。
工程(iii).工程(ii)で得られたジニトロ化合物を還元し、下記式(9)
【0031】
【化12】
【0032】
で表わされる特定ジアミン化合物を得る。
【0033】
特定ジアミン化合物の合成反応には、必要に応じて溶媒を用いることができる。上記溶媒としては、特定ジアミン化合物を溶解させることができ、かつ反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;その他ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを挙げることができる。
上記反応に用いられる塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジン、トリエチルアミンなどを挙げることができる。
【0034】
上記工程(i)における上記式(2)で表わされるジニトロ安息香酸ハライド化合物とジヒドロキシシクロヘキサン、ジアミノシクロヘキサンなどのシクロヘキサン構造を有する化合物との使用割合は、ジニトロ安息香酸ハライド化合物1モルに対し、シクロヘキサン構造を有する化合物が2〜20モルが好ましい。
上記工程(ii)における工程(i)で得られた化合物1モルに対する上記式(4)または(8)で表わされる化合物の使用割合は1〜1.2モルが好ましい。
【0035】
上記工程(iii)におけるジニトロ化合物の還元には、水素ガス、ヒドラジン、塩酸などの還元剤を周知の触媒の存在化に行うことができる。
上記触媒としては、例えばVIII族金属、すなわち鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミニウム、インジウム、白金などの金属を活性主体とする金属触媒、具体的には担体に上記金属が担持された触媒、上記金属の錯体触媒を挙げることができ、上記還元反応において均一系でも不均一系であってもよい。
【0036】
上記触媒の使用量は、適宜の割合で使用でき、例えば触媒が前記VIII族の金属を活性主体とする場合、ジニトロ化合物100重量部に対して0.0001〜100重量部、特に0.001〜20重量部の範囲で用いることが好ましい。また、上記還元反応として亜鉛、スズ、炭化スズ(II)、硫化ナトリウム、ナトリウムヒドロスルフィド、亜二チオン酸ナトリウム、硫化アンモニウムなどの還元剤を用いる方法も使用できる。この場合、還元剤は、ジニトロ化合物のニトロ基1モルに対して0.001〜10モルの範囲で使用することが好ましい。
【0037】
上記還元反応に用いる溶媒としては、ジニトロ化合物とジアミン化合物とをともに溶解し、かつ還元反応によって変質しないものが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル類を挙げることができる。
【0038】
本発明で使用される特定ジアミン化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用でき、下記式(10)〜(17)の化合物が好ましいものとして例示される。
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
また、本発明に使用されるジアミン化合物には、特定ジアミン化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で他のジアミン化合物を併用することができる。
【0042】
他のジアミン化合物
本発明に使用される他のジアミン化合物としては、以下に示す化合物が例示される。
p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、
などの芳香族ジアミン化合物;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族または脂環式ジアミン化合物;
下記式(18)〜(21)
【0043】
【化15】
【0044】
で表わされるジアミン化合物。
これらの中でp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)−1.4−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリンが好ましい。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0045】
本発明に用いられる他のジアミン化合物の使用割合は、全ジアミン化合物中、0〜99.9モル%であり、好ましくは、TN型およびSTN型液晶表示素子用としては、70〜95モル%、SH型液晶表示素子用としては0〜50モル%である。
【0046】
テトラカルボン酸二無水物
本発明に使用されるテトラカルボン酸二無水物としては、以下に示す化合物が例示される。
ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物。
【0047】
これらのうちではピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物およびビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンが特に好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0048】
ポリアミック酸
本発明に用いられる特定重合体I(ポリアミック酸)は、特定ジアミン化合物を含有するジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる。かかる反応は有機溶媒中で、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の反応温度で行われる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物中のアミノ基1当量に対してテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を0.2〜2当量とするのが好ましく、より好ましくは0.3〜1.2当量である。
【0049】
上記有機溶媒としては、反応で生成する特定重合体Iを溶解しうるものであれば特に制限はない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜30重量%になるようにするのが好ましい。
【0050】
なお、上記有機溶媒には、貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類を生成する重合体が析出しない程度に併用することができる。かかる貧溶媒としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0051】
かくして得られる本発明の特定重合体Iは、下記式(22)
【0052】
【化16】
【0053】
ここで、R1、X、Yおよびaの定義は上記に同じであり、Zはテトラカルボン酸二無水物から2つの酸無水物基を除いた残基である、
で表わされる繰返し単位を有する。
【0054】
ポリイミド
本発明に用いられる特定重合体II(ポリイミド)は、上記の特定重合体Iを、加熱して、または脱水剤およびイミド化触媒の存在下でイミド化することにより得られる。加熱によりイミド化する場合の反応温度は、通常60〜250℃、好ましくは100〜170℃である。反応温度が60℃未満では反応の進行が遅れ、また250℃を越えると特定重合体IIの分子量が大きく低下することがある。また、脱水剤およびイミド化触媒の存在下でイミド化する場合の反応は、前記した有機溶媒中で行うことができる。反応温度は、通常0〜180℃、好ましくは60〜150℃である。脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。また、イミド化触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。脱水剤の使用量は、相当する特定重合体Iの繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。また、イミド化触媒の使用量は使用する脱水剤1モルに対し、0.5〜10モルとするのが好ましい。また、イミド化反応の条件を適宜調節することにより、イミド化率を調節することができる。
【0055】
かくして得られる本発明の特定重合体IIは、下記式(23)
【0056】
【化17】
【0057】
ここで、R1、X、Y、aおよびZの定義は上記に同じである、
で表わされる繰返し単位を有する。
【0058】
ポリアミック酸またはポリイミドの固有粘度
このようにして得られる特定重合体IまたはIIの固有粘度[η]inh=(ln ηrel/C、C=0.5g/dl、30℃、N−メチル−2−ピロリドン中、以下同条件にて固有粘度を測定)は、好ましくは0.05〜10dl/g、より好ましくは0.05〜5dl/gである。
【0059】
液晶配向剤
本発明の液晶配向剤は、本発明のポリアミック酸および/またはポリイミドよりなる有効成分が有機溶媒中に溶解含有されて構成される。液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応やイミド化反応に用いられるものとして例示した非プロトン系極性溶媒やフェノール系溶媒を挙げることができる。またポリアミック酸合成の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
【0060】
本発明の液晶配向剤における有効成分(ポリアミック酸および/またはポリイミド)の濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲とされる。溶液からなる液晶配向剤は、印刷法、スピンコート法などにより基板表面に塗布され、次いで、これを乾燥することにより、配向膜材料である塗膜が形成される。有効成分の濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過少となって良好な液晶配向膜を得ることができない。一方、有効成分の濃度が10重量%を越える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘度が増大して塗布特性に劣るものとなる。
本発明の液晶配向剤は、特定重合体Iおよび/または特定重合体IIと基板との接着性のさらなる改善を目的として、官能性シラン含有化合物や、エポキシ系架橋剤を含有することもできる。
【0061】
このような官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトシキカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトシキカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。また、上記エポキシ系架橋剤としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルオルトトルイジン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0062】
液晶表示素子
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
【0063】
(1)透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤をロールコーター法、スピンナー法、印刷法などで塗布し、次いで塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。
ここに基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックフィルムなどからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられた透明導電膜としては、SnO2からなるNESA膜、In2O3−SnO2からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法、予めマスクを用いる方法などが用いられる。
【0064】
液晶配向剤の塗布に際しては、基板および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン含有化合物、チタネートなどを塗布することもできる。加熱温度は、好ましくは80〜250℃とされ、より好ましくは120〜250℃とされる。形成される塗膜の膜厚は、通常、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0065】
(2)形成された塗膜は、ナイロンなどの合成繊維からなる布を巻き付けたロールでラビング処理を行うことにより、液晶配向膜とされる。
【0066】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板は、その2枚を液晶配向膜をラビング方向が直交または逆平行となるよう対向させ、基板の間の周辺部をシール剤でシールし、液晶を充填し、充填孔を封止して液晶セルとし、その両面に偏光方向がそれぞれ基板の液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように張り合わせることにより液晶表示素子とされる。
上記シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有したエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0067】
上記液晶としては、ネマティック型液晶、スメクティック型液晶、その中でもネマティック型液晶を形成させるものが好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶や商品名C−15,CB−15(Merck Ltd.)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
【0068】
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
【0069】
なお、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特開平6−222366号公報や特開平6−281937号公報に示されているような紫外線を照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5−107544号公報に示されているような、ラビング処理を施した液晶配向膜上にレジストを部分的に形成し、先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
なお、実施例中におけるプレチルト角の測定は、[T.J. Schffer, et al., J. Appl. Phys., 19, 2013 (1980)]に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により行った。
また、液晶セルの配向性評価は、電圧をオン・オフさせた時の液晶セル中の異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合良好と判断した。
【0071】
特定ジアミン化合物の合成例1
工程(i)
3,5−ジニトロ安息香酸クロリド23.06g(100ミリモル)および1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン34.85g(300ミリモル)を、テトラヒドロフラン400gに溶解した。次いで、攪拌氷冷を行いながら、ピリジン7.91g(100ミリモル)を徐々に滴下した。6時間反応を行った後反応液を大過剰の水中にあけ、析出物を濾別し、メチルエチルケトンより再結晶を行い、白色のジニトロ化合物を得た。
【0072】
工程(ii)
工程(i)で得られたジニトロ化合物24.82g(80ミリモル)およびp−トリフルオロメチル安息香酸クロリド18.32g(80ミリモル)を、テトラヒドロフラン400gに溶解した。次いで、攪拌氷冷を行いながら、ピリジン6.33g(80ミリモル)を徐々に滴下した。6時間反応を行った後反応液を大過剰の水中にあけ、析出物を濾別し、メチルエチルケトンより再結晶を行い、白色のジニトロ化合物を得た。
【0073】
工程(iii)
工程(ii)で得られたジニトロ化合物36.20g(72ミリモル)をエタノール400gに溶解させて、5重量%パラジウム−炭素触媒0.30gおよびヒドラジン一水和物5.6g(100ミリモル)を加え、6時間還流反応した。反応液を大過剰の水中にあけ、析出物を濾別し、エタノールより再結晶を行い、上記式(10)で表わされる白色の特定ジアミン化合物(i)24.33gを得た。
得られた特定ジアミン化合物(i)の赤外吸収スペクトルを図1に、NMRスペクトルを図2に示す。
【0074】
特定ジアミン化合物の合成例2
工程(i)
3,5−ジニトロ安息香酸クロリド23.06g(100ミリモル)および1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン34.85g(300ミリモル)を、テトラヒドロフラン400gに溶解した。次いで、攪拌氷冷を行いながら、ピリジン7.91g(100ミリモル)を徐々に滴下した。6時間反応を行った後反応液を大過剰の水中にあけ、析出物を濾別し、メチルエチルケトンより再結晶を行い、白色のジニトロ化合物を得た。
【0075】
工程(ii)
工程(i)で得られたジニトロ化合物24.82g(80ミリモル)およびp−フルオロ安息香酸クロリド12.68g(80ミリモル)を、テトラヒドロフラン400gに溶解した。次いで、攪拌氷冷を行いながら、ピリジン6.33g(80ミリモル)を徐々に滴下した。6時間反応を行った後反応液を大過剰の水中にあけ、析出物を濾別し、メチルエチルケトンより再結晶を行い、白色のジニトロ化合物を得た。
【0076】
工程(iii)
工程(ii)で得られたジニトロ化合物31.12g(72ミリモル)をエタノール400gに溶解させて、5重量%パラジウム−炭素触媒0.30gおよびヒドラジン一水和物5.6g(100ミリモル)を加え、6時間還流反応した。反応液を大過剰の水中にあけ、析出物を濾別し、エタノールより再結晶を行い、上記式(10)で表される融点196℃の白色の特定ジアミン化合物(ii)24.33gを得た。
得られた特定ジアミン化合物(ii)の赤外吸収スペクトルを図3に、NMRスペクトルを図4に示す。
【0077】
実施例1(特定重合体Iaの合成)
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.42g(100ミリモル)、ジアミン化合物として上記式(10)で表わされる特定ジアミン化合物4.22g(10ミリモル)およびp−フェニレンジアミン9.73g(90ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン327.33gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.20dl/gの特定重合体Iaを得た。得られた特定重合体Iaの赤外吸収スペクトルを図5に、NMRスペクトルを図6に示す。
【0078】
実施例2(特定重合体IIaの合成)
合成例1で得られた特定重合体Ia36.37gを631.03gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ピリジン15.82gおよび無水酢酸20.42gを添加し、115℃で4時間イミド化反応をさせた。
次いで、反応生成液を合成例1と同様に沈澱させ、対数粘度1.20dl/gの特定重合体IIaを得た。得られた特定重合体IIaの赤外吸収スペクトルを図7に、NMRスペクトルを図8に示す。
【0079】
実施例3(特定重合体Ibの合成)
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.42g(100ミリモル)、ジアミン化合物として上記式(10)で表わされる特定ジアミン化合物21.12g(50ミリモル)およびp−フェニレンジアミン5.41g(50ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン440.55gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.00dl/gの特定重合体Ibを得た。
【0080】
実施例4(特定重合体IIbの合成)
合成例3で得られた特定重合体Ib48.95gを930.05gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ピリジン15.82gおよび無水酢酸20.42gを添加し、115℃で4時間イミド化反応をさせた。
次いで、反応生成液を合成例1と同様に沈澱させ、対数粘度1.00dl/gの特定重合体IIbを得た。
【0081】
実施例5(特定重合体Icの合成)
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.42g(100ミリモル)およびジアミン化合物として上記式(10)で表わされる特定ジアミン化合物44.24g(100ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン581.94gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。 次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度0.80dl/gの特定重合体Icを得た。得られた特定重合体Icの赤外吸収スペクトルを図9に、NMRスペクトルを図10に示す。
【0082】
実施例6(特定重合体IIcの合成)
合成例5で得られた特定重合体Ic64.66gを1228.54gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、15.82gのピリジンと20.42gの無水酢酸を添加し、115℃で4時間イミド化反応をさせた。
次いで、反応生成液を合成例1と同様に沈澱させ、対数粘度0.80dl/gの特定重合体IIcを得た。得られた特定重合体IIcの赤外吸収スペクトルを図11に、NMRスペクトルを図12に示す。
【0083】
実施例7(特定重合体Idの合成)
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物21.81g(100ミリモル)、ジアミン化合物として上記式(10)で表わされる特定ジアミン化合物21.11g(50ミリモル)およびp−フェニレンジアミン5.41g(50ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン434.97gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.35dl/gの特定重合体Idを得た。
【0084】
実施例8(特定重合体Ieの合成)
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物21.81g(100ミリモル)、ジアミン化合物として上記式(11)で表わされる特定ジアミン化合物21.01g(50ミリモル)およびp−フェニレンジアミン5.41g(50ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン434.07gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.40dl/gの特定重合体Ieを得た。
【0085】
実施例9(特定重合体Ifの合成)
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物21.81g(100ミリモル)、ジアミン化合物として上記式(12)で表わされる特定ジアミン化合物18.41g(50ミリモル)およびp−フェニレンジアミン5.41g(50ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン410.67gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.30dl/gの特定重合体Ifを得た。
【0086】
実施例10(特定重合体Igの合成)
テトラカルボン酸二無水物として1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン26.72g(85ミリモル)および1,3−ジメチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物3.36g(15ミリモル)、ジアミン化合物として1,4−フェニレンジアミン8.11g(75ミリモル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン2.97g(15ミリモル)および上記式(10)で表わされる特定化合物4.22g(10ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン408.42gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.10dl/gの特定重合体Igを得た。
【0087】
実施例11(特定重合体IIgの合成)
合成例10で得られた特定重合体Ig45.38を862.22gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ピリジン15.82gおよび無水酢酸20.42gを添加し、115℃で4時間イミド化反応させた。
次いで、反応生成物を合成例1と同様に沈澱させ、対数粘度1.10dl/gの特定重合体IIgを得た。
【0088】
実施例12(特定重合体IIhの合成)
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.42g(100ミリモル)、ジアミン化合物として特定ジアミン化合物(ii)3.72g(10ミリモル)およびp−フェニレンジアミン9.73g(90ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン327.33gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.10dl/gの特定重合体Ihを得た。得られた特定重合体Ih36.37gを631.03gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ピリジン15.82gおよび無水酢酸20.42gを添加し、115℃で4時間イミド化反応をさせた。
次いで、反応生成液を合成例1と同様に沈澱させ、対数粘度1.0dl/gの特定重合対IIhを得た。得られた特定重合体IIhの赤外吸収スペクトルを図13に、NMRスペクトルを図14に示す。
【0089】
比較例1(重合体Iαの合成)
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.42g(100ミリモル)およびジアミン化合物として、p−フェニレンジアミン10.81g(100.00ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン299.07gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.25dl/gの重合体Iαを得た。
【0090】
比較例2(重合体IIαの合成)
比較例1で得られた重合体Ia33.23gを631.37gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ピリジン15.82gおよび無水酢酸20.42gを添加し、115℃で4時間イミド化反応をさせた。
次いで、反応生成液を合成例1と同様に沈澱させ、対数粘度1.25dl/gの重合体IIαを得た。
【0091】
比較例3(重合体Iβの合成)
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物21.81g(100ミリモル)およびジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン10.81g(100ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン293.58gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.40dl/gの重合体Iβを得た。
【0092】
比較例4(重合体Iγの合成)
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物21.81g(100ミリモル)およびジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン5.4g(50ミリモル)、下記式(24)
【0093】
【化18】
【0094】
で表されるジアミン化合物16.2g(50ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン293.58gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.20dl/gの重合体Iγを得た。
【0095】
比較例5(重合体Iδの合成)
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物21.81g(100ミリモル)およびジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン5.4g(50ミリモル)、上記式(21)で表されるジアミン化合物14.76g(50ミリモル)をN−メチル−2−ピロリドン293.58gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、対数粘度1.60dl/gの重合体Iδを得た。
【0096】
実施例13(液晶配向剤の調製・評価)
実施例2で得られた特定重合体IIaをγ−ブチロラクトンに溶解させて、固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過し、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の上に透明電極面に、膜厚が800オングストロームになるようにスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間焼成し塗膜を形成した。
この塗膜にナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール毛足押し込み長0.6mm、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒でラビング処理を2回行った。このとき、配向膜と基板との接着性は良好であり、ラビングによる剥がれは観察されなかった。
【0097】
次に、一対のラビング処理された基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径17μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように、しかもラビング方向が逆平行になるように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。
次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製、MLC−2001)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を、偏光板の偏光方向がそれぞれの基板の液晶配向膜のラビング方向と一致するように張り合わせ、液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子の配向性は良好であり、プレチルト角を測定したところ、3.5゜であった。これらの結果を表1に示す。
【0098】
実施例14〜45(液晶配向剤の調製・評価)
実施例13において、実施例2、4、6、7、8、9、11および12で得られた特定重合体IIb、IIc、Id、Ie、If、IIgおよびIIhを用いて液晶配向剤を調製し、配向膜の加熱温度を180〜250℃、膜厚を200〜1500オングストローム、ラビング回数を1〜5回とした以外は、実施例13と同様にして液晶表示素子を作製し、その液晶表示素子の配向性およびプレチルト角を測定し、結果を表1および表2に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
比較例6〜25(液晶配向剤の調製・評価)
実施例13において、比較例1〜5で得られた重合体を用いて液晶配向剤を調製し、配向膜の加熱温度を180〜250℃、膜厚を200〜1500オングストローム、ラビング回数を1〜5回とした以外は、実施例13と同様にして液晶表示素子を作製し、その液晶表示素子の配向性およびプレチルト角を測定し、結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
【発明の効果】
本発明の液晶配向剤によれば、液晶配向膜としたとき、液晶の配向性が良好で、膜厚、ラビング条件などの工程条件に依らない高いプレチルト角を発現できる、TN型、STN型またはSH型表示素子用として好適な液晶配向膜が得られる。
さらに、本発明の液晶配向剤を用いて形成した配向膜を有する液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性に優れ、種々の装置に有効に使用でき、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、係数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビなどの表示装置に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられるジアミン化合物の具体例の赤外吸収スペクトル図である。
【図2】図1の具体例と同じジアミン化合物のNMRスペクトル図である。
【図3】本発明で用いられるジアミン化合物の他の具体例の赤外吸収スペクトル図である。
【図4】図3の具体例と同じジアミン化合物のNMRスペクトル図である。
【図5】本発明のポリアミック酸の具体例の赤外吸収スペクトル図である。
【図6】図5の具体例と同じポリアミック酸のNMRスペクトル図である。
【図7】本発明のポリイミドの具体例の赤外吸収スペクトル図である。
【図8】図7の具体例と同じポリイミドのNMRスペクトル図である。
【図9】本発明のポリアミック酸の他の具体例の赤外吸収スペクトル図である。
【図10】図9の具体例と同じポリアミック酸のNMRスペクトル図である。
【図11】本発明のポリイミドの他の具体例の赤外吸収スペクトル図である。
【図12】図11の具体例と同じポリイミドのNMRスペクトル図である。
【図13】本発明のポリイミドの他の具体例の赤外吸収スペクトル図である。
【図14】図13の具体例と同じポリイミドのNMRスペクトル図である。
Claims (5)
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