JP3589689B2 - 車両制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車の走行状態を制御する車両制御装置に係り、詳しくは、エアバッグシステムに故障や誤動作などの異常が発生した場合に効果的な走行制御を行う制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車で走行時、特に長距離走行や市街地などの混雑地走行の場合の変速操作時のクラッチペダル、チエンジレバー、アクセルペダルの操作は煩わしく運転者に疲れをもたらす原因ともなる。これらの変速操作を省いたのが自動変速機である。また、通常の走行状態においても車速やスロットル開度などの情報により変速機をコンピュータで制御するエレクトロニックコントロールドトランスミッション(以降ECTと略す)が開発普及し、燃費、乗り心地やドライバビリティ等が向上した。
【0003】
また、雨でぬれた路面や凍結した路面のような、滑り易い路面上で急ブレーキをかけると、タイヤがロックしやすくなる。一般的にタイヤがロックされると、それが前輪であれば、ステアリング操作が不可能となる。もし、後輪であれば車両が不安定となり、特に横からの力に対して不安定な状態となる等の不具合が発生し易くなる。これらの不具合を解消するために車輪(タイヤ)の滑り状態に応じてブレーキ力を制御するアンチロックブレーキシステム(以降ABSと略す)が開発され普及してきた。 ABSを搭載の自動車は、前記のような路面状態で急ブレーキをかけても、車輪がロックしないようにブレーキ油圧を増減して、タイヤと路面とのスリップ率を望ましい値に維持し、安定にしかも素早く車両を停止させるようなコンピュータによる電子制御が行われる。
【0004】
そしてもし、ABSに故障や誤動作などの異常が発生した場合には、これを素早く検出できるようになっている。そして、異常が検出された時はウォーニングランプを点灯させると共に、安全の確保のためABS本来の制御機能が解除され、通常のブレーキ機能に戻るようになっている。
さらに、万一の自動車衝突事故など運転者や、その他の乗員の人命に係わるような緊急事態の時に人体への衝撃をできるだけ緩和するために、シートべルトの着用が義務づけられており、さらに、最近では人命保護のためにエアバッグシステムの普及が進んできた。エアバッグは、シートべルトの補助拘束装置として、自動車衝突時にハンドル等に内蔵されたエアバッグを膨らませて衝突時の衝撃を緩和するものである。そして、エアバッグシステムは、回路や信号線の断線、ショート等を検出する故障診断機能を有し、もし、システムに異常が発生した場合はこれを素早く検出できるようになっている。そして、異常が検出された時はエアバッグウォーニングランプを点灯させて、運転者に知らせるようになっている。しかし、このような状態で衝突などの事故が発生した場合は緊急事態にもかかわらず、エアバッグが作動せずその効果を発揮することができなくなる。
【0005】
以上のように、ABS、エアバッグシステム共に独立して機能するようになっており、正常時は非常に優れた機能を発揮し安全運転に寄与している。さらに、システムに異常が発生した場合にはランプを点灯させて、運転者に知らせ注意を喚起させるようになっている。しかし、異常発生後はフエールセーフモードに変更され、コンピュータによる自動制御が解除されるため運転者にかかる負担が大きくなるる。そこで、ABSおよびエアバッグシステムをECTとうまく連携させることにより、異常発生時にもECT機能をより効果的に動作させることが十分に可能と考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、自動車で走行時に万一、エアバッグシステムに異常が発生した場合でも、ECTがエアバッグシステムの機能を補完し、より安定した安全な走行制御が行われる車両制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の目的を達成するもので、車の衝突時にエアバッグの膨張を制御するエアバッグシステムの異常を検出すると、車速とスロットル開度に応じて変速機の変速比を制御するトランスミッションシステムに異常信号を送信し、前記トランスミッションシステムは、前記異常信号を受信すると、エンジンブレーキが強くなるように変速比の制御特性を変更することを特徴とする。また、前記トランスミッションシステムは、前記異常信号を受信し、かつ、車が急減速状態にあると判断した場合に、エンジンブレーキが強くなるように変速比の制御特性を変更することを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明によれば、エアバッグシステムに異常が発生すると異常信号がECTコンピュータに送信され、ECTコンピュータは異常信号を受信すると、エンジンブレーキが強くなるように変速比の制御特性を変更する。従って、エンジンブレーキが通常時より強くなる。
【0010】
【実施例】
本発明の実施例を図面により説明する。
図1は本発明の第1実施例の構成を示すブロック図、図2はECTコンピュータ14の実行する処理を示すフローチャート、図5はECTの制御特性を示す変速線図である。
【0011】
14はECTで、トランスミッション19の変速比切替及びロックアップクラッチ動作(クラッチの接断動作)に関する制御をマイクロコンピュータにより行うもので、一般的にスロットル開度センサ、車速センサ、シフトポジションセンサ等の各種センサ16、アクチュエータ(油圧系統のバルブ等)17及び前記各種センサ16からの信号を処理し、アクチュエータ17を制御するECTコンピュータ15等から構成されている。
【0012】
10はABSで、滑り易い路面を走行時に急ブレーキをかけても、車輪がロックしないようにする装置であり、一般的に、車輪の回転速度を検出する回転速度センサ12、ブレーキ力を制御するためにブレーキ油圧を調整する油圧アクチュエータ(油圧系統のバルブ等)13及び前記回転速度センサ12からの信号を処理し、油圧アクチュエータ13を制御するABSコンピュータ11等から構成されている。
【0013】
ABS10は、車輪の回転速度センサ12により各車輪の回転状況を検知し、車輪速の差つまり車輪の滑り具合に応じてブレーキ油圧を電子制御している。車輪の制御方式は、前輪が、左右独立制御で後輪は左右同時制御の3系統制御が一般的である。
ABS10は、ABSコンピュータ11にてシステム全体を監視、制御し、もし、異常が検出された時には、油圧アクチュエータ13の動作を禁止して、通常のブレーキ機能に戻すと共に、ウォーニングランプを点灯させて、運転者にABSが作動しないことを知らせるようになっている。
【0014】
尚、ABS10の異常は、油圧アクチュエータ13の監視(油圧系統の油圧値やバルブへの駆動電流)またABSコンピュータ11については通常動作時に一定周期のパルスを出力するようにプログラムを設定しておき、このパルスを監視する、所謂ウオッチドックタイマ等の方法により検出できる。
18はABSコンピュータ11の情報をECTコンピュータ15へ伝送するための通信用ケーブルであり、ABS10が正常の場合は、ABSコンピュータ11はECTコンピュータ15へ、高レベルの信号(例えば5ボルト)を出力し、異常発生時には低レベルの信号(0ボルト)が出力されるようにプログラムされている。
【0015】
次に図2によりECTコンピュータ15の実行する処理について説明する。
本処理は、イグニッションキーにより、エンジンがONになった時点から開始され、その後随時くり返し行われる。
ステップS21では、ABSコンピュータ11から通信用ケーブル18を介してECTコンピュータ15へ送出される信号から、ABS10の異常発生の有無を判断する。そして、正常と判断された場合(高レベルの信号)は、ステップS25に移り、通常時の変速比制御を行う。通常時の変速比制御では図5に示すような変速点マップ(ダウンシフトのみ図示)により変速制御が行われる。通常時の変速比制御とは、図5の点線で示されているような通常時に用いられる変速線に従った制御で、スロットル開度と出力回転数(車速)の状態が各変速線を越えたときにその越えた変速線に従って変速比を変えるものである。そして、55はオーバードライブ(4速)から3速へのシフトダウン、53は3速から2速へ、51は2速から1速へそれぞれシフトダウンする変速線である。
【0016】
尚、この制御はメモリに変速点マップを記憶し、検出したスロットル開度と出力軸回転数に従って該メモリから変速比を読み出す等の方法により行われる。
もし、ステップS21で異常有りと判断された場合は、ステップS22に移る。ステップS22ではブレーキがかけられているかどうかを判断し、ブレーキがかけられていなければ前述のステップ25の処理(通常時の変速比制御)を行い、ブレーキがかけられていると検知された場合は、ステップS23に移る。尚、ブレーキ操作の有無は、ECTコンピュータ15がブレーキランプスイッチからの信号を監視する等の方法で検出できる。
【0017】
ステップS23では、ECTコンピュータ15が監視している車速の変化量から減速度を計算し、ブレーキの制動状態(強度)を判断する。尚、このブレーキ制動状態は、車速の変化量に限らず、ブレーキペダルの踏み込み量、油圧系統の油圧値、車輪速の変化量からも検出できる。そこで、低減速度と判断された場合は、ステップS25に移り通常時の変速比制御を行う。
【0018】
そして、急減速度(急ブレーキ)と判断された場合は、ステップS24に移る。
ステップS24では異常時の変速比制御を行う。異常時の変速比制御では、図5の実線で示すような変速点マップ(ダウンシフトのみ図示)により変速制御が行われる。異常時の変速比制御の場合の変速線は、実線で示されているように、56がオーバードライブ(4速)から3速へのシフトダウン、54は3速から2速へ、52は2速から1速へそれぞれシフトダウンする変速線で、点線で示されているような通常制御時に行われる変速線よりも高車速側にシフトしたものである。このように通常制御時に行われる変速線(点線で示す)と該変速線よりも高車速側の変速線(実線で示す)を設けることにより低車速側と高車速側の二段階での変速が可能となる。
【0019】
そして、この制御により、急ブレーキ時には従来より早めにシフトダウンするエンジンブレーキ制御に切り替わり強めのエンジンブレーキ制動が行われるので、エンジンブレーキを有効に利用して停車制動距離を短くすることができる。
以上説明したように本実施例によれば、ABSコンピュータ11とECTコンピュータ12が通信接続されることにより、万一、ABSに故障又は誤動作が起こりABSの効果が期待できない時でも、ECTコンピュータ12により、より効率的な変速比制御が行えるようになり、エンジンブレーキをより効率的に使えるようになる。
【0020】
また、ECTは通常ブレーキの際には乗り心地などが考慮され、あまり強いエンジンブレーキがかからないように制御するが、本実施例では通常ブレーキ時にはこの点を考慮してECT制御は変えず、乗り心地よりも急制動を優先させる必要のある急ブレーキ時にのみ、エンジンブレーキが十分にかかるようにECT制御を変更するようにしているので、乗り心地と安全性を高い次元で両立させることができる。
【0021】
次に、第2実施例を説明する。
図3は本発明の第2実施例の構成を示すブロック図、図4はECTコンピュータ14の実行する処理を示すフローチャートである。
図1の第1実施例と構成の同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
30はエアバッグシステムで、衝突時に乗員と車室内部材(主にハンドル)との間にエアバッグを膨らませて、乗員が前面の車室内部材にぶつかることによって生ずる障害を緩和するための保護装置である。エアバッグシステム30は、加速度センサや、破壊センサからなり衝突を検出する衝突検出センセ32、エアバッグ内に急速にガスを充填しエアバッグを膨らませるエアバッグガス発生器33、及び前記衝突検出センセ32等からの入力信号を処理し、エアバッグガス発生器33の起動等を制御するエアバッグコンピュータ31等により構成されており、システム全体がエアバッグコンピュータ31により監視、制御されている。
【0023】
もし、エアバッグシステム30に異常が発生した場合は素早く検出し、エアバッグウォーニングランプを点灯させて運転者に警告を与えるようになっている。尚、エアバッグシステム30の異常は、回路や信号線の断線、ショート等の監視、また、エアバッグシステムコンピュータ31については通常動作時に一定周期のパルスを出力するようにプログラムを設定しておき、このパルスを監視する、所謂ウオッチドックタイマ等の方法により検出できる。
【0024】
18はエアバッグシステムコンピュータ31の情報をECTコンピュータ15へ伝送するための通信用ケーブルであり、エアバッグシステム30が正常の場合エアバッグシステムコンピュータ31はECTコンピュータ15へ、高レベルの信号(例えば5ボルト)を出力し、異常発生時には低レベルの信号(0ボルト)が出力されるようにプログラムされている。
【0025】
次に図4によりECTコンピュータ15の実行する処理について説明する。
本処理は、イグニッションキーにより、エンジンがONになった時点から開始され、その後随時くり返し行われる。
ステップS41では、エアバッグシステムコンピュータ30から通信用ケーブル18を介してECTコンピュータ15へ送出される信号から、エアバッグシステム30の異常発生の有無を判断する。そして、正常と判断された場合(高レベルの信号)は、ステップS45に移り、通常時の変速比制御を行う。
【0026】
もし、ステップS41で異常有りと判断された場合(低レベルの信号)は、ステップS42に移る。ステップS42では、ブレーキがかけられているかどうかを判断し、ブレーキがかけられていなければ前述のステップ45の処理(通常時の変速比制御)を行い、ブレーキがかけられていると検知された場合は、ステップS43に移る。尚、ブレーキ操作の有無は、ECTコンピュータ15がブレーキランプスイッチからの信号を監視する等の方法で検出できる。
【0027】
ステップS43では、ECTコンピュータ15が監視している車速の変化量から減速度を算出し、ブレーキの制動状態(強度)を判断する。尚、このブレーキ制動状態は、車速の変化量に限らず、ブレーキペダルの踏み込み量、油圧系統の油圧値、車輪速の変化量からも検出できる。そこで、低減速度と判断された場合は、ステップS45に移り通常時の変速比制御を行う。
【0028】
そして、急減速度(急ブレーキ)と判断された場合は、ステップS44に移る。
ステップS44では、異常時の変速比制御を行う。尚、通常時の変速比制御および異常時の変速比制御については、第1実施例で説明した内容と同じ制御なので説明は省略する。
【0029】
以上詳細に説明したように本実施例によれば、エアバッグシステムコンピュータ31とECTコンピュータ15が通信接続されることにより、急ブレーキなど緊急の場合に万一、エアバッグシステム30に故障又は誤動作が起こり、エアバッグの作動効果が期待できない時でも、エアバッグシステムコンピュータ31からの情報により、ECTコンピュータ15がエンジンブレーキ制御の併用を選択し、自動車の停車制動距離が短くなる。万一、衝突が起きた場合でも衝撃が緩和され運転者及びその他の乗員への傷害を軽減することができる。
【0030】
【効果】
以上説明したように、本発明によればエアバッグシステムに故障又は誤動作が発生しても、ECTコンピュータがこれを補完し、より安定した走行と安全性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例におけるECTコンピュータ14の実行する処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施例におけるECTコンピュータ14の実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例におけるECTの制御特性を示す変速線図である。
【符号の説明】
10・・・ABSシステム
11・・・ABSコンピュータ
12・・・スピードセンサ
13・・・アクチュエータ(ブレーキ用)
14・・・ECTシステム
15・・・ECTコンピュータ
16・・・ECTセンサ
17・・・アクチュエータ(トランスミッション用)
18・・・通信用ケーブル
19・・・オートマチックトランスミッション
30・・・エアバッグシステム
31・・・エアバッグシステムコンピュータ
32・・・エアバッグセンサ
33・・・エアバッグガス発生器
Claims (2)
- 車の衝突時にエアバッグの膨張を制御するエアバッグシステムの異常を検出すると、車速とスロットル開度に応じて変速機の変速比を制御するトランスミッションシステムに異常信号を送信し、
前記トランスミッションシステムは、前記異常信号を受信すると、エンジンブレーキが強くなるように変速比の制御特性を変更することを特徴とする車両制御装置。 - 前記トランスミッションシステムは、前記異常信号を受信し、かつ、車が急減速状態にあると判断した場合に、エンジンブレーキが強くなるように変速比の制御特性を変更することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
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