JP3605115B2 - 導電性ポリマーを含有する電気デバイス - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、導電性ポリマー組成物を含んで成る電気デバイスおよびそのようなデバイスを有して成る回路に関する。
従来の技術
導電性ポリマー組成物を含んで成る電気デバイスが既知である。そのようなデバイスは、導電性ポリマーから成るエレメントを有して成る。このエレメントは、電源への連結に適している少なくとも1つの電極に物理的および電気的に接続されている。使用される電極の種類を決定する要因には、特定の用途、デバイスの形態、デバイスが取り付けられる表面、導電性ポリマーの性質が含まれる。従来から使用されている種類の電極の中には、中実撚りワイヤ、金属箔、多孔エキスパンデッドメタルシート、ならびに導電性インクおよびペイントが含まれる。導電性ポリマーエレメントがシートまたは層状エレメントの形態である場合、導電性ポリマーの表面に直接付着されて、そのエレメントを挟む金属箔電極が特に好ましい。そのようなデバイスの例が、米国特許第4426633号(Taylor)、第4689475号(Matthiesen)、第4800253号(Kleinerら)、第4857880号(Auら)、第4907340号(Fangら)、および第4924074号(Fangら)に開示されており、それらに開示の内容は本発明の一部を構成するものとする。
米国特許第4689475号(Matthiesen)および第4800253号(Kleinerら)に記載のように、ある種の特性を有するミクロ粗面(microrough)金属箔が、導電性ポリマーと接触する電極として使用される場合に、優れた結果を示す。従って、米国特許第4689475号は、表面不規則性、例えば、表面から0.1〜100ミクロン突き出し、表面と平行な多くとも100ミクロンの寸法を少なくとも1つ有するノジュール(nodules)を有する金属箔の使用を開示し、米国特許第4800253号は、それ自体がミクロノジュールから成るマクロノジュールを含んで成るミクロ粗面を有する金属箔の使用を開示している。粗面を有する金属箔の使用について開示しているが、米国特許第4689475号および第4800253号に開示されている金属箔の特性について開示していない他の文献は、日本特許公開第62−113402号(Murata,1987)、日本特許公告第H4−18681号(Idemitsu Kosan,1992)およびドイツ特許出願第3707494A(Nippon Mektron Ltd)である。これらの米国、日本およびドイツの文献に開示されている内容は、本発明の一部を構成するものとする。
発明の要旨
従来から使用されてきた、または使用するように提唱されてきた金属箔に見い出されていない2つの特性の1つまたは両方を有する粗面金属箔を使用することによって、導電性ポリマーと接触する電極に対して、さらに良好な結果が得られることを見い出した。これらの特性は、下記の通りである。
(1) 金属箔の表面からの突起が、下記にその測定法を記載する「中心線平均粗さ」として既知の値によって表現される特定の最少平均高さ(および、好ましくは特定の最大平均高さ)を有する。さらに、金属箔の表面からの突起が、下記にその測定法を記載する「反射密度」として既知の値によって表現される特定の最少不整(または構造)を有する。
(2) 金属箔のベースが第一金属を含んで成り、金属箔の表面からの突起が第二金属を含んで成る。第一金属は、高い熱および電気伝導性を有するように選択され、比較的低いコストで容易に製造できるのが好ましい。さらに、第一金属は第二金属よりも導電性ポリマーの崩壊を生じさせ易い場合が多い。デバイスの熱サイクルおよび/または高温における金属の熱拡散によって生じる突起の破損が、第一金属よりもむしろ第二金属を露出させる。
特性(1)は、導電性ポリマーが金属箔の表面に充分に貫入して良好な機械的結合を与えることを確実なものとするので、重要な特性であると考えられる。しかし、突起の高さが高過ぎると、ポリマーが突起間の隙間を完全に満たさずに空隙を残し、この空隙が、導電性ポリマーの加速された老化および/または空隙の周りのポリマー/金属境界面のより急速な腐食を生じさせる。特性(2)は、導電性ポリマーおよび金属箔の異なる熱膨張性の結果として、デバイスの熱サイクルが突起のいくらかを破損させるので、そのような破損によって、ポリマー崩壊を促進する金属に導電性ポリマーが暴露されないことが重要であるという我々の発見に基づいている。さらに、たとえ高温において第一金属が第二金属中に拡散したとしても、第一金属が導電性ポリマーと接触する機会がほとんどないように、充分な厚みの第二金属が導電性ポリマーと接触することが重要である。
第一の要旨において、本発明は、電気デバイスを開示するが、この電気デバイスは、
(A)導電性ポリマーから成るエレメント;および
(B)少なくとも1つの金属箔電極;
を有して成り、この金属箔電極は、
(1)(a)第一金属を含んで成るベース層、
(b)(i)ベース層と表面層との間に位置し、(ii)第一金属と異なる金属を含んで成る中間金属層、および
(c)(i)第二金属を含んで成り、(ii)少なくとも1.3の中心線平均粗さ
を有し、(iii)少なくとも0.60の反射密度Rdを有する表面層、
を有して成り;
(2)表面層が導電性ポリマーエレメントと直接的物理接触にあるように配置される;
金属箔電極である。
第二の要旨において、本発明は、回路保護デバイスを提供するが、この回路保護デバイスは、
(A)PTC挙動を示す導電性ポリマーから成るエレメント;および
(B)導電性ポリマーエレメントの向かい合う面に位置する2つの金属箔電極;
を有して成り、それぞれの金属箔電極が、
(1)銅を含んで成るベース層、
(2)(a)ベース層に隣接し、(b)ニッケルを含んで成る中間層、および
(3)(a)ニッケルを含んで成り、(b)少なくとも1.3、多くとも2.5の中心線平均粗さ
を有し、(c)少なくとも0.60の反射密度Rdを有し、(d)導電性ポリマーエレメントと直接的物理接触にある表面層、
を有して成る金属箔電極である回路保護デバイスである。
第三の要旨において、本発明は、電気回路を提供するが、この電気回路は、
(A)電源;
(B)負荷(load);および
(C)本発明の第一の要旨による電気デバイス、例えば、回路保護デバイス;
を有してなる電気回路である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のデバイスの平面図である。
図2は、従来の金属箔の模式断面図である。
図3は、本発明のデバイスに使用されている金属箔の模式断面図である。
発明の詳細な説明
本発明の電気デバイスは、導電性ポリマー組成物を含んで成るエレメントから製造される。導電性ポリマー組成物は、粒状導電性充填剤がポリマー成分中に分散または分配されている組成物である。この組成物は一般に、正の温度係数(PTC)挙動を示す(即ち、比較的狭い温度範囲において、温度と共に抵抗が急激に増加する)が、ある種の用途においては、この組成物がゼロ温度係数(ZTC)挙動を示す場合もある。本明細書において、「PTC」という語は、少なくとも2.5のR14値、および/または、少なくとも10のR100値を有する組成物またはデバイスを意味し、組成物またはデバイスが少なくとも6のR30値を有するのが好ましい。R14は14℃範囲の終わりと始めの抵抗の比であり、R100は100℃範囲の終わりと始めの抵抗の比であり、R30は30℃範囲の終わりと始めの抵抗の比である。一般に、PTC挙動を示す本発明のデバイスに使用される組成物は、上記最少値よりもかなり大きい抵抗の増加を示す。
この組成物のポリマー成分は、結晶性有機ポリマーであるのが好ましい。適切な結晶性ポリマーには、1種またはそれ以上のオレフィンのポリマー、特にポリエチレン;少なくとも1種のオレフィンとそれと共重合する少なくとも1つのモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/アクリル酸、エチレン/アクリル酸エチル、エチレン/酢酸ビニル、およびエチレン/アクリル酸ブチルコポリマー;溶融成形できるフルオロポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー(ターポリマーを含む);およびそのようなポリマー2種またはそれ以上のブレンドが含まれる。ある種の用途に対しては、特定の物理的特性または熱的特性、例えば柔軟性または最大暴露温度を得るために、1つの結晶性ポリマーを別のポリマー、例えば、エラストマー、非晶質熱可塑性ポリマー、または別の結晶性ポリマーとブレンドするのが望ましい場合がある。従来の金属箔電極は無極性ポリオレフィンに結合させるのが困難であるので、本発明の電気デバイスは、導電性ポリマー組成物がポリオレフィンを含んで成るときに特に有用である。この組成物が回路保護デバイスに使用される用途に対しては、結晶性ポリマーが、ポリエチレン、特に高密度ポリエチレン、および/またはエチレンコポリマーを含んで成るのが好ましい。ポリマー成分は一般に、組成物の全容量に対して、40〜90容量%、好ましくは45〜80容量%、特に50〜75容量%を占める。
ポリマー成分中に分散されている粒状導電性充填剤は、カーボンブラック、グラファイト、金属、金属酸化物、導電性被覆ガラスまたはセラミックビーズ、粒状導電性ポリマー、またはこれらの組み合わせを含むいずれかの適切な物質である。充填剤は、粉末、ビーズ、フレーク、ファイバーの形態、または他の適切な形態であってよい。必要とされる導電性充填剤の量は、必要とされる組成物の抵抗率および導電性充填剤自体の抵抗率に基づく。多くの組成物に対して、導電性充填剤は、組成物の全容量の10〜60容量%、好ましくは20〜55容量%、特に25〜50容量%を占める。回路保護デバイスに使用される場合、導電性ポリマー組成物は、20℃、ρ20において、10オーム−cm未満、好ましくは7オーム−cm未満、特に5オーム−cm未満、とりわけ3オーム−cm未満、例えば0.005〜2オーム−cmの抵抗率を有する。電気デバイスがヒーターである場合、導電性ポリマー組成物の抵抗率はより高いのが好ましく、例えば、102〜105オーム−cm、好ましくは102〜104オーム−cmである。
導電性ポリマー組成物は追加的配合剤を含む場合もあり、例えば、酸化防止剤、不活性充填剤、非導電性充填剤、放射線架橋剤(プロラド(prorads)または架橋向上剤と呼ばれることが多い)、安定剤、分散剤、カップリング剤、酸掃去剤(例えばCaCO3)、または他の配合剤を含む場合もある。これら成分は、一般に全組成物の多くとも20容量%である。
導電性充填剤および他の成分の分散は、溶融処理、溶媒混合、または他の適切な混合手段によって行うことができる。混合後、組成物を適切な何らかの方法によって溶融成形して、エレメントを製造することができる。適切な方法には、溶融押出、射出成形、圧縮成型、および焼結が含まれる。多くの用途に対して、配合物がシートの形態に押し出され、そのシートからエレメントがカットされるか、ダイシングされるか、あるいは他の形態で取り出される。エレメントはどのような形であってもよく、例えば、長方形、正方形、または円形であってもよい。意図する最終用途に依存して、組成物を、種々の処理法、例えば、成形後の架橋または熱処理、にかけることができる。架橋は、化学的手段または放射線によって行うことができ、例えば、電子ビームまたはCo60γ放射線源を用いて行うことができ、また、電極の取付の前または後のいずれかに行うことができる。
導電性ポリマーエレメントは、導電性ポリマー組成物の1つまたはそれ以上の層を有して成る。ある種の用途に対しては、例えば、高電流密度の領域に対応するホットラインまたはホットゾーンが形成される位置を制御する必要がある場合、異なる抵抗値を有する導電性ポリマーの層からエレメントを製造するのが望ましい。あるいは、電極への結合を強化するために、エレメントの表面に導電性タイ層(tie layer)を適用するのが有益である場合もある。
適切な導電性ポリマー組成物が、米国特許第4237441(van Konynenburgら)、第4388607号(Toyら)、第4534889号(van Konynenburgら)、第4545926号(Foutsら)、第4560498号(Horsmaら)、第4591700号(Sopory)、第4724417号(Auら)、第4774024号(Deepら)、第4935156号(van Konynenburgら)、第5049850号(Evansら)および第5250228号(Baigrieら)、および係属中の米国特許出願第07/894119号(Chandlerら、1992年6月5日出願)、第08/085859号(Chuら、1993年6月29日出願)、第08/173444号(Chandlerら、1993年12月23日出願)、第08/255497号(Chuら、1995年6月8日出願)に開示されている。これらの特許および出願にそれぞれ開示されている内容は、本発明の一部を構成するものとする。
本発明のデバイスは、導電性ポリマーエレメントと、直線的物理接触にある、概してそれと直接的に結合している少なくとも1つの電極を有して成る。本発明の多くのデバイスに関しては、導電性ポリマーエレメントを挟む2つの電極が存在する。電極は一般に中実金属シートの形態、例えば金属箔であるが、ある種の用途に対しては、電極に孔をあけてもよく、例えば孔またはスリットを有していてもよい。電極は少なくとも2つの層、即ち、第一金属を有して成るベース層および第二金属を有して成る表面層、を有して成る。さらに、下記のように、1つまたはそれ以上の中間層が存在してもよく、それらはそれぞれベース層と表面層との間に位置している
ベース層に使用される第一金属は、どのような適切な物質であってもよく、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、黄銅、または亜鉛であるが、銅である場合が最も多い。銅が好ましいのは、デバイス中への電流の均一な分布を可能にする優れた熱および電気伝導性、製造工程の再現性、無欠陥の連続的長さの製造を可能にする製造容易性、および比較的低いコストによる。ベース層はいかなる適切な方法によっても製造することができる。例えば、銅を圧延または電着によって製造することもできる。ある種の用途に対しては、ベース層として、粉末冶金法(powder metallurgical process)によって製造される圧延ニッケルを使用するのが好ましい場合がある。そのようなニッケルは、純度が高いので、通常の電着法によって製造されるニッケルよりも伝導性が高い。
ベース層の表面は、比較的平滑であるかまたはミクロ粗面である。ミクロ粗面は一般に、少なくとも0.03ミクロン、好ましくは少なくとも0.1ミクロン、特に0.1〜100ミクロンの距離で表面から突き出ている不規則物またはノジュールを有し、また、多くとも500ミクロン、好ましくは多くとも100ミクロン、特に多くとも10ミクロン、および、好ましくは少なくとも0.03ミクロン、特に少なくとも0.1ミクロンの表面に平行な寸法を少なくとも1つ有する表面である。それぞれの不規則物またはノジュールは、より小さいノジュールから成り、例えば、葡萄の房のような形態である。そのようなミクロ粗面は金属箔が電解質に暴露される電着によって製造されることが多いが、ミクロ粗面は、例えばエッチングのように、平滑表面から物質を除去することによっても得られ;例えばガルヴァーニ堆積(galvanic deposition)のように、平滑表面との化学反応によっても得られ;または、例えば、ローリング、プレス、またはエンボスのように、平滑表面と型押表面との接触によっても得られる。一般に、金属箔は、その中心線平均粗さ
が1.0未満であれば平滑表面を有するとされ、
が1.0より大きければミクロ粗面を有するとされる。中間層と接触するベース層の表面が、1.0未満、好ましくは0.9未満、特に0.8未満、とりわけ0.7未満の
値を有するのが好ましい場合が多い。そのような平滑表面を有する金属箔は一般に、導電性ポリマー組成物に結合させるのが困難であり、導電性ポリマー組成物が高レベルの充填剤を有し、および/または、無極性ポリマーを含んで成る場合には特に困難である。
は、半径5ミクロンの針を有するプロフィーロメーター(profilometer)を用いて測定したときの、表面の平均線または中心線からの粗さプロフィールの絶対値の算術平均偏差として定義される。中心線の値は、金属箔に対して直角に見たときに、中心線より上のプロフィールの全面積の合計が、中心線より下の全面積の合計に等しい値である。適切な測定は、Tencorから入手できるTencor P−2プロフィーロメーターを用いて行うことができる。従って、
は、金属箔の表面からの突起物の高さのゲージである。
表面層は、ベース層と直接的物理接触にあってもよいし、または好ましくは、1つまたはそれ以上の導電性の層、好ましくは金属の層によってベース層から離れていてもよい。表面層は、第一金属と異なる第二金属を含んで成る。適切な第二金属は、ニッケル、銅、黄銅、または亜鉛を包含するが、本発明の多くのデバイスに対しては、第二金属が、ニッケルまたはニッケル含有物質、例えば亜鉛−ニッケルである場合が最も多い。ニッケルが好ましい理由は、ニッケルが銅ベース層に対して拡散バリヤを与え、それによって銅がポリマーと接触してポリマーを崩壊させる割合を最少限にするからである。さらに、ニッケル表面層は、湿気に対して安定な薄い酸化ニッケル被覆層を自然に含んで成る。表面層は、導電性ポリマーエレメントと直接的物理接触にある。導電性ポリマーエレメントへの付着を強化するために、表面層はミクロ粗面を有し、即ち、中心線平均粗さ
が少なくとも1.3、好ましくは少なくとも1.4、特に少なくとも1.5である。良好な機械的結合を得るために間隙の中にポリマーが適切に透過できるように、表面からの突起物が充分な高さであるのが望ましいが、ポリマーが間隙を完全に満たすことができないほど突起物の高さが高すぎるのは望ましくない。そのような空隙は、デバイスが高温または電圧に暴露されたときに、劣った耐老化性を示す結果となる。従って、
は、多くとも2.5、好ましくは多くとも2.2、特に多くとも2.0であるのが好ましい。
必要とされる
に加えて、表面層は特定の反射密度Rdをも有する必要がある。反射密度は、可視範囲(即ち、200〜700nm)の光を表面に当てたときのlog(1/%反射光)として定義される。4mm2の面積に関して行われたそれぞれの測定の平均値を計算する。測定前にブラック標準を1.61に校正して、Macbeth Model 1130カラーチェッカーを自動フィルター選択モード「L」で使用することによって、適切な測定を行うことができる。完全反射を有する表面に対しては、Rdの値は0であり;この値は、吸収される光の量が増加するにつれて高くなる。値が高ければ高いほど、表面からの突起物がより大きい構造であることを示す。本発明のデバイスに対しては、Rdの値は、少なくとも0.60、好ましくは少なくとも0.65、特に少なくとも0.70、とりわけ少なくとも0.75、最も好ましくは少なくとも0.80である。
好ましいように中間層が存在するときには、中間層が第二金属または第三金属を含んで成ってもよい。中間層の金属は、第一金属と同じでなくてもよい。中間層は第二金属を含んで成るのが好ましい。好ましい具体例において、中間層は、ベース層に付着したほぼ平滑な層を有してなる。このようにして、中間層は、ミクロ粗面層を形成することができるベースとして機能する。例えば、ベース層が銅である場合、中間層はほぼ平滑なニッケル層であってもよく、この層からニッケルノジュールが電着時に形成されて表面層が得られる。
何らかの適切な手段によって、例えば、圧縮成型またはニップ積層法によって、金属電極を導電性ポリマーエレメントに付着させることができる。導電性ポリマーの粘性および積層条件に依存して、異なる種類および厚さの金属箔が適している。適切な柔軟性および付着性を与えるために、金属箔の厚さが、50ミクロン(0.002インチ)未満、特に44ミクロン(0.00175インチ)未満、とりわけ38ミクロン(0.0015インチ)未満、最も好ましくは32ミクロン(0.00125インチ)未満であるのが好ましい。一般に、ベース層の厚さは、10〜45ミクロン(0.0004〜0.0018インチ)、好ましくは10〜40ミクロン(0.0004〜0.0017インチ)であるのが好ましい。表面層の厚さは一般に、0.5〜20ミクロン(0.00002〜0.0008インチ)、好ましくは0.5〜15ミクロン(0.00002〜0.0006インチ)、特に0.7〜10ミクロン(0.00003〜0.0004インチ)である。中間層が存在する場合は、その中間層の厚さは一般に、0.5〜20ミクロン(0.00002〜0.0008インチ)、好ましくは0.8〜15ミクロン(0.00003〜0.0006インチ)である。層がミクロ粗面を有して成るとき、「厚さ」という語は、ノジュールの平均高さを意味する。
導電性ポリマー組成物への金属電極の付着の適性を測定する1つの方法は、剥離強さによる。剥離強さは、下記のように、試験装置のジョーの中にサンプルの一端を締め付け、次に、127mm/分(5インチ/分)の一定速度で、90゜の角度で、即ちサンプルの表面に垂直に、金属箔を剥離することによって測定される。導電性ポリマーから金属箔を除去するのに必要な力の量(ポンド/線インチ)が記録される。電極は、導電性ポリマー組成物に付着されたときに、少なくとも3.0pli、好ましくは少なくとも3.5pli、特に少なくとも4.0pliの剥離強さを有するのが好ましい。
本発明の電気デバイスは、保護回路、ヒーター、センサー、または抵抗器を有して成る場合もある。回路保護デバイスは、一般に、100オーム未満、好ましくは50オーム未満、特に30オーム未満、とりわけ20オーム未満、最も好ましくは10オーム未満の抵抗を有する。多くの用途に対して、回路保護デバイスの抵抗は、1オーム未満、例えば0.010〜0.500オームである。ヒーターは一般に、少なくとも100オーム、好ましくは少なくとも250オーム、特に少なくとも500オームの抵抗を有する。
本発明の電気デバイスは、電源、負荷(load)、例えば1つまたはそれ以上の抵抗器、およびそのデバイスを有して成る電気回路に使用されることが多い。本発明の電気デバイスを回路中の他の部品に接続するために、例えばワイヤまたはストラップの形態の追加の金属リード線1つまたはそれ以上を金属箔電極に接続することが必要な場合もある。さらに、デバイスの熱発生を制御するためのエレメント、即ち、1つまたはそれ以上の導電端子を使用することができる。これらの端子は金属板の形態、例えば、スチール、銅または黄銅、またはフィンの形態であってよく、直接あるいは、はんだまたは導電性接着剤のような中間層によって電極に付着される。例えば、米国特許第5089801号(Chanら)、および1992年2月18日出願の係属中の米国特許出願第07/837527号(Chanら)を参照。ある種の適用に対しては、デバイスを回路板に直接付着するのが好ましい場合がある。そのような付着方法の例が、米国特許出願第07/910950号(Gravesら、1992年7月9日出願)、第08/121717号(Sidenら、1993年9月15日出願)、および第08/242916号(Zhangら、1994年5月13日出願)および国際特許出願第PCT/US93/06480号(Raychem Corporation、1993年7月8日出願)に記載されている。これら各特許および特許出願に記載の内容は、本発明の一部を構成するものとする。
図面によって、本発明を説明する。図1は、金属箔電極3、5がPTC導電性ポリマーエレメント7に直接付着されている本発明の電気デバイスの平面図を示す。エレメント7は、図のように単一の層を有して成ってもよく、あるいは、同じまたは異なる組成物の2つまたはそれ以上の層を有して成ってよい。
図2は、電極3、5として使用される従来の金属箔の模式断面図である。第一金属、例えば銅を含んで成るベース層9は、好ましくは電着によって製造されるミクロ粗面を有する。ミクロ粗面を含んで成るノジュール11は、第一金属から成る。第二金属、例えばニッケルの表面層13は、ノジュール11を覆っている。
図3は、本発明のデバイス中に、電極3、5として使用される金属箔の模式断面図である。第一金属、例えば銅を含んで成るベース層9は、第二金属、例えばニッケルを含んで成る中間層15と接触している。中間層の表面は、ミクロ粗面を有する表面層17のための基材を形成している。図3に示すように、表面層17を含んで成るノジュールは第二金属から形成される。
本発明を下記実施例1〜9によって具体的に説明するが、実施例1、2、4、7および8は比較例である。
組成物
各組成物AおよびBに対して、表1に記載の成分をHenschelブレンダーで予めブレンドし、次にBuss−Conduxニーダーで混合した。この配合物をペレット化し、シート押出ダイから押し出して、約0.30mx0.25mm(12x0.010インチ)の寸法のシートを得た。
金属箔の種類
実施例に使用される金属箔の特徴を表2に示す。各金属箔は約35ミクロンの厚さであった。
デバイスの製造
押し出されたシートを、プレスによる圧縮成型(C)またはニップ積層(N)のいずれかによって金属箔に積層した。圧縮成型法においては、押し出しシートを、0.30x0.41m(12x16インチ)寸法の断片にカットし、2片の金属箔の間に挟んだ。圧力吸収シリコーンシートを金属箔の上に置き、金属箔をプレス中175℃で5.5分間、188psiで加熱し、25℃で6分間、188psiで冷却することによって付着させてプラックを形成した。ニップ積層法においては、押し出されたシートを177〜198℃(350〜390゜F)の設定温度で2つの金属箔層の間に積層した。このラミネートを0.30x0.41m(12x16インチ)の寸法のプラックにカットした。両方の方法で製造されたプラックを3.5MeV電子ビームを用いて10Mradで照射した。個々のデバイスを、照射されたプラックからカットした。トリップ耐久試験およびサイクル寿命試験のために、デバイスは外径13.6mm(0.537インチ)および内径4.4mm(0.172インチ)の円板であった。高湿度試験のために、デバイスは12.7x12.7mm(0.5x0.5インチ)の寸法であった。各デバイスは、−40〜+80℃の温度サイクルに6回かけられ、デバイスを各温度において30分間維持した。
トリップ耐久試験
スイッチ、15ボルトDC電源、および初期電流を40Aに制限する固定抵抗器と直列になったデバイスから成る回路を用いて、デバイスをトリップ耐久試験にかけた。25℃におけるデバイスの初期抵抗Riを測定した。デバイスを回路に挿入し、トリップさせ、次に規定の時間でトリップ状態に維持した。定期的に、デバイスを回路から取り外し、25℃に冷やし、25℃における最終抵抗Rfを測定した。
サイクル寿命試験
スイッチ、15ボルトDC電源、および初期電流を50Aに制限する固定抵抗器と直列になったデバイスから成る回路を用いて、デバイスをサイクル寿命試験にかけた。試験の前に、25℃における抵抗Riを測定した。この試験は一連の試験サイクルから構成された。各サイクルは、3秒間スイッチを閉じ、これによってデバイスをトリップさせ、次にスイッチを開き、デバイスを60秒間冷やすことから成った。最終抵抗Rfを各サイクル後に記録した。
高湿度試験
25℃における初期抵抗Riを測定後、デバイスを85℃および85%湿度に維持された炉に入れた。定期的に、デバイスを炉から取り出し、25℃に冷やし、最終抵抗Rfを測定した。次にRf/Riの比を求めた。
剥離強さ
金属箔に付着された押し出しシートから寸法25.4x254mm(1x10インチ)を有するサンプルをカットすることによって、剥離強さを測定した。サンプルの一端をTinius Olsenテスターに締め付けた。他端において、90゜の角度および127mm/分(5インチ/分)の速度で、導電性ポリマーから金属箔を剥離した。金属箔を導電性ポリマーから取り外すのに要する力の量(ポンド/線インチ)を記録した。
実施例8および9
前記手順に従って、185℃におけるニップ積層法を用いて、Enathene EA705エチレン/ブチルアクリレートコポリマー28.5重量%、Petrothene LB832高密度ポリエチレン23.4重量%、Raven 430カーボンブラック48.1重量%を含んで成る組成物から、デバイスを製造した。トリップ耐久性、サイクル寿命、および高湿度に関して、前記のようにデバイスを試験した。3500サイクルのサイクル試験および室温(25℃)における約3ヶ月の保存後に、追加の試験が行われた。15VDCおよび40Aで3500サイクル循環させた各種デバイス10個を、循環空気炉中、100℃で600時間または85℃/85%湿度で600時間老化させた。定期的に、デバイスを25℃に冷やし、それらの抵抗を測定した。ノジュールがニッケルである本発明のデバイス(実施例9)は、ノジュールが銅である従来の金属箔電極で製造されたデバイス(実施例8)よりも良好な耐老化作用を示した。結果を表IVに示す。100℃で170時間老化させた実施例8および9のそれぞれからの1つのデバイスからの1つの金属電極を、ポリマーエレメントから剥離し、導電性ポリマー組成物と接触していた表面をESCAによって分析して、表面(即ち、上部10nm)の成分組成を求めた。表面の2つの異なる領域の測定の平均値を表Vに示す。対照標準として、電極を製造するために使用される金属箔のサンプルを200℃で24時間空気中で老化させて、加工および試験中の金属箔の熱暴露をシミュレーションした。結果を表Vに示す。装置の検出限界は0.1原子パーセントであった。
Claims (10)
- 電気デバイス(1)であって、
(A)導電性ポリマーから成るエレメント(7);および
(B)少なくとも1つの金属箔電極(3);
を有して成り、この金属箔電極が、
(1)(a)第一金属を含んで成るベース層(9)、
(b)(i)ベース層(9)と表面層(17)との間に位置し、(ii)第一金属と異なる金属を含んで成る中間金属層(15)、および
(c)(i)第二金属を含んで成り、(ii)少なくとも1.3の中心線平均粗さ
を有し、(iii)少なくとも0.60の反射密度Rdを有する表面層(17)、
を有して成り;
(2)表面層(17)が導電性ポリマーエレメント(7)と直接的物理接触にあるように配置されている;
金属箔電極である電気デバイス。 - 第一金属が銅または黄銅である請求項1に記載のデバイス。
- 第二金属がニッケルである請求項1または2に記載のデバイス。
- 中間層(15)の金属が表面層(17)の金属と同様である請求項1、2、または3に記載のデバイス。
- 導電性ポリマーが、(a)PTC挙動を示し、(b)ポリオレフィンまたはフルオロポリマー、その中に分散された粒状導電性充填剤を含んで成る請求項1、2、または3に記載のデバイス。
- 2つの金属箔電極(3、5)を有して成り、(a)50オーム未満の抵抗を有する回路保護デバイスであるかまたは、(b)少なくとも100オームの抵抗を有するヒーターである請求項1、2、または3に記載のデバイス。
- 表面層(17)がノジュール(11)から成り、各ノジュールが多数のより小さいノジュールから成る請求項1、2、または3に記載のデバイス。
- 電気回路であって、
(A)電源;
(B)負荷;および
(C)請求項1に記載の回路保護デバイス;
を有して成る電気回路。
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