JP3607586B2 - 音声遅延制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は音声遅延制御装置に関し、特に放送局において映像系の画像遅延に対応して音声信号の遅延を行う音声遅延制御方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放送局においては、公衆電話回線や衛星回線、及びマイクロ波回線等を利用して映像信号を受信し、その映像信号を放送素材として使用する場合に、映像信号の同期を局社内同期信号に同期するためにフレームシンクロナイザ等を使用して映像系の同期吸収を行っている。
【0003】
そのため、映像系の信号には必ず遅延が発生するので、音声信号が映像信号(画面)よりも速く出力されることになり、音声信号にも映像信号の遅延に相当する時間の遅延を発生させる必要がある。
【0004】
この音声信号に対する遅延を制御する音声遅延制御装置においては、音声遅延時間を設定する際に映像信号(画面)と音声信号とを比較しながら音声の遅延時間を設定している。
【0005】
すなわち、従来の遅延制御方式においては、図8に示すように、源信号Aの信号よりtaの遅延設定時間で送出されている信号A’の信号に対して、源信号Aの信号よりtbの遅延設定時間に設定変更する場合、遅れている信号A’を時間とともに信号レベルを小さくしていく(フェードアウトさせる)。
【0006】
それに対して、tbの遅延設定時間だけ遅れた信号A”を時間とともに信号レベルを大きくしていく(フェードインさせる)。この処理された2つの信号を加算することによって、設定時間が変更された場合に処理を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の遅延制御方式では、短い(10数ms程度)遅延時間の変更の時、特に聴感上問題なく処理することが可能である。しかしながら、遅延時間の設定時間が大きな変更の場合には、現状の遅延時間に対して音声遅延時間を長く設定すると、図9に示すように、同じ音声を再度出力してしまう。この現象は設定変更時間の差が大きければ大きいほど顕著に現れてくる。
【0008】
また、現在の遅延設定時間より短い設定時間にする場合には、図10に示すように、音声部分が削除されてしまう。この現象も設定変更時間の差が大きければ大きいほど顕著に現れてくる。
【0009】
特開平6−28781号公報には、オーディオデータ内の無音区間の長さを調整して当該オーディオデータの全長を所望値に変更するようにしたオーディオデータの長さ変更方式が開示されている。
【0010】
このオーディオデータの長さ変更方式では、図11に示すように、入力部11の操作によって、長さ変更対象のオーディオデータの指定と、その全長についての所望値の入力とを実行し、次に、アプリケーションプログラム12の走行によってこの指定されたオーディオデータを記録媒体13から読出してその全長を認識するとともに(アプリケーションプログラム12の処理12a)、その無音区間の位置と長さとを個々に検出し(処理12b)、さらにこの無音区間の長さを当該認識値と所望値との差分だけ所定ルールにしたがって調整し(処理12c,12d)、この調整後の新オーディオデータを記録媒体13に格納するようにしている(処理12e)。
【0011】
上記のオーディオデータの長さ変更方式では、記録媒体13に記録された音声データの長さを変更する場合に、記録媒体13に記録された音声データ内の無音部分を予め検出し、所望とする長さにするために、無音部分の長さを変えて記録し直している。
【0012】
この公報記載の技術では、音声データの時間を変更するために予め無音時間の位置と長さとを個々に検出する必要がある。また、無音時間の増減の操作について、無音時間を短縮する場合には無音部分のデータを削除し、無音時間を長くするためには無音データを追加している。したがって、この公報記載の技術では単に無音データの削除と追加とを行っているだけなので、上記の問題を解決することができない。
【0013】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、同じ音の繰り返し出力の現象をなくすことができる音声遅延制御装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、音の欠落といった不具合をなくすことができる音声遅延制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による音声遅延制御装置は、入力される音声信号を遅延する遅延メモリにて遅延制御を行う音声遅延制御装置であって、前記遅延メモリからの出力データを一時保持する第1のメモリと、前記第1のメモリからの出力データを一時保持する第2のメモリと、前記音声信号の遅延時間の設定時間の変更に対して前記第1のメモリに保持されたデータと前記第2のメモリに保持されたデータとを比較して前記音声信号の無音部分を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された無音部分の長さを変えるよう制御する制御手段とを備えている。
【0016】
本発明による他の音声遅延制御装置は、上記の構成において、前記制御手段が、現状の遅延時間よりも設定時間を長くする場合に前記音声信号の無音部分への無音信号の追加を行うようにしている。
【0017】
本発明による別の音声遅延制御装置は、上記の構成において、前記制御手段が、現状の遅延時間よりも設定時間を短くする場合に前記音声信号の無音部分からの当該無音信号の削除を行うようにしている。
【0018】
すなわち、本発明の音声遅延制御方式は、遅延時間の設定を変更した場合に、聴感上違和感を生じさせることなく、遅延制御を行うことができるようにしたことを特徴としている。
【0019】
通常、音声に対する遅延時間を現状の遅延時間より長くすると、同じ音声が繰り返し出力され、現状の遅延時間より短くすると、時間を短縮した分の音声が削除されてしまう(再生されない)現象が発生する。
【0020】
本発明の音声遅延制御方式では、遅延時間の設定時間の変更に対して音声の無音部分を検出し、その無音部分の長さを変えることによって、遅延時間の変更に対応させ、上述したような現象を発生させることなく、音声時間の変更に伴う制御を実現させるものである。
【0021】
より具体的に、本発明の音声遅延制御方式では、同じ音声が繰り返し出力されるのを回避する手法として、現状の遅延時間よりも設定時間を長くする場合に音声の無音部分(レベル変動の少ない:振幅の小さな領域)を検出し、その無音部分に無音信号を追加、すなわちメモリからの音声データの呼出しを行わずに、前置データをそのまま使用することで、音声の遅延時間を長く、つまりさらに遅らせている。
【0022】
その場合、追加する無音部分はいきなり設定変更時間にするのではなく、設定時間の差分(現在の設定時間と再設定後との時間差)を均等に分割して数回にわけて追加を行っている。
【0023】
また、本発明の音声遅延制御方式では、現在の遅延設定時間より短い設定時間にする場合に、上述した処理と同様にして、無音部分の検出を行い、設定時間の差分(現在の設定時間と再設定後との時間差)を均等に分割して数回にわけて無音部分の削除、すなわちメモリから音声データを読出すためのアドレスのカウントアップを行うことによって、音声部分が削除されるのを防いでいる。
【0024】
上記のような制御を行うことで、従来の遅延制御方式と比較して、遅延時間を長くした場合に発生する同じ音の繰り返し出力の現象、あるいは遅延時間を短くした場合に発生する音の欠落をなくすことが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による音声遅延制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による音声遅延制御装置はA/D(アナログ/ディジタル)変換器1と、遅延メモリ2と、制御部3と、メモリ4,5と、レベル比較検出部6と、出力バッファメモリ7と、D/A(ディジタル/アナログ)変換器8とから構成されている。
【0026】
音声の入力信号aはA/D変換器1によって標本化周波数FSのタイミングでディジタル音声データbへ変換される。制御部3は遅延制御信号fによってA/D変換データbを遅延メモリ2へ書込むための書込みアドレスpと書込み信号dとを出力し、また遅延制御信号fの遅延時間を発生させるために遅延メモリ2に対して読出し用アドレスqと読出し信号eとを出力する。
【0027】
メモリ4は遅延メモリ2からの遅延音声データcを一時的に記録する。メモリ5はメモリ4へ一時的に記録されていた音声データmを一時的に記録する。レベル比較検出部6はメモリ4の記録音声データhとメモリ5の記録音声データiとのレベル差が遅延メモリ2からの読出し信号eのタイミングに同期して規定信号レベルnより小さいかどうかを判断し、規定信号レベルnより小さい場合に無音部分と判断し、制御信号gを出力するとともに、メモリ5の記録音声データiを出力バッファメモリ7へ出力する。
【0028】
D/A変換器8は出力バッファメモリ7の記録音声データkを標本化周波数FSのタイミングでディジタル音声データからアナログ音声信号(出力信号)lへ変換して出力する。
【0029】
図2は図1の遅延メモリ2の構成例を示す図である。図2において、遅延メモリ2はループメモリ(リングバッファ)の構成となっている。このループメモリにおける時間的進行は時計回り方向を示す(図中の矢印)。現在設定されている遅延時間は書込みアドレスpと読出しアドレスqとの差に標本化周波数FSを乗じた時間となる。
【0030】
つまり、遅延時間t1は、
遅延時間t1=(書込みアドレス−読出しアドレス)×(1/標本化周波数)
となる。
【0031】
図3は本発明の一実施例による音声遅延制御装置の動作(無音部分の追加動作)を示す図であり、図4は本発明の一実施例による音声遅延制御装置の遅延時間を長くした場合の動作を示す図であり、図5は本発明の一実施例による音声遅延制御装置の遅延時間を短くした場合の動作を示す図である。また、図6は図1の遅延メモリ2に対する時間を長くした場合の制御動作を示す図であり、図7は図1の遅延メモリ2に対する時間を短くした場合の制御動作を示す図である。これら図1〜図7を参照して本発明の一実施例による音声遅延制御装置の動作について説明する。
【0032】
入力された音声の入力信号aはA/D変換器1にて標本化周波数FSのタイミングでディジタル音声データbへ変換される。変換されたディジタル音声データbは遅延メモリ2へ制御部3からの書込みアドレスpと書込み信号dとによって書込まれる。
【0033】
制御部3は現在設定されている遅延設定時間、つまり遅延制御信号fによって設定されている遅延時間で、遅延メモリ2に対して出力するための読出しアドレスqと読出し信号eとを出力する。
【0034】
遅延制御信号f(遅延時間)が変化しない場合には、遅延メモリ2の遅延音声データがメモリ4,5を通過し、出力バッファメモリ7へ一時保持されて出力データkとしてD/A変換器8へ出力され、遅延音声が出力信号lとして出力される。この時、レベル比較検出部6は何の検出も行わない。
【0035】
この状態で、動作中に遅延制御信号f(遅延時間)が変更になった場合の動作について説明する。設定時間が現在の設定時間より長く変更となった場合には、図4に示すように、音と音との無音部分(通常会話の場合の息継ぎ:ブレス部分等)を長くしていく。但し、設定変更時間の差分(現状の遅延設定時間と設定変更後の遅延時間との差)をいきなりその無音部分1カ所で行うと、逆に違和感を感じてしまう。そのため、無音部分の時間を長くする場合、数回にわけて制御を行う。図4に示す例では4回にわけて制御を行っている。
【0036】
以下、より詳細に説明する。レベル比較検出部6は遅延制御信号fの値がf’(f<f’)の設定へ変更となった場合、メモリ4,5のデータの比較を行う。レベル比較検出部6はこの比較データが規定信号レベルnの値より小さい場合に無音状態と判断する。
【0037】
メモリ4,5のデータのレベル差は信号の振幅を表し、この値が小さいほど音声レベルが小さい(振幅が小さい)ことを示す。このレベル差が無音と判断する規定信号レベルnより小さい場合、レベル比較検出部6は無音状態(小さい音)として制御信号gを制御部3へ出力する。
【0038】
制御部3は無音部分が検出されると、読出しアドレスqのカウントアップを行わずに、読出し信号eのタイミングでデータを出力する。この状態をある決められた回数行う(図6では4回の動作を示す)。
【0039】
その後、制御部3は読出しアドレスqのカウントアップを行い、遅延メモリ2から遅延音声データcをメモリ4へ出力する。メモリ4は遅延メモリ2からの遅延音声データcを保持するとともに、保持している音声データmをメモリ5へ出力する。メモリ5はメモリ4からの出力データを保持する。
【0040】
レベル比較検出部6はメモリ4,5のデータの比較を行い、規定信号レベルnよりメモリ4,5のデータのレベル差が小さい場合に無音部分と判断し、制御信号gを出力する。制御部3は上述した処理動作を繰り返し、遅延制御信号f’になった時に本動作を終了する(図6参照)。
【0041】
一方、設定時間が現在の設定時間より短く変更となった場合には、図5に示すように、音と音との無音部分を短くしていく。この場合も、上記の制御と同様に、設定時間の差分をいきなり制御すると、違和感を感じることになる。そのため、数回にわけて制御を行う。図5に示す例では4回に分けて制御を行っている。
【0042】
以下、より詳細に説明する。レベル比較検出部6は遅延制御信号fの値がf’(f<f’)の設定へ変更となった場合、メモリ4,5のデータの比較を行う。レベル比較検出部6はこの比較データが規定信号レベルnの値より小さい場合に無音状態と判断する。
【0043】
メモリ4,5のレベル差は信号の振幅を表し、この値が小さいほど音声レベルが小さい(振幅が小さい)ことを示す。このレベル差が無音と判断する規定信号レベルnより小さい場合、レベル比較検出部6は無音状態(小さい音)として制御信号gを制御部3へ出力する。
【0044】
制御部3はレベル比較検出部6からの制御信号gによって無音部分を検出すると、遅延メモリ2に対する読出しアドレスqのカウントアップを出力バッファメモリ7への書込み信号(FS)が出力される前に、さらに遅延メモリ2の読出しアドレスqを+1増加させ、読出し信号eを出力する。
【0045】
これによって、メモリ5の内容で出力する音声データiは、次のアドレスi+1の音声データを保持することになる。これは無音と判断したメモリ4,5の音声データのうちのメモリ5の内容を削除することになる。このことは遅延時間を短くすることを意味する。出力バッファメモリ7への出力データjは出力の動作を繰り返し、外部からの遅延制御データfの値になるまで繰り返す(図7参照)。
【0046】
以上のように制御することによって、遅延制御時間の設定変更を行う場合に、従来の同じ音の繰り返し出力の現象、あるいは音の欠落といった不具合をなくすことができる。また、遅延制御を徐々に行うため、通常の状態で聴感上において遅延時間の設定変更処理を意識することなく、設定変更処理の動作を行うことができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の音声遅延制御装置によれば、現状の遅延時間よりも設定時間を長くする場合に音声の無音部分(レベル変動の少ない:振幅の小さな領域)を検出し、その無音部分に無音信号を追加することによって、同じ音の繰り返し出力の現象をなくすことができるという効果がある。
【0048】
また、本発明の他の音声遅延制御装置によれば、現在の遅延設定時間より短い設定時間にする場合に、無音部分の検出を行い、無音部分を削除することによって、音の欠落といった不具合をなくすことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による音声遅延制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の遅延メモリの構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例による音声遅延制御装置の動作を示す図である。
【図4】本発明の一実施例による音声遅延制御装置の遅延時間を長くした場合の動作を示す図である。
【図5】本発明の一実施例による音声遅延制御装置の遅延時間を短くした場合の動作を示す図である。
【図6】図1の遅延メモリに対する時間を長くした場合の制御動作を示す図である。
【図7】図1の遅延メモリに対する時間を短くした場合の制御動作を示す図である。
【図8】従来の遅延時間変更時の制御方式を説明するための図である。
【図9】従来方式での遅延時間を長くした場合の問題点を示す図である。
【図10】従来方式での遅延時間を短くした場合の問題点を示す図である。
【図11】従来のオーディオデータの長さ変更方式を説明するための図である。
【符号の説明】
1 A/D変換器
2 遅延メモリ
3 制御部
4,5 メモリ
6 レベル比較検出部
7 出力バッファメモリ
8 D/A変換器8
Claims (5)
- 入力される音声信号を遅延する遅延メモリにて遅延制御を行う音声遅延制御装置であって、前記遅延メモリからの出力データを一時保持する第1のメモリと、前記第1のメモリからの出力データを一時保持する第2のメモリと、前記音声信号の遅延時間の設定時間の変更に対して前記第1のメモリに保持されたデータと前記第2のメモリに保持されたデータとを比較して前記音声信号の無音部分を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された無音部分の長さを変えるよう制御する制御手段とを有することを特徴とする音声遅延制御装置。
- 前記制御手段は、現状の遅延時間よりも設定時間を長くする場合に前記音声信号の無音部分への無音信号の追加を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の音声遅延制御装置。
- 前記制御手段は、現状の遅延時間よりも設定時間を短くする場合に前記音声信号の無音部分からの当該無音信号の削除を行うようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の音声遅延制御装置。
- 前記制御手段は、前記現状の遅延時間と変更する設定時間との時間差を均等に分割して数回に分けて前記無音部分の長さを変えるようにしたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の音声遅延制御装置。
- 放送局において映像系の画像遅延に対応して音声信号の遅延を行う音声遅延制御方式に用いるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載の音声遅延制御装置。
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