JP3618525B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子およびその製法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子およびその製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水率が向上したポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子およびその製法に関する。さらに詳しくは、たとえば型内発泡成形品の原料として好ましく用いられうるポリプロピレン系樹脂組成物からの予備発泡粒子およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、発泡剤を含有するポリプロピレン系樹脂粒子を水系分散媒に分散させ、容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上に保持しながら樹脂の軟化温度以上に加熱したのち、加圧容器内より低圧雰囲気中に放出して発泡させる方法が知られている(たとえば特開昭52−77174号公報)。
【0003】
一般に、ポリプロピレン系樹脂の融点およびその温度における水蒸気圧下での含水率は1%(重量%、以下同様)未満と低く、含水粒子にして予備発泡させることができるようなものではなく、予備発泡粒子の製造の際には、揮発性有機発泡剤や炭酸ガスなどの発泡剤が必要とされてきている。
【0004】
しかしながら、揮発性有機発泡剤は、プロパン、ブタンなどについては毒性や可燃性など安全性に問題があり、フロンなどについてはオゾン層破壊といった環境面の問題があり好ましくない。さらに、揮発性発泡剤を使用すると、発泡倍率のコントロールが困難であり、揮発性発泡剤そのものが高価であるためコスト高になるという欠点があることも知られている。
【0005】
一方、炭酸ガスについては、地球温暖化の原因となるため使用しない方が好ましく、さらに予備発泡粒子製造時に高圧にしなければならないため、大がかりな設備を必要とし、設備費が高価になるという欠点がある。
【0006】
前記のごとき欠点を解決する方法として、無機フィラーを30〜50%含有するポリプロピレン樹脂粒子を分散媒である水を発泡剤として発泡させる方法が提案されている(特公昭49−2183号公報)。
【0007】
しかし、この方法では大量の無機フィラーを使用しているため、型内成形時の粒子同士の融着性がわるく、またえられる成形体の機械的強度や柔軟性が損われるといった問題がある。
【0008】
一方、同様に分散媒である水を発泡剤としてポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子をうる方法として、炭素数12〜22の高級脂肪酸金属塩、たとえばAl塩やZn塩を0.4〜10%含有するエチレン含有率4〜10%のエチレン−プロピレンランダム共重合体を基材樹脂として使用する方法(特開昭60−188435号公報)、エチレン含有率2〜10%のエチレン−プロピレンランダム共重合体を基材樹脂とし、加熱前初期容器内圧を無機ガスで5kg/cm2Gとする方法(特開昭60−221440号公報)が提案されている。
【0009】
しかしながら、これらの方法で高発泡倍率の予備発泡粒子をうるには、エチレン−プロピレンランダム共重合体のエチレン含有率を4%以上とし、かつ、160℃、10時間以上の加熱条件を必要とする。このような高温、長時間の加熱を行なうと分散媒中での粒子同士の融着が起こりやすいうえに、生産性がわるく、経済的でない。
【0010】
したがって、近年、従来必要とされてきた揮発性有機発泡剤や炭酸ガスなどの発泡剤を使用しなくても所望の物性を有するポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を経済的に製造しうる方法の開発が望まれている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来の技術に鑑み、揮発性発泡剤や炭酸ガスなどの従来の発泡剤を使用しなくても所望の特性を有するポリプロピレン系樹脂の予備発泡粒子を経済的にうる方法および高含水性ポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子を提供するためになされたものであり、
(A)エチレン−プロピレンランダム共重合体100部(重量部、以下同様)、(B)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和してなるアイオノマー樹脂0.05〜20部、(C)無機充填剤および(または)有機充填剤0〜10部からなり、該エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点およびその温度における水蒸気圧下での含水率((A)成分および(B)成分の合計量に対する割合、以下単に含水率という)が1〜50%であるポリプロピレン系樹脂組成物からの粒子を予備発泡させた予備発泡粒子であって、発泡倍率5〜50倍、独立気泡率80〜100%および平均気泡径50〜500μmであることを特徴とする予備発泡粒子(請求項1)、
エチレン−プロピレンランダム共重合体のエチレン含有率が0.05〜8%である請求項1記載の予備発泡粒子(請求項2)、
無機充填剤がタルクである請求項1記載の予備発泡粒子(請求項3)、
示差走査熱量測定によってえられるDSC曲線に、エチレン−プロピレンランダム共重合体の固有ピークより高温側にピークを有する請求項1記載の予備発泡粒子(請求項4)、ならびに
(A)エチレン−プロピレンランダム共重合体100部、(B)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和してなるアイオノマー樹脂0.05〜20部、(C)無機充填剤および(または)有機充填剤0〜10部からなり、該エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点およびその温度における水蒸気圧下での含水率((A)成分および(B)成分の合計量に対する割合、以下単に含水率という)が1〜50%であるポリプロピレン系樹脂組成物からなる粒子を、密閉容器内で水系分散媒に分散させ、前記粒子を前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点以上、融解終了温度未満の温度に加熱して、含水率が1〜50%の含水粒子としたのち、前記密閉容器の一端を解放し、前記含水粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出させ、前記含水粒子を発泡させることを特徴とする予備発泡粒子の製法(請求項5)
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂組成物には、エチレン−プロピレンランダム共重合体100部、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和されてなるアイオノマー樹脂0.05〜20部、ならびに無機充填剤および(または)有機充填剤0〜10部が含まれる。
【0013】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体は、発泡性、成形性、えられる成形体の機械的強度、耐熱性、柔軟性のバランスにすぐれた予備発泡粒子をうるために使用される成分であり、また、前記アイオノマー樹脂はポリプロピレン系樹脂組成物の含水率を高めるために使用される成分であり、さらに、前記無機充填剤および(または)有機充填剤は、予備発泡時にさらに均一な気泡を有し、高発泡倍率の予備発泡粒子をうるために使用される成分である。
【0014】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体中のエチレン含有率は、0.05〜8%、さらには0.1〜3.8%が好ましい。エチレン含有率が0.05%未満のばあいには、融点および結晶化度が高くなりすぎて予備発泡粒子の発泡性、成形時の融着性が充分でなくなり、えられる成形体の柔軟性も充分でなくなる傾向にある。また、8%をこえると、成形体の機械的強度、耐熱性が充分でなくなる傾向にある。
【0015】
また、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体には、接着性、透明性、耐衝撃性、ガスバリア性、帯電防止性、成形性の改良のために、その他の共重合可能な共重合成分、たとえば酢酸ビニル、メチルメタクリレート、ビニルアルコール、メタクリル酸、塩化ビニルなどが含まれていてもよい。前記その他の共重合成分の共重合割合は、使用することによる効果をうるためには2%以上であるのが好ましい。上限は30%である。
【0016】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体は、エチレン含有率や測定試料の調整方法などによって異なるが、メルトインデックス(MI)としては、230℃において0.5〜30g/10分、さらには2〜20g/10分のものが好ましく、また曲げ弾性率(JIS K 7203)としては5000〜20000kgf/cm2、さらに8000〜16000kgf/cm2、融点としては125〜165℃、さらには135〜155℃のものが好ましい。前記MIが0.5g/10分未満のばあい、溶融粘度が高すぎて高発泡倍率の予備発泡粒子がえられにくく、30g/10分をこえるばあい、発泡時の樹脂の伸びに対する溶融粘度が低く破泡しやすくなり、予備発泡粒子の連泡率が高くなる傾向にある。また、前記曲げ強度が5000kgf/cm2未満のばあい、機械的強度や耐熱性が不充分となり、20000kgf/cm2をこえるばあい、えられる発泡成形体の柔軟性、緩衝特性が不充分となる傾向にある。さらに融点が165℃をこえるばあい、成形時の融着性、緩衝特性が不充分となり、125℃未満のばあい耐熱性が不充分となる傾向にある。
【0017】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体は無架橋の状態で用いてもよく、パーオキサイドや放射線などにより架橋させて用いてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのエチレン−プロピレンランダム共重合体を用いることにより、高発泡倍率で成形性のよい予備発泡粒子がえられやすく、また、えられた予備発泡粒子から製造された成形体の機械的強度や耐熱性、柔軟性のバランスが良好になる点から好ましい。
【0018】
前記アイオノマー樹脂は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和したものである。
【0019】
前記アイオノマー樹脂のベース樹脂となるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中のエチレン含有率は25〜99%、さらには50〜90%が好ましい。エチレン含有率が25%未満のばあい、エチレン−プロピレンランダム共重合体中での分散性が充分でなくなり、予備発泡粒子製造時に容器内で粒子同士の融着が生じやすくなる。エチレン含有率が99%をこえると、所定の含水率をうるために大量のアイオノマー樹脂を含有させなければならず、えられる成形体の機械的強度、耐熱性、吸水時の寸法安定性が低下する傾向にある。
【0020】
前記エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体には、エチレンおよび(メタ)アクリル酸以外の共重合成分として(メタ)アクリル酸エステルなどを柔軟性、低温脆性、成形性改良などのために共重合させてもよい。前記(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記の効果をうるためには5%以上用いるのがよく、20%をこえると所定の含水率をうるために大量のアイオノマー樹脂を含有させなければならず、えられる成形体の機械的強度、耐熱性が不充分となりやすい。
【0022】
前記エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の製法についてはとくに制限はなく、高圧ラジカル重合法などの通常の方法で行なえばよい。
【0023】
前記アイオノマー樹脂は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンによって部分的または完全に中和することにより製造される。
【0024】
前記アルカリ金属イオンとしては、元素周期律表Ia族に属するLi、Na、Kのイオンが好ましい。金属イオン源としては、アルカリ金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩などが使用されうる。
【0025】
前記エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアイオノマー樹脂にする方法については種々知られているが、代表的な方法としては、押出機などを用いて溶融混練により前記エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体と前記金属イオン源とを反応させる方法があげられる。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体に含まれるカルボキシル基の中和度としては、30〜90%、さらには40〜80%の範囲が好ましい。中和度が30%未満のばあい、所定の含水率をうるためには大量のアイオノマー樹脂を含有させなければならず、えられる成形体の機械的強度、耐熱性、吸水時の寸法安定性が充分でなくなる傾向にある。また、中和度が90%をこえるばあいには、アイオノマー樹脂の製造が困難になる。
【0026】
前記アイオノマー樹脂の使用量は、アイオノマー樹脂中の(メタ)アクリル酸含有率、金属イオン種、中和度などによっても異なるが、通常、所定の含水率を有するポリプロピレン系樹脂組成物をうるためには、エチレン−プロピレンランダム共重合体100部に対して0.05部以上、好ましくは0.5部以上であり、また、予備発泡粒子の製造時の生産安定性や発泡特性を良好にし、えられる成形体にすぐれた成形性、機械的強度、耐熱性、吸水寸法安定性を付与するためには、20部以下、好ましくは10部以下である。
【0027】
前記無機充填剤および(または)有機充填剤のうちの無機充填剤の具体例としては、たとえばタルク、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどがあげられる。これらの無機充填剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの無機充填剤のなかでは、タルクが、気泡が均一で高発泡倍率を有する予備発泡粒子がえられる点から好ましい。
【0028】
前記無機充填剤および(または)有機充填剤のうちの有機充填剤としては、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点以上の温度で固体状のものであればよく、とくに限定はない。前記有機充填剤の具体例としては、たとえばフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、熱可塑性ポリエステル樹脂粉末などがあげられる。これらの有機充填剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記充填剤(無機充填剤および有機充填剤の両方を含む概念である)の平均粒径としては、気泡が均一で高発泡倍率を有する予備発泡粒子をつくり、また該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれた成形体をうる点から0.1〜50μm、さらには0.5〜10μmであるのが好ましい。前記平均粒子径が50μmをこえるばあいには、気泡径が大きくなりすぎる傾向があり、0.1μm未満のばあいには、発泡核点になりにくく、成形性が低下する傾向にある。
【0030】
前記充填剤は必ず使用しなければならないものではないが、使用することによる効果、すなわち高発泡倍率の予備発泡粒子をうるためには、エチレン−プロピレンランダム共重合体100部に対して0.01部以上、さらには0.1部以上にするのが好ましく、また予備発泡粒子を成形する際に、すぐれた融着性を発現させ、該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれた成形体をうるためには、10部以下、好ましくは5部以下である。
【0031】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体、アイオノマー樹脂、必要により充填剤などを含有する本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、該エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点における水蒸気圧下での含水率が1〜50%、好ましくは2〜20%となるものである。
【0032】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点における水蒸気圧下での含水率が1〜50%であるため、揮発性発泡剤や炭酸ガスなどの従来の発泡剤を使用せずとも所望の特性を有する高発泡倍率の予備発泡粒子がえられる。
【0033】
前記含水率が1%未満のばあい、みかけの発泡倍率が5倍未満となり、また50%をこえると、粒子の水系分散媒に対する分散性が低下し、予備発泡粒子製造時に密閉容器内で粒子が塊状になり、均一な予備発泡粒子をうることが困難になる。
【0034】
なお、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点は、DSCによって10℃/分の昇温速度で測定したときの融解ピークの頂点の温度から求められ、その温度における水蒸気圧下での含水率は、以下のようにして求められる。
【0035】
すなわち、300cc耐圧アンプル中に前記ポリプロピレン系樹脂組成物の粒子50g、水150g、分散剤としてパウダー状塩基性第三リン酸カルシウム0.5g、n−パラフィンスルホン酸ソーダ0.03gを入れ、密閉後に前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点に設定した油浴中で3時間加熱処理する。さらに室温まで冷却後、取り出し、充分水洗して分散剤を除去したのち、えられたポリプロピレン系樹脂組成物の含水粒子の表面の付着水分を除去したものの重量(X)を求め、ついでその樹脂の融点よりも20℃高い温度に設定されたオーブン中で3時間乾燥させ、デシケータ中で室温まで冷却させたあとの重量(Y)を求め、式(I):
【0036】
【数1】
Figure 0003618525
【0037】
にしたがって求められた値をいう。ただし、含水率はエチレン−プロピレンランダム共重合体およびアイオノマー樹脂に対する割合であるため、充填剤を用いるばあいには補正する必要がある。
【0038】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体、アイオノマー樹脂、必要により充填剤などを含有する本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、通常、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて溶融混練し、ついで円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状など予備発泡に利用しやすい所望の粒子形状に成形するのが好ましい。えられる粒子は通常0.5〜5mg/粒である。
【0039】
前記ポリプロピレン系樹脂組成物からの粒子は、予備発泡させる際に、密閉容器内で水系分散媒に分散せしめられ、エチレン−プロピレンランダム共重合体の軟化温度以上の温度に加熱することにより含水せしめられる。
【0040】
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点における水蒸気圧下での本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の含水率は、1〜50%、好ましくは2〜20%であるため、粒子の含水率も1〜50%、好ましくは2〜20%となる。
【0041】
前記ポリプロピレン系樹脂組成物からの予備発泡粒子は、たとえば前記エチレン−プロピレンランダム共重合体、アイオノマー樹脂、必要により使用される充填剤などを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からの粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散させ、該粒子を前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点以上、好ましくは融点+5℃以上、融解終了温度未満、好ましくは融解終了温度−2℃以下の温度に加熱して、含水率が1〜50%、好ましくは2〜20%のポリプロピレン系樹脂組成物の粒子(含水粒子)にしたのち、前記密閉容器の一端を解放し、前記含水粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中、通常、大気圧下に放出させ、前記含水粒子を発泡させることによりえられる。
【0042】
なお、前記融解終了温度とは、該粒子3〜7mgを示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温し、ついで10℃/分の降温速度で40℃付近まで降温したのち、再度10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温し、第2回目の昇温によってえられたDSC曲線の吸熱ピークのすそが高温側でベースラインの位置に戻ったときの温度のことである。
【0043】
前記密閉容器内で前記粒子を水系分散媒に分散させる際に、分散剤として、第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウムなどや、少量の界面活性剤、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダなどを使用しうる。前記分散剤および界面活性剤の使用量については特別な限定はなく、一般に使用される量使用すればよい。
【0044】
なお、前記水系分散媒としては、その代表的なものとして水があげられるが、水に、必要によりエチレングリコール、エチルアルコール、グリセリンなどの1種以上が含有されているものであってもよい。
【0045】
本発明においては、前記含水粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中、通常、大気圧下に放出させ、前記含水粒子を発泡させるという手段がとられる。内容物を放出させる際には、容器内圧を一定範囲に保持するようにチッ素、空気などの無機ガス(炭酸ガスを除く)などを導入するのがよい。
【0046】
かくしてえられるポリプロピレン系樹脂組成物を用いた予備発泡粒子は、発泡倍率5〜50倍、好ましくは7〜30倍、独立気泡率80〜100%、好ましくは85〜100%、および平均気泡径50〜500μm、好ましくは100〜300μmを有する。
【0047】
前記発泡倍率が5倍未満のばあい、えられる成形体の柔軟性、緩衝特性などが不充分となり、また50倍をこえるばあい、えられる成形体の機械的強度、耐熱性などが不充分となる。また、前記独立気泡率が80%未満のばあい、2次発泡力が不足するため、成形時に融着不良が発生し、えられる成形体の機械的強度などが低下する。また、前記平均気泡径が50μm未満のばあい、えられる成形体の形状が歪むなどの問題が生じ、500μmをこえるばあい、えられる成形体の機械的強度が低下する。
【0048】
なお、本発明の予備発泡粒子の示差走査熱量測定によってえられるDSC曲線には、エチレン−プロピレンランダム共重合体の固有ピークより高温側にピークが存在するのが好ましい。エチレン−プロピレンランダム共重合体の固有ピークより高温側にピークが存在するばあいには、えられたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の型内成形性がよく、機械的強度や耐熱性の良好な成形体がえられる。
【0049】
前記予備発泡粒子の示差走査熱量測定によってえられるDSC曲線とは、該予備発泡粒子3〜7mgを示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温したときにえられるDSC曲線のことである。
【0050】
また、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の固有ピークとは、予備発泡粒子の基材樹脂であるエチレン−プロピレンランダム共重合体についてのDSC曲線を求めたばあいにえられる固有の吸熱ピークであり、いわゆる融解時の吸熱によるピークと考えられている。一方、高温側のピークとは、前記固有ピークより高温側に現れる吸熱ピークであり、予備発泡粒子製造時に生じた二次結晶の存在に基づくものと解釈されている。一般に、予備発泡粒子製造時にエチレン−プロピレンランダム共重合体の融点以上、融解終了温度未満の温度域に加熱、保持することで二次結晶が生成する。前記固有ピークと高温側のピークとの温度差が大きいことが望ましく、5℃以上、さらには10℃以上であるのが好ましい。また、高温側のピークの大きさは5〜60J/g、さらには15〜35J/gであるのが好ましく、固有ピークの大きさに対する高温側のピークの大きさの割合が10〜50%さらには20〜40%であるのが好ましい。
【0051】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からの予備発泡粒子は、80%以上の独立気泡率を有するので、さらに要すればこの予備発泡粒子を耐圧容器中で加熱加圧下、一定時間処理することによって空気含浸を行なったのちに成形用金型に充填し、たとえば蒸気加熱により、加熱発泡成形して金型どおりの発泡成形体を製造してもよい。
【0052】
かくしてえられた発泡成形体は、寸法収縮率が小さく、形状変形が小さいので、きわめて商品価値の高いものとなる。
【0053】
【実施例】
つぎに本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
実施例1〜7および比較例1〜5
エチレン−プロピレンランダム共重合体(密度0.90g/cm3、エチレン含有量3%、融点145℃、融解終了温度160℃、MI=6g/10分)100部に対し、表1に示すアイオノマー樹脂およびタルク(平均粒径9.5μm)を表1に示す量添加し、50mmφ単軸押出機に供給し、溶融混練したのち、直径2.2mmφの円筒ダイより押し出し、水冷後カッターで切断し、円柱状の含水性ポリプロピレン系樹脂組成物からの粒子(ペレット)(1.8mg/粒)をえた。
【0055】
つぎに、えられた粒子100部、分散剤としてパウダー状塩基性第三リン酸カルシウム1部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.05部を水300部とともに密閉容器内に仕込み、容器内容物を約90分間かけて表1に示す温度まで加熱し、さらに同温度で30分間保持した。このときの圧力は、約5.6kg/cm2Gであった。
【0056】
そののち、容器内の圧力を圧縮空気で表1に示す圧力まで上昇させ、ただちにこの圧力を保持しつつ、密閉容器下部のバルブを開いて水分散物(含水粒子および水系分散媒)を大気圧下に放出して予備発泡を行なった。
【0057】
つぎに、えられたポリプロピレン系樹脂組成物からの粒子および予備発泡粒子の物性として、含水率、発泡倍率、独立気泡率、平均気泡径および気泡のバラツキおよびDSC曲線の固有ピーク温度、高温側ピーク温度を以下の方法にしたがって調べた。結果を表1に示す。
【0058】
(エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点における水蒸気圧下での樹脂組成物の含水率)
前記実施の形態中に示した方法により求めた。
【0059】
(発泡倍率)
予備発泡粒子の重量を測定後、100ccのメスシリンダー中でエタノールに浸漬し、浸漬前後のメニスカスから発泡粒子の容積を測定して真の密度を求め、それで基材粒子の密度を除して算出した。
【0060】
(独立気泡率)
空気比較式比重計(ベックマン(BECKMAN)社製、930型)を用いて、えられた予備発泡粒子の独立気泡体積を求め、かかる独立気泡体積を別途水没法で求めたみかけ体積で除することによって独立気泡率を算出した。
【0061】
(平均気泡径)
えられた予備発泡粒子の中から任意に30個の予備発泡粒子を取り出し、JIS K 6402に準拠して気泡径を測定し、平均気泡径(d)を算出した。
【0062】
(気泡のバラツキ)
平均気泡径(d)と気泡径のバラツキを表わす標準偏差(σ)との比(以下、Uという)を
U(%)=(σ/d)×100
で算出した。
【0063】
Uが小さいほど気泡が均一であることを示す。
【0064】
Uの値を以下の基準にしたがって分類し、評価した。
【0065】
○:Uの値が35%未満
△:Uの値が35〜45%
×:Uの値が45%をこえる
【0066】
(DSC曲線による固有ピーク温度および高温側ピーク温度)
えられた予備発泡粒子5mgを示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製SSC5200)によって10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温してDSC曲線を求めた。えられたDSC曲線の低温側吸熱ピーク(140〜141℃)の頂点の温度を固有ピーク温度とした。
【0067】
それに対し、高温側吸熱ピーク(160〜161℃)の頂点の温度を高温側ピーク温度とした。
【0068】
【表1】
Figure 0003618525
【0069】
表1の結果から、実施例1〜7でえられた予備発泡粒子はいずれも高発泡倍率で、均一微細気泡を有する独立気泡率の高い予備発泡粒子であることがわかる。
【0070】
一方、比較例1〜5でえられた予備発泡粒子は倍率が5倍未満で気泡バラツキの大きいものであることがわかる。
【0071】
なお、比較例5のものは、収縮が著しくて独立気泡率、平均気泡径、気泡のバラツキが測定できず、DSC曲線に高温ピークが現れなかった。
【0072】
【発明の効果】
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂組成物を用いれば、従来の発泡剤を使用しなくても、発泡倍率5〜50倍、独立気泡率80〜100%および平均気泡径50〜500μmという、すぐれた性質を有する予備発泡粒子がえられる。
【0073】
したがって、本発明の予備発泡粒子を用いたばあい、えられる型内発泡成形体の収縮率が小さく、またその成形品の歪みも小さいので、外観にすぐれ、しかも成形体の生産効率が向上するようになる。したがって、本発明の予備発泡粒子は、寸法精度を要求される車両用衝撃吸収体などの構造部材、断熱建材などに好ましく用いられうるものであり、また緩衝包材などの用途にも有用である。

Claims (5)

  1. (A)エチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部、(B)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和してなるアイオノマー樹脂0.05〜20重量部、(C)無機充填剤および(または)有機充填剤0〜10重量部からなり、該エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点における水蒸気圧下での含水率((A)成分および(B)成分の合計量に対する割合)が1〜50重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物からの粒子を予備発泡させた予備発泡粒子であって、発泡倍率5〜50倍、独立気泡率80〜100%および平均気泡径50〜500μmであることを特徴とする予備発泡粒子。
  2. エチレン−プロピレンランダム共重合体のエチレン含有率が0.05〜8重量%である請求項1記載の予備発泡粒子。
  3. 無機充填剤がタルクである請求項1記載の予備発泡粒子。
  4. 示差走査熱量測定によってえられるDSC曲線に、エチレン−プロピレンランダム共重合体の固有ピークより高温側にピークを有する請求項1記載の予備発泡粒子。
  5. (A)エチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部、(B)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和してなるアイオノマー樹脂0.05〜20重量部、(C)無機充填剤および(または)有機充填剤0〜10重量部からなり、該エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点における水蒸気圧下での含水率((A)成分および(B)成分の合計量に対する割合)が1〜50重量%であるポリプロピレン系樹脂組成物からなる粒子を、密閉容器内で水系分散媒に分散させ、前記粒子を前記エチレン−プロピレンランダム共重合体の融点以上、融解終了温度未満の温度に加熱して、含水率((A)成分および(B)成分の合計量に対する割合)が1〜50重量%の含水粒子としたのち、前記密閉容器の一端を解放し、前記含水粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出させ、前記含水粒子を発泡させることを特徴とする予備発泡粒子の製法。
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