JP3620064B2 - モータ駆動型トラクター - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、モータで駆動される農用トラクターに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、農用トラクターの大部分は、ディーゼルエンジンを機体前部に搭載しており、このエンジンの周囲にはラジエータやマフラー、バッテリー等を配置し、また、機体後部のミッションケース内には変速装置を設け、変速装置で適宜減速した回転動力を前輪と後輪に伝える構成であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の従来装置にあっては、ラジエータ、マフラーをはじめとして数多くの高価な部品を必要とし、全体的に製造コストが高くなる欠点や、振動や騒音が大きいことから作業環境を悪化させる欠点があった。また、小型トラクターではハウス内に乗り入れて管理作業を行なうことがあるが、このような作業にあっては排気ガスがハウス内にこもり、長時間の作業ができないという問題点があった。
また、これらトラクターでは、負荷変動により車速が一定に保たれず作業性が悪化するという課題が有った。
【0004】
【解決を解決するための手段】
この発明は前記問題点に鑑みて提案するものであり、次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1の発明では、前輪と後輪を備えたトラクター機体にバッテリ16の電力により駆動される走行系交流モータ4とPTO系交流モータ12を搭載すると共に、前記走行系交流モータ4の回転を調整する走行速調整ペダル27及び同モータ4の回転により得られる車速を検出する車速センサ47と、前記PTO系交流モータ12の回転数を設定するPTO系回転数設定ダイヤル35及び同モータ12の回転により得られるPTO軸15の回転速を検出するPTO回転センサ46を搭載して設け、更に前記車速センサ47とPTO回転センサ46の検出値に基づいて、走行系交流モータの回転により得られる車速とPTO系交流モータ12の回転により得られるPTO軸15の回転速とを夫れ夫れ個別維持する制御コントローラ20を設けたことを特徴とするモータ駆動型トラクターとした。
また請求項2の発明では、前記機体には左右の駆動輪を制動する左右ブレーキペダル25,26を設けると共に各ペダル25,26の踏込操作を検出するセンサ42,43を設け、前記ブレーキペダル25,26が左右共に操作されたときのみ、前記走行系交流モータの回転により得られる車速を減速させることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動型トラクターとした。
【0005】
【実施例】
以下、図面に示す実施例に基づいて、この発明の実施例を説明する。
まず、構成から説明すると、1はトラクターで機体の前後部に前輪2と後輪3とを備え、機体前部には走行系の交流モータ4が搭載され、その後部に走行系減速ギヤボックス5が搭載されている。この走行系減速ギヤボックス5内で適宜減速した回転動力を前輪2と後輪3とに伝えるべく構成している。
【0006】
この減速ギヤボックス5の後上部には、機体後部のリフト機構6を昇降回動するために油圧ポンプ8と油圧タンク9が設けられている。
そして、油圧タンク9内の作動油を油圧ポンプ8でリヤーミッションケース10内に設けられた油圧シリンダー(図示省略)に送り、リフト機構6を昇降回動させる。座席11の下方にはPTO系の交流モータ12が搭載され、その出力軸が前記リヤーミッションケース10に接続される。リヤーミッションケース10の後端部に突設軸架されたPTO軸15はこのリヤーミッションケース10内に組み込まれているPTO減速ギヤ機構(図示省略)を介して、回転駆動される。
【0007】
図1、図2において符号16はバッテリーであり、これらのバッテリー16は機体フレーム18の上に左右対称に配置され、左右方向におけるバランスが良好に維持されるように構成している。
20は制御用コントローラで、前記2つの交流モータ4、12の回転をコントロールする。制御用コントローラ20及び走行系交流モータ4の上方は、ボンネット22で覆われ、ボンネット22と、後輪3の上方を覆うフェンダー23の上面部には太陽電池24が取り付けられている。この太陽電池24は日中に蓄えた電力をバッテリー16に供給することを目的として設置されたものである。
【0008】
図3において25、26は左右ブレーキペダル、27は走行速度調整用ペダル、28は速度計、29はPTO回転計、30はバッテリー容量を示すインジケータである。座席11の横側部には機体の前後進を切り替え操作する前後進切替レバー33と、PTO回転数を設定する回転数設定ダイヤル35、作業機を昇降操作するリフト操作レバー36等が設けられている。走行速度調整用ペダル27は、その踏み込み量に応じて走行系交流モータ4の回転速度が変わるように構成されており、PTO系回転数設定ダイヤル35は、作業者がこれを回動操作してPTO軸15の回転数を設定するものである。
【0009】
この実施例における回転速度調整は、周波数を変更して行なう方法を採用しており、又、走行系・PTO系、共に無段階的に回転速度調整ができる形態としているが、回転速度の調整は段階的に行なえるものであっても良い。
図4は回転速度制御を達成するためのブロック図であり、その構成を簡単に説明すると、制御コントローラ20を構成するマイコンユニット40の入力側には、走行速度調整用ペダル27の踏込量検出センサ41、ブレーキペダル踏込量検出センサ42、43、前後進切替レバー33の操作検出SW44、PTO設定ダイヤル35、PTO回転センサ46、車速センサ47、バッテリー16、太陽電池24等が接続されている。
【0010】
一方、マイコンユニット40の出力側には、バッテリーインジケータ30、PTO回転計29、速度計28と共に、走行系及びPTO系の交流モータ4、12が接続されている。なお、図中、バッテリー16と前記交流モータ4、12との間には、交流モータ4、12の回転方向を変更する正逆ユニット50、51と、直流を交流に変換するDC/AC変換器53、54及び、交流モータ4、12からの逆起電力をバッテリー16に回収するための電力回収用のAC/DC変換器56、57を設けている。
【0011】
そして、図5に示す制御フローに従って、走行系の交流モータ4の回転速度制御とPTO系交流モータ12の回転速度制御がなされる。
走行系交流モータの回転速度制御を、図6のフローチャートに基いて説明する。作業中あるいは路上を走行するときは、走行速度調整ペダル27の踏み込み量に応じて交流モータ4の周波数が設定される(ステップS1)。左右のブレーキペダル25、26が共に踏まれていないときであって、ブレーキフラグがセットされていないときには、その周波数が走行用交流モータ4の初期設定値となり、前後進切替レバー33の状態に応じて機体を前後進させる。即ち、前後進切替レバー33を前側へ倒すと正逆ユニット50を正転側へ切り替え(ステップS7)、逆に前後進切替レバー33を後側へ倒すと正逆ユニット50が逆転側へ切り替え(ステップS8)、DC/AC変換器53にセット周波数を出力して交流モータ4を設定回転数で駆動する(ステップS9)。
【0012】
機体を停止すべく左右のブレーキペダル25、26を連結して同時に踏み込むと、車速を低下させるべく周波数が変更される。この場合、ブレーキペダル25、26の踏み込み量に応じて走行用交流モータ4を減速させるための周波数が再度設定され直し(ステップS3)、同時にブレーキフラグがセットされ、このときの周波数が記憶される(ステップS4)。そして、前記の場合と同様に前後進切替レバー33の位置に応じて機体が停止、あるいは前進し、あるいは後進する。
【0013】
ブレーキペダル25、26から足を離してもその減速された速度が優先されるため、これを解除するために、作業者は走行速度調整用ペダル27を一旦減速側に踏み込んで、走行速度調整用ペダル27による速度(周波数)設定と、ブレーキペダル25、26を踏み込むことにより設定された減速状態の速度(周波数)とを一致させる所謂セーフティ操作を必要とする(ステップS10、S11)。
【0014】
この一致操作を行なうことによりブレーキフラグはリセット状態に戻され(ステップS12)、以後は、走行速度調整ペダル27による操作が優先され、このペダル27によって設定された速度に車速が維持されることになる(ステップS13)。このようにセーフティ機構を取り込むことにより、ブレーキ操作を中断したときの機体の急加速を禁止し安全性を高めることができる。
【0015】
なお、この実施例では、ブレーキペダル25、26を同時に踏み込んだときに、図示外のブレーキ装置が作動するように構成すると共に、交流モータ4の駆動周波数自体を制御して車速を落すようにしたので、機体を速く停止させることができると共に、ブレーキの焼き付き現象を防止することができる。
また、片ブレーキ操作では減速効果が生じず、両ブレーキペダル25、26を操作したときのみ車速が減速される構成としたので、片ブレーキ操作で旋回中に極端に車速が低下し、作業性を悪化させてしまうといった不具合を生じることもない。
【0016】
最後図7のフローチャートはPTO制御に係るものである。
まず、PTO系回転数設定ダイヤル35を回動操作してPTO軸15の回転数をセットする(ステップ♯1)。
そして、PTO回転センサ46が検出した実際の回転数と、上記ダイヤル35で設定した回転数とを比較し(ステップ♯2)、その差に応じて駆動周波数を調整する(ステップ♯3)。このとき、偏差及びその方向によって交流モータ12を正転させ、あるいは逆転させるものであるが(ステップ♯4、♯6、♯7)、例えばPTO軸15の回転速度を所定値に保つために増速させるときには、正逆ユニット51を正転側に切り替え、DC/AC変換器54にその回転を維持するに必要な周波数をセットし(ステップ♯6、♯8)、反対に減速させる場合には、正逆ユニット51を逆転側に切り替え、DC/AC変換器54に所定の回転を維持するに必要な周波数をセットする(ステップ♯7、♯8)。
【0017】
【発明の効果】
この発明は前記の如く構成したので、以下のような技術的効果を奏する。
即ち、請求項1の発明では、前輪と後輪を備えたトラクター機体にバッテリ16の電力により駆動される走行系交流モータ4とPTO系交流モータ12を搭載すると共に、前記走行系交流モータ4の回転を調整する走行速調整ペダル27及び同モータ4の回転により得られる車速を検出する車速センサ47と、前記PTO系交流モータ12の回転数を設定するPTO系回転数設定ダイヤル35及び同モータ12の回転により得られるPTO軸15の回転速を検出するPTO回転センサ46を搭載して設け、更に前記車速センサ47とPTO回転センサ46の検出値に基づいて、走行系交流モータの回転により得られる車速とPTO系交流モータ12の回転により得られるPTO軸15の回転速とを夫れ夫れ個別維持する制御コントローラ20を設けたことを特徴とするモータ駆動型トラクターとしたので、前記従来の構成のように、ディーゼルエンジンを搭載する構成と比較して、振動や騒音が小さく、また排気ガスを発生させることが無いから、作業を快適に行なえる。また走行系に負荷変動が生じて走行系交流モータに滑りが発生してもPTO系はその影響を受けることがなく、又、逆にPTO系に負荷変動が生じても走行系に影響が出ることがない。よって作業性が悪化するという不具合を防止することができる。また更に、こららモータ4,12は全て交流モータであるから直流モータに比べてブラシがない分だけ耐久性に富み、長時間の使用に耐え得る。
また請求項2の発明では、前記機体には左右の駆動輪を制動する左右ブレーキペダル25,26を設けると共に各ペダル25,26の踏込操作を検出するセンサ42,43を設け、前記ブレーキペダル25,26が左右共に操作されたときのみ、前記走行系交流モータの回転により得られる車速を減速させることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動型トラクターとしたので、片ブレーキ操作といった作業中の旋回で車速が低下すること無く、作業性が悪化するといった不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクターの側面図である。
【図2】トラクターの平面図である。
【図3】トラクター要部の平面図である。
【図4】制御ブロック図である。
【図5】制御全体のフローチャートである。
【図6】走行系の制御フローチャートである。
【図7】PTO系の制御フローチャートである。
【符号の説明】
1 トラクター
2 前輪
3 後輪
走行系交流モータ
6 リフト機構
12 PTO系交流モータ
15 PTO軸
16 バッテリー
20 制御コントローラ

Claims (2)

  1. 前輪と後輪を備えたトラクター機体にバッテリ16の電力により駆動される走行系交流モータ4とPTO系交流モータ12を搭載すると共に、前記走行系交流モータ4の回転を調整する走行速調整ペダル27及び同モータ4の回転により得られる車速を検出する車速センサ47と、前記PTO系交流モータ12の回転数を設定するPTO系回転数設定ダイヤル35及び同モータ12の回転により得られるPTO軸15の回転速を検出するPTO回転センサ46を搭載して設け、更に前記車速センサ47とPTO回転センサ46の検出値に基づいて、走行系交流モータの回転により得られる車速とPTO系交流モータ12の回転により得られるPTO軸15の回転速とを夫れ夫れ個別維持する制御コントローラ20を設けたことを特徴とするモータ駆動型トラクター。
  2. 前記機体には左右の駆動輪を制動する左右ブレーキペダル25,26を設けると共に各ペダル25,26の踏込操作を検出するセンサ42,43を設け、前記ブレーキペダル25,26が左右共に操作されたときのみ、前記走行系交流モータの回転により得られる車速を減速させることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動型トラクター。
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