JP3620230B2 - ツインクラッチ式自動変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ツインクラッチ式自動変速機、特に、後進段等への変速を素早く行うことのできるツインクラッチ式自動変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
入力軸につながる2個のクラッチを備え、それぞれのクラッチの出力軸の一方に、第1および第3速度段のドライブギヤを配設し、他方には第2および第4速度段のドライブギヤを配設し、変速機出力軸上に各ドライブギヤに噛合するドリブンギヤを配設し、ドリブンギヤを同期装置により選択的に変速機出力軸に係合可能に配設し、2個のクラッチと、同期装置の係合組合せを変えて変速をおこなうツインクラッチ式自動変速機が特開平8−93861号公報に開示されている。
【0003】
上記公報の装置では、第1および第3速度段のドリブンギヤは1個の第1同期装置で選択的に変速機出力軸に係合され、第2および第4速度段のドリブンギヤも1個の第2同期装置で選択的に変速機出力軸に係合されるようにされている。そして、クラッチの出力軸に平行に副軸が配設されていて、この副軸に取り付けられた副軸ドリブンギヤが第2および第4速度段のドライブギヤが配設されたクラッチの出力軸に取り付けられた副軸ドライブギヤと常時噛合されている。そして、副軸上に配設された後進段ドリブンギヤは同期装置で副軸に選択的に係合可能とされながら、中間ギヤを介して第1速ドリブンギヤに常時噛合されている。したがって、後進段は第2クラッチを係合し、後進段ドリブンギヤを同期装置で副軸に係合し、第1速度段ドリブンギヤを第1同期装置で変速機出力軸に係合して達成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成されたツインクラッチ式自動変速機において、例えば、後進段はシフトセレクタがP(駐車用)レンジ、N(中立)レンジの状態、あるいは、シフトセレクタが前進用の例えばDあるいは2あるいはLレンジにおける第1速度段の状態から選択されると考えられる。
【0005】
ここで、Pレンジ、Nレンジでは、2つのクラッチは両方とも解放されているので、第1同期装置、第2同期装置はどの位置にあってもよいのであるが、後進段を選択する場合に、第1速ドリブンギヤが同期装置により変速機出力軸に係合されていないと、第1速度段用に第1同期装置を動かさねばならない。また、第2同期装置が中立位置にない場合は中立位置に動かす必要がある(なぜなら後進段は第2速ドライブギヤ、第4速ドライブギヤが取り付けられたクラッチ出力軸を使用するため、第2速ドリブンギヤ、第4速ドリブンギヤは変速機出力軸に係合されていてはならない)。そして、後進段用同期装置を係合位置に動かさねばならない。この第1同期装置と第2同期装置と後進段用同期装置の移動を連続しておこなうと時間がかかる。また、3つの同期装置を同時に動かそうとすると油圧が低下して同期装置の制御性が低下する可能性もある。
【0006】
また、第1速度段から後進段にシフトされる場合のことを考えると、第1速ドリブンギヤは第1同期装置により変速機出力軸に係合されているが、第2同期装置が第2速度段に備えて第2速ドリブンギヤ側に移動されているとこれを中間位置に移動させる必要がある。そして、後進段用同期装置を係合位置に動かさねばならない。この場合も、同様に、2つの同期装置を動かすために、上記と同様に、時間がかかり、あるいは、油圧が低下して同期装置の制御性が低下する可能性もある。
本発明は上記問題に鑑み、前述のような構成のツインクラッチ式自動変速機において例えば、D(N)レンジから後進段を選択した場合等に同期装置の移動を少なくして制御性を向上することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、トルクコンバータを介してエンジンに連結されている変速機入力軸と、
第1クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第1クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸に同軸的に配設され、第2クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第2クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された副軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された変速機出力軸と、
前記第1クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第1速度段ドライブギヤと第3速度段ドライブギヤと、
前記第2クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第2速度段ドライブギヤと第4速度段ドライブギヤと副軸回転用の副軸ドライブギヤと、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第1速度段ドライブギヤに噛合していて第1速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第1速度段ドリブンギヤと、第3速度段ドライブギヤに噛合していて第3速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤ、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第2速度段のドライブギヤに噛合していて第2速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第2速度段ドリブンギヤと、第4速度段ドライブギヤに噛合していて第4速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤと、
前記副軸上に固定的に取り付けられ前記副軸ドライブギヤに噛合する副軸ドリブンギヤと、
前記副軸上に回転自在に取り付けられ第1速度段ドリブンギヤに直接または間接に噛合していて後進段が選択されたときに第3同期装置により副軸に係合せしめられる後進段ドライブギヤと、
運転者により選択される停止待機用のPレンジ、後進段のRレンジ、中立のNレンジと、前進用に第1速度段と第4速度段の間で自動変速するDレンジ、第1速度段と第2速度段の間で自動変速する2レンジ、第1速度段に固定するLレンジを有するシフトセレクタとを具備し、
第1クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第2速度段、第4速度段、後進段で解放し、第1速度段、第3速度段で係合し、第2クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第1速度段、第3速度段で解放し、第2速度段、第4速度段、後進段で係合するようにするとともに、
Pレンジ、Nレンジが選択されている時、および、前進用の各レンジの第1速度段では、前記第1同期装置を第1ドリブンギヤを変速機出力軸に係合する位置に位置せしめ、前記第2同期装置を中間位置に位置せしめ、前記第3同期装置を非係合位置に位置せしめ、
Pレンジ、Nレンジあるいは前進用の各レンジの第1速度段から後進段が選択されたときに同期装置の移動は第3同期装置の後進段ドライブギヤを副軸に係合せしめるための移動のみされたツインクラッチ式自動変速機が提供される。
【0008】
この様に構成された、ツインクラッチ式自動変速機ではシフトセレクタのPレンジ、Nレンジにおいては、第1クラッチ、第2クラッチの両方が解放されていて、第1同期装置は第1速度段位置に位置せしめられ、第2同期装置は中間位置に位置せしめられていて、前進用の各レンジの第1速度段では第1クラッチが係合されていて、第2クラッチが解放されていて、第1同期装置は第1ドリブンギヤを変速機出力軸に係合する位置に位置せしめられ、第2同期装置は中間位置に位置せしめられている。そして、上記のような状態から、Rにシフトすると第2クラッチを係合し、第1クラッチを解放する状態にする他は、第3同期装置を後進ドライブギヤを副軸に係合する後進段位置に位置せしめるのみで後進段が達成される。
【0009】
請求項2の発明によれば、トルクコンバータを介してエンジンに連結されている変速機入力軸と、
第1クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第1クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸に同軸的に配設され、第2クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第2クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された副軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された変速機出力軸と、
前記第1クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第1速度段ドライブギヤと第3速度段ドライブギヤと、
前記第2クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第2速度段ドライブギヤと第4速度段ドライブギヤと副軸回転用の副軸ドライブギヤと、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第1速度段ドライブギヤに噛合していて第1速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第1速度段ドリブンギヤと、第3速度段ドライブギヤに噛合していて第3速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤ、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第2速度段のドライブギヤに噛合していて第2速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第2速度段ドリブンギヤと、第4速度段ドライブギヤに噛合していて第4速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤと、
前記副軸上に固定的に取り付けられ前記副軸ドライブギヤに噛合する副軸ドリブンギヤと、
前記副軸上に回転自在に取り付けられ第1速度段ドリブンギヤに直接または間接に噛合していて後進段が選択されたときに第3同期装置により副軸に係合せしめられる後進段ドライブギヤと、
運転者により選択される停止待機用のPレンジ、後進段のRレンジ、中立のNレンジと、前進用に第1速度段と第4速度段の間で自動変速するDレンジ、第1速度段と第2速度段の間で自動変速する2レンジ、第1速度段に固定するLレンジを有するシフトセレクタとを具備し、
第1クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第2速度段、第4速度段、後進段で解放し、第1速度段、第3速度段で係合し、第2クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第1速度段、第3速度段で解放し、第2速度段、第4速度段、後進段で係合するようにするとともに、
Pレンジ、Nレンジが選択されている時では、前記第1同期装置を第1ドリブンギヤを変速機出力軸に係合する位置に位置せしめ、前記第2同期装置を中間位置に位置せしめ、前記第3同期装置を非係合位置に位置せしめ、
前進用の各レンジの第1速度段では、前記第1同期装置を第1ドリブンギヤを変速機出力軸に係合する位置に位置せしめ、前記第2同期装置を車両の制動装置が作動せしめられているときは中間位置に位置せしめ、車両の制動装置が作動せしめられていないときは第2速度段位置に位置せしめ、前記第3同期装置を非係合位置に位置せしめ、
Pレンジ、Nレンジあるいは前進用の各レンジの第1速度段から後進段が選択されたときに同期装置の移動は第3同期装置の後進段ドライブギヤを副軸に係合せしめるための移動のみにした、
ことを特徴とするツインクラッチ式自動変速機、が提供される。
【0010】
この様に構成された、ツインクラッチ式自動変速機では前進用の各レンジの第1速度段において、車両の制動装置が作動せしめられているときは、第2同期装置制御手段が第2同期装置を中間位置に位置せしめられ、その後にRにシフトされると第2クラッチを係合し、第1クラッチを解放する状態にする他は、第3同期装置を後進ドライブギヤを副軸に係合する後進段位置に位置せしめるだけで後進段が達成されるが、車両の制動装置が作動せしめられていないときは、第2同期装置が第2速度段位置に位置せしめられていて、その後に第2速度段への変速が要求された時に第1クラッチを係合から解放にし、第2クラッチを解放から係合にするのみで変速がおこなわれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明が適用されたトルクコンバータ付きのツインクラッチ式4段自動変速機の全体の構造を模式的に示した図である。図1において、1はエンジンを、2はロックアップ機構付きのトルクコンバータを、3はツインクラッチ式自動変速機を表している。
図示されるように、エンジン1の出力軸10がトルクコンバータ2のフロントカバ−20に連結され、フロントカバ−20は流体流を介して連結されるポンプインペラ21とタービン22を介して、あるいは、ロックアップクラッチ23を介してトルクコンバータ出力軸24に連結され、トルクコンバータ24の出力軸はツインクラッチ式自動変速機3の入力軸30に一体回転可能に連結されている。なお、25はステータ、26はワンウェイクラッチである。
【0012】
入力軸30には、クラッチCを構成する第1クラッチC1の第1クラッチ入力ディスクC1i 、第2クラッチC2の第2クラッチ入力ディスクC2i が連結されている。
そして、第1クラッチC1の第1クラッチ出力ディスクC1o 、第2クラッチC2の第2クラッチ出力ディスクC2o に、それぞれ、第1クラッチ出力軸40、第2クラッチ出力軸50が、入力軸30の外側に同軸的に連結されている。
そして、副軸60と出力軸70がこれらの軸に平行に配設されている。
【0013】
第2クラッチ出力軸50には、クラッチCの側から、第2速ドライブギヤI2 、副軸ドライブギヤIS 、第4速ドライブギヤI4 が固定的に連結されている。一方、第1クラッチ出力軸40には、第4速ドライブギヤI4 に隣接するようにして第3速ドライブギヤI3 が、さらにそのトルクコンバータ2側に第1速ドライブギヤI1 が固定的に連結されている。
【0014】
出力軸70には、クラッチCの側から、第2速ドライブギヤI2 と常時噛合する第2速ドリブンギヤO2 、第4速ドライブギヤI4 と常時噛合する第4速ドリブンギヤO4 、第3速ドライブギヤI3 と常時噛合する第3速ドリブンギヤO3 、第1速ドライブギヤI1 と常時噛合する第1速ドリブンギヤO1 が、それぞれ、回転自在に取り付けられている。
【0015】
第1同期装置D1は出力軸70に固定的に連結された第1ハブH1と、その外周端部上に軸方向摺動自在に取り付けられた第1スリーブS1からなり、この第1スリーブS1を、第1シフトフォークY1を介して第1スリーブアクチュエータACT1によって移動し、第1速ドリブンギヤO1 に固定結合されている第1速クラッチギヤG1 、または、第3速ドリブンギヤO3 に固定結合されている第3速クラッチギヤG3 に係合させることによって第1速ドリブンギヤO1 および第3速ドリブンギヤO3 を選択的に出力軸70に連結させる。
【0016】
同様に、第2同期装置D2は出力軸70に固定的に連結された第2ハブH2と、その外周端部上に軸方向摺動自在に取り付けられた第2スリーブS2からなり、この第2スリーブS2を、第2シフトフォークY2を介して第2スリーブアクチュエータACT2によって移動し、第4速ドリブンギヤO4 に固定結合されている第4速クラッチギヤG4 、または、第2速ドリブンギヤO2 に固定結合されている第2速クラッチギヤG2 に係合させることによって第4速ドリブンギヤO4 および第2速ドリブンギヤO2 を選択的に出力軸70に連結させる。
【0017】
副軸60には、クラッチCの側から、副軸ドライブギヤIS と常時噛合する副軸ドリブンギヤOS 、第1速ドライブギヤI1 とアイドラギヤMR を介して常時噛合する後進ドライブギヤIR が配設されていて、この内、副軸ドリブンギヤOS は副軸60に固定的に連結され、常時副軸60と一体に回転するが、後進ドライブギヤIR は回転自在に取り付けられていて、両ギヤの中間に配設された第3同期装置D3により下記の様に選択的に副軸60に連結される。
【0018】
第3同期装置D3は副軸60に固定的に連結された第3ハブH3と、その外周端部上に軸方向摺動自在に取り付けられた第3スリーブS3からなり、この第3スリーブS3を第3シフトフォークY3を介して第3スリーブアクチュエータACT3によって移動し、後進ドライブギヤIR に固定結合されている後進クラッチギヤGR に係合させることによって、後進ドライブギヤIR を選択的に副軸60と一体に回転させる。
【0019】
第1クラッチC1と第2クラッチC2の係合、解放の制御は、それぞれ、第1クラッチ入力ディスクC1i 、第2クラッチ入力ディスクC2i に連結された第1クラッチ・クラッチプレート(図示しない)、第2クラッチ・クラッチプレート(図示しない)を、油圧によって駆動される第1クラッチピストン(図示しない)、第2クラッチピストン(図示しない)によって、第1クラッチ出力ディスクC1o 、第2クラッチ出力ディスクC2o に連結された第1クラッチ・クラッチプレート(図示しない)、第2クラッチ・クラッチプレート(図示しない)に摩擦係合せしめることによっておこなわれる。
そして、前記ピストンの駆動は、図1における油圧供給源OPから供給された作動油をピストン油室に給排制御することによりおこなわれ、第1クラッチ供給油圧制御弁VC1および第2クラッチ供給油圧制御弁VC2を電子制御ユニット(以下ECUという)100によって制御することによりおこなわれる。
【0020】
また、第1スリーブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3の移動は、前述したように、それぞれ、第1スリーブアクチュエータACT1、第2スリーブアクチュエータACT2、第3スリーブアクチュエータACT3によりおこなわれる。
各スリーブアクチュエータの構造の詳細な説明は省略するが、シフトフォークが連結されたピストンを所望の方向に移動せしめるものであって、油圧供給源P0から供給された作動油をピストンの両側に形成されているピストン油室に給排制御することによりおこなわれ、そのために、各ピストン油室への作動油の供給を制御する弁と、各ピストン油室からの作動油の排出を制御する弁とを有し、ECU100によってこれらの弁の開閉を制御する。
【0021】
また、ロックアップクラッチ23の係合、解放の制御は、公知のように、フロントカバ−20とロックアップクラッチ23の間からポンプ21とステータ25の間に向けて作動油を流すか、逆に、ポンプ21とステータ25の間からフロントカバ−20とロックアップクラッチ23の間へ向けて作動油を流すかによりおこなわれ、そのためのロックアップ油圧制御弁VLが設けられており、ロックアップ油圧制御弁VLもECU100により制御される。
【0022】
また図1において80で示されるのはシフトセレクタであって、運転者はシフトノブ81を動かすことによって所望のレンジを得る。82はO/D(オーバードライブ)スイッチであって、このO/Dスイッチ82がONにされている場合のみ第4速度段を得ることができる。そして、運転者が選んだレンジを示す信号、O/Dスイッチ82がONであるかOFFであるかを示す信号がECU100に送られる。
また図1において90で示されるのはブレーキセンサであって、ブレーキペダルが踏まれているか、踏まれていないかを示す信号をECU100に送られる。
【0023】
ECU100は、デジタルコンピュータからなり、相互に接続された入力インターフェイス回路101、ADC(アナログデジタル変換器)102、CPU(マイクロプロセッサ)103、RAM(ランダムアクセスメモリ)104、ROM(リードオンリメモリ)105、出力インターフェイス回路106を具備している。
CPU103には、車速を検出する車速センサ111、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ112、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ113、シフトセレクタ80、ブレーキセンサ90などからの出力信号が、入力インターフェイス回路101を介して、あるいはさらにADC102を介して入力される。
【0024】
CPU103は上記各種センサの値と、ROM105に記憶しておいたデータから後述する本発明の制御をおこなうために、前記各スリーブを移動せしめるスリーブアクチュエータを制御する信号を発生する他、ツインクラッチ式自動変速機のクラッチを制御する第1クラッチ供給油圧制御弁VC1および第2クラッチ供給油圧制御弁VC2を制御する信号、前記各スリーブを移動せしめるアクチュエータを制御する信号、前記ロックアップクラッチを制御するロックアップ油圧制御弁VLを制御する信号を発生し、出力インターフェイス回路106を介して、それぞれに送出する。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態における、(シフトセレクタの)各シフトポジション、および、各速度段における、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1スリーブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3の係合の状態を示したものである。○が付されたものはその速度段における動力の伝達のための係合であって、△はダウンシフトを早くおこなうための次変速に備えたプリセレクト(予備係合)による係合を、▽はアップシフトを早くおこなうためのプリセレクトによる係合を示している。
【0026】
Pレンジ、Nレンジでは、第1クラッチC1、第2クラッチC2ともに解放され、第1同期装置D1の第1スリーブS1は第1速クラッチギヤG1 側に位置せしめられ、第2同期装置D2の第2スリーブS2は中間位置(M)に位置せしめられ、第3同期装置D3のスリーブS3は中間位置に位置せしめられる。
【0027】
第1速度段では第1クラッチC1が係合され、第2クラッチC2は解放され、第1同期装置D1の第1スリーブS1は第1速クラッチギヤG1 側に位置せしめられ、そして、第2同期装置D2の第2スリーブS2はブレーキがONの場合には中立位置に位置せしめられ、ブレーキがOFFの場合には第2速クラッチギヤG2 側に位置せしめられる。また、第3同期装置D3のスリーブS3は中間位置に位置せしめられる。
【0028】
一方、後進段では、第1クラッチC1が解放され、第2クラッチC2が係合され、第1同期装置D1の第1スリーブS1は第1速クラッチギヤG1 側に位置せしめられ、第2同期装置D2の第2スリーブS2は中間位置に位置せしめられ、第3同期装置D3のスリーブS3は中間位置に位置せしめられる。
【0029】
したがって、Pレンジ、NレンジからRレンジにシフトされた場合、第3同期装置D3のスリーブS3を中間位置から後進クラッチギヤGR 側に位置せしめ、第2クラッチC2を係合させるだけで後進段が得られる。
また、第1速度段で、ブレーキがONの状態で、Rレンジにシフトされた場合、第3同期装置D3のスリーブS3を中間位置から後進クラッチギヤGR 側に位置せしめ、第2クラッチC2を解放し、第1クラッチC1を係合させるだけで後進段が得られる。
いずれの場合も、スリーブの移動は第3同期装置D3のスリーブS3を中間位置から後進クラッチギヤGR 側に移動することのみである。
【0030】
なお、後進段では第1クラッチC1が解放され、第2クラッチC2が係合され、第1同期装置D1の第1スリーブS1は第1速クラッチギヤG1 側に位置せしめられ、第2同期装置D2の第2スリーブS2は中立位置に位置せしめられ、第3同期装置D3のスリーブS3は中間位置に位置せしめられるので、第2クラッチ出力ディスクC2o に結合された第2クラッチ出力軸50が第2速ドライブギヤI2 、第4速ドライブギヤI4 、副軸ドライブギヤIS と共に回転し、副軸ドライブギヤIS に常時噛合している副軸ドリブンギヤOS を介して副軸60が回転し、第3スリーブS3が後進クラッチギヤGR 側に位置せしめられていることにより後進ドライブギヤIR が回転し、その結果、後進アイドラギヤMR を介して第1速ドリブンギヤO1 が回転し、次に、第1スリーブS1が第1速クラッチギヤG1 側に位置していることによって出力軸70が第1ハブH1、第2ハブH2と共に回転し、動力が伝達される。
【0031】
一方、第1速度段で、ブレーキがOFFの状態では、第2同期装置D2の第2スリーブS2は第2速クラッチギヤG2 の側に位置せしめられているので、第2速度段が要求された時に、スリーブの移動をすることなく、第1クラッチC1を解放し、第2クラッチC2を係合するだけで素早く達成することができる。
【0032】
図3は上記の制御をおこなうルーチンのフローチャートである。ステップ1でシフトポジションがRにされ後進段が要求されていると判定されたときは、ステップ17、18で図2で後進段用に示されるように第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1スリーブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3を作動させて終了する。
後進段が要求されてないと判定されたときはステップ2に進んでP,Nレンジにされているかどうかを判定し、肯定判定されたときは、ステップ3、4で図2でP,Nレンジ用に示されるように各クラッチ、スリーブを作動させて終了する。否定判定されたときは前進用のレンジにあるので、ステップ5に進んで第1速度段かどうかを判定し、肯定判定されたときは、ステップ6に進んで、まず、各クラッチを図2で第1速度段用に示されるようにして、ステップ7に進み、ブレーキペダルがON(踏み込まれて制動中である)かどうかを判定する。ステップ7で肯定判定された場合は、ステップ8で各スリーブを図2で第1速度段用に示されるように作動させて終了する。
【0033】
ステップ5で否定判定された場合は、ステップ9に進んで第2速度段かどうか判定し肯定判定された場合は、ステップ10、11で各クラッチ、スリーブを図2で第2速度段用に示されるよう作動させて終了する。
ステップ9で否定判定された場合は、ステップ12に進んで第3速度段かどうか判定し肯定判定された場合は、ステップ13、14で各クラッチ、スリーブを図2で第3速度段用に示されるよう作動させて終了する。
ステップ12で否定判定された場合はステップ15、16で各クラッチ、スリーブを図2で第4速度段用に示されるよう作動させて終了する。
なお、前進用レンジにおける各速度段の要求の判定は車速と負荷をもとにROM105に記憶されているシフトマップ(図示しない)を用いておこなわれる。
【0034】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば後進段を選択された時に、作動させねばならない同期装置は1つだけであるので、後進段を素早く達成することができ、同期装置を作動させる油圧が低下することもないので制御性も確保される。そして、第2同期装置が中間位置に位置されることによって第2速ドリブンギヤ、または、第4速ドリブンギヤが回転されることがなくなり、これらのギヤがオイルを攪拌することにより生ずる抵抗が軽減される。
また、PレンジからDレンジへシフトした場合に第1クラッチの係合のみで発進可能であり、Rレンジ(後進段)からDレンジへシフトされた場合に後進段用の第3同期装置の開放と第2クラッチから第1クラッチへのつかみ換え(第1クラッチ解放/第2クラッチ係合から第1クラッチ係合/第2クラッチ解放への変更)だけで第1速度段が達成できる。
また、第1速度段から第2速度段への変速も第2同期装置を中間位置から第2速度段用の位置(第2ドリブンギヤを係合する位置)に位置せしめ、第1クラッチから第2クラッチへのつかみ換え(第1クラッチ係合/第2クラッチ解放から第1クラッチ解放/第2クラッチ係合)だけで達成することができる。
特に、請求項2によれば、第1速度段において、後進段が選択される可能性がある場合以外は第2同期装置は第2速度段位置にプリセレクトされるのでシフトアップが要求された場合に第2速度段へ素早く移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変速制御装置を備えたツインクラッチ式変速機の全体の構成を示す図である。
【図2】図1のツインクラッチ式変速機における各シフトポジション、各速度段における第1クラッチC1、第2クラッチC2の係合、および第1スリーブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3の位置の組合せを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン
2…トルクコンバータ
3…ツインクラッチ式自動変速機
10…エンジン出力軸
30…(変速機)入力軸
40…第1クラッチ出力軸
50…第2クラッチ出力軸
60…副軸
70…(変速機)出力軸
80…シフトセレクタ
90…ブレーキセンサ
100…電子制御ユニット
C1…第1クラッチ
C2…第2クラッチ
C1i ,C2i …第1,第2クラッチ入力ディスク
C1o ,C2o …第1,第2クラッチ出力ディスク
I1 ,I2 ,I3 ,I4 ,IR …第1,2,3,4速,後進ドライブギヤ
O1 ,O2 ,O3 ,O4 ,OR …第1,2,3,4速,後進ドリブンギヤ
Is …副軸ドライブギヤ
Os …副軸ドリブンギヤ
MR …後進アイドラギヤ
G1 ,G2 ,G3 ,G4 ,GR …第1,2,3,4速,後進クラッチギヤ
D1,D2,D3…第1,2,3同期装置
H1,H2,H3…第1,2,3ハブ
Y1,Y2,Y3…第1,2,3シフトフォーク
S1,S2,S3…第1,2,3スリーブ
ACT1,ACT2,ACT3…第1,2,3スリーブアクチュエータ
VC1,VC2…第1,2クラッチ供給油圧制御弁
VL…ロックアップクラッチ供給油圧制御弁
Claims (2)
- トルクコンバータを介してエンジンに連結されている変速機入力軸と、
第1クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第1クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸に同軸的に配設され、第2クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第2クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された副軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された変速機出力軸と、
前記第1クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第1速度段ドライブギヤと第3速度段ドライブギヤと、
前記第2クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第2速度段ドライブギヤと第4速度段ドライブギヤと副軸回転用の副軸ドライブギヤと、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第1速度段ドライブギヤに噛合していて第1速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第1速度段ドリブンギヤと、第3速度段ドライブギヤに噛合していて第3速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤ、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第2速度段のドライブギヤに噛合していて第2速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第2速度段ドリブンギヤと、第4速度段ドライブギヤに噛合していて第4速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤと、
前記副軸上に固定的に取り付けられ前記副軸ドライブギヤに噛合する副軸ドリブンギヤと、
前記副軸上に回転自在に取り付けられ第1速度段ドリブンギヤに直接または間接に噛合していて後進段が選択されたときに第3同期装置により副軸に係合せしめられる後進段ドライブギヤと、
運転者により選択される停止待機用のPレンジ、後進段のRレンジ、中立のNレンジと、前進用に第1速度段と第4速度段の間で自動変速するDレンジ、第1速度段と第2速度段の間で自動変速する2レンジ、第1速度段に固定するLレンジを有するシフトセレクタとを具備し、
第1クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第2速度段、第4速度段、後進段で解放し、第1速度段、第3速度段で係合し、第2クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第1速度段、第3速度段で解放し、第2速度段、第4速度段、後進段で係合するようにするとともに、
Pレンジ、Nレンジが選択されている時、および、前進用の各レンジの第1速度段では、前記第1同期装置を第1ドリブンギヤを変速機出力軸に係合する位置に位置せしめ、前記第2同期装置を中間位置に位置せしめ、前記第3同期装置を非係合位置に位置せしめ、Pレンジ、Nレンジあるいは前進用の各レンジの第1速度段から後進段が選択されたときに同期装置の移動は第3同期装置の後進段ドライブギヤを副軸に係合せしめるための移動のみにしたことを特徴とするツインクラッチ式自動変速機。 - トルクコンバータを介してエンジンに連結されている変速機入力軸と、
第1クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第1クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸に同軸的に配設され、第2クラッチを介して変速機入力軸と選択的に係合される第2クラッチ出力軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された副軸と、
第1クラッチ出力軸および第2クラッチ出力軸に平行に配置された変速機出力軸と、
前記第1クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第1速度段ドライブギヤと第3速度段ドライブギヤと、
前記第2クラッチ出力軸上に固定的に取り付けられた第2速度段ドライブギヤと第4速度段ドライブギヤと副軸回転用の副軸ドライブギヤと、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第1速度段ドライブギヤに噛合していて第1速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第1速度段ドリブンギヤと、第3速度段ドライブギヤに噛合していて第3速度段が選択されたときに第1同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤ、
前記変速機出力軸上に回転自在に配設され、第2速度段のドライブギヤに噛合していて第2速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第2速度段ドリブンギヤと、第4速度段ドライブギヤに噛合していて第4速度段が選択されたときに第2同期装置により変速機出力軸と係合せしめられる第3速度段ドリブンギヤと、
前記副軸上に固定的に取り付けられ前記副軸ドライブギヤに噛合する副軸ドリブンギヤと、
前記副軸上に回転自在に取り付けられ第1速度段ドリブンギヤに直接または間接に噛合していて後進段が選択されたときに第3同期装置により副軸に係合せしめられる後進段ドライブギヤと、
運転者により選択される停止待機用のPレンジ、後進段のRレンジ、中立のNレンジと、前進用に第1速度段と第4速度段の間で自動変速するDレンジ、第1速度段と第2速度段の間で自動変速する2レンジ、第1速度段に固定するLレンジを有するシフトセレクタとを具備し、
第1クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第2速度段、第4速度段、後進段で解放し、第1速度段、第3速度段で係合し、第2クラッチをPレンジ、Nレンジ、および、第1速度段、第3速度段で解放し、第2速度段、第4速度段、後進段で係合するようにするとともに、
Pレンジ、Nレンジが選択されている時では、前記第1同期装置を第1ドリブンギヤを変速機出力軸に係合する位置に位置せしめ、前記第2同期装置を中間位置に位置せしめ、前記第3同期装置を非係合位置に位置せしめ、
前進用の各レンジの第1速度段では、前記第1同期装置を第1ドリブンギヤを変速機出力軸に係合する位置に位置せしめ、記第2同期装置を車両の制動装置が作動せしめられているときは中間位置に位置せしめ、車両の制動装置が作動せしめられていないときは第2速度段位置に位置せしめ、前記第3同期装置を非係合位置に位置せしめ、
Pレンジ、Nレンジあるいは前進用の各レンジの第1速度段から後進段が選択されたときに同期装置の移動は第3同期装置の後進段ドライブギヤを副軸に係合せしめるための移動のみにした、
ことを特徴とするツインクラッチ式自動変速機。
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