JP3627366B2 - 鋼板の熱間圧延機および熱間圧延方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄鋼板の熱間圧延機および連続熱間圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱延鋼板は、所定温度に加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚さに圧延して粗バーとなし、次いで粗バーを、複数基の圧延スタンドからなる連続熱間圧延機において、所定厚さの熱延鋼板に仕上圧延することにより製造される。
【0003】
このような連続熱間圧延機における鋼板の圧延操業において、圧延すべき材料が圧延機に噛み込まれるとき、または、材料が圧延機から抜け出るときに、材料がその幅方向に折れ曲がって圧延機に噛み込まなくなったり、材料が破断してロールを傷つけるような、いわゆる通板不安定性が問題になっている。
【0004】
上述した問題を防止するために、従来は、前回の圧延時における圧延機間の材料の走行状態を観察し、ロールギャップの板幅方向の差を変化させて圧延の安定化を図っていた。
【0005】
しかしながら、このような方法は、圧延機運転者の経験と勘に頼るものであって、その結果が必ずしも適確であるとはいえないことから、その改善について従来から種々研究がなされており、例えば、特開昭61−219411号公報には、鋼板の幅方向の偏りおよび圧延荷重の幅方向の差に着目し、圧延荷重の差に応じたロールギャップの幅方向差を与えることによって、通板不安定性を回避する方法(以下、先行技術1という)が開示されている。
【0006】
また、特開昭61−143016号公報には、材料の圧延スタンド間での幅方向の位置を計測し、ロールギャップの幅方向差を操作する方法(以下、先行技術2という)が開示されている。
【0007】
更に、特開平4−210808号公報には、ワークロール軸受箱と圧延機ハウジングメタルとの間のクリアランスをある値以下に管理するように、ロール軸受箱の変位を計測し、変位が設定値を超えたときにライナーメタルを交換する方法(以下、先行技術3という)が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
連続熱間圧延機による鋼板の熱間圧延は、1500m/分以上の高速度で行われるので、上述した通板不安定性の問題は、約5.5m間隔の圧延スタンド間を約0.2秒で走行する、極めて短時間において生ずるものであることから、先行技術1および2によっては、所望の効果をあげることができない。
【0009】
更に、圧延荷重差を発生させる要因は、圧延される材料の幅方向の偏りだけではなく、板厚の幅方向分布や材料温度の幅方向の偏り、圧延機自体の弾性変形特性の差異なども考えられ、これらの要因を適切に分類する必要性があることからも、先行技術1および2によっては、解決することが困難である。
【0010】
先行技術3によれば、軸受け箱の変位の拘束によって、圧延の安定性が得られるが、板厚制御のためのロールギャップの変更やロール組替え時の作業性などから、ある程度のクリアランスは必要であり、更に、どのような状況でロール軸受けが移動するかが明確ではなく、無駄な補修工事となる可能性がある。
【0011】
従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、鋼板の連続熱間圧延操業において、圧延すべき材料が圧延機に噛み込まれるとき、または、材料が圧延機から抜け出るときに、材料がその幅方向に折れ曲がって圧延機に噛み込まなくなったり、材料が破断してロールを傷つけるような、いわゆる通板不安定性の発生を適確に防止し、鋼板を良好な状態で安定して圧延することができ、品質の優れた薄鋼板を歩留り高く製造し得る熱間圧延機および連続熱間圧延方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した観点から、連続熱間仕上圧延機における鋼板の連続熱間圧延において、通板不安定性の発生を適確に防止し得る方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、圧延機のワークロールを、圧延前後または圧延中にロールの軸方向および圧延方向に動かないように安定して位置させれば、上述した通板不安定性が飛躍的に改善されることがわかった。
【0013】
図2に示すように、通常、ワークロール1は、バックアップロール2に対してその相対的位置を圧延方向にずらす、いわゆるオフセットaを与えて配置されている。オフセット量は、軸受けの強度にもよるが通常5mm以上であり、このようなオフセットaを与えて配置することにより、ワークロール1は、バックアップロール2の接触力によりオフセットaを与えられた方向に押し付けられて安定すると考えられている。
【0014】
しかしながら、実際の圧延中、特に材料が圧延機に噛み込むときまたは抜け出るときに、ワークロール1に移動の生ずることが観察されている。このようなワークロールの動きは、通常の力関係では考えられない挙動であるために、従来はその原因が明らかにされていなかった。
【0015】
そこで、本発明者等は、上記原因を解明すべく、実操業上の詳細な観点から研究を進めた結果、ワークロールの移動現象は、次のようにして生ずることがわかった。
【0016】
即ち、上下のワークロールには、微小な直径差の存在することが避けられず、材料が圧延機から抜け出た後、上下のワークロールが接触することによって、上下のワークロールに、その直径差に応じたそれぞれ逆方向のトルクが発生する。その結果、上下何れか一方のワークロールが、圧延中に押し付けられていた方向とは逆方向に移動する現象が生ずる。
【0017】
上述した現象は、圧延機が弾性体であることから、圧延中に生ずる大きな圧延荷重により弾性変形が生じてロールギャップが拡がり、圧延の終了と同時に弾性変形が元に戻りロールギャップが小さくなることによって発生するものであり、圧延材の仕上がり板厚が薄く、またロールギャップの設定値が小さい場合に発生しやすい。
【0018】
上述したトルクによるワークロールの押し付け力は、バックアップロールとの間のオフセットによって生じる押し付け力の数倍にもなることが確認されており、トルクによるワークロールの押し付け力が、オフセットによる押し付け方向と逆向きに働くと、軸受箱は容易に移動してしまう。
【0019】
一方、熱間仕上圧延機による圧延において、圧延された鋼板の先端部および後端部は矩形状に保たれず、舌状や魚の尾状の形状になることが知られている。また圧延材は、その幅方向に様々な非対称性を有しているので、圧延機に噛み込みまたは圧延機から抜け出るときに、その幅方向に同時に圧延が開始されまたは圧延が終了するものではない。
【0020】
即ち、圧延材の噛み込み時には、上下のワークロール同士が接触状態から、ロールの胴長方向全体に同時に非接触状態になるとは限らず、部分的に先にオセット方向に動く場合が生ずる。同様に、圧延材が抜け出るときには、上下ワークロール同士がその胴長方向全体に同時には接触せず、部分的に先にオフセットと逆方向に動く場合が生ずる。
【0021】
図3に示すように、下側ワークロール1aが上側ワークロール1bよりも大径であり、このようなワークロール1a,1bのオフセットを、矢印に示す圧延方向出側に設定した場合には、上下のワークロール1a,1bは、定常圧延中は、圧延方向出側に押し付けられている。
【0022】
しかしながら、ワークロール1a,1bのロールギャップの設定が小さい場合、圧延を行っていない状態においては圧延荷重がないためにワークロール1a,1bは接触し、下側の大径のワークロール1aは、上側の小径のワークロール1bから受ける摩擦力即ちトルクによって、矢印Aに示すように圧延方向入側に押し付けられるように移動し、上側ワークロール1bは、下側ワークロール1aから受ける摩擦力即ちトルクによって、矢印Bに示すように圧延方向出側に押し付けられるように移動する。
【0023】
このようにワークロール1a,1bが移動すると、バックアップロール2a,2bとワークロール1a,1bとがオフセットを有して接触している場合に、ワークロール1a,1bがバックアップロール2a,2bの周方向に移動し、ロールギャップも変化する。
【0024】
即ち、ワークロールの圧延方向の移動量が板幅方向で異なると、ロールギャップの変化も板幅方向で異なることになり、その結果、板幅方向で圧下率が異なるようになるため、鋼板はその幅方向に曲がり、前述したような通板の不安定性が発生すると考えられる。
【0025】
この発明は、上述した知見に基づいてなされたものであって、上下1対のワークロールとバックアップロールとからなり、前記上下1対のワークロールの一方は、前記バックアップロールに対し圧延方向入側に向けてその位置を相対的にずらしたオフセットを与えて配置されており、そして、前記ワークロールの他方は、前記バックアップロールに対し圧延方向出側に向けてその位置を相対的にずらしたオフセットを与えて配置されている、鋼板の熱間圧延機において、前記バックアップロールに対し圧延方向入側に向けたオフセットを与えて配置されている前記一方のワークロールの直径が、圧延方向出側に向けたオフセットを与えて配置されている前記他方のワークロールの直径よりも大であることに特徴を有するものである。
【0026】
バックアップロールに対し圧延方向入側に向けたオフセットを与えて配置されている前記一方のワークロールの直径は、圧延方向出側に向けたオフセットを与えて配置されている前記他方のワークロールの直径よりも、0.1〜1mmの範囲内で大であることが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
ワークロールの移動は基本的に前述したメカニズムで生ずることから、ワークロールのオフセットが圧延方向出側に設定されている場合には、小径のワークロールは常に圧延方向出側に押し付けられているので、特に対策をとらなくても、ワークロールに殆ど動きは生じない。
【0028】
これに対して、大径側のワークロールにおいては、圧延中は、圧延方向出側に押し付けられ、材料が圧延機から抜け出て、上下のワークロールが接触すると、圧延方向入側に押し付けられるように移動する。
【0029】
そこで、この発明においては、上述したようなワークロールの変動をなくすために、大径側のワークロールを、圧延中においても、圧延方向入側に押し付けられている状態となるように、バックアップロールに対し圧延方向入側に向けてその位置をずらしたオフセットを与えて配置した。
【0030】
図1は、この発明におけるワークロールの配置の一例を示す概略側面図である。図1に示すように、下側ワークロール1aの直径は、上側ロール1bの直径よりも大である。このような大径の下側ワークロール1aは、下側バックアップロール2aに対し、圧延方向入側に向けてその位置をずらしたオフセットaを与えて配置されている。そして、小径の上側ワークロール1bは、上側バックアップロール2bに対し、圧延方向出側に向けてその位置をずらしたオフセットbを与えて配置されている。
【0031】
その結果、大径の下側ワークロール1aは、圧延中においても、圧延方向入側に押し付けられている状態になるので、材料が圧延機から抜け出て、上下のワークロール1a,1bが接触した状態になっても、ワークロール1a,1bが、圧延方向入側に移動するようなことは生じない。
【0032】
上下のワークロール1a,1bの直径の差は、ロールの熱膨張の差などを考慮して、0.1mm以上とする。トルクの面では、ロール直径の差が大きくても問題はないと考えられるが、ロール直径差が1mmを超えて大きくなると、接触の際の滑りが大になって、ロール表面が傷付くおそれが生ずる。従って、ワークロール1a,1bの直径の差は0.1〜1mmの範囲内とすべきである。ワークロール1a,1bの好ましい直径差は、0.5mm程度である。
【0033】
この発明によれば、実測し管理できるロールチョックとハウジングとの間のクリアランス以外のベアリングにガタがある場合においても、効果が発揮される。従来のロールチョックとハウジングの間のクリアランスを管理する方法や、チョックを拘束する方法のみでは、ベアリングのガタがあるために、ワークロールが接触したときに、大径側のワークロールは、必ずクリアランスとガタとを合わせた分だけ、入側に移動することになり、ワークロールを安定化することができない。
【0034】
本発明においては、ワークロールにかかる水平方向の力は、圧延中であると非圧延中であるとを問わず、各チョック毎に一定方向で変化せず、従って、ワークロールを、上下ともに水平方向に安定した位置に保持することができる。
【0035】
例えば、図1に示すように、下側ワークロール1aの直径を、上側ロール1bの直径よりも0.5mm大となし、このような大径の下側ワークロール1aの、下側バックアップロール2aに対する、圧延方向入側に向けたオフセットaを6mmとし、そして、小径の上側ワークロール1bの、上側バックアップロール2bに対する、圧延方向出側に向けたオフセットbを同じく6mmとして鋼板を熱間圧延した結果、通板不安定によるワークロールの組み替え頻度は、従来の場合に比べ約1/4に減少し、仕上圧延機内におけるワークロールの水平方向の動きに起因する通板不安定性を解消して、圧延の安定性を飛躍的に高めることができた。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、鋼板の連続熱間圧延操業において、圧延すべき材料が圧延機に噛み込まれるとき、または、材料が圧延機から抜け出るときに、材料がその幅方向に折れ曲がって圧延機に噛み込まなくなったり、材料が破断してロールを傷つけるような、いわゆる通板不安定性の発生を適確に防止し、鋼板を良好な状態で安定して圧延することができ、品質の優れた薄鋼板を歩留り高く製造し得る工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明におけるワークロール部分を示す概略側面図である。
【図2】ワークロールのオフセットを示す概略側面図である。
【図3】上下ワークロールが接触したときの上下ワークロールが受ける水平力を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 ワークロール
1a 下側ワークロール
1b 上側ワークロール
2 バックアップロール
2a 下側バックアップロール
2b 上側バックアップロール
Claims (3)
- 上下1対のワークロールとバックアップロールとからなり、前記上下1対のワークロールの一方は、前記バックアップロールに対し圧延方向入側に向けてその位置を相対的にずらしたオフセットを与えて配置されており、そして、前記ワークロールの他方は、前記バックアップロールに対し圧延方向出側に向けてその位置を相対的にずらしたオフセットを与えて配置されている、鋼板の熱間圧延機において、
前記バックアップロールに対し圧延方向入側に向けたオフセットを与えて配置されている前記一方のワークロールの直径が、圧延方向出側に向けたオフセットを与えて配置されている前記他方のワークロールの直径よりも大であることを特徴とする、鋼板の熱間圧延機。 - 前記一方のワークロールの直径が、前記他方のワークロールの直径よりも、0.1〜1mmの範囲内で大であることを特徴とする、請求項1記載の、鋼板の熱間圧延機。
- 複数基の圧延スタンドからなる連続熱間圧延機によって材料を鋼板に連続的に熱間圧延する鋼板の熱間圧延方法において、前記圧延機の上下1対のワークロールの一方を、バックアップロールに対し圧延方向入側に向けてその位置を相対的にずらしたオフセットを与えて配置し、そして、前記ワークロールの他方を、前記バックアップロールに対し圧延方向出側に向けてその位置を相対的にずらしたオフセットを与えて配置し、且つ、前記圧延方向入側に向けオフセットを与えて配置した一方のワークロールの直径を、前記圧延方向出側に向けオフセットを与えて配置した他方のワークロールの直径よりも大となし、これによって、圧延時におけるワークロールの水平方向の安定性を確保せしめ、鋼板を安定して連続圧延するようにしたことを特徴とする、鋼板の熱間圧延方法。
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Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
| JP10981196A JP3627366B2 (ja) | 1996-04-30 | 1996-04-30 | 鋼板の熱間圧延機および熱間圧延方法 |
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| JPH09295007A JPH09295007A (ja) | 1997-11-18 |
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| JP10981196A Expired - Fee Related JP3627366B2 (ja) | 1996-04-30 | 1996-04-30 | 鋼板の熱間圧延機および熱間圧延方法 |
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|---|---|---|---|---|
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1996
- 1996-04-30 JP JP10981196A patent/JP3627366B2/ja not_active Expired - Fee Related
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