JP3628038B2 - 発泡石英ガラス構造体及びその製造方法 - Google Patents

発泡石英ガラス構造体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上利用の分野】
本発明は、発泡石英ガラス構造体及びその製造方法に関し、特に多層構造を有し、軽量、高純度で、断熱性能に優れた発泡石英ガラス構造体及びそれを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、発泡石英ガラスとして、主にカサ密度0.2〜0.4g/cm、空隙率80〜90容量%の構造体が知られている。これらの構造体は、200〜800μmの泡径を有する独立気泡を含有した単一構造の発泡体であり、どの部分の空隙率もほぼ同じである。また、その製造方法として、シリカ微粒子堆積体にアンモニアガスを高温接触させて、ガラス化し、さらに高温で発泡させる方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の単一構造の発泡体は、表面が脆く、剥離しやすいため、機械的強度が劣り、ダストの発生原因となりやすい。また、伝導伝熱を抑えることができるが、放射伝熱を抑え切れない場合があり、すべての場合に断熱性が優れるとは言えないなど各種の問題点を抱えていた。
【0004】
発泡石英ガラス構造体が空隙率の高い発泡体である単一構造体の場合、表面に大きい気泡が数多く存在し、欠けや剥離が起こりやすく、また全体の機械強度も低下する。さらに、このような構造体は、断熱体として、伝導伝熱を低下させるが、1000℃程度の高温では、放射伝熱の影響を強く受け易く、トータルの伝熱は必ずしも、相対的に空隙率の低い発泡体に比べて低下しない。一方、発泡石英ガラス構造体が空隙率の低い発泡体である場合、比較的小さい気泡で構成され、機械強度が高く、表面剥離なども起こりにくいが、比重が高く、昇降温に時間がかかるため、保温を目的とする断熱には不適当である。
【0005】
これらの問題を解決するために、発泡体の表面を火炎などで溶融し、緻密層を設けることが行われているが、その層は厚みlmm以下であり、多層構造体とは言い難いものであり、その効果も充分ではなかった。
【0006】
また、従来のアンモニアガスを用いる製造方法では、微粒子堆積体中に部分的に異なる量のアンモニアを含ませることが難かしく、発泡度合いの違う多層構造体の製造は非常に困難であった。
【0007】
したがって本発明の目的は、多層構造を有し、純度、軽量性及び断熱性能に優れた発泡石英ガラス構造体及びそれを製造する方法を提供することである。
【0008】
上記課題を解決するために鋭意研究の結果、本発明者らは、発泡石英ガラスを空隙率の異なる層から構成された多層構造体とし、特に、中心内部を空隙率の高い層とし、表面部を最も空隙率が低くなる層で構成することにより、純度、軽量性及び断熱性能に優れる発泡石英ガラス構造体得られることを発見し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、独立気泡を含有する本発明の発泡石英ガラス構造体は、発泡状態が異なるために空隙率に差がある少なくとも2つ以上のから構成され、前記2つのの隣接面がガラス状態で完全に連続しており、かつ前記構造体の表面部が空隙率の最も低い層であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の発泡石英ガラス構造体の製造方法は、0.1〜2重量%の窒化ケイ素を含有し、かつ互いに窒化ケイ素含有量が異なる少なくとも2種類以上のシリカ粉末を、外側に窒化ケイ素含有量の少ない粉末、内部に窒化ケイ素含有量の多い粉末となるように、シリカと反応しにくい材質からなる容器に充填し、無酸素雰囲気中、1700℃〜1850℃の温度で加熱し、発泡させることを特徴とする。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔1〕発泡石英ガラス構造体
本発明の発泡石英ガラス構造体は、発泡状態が異なった、言い換えれば空隙率が異なった少なくとも2つ以上の部分から構成され、かつ各部分の隣接面がガラス状態で完全に連続した多層構造体である。「空隙率が異なった少なくとも2つ以上の部分から構成された多層構造体」とは、空隙率が異なる2層以上の層から構成されたものから、空隙率の分布が見掛上連続的な勾配をもっているように見える10層以上の層から構成されたものまでのものを意味する。「隣接面がガラス状態で完全に連続した」とは、多孔体を構成するシリカガラスの骨格構造は空隙率の異なる境界領域で切れ目なく連続しており、構造体として完全に一体化していることを意味し、空隙率の異なる2種類の発泡体を機械的にはめ合わせた構造のものは該当しない。
【0012】
本発明の多層構造体の表面部は最も空隙率の低い層である表面部を最も空隙率の低い層で構成することにより、機械強度向上させ、表面欠損防止できる。また、内部に空隙率の高い層で構成することにより、放射伝熱の低減によるトータルの断熱効果の上昇、軽量性の維持、保温性能の確保などを達成することができる。これらの効果を有意なものとするためには、表面部の空隙率と中心部の空隙率との差は、2%以上とし、好ましくは3%以上、より好ましくは4〜10%とする。
【0013】
〔2〕製造方法
本発明の発泡石英ガラス構造体を製造する方法は、窒化ケイ素含有量の異なるシリカ粉末を所望の層状構造体となるように充填し、加熱することにより、空隙率の差を実現する。
【0014】
(1)出発原料
本発明で使用する原料は、0.1〜2重量%の窒化ケイ素を含有するシリカ粉末の中から選ばれた、窒化ケイ素含有量の異なる2種類以上の粉末である。これらの原料は、例えば市販窒化ケイ素粉末と合成シリカ粉末を所定量混合して用いることができる。
【0015】
(a) シリカ粉末
シリカ粉末は、高純度であればいかなるものでもよいが、例えば、四塩化ケイ素やシリコンのアルコキシドや他のシリコン化合物などから得ることができる。また、窒化ケイ素との分散性を良好にするために、シリカ粉末はボールミル粉砕等の工程により、0.01〜200 μm程度、特に0.01〜100 μm程度の平均粒径に微粉化できるものが好ましい。
【0016】
(b) 窒化ケイ素粉末
窒化ケイ素粉末としては、四塩化ケイ素、シリコン、シリカ等を原料とし、それらを窒化することにより得られる高純度のものを使用するのが好ましい。また、窒化ケイ素粉末の粒径は発泡時の気泡径に影響するため、窒化ケイ素粉末はボールミル粉砕等の工程により、0.1 〜1μm程度、特に0.1 〜0.5 μm程度の平均粒径に微粉化できるものが好ましい。
【0017】
(2)混合
上記の窒化ケイ素粉末とシリカ粉末を所定量、ボールミルなどの混合機で混合する。シリカ粉末と窒化ケイ素粉末との混合粉末中の窒化ケイ素の分散性は、発泡時の気泡径及びその分布に影響を及ぼすため、乳鉢やボールミル等を用いて、窒化ケイ素粉末の凝集がないように混合する必要がある。混合は乾式法によってもよいし、水やアルコール等の分散媒を用いる湿式法によってもよいが、凝集の防止、分散性の向上及び粒径の均一化のために粉砕工程を別途設けるか、混合と粉砕を同時に行うのが好ましい。
【0018】
(3)型への充填
粉末の充填は、シリカと反応しにくい材質からなる容器に所望の多層構造体となるように、含有量の異なる種類のものを順次入れていくことで行われる。このとき、構造体の表面部に当たる部分に空隙率のもっとも小さい原料、つまり窒化ケイ素含有量の少ない原料を充填する。容器の材質としてはカーボン、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素等から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。さらに容器の内面と原料粉末とのすべりをよくするためにカーボンフェルト等を用いるのが好ましい。容器に充填した混合粉末の密度は、0.2 〜1.0 g/cm3 程度が好ましく、均一に発泡させるために充填密度が均一になるように充填するのが好ましい。その際、粉末をあらかじめラバープレスなどの成型機で所望の形状にしても勿論構わない。
【0019】
(4)発泡
発泡処理は、1700〜1850℃の温度で、無酸素雰囲気中で行う。1700℃以下では、窒化ケイ素のシリカへの固溶が起こらず発泡が不十分となる。また、1850℃以上では、シリカの蒸発が激しくなり適切ではない。また1000℃以下までは窒化ケイ素含有シリカ粉末に含まれる水分を除去する目的で、真空状態にするのが好ましい。加熱雰囲気としては、窒化ケイ素の酸化を防ぐために、無酸素雰囲気が好ましい。このような無酸素雰囲気として、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、あるいはそれらの混合ガスを使用することができるが、真空状態でもよい。加熱時間は、石英ガラスを十分に発泡させることができれば特に制限されないが、一般的には、0.5 〜2時間程度とするのが好ましい。
【0020】
窒化ケイ素の分解ガスをガラス中に閉じ込めるためには、シリカ粉末が結合する(ガラス化する)温度以上で窒化ケイ素を分解する必要がある。窒化ケイ素の分解温度は圧力によって変化するため、型内の混合粉末に対して10kgf/cm以下の圧力を加えるのが好ましく、特に1〜6kgf/cmの圧力を加えるのが好ましい。このように加圧するには、おもり等を混合粉末の上に載置してもよいし、雰囲気の圧力を調節してもよい。
【0021】
(5)発泡体
本発明の発泡石英ガラス構造体は、0.2〜0.6g/cm、特に0.3〜0.4g/cmのカサ密度、70〜95%、特に80〜85%の空隙率、100〜5000μm、特に600〜2000μmの気泡径を有する。
【0022】
【作用】
本発明において、空隙率の異なる層から発泡石英ガラスを構成し、かつ中心内部を空隙率の高い層、表面部を最も空隙率が低くなる層で構成することにより、表面に高い機械的強度を有するとともに、純度、軽量性及び断熱性能にも優れた発泡石英ガラス構造体を得ることができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
本発明の製造方法で、所望の多層構造体を得るためには、窒化ケイ素含有量の異なる各粉末から得られる発泡体の空隙率をあらかじめ知る必要がある。以下の参考例1〜4の予備実験により窒化ケイ素含有量と発泡体の空隙率との関係を求め、その後の実施例における粉末充填量、充填密度の設定根拠とする。
【0025】
参考例1〜4
市販の窒化ケイ素粉末とシリカ粉末をボールミルで乾式混合して出発原料とした。窒化ケイ素粉末の含有量がそれぞれ0.3重量%(参考例1)、0.5重量%(参考例2)、1.0重量%(参考例3)、1.5重量%(参考例4)になるようにした(表1)。この出発原料を内径85mm、高さ200mmのカーボン製容器の中に入れ、電気炉で真空中、300℃/hrの昇温速度で1000℃に昇温し、1時間保持した後、炉内に窒素ガスを導入し、300℃/hrの昇温速度で1800℃に昇温し、2時間保持した後、放冷するという手順で発泡処理を行った。
【0026】
このようにして得られたガラスは発泡しているとともに、X線分析によってガラス状態であることが確認できた。その発泡石英ガラスのカサ密度と、カサ密度を用いて計算した空隙率および断熱性を評価した値を表1に示す。なお、断熱性の評価テストは図1に示す装置を用い、作成したガラス試料を900℃の電気炉に接して置き、電気炉と接した試料表面から9cm試料内部に入った部位に熱電対を設置し、試料の温度を測定し、断熱性の評価温度とした。これらのデータは以下に示す実施例1〜3の多層構造体を作製するのに使用した。
【0027】
Figure 0003628038
【0028】
実施例1
市販の窒化ケイ素粉末とシリカ粉末をボールミルで乾式混合して、窒化ケイ素粉末の含有量がそれぞれ0.5重量%及び1.5重量%である2つの出発原料とした。これらの出発原料を内径250mm、高さ300mmのカーボン製容器の中に図2に示す配置で充填した。粉末を入れたカーボン製容器を電気炉に入れ、真空中で300℃/hrの昇温速度で1000℃に昇温し、1時間保持した後、炉内に窒素ガスを導入し300℃/hrの昇温速度で1800℃に昇温し、2時間保持した後、放冷するという手順で発泡処理を行った。得られたガラスのカサ密度を表2に示し、形状を図3に示す。参考例と同じように断熱性評価を行ったところ、温度は362℃となり、カサ密度が同様な従来のガラスより断熱性は良かった。
【0029】
実施例2
窒化ケイ素粉末の含有量がそれぞれ0.3重量%、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%になるようにシリカ粉末と窒化ケイ素粉末をボールミルにより乾式混合し、4種類の出発原料を調製した。これらの出発原料を内径250mm、高さ300mmのカーボン製容器の中に図4に示す配置で充填した。粉末を入れたカーボン製容器を電気炉に入れ、真空中で300℃/hrの昇温速度で1000℃に昇温し、1時間保持した後、炉内に窒素ガスを導入し300℃/hrの昇温速度で1800℃に昇温し、2時間保持した後、放冷するという手順で発泡処理を行った。得られたガラスのカサ密度を表2に示し、形状を図5に示す。実施例1と同じように断熱性評価を行ったところ温度は340℃となり、カサ密度が同様な従来のガラスより断熱性は良かった。
【0030】
実施例3
窒化ケイ素粉末の含有量がそれぞれ0.3重量%,0.5重量%,1.0重量%,1.5重量%になるようにシリカ粉末と窒化ケイ素粉末をボールミルにより乾式混合し、4種類の出発原料を調製した。これらの出発原料を内径250mm、高さ300mmのカーボン製容器の中に図6に示す配置で充填した。粉末を入れたカーボン製容器を電気炉に入れ、真空中で300℃/hrの昇温速度で1000℃に昇温し、1時間保持した後、炉内に窒素ガスを導入し、300℃/hrの昇温速度で1800℃に昇温し、2時間保持した後、放冷するという手順で発泡処理を行った。得られたガラスのカサ密度を表2に示し、形状を図7に示す。実施例1と同じように断熱性評価を行ったところ温度は373℃となり、カサ密度が同様な従来のガラスより断熱性は良かった。
【0031】
Figure 0003628038
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の発泡石英ガラス構造体は、空隙率が異なった少なくとも2つ以上のから構成された多層構造体であり、空隙率を自在に変化させることができるので機械強度があり、断熱性に優れた空隙率の低い層が表面部に、軽量である空隙率の高い層が内部になるような断熱材として理想的な構成が可能である。本発明の発泡石英ガラス構造体は、特に半導体製造分野で使用される各種断熱部材として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】断熱性の評価温度を測定する装置の概略図である。
【図2】実施例1における出発原料の充填形状を示す模式図である。
【図3】実施例1で得られた発泡ガラスの充填形状を示す模式図である。
【図4】実施例2における出発原料の充填形状を示す模式図である。
【図5】実施例2で得られた発泡ガラスの充填形状を示す模式図である。
【図6】実施例3における出発原料の充填形状を示す模式図である。
【図7】実施例3で得られた発泡ガラスの充填形状を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・ 発泡石英ガラス試料
2・・・ 電気炉
3・・・ 記録計
4・・・ 熱電対
a・・・ 窒化ケイ素含有量0.3重量%の層
b・・・ 窒化ケイ素含有量0.5重量%の層
c・・・ 窒化ケイ素含有量1.0重量%の層
d・・・ 窒化ケイ素含有量1.5重量%の層

Claims (3)

  1. 独立気泡を含有する発泡石英ガラス構造体において、発泡状態が異なるために空隙率に差がある少なくとも2つ以上のから構成され、前記2つのの隣接面がガラス状態で完全に連続しており、かつ前記構造体の表面部が空隙率の最も低い層からなることを特徴とする発泡石英ガラス構造体。
  2. 請求項1に記載の発泡石英ガラス構造体において、前記構造体の中心部分と表面部の空隙率の差が、少なくとも2%以上であることを特徴とする発泡石英ガラス構造体。
  3. 0.1〜2重量%の窒化ケイ素を含有し、かつ互いに窒化ケイ素含有量が異なる少なくとも2種類以上のシリカ粉末を、外側に窒化ケイ素含有量の少ない粉末、内部に窒化ケイ素含有量の多い粉末となるように、シリカと反応しにくい材質からなる容器に充填し、無酸素雰囲気中、1700℃〜1850℃の温度で加熱し、発泡させることを特徴とする発泡石英ガラス構造体の製造方法。
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