JP3632023B2 - 削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法 - Google Patents

削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法 Download PDF

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてトンネル等を掘削する場合の地盤の調査方法に関するものであり、特には、掘削中の削岩機から得られる情報に基づいて、調査対象の地盤の状況を調査する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地盤の調査方法には種々の方法がある。例えば、人為的に発生させた弾性波を受振して、その伝播速度から地盤の硬軟を判定する弾性波探査方法がある。
しかし、このような弾性波探査方法では、あまり高い精度は要求できない。これに対して、地盤を削孔して、コアを採取して分析すれば、地盤の強度を含めて種々の情報を得ることができるが、この方法の実施には、かなりの時間と手間がかかる。
また、図1に示したように、地盤を削孔してその孔内の状況をボアホールテレビカメラ(BTVカメラ)で撮像すれば、地盤の状況を確実に把握できるが、この方法もかなりの時間と手間がかかるという問題があり、全ての多くの場所をこれらの方法で調査することは、時間と手間の問題で現実的には実施困難であった。
【0003】
地盤調査の一例として、既設トンネルの覆工コンクリート背面の地質が、地山、崩積土、空洞の何れであるかを調査することが行われている。なお、地山とは、固結した状態の地盤から未固結な状態の地盤まで含む。また、崩積土とは、地山の崩壊によって形成された堆積物のことであり、自立性の地山から剥がれ落ちて自然に積もった堆積物に相当する。
このような、既設トンネルの覆工コンクリート背面の地質を調査する手段として、削岩機から得られる削孔データを利用することが試みられている。
例えば、削孔データのひとつである削孔速度は、硬い地盤では小さく、柔らかい地盤では大きいという傾向がある。
このような傾向から、削孔速度が小さい地盤の硬軟の傾向は、削孔速度からある程度は把握できる。
【0004】
また、ロータリーパーカッションドリルを用いて地盤を削孔する際に、一定深度毎に、ロッドの押込み力とロッドの回転に要する回転トルクの関係を求め、その関係から土質判定を行う技術が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】
特許番号第2878255公報(特許請求の範囲等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したような削岩機から得られる削孔データを利用する方法では、確かに、削孔速度が小さい地盤の硬軟の傾向は、削孔速度からある程度は把握できるが、削孔速度が大きい崩積土、空洞などに関しては、削孔速度から地質の種類や硬軟の程度を判定することは困難であるという問題がある。
実際の地盤の調査においては、崩積土や空洞などの状態を確認することが重要な場合であることが多い。
例えば、老朽化した水路トンネルの背面地盤へ補強材を注入する場合には、背面が崩積土であるか空洞であるかによって注入量が大きく異なることから、地盤が崩積土であるか空洞であるかを確認することが、地盤の調査の目的の重要な要素である。このような場合には、トンネル軸方向に一定間隔で削孔すれば、崩積土や空洞の有無や大きさが把握できるので、補強材の注入量の予測が正確に行え施工計画を立案しやすい。
このような事情から、削岩機から得られる削孔データを利用して、崩積土や空洞などの状態を確認できる調査技術の開発が課題となっている。
そこで、本発明は、削岩機から得られる削孔データを利用して、地山、崩積土、空洞などを区別できると共に、それらの硬軟の程度を把握できる地盤調査方法の提供を目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法の請求項1は、
ロッドの打撃、回転、前進により、ロッド先端に装着した掘削ビットが地盤を削孔するように構成された削岩機から得られる削孔データに基づいて、掘削ビットが打撃している個所の地盤の種類を判定する地盤調査方法であって、
削岩機の打撃脈動波の卓越振動数が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界振動数よりも小さいときに前記地盤を空洞と判定することを特徴とするものである。
そして、請求項2の発明は、
ロッドの打撃、回転、前進により、ロッド先端に装着した掘削ビットが地盤を削孔するように構成された削岩機から得られる削孔データに基づいて、掘削ビットが打撃している個所の地盤の種類を判定する地盤調査方法であって、
削岩機の打撃脈動波の卓越振動数が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界振動数よりも小さいときに前記地盤を空洞と判定し、前記卓越振動数が前記境界振動数よりも大きいときに前記地盤を崩積土もしくは地山であると判定する第1工程と、
前記第1工程において前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときに、削岩機の掘削速度が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界速度よりも大きいときに前記地盤を崩積土と判定し、前記掘削速度が前記境界速度よりも小さいときに前記地盤を地山と判定する第2工程と、
からなることを特徴とするものである。
【0008】
そして、請求項3の発明は、
請求項2に記載の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法において、
前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときに、
調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた崩積土もしくは地山の硬軟の程度と、削岩機の打撃脈動波の卓越振動数との関係に基づいて、前記地盤の卓越振動数からその硬軟の程度を評価することを特徴とするものである。
そして、請求項4の発明は、
請求項2に記載の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法において、
前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときに、
調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた崩積土もしくは地山の硬軟の程度と、削岩機の打撃脈動波の最大振幅との関係に基づいて、前記地盤の最大振幅からその硬軟の程度を評価することを特徴とするものである。
【0009】
次に、本発明の方法によって削孔データに基づいて地盤の種類を識別できる原理を説明する。
まず、削孔データと実際の地盤の種類とが特定の関係であるといえるか否かを確認するために、図3の(b)に示すようなモデル地盤を対象とした実験を行った。
この実験では、中硬岩の掘削で実績のあるドリフタによる削孔検層法を適用して、水路トンネルの背面の覆工コンクリート、崩積土、空洞の識別のために、力学特性が既知のモデル地盤を作成し、ドリフタを用いた削孔実験を行った。
【0010】
使用したドリフタは、古河機械金属株式会社製のインパクトオーガドリルHIA100を使用した。ドリルジャンボにセンサ類を取り付け、インパクトオーガドリル削孔時の応答データである削孔データを連続的に収集・記録した。
削孔速度は、削孔長と削孔時間から算出した。
なお、前記削岩機の削孔制御にかかる項目は、フィード圧、打撃圧、打撃数、回転圧、回転数、水圧がある。
【0011】
モデル地盤は、覆工コンクリート、崩積土(2種類)、および地山を想定した合計4種類の材料から構成される積層体として製作したものである。それぞれの材料は一定の一軸圧縮強度を目標に製作した。なお、この実験では、コーン貫入試験により見かけN値を測定した。
それぞれの材料の一軸圧縮強度および見かけN値を表1に示す。
【表1】
Figure 0003632023
【0012】
前記モデル地盤を対象とした実験結果を図4、図5に示した。
図4において、
(a)は、深さ(削孔長(mm))を横軸にとり、削孔速度(mm/s)を縦軸にとった実験結果のグラフである。
(b)は、深さ(削孔長(mm))を横軸にとり、回転圧(MPa)を縦軸にとった実験結果のグラフである。
(c)は、深さ(削孔長(mm))を横軸にとり、打撃数(bps(回/秒))を縦軸にとった実験結果のグラフである。
【0013】
図5において、
(a)は、深さ(削孔長(mm))を横軸にとり、打撃圧(MPa)を縦軸にとった実験結果のグラフである。
(b)は、深さ(削孔長(mm))を横軸にとり、フィード圧(MPa)を縦軸にとった実験結果のグラフである。
(c)は、深さ(削孔長(mm))を横軸にとり、水圧(MPa)を縦軸にとった実験結果のグラフである。
なお、図4及び図5の(d)に示したように、図4及び図5の(a)、(b)、(c)の横軸において、
削孔長 0〜 250mmは覆工コンクリート層に対応したA層、
削孔長 250〜 750mmは崩積土▲1▼を想定したB層、
削孔長 750〜1250mmは崩積土▲2▼を想定したC層、
削孔長1250〜1750mmは地山を想定したD層
に対応した深さである。
【0014】
図4の(a)から、削孔速度は、覆工コンクリートに対応したA層においては5mm/s未満とかなり小さいが、崩積土▲1▼、▲2▼を想定したB層、C層では30mm/s以上とかなり大きくなり、地山を想定したD層では10mm/s〜30mm/sと中間の値を示していることを読み取ることができる。
図4の(b)から、回転圧は、覆工コンクリートに対応したA層においては3.5〜4.0MPaと大きいが、崩積土▲1▼、▲2▼を想定したB層、C層では3.0MPaを僅かにしたまわり、地山を想定したD層では3.0MPaを僅かに上回っていることを読み取ることができる。
図4の(c)から、打撃数は、覆工コンクリートに対応したA層においては25〜45bpsと大きいが、崩積土▲1▼、▲2▼を想定したB層、C層では一旦10〜20bpsに減少して徐々に増加し、地山を想定したD層では40〜50bpsと増加することを読み取ることができる。
【0015】
図5の(a)から、打撃圧は、覆工コンクリートに対応したA層においては4.0〜6.0MPaと変動が小さいが、崩積土▲1▼、▲2▼を想定したB層、C層では2.0〜8.0MPaと大きく変動し、地山を想定したD層では3.5〜6.0MPaと若干小さくなっていることを読み取ることができる。
図5の(b)から、フィード圧は削孔長の大小によらずほとんど変化していないことを読み取ることができる。
図5の(c)から、水圧は削孔長の大小によらずほとんど変化していないことを読み取ることができる。
【0016】
また、前記モデル地盤を対象とした実験における削孔速度と見かけのN値との関係を図6に示し、回転圧と見かけのN値との関係を図7に示し、打撃数と見かけのN値との関係を図8に示した。
見かけのN値とは、洪積粘土で用いられるもので、一軸圧縮強度から換算される。
図6によれば、見かけのN値が大きくなると削孔速度が指数関数的に小さくなっているので、削孔速度から見かけのN値を特定できる可能性が認められるが、見かけのN値がある程度大きくなると(見かけのN値>10程度)、削孔速度は低減して一定値に収束する傾向が見受けられるので、削孔速度から見かけのN値を推定する際の精度は悪くなると思われる。
また、図7、図8によれば、回転圧や打撃数から見かけのN値を推定することは困難であると思われる。
【0017】
本実験の結果から、A地盤における削孔速度は3mm/s程度であり、D地盤の削孔速度は13〜20mm/s程度であると認められるので、このような削孔速度の顕著な差からA地盤とD地盤とは識別できる。
しかし、実際の調査において、地山が硬い場合で、削孔速度が覆工コンクリートと同程度に小さい場合には、削孔速度からのみでは地山であるか覆工コンクリートであるかを識別することはできない。但し、覆工コンクリート(A地盤)は削孔長が短いため、削孔長を、予め知ることのできる覆工コンクリートの厚さと比較することによって、地山であるか覆工コンクリートであるかを識別することが可能になる。
また、覆工コンクリートが存在しないトンネル以外の調査の場合には、このような地山と覆工コンクリートとの識別は不要である。
【0018】
図5の(a)によれば、B地盤、C地盤では打撃圧が2.0〜8.0MPa程度の間で変化し、その変化幅は6.0MPa程度であるが、D地盤(地山)になると、打撃圧が3.5〜6.0MPa程度の間で変化し、その変化幅は2.5MPa程度に減少している。
従って、打撃圧の変化幅からB地盤及びC地盤と、D地盤(地山)とを識別できると思われる。
なお、図5の(b)、(c)によれば、フィード圧や水圧で地盤の種類を識別することは困難であると思われる。
【0019】
図10の(a)は打撃脈動波の波形を示したものである。この打撃脈動波とは、ピストンの打撃に伴って発生する油圧脈動の波のことである。この打撃脈動波は、図示したように、トレンド(打撃脈動波の成分よりもかなり低い周波数の変動成分:ドリフトともいう。)上に乗っており、前記トレンド成分を除去することによって図10の(b)に示したように打撃脈動波の成分を得ることができるのである。
打撃脈動波のスペクトルは、高周波データ収録装置を用いてサンプリング周波数2kHzで計測した打撃圧データから抽出した打撃脈動波の波形を、高速フーリエ変換(FFT)して求めた。
この図から、打撃脈動波の卓越振動数は、平均的な打撃数に対応して地山が相対的に軟質になれば低くなり、硬質になれば高くなるという傾向が見られた。
なお、削孔振動によるスペクトル変化を観察するために、打撃脈動波の評価には2cmの削孔長ごとに約2秒間(0.0005秒間隔に4096個)の打撃圧データから計算したスペクトルを深度方向に並べたランニングスペクトルを用いた。
【0020】
図11は、前記モデル地盤での実験における削孔速度(図11の(a))と打撃脈動波のランニングスペクトル(図11の(b))を示したものである。
図において、縦軸は削孔深度である。この場合、削孔速度に基づいた識別では、A地盤(コンクリート)とD地盤(地山相当)との識別は可能であるが、B地盤とC地盤とでは差が小さいために識別することが困難である。
一方、打撃脈動波の卓越振動数はB地盤で22〜34Hz、C地盤で32〜42Hz、D地盤で48Hzと、それぞれの地盤で異なり、地盤が硬い程卓越周波数が高くなる傾向が表れている。
従って、卓越振動数の高低によって地盤の硬軟の程度を判定できる。
なお、B地盤とC地盤の境界部分は、モデル地盤作成時の締め固めの影響を受けて部分的に硬くなっている。
【0021】
図12は、打撃脈動波の最大振幅を縦軸にとったものである。このグラフによれば、地盤の種類ごとに最大振幅が異なっており、地盤の強度が大きい程(硬い程)最大振幅が小さくなる傾向が表れている。
従って、この打撃脈動波の最大振幅の大小からも地盤の硬軟の程度を判定することができる。
【0022】
図13は、一度削孔した孔に、ロッドを再度挿入して空削孔を行った場合の掘削長を縦軸にとり、削孔速度(図13の(a))と、打撃脈動波の卓越振動数(図13の(b))を横軸にとったグラフである。
図13における削孔条件は、空洞を削孔する場合に相当するものであり、削孔速度は深度に応じて40〜60mm/sのバラツキが見られるが、打撃脈動波の卓越振動するは19Hzが支配的になっている。
これは、空削孔時における、ピストンの規則的な往復運動が応答結果に反映したものと考えられる。
【0023】
図14は、打撃脈動波のフーリエスペクトルを示したものである。この図においては、縦軸に打撃脈動圧をとり、横軸に周波数を取っているので卓越した周波数の打撃脈動圧の大きさが表現されている。
図14の(a)は覆工コンクリートを削孔した場合、(b)はB地盤(崩積土)を削孔した場合、(c)はC地盤(崩積土)を削孔した場合、(d)はD地盤(地山)を削孔した場合、(e)は空洞を削孔した場合の打撃脈動波のフーリエスペクトルである。
覆工コンクリートの硬軟の程度は全体的に均等であり、卓越振動数は約51Hzに集中しており、この卓越振動数以外の成分波はほとんど見られない。同時に、地山相当のD地盤においても卓越振動数以外の成分波はほとんど見られない。これに対し、(b)と(c)の崩積土相当地盤では、打撃脈動波の各成分波は20〜40Hz程度の周波数帯域に広く分布し、フーリエ振幅値も小さいものとなっている。これは、砂地盤に硬い礫を含む不均等な地盤を削孔する際の硬軟の違いが打撃脈動波の周波数特性に表れてきたことを示している。
【0024】
以上のことから、打撃脈動波のフーリエスペクトルにより、地盤の硬軟の程度が全体的に均等であるかどうかを判定することができ、卓越振動数以外の成分波が見られない場合には地盤の硬軟の程度は全体的に均等であると判定することができる。
このように、打撃脈動波の卓越振動数は、空洞やN値が小さなB地盤、C地盤に対して、削孔速度に比較してはるかに良い感度を示すことが明らかになり、軟質地盤の硬軟判定に極めて有効であることが分かった。
【0025】
また、コーン貫入試験を行った削孔深度における打撃脈動波の卓越振動数と地盤種別の関係を図15に示した。また、打撃脈動波の卓越振動数と見かけN値の関係を図16に示した。
卓越振動数は、B地盤が約30Hz、C地盤が約42Hz、D地盤が約49Hzとなっており、安定している。
また、見かけN値が大きくなるにつれて卓越振動数が高くなるが、見かけN値がある程度以上大きくなると卓越振動数の変化は小さくなっている。
このことは、打撃脈動波の卓越振動数を用いた地山判定方法は、B地盤やC地盤のような軟質な地盤の判定に有効であるといえる。
【0026】
以上のモデル地盤を対象にした実験結果から得られた知見は、次のような点である。
1)卓越振動数が所定の振動数(これを境界振動数とする。)より小さいか否かで、空洞であるか否かを判定できる点。
2)地盤が空洞でないと判定された場合、削孔速度が所定の速度(これを境界速度とする。)より大きいか否かで、地盤が崩積土であるか、それとも覆工コンクリートもしくは地山であるかを識別できるという点。
3)地盤が覆工コンクリートもしくは地山であると判定された場合、予め覆工コンクリートの厚さが判明しているため、掘削長が前記覆工コンクリートの厚さより短いか否かで、地盤が覆工コンクリートであるか、地山であるかを識別できる点。
【0027】
以上の知見から、実際の地盤の調査にあたっては、調査に先立って前記知見における境界速度、境界振動数、覆工コンクリートの厚さ等のデータを、判定基準データとして予め得ておき、実際の地盤の削孔データを前記判定基準データと対比させることによって、地盤の種類を識別することができることが判明した。
このことを利用して、本発明においては、前述したように、調査に先立って予め判定基準データを得ておき、実際の掘削中に得られる掘削データを、前記判定基準データと対比させることによって地盤の種類を識別するようにしたのである。
【0028】
本発明の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法は、削孔能力が高く、すなわち調査速度能力の高いロータリーパーカッション式削岩機を用いた削孔調査において、削孔速度、打撃脈動波の卓越振動数・最大振幅の情報を得ることにより、地盤の種類・状況(地山・崩積土・空洞の区分、硬軟の程度)の推定を可能とする調査手法である。
削孔調査において、削孔速度のみの検討による地盤状況の推定では、特に軟弱で未固結な地盤では削孔速度がばらつくなど、精度の高い推定が困難となることが課題となるが、本発明の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法では、打撃脈動波の卓越振動数・最大振幅の情報を活用することにより、軟弱な地盤においても精度の高い識別能力を維持できるシステムとなっていることを特徴とする。その結果、削孔能力に優れた削孔機の特徴を活かしつつ、精確かつ迅速な調査が広範な地盤に対応可能となるのである。
【0029】
【作用】
上述したように、本発明の請求項1の発明によれば、削岩機の打撃脈動波の卓越振動数が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界振動数よりも小さいときには、前記地盤を空洞と判定する。
請求項2の発明によれば、第1工程によって、削岩機の打撃脈動波の卓越振動数が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界振動数よりも小さいときに前記地盤を空洞と判定し、前記卓越振動数が前記境界振動数よりも大きいときに前記地盤を崩積土もしくは地山であると判定する。
そして、前記第1工程において前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときには、第2工程によって、削岩機の掘削速度が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界速度よりも大きいときに前記地盤を崩積土と判定し、前記掘削速度が前記境界速度よりも小さいときに前記地盤を地山と判定する。
従って、以上の2段階の工程によって、地盤が、地山、崩積土、もしくは空洞の何れであるかが識別される。
【0030】
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法において、予め、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた崩積土もしくは地山の硬軟の程度と、削岩機の打撃脈動波の卓越振動数との関係を把握しておくので、前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときには、その地盤の卓越振動数に基づいて当該地盤の硬軟の程度が評価される。
【0031】
請求項4の発明によれば、請求項2に記載の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法において、予め、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた崩積土もしくは地山の硬軟の程度と、削岩機の打撃脈動波の最大振幅との関係を把握しておくので、前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときには、その地盤の最大振幅に基づいて当該地盤の硬軟の程度が評価される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法の作業状況の説明図である。
図中、
1は既設の覆工コンクリートであり、補強工事のために背面の地盤の状況を調査する必要が発生している。
2は前記覆工コンクリート1の背面の地盤であり、崩積土の部分A、空洞の部分B、そして地山の部分Cからなっている。
3は調査装置であり、BTVカメラ31、ガイド管32、ロッド33、自動送り装置34、ケーブル35、画像処理装置36、調査台車37を備えている。
【0034】
図2は、前記BTVカメラ31の要部拡大斜視図であり、1本が2mの中空の前記ロッド33の先端にBTVカメラ31をセットした状態を示している。このBTVカメラ31は軸に対して直交する周囲を撮影するように構成されている。
【0035】
図3の(a)は削岩機の側面図である。削岩機のブームの先にドリフタが配設されている。
図9はドリフタの内部構造を説明する断面図である。図9において、ドリフタ4の内部にピストン41が摺動自在に配設され、ピストン41の前室42と後室43の油圧を高圧と低圧に交互に切り換えることによってピストン41を前後に往復動させるものである。ピストン41の先端にはシャンクロッド44が連接され、このシャンクロッド44にはスリーブ5を介してロッド6が取り付けられている。このロッド6の先に岩盤削孔用のビット61が取り付けられているのである。このドリフタ自体はフィード圧により前進する。
【0036】
前述したように、前記インパクトオーガドリル形式の油圧削岩機に供給される油圧をバルブ操作によって高圧と低圧との間で切り替えることによってサージ圧を発生させ、打撃圧に脈動波を発生させる。
このサージ圧は、油を切り替える弁の動作により油の流れが急激に変化すると、油(流体)の運動エネルギーが弾性エネルギーに変換されて、圧力波(オイルハンマ)となって管内を伝播する。このときに発生する急激な圧力変動をサージ圧といい、その圧力の大きさは管路の流速の変化分に比例する。
【0037】
削孔対象物が硬くなるとピストンが往復するストロークが短くなると同時に往復の運動速度が速くなり、バルブの切り替え頻度が増えて打撃脈動数も増大する。ただし、削孔対象物が硬くなると脈動圧自体は小さくなる。
【0038】
このように、打撃脈動波には削孔対象物の硬軟の情報が含まれており、周期的な変動を繰り返すことから、ドリフタに配設した圧力センサから得られる信号から、フーリエ周波数分析等によるスペクトル分布を得ることにより打撃脈動波の特性を把握することができるのである。
なお、打撃脈動波の卓越振動数は打撃数であり、打撃数を用いても地盤の状況を調査することができる。
【0039】
実際の地盤調査においては、まず、削孔データと実際の地盤の種類との関係を把握するために、調査に先立って、識別基準データのキャリブレーションを行う。(図20のステップS11、ステップS12参照)
調査対象の地盤の近傍の地盤を対象にして、キャリブレーションのために以下のような調査を行う。
まず、例えばインパクトオーガドリル形式の油圧削岩機を用いて、ボアホールを削孔して、図18の(a)、(b)のように、削孔中の削岩機から削孔データを収集・記録する。記録する削孔データは、少なくとも削孔時間毎の削孔長さ(後で削孔速度を得るため。)と打撃脈動波の波形(後で打撃脈動波の卓越振動数、最大振幅を得るため。)である。
なお、図18の(a)は削孔速度の分布特性であり、(b)は打撃脈動波のランニングスペクトルである。
なお、(c)は判定結果であり、(d)はBTVカメラによる孔壁画像に基づいた専門技術者による判定結果である。
【0040】
以上のようにして、削孔データを収集・記録した後、ボアホールにカメラを差し込んでボアホールの周壁の画像を、画像による地盤の種類を識別する能力を備えた調査専門の技術者が目視観察する。
そして、前記技術者による画像の観察に基づいて、ボアホールの深さごとに、周囲の地盤の種類を判定する。
例えば、ある地点における周壁の画像から、図18の(d)のような坑壁画像に基づいた専門技術者による判定結果を得る。
図18の(d)による判定結果は、
0mm〜300mm 覆工コンクリート
300mm〜1060mm 礫混じり砂層
1060mm〜1790mm 砂層
1790mm〜2035mm 礫混じり砂層
2035mm〜2735mm 砂層
2735mm〜2840mm 礫混じり砂層
2840mm〜3055mm 粘土混じり砂層
3055mm〜3325mm 礫混じり砂層
3325mm〜3500mm 空洞
であった。
大きく分類すると300mm〜3500mmは崩積土に分類できる。
【0041】
図18において、削孔深度3450mm〜3700mmでは、削孔速度が50mm/sと大きく、スペクトルの卓越振動数は30〜32Hzと低い。孔壁画像を参考にするとこの部分は空洞であると判定される。
既設トンネルの調査に限定すれば、空洞は通常地山の下部に存在しているということができる。図18において、削孔深度3700mm以深では削孔速度が小さく、スペクトルの卓越振動数が安定して大きいので地山と判断できる。
そして、その地山の下部にスペクトルの卓越振動数が安定して小さい部分が存在するので、この部分は空洞であると判断できるのである。
それより手前の浅い部分は、削孔速度が40〜60mm/s程度と大きいことや卓越振動数が35〜40Hzと深度方向にばらついて硬軟の変化が大きいと見られることや、孔壁画像の判定結果を参照して崩積土と判定される。
同様に、図19において、削孔深度200〜900mmでは打撃脈動波の卓越振動数が28〜29Hzと低くなっている。この部分は、BTVカメラによる孔壁画像から空洞と判定した区間と一致している。
また、削孔深度900mm以深では削孔速度が30mm/s以下と小さくなり、卓越振動数も44Hz以上であることや、孔壁画像の判定結果を参照して自立性地山と判定される。
【0042】
以上の判定結果と、BTVカメラによる孔壁画像との比較から、地質構造を判定するための削孔速度と打撃脈動波の卓越振動数の基準とを表2のように設定することができる。(図20のステップS13参照)
【表2】
Figure 0003632023
表2において、覆工コンクリートは、削孔速度は0〜10mm/s、打撃脈動波の卓越振動数は40〜45Hz。覆工コンクリートは削孔深度が最浅である。
空洞は、削孔速度は30〜60mm/s、打撃脈動波の卓越振動数は25〜35Hz。
崩積土は、削孔速度は30〜60mm/s、打撃脈動波の卓越振動数は35〜45Hz。
地山は、削孔速度は0〜30mm/s、打撃脈動波の卓越振動数は40〜。
即ち、表2においては、境界速度vを30mm/sとし、境界振動数fを35Hzとする。
また、判定に用いる基準としては、表2の内容に加えて、地山および崩積土における硬軟の違いを判定する関係も求めておく。
具体的には、硬軟の程度と打撃脈動波の卓越振動数の関係は、
「硬い程、卓越振動数は高くなる。」
また、硬軟の程度と打撃脈動波の最大振幅値の関係は、
「硬い程、最大振幅値は小さくなる。」
というものである。
【0043】
次に、以上のようにして設定した基準を用いて、BTVカメラによる孔壁画像から確認できなかった部分を評価・判定する。
例えば、図17において、削孔深度3550mm〜4250mmの卓越振動数は、31Hzと小さいため、この部分は空洞であると判定される。
また、それ以浅では、削孔速度は50mm/sと大きいが卓越振動数は38Hz前後で変化しているため崩積土と判定される。
なお、崩積土と空洞部分の削孔速度はどちらも50〜60mm/sであるので、削孔速度のみから両者を区別することは困難である。
以上の結果から、地山区間および覆工コンクリート区間は削孔速度から識別できること、及び、崩積土と空洞とは削孔速度の情報に打撃脈動波の卓越振動数の情報を追加することで識別できることが確認できた。
なお、地山区間と覆工コンクリート区間とは、削孔速度だけでは区別が困難であるが、削孔長(深度)の違いで地山と覆工コンクリートとは区別できる。
このようにして、表2のような基準を設定することによって、削孔データに基づいて地盤の種類を判定することができるようになったのである。
【0044】
次に、図20のステップS14に示したように、削岩機のビットやロッドを変更したか否か確認し、変更した場合にはステップS11、ステップS12から繰り返し、変更していない場合にはステップS15へ進む。
ステップS15に示した実際の地盤調査においては、図21のフローチャートに示したように、先ず、ステップS21において、観測対象箇所の地盤を前記削岩機で削孔して削孔データ(削孔速度v,卓越振動数f,削孔長(深度)L)を収集・記録する。
【0045】
次に、ステップS22において、前記卓越振動数fを表2の境界振動数fと比較する。
f≦fならステップS23へ進み、f>fならステップS24へ進む。ステップS23においては、空洞であると判定する。
ステップS24においては、削孔速度vを境界速度vと比較し、v<vならステップS25へ進み、v≧vならステップS30へ進む。
【0046】
ステップS25においては、削孔長Lを覆工コンクリートの厚さLと比較し、L<LならステップS26に進み覆工コンクリートであると判定する。
L≧Lなら、ステップS27へ進み地山であると判定する。さらに、ステップS28においては、卓越振動数に基づいて硬軟の程度を判定する。また、打撃脈動波の振幅によっても硬軟の程度を判定することができる。
硬軟の程度を判定した後さらに、ステップS29においては、図14のような打撃脈動圧のピークの表れかたを観察し、図14の(b)、(c)のような複数のピークがある場合には全体的に均等ではないと判定することができる。
【0047】
ステップS30においては崩積土であると判定する。
さらに、ステップS31においては、卓越振動数に基づいて硬軟の程度を判定
する。また、打撃脈動波の振幅によっても硬軟の程度を判定することができる。
硬軟の程度を判定した後さらに、ステップS32においては、図14のような打撃脈動圧のピークの表れかたを観察し、図14の(b)、(c)のような複数のピークがある場合には全体的に均等ではないと判定することができる。
ステップS23、ステップS26、ステップS27、ステップS30における判定は、図20におけるステップS16に相当する。
【0048】
以上のようにして、観測対象箇所の調査を終了した後に、次の、観測対象箇所に移動する。
調査対象箇所が大きく移動した場合には、図20のステップS11、ステップS12に基づいて、再度キャリブレーションを行う。
【0049】
このようにして、順次観測対象箇所を移動しながら、観測対象範囲を調査する。
なお、各観測対象箇所における地盤の種類の識別処理は、各観測対象箇所ごとに行ってもよいが、複数の観測対象箇所の削孔データを収集した後に、まとめて行ってもよい。
【0050】
なお、表2に示した基準は、実施の調査対象の地盤ごとに多少の変動がある。また、トンネル以外の場合には覆工コンクリートがないので地盤の種類の判定がさらに容易である。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法によれば、削岩機の打撃脈動波の卓越振動数に基づいて、対象地盤中の空洞の有無を判定することができる。
また、本発明の請求項2の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法によれば、削岩機の掘削速度と打撃脈動波の卓越振動数とに基づいて、対象地盤の種類を判定することができるので、実際にボアホールカメラを挿入して画像を熟練技術者が見て判定しなくてもよく、正確な地盤調査が迅速に行える。
請求項3、4によれば、崩積土もしくは地山であると判定したときには、その硬軟の程度も評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法の実施の形態の構成例と、その要部の拡大斜視図である。
【図2】BTVカメラの要部拡大斜視図である。
【図3】削岩機の概要を説明する側面図である。
【図4】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図5】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図6】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図7】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図8】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図9】ドラフタの説明図である。
【図10】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図11】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図12】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図13】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図14】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図15】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図16】モデル地盤における削孔データを示すグラフである。
【図17】実際の地盤における削孔データを示すグラフである。
【図18】実際の地盤における削孔データを示すグラフである。
【図19】実際の地盤における削孔データを示すグラフである。
【図20】削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法のフローチャートである。
【図21】地盤判定手順のフローチャートである。
【符号の説明】
1 覆工コンクリート
2 地盤(崩積土の部分A、空洞の部分B、地山の部分C)
3 調査装置
31 BTVカメラ
36 画像処理装置

Claims (4)

  1. ロッドの打撃、回転、前進により、ロッド先端に装着した掘削ビットが地盤を削孔するように構成された削岩機から得られる削孔データに基づいて、掘削ビットが打撃している個所の地盤の種類を判定する地盤調査方法であって、
    削岩機の打撃脈動波の卓越振動数が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界振動数よりも小さいときに前記地盤を空洞と判定することを特徴とする削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法。
  2. ロッドの打撃、回転、前進により、ロッド先端に装着した掘削ビットが地盤を削孔するように構成された削岩機から得られる削孔データに基づいて、掘削ビットが打撃している個所の地盤の種類を判定する地盤調査方法であって、
    削岩機の打撃脈動波の卓越振動数が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界振動数よりも小さいときに前記地盤を空洞と判定し、前記卓越振動数が前記境界振動数よりも大きいときに前記地盤を崩積土もしくは地山であると判定する第1工程と、
    前記第1工程において前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときに、削岩機の掘削速度が、調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた境界速度よりも大きいときに前記地盤を崩積土と判定し、前記掘削速度が前記境界速度よりも小さいときに前記地盤を地山と判定する第2工程と、
    からなることを特徴とする削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法。
  3. 請求項2に記載の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法において、
    前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときに、
    調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた崩積土もしくは地山の硬軟の程度と、削岩機の打撃脈動波の卓越振動数との関係に基づいて、前記地盤の卓越振動数からその硬軟の程度を評価することを特徴とする削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法。
  4. 請求項2に記載の削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法において、
    前記地盤が崩積土もしくは地山であると判定したときに、
    調査に先立って調査個所付近で行うキャリブレーションにより求めた崩積土もしくは地山の硬軟の程度と、削岩機の打撃脈動波の最大振幅との関係に基づいて、前記地盤の最大振幅からその硬軟の程度を評価することを特徴とする削岩機の削孔データに基づいた地盤調査方法。
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