JP3634111B2 - 雌型コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は雌型端子をキャビティ内に設けたランスによって抜止保持するコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のコネクタの一般的な構造は、図5に示すように、コネクタハウジング1に前後に開口するキャビティ2が形成されており、そのキャビティ2内に雌型端子3が配置されている。この雌型端子3は、キャビティ2内に位置してコネクタハウジング1に一体成型したランス4によって抜止保持されるようになっており、コネクタハウジング1の前面開口5を通して挿入される雄型端子のタブ6(図6に図示)と接続される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種のコネクタハウジング1には、図6に示すように前面にタブ6を挿通させるための前面開口5のみならず、これに連なってランス4の成形のための成形型を抜くための型抜き孔7が不可避的に生ずる。すると、雄型コネクタとの嵌合時に両コネクタの位置合わせが不十分であると、タブ6の先端が型抜き孔7内に進入してしまい、例えば同図の二点鎖線で示すようにタブ6が幅狭部7A内に無理矢理に圧入されるようになって嵌合不良の原因となることがあった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ランス成型の型抜き孔へタブが誤って挿入されてしまうことを確実に防止することができる雌型コネクタを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、コネクタハウジングのキャビティ内に挿入された雌型端子を前記コネクタハウジングのキャビティ内に設けたランスと係止して抜け止めすると共に、前記コネクタハウジングの前面には前記雌型端子との接続のために雄型端子のタブが挿入可能な前面開口と前記ランスの成形用でありかつ前記ランスを操作して雌型端子との係止を解除するための解除治具が挿入可能な型抜き孔とが設けられ、前記コネクタハウジングの前面には前記タブの挿入方向とは交差する方向にスライドして装着されるマスク板を設け、このマスク板にはこのマスク板のスライド動作の間に前記前面開口と前記型抜き孔のいずれかと合致するが双方に同時には合致しないようにして孔が設けられ、この孔は開口縁が全周に沿って連続して形成されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、コネクタハウジングに、雌型端子の挿入方向とは交差する方向に差し込んで装着されて雌型端子の二重係止を行うリテーナが設けられており、前記マスク板はそのリテーナに一体に設けられているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、コネクタハウジングの前面側縁部にはマスク板のスライドを案内する案内溝を形成したところに特徴を有する。
【0008】
そして、請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3のいずれかの発明において、リテーナはキャビティ内への雌型端子の挿抜を許容する仮係止位置と、雌型端子の二重係止を行う本係止位置とに係止可能であり、マスク板には前記仮係止位置で前記ランスの係止解除用治具を前記キャビティ内に挿入させるための治具挿入孔と前記本係止位置で前記タブを前記前面開口を通して挿入可能なタブ挿通孔とが設けられているところに特徴を有する。
【0009】
【発明の作用・効果】
請求項1の発明によれば、マスク板をスライドさせて装着し、そこに設けられた孔とコネクタハウジングの前面開口とが合致する位置にセットすると、孔及びコネクタハウジングの前面開口を通してタブを挿入できるようになり、これにてタブと雌型端子とが接触可能となる。コネクタハウジングの前面に雌形端子へ至る前面開口の他にランスの型抜き孔等が形成されているが、これはマスク板によって覆うことができるから、その型抜き孔にタブが誤って進入することはなく、雌型端子が予定しない外力を受けたり、損傷を受けたりすることを防止することができる。このようにしてタブの誤挿入を防止できることは、特にコネクタを小型化した場合には端子の係止力確保という観点からランスを小型化できない一方でタブの幅は狭く設定されるという事情のもとでは、特に効果的である。
【0010】
請求項2の発明によれば、マスク板をリテーナに一体化しているから、部品点数が少なくなるだけでなく、リテーナをコネクタハウジングに装着するという作業によってマスク板も併せて取り付けることができ、組立工数も削減できて合理的である。
【0011】
請求項3の発明によれば、マスク板のスライドが案内溝によって案内されるから、その装着作業が一層簡単になるという効果が得られる。
そして、請求項4の発明によれば、リテーナを仮係止位置に戻すと、マスク板の治具挿入孔からランスの係止解除用の治具を挿入することができるようになる。従って、雌型端子のコネクタハウジングからの取り外し作業が容易になり、メンテナンス性に優れるという効果がさらに得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。
10は矩形箱形のコネクタハウジングであり、内部に上下二段にわたって計8カ所にキャビティ11が形成されている。各キャビティ11は雌型端子12を図1の矢印方向に挿入して収容可能な形状となっており、コネクタハウジング10の前面に雄型コネクタのタブ13(図3にのみ図示)が通過可能な前面開口14が形成されている。雌型端子12は、箱形部12A内に接触片12Bを形成するとともに、その箱形部12Aの後方に電線15をカシメ固定するワイヤバレル12C及びインシュレーションバレル12Dを一体に有する周知の構造である。
【0013】
この雌型端子12はキャビティ11内でランス16によって抜止保持される。そのランス16は図2及び3に示すようにキャビティ11内に位置してコネクタハウジング10に一体に成型されており、キャビティ11の後方(図中右側)をコネクタハウジング10に一体化して前方を自由端とした片持ちの弾性片状をなし、その上面突部16Aが雌型端子12に係合する。また、このランス16の前方にはキャビティ11内に挿入された雌型端子12の前端部を受ける支持リブ17がキャビティ11の内側面に突設されている。そして、コネクタハウジング10の前面には上記ランス16の成型のために形成された型抜き孔18が形成され、これが前記支持リブ17間の隙間を介して前記前面開口14に連なっている。
【0014】
20はリテーナであり、これは基板部21にコネクタハウジング10内に挿入される4枚の支持板部22を一体に有するとともに、その支持板部22の両面に二重係止部22Aを突設してなる。このリテーナ20をコネクタハウジング10の下方から装着し、支持板部22をコネクタハウジング10内に下方から進入させると、まず支持板部22に形成した仮係止突起22Bがコネクタハウジング10内の図示しない係合部と係合して仮係止位置に保持され、更にリテーナ20を押し込んで基板部21にてコネクタハウジング10の底面を覆うようにすると、前記二重係止部22Aが各キャビティ11内に突出して前記雌型端子12のスタビライザー12Eの後端に係合する本係止位置に至り、もって雌型端子12の二重係止が行われるようになる。この本係止位置では、支持板部22の下端部近くに突設した本係止突起22Cがコネクタハウジング10の図示しない係合部と係合してリテーナ20がその位置に保持される。
【0015】
さて、リテーナ20のうち基板部21の前端部にはマスク板23がほぼ直角に一体成型されている。このマスク板23にはコネクタハウジング10のキャビティ11と同数のタブ挿通孔24が形成され、ここに雄型コネクタのタブ13を挿通させ得るようになっている。このタブ挿通孔24は、リテーナ20が仮係止位置にあるときには図2に示すようにコネクタハウジング10の前面開口14から外れた位置にあるが、リテーナ20が本係止位置にあるときには図3に示すように前面開口14と合致する。なお、タブ挿通孔24の前面周縁はタブ13を案内するために斜面状とされている。
また、マスク板23の左右両側縁部には一対のスライド突条25が突設され、これに対応してコネクタハウジング10の前面には案内溝26が形成され、マスク板23のスライド突条25がこの案内溝26に嵌合してマスク板23の上下のスライド移動が案内されるようになっている。
【0016】
本実施形態は以上の構造であり、次にその作用を説明する。
上記構造の雌型コネクタを組み立てるには、まずリテーナ20をコネクタハウジング10にセットして仮係止位置に保持しておく。それには、マスク板23のスライド突条25をコネクタハウジング10の案内溝26内に挿入して案内状態とし、リテーナ20を軽く押し上げる。すると、マスク板23がスライドして上方に移動しつつ、リテーナ20の仮係止突起22Bがコネクタハウジング10の係合部と係合することになって仮係止位置に保持されるようになる。
この仮係止位置では、図2に示すようにマスク板23のタブ挿通孔24はコネクタハウジング10の前面開口14と合致しておらず、型抜き孔18に連なる状態となっている。そして、後側から雌型端子12をキャビティ11内に挿入し、ランス16と係合させる。この後、リテーナ20を押し上げると、リテーナ20は本係止位置に至って雌型端子12を二重係止状態とするとともに、本係止突起22Cによってその本係止位置に保持される。
【0017】
この本係止位置では、図3に示すようにマスク板23のタブ挿通孔24はコネクタハウジング10の前面開口14と合致し、両開口が一連に連なった状態となっている。また、リテーナ20の二重係止部22Aがキャビティ11内に位置することになり、これにて雌型端子12の二重係止がなされてコネクタの組立が完了する。
【0018】
このコネクタと相手方の雄型コネクタとを嵌合させると、雄型コネクタのタブ13が雌型コネクタのコネクタハウジング10内に進入する。このとき、仮に両コネクタ間の位置合わせに誤差があってタブ13がずれた位置に進入したとすると、タブ13はマスク板23のタブ挿通孔24からずれることになるから、タブ13がマスク板23に突き当たる。従って、コネクタハウジング10の前面には雌形端子12へ至る前面開口14の他にランスの型抜き孔18が形成されているという事情があっても、その型抜き孔18内にタブ13が誤って進入することを確実に防止できる。なお、本実施形態では、マスク板23のタブ挿通孔24の前面周縁に案内用の斜面を形成しているから、タブ13の僅かな位置ずれならば、それを容易に修正して雌型端子12に案内することができる。
【0019】
なお、この実施形態において、一旦装着した雌型端子12を取り外すには、リテーナ20を仮係止位置に戻し、タブ挿通孔24から係合解除用の治具を挿入してランス16と雌型端子12との係合を外せばよい。或いは、リテーナ20を完全にコネクタハウジング10から取り外してコネクタハウジング10の前面開口14又は型抜き孔18から係合解除用の治具を挿入してランス16の係合を解除してもよい。
【0020】
<第2実施形態>
【0021】
図4は本発明の第2実施形態を示す。前記第1実施形態との相違はマスク板23に治具挿入孔30を形成したところにあり、その他は同実施形態と同様であるから、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
治具挿入孔30は各キャビティ11に対応して形成されており、リテーナ20が仮係止位置にあるときに、コネクタハウジング10のランス16の係合を解除するのに最も適した部位となるような位置に設けられている。従って、雌型端子12をコネクタハウジング10から取り外すには、リテーナ20を仮係止位置に戻し、治具挿入孔30に図示しない係止解除用治具を貫通させてランス16を解除することができ、前記第1実施形態の効果に加え、さらに雌型端子12の取り外し作業が容易になるという効果も得られる。
【0022】
<他の実施形態>
【0023】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施の形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0024】
前記各実施形態ではマスク板23をリテーナ20に一体成型するようにしたが、これに限らず、リテーナとは別の部品として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す分解斜視図
【図2】同じくリテーナが仮係止位置にある状態の縦断面図
【図3】同じくリテーナが本係止位置にある状態の縦断面図
【図4】本発明の第2実施形態を示し、リテーナが仮係止位置にある状態の縦断面図
【図5】従来の雌型コネクタを示す縦断面図
【図6】従来のコネクタの前面部を示す拡大斜視図
【符号の説明】
10…コネクタハウジング
11…キャビティ
12…雌型端子
13…タブ
14…前面開口
16…ランス
20…リテーナ
23…マスク板
24…タブ挿通孔
26…案内溝
30…治具挿入孔
Claims (4)
- コネクタハウジングのキャビティ内に挿入された雌型端子を前記コネクタハウジングのキャビティ内に設けたランスと係止して抜け止めすると共に、前記コネクタハウジングの前面には前記雌型端子との接続のために雄型端子のタブが挿入可能な前面開口と前記ランスの成形用でありかつ前記ランスを操作して雌型端子との係止を解除するための解除治具が挿入可能な型抜き孔とが設けられ、
前記コネクタハウジングの前面には前記タブの挿入方向とは交差する方向にスライドして装着されるマスク板を設け、このマスク板にはこのマスク板のスライド動作の間に前記前面開口と前記型抜き孔のいずれかと合致するが双方に同時には合致しないようにして孔が設けられ、この孔は開口縁が全周に沿って連続して形成されていることを特徴とする雌型コネクタ。 - 前記コネクタハウジングには、前記雌型端子の挿入方向とは交差する方向に差し込んで装着されて前記雌型端子の二重係止を行うリテーナが設けられ、前記マスク板はそのリテーナに一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の雌型コネクタ。
- コネクタハウジングの前面側縁部には前記マスク板のスライドを案内する案内溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の雌型コネクタ。
- リテーナはキャビティ内への雌型端子の挿抜を許容する仮係止位置と、雌型端子の二重係止を行う本係止位置とに係止可能であり、マスク板には前記仮係止位置で前記ランスの係止解除用治具を前記キャビティ内に挿入させるための治具挿入孔と前記本係止位置で前記タブを前記前面開口を通して挿入可能なタブ挿通孔とが設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の雌型コネクタ。
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